JP2000311336A - 磁気ディスク用基板の作製方法、その方法により得られた磁気ディスク用基板及び磁気記録媒体 - Google Patents

磁気ディスク用基板の作製方法、その方法により得られた磁気ディスク用基板及び磁気記録媒体

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JP2000311336A
JP2000311336A JP11122781A JP12278199A JP2000311336A JP 2000311336 A JP2000311336 A JP 2000311336A JP 11122781 A JP11122781 A JP 11122781A JP 12278199 A JP12278199 A JP 12278199A JP 2000311336 A JP2000311336 A JP 2000311336A
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magnetic disk
glass
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solution
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Koji Ikeda
浩司 池田
Yoshihiro Matsuno
好洋 松野
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アスペリティのない微小凹凸を安定して形成
することができ、基板を再現性良く作製することができ
るとともに、磁気ディスクを製造する際の歩留まりを向
上させることができる磁気ディスク用基板の作製方法、
その方法により得られた磁気ディスク用基板及び磁気記
録媒体を提供する。 【解決手段】 磁気ディスク用基板は、ガラス等の無機
材料からなる基板に対し、酸性溶液を用いて異なる処理
条件下で浸漬処理又はスクラブ処理を複数回行うことに
よって作製される。さらに、酸性溶液による処理の間又
は酸性溶液による処理の後に、中性溶液又はアルカリ性
溶液を用いた処理が行われる。これらの処理により作製
された磁気ディスク用基板は、その表面の平均面粗さR
aが0.4〜3.0nmで、かつ基板表面の平均面粗さ
(Ra)に対する基板表面の10点平均面粗さ(Rz)
の比が14以下である微小凹凸を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、情報記録装置、
特にハードディスク等のような磁気記録媒体に用いられ
る磁気ディスク用基板の作製方法、その方法により得ら
れた磁気ディスク用基板及び磁気記録媒体に関するもの
である。さらに詳しくは、いわゆるCSS方式、ランプ
ロード方式及びコンタクト方式等の種々のヘッド、ディ
スク、インターフェイスを有するハードディスク装置に
使用される磁気ディスク用基板の作製方法、その方法に
より得られた磁気ディスク用基板及び磁気記録媒体に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】CSS方式やランプロード方式のような
駆動時に磁気ヘッドが浮上するタイプのハードディスク
や、駆動時及び停止時に磁気ヘッドが磁気ディスクの表
面と常に接触しているコンタクト方式と呼ばれるハード
ディスクにおいては、磁気ヘッドと磁気ディスクの粘着
の発生を防ぎつつ磁気記録の密度を上げるために、従来
よりもさらに微小な凹凸(表面粗さRaで0.4から3
nm程度)を磁気ディスク表面に形成することが必要と
なってきた。
【0003】このような、より微小な凹凸を磁気ディス
ク表面に形成することは、現在商用ベースで実用化され
ている磁気ディスク表面に凹凸を形成する種々の方法、
例えばガラス基板上に凹凸を形成するフィルムテクスチ
ャー法やアルミニウム基板上に凹凸を形成するメカニカ
ルテクスチャー法などでは困難である。
【0004】一方、エッチング処理によりガラス等の無
機材料からなる基板表面に凹凸を形成する技術は過去に
幾つか検討されている。例えば、特開平5−31445
6号公報では、ガラス基板をフッ酸とフッ化カリウムの
混合溶液にてエッチングすることにより凹凸を形成する
技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、これらの従
来技術によれば、形成される平均的な凹凸は本発明者ら
が目標とする平均的な微小凹凸よりもかなり大きい。そ
こで、本発明者らはエッチング条件を再検討することに
より、前記従来技術以外のエッチング条件によって目標
とする微小凹凸の検討を行った。
【0006】しかしながら、本発明者らが微小凹凸をエ
ッチング処理によってガラス基板表面に形成した場合に
は、アスペリティと呼ばれる平均的な凸部の高さよりも
飛び抜けて高い凸部が離散的又は部分的に発生する場合
があった。このようなアスペリティを有する微小凹凸が
表面に形成されたガラス基板を用いて磁気ディスクを作
製した場合、ヘッドクラッシュを引き起こしたり、磁気
ディスクを製造する際の歩留まりが低下する問題を引き
起こす。
【0007】また、同じ組成のガラス基板を同じ条件で
エッチング処理しても、微小凹凸の粗さ及び形状が再現
性よく形成できない場合もあった。このような微小凹凸
の粗さ及び形状の再現性の不安定さは、微小凹凸の粗さ
や形状の揃ったガラス基板を安定して量産することを困
難にする。
【0008】さらに、近年に於いてはCSS方式以外に
ランプロード方式や、コンタクト方式のようなヘッドと
ディスク間のハードディスク装置停止時のヘッドの格納
方法やハードディスク装置駆動時のヘッドとディスクの
接触の有無、また種々のスライダ形状、浮上と走行特性
を有するヘッド等、ヘッド、ディスク及びインタフェー
イスの構成が多様化してきている。
【0009】このことは、磁気ディスクを用いてハード
ディスクを組み立てるメーカーによって各々のヘッド、
ディスク及びインターフェイスの設計が異なるため、必
要とされる磁気ディスク表面の粗さが各々のハードディ
スクの組立メーカーによって微妙に異なってくることを
示唆しているものと考えられる。それ故、基板表面に形
成される微小凹凸は、その粗さを微妙、かつ正確に制御
できることが望ましい。
【0010】この発明は、上記のような従来技術に存在
する問題点に着目してなされたものである。その目的と
するところは、アスペリティのない微小凹凸を安定して
形成することができ、基板を再現性良く作製することが
できるとともに、磁気ディスクを製造する際の歩留まり
を向上させることができる磁気ディスク用基板の作製方
法、その方法により得られた磁気ディスク用基板及び磁
気記録媒体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明の磁気ディスク用基板の作
製方法は、ガラス、結晶化ガラス、セラミックス、アル
ミニウム等の無機材料からなる基板又はその基板上にニ
ッケル−リン(NiP)等の合金膜を予め成膜した基板
に対し、酸性溶液を用いて異なる処理条件下で浸漬処理
又はスクラブ処理を複数回行い、基板表面の平均面粗さ
Raが0.4〜3.0nmで、かつ基板表面の平均面粗
さ(Ra)に対する基板表面の10点平均面粗さ(R
z)の比が14以下である微小凹凸を形成することを特
徴とするものである。
【0012】請求項2に記載の発明の磁気ディスク用基
板の作製方法は、請求項1に記載の発明において、前記
酸性溶液を用いた処理の間又は酸性溶液を用いた処理の
後に、中性溶液又はアルカリ性溶液を用いた処理を行う
ことを特徴とするものである。
【0013】請求項3に記載の発明の磁気ディスク用基
板の作製方法は、請求項1又は請求項2に記載の発明に
おいて、前記無機材料は、50℃の0.1重量%フッ酸
水溶液に2.5分間浸漬処理を行ったときのエッチング
深さが50〜10, 000nmの範囲のガラス基板であ
る。
【0014】請求項4に記載の発明の磁気ディスク用基
板の作製方法は、請求項3に記載の発明において、前記
ガラス基板は、酸化カルシウム(CaO)の含有量が1
0重量%以下で、酸化マグネシウム(MgO)の含有量
が15重量%以下のガラスであるものである。
【0015】請求項5に記載の発明の磁気ディスク用基
板の作製方法は、請求項1から請求項4のいずれかに記
載の発明において、前記微小凹凸を有する基板表面の特
定領域に対し、さらにレーザ光の照射等の処理手段を施
して新たな凹凸を形成するものである。
【0016】請求項6に記載の発明の磁気ディスク用基
板は、請求項5に記載の作製方法により作製されたもの
である。請求項7に記載の発明の磁気記録媒体は、請求
項6に記載の磁気ディスク用基板の表面に、下地層、磁
性層、保護層等の記録媒体用の層を形成したものであ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の実施形態につ
いて詳細に説明する。磁気ディスク用基板は、ガラス、
結晶化ガラス、セラミックス、アルミニウム等の無機材
料からなる基板又はその基板上にニッケル−リン(Ni
P)等の合金膜を予め成膜した基板を酸性溶液を用い
て、異なる処理条件下で浸漬処理又はスクラブ処理を複
数回行うことにより作製される。作製された磁気ディス
ク用基板は、その表面の平均面粗さRaが0.4〜3.
0nmで、かつ基板表面の平均面粗さ(Ra)に対する
基板表面の10点平均面粗さ(Rz)の比が14以下で
ある微小凹凸を有している。
【0018】基板を形成する材料は無機材料であって、
ガラスをはじめガラス以外の結晶化ガラス、セラミック
ス、さらにアルミニウム等の金属が使用される。基板の
表面処理に用いられる酸性溶液としては、例えばフッ
酸、硫酸、硝酸、リン酸、塩酸等の水溶液が挙げられ
る。この酸性溶液による処理は、浸漬処理又はスクラブ
処理である。浸漬処理は基板を所定の条件下で酸性溶液
中に浸漬する方法である。スクラブ処理(又はスクラブ
エッチング)は、基板材料表面を基板材料よりも硬度の
小さいパッドで摩擦しながらエッチングする方法であ
る。
【0019】ところで、固体表面(含む薄膜表面)に於
いては、その最表面層と最表面層よりも深いバルク層と
で、化学的、物理的あるいは機械的に何らかの組成や構
造等が異なることが知られている。一般的には、深さ方
向及び面方向に対して、最表面層は不均一な組成及び構
造を有するのに対し、バルク層では均一な組成及び構造
を有することが多い。
【0020】従って、固体表面をエッチングしたとき
に、同じ薬液を用いてエッチング深さを変えた場合や、
同じ薬液を用いて同一条件でエッチングしても、エッチ
ング条件やエッチングされる固体表面の状態に何らかの
微妙なバラツキがある場合に於いて、新しく生成された
エッチング面の凹凸形状に何らかの差異が発生する。
【0021】前述したようなガラス基板のエッチングに
よるアスペリティの発生や粗さ再現性の不安定性は、エ
ッチング深さが浅い場合に顕著である。その場合、ガラ
ス基板表面に微小凹凸を形成する際にアスペリティが発
生したり、粗さ再現性が不安定になる原因はガラス基板
最表面層付近の組成や構造の不均一性に起因するものと
考えられる。また、前記ガラス基板における組成や構造
の不均一を有すると考えられる最表面層の厚みは、少な
くとも50nm程度の厚みを有するものと考えられる。
【0022】従って、固体表面をエッチングしたとき
に、同じ薬液を用いてエッチング深さを変えた場合や、
同じ薬液を用いて同一条件でエッチングしても、エッチ
ング条件やエッチングされる固体表面の状態に何らかの
微妙なバラツキがある。このため、新しく生成されたエ
ッチング面の凹凸形状がばらついたり、アスペリティが
発生したりする可能性がある。
【0023】一方、固体表面のバルク層のように深さ方
向に対して化学的、物理的あるいは機械的に均一かつ同
一の組成及び構造を有する固体表面であっても、エッチ
ングする際の処理剤の種類が異なったり、同一の処理剤
でも濃度や温度が異なったりすると、固体表面でのエッ
チングメカニズムやエッチングレートが異なってくる場
合がある。また、多くの無機材料に於いては、何らかの
2相ないし多相構造を有することが多い。
【0024】このような複数の相の組成及び構造の差異
や相の大きさのスケールは様々であるが、例えばガラス
ではスピノーダル分解による分相、結晶化ガラスでは結
晶相とガラス相、多結晶からなるセラミックスでは結晶
粒とそれを囲む粒界、合金のような金属では2相以上か
らなる多結晶相の存在などが挙げられる。従って、固体
材料がある酸処理条件に対して、エッチングレートが大
きく異なるような2つないしは複数の相から構成される
ような場合、前記の酸処理条件で固体表面を処理する
と、エッチングレートの差によって固体表面が不均一に
エッチングされるために凹凸が形成されることになる。
【0025】それ故、このような処理剤と固体表面のエ
ッチングメカニズムやエッチングレートの違いと固体材
料そのものが有する2相ないし多相構造を利用すれば異
なる粗さや形状を有する凹凸面が形成できる。
【0026】ガラスを例にとれば、組成が多成分からな
るガラスを酸性溶液にて処理すると、一般的にガラス中
の酸に弱い成分が優先的に溶解しやすい傾向がある。こ
の性質を利用して、ガラスと酸の反応性をガラスの酸に
強い部分と酸に弱い部分の溶解速度の差が大きくなるよ
うに選択すれば、ガラス表面が不均一に溶解するため、
ガラス基板表面に凹凸を形成及び成長させることができ
る。一方、この性質を逆に利用して、ガラスと酸の反応
性をガラスの酸に強い部分と酸に弱い部分の溶解速度の
差が小さくなるように選択すれば、ガラス表面が均一か
つ一様に溶解するために、平坦ないしは非常に小さい微
小凹凸をガラス基板表面に形成させることができる。
【0027】以上に述べてきたように、固体表面と酸の
反応性の違いによる異なったエッチングメカニズムを選
択すれば異なる粗さや形状を有する凹凸面を形成するこ
とができる。
【0028】ここで、前記のように酸処理を少なくとも
2回以上に分割して実施する目的は2つある。第1の目
的は、アスペリティの発生や凹凸粗さの再現性の不安定
化の原因となる基板最表面の不均一な組成及び構造を有
する層を、ほぼ均一かつ一様にエッチングして除去した
り、後述する第2の酸処理工程に於いて凹凸の形成や制
御を容易にするために基板表面に酸処理による変質層を
形成したり、あるいは両者を同時に実施したりすること
にある。このような第1の目的を満たすために、組成、
濃度、温度等の酸処理条件が設定される。
【0029】この酸処理条件としては、一旦平滑に研磨
してRaを1nm以下とした基板をX〜X+Ynm(但
し、X>0、50<Y<10, 000)の範囲にエッチ
ングしたときに、平均面粗さRa値が0.1〜2.6n
mの範囲内で特定の値に収束するような条件であること
が望ましい。これは下記第2の目的において微小凹凸の
形状及び粗さの制御を容易にすることができるからであ
る。
【0030】第2の目的は、凹凸粗さを所望の粗さに制
御するために基板表面を不均一にエッチングすることに
ある。このような第2の目的を満たすために、組成、濃
度、温度等の酸処理条件が設定される。
【0031】この酸処理条件としては、一旦平滑に研磨
してRaを1nm以下とした基板、あるいは第1の目的
を満たす酸処理によって特定のRa値に収束したエッチ
ング面を有する基板を5nm以上エッチングした際の任
意のエッチング深さに於けるRa値が、第2の目的のエ
ッチング前のRa値+0.4nm以上であることが望ま
しい。これは、この発明が目的とするRaが0.4〜3
nmの範囲に於いて所望の粗さを有する微小凹凸を形成
することができるからである。
【0032】上述した第1及び第2の目的を満たす酸処
理に用いられる酸の種類、濃度及び温度は基板の耐酸性
と第1の目的のための酸処理か第2の目的のための酸処
理かによって適切な条件を選択する必要がある。
【0033】第1及び第2の目的を有する酸処理は、第
1の目的を有する酸処理を少なくとも1回実施した後、
第2の目的を有する酸処理を実施することが、形成され
る微小凹凸の形状や粗さを制御する上では最も望ましい
が、前述の逆の順序や、第1と第2の目的を有する酸処
理を交互に複数回組み合わせて実施してもよい。
【0034】ガラス製の基板に対してエッチング作用が
顕著であるフッ酸を用いる場合、その濃度は好ましくは
0.001〜1重量%の範囲である。この場合、第1の
目的のための酸処理のとき、その濃度は0.01〜1重
量%の範囲が望ましく、第2の目的のための酸処理の場
合、0.001〜0.5重量%の範囲が望ましい。特
に、アルミノシリケートガラスをフッ酸によってエッチ
ングする場合には、第1の目的のための酸処理のとき、
その濃度は0.02〜1重量%の範囲が望ましく、第2
の目的のための酸処理の場合、0.005〜0.1重量
%の範囲が望ましい。また、フッ酸に比べてエッチング
作用が小さい硫酸、硝酸、リン酸等を用いる場合には、
フッ酸ほどエッチング作用が顕著でないため、酸濃度は
0.01〜5重量%の範囲で設定される。
【0035】一方、上述したような酸処理条件下にて、
様々な粗さを有する凹凸面を形成するに適したガラス
は、酸処理によって特定成分の選択的溶解が起こりやす
いことが必要である。このような条件を満たすガラスと
しては、耐酸性の指標である50℃に於ける0.1重量
%フッ酸水溶液中に2.5分間浸漬処理時のエッチング
深さが50nm以上10, 000nm以下であることが
望ましい。このエッチング深さが50nm未満では酸処
理によってガラス中の酸に弱い特定成分の選択溶解が起
こりにくくなる。従って、第2の目的を有する酸処理を
実施しても、この発明が目的とする粗さの範囲内で凹凸
を形成し、成長させることが難しくなる。一方、10,
000nmを越える酸処理によってガラス中の酸に弱い
特定成分の選択的溶解が非常に容易に起こりやすくな
る。従って、第1の目的を有する酸処理を実施しても、
この発明が目的とする平坦な面あるいは微小な凹凸面が
得られなかったり、第2の目的を有する酸処理を実施し
てもこの発明が目的とする粗さの範囲内で凹凸を形成
し、制御することが難しくなる。
【0036】前記のようなエッチングレートが50nm
以上の一般的なガラスの化学成分としては、ガラスを構
成する主成分であるSiO2 、R2 O(R=Li、N
a、K)、MO(M=Mg、Ca、Sr等の2価の金属
イオン)の成分を重量分率で示してSiO2 が40〜7
5重量%、R2 O(R=Li、Na、K)が5〜25重
量%、MO(M=Mg、Ca、Sr等の2価の金属イオ
ン)が0〜35重量%であることが望ましく、前記の主
成分以外に必要に応じてその他の成分が含まれていても
よい。
【0037】なお、前述の成分を有するガラス基板表面
に微小凹凸を形成する際にフッ酸ないしはフッ酸を含む
多成分からなる酸性溶液を用いる場合、前述の溶液中に
難溶性又は不溶性の異物が析出し、ガラス基板の表面を
汚染する場合がある。このような異物の発生はグライド
エラー等の原因となるため、望ましくない。従って、フ
ッ酸と反応した際に溶解度の非常に小さいフッ化物を形
成しやすいCaOやMgOのようなガラス中の成分は少
ない方がよい。それ故、前述した成分を有するガラスを
フッ酸を含む酸で処理することを前提とする場合、Ca
Oは10重量%以下、MgOは15重量%以下であるこ
とが望ましい。
【0038】さらに、アルミノシリケートガラスを用い
る場合には、下記に示す組成(重量%)が好ましい。こ
の組成のアルミノシリケートガラスを、以下アルミノシ
リケートガラス(1)という。
【0039】 二酸化ケイ素(SiO2 ) 58〜70%、 酸化アルミニウム(Al2 3 ) 9〜22%、 酸化リチウム(Li2 O) 2〜10%、 酸化ナトリウム(Na2 O) 4〜13%、 酸化カリウム(K2 O) 0〜 5%、 酸化マグネシウム(MgO) 0〜 4%、 酸化カルシウム(CaO) 0〜 7%、 酸化ストロンチウム(SrO) 0〜 2%、 酸化バリウム(BaO) 0〜 2%、 二酸化チタン(TiO2 ) 0〜 2%、 酸化セリウム(CeO2 ) 0〜 2%、 酸化鉄(Fe2 3 ) 0〜 2%、 二酸化マンガン(MnO) 0〜 1%、 二酸化ジルコニウム(ZrO2 ) 0〜 7% このようなアルミノシリケートガラスは、例えばフロー
ト法によって製造される。このフロート法は溶融スズを
収容し、上部空間を還元性雰囲気とした高温のバス中
へ、一端から溶融ガラスを流入し、他端からガラスを引
き延ばして板状のガラスを製造する方法である。フロー
ト法により得られたガラスは、溶融温度が低く、化学強
化処理後の耐水性や耐候性が良好で、しかも金属製品と
組合せて使用可能な膨張係数を有している。
【0040】前述したような組成を有するガラス基板及
びアルミノシリケートガラス基板は、その表面がカリウ
ム、ナトリウム又はその両者を含む溶融塩中でイオン交
換することによって、表面に圧縮応力を発生させて化学
強化処理を施したものであってもよい。化学強化処理を
施すことにより基板表面に形成される微小凹凸の耐久性
を向上させることができる。また、そのような化学強化
処理が施されていなくてもよい。さらに、化学強化処理
が施されていない基板を前述の方法によって微小凹凸を
形成後に化学強化処理を施してもよい。
【0041】酸処理される直前の基板は、基板を構成す
る材料を問わず、Raが1nm以下となるように平滑に
研磨されている方が、酸処理によって微小凹凸を形成す
る際に、酸処理前の基板表面の凹凸履歴が影響しにくく
なるため、形成する微小凹凸の粗さや形状制御が容易に
なるので望ましい。しかしながら、酸処理前の基板のR
aが1nm以上であっても、エッチング深さを大きくす
れば、酸処理前の基板表面の凹凸履歴を小さくすること
ができるため、酸処理前の基板表面のRaが1nm以上
の粗面を有していてもよい。
【0042】次に、前記の複数回の各々の酸処理工程の
間及び最終酸処理工程の後には、中性やアルカリ性の溶
液にて浸漬洗浄やスクラブ洗浄する工程が複数回含まれ
てもよい。これは、酸処理工程で基板表面に析出した反
応生成物やその他の汚れ、異物の除去、酸処理工程で基
板の最表面層に生成したバルク層とは異なる変質層の除
去、あるいはa回目の酸処理工程によって基板表面に付
着したままの酸溶液がa回目の酸溶液と異なる組成や濃
度を有するa+1回目の酸処理工程に持ち込まれてa+
1回目の酸溶液がa回目の酸溶液で汚染されるのを防ぐ
ためである(但し、aは1以上の整数)。
【0043】なお、基板材料がガラス又は結晶化ガラス
である場合、最終回目の酸処理工程の後に少なくとも1
回以上、アルカリ性の溶液にて浸漬洗浄あるいはスクラ
ブ洗浄することが望ましい。
【0044】このアルカリ処理の目的は、酸処理によっ
てガラス基板又は結晶化ガラス基板表面に残存するリー
チング層(ガラス中のガラス骨格成分を保持したまま、
酸に溶解しやすい成分が選択的に溶出した層)を除去す
ることにある。このようなアルカリ処理によって、酸処
理した基板及び前記基板を用いて作製した磁気ディスク
の耐候性が劣化することを防止することができる。すな
わち、時間の経過と共にガラス基板又は結晶化ガラス基
板表面や磁気ディスクの表面上にアルカリ金属塩からな
る異物の析出防止や、ガラス基板又は結晶化ガラス基板
上に成膜される多層膜中へのアルカリ金属の拡散を抑え
ることができる。このような処理を施すことにより、微
小凹凸を形成したガラス基板又は結晶化ガラス基板及び
そのガラス基板又は結晶化ガラス基板を用いて作製した
磁気ディスクの表面にグライドエラー等の原因となるア
ルカリ金属の炭酸塩等からなるアスペリティや異物の発
生を抑えることができる。
【0045】上述したような中性やアルカリ性の溶液は
特に限定されないが、例えば市販されている中性洗剤や
アルカリ洗剤から選ぶことができる。そのような洗剤は
アルカリ性の場合には、アルカリ成分、界面活性剤及び
キレート剤を主成分とし、中性の場合には界面活性剤及
びキレート剤を主成分とする水溶液が用いられる。
【0046】アルカリ成分としては、例えば水酸化ナト
リウム(苛性ソーダ)、水酸化カリウム(苛性カリ)、
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、炭酸ナ
トリウム、炭酸カリウム等が用いられる。
【0047】界面活性剤としては、例えばポリオキシエ
チレンアルキルエーテルのほかポリオキシエチレン誘導
体のような非イオン界面活性剤、ラウリルトリメチルア
ンモニウムクロライドのような第4級アンモニウム塩、
硬化牛脂アミンのような高級アミンハロゲン酸塩、塩化
ドデシルピリジウム等の陽イオン界面活性剤、アルキル
硫酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、、アルキ
ルアリールスルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤、ラウ
リルアミノプロピオン酸ナトリウムのようなアミノ酸塩
等の両性界面活性剤が用いられる。
【0048】キレート剤としては、例えばジメチルグリ
オキシム、ジチゾン、オキシン、アセチルアセトン、グ
リシン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ四酢酸等が
用いられる。
【0049】アルカリ成分、界面活性剤及びキレート剤
の濃度は特に限定されないが、例えばアルカリ成分0.
001〜5重量%、界面活性剤0.001〜1重量%及
びキレート剤0.001〜1重量%で用いられる。
【0050】上記のようにして表面にアスペリティの無
い微小凹凸が形成された基板の特定領域に対し、さらに
レーザ光の照射等の処理手段を施すことによって新たな
凹凸を形成することができる。レーザ光としては、YA
Gレーザをそのままの波長で、又は2分の1や4分の1
の波長に波長変換して得られたものが、容易に大出力が
得られ、装置が比較的安価であることから望ましい。
【0051】また、基板を構成するガラスとしては、レ
ーザ光の波長266nmにおけるガラスの光の吸収係数
が20〜2000mm-1の範囲のものが新たな凹凸を精
度良く形成することができることから好ましい。レーザ
光の照射によって形成される凸部は平面円形状のもので
ほぼ規則的に配置される。この凸部は、例えば高さが5
〜100nm、直径が1〜20μm、間隔が1〜100
μmの範囲である。
【0052】次に、上記のようにして得られたガラス基
板等の基板表面に、例えばスパッタリングによって下地
層、磁性層、保護層等が順に形成され、磁気記録媒体が
作製される。具体的には、下地層としてはクロム(C
r)−モリブデン(Mo)の層、磁性層としてはコバル
ト(Co)−白金(Pt)−クロム(Cr)−タンタル
(Ta)の層、保護層としては炭素(C)の層等が挙げ
られる。さらに、その上に潤滑剤としてパーフルオロポ
リエーテル系のものによる潤滑層を形成してもよい。
【0053】以上のような実施形態によれば、次のよう
な効果が発揮される。 ・ 酸性溶液を用いて、異なる処理条件下で浸漬処理又
はスクラブ処理を複数回行うことにより、基板表面の平
均面粗さRaが0.4〜3.0nmで、かつ基板表面の
平均面粗さ(Ra)に対する基板表面の10点平均面粗
さ(Rz)の比が14以下でアスペリティのない微小凹
凸を安定して形成することができる。しかも、そのよう
な基板を再現性良く作製することができる。
【0054】・ また、上記のような酸性溶液を用いた
処理を行って得られた基板を使用して磁気ディスクを作
製すれば、グライドエラーがなく、歩留まりも向上させ
ることができる。
【0055】・ さらに、基板の微小凹凸の粗さを微妙
かつ正確に制御できるため、近年多様化しつつあるヘッ
ド・ディスク・インターフェイスの設計仕様の違いに応
じて、様々な粗さの微小凹凸を有する磁気ディスクない
しは磁気ディスク用の基板を作製することができる。
【0056】・ 中性溶液又はアルカリ性溶液を用いた
処理を併用することによって、酸処理工程で基板表面に
析出した反応生成物やその他の汚れ、異物の除去、さら
には基板の最表面層に生成したバルク層とは異なる変質
層の除去、あるいは基板表面が酸溶液で汚染されるのを
防止することができる。
【0057】・ 無機材料として50℃の0.1重量%
のフッ酸水溶液に2.5分間浸漬処理を行ったときのエ
ッチング深さが50nm以上10,000nm以下のエ
ッチング深さを有するガラス基板を使用することによ
り、酸処理に基づいて様々な粗さを有する凹凸面を形成
することができる。
【0058】・ ガラス基板として酸化カルシウム(C
aO)の含有量が10重量%以下で酸化マグネシウム
(MgO)の含有量が15重量%以下のガラスを使用す
れば、難溶性又は不溶性の異物の析出を抑制し、ガラス
基板表面の汚染を防止して、グライドエラー等が発生す
るのを回避することができる。
【0059】・ 前記の微小凹凸を有する基板表面の特
定領域に対し、さらにレーザ光の照射等の処理手段を施
して新たな凹凸を形成することによって、前記微小凹凸
の粗さの範囲に限定されないより大きな凹凸を形成する
ことができる。
【0060】・ 前記のような作製方法により表面に所
望の凹凸を有する磁気ディスク用基板を作製することが
でき、その表面に下地層、磁性層、保護層等の記録媒体
用の層を形成することによりハードディスク等として有
用な磁気記録媒体とすることができる。
【0061】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げ、前記実施形
態をさらに具体的に説明する。なお、この発明はそれら
の実施例に限定されるものではない。 (実施例1) <プロセスA>前述したアルミノシリケートガラス
(1)製の基板を化学強化した2.5インチのガラス基
板を用いた。そして、ガラス基板表面を精密研磨し、そ
の表面のRaを0.3〜0.6nmとした後、純水を用
いてスクラブ洗浄した。 <プロセスB>次に、0.1重量%で50℃のフッ酸
(HF)水溶液中に2.5分間、ガラス基板を揺動しな
がら浸漬した後、温純水でリンスして薬液を除去した。 <プロセスC>続いて、0.03重量%で50℃のフッ
酸水溶液中に20分間、ガラス基板を揺動しながら浸漬
した後、温純水でリンスして薬液を除去した。 <プロセスD>その後、pH11に調整した水酸化カリ
ウム水溶液中にて30秒間、超音波を照射しながら浸漬
洗浄し、続いてスクラブ洗浄を行った。次に、再度pH
11に調整した水酸化カリウム水溶液中にて160秒
間、超音波を照射しながら浸漬洗浄した。次いで、純水
浴に浸漬してリンスする操作を数回繰り返し、次にイソ
プロピルアルコールの浴に超音波を照射しながらガラス
基板を浸漬洗浄し、最後にイソプロピルアルコール蒸気
中で1分間乾燥させ、実施例1の試料とした。 (実施例2)実施例1と同様にプロセスA及びBを実施
した。次に、0.03重量%で50℃のフッ酸水溶液中
に40分間、ガラス基板を揺動しながら浸漬した後、温
純水でリンスして薬液を除去した。その後、実施例1と
同様にプロセスDを実施した。この試験を3回繰り返し
(#1、#2、#3)、平均値及び標準偏差を求めた。
これを実施例2の試料とした。 (実施例3)実施例1と同様にプロセスA及びBを実施
した。次に、0.01重量%で50℃のフッ酸水溶液中
に30分間、基板を浸漬した後、温純水でリンスして薬
液を除去した。
【0062】その後、0.1Nの水酸化カリウム水溶液
中にて、2.5分間浸漬洗浄し、続いて温純水、純水に
てリンスした。次に、イソプロピルアルコール中にて超
音波を照射しながら浸漬洗浄し、最後にイソプロピルア
ルコール蒸気中にて1分間乾燥させ、実施例3の試料と
した。 (実施例4)前述したアルミノシリケートガラス(1)
製の2.5インチガラス基板を用いた。なお、このガラ
ス基板は化学強化されていない。そして、ガラス基板の
表面を精密研磨し、その表面のRaを0.3〜0.6n
mとした後、純水を用いてスクラブ洗浄した。
【0063】次に、実施例1のプロセスBと同様の酸処
理を実施した。その後、0.03重量%で50℃のフッ
酸水溶液中に30分間、ガラス基板を浸漬した後、温純
水でリンスして薬液を除去した。その後の水酸化カリウ
ム水溶液中での洗浄は実施例3と同様に実施し、これを
実施例4とした。 (比較例1)実施例1と同様にしてプロセスA及びBを
実施した。その後、プロセスCは実施せずに、プロセス
Dを実施した。 (比較例2)実施例1と同様にしてプロセスAを実施し
た。次に、0.01重量%で50℃のフッ酸水溶液中に
0.3分間、ガラス基板を揺動しながら浸漬した後、温
純水でリンスして薬液を除去した。その後プロセスCは
実施せずに、プロセスDを実施した。 (比較例3)実施例1と同様にしてプロセスAを実施し
た。次に、0.01重量%で50℃のフッ酸水溶液中に
30分間、ガラス基板を浸漬した後、温純水でリンスし
て薬液を除去した。その後の水酸化カリウム水溶液中で
の洗浄は実施例3と同様に実施し、これを比較例3とし
た。 (比較例4)実施例1と同様にしてプロセスAを実施し
た。次に、0.005重量%で50℃のフッ酸水溶液中
に2.5分間、ガラス基板を揺動しながら浸漬した後、
温純水でリンスして薬液を除去し、さらにスクラブ洗浄
を行った。その後、実施例1と同様にプロセスDを実施
した。この試験を3回繰り返し(#1、#2、#3)、
平均値及び標準偏差を求めた。これを比較例4とした。 (微小凹凸形状の評価)上記実施例1〜4及び比較例1
〜4を、走査プローブ型顕微鏡(デジタル・インスツル
メント社製、ナノスコープIII )にて10μm×10μ
mの視野で観察し、平均面粗さRa及び10点平均面粗
さを平均面粗さで割った値であるアスペリティレシオ
(Rz/Ra)を求め、表1及び表2にまとめた。な
お、測定した全てのサンプルの微小凹凸は等方的かつ凹
部又は凸部の間に実質的に平坦な部分を有さない連続的
な凹凸形状を有していた。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】 表1及び表2に示したように、実施例1〜4ではいずれ
もアスペリティレシオ(Rz/Ra)が10前後と小さ
く、かつ様々なRa値を有するガラス基板を作製するこ
とができた。
【0066】これに対し、比較例1ではRa値は小さい
が、アスペリティレシオは14よりも若干大きくなっ
た。比較例2では比較例1と同様にRa値は小さいが、
アスペリティレシオは19. 4で、比較例1よりも大き
くなった。また、原子間力顕微鏡(AFM)の鳥瞰図か
らも明らかにアスペリティが離散的に存在しているのが
確認された。このようなアスペリティの発生は、比較例
1に比べて比較例2の方がエッチング深さが浅く、ガラ
ス基板の最表面の不均一な組成及び構造を有する変質層
が十分に除去できなかったためと考えられる。
【0067】比較例3では、ガラス基板表面が不均一に
エッチングされるため凹凸が成長してRa値が大きくな
っているが、アスペリティレシオは15. 5で14を越
えていた。
【0068】比較例4では、Ra値は1.5〜2.2で
あるが、アスペリティレシオは15〜18程度で14を
越えていた。なお、前記実施形態を次のように変更して
構成してもよい。
【0069】・ 前記中性溶液又はアルカリ性溶液によ
る処理を、スクラブ処理によって行ってもよい。この方
法によれば、中性溶液又はアルカリ性溶液による洗浄処
理を確実に行うことができる。
【0070】・ 前記酸性溶液による複数回の処理を、
浸漬処理とスクラブ処理とを組合せて行ってもよい。さ
らに、前記実施形態より把握される技術的思想について
以下に記載する。
【0071】・ 前記基板はガラスであり、酸性溶液は
フッ酸の溶液であり、かつフッ酸の濃度が0.01〜1
重量%の酸性溶液を用いて浸漬処理又はスクラブ処理を
行った後に、フッ酸の濃度が0.001〜0.5重量%
の酸性溶液を用いて浸漬処理又はスクラブ処理を行うこ
とを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載
の磁気ディスク用基板の作製方法。
【0072】この方法によれば、基板表面に形成される
微小凹凸の形状や粗さを好適に制御することができる。 ・ 前記酸性溶液を用いて浸漬処理又はスクラブ処理を
行う前における基板の平均面粗さ(Ra)は1nm以下
である請求項1から請求項5のいずれかに記載の磁気デ
ィスク用基板の作製方法。
【0073】このように構成した場合、処理前の基板表
面の凹凸履歴が影響しにくく、微小凹凸の形状や粗さの
制御を容易にすることができる。 ・ 前記中性溶液又はアルカリ性溶液は、界面活性剤及
びキレート剤を主成分とする水溶液である請求項2から
請求項5のいずれかに記載の磁気ディスク用基板の作製
方法。
【0074】このように構成した場合、酸性溶液による
処理後に基板表面に析出した反応生成物や異物等を効果
的に除去することができる。
【0075】
【発明の効果】この発明は以上のように構成されている
ため、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発明
の磁気ディスク用基板の作製方法によれば、アスペリテ
ィのない微小凹凸を形成することができ、基板を再現性
良く作製することができるとともに、磁気ディスクを製
造する際の歩留まりを向上させることができる。
【0076】請求項2に記載の発明の磁気ディスク用基
板の作製方法によれば、中性溶液又はアルカリ性溶液を
用いた処理が行われる。このため、請求項1に記載の発
明の効果に加え、酸処理工程で基板表面に析出した反応
生成物やその他の汚れ、異物の除去、さらには基板の最
表面層に生成したバルク層とは異なる変質層の除去、あ
るいは基板表面が酸溶液で汚染されるのを防止すること
ができる。
【0077】請求項3に記載の発明の磁気ディスク用基
板の作製方法によれば、請求項1又は請求項2に記載の
発明の効果に加え、無機材料として50℃の0.1重量
%のフッ酸水溶液に2.5分間浸漬処理を行ったときの
エッチング深さが50〜10,000nmのエッチング
深さを有するガラス基板を使用することにより、酸処理
に基づいて様々な粗さを有する凹凸面を形成することが
できる。
【0078】請求項4に記載の発明の磁気ディスク用基
板の作製方法によれば、ガラス基板として酸化カルシウ
ム(CaO)の含有量が10重量%以下で酸化マグネシ
ウム(MgO)の含有量が15重量%以下のガラスが使
用される。このため、請求項3に記載の発明の効果に加
え、難溶性又は不溶性の異物の析出を抑制し、ガラス基
板表面の汚染を防止して、グライドエラー等が発生する
のを回避することができる。
【0079】請求項5に記載の発明の磁気ディスク用基
板の作製方法によれば、前記微小凹凸を有する基板表面
の特定領域に対し、さらにレーザ光の照射等の処理手段
を施して新たな凹凸が形成される。このため、請求項1
から請求項4に記載のいずれかの発明の効果に加え、前
記微小凹凸の粗さの範囲に限定されないより大きな凹凸
を形成することができる。
【0080】請求項6に記載の発明の磁気ディスク用基
板によれば、請求項5に記載の作製方法により表面に所
望の凹凸を有する磁気ディスク用基板を作製することが
できる。
【0081】請求項7に記載の発明の磁気記録媒体によ
れば、請求項6に記載の磁気ディスク用基板の表面に、
下地層、磁性層、保護層等の記録媒体用の層を形成する
ことにより、ハードディスク等として有用な磁気記録媒
体とすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G059 AA08 AA09 AC01 BB04 BB14 4K057 WA05 WB03 WB05 WB11 WB15 WC03 WD10 WE02 WE03 WE04 WE07 WE08 WG03 WK10 WN01 5D006 CB04 CB07 DA03 DA04 5D112 AA02 AA24 BA03 BA09 GA09 GA28 5F043 AA40 BB27 BB30 DD02 DD12

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス、結晶化ガラス、セラミックス、
    アルミニウム等の無機材料からなる基板又はその基板上
    にニッケル−リン(NiP)等の合金膜を予め成膜した
    基板に対し、酸性溶液を用いて異なる処理条件下で浸漬
    処理又はスクラブ処理を複数回行い、基板表面の平均面
    粗さRaが0.4〜3.0nmで、かつ基板表面の平均
    面粗さ(Ra)に対する基板表面の10点平均面粗さ
    (Rz)の比が14以下である微小凹凸を形成すること
    を特徴とする磁気ディスク用基板の作製方法。
  2. 【請求項2】 前記酸性溶液を用いた処理の間又は酸性
    溶液を用いた処理の後に、中性溶液又はアルカリ性溶液
    を用いた処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の
    磁気ディスク用基板の作製方法。
  3. 【請求項3】 前記無機材料は、50℃の0.1重量%
    フッ酸水溶液に2.5分間浸漬処理を行ったときのエッ
    チング深さが50〜10, 000nmの範囲のガラス基
    板である請求項1又は請求項2に記載の磁気ディスク用
    基板の作製方法。
  4. 【請求項4】 前記ガラス基板は、酸化カルシウム(C
    aO)の含有量が10重量%以下で、酸化マグネシウム
    (MgO)の含有量が15重量%以下のガラスである請
    求項3に記載の磁気ディスク用基板の作製方法。
  5. 【請求項5】 前記微小凹凸を有する基板表面の特定領
    域に対し、さらにレーザ光の照射等の処理手段を施して
    新たな凹凸を形成する請求項1から請求項4のいずれか
    に記載の磁気ディスク用基板の作製方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の作製方法により作製さ
    れた磁気ディスク用基板。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の磁気ディスク用基板の
    表面に、下地層、磁性層、保護層等の記録媒体用の層を
    形成した磁気記録媒体。
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