JP2000290781A - 金属摺動部品用表面処理液及び金属摺動部品用表面処理方法 - Google Patents

金属摺動部品用表面処理液及び金属摺動部品用表面処理方法

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JP2000290781A
JP2000290781A JP11100704A JP10070499A JP2000290781A JP 2000290781 A JP2000290781 A JP 2000290781A JP 11100704 A JP11100704 A JP 11100704A JP 10070499 A JP10070499 A JP 10070499A JP 2000290781 A JP2000290781 A JP 2000290781A
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sodium
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sliding component
metal
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Norio Seki
憲生 関
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SAAFEISUTEKKUSU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属合金鋼の摺動部品に初期なじみ性、耐摩
耗性、耐焼付性、潤滑性及び密着性に優れた非晶質系の
化成膜を形成する表面処理液及び表面処理法を提供する
こと。 【解決手段】 金属摺動部品表面にリン酸タングステ
ン、2価の金属類を主基材として、塩素酸ナトリウム、
次亜塩素酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウムを主酸化剤
とする。又酸化補助剤として硝酸ナトリウム、硝酸ニッ
ケル、亜硝酸ナトリウム、ブロム酸ナトリウムを含有す
る。また、必要に応じてはモリブデン酸イオン、フッ化
物イオン、銅イオンを含有する表面処理液に接触させ非
晶質系の化成被膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属摺動部品の表
面処理液及び表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属摺動部品は、鉄、ステンレススチー
ル、アルミ合金鋼、銅合金鋼等などにより加工されて形
成され、摺動性を向上するように表面処理がなされてい
るものがあった。例えば、自動車エンジン用のバルブシ
ムや軸受け部等の金属摺動部品表面には、耐スカッフィ
ング性を向上させるために、従来よりリン酸マンガン系
などの結晶性の化成皮膜により被覆されているものがあ
った。この、金属摺動部品表面上における結晶性の化成
皮膜は、耐防触性や、初期なじみ性の点では有効であっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例え
ば、従来の金属摺動部品表面上における結晶性皮膜、例
えば、特殊鋼等摺動部品表面の化成被膜は、被膜厚み5
μm〜12μmのリン酸マンガン系の被膜では、表面粗
さがRz値2.5μm〜2.8μmと大きく、そのため摩
擦抵抗が大きく高負荷重時において焼付き性や耐摩耗性
に問題があった。
【0004】また、リン酸マンガン系被膜では溶解性鉄
分の上昇が大きく亜硝酸ナトリウム等の酸化促進剤によ
って不溶解性の鉄分となってスラッジが生じ、金属摺動
部品表面に余分な白い粉として付着させることとなり、
薬液コントロールが容易でなく、また薬剤の寿命が短く
なるためコスト面でも有利ではないという問題があっ
た。
【0005】さらに、金属摺動部品の表面の摩擦抵抗を
減少させるために金属摺動部品の素材表面の表面粗さを
Rz値0.4μm〜0.6μm程度まで減少させ、非晶質
系のリン酸鉄系のニッケル、モリブデン等を含む厚み
0.8μm〜1.2μmの複合酸化被膜を採用し、表面粗
さがRz値0.6μm〜0.8μm程度の化成皮膜が得ら
れるようになったが、この化成被膜によっても、金属摺
動部品に対して優れた耐摩擦性、耐摩耗性、潤滑性を有
する化成皮膜としては十分な平滑性ではなかったという
問題があった。
【0006】この発明は上記課題を解決するものであ
り、金属摺動部品の表面粗さを粗くすることなく容易且
つ安価に金属摺動面の初期なじみ性、潤滑性、耐摩耗性
のよい被膜の化成が可能な表面処理液及びそれを用いる
処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】本発明者は、上記課題を解決するため、金
属摺動部品表面の表面粗さをRa値0.01μm〜0.0
3μm程度まで小さくし、表面を粗すことなく表面粗さ
がRa値0.01μm〜0.03μm程度の化成被膜を形
成するべく種々の組成の化成処理液を調製し、耐摩擦
性、耐摩耗性、耐焼付き性が良好で処理被膜の摺動性能
の高い化成被膜形成の金属摺動部品用表面処理液及び処
理方法を検討した。なお、表面粗さの測定には、株式会
社ミツトヨ製表面粗さ測定機サーフテストSV402を
使用した(以下の測定において同じ)。
【0008】従来からのリン酸マンガン系の化成皮膜で
は防錆性などに優れるが、金属摺動部品の表面皮膜にお
いては、皮膜厚さを厚くすると表面粗さが粗くなりスカ
ッフィング性や摩擦性を悪化させると発明者は考えた。
ここでスカッフィングとは、相対滑り運動部分において
各種要因により局部的に固体接触状態となり摩擦熱の発
生により溶着、固着しその部分がむしり取られる現象を
いう。そこで、発明者は、金属摺動部品表面の表面粗さ
がRa値0.01μm〜0.03μm、Rz値0.1μm
〜0.3μm程度に小さい金属摺動部品表面に、リン酸
モリブデン系の皮膜処理液によって処理をしてみたが、
この場合、皮膜外観(色彩)についても安定化に乏し
く、鉄分が上昇しスラッジの析出量も多く、又表面粗さ
もRa値0.05μm〜0.08μmに上昇したため、課
題は解決できなかった。さらに、酸化剤として塩素酸ナ
トリウムを添加し、処理時間を短縮してリン酸モリブデ
ンによる膜厚の薄い化成被膜を試みたが、被膜の安定性
に欠け十分な結果が得られなかった。
【0009】そこで、発明者は、従来の金属表面をリン
酸等によりエッチングをしてここに金属の結晶からなる
被膜を形成する方法によれば、膜厚が厚く化成皮膜の表
面粗さも粗くなると考え、従来にはなかった発想で、膜
厚が薄く且つ安定した膜が形成できるように種々の手段
を実験し、以下の発明をもって上記課題を解決すること
に成功した。以下、本発明を説明する。
【0010】最初の発明は、第1リン酸タングステンか
らなるタングステン金属の溶液を主体とし、主酸化剤と
して塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、過塩素
酸ナトリウムの少なくとも一つを含む塩素酸塩類を含有
させた金属摺動部品用表面処理液及びこの金属摺動部品
用表面処理液を用いた処理方法である。
【0011】本発明は、従来のマンガン系やモリブデン
系の金属塩を排除し代替薬剤として第1リン酸タングス
テンからなるタングステン金属の溶液を主体とすること
で、マンガン系やモリブデン系の金属塩等を主体とする
ことによるスカッフィング性の低下などの不都合を排除
するものである。
【0012】ここで、第1リン酸タングステンは、処理
液の溶質中に5重量%以上含むものがよく、望ましく
は、41重量%乃至51重量%、特に望ましくは46重
量%程度含むものである。また、他の2価の金属である
モリブデン、ブロム、ニッケル、銅等の他の2価の金属
塩を含まないか、含んだ場合でも、第1リン酸タングス
テンを越えない範囲で10重量%以下、特にモリブデン
酸ナトリウム、モリブデン酸アンモニウム、ブロム酸ナ
トリウム、硝酸ニッケルでは溶質の10重量%以下、硫
酸銅では溶質の5重量%以下であることが望ましい。こ
のように、第1リン酸タングステン以外の金属塩を制限
することで、タングステン系の被膜が安定して被膜形成
される。
【0013】また、塩素酸ナトリウムであれば、処理液
中0.003重量%〜0.9重量%程度含むものが望まし
く、さらに望ましくは処理液中0.015重量%〜0.0
6重量%程度含むものが望ましい。尚、次亜塩素酸ナト
リウム又は過塩素酸ナトリウムを用いた場合は、塩素酸
ナトリウムに準じて、その酸化力から換算した量に調整
して用いる。
【0014】この金属摺動部品用表面処理液を用いて例
えば建浴処理をすることで、塩素酸塩の強力な酸化力の
ため短時間で処理が行われ、その結果金属表面が過剰に
エッチングされて溶解性鉄分が上昇することを抑止する
とともに、表面を粗くすることがない。 また、スラッ
ジの発生も少なく、表面の外観を損ねることもない。さ
らに、非晶質の皮膜が形成されることから、極めて薄く
緻密な皮膜が形成される。そして、耐熱性が300℃か
ら480℃になり、摩擦係数も0.05〜0.09にな
る。
【0015】その結果、安定した皮膜外観を持ち、化成
被膜形成時間に従来10分程度かかっていたのが40〜
60秒に極端に短縮し、化成皮膜を金属摺動部品表面上
に極端に薄く、例えば、被膜が形成される金属摺動部品
の表面粗さがRa値0.02μm〜0.03μmであれ
ば、この表面粗さを粗くすることなく、皮膜の表面粗さ
がRa値0.02μm〜0.03μmである緻密な非晶質
の平滑な皮膜を形成することに成功した。特に、耐熱性
が向上し且つ、摩擦係数が下がることで耐スカッフィン
グ性が著しく高まっており、タッチオイリングなしの無
潤滑の状態でも極めて高い耐スカッフィング性を示す。
また、摩擦係数が下がることで、焼き付き性や耐摩耗性
についても良好な結果となり、さらに摺動抵抗が下がる
ことで、省エネルギの面からも摺動部品として好ましい
ものとなった。その上、長期間に亘って使用した場合
に、化成皮膜が摩耗して金属摺動部品の表面が現れて
も、化成皮膜を形成するときのエッチングにより表面粗
さが粗くなっているようなことがなく、金属摺動部品の
表面が現れた場合でも急激に摩擦係数が上昇するような
こともなくなる。
【0016】しかも、塩素酸ナトリウム等の強力な酸化
力により溶解性鉄を瞬時に不溶性の鉄に変換するため、
溶解性鉄分の発生を抑止しつつ皮膜形成を完結する。そ
のため、処理液の劣化は殆どなく処理液の寿命を約3ヶ
月から12ヶ月と著しく延命させることができた。
【0017】次の発明は、前処理としての化成皮膜処理
工程前の脱脂工程において、リン酸チタンを脱脂処理液
に混入することで、脱脂工程においてリン酸チタンの極
めて薄い膜を形成し、上記方法にて化成処理を施す処理
方法でである。この処理方法により処理したところ、金
属摺動部品表面のリン酸チタンの膜により化成皮膜処理
におけるエッチング反応を弱くし、金属摺動部品表面の
表面粗さを粗くすることがなくなった。
【0018】なお、脱脂工程後に、水洗後単独の工程と
して表面調整工程を行い、このときにリン酸チタンを用
いてリン酸チタンの膜を形成して、さらに水洗してもよ
いが、上記のように脱脂工程で合わせておこなうこと
で、表面調整工程と水洗工程の合わせて2工程が省略で
き、生産効率がよい。
【0019】リン酸チタンの膜を形成することで、金属
摺動部品表面の水濡性が大きく改善され、かつ、表面の
リン酸チタンを核として化成皮膜の形成が進行するた
め、量産設備において適用しても、皮膜化成時間が8〜
15分掛かっていたのが、2〜3分と著しく短縮され
た。
【0020】また、その上被膜の安定性も向上し皮膜外
観も改善され、金属表面の皮膜表面粗さがRa値0.0
3〜0.04μmに、皮膜剥離後の表面粗さもRa値0.
04μm〜0.06μmと改善された。
【0021】さらに次の発明は、上述のリン酸タングス
テンを主体とする金属摺動部品表面処理液に酸化補助剤
として、ブロム酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸
ナトリウム、硝酸ニッケル、若しくは硝酸銅のうちの少
なくとも1つを含有するようにして調製した金属摺動部
品用表面処理液及びこの金属摺動部品用表面処理液を用
いた処理方法である。
【0022】この金属摺動部品用表面処理液を用いた処
理方法によれば、化成皮膜が迅速に形成された。これ
は、主酸化剤である塩素酸塩は強力な酸化剤であるが、
遊離した塩素イオンが還元剤として働く緩衝作用が生じ
酸化力が低下することがあり、この緩衝作用からくる処
理の進行の停滞を、これらの酸化補助剤により酸化力を
低下させることなく処理を進行させることができるため
である。
【0023】そのため、迅速に処理を進行させることが
でき、過度のエッチングにより金属摺動部品表面の表面
粗さを粗くすることなく平滑な表面を得られるととも
に、溶解性鉄を瞬時に不溶性の鉄に変換するため、溶解
性鉄分の発生を抑止することができた。
【0024】また、次の発明は、前述の金属摺動部品用
表面処理液に珪フッ化水素酸、珪フッ化亜鉛、フッ化水
素酸、硼フッ化亜鉛のうちの少なくとも1つをさらに含
有させた金属摺動部品用表面処理液である。
【0025】Al,Zn,Ti合金鋼に対しては、リン
酸及び塩素酸ナトリウムなどによってはエッチング反応
が生じないが、この金属摺動部品用表面処理液では珪フ
ッ化水素酸、珪フッ化亜鉛、フッ化水素酸、硼フッ化亜
鉛を配合することでフッ化物イオンの介在により有効に
エッチングが行われるため、これらの合金鋼に対しても
非晶質系の薄い化成被膜を形成することができる。この
珪フッ化水素酸、珪フッ化亜鉛、フッ化水素酸、硼フッ
化亜鉛は、例えば前述の金属摺動部品用表面処理液の
0.1(重量%)程度添加される。
【0026】また、次の発明は、金属摺動部品の表面に
化成被膜を形成する工程の後に、金属摺動部品を、四フ
ッ化エチレン樹脂又は変性シリカ系セラミックスを含む
コンパウンドと、メディアとともにバレルにより混合攪
拌し、前記化成皮膜処理を形成する工程で形成された化
成皮膜に、さらに四フッ化エチレン樹脂又は変性シリカ
系セラミックスを被覆する工程を行う金属摺動部品用表
面処理方法である。
【0027】この処理方法によれば、化成皮膜処理を形
成する工程で形成された化成皮膜に摩擦係数の極めて小
さい四フッ化エチレン樹脂又は変性シリカ系セラミック
スが付着するため、例えば、金属摺動部品の表面の摩擦
係数が0.1程度から0.06〜0.08程度に著しく低
下し、特に初期なじみ性が極めて良くなるため、機械を
組み付けた直後の無潤滑の状態でも、タッチオイリング
なしに摺動させてもスカッフィングを生じることがな
い。なお、四フッ化エチレン樹脂は、形状が微粉末状
で、その粒径は0.2μm〜0.3μmで、望ましくは、
0.2μmである。又は変性シリカ系セラミックスは、
液状の媒体に分散させたもので、その粒径は0.8μm
〜1.2μmで、望ましくは0.6μmである。
【0028】また、次の発明は、上記金属摺動部品の表
面に化成被膜を形成する工程が、バレル研磨中に行われ
る金属摺動部品用表面処理方法である。
【0029】この処理方法によれば、金属摺動部品を別
途建浴することなく、バレル研磨中に化成被膜を形成す
るため、化成処理にかかる工程が著しく省略され生産性
が高いものとなる。
【0030】また、次の発明は、金属摺動部品の表面に
化成被膜を形成する工程が、スプレー法により行われる
金属摺動部品用表面処理方法である。
【0031】この処理方法であれば、上述の金属摺動部
品の表面に化成被膜を形成する工程が、スプレー法によ
り行なうこともでき、インラインでスプレーすることで
生産効率を上げることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態を実施
例により説明する。
【0033】(実施例1)実施例1は、建浴により化成
皮膜を形成する場合の金属摺動部品用表面処理液及びそ
の処理の方法である。
【0034】金属摺動部品用表面処理液の原液生成用の
溶質の組成の1例を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】表1に示すような溶質を、第1リン酸タン
グステン水和物46g/lを主体として、主酸化剤に塩
素酸ナトリウム水和物12g/l、酸化補助剤として硝
酸ナトリウム水和物17g/l、ブロム酸ナトリウム水
和物12g/l、また、被膜の核となる誘導剤金属塩と
して硝酸ニッケル水和物13g/lになるように水を溶
媒として溶解して原液とする。そして、この原液をさら
に6重量%の濃度になるように水を溶媒として希釈して
処理液として使用する。
【0037】上記のように金属摺動部品用表面処理液を
調製することで、全酸度16〜20ポイント、遊離酸度
0.5〜0.9ポイントに設定された金属摺動部品用表面
処理液が得られるので、これを温度70±5℃の範囲に
保温して使用する。
【0038】以下、実施例1の処理の手順を説明する。
ここでは、処理の対象としてJIS特殊鉄鋼SCM−4
15プレス成形自動車用摺動部品に熱処理加工を施し、
表面硬化した金属摺動部品を例とする。
【0039】まず、最初の工程では、研磨処理をするた
め、新東ブレータ工業株式会社製SKC型高速バレルを
用い、メディアとコンパウンドと共に研磨する。ここで
金属摺動部品の表面粗さがRa値0.02μm〜0.03
μmになる。
【0040】次の工程では、金属摺動部品をバスケット
トレー等により、例えば、オルソ珪酸ナトリウム7k
g、メタ珪酸ナトリウム5kg、ABSナトリウム酸3
kg、チタンリン酸ナトリウム5kgからなる薬剤を4
0g/lになるように水で希釈して使用する有限会社サ
ーフェイス・テックス製の弱アルカリ系脱脂剤#C−7
5Dを使用し、リン酸チタンを10g/l程度添加し
て、50℃〜70℃で5〜10分浸漬して脱脂する。
【0041】次の工程では、清水にて常温で1分間水洗
する。
【0042】次の工程では、前述の金属摺動部品用表面
処理液を65℃〜75℃に加温して、ここに30秒から
60秒浸漬して、リン酸タングステンの被膜を形成す
る。
【0043】次の工程では、清水にて常温で1分間水洗
する。
【0044】次の工程では、清水にて75℃〜85℃で
2分間湯洗する。
【0045】次の工程では、120℃〜130℃で10
分間熱風乾燥処理をする。
【0046】以上の工程で、処理が完了する。
【0047】処理液に金属素材を接触させることにより
遊離リン酸に頼る比較的強いエッチングを伴う反応皮膜
形成法をエッチング反応の緩慢な特徴を持った本処理液
による皮膜形成方法を採用することにより、薄く、緻密
で密着性の高い皮膜(皮膜厚さ0.4〜0.8μm、皮膜
表面表面粗さRa値0.02μm〜0.03μm)を金属
摺動部品表面に形成する
【0048】(実施例2)実施例2では、実施例1の第
1リン酸タングステンの被膜を形成する工程、及び水洗
・乾燥の工程後に、バレルにメディアとして新東ブレー
ター株式会社のB−20、敷島チップトン株式会社のP
S−5と、コンパウンド薬品として四フッ化エチレン樹
脂又は変性シリカ系セラミックスとを金属摺動部品と共
に入れてドライ処理により処理を行う工程である。ドラ
イ処理の場合には、およそ5〜8分処理を行う。
【0049】ここでは、四フッ化エチレン樹脂は、ダイ
キン工業株式会社のルブロン(登録商標)LD−100
Eを用い、その粒径は、0.2μmである。又配合量
は、およそ50g/l程度である。変性シリカ系セラミ
ックスを用いる場合は、株式会社トウペ製ポーセリン
(登録商標)#200などが好適に用いられる。
【0050】コンパウンド薬品として四フッ化エチレン
樹脂をドライ方式にてメディアと共に機械的に擦り合わ
せることにより、金属摺動部品表面に表面粗さを粗くす
ることなく、それでいて著しく摩擦係数が0.06〜0.
08に減少した金属摺動部品表面を得ることができた。
【0051】尚、処理はドライ処理を例に説明をした
が、ウエット処理により行うこともできる。
【0052】(実施例3)実施例3では、バレル研磨を
荒仕上研磨、仕上研磨、精密研磨の3段階に分け、精密
研磨の工程中に金属摺動部品用表面処理液を使用するこ
とにより、精密研磨工程中において金属摺動部品表面に
薄く緻密且つ強固な密着性の高い皮膜を常温から80℃
の温度範囲にて短時間(2〜3分)にインライン中に化
成皮膜を形成する処理工程を特徴とするでものである。
【0053】ここで、荒仕上研磨工程とは、機械切削の
荒い筋状の突起を研磨することを主目的とするもので、
メディアはアグレッシブなメディアを使用する。例え
ば、三角形や竿状の突起部分を有するメディアと、丸み
を帯びた形状のメディアを用いる。また、コンパウンド
も酸エッチングタイプや、コロイド状の薬品を使用す
る。具体的には、蓚酸、第1リン酸ナトリウム、過酸化
水素、硫酸等を使用する。又、バレルには流動式のバレ
ルを使用する。
【0054】仕上研磨とは、荒仕上研磨により研磨され
たものをさらに研磨するため、新たに深い傷が付かない
ように研磨する。そのためメディアには、球状のものを
使用し、コンパウンドもワーク間又はメディア間の接触
を緩衝する潤滑性を保持した薬剤を使用する。具体的に
は、ボラックス、界面活性剤、第4リン酸ナトリウム、
ABSナトリウム等を使用する。なお、従来では金属摺
動部品用表面処理については仕上研磨にて終了するのが
普通であった。
【0055】精密研磨とは、主に振動式のバレルを用
い、さらに平滑な面を得ることを目的とする。そのため
メディアは、大・中・小と最低3種類を使用する。コン
パウンドも滑性と防錆性をも考慮し、振動の強弱等にも
配慮して処理をする。具体的には、ピロリン酸ナトリウ
ム、カルボキシルメチルセルロース、ABSナトリウム
等を使用する。
【0056】本実施例において最初の荒仕上研磨の工程
では、バレルに流動研磨方式のバレルである新東ブレー
ター株式会社製EVF型ロールフローを用い、メディア
とコンパウンドとともに研磨する。メディアは、新東ブ
レーター株式会社製PS−8、PS−5を用い、コンパ
ウンドは、新東ブレーター株式会社製ラスターオールを
使用して、およそ20分間研磨した後、蓚酸を加えて1
0分間処理をする。この荒仕上研磨の工程が終了する
と、表面粗さが、Rz値0.8μm〜1.0μm程度にな
る。
【0057】次の仕上研磨の工程では、この例では、バ
レルに新東ブレータ株式会社製SKC型高速バレルを用
い、メディアには、新東ブレーター株式会社製PS−
8、PS−5を用い、コンパウンドは、新東ブレーター
株式会社製ラスターオールを使用して、およそ20分間
処理を行う。この仕上研磨で、表面粗さRz0.3μm
〜0.4μm程度になる。
【0058】さらに、次の精密研磨の工程では、回転式
のバレルに代えて新東ブレーター株式会社製のVF型振
動バレルを使用する。メディアはPS−5、B−6等を
用いコンパウンドは、ラスターオールにC.M.C含有
アルカリ防錆タイプを使用して、およそ20分間研磨す
る。
【0059】次の工程では、精密仕上研磨の工程の状態
から、金属摺動部品用表面処理液をバレル中に投入し、
常温で攪拌して、リン酸タングステンの被膜を形成す
る。
【0060】次の工程では、清水にて常温で1分間水洗
する。
【0061】次の工程では、清水にて80℃〜90℃で
2分間湯洗する。
【0062】次の工程では、120℃〜130℃で10
分間熱風乾燥処理をする。
【0063】以上の工程で、処理が完了する。
【0064】(実施例4)実施例4は、実施例1又は実
施例2の工程において、建浴工程を、インライン上でシ
ャワースプレーにより金属摺動部品用表面処理液を金属
摺動部品に噴霧する工程に代えたものである。
【0065】(実験例)下記に実験例を比較例と共に挙
げる。
【0066】実験例及び比較例において、供試材として
特殊鉄鋼SCM−415プレス成形自動車用摺動部品に
熱処理加工を施し、表面硬化した金属摺動部品を試験片
とした。
【0067】SMC−415金属摺動部材をバレル研磨
処理において予め表面の表面粗さをRa0.01μm〜
0.03μmに調整された部材を、オルソ珪酸ナトリウ
ム7kg、メタ珪酸ナトリウム5kg、ABSナトリウ
ム酸3kg、チタンリン酸ナトリウム5kgからなる薬
剤を40g/lになるように水で希釈して使用する有限
会社サーフェイス・テックス製の弱アルカリ系脱脂剤#
C−75Dを使用し、75℃において5分間脱脂し、水
洗後皮膜生成処理を施し水洗後、120℃の熱風で8分
間熱風乾燥した。
【0068】実験1に使用する金属摺動部品用表面処理
液は、前掲の表1に示す実施例1で用いた金属摺動部品
用表面処理液を用いた。また、以下に示す表2は、比較
例として用いた、塩素酸塩及び第1リン酸タングステン
を含まないモリブデン酸ナトリウム水和物を主剤とする
処理液の溶質の組成を示す。なお以下の実験において、
表2に示す組成の処理液を「モリブデン系処理液」とい
う。
【0069】
【表2】
【0070】以下に示す、表3は、他の比較例として従
来の塩素酸塩及び第1リン酸タングステンを含まない亜
鉛マンガン系の処理液の溶質の組成を示す。なお以下の
実験において、表3に示す組成の処理液を「カルシウム
マンガン系処理液」という。
【0071】
【表3】
【0072】(実験例1)実験例1は、リン酸タングス
テン及び塩素酸塩を主体とする表1に示す実施例1の金
属摺動部品用表面処理液と、表2に示す無塩素酸塩系の
組成の処理液及び表3に示す他の組成の処理液による処
理を比較した。
【0073】この結果、表3に示すカルシウムマンガン
系処理液を用いた場合は、表面粗さRz値0.6μm〜
0.8μmとやや改善され、被膜厚みも0.8μm〜1.
2μmと改善されたが、未だ不十分なものであった。
【0074】表2に示すモリブデン系処理液で処理した
場合、供試材の化成被膜は、被膜厚み5μm〜12μm
の被膜となり、表面粗さがRz値2.5μm〜2.8μm
と大きく摩擦抵抗が大きく、摩擦抵抗が大きく高負荷重
時において焼付き性や耐摩耗性に問題があった。
【0075】また、スラッジが比較的多く生じ、金属摺
動部品表面に余分な白い粉として付着した。
【0076】一方、実施例1における、金属摺動部品用
表面処理液では、塩素酸塩の強力な酸化力のため短時間
で処理が行われ、その結果金属表面のエッチング量が少
なく表面を粗くすることがなかった。その結果、安定し
た皮膜外観を持ち、化成被膜形成時間に従来10分程度
かかっていたのが40〜60秒に極端に短縮し、化成皮
膜を金属摺動部品表面上に極端に薄く、表面粗さをRa
値0.02μm〜0.03μmにして、緻密な非晶質の平
滑な皮膜を形成された。
【0077】また、実施例1の金属摺動部品用表面処理
液では、塩素酸塩の強力な酸化力のため短時間で処理が
行われ、金属表面のエッチング量が少なく溶解性鉄分の
上昇が抑止され、スラッジの発生も少なく、表面の外観
を損ねることもなかった。
【0078】なお、耐熱性が300℃から480℃にな
り、摩擦係数も0.05〜0.09になった。そのため、
耐熱性が向上し且つ、摩擦係数が下がることで耐スカッ
フィング性が著しく高まっており、タッチオイリングな
しの無潤滑の状態でも極めて高い耐スカッフィング性を
示した。また、摩擦係数が下がることで、焼き付き性や
耐摩耗性についても良好な結果となった。
【0079】また、実施例1の金属摺動部品用表面処理
液の塩素酸ナトリウムに代えて、次亜塩素酸ナトリウ
ム、あるいは過塩素酸ナトリウムを使用したところ、い
ずれも実施例1の金属摺動部品用表面処理液と同等の結
果を示すことが分かった。
【0080】(実験例2)実験例2は、実施例1の金属
摺動部品用表面処理液について、酸化補助剤としてブロ
ム酸ナトリウムを含有した場合と含有しなかった場合に
ついて比較した。
【0081】この結果、ブロム酸ナトリウムを含有する
表1に示す金属摺動部品用表面処理液では、良好な皮膜
が形成されたが、酸化補助剤としてブロム酸ナトリウム
を含まない場合は、皮膜形成能力が低下することが分か
った。
【0082】なお、ブロム酸ナトリウムに代替して、硝
酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸ニッケル、若し
くは硝酸銅においても同等の効果を示すことが分かっ
た。
【0083】(実験例3)実験例3は、実施例1の金属
摺動部品用表面処理液について、さらに珪フッ化水素酸
を金属摺動部品用表面処理液の0.1重量%添加した場
合と、これを添加しなかった場合について比較をした。
【0084】この結果、珪フッ化水素酸を添加しなかっ
た実施例1の金属摺動部品用表面処理液では、アルミニ
ウム、亜鉛、銅,又はチタン合金等の金属に対しては、
極端にエッチング力が不足するため、皮膜反応置換析出
が殆ど発生しないか、また発生しても密着力が弱かっ
た。一方、珪フッ化水素酸を添加した場合には、アルミ
ニウム、亜鉛、銅、又はチタン合金等の金属に対して、
エッチングが行われ、皮膜反応置換析出が発生し、その
密着力も強くなった。
【0085】なお、珪フッ化亜鉛、フッ化水素酸、硼フ
ッ化亜鉛を添加した場合も、同等の効果があることが分
かった。
【0086】(実験例4)実験例4は、実施例1の処理
において、脱脂工程で前述の有限会社サーフェイステッ
クス製の弱アルカリ系脱脂剤#C−75Dに、リン酸チ
タンを10g/l程度添加して、50℃〜70℃で5〜
10分浸漬して脱脂した場合と、リン酸チタンを添加し
なかった場合を比較した。
【0087】この結果、リン酸チタンを添加して処理を
行った場合には、リン酸チタンを添加しないで処理を行
った場合に比較して、皮膜化成工程において皮膜のムラ
が生じにくくなったこと、皮膜形成の速度が速くなった
こと、皮膜の粗さが粗くなくなり平滑になったことにお
いて差が生じた。これは、表面粗さがRa値0.01μ
m〜0.03μm付近の鏡面においては、水ハジキ現象
を起こすため、脱脂工程で若干皮膜をのせることによ
り、水ハジキ現象を解消できるものと推察される。
【0088】(実験例5)実験例5は、四フッ化エチレ
ンにより処理を行った場合と行わなかった場合を比較し
た。金属摺動部品の表面に化成被膜を形成する工程の後
に、金属摺動部品を、微粉末状でその粒径が0.2μm
である四フッ化エチレン樹脂からなるコンパウンドと、
メディアとともにバレルにより混合攪拌し、前記化成皮
膜処理を形成する工程で形成された化成皮膜に、さらに
被覆する工程を行った。
【0089】この結果、この処理を行った場合は、化成
皮膜処理を形成する工程で形成された化成皮膜に摩擦係
数の極めて小さい四フッ化エチレン樹脂が付着するた
め、例えば、金属摺動部品の表面の摩擦係数が処理を行
わなかった場合の0.1程度から0.06〜0.07程度
に著しく低下し、特に初期なじみ性が極めて良くなっ
た。そのため、機械を組み付けた直後の無潤滑の状態で
もタッチオイリングなしに摺動させてもスカッフィング
を生じることがなかった。
【0090】なお、四フッ化エチレン樹脂に替えて液状
の媒体に分散させた粒径が0.6μmの変性シリカ系セ
ラミックスを用いて同様の処理をした場合も、同様の効
果があった。
【0091】以上、実施の形態に基づき本発明を説明し
たが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるもの
ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良
変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0092】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
請求項1に係る発明の金属摺動部品用表面処理剤によれ
ば、この金属摺動部品用表面処理剤を用いて処理するこ
とで、塩素酸塩の強力な酸化力のため短時間で処理が行
われるという効果がある。そのため、金属表面のエッチ
ング量が少なく金属摺動部品表面を粗くすることがな
く、平滑な表面を得ることができる。
【0093】また、金属表面のエッチング量が少ないこ
とから、溶解性鉄分の上昇を抑止するという効果があ
る。そのため、スラッジの発生も少なく、表面の外観を
損ねることもない。
【0094】そして、リン酸タングステンの非晶質の極
めて薄く緻密な皮膜が形成されるという効果がある。ま
た、耐熱性が高く、摩擦抵抗が低くなるため、耐スカッ
フィング性が高くなるという効果がある。また、摩擦係
数が下がることで、焼き付き性や耐摩耗性についても良
好になり、さらに摺動抵抗が下がることで、省エネルギ
の面からも摺動部品として好ましいものとなるという効
果がある。
【0095】しかも、塩素酸ナトリウム等の強力な酸化
力により溶解性鉄を瞬時に不溶性の鉄に変換するため、
溶解性鉄分の発生を抑止しつつ皮膜形成を完結するた
め、処理液の劣化が殆どないという効果もある。
【0096】請求項2に係る発明の金属摺動部品用表面
処理剤によれば、この金属摺動部品用表面処理剤を用い
て処理することで、化成処理皮膜が迅速に形成されると
いう効果がある。そのため、さらに、過度のエッチング
により金属摺動部品表面の表面粗さを粗くすることなく
平滑な表面を得られるとともに、溶解性鉄を瞬時に不溶
性の鉄に変換するため、溶解性鉄分の発生を抑止するこ
とができるという効果もある。
【0097】請求項3に係る発明の金属摺動部品表面処
理剤によれば、この金属摺動部品用表面処理剤を用いて
処理することで、リン酸及び塩素酸ナトリウムなどによ
ってはエッチング反応が生じない或いは生じ難いAl,
Zn,Cu,Ti合金鋼に対しても、珪フッ化水素酸、
珪フッ化亜鉛、フッ化水素酸、硼フッ化亜鉛を配合する
ことでフッ化物イオンの介在により有効にエッチングが
行われるため、これらの合金鋼に対しても非晶質系の薄
い化成被膜を形成することができるという効果がある。
【0098】請求項4に係る発明の金属摺動部品用表面
処理方法では、塩素酸塩の強力な酸化力のため短時間で
処理が行われるという効果がある。そのため、金属表面
のエッチング量が少なく金属摺動部品表面を粗くするこ
とがなく、平滑な表面を得ることができる。
【0099】また、金属表面のエッチング量が少ないこ
とから、溶解性鉄分の上昇を抑止するという効果があ
る。そのため、スラッジの発生も少なく、表面の外観を
損ねることもない。
【0100】そして、リン酸タングステンの非晶質の極
めて薄く緻密な皮膜が形成されるという効果がある。ま
た、耐熱性が高く、摩擦抵抗が低くなるため、耐スカッ
フィング性が高くなるという効果がある。また、摩擦係
数が下がることで、焼き付き性や耐摩耗性についても良
好になり、さらに摺動抵抗が下がることで、省エネルギ
の面からも摺動部品として好ましいものとなるという効
果がある。
【0101】しかも、塩素酸ナトリウム等の強力な酸化
力により溶解性鉄を瞬時に不溶性の鉄に変換するため、
溶解性鉄分の発生を抑止しつつ皮膜形成を完結するた
め、処理液の劣化が殆どないという効果もある。
【0102】請求項5に係る発明の金属摺動部品用表面
処理方法では、金属摺動部品表面のリン酸チタンの膜に
より化成皮膜処理におけるエッチング反応を弱くし、金
属摺動部品表面の表面粗さを粗くすることがないという
効果がある。また、水濡性を改善することで化成皮膜の
形成時間が短縮されるという効果もある。
【0103】請求項6に係る発明の金属摺動部品用表面
処理方法では、化成皮膜処理を形成する工程で形成され
た化成皮膜に摩擦係数の極めて小さい四フッ化エチレン
樹脂又は変性シリカ系セラミックスが付着するため、金
属摺動部品の表面の摩擦抵抗が著しく低下し、特に初期
なじみ性が極めて良くなるため、耐スカッフィング性が
高くなるという効果がある。
【0104】請求項7に係る発明の金属摺動部品用表面
処理方法では、金属摺動部品を別途建浴することなく、
バレル研磨中に化成被膜を形成するため、化成処理にか
かる工程が著しく省略され生産性が高いものとなるとい
う効果がある。
【0105】請求項8に係る発明の金属摺動部品用表面
処理方法では、上述の金属摺動部品の表面に化成被膜を
形成する工程が、スプレー法により行なうこともでき、
インラインで、スプレーすることで 生産効率を上げる
ことができるという効果がある。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1リン酸タングステン溶液を主体とす
    る基剤と、 主酸化剤として、塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリ
    ウム、過塩素酸ナトリウムのうちの少なくとも1つを含
    有することを特徴とする金属摺動部品用表面処理液。
  2. 【請求項2】 酸化補助剤として、ブロム酸ナトリウ
    ム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸ニッケ
    ル、若しくは硝酸銅のうちの少なくとも1つをさらに含
    有することを特徴とする請求項1に記載の金属摺動部品
    用表面処理液。
  3. 【請求項3】 珪フッ化水素酸、珪フッ化亜鉛、フッ化
    水素酸、硼フッ化亜鉛のうちの少なくとも1つをさらに
    含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載
    の金属摺動部品用表面処理液。
  4. 【請求項4】 リン酸第1タングステンを主体とした溶
    液に、 主酸化剤として、塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリ
    ウム、過塩素酸ナトリウムのうちの少なくとも1つを含
    有する金属摺動部品用表面処理液を用いて金属摺動部品
    の表面に化成被膜を形成する工程を行うことを特徴とす
    る金属摺動部品用表面処理方法。
  5. 【請求項5】 前記金属摺動部品の表面に化成被膜を形
    成する工程の前に、 リン酸チタンを含有する処理液を用いて予めチタンの膜
    を形成する工程を前処理として行うことを特徴とする請
    求項4に記載の金属摺動部品用表面処理方法。
  6. 【請求項6】 前記金属摺動部品の表面に化成被膜を形
    成する工程の後に、 前記金属摺動部品を、四フッ化エチレン樹脂又は変性シ
    リカ系セラミックスを含むコンパウンドと、メディアと
    ともにバレルにより混合攪拌し、前記化成皮膜を形成す
    る工程で形成された化成皮膜に、さらに四フッ化エチレ
    ン樹脂又は変性シリカ系セラミックスを被覆する工程を
    行うことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の金
    属摺動部品用表面処理方法。
  7. 【請求項7】 前記金属摺動部品の表面に化成被膜を形
    成する工程が、バレル研磨中に行われることを特徴とす
    る請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の金属摺動部
    品用表面処理方法。
  8. 【請求項8】 前記金属摺動部品の表面に化成被膜を形
    成する工程が、スプレー法により行われることを特徴と
    する請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の金属摺動
    部品用表面処理方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008281032A (ja) * 2007-05-08 2008-11-20 Toyota Motor Corp 摺動部材,摺動構造,及びシンクロメッシュ式の変速機
JP2013053375A (ja) * 2012-12-21 2013-03-21 Kobe Steel Ltd 塑性加工用鋼材およびその製造方法、並びに塑性加工製品
CN112126104A (zh) * 2020-09-22 2020-12-25 沈阳化工大学 一种利用强酸盐氧化溶液对丁腈橡胶表面化学改性的方法

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