JP2000290294A - Timp修飾体 - Google Patents
Timp修飾体Info
- Publication number
- JP2000290294A JP2000290294A JP11095142A JP9514299A JP2000290294A JP 2000290294 A JP2000290294 A JP 2000290294A JP 11095142 A JP11095142 A JP 11095142A JP 9514299 A JP9514299 A JP 9514299A JP 2000290294 A JP2000290294 A JP 2000290294A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- timp
- modified
- mmp
- leu
- matrilysin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K14/00—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
- C07K14/81—Protease inhibitors
- C07K14/8107—Endopeptidase (E.C. 3.4.21-99) inhibitors
- C07K14/8146—Metalloprotease (E.C. 3.4.24) inhibitors, e.g. tissue inhibitor of metallo proteinase, TIMP
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
- A61P35/04—Antineoplastic agents specific for metastasis
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P43/00—Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K38/00—Medicinal preparations containing peptides
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Public Health (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Gastroenterology & Hepatology (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Oncology (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Medicinal Preparation (AREA)
Abstract
H2末端α−アミノ基を電子吸引基で修飾し、メタロプ
ロテイナーゼとの結合性を実質的に欠いていることを特
徴とする。
Description
ーゼの組織性阻害剤(tissue inhibito
r of metalloproteinases)
(以下、「TIMP」と言う)の新規修飾体に関する。
生命を最も脅かす病態であり、この転移を抑えることが
癌治療の重要な目的の一つである。しかしながら、この
転移を完全に抑える治療法はなく、外科手術、放射線治
療や化学療法を行いつつ、いわゆる対処療法的に治療を
施しているのが現状である。しかしながら、近年、転移
のメカニズムが徐々に明らかになりつつあり、癌の転移
能力の反映として、細胞外マトリックス(extrac
ellular matrix)(以下、「ECM」と
言う)の分解系が注目されている。
開始し、その一部の細胞は周りの細胞との接着を断ち、
腫瘍組織より逸脱できるようになる。しかしながら、腫
瘍組織は密なECMに囲まれており、物理的な運動によ
る破壊だけでなく、それらを酵素分解しなければそこか
ら離脱することはできない。転移性癌細胞は、この障壁
となっているECMを分解する酵素を産生しながら組織
の中を移動しはじめる。さらに遠隔移動するため、癌細
胞は強固なECMで構成される血管壁を破り、血流に入
る。その後、転移先の血管壁内膜に接着し、そして血管
外へ脱出するために、再び血管壁ECMを酵素分解し、
さらに周辺ECMを分解しながら組織中に浸潤する(細
胞工学 Vol.17 No.4 1998,p.52
3−533)。
分解は、癌細胞の転移を研究、診断等する上で、最も重
要であると考えられている。マトリックスメタロプロテ
イナーゼ(以下、「MMP」と言う)(Dochert
y,A.J.P.,O’Connell,J.,Cra
bbe,T.,Angal,S.および Murph
y,G.(1992)Trends Biotechn
ol.10,200−207)は、ECMの成分を分解
する、一群の亜鉛依存性エンドペプチダーゼである。M
MPは、形態形成、血管形成、組織修復および腫瘍浸潤
などの生理学的および病理学的条件下の組織再構築にお
いて本質的な役割を果たしている(Docherty,
A.J.P.ら,(1992)Trends Biot
echnol.10,200−207 同上; Mat
risian,L.M.(1992)Bioessay
s 14,455−463; Stetler−Ste
venson,W.G.,Aznavoorian,
S.,および Liotta,L.A.(1993)A
nnu.Rev.Cell Biol.9,541−5
73)。大部分のMMPはチモーゲンとして分泌され、
そしてセリンプロテアーゼまたは若干の活性MMPによ
って活性化される。
ており、それぞれ特徴的な基質特異性を保持しており、
各種コラーゲン、糖タンパク質、プロテオグリカンなど
を分解する。MMPはその基質特異性、存在形態により
大別されている。例えば、MMP−2および−9は、ゼ
ラチンを基質とするため、ゼラチナーゼ群として、各々
ゼラチナーゼA、ゼラチナーゼBとも呼ばれている。ま
た、MMP−14ないし−17は、膜結合型であり、M
T−MMP(membrane type−MMP)群
と呼ばれる。MMP−14ないし−17は、各々MT1
−MMP、MT2−MMP、MT3−MMPおよびMT
4−MMPとも呼ばれる。以上の他、コラゲナーゼ群
(MMP−1、MMP−8、MMP−13およびMMP
−18)、ストロムライシン群(MMP−3およびMM
P−10)なども存在する。
テイナーゼの組織性阻害剤(以下、「TIMP」とい
う)として知られる一群の内因性特異的阻害剤によって
調節される。TIMPはこれまでに4種類同定されてお
り、MT−MMP以外のMMPはそれら4種類のTIM
Pにより効率よく阻害される。MT−MMPについては
選択性があり、TIMP−2とTIMP−3には効率よ
く阻害される一方、TIMP−1によってはほとんど阻
害されない。TIMPは基本的にN末端領域とC末端領
域の構造を有する。MMPの阻害活性はTIMPのN末
端領域にあり、C末端領域を有しないような組換えTI
MPでもMMPを阻害できる。TIMPのMMP阻害活性機構についての知見 TIMPによるMMPの阻害活性の機構については、こ
れまでの研究により仮説が考えられている。例えば、T
IMP−2およびTIMP−1については以下に記載す
るようにいくらか知見が得られている。
P−2)およびゼラチナーゼB(MMP−9)は、基底
膜の主成分であるIV型コラーゲンに対するそれらの強
い活性のために、基底膜を越えた腫瘍細胞の浸潤におい
て特に重要である(Liotta,L.A.(198
6)Cancer Res.46,1−7; Coll
ier,I.E.,Wilhelm,S.M.,Eis
en,A.Z.,Marmer,B.L.,Grant
G.A.,Seltzer,J.L.,Kronbe
rger,A.,He,C.,Bauer,E.A.,
および Goldberg,G.I.(1988)J.
Biol.Chem.263,6579−6587;
Wilhelm,S.M.,Collier,I.
E.,Marmer,B.L.,Eisen,A.
Z.,Grant G.A.,および Goldber
g,G.I.(1989)J.Biol.Chem.2
64,17213−17221)。MMPの他のチモー
ゲンとは異なり、プロゼラチナーゼAは、セリンプロテ
アーゼまたは可溶性MMPによって活性化されることは
ないが、癌細胞および線維芽細胞の表面上でMMP様活
性によって活性化されると報告された(Overal
l,C.M.,および Sodek,J.(1990)
J.Biol.Chem.265,21141−211
51; Brown,P.D.,Levy,A.T.,
Margulies,I.M.,Liotta,L.
A.,および Stetler−Stevenson,
W.G.(1990)Cancer Res.50,6
184−6191; Ward,R.V.,Atkin
son,S.J.,Slocombe,P.M.,Do
cherty,A.J.,Reynolds,J.
J.,および Murphy,G.(1991)Bio
chim.Biophys.Acta.1079,24
2−246;Azzam,H.S. および Thom
pson,E.W.(1992)Cancer Re
s.52,4540−4544)。
no,T.,Okada,Y.,Cao,J.,Shi
nagawa,A.,Yamamoto,E.,および
Seiki,M.(1994)Nature 37
0,61−65)は、細胞表面上のプロゼラチナーゼA
の活性化因子としてMT−MMPと称される新規の膜型
MMPを確認した。プロゼラチナーゼAの細胞媒介活性
化には、2段階の過程が含まれ、最初に、プロゼラチナ
ーゼAのAsn−37とLeu−38との間のペプチド
結合におけるMT−MMPで触媒された切断が、チモー
ゲンを中間型に変換し、そして次に、Asn−80−T
yr−81結合の自己触媒的切断が、その中間型を成熟
型に変換する(Strongin,A.Y.,Marm
er,B.L.,Grant,G.A.,および Go
ldberg,G.I.(1993)J.Biol.C
hem.268,14033−14039)。いくつか
の研究は、双方の段階が細胞表面上への(プロ)ゼラチ
ナーゼAの結合によって大きく促進されるので、細胞表
面上の(プロ)ゼラチナーゼAの受容体がその活性化に
重要であるということを示唆している。ゼラチナーゼA
のカルボキシ末端のヘモペキシン様ドメインは、細胞表
面との相互作用に不可欠であると報告されている(St
rongin,A.Y.,Marmer,B.L.,G
rant,G.A.,および Goldberg,G.
I.(1993)J.Biol.Chem.268,1
4033−14039; Strongin,A.
Y.,Collier,I.,Bannikov,
G.,Marmer,B.L.,Grant,G.
A.,および Goldberg,G.I.(199
5)J.Biol.Chem.270,5331−53
38)。
C.,Silletti,S.,von Schals
cha,T.L.,Friedlander,M.,お
よびCheresh,D.A.(1996)Cell
92,391−400; Kinoshita,T.,
Sato,H.,Takino,T.,Itoh,
M.,Akizawa,T.,および Seiki,
M.(1996)Cancer Res.56,253
5−2538; Pei,D.Q.,および Weis
s,S.J.(1996)J.Biol.Chem.2
71,9135−9140; Will,H.,Atk
inson,S.J.,Butler,G.S.,Sm
ith,B.,および Murphy,G.(199
6)J.Biol.Chem.271,17119−1
7213; Lichte,A.,Kolkenbro
ck,H.,および Tschesche,H.(19
96)FEBS Lett.397,277−282)
は、MT−MMPの膜貫通領域を欠いた変異体が、プロ
ゼラチナーゼAをその中間型へと変換するが、成熟型へ
はほとんど変換しないことを示唆している。部位特異的
変異導入技術によって活性部位残基を置換した変異プロ
ゼラチナーゼAの細胞性プロセッシングは、その変異体
の成熟型を産生しないということも報告されている(A
tkinson,S.J.,Crabbe,T.,Co
well,S.,Ward,R.V.,Butler,
M.J.,Sato,H.,Seiki,M.,Rey
nolds,J.J.,および Murphy,G.
(1995)J.Biol.Chem.270,304
79−30485; Sato,H.,Takino,
T.,Kinoshita,T.,Imai,K.,O
kada,Y.,Stetler−Stevenso
n,W.G.,および Seiki,M.(1996)
FEBS Lett.385,238−240)。
成熟型への変換のために細胞に結合したゼラチナーゼA
の活性が重要であることを示唆している。一方、TIM
PとMMPとの複合体の結晶構造についても研究がなさ
れている。
形成された複合体の結晶構造は、TIMP−1のNH2
末端のCys−1の遊離α−アミノ基およびカルボニル
酸素がストロムライシンの触媒亜鉛原子を配位してお
り、したがって、阻害作用に関与していることを示唆す
る(Gomis−Ruth,F.X.,Maskos,
K.,Betz,M.,Bergner,A.,Hub
er,R.,Suzuki,K.,Yoshida,
N.,Nagase,H.,Brew,K.,Bour
enkov,G.P.,Bartunik,H.,およ
び Bode,W.(1997)Nature 38
9,77−81)。ごく最近、TIMP−2とMT1−
MMPの触媒ドメインとの間に形成された複合体の結晶
構造も確認された(Fernandez−Catala
n,C.,Bode,W.,Huber,R.,Tur
k,D.,Calvete,J.J.,Lichte,
A.,Tschesche,H.,および Masko
s,K.(1998)EMBOJ.17,5238−5
248)。しかしながら、一方、2種類のMMP−TI
MP複合体の結晶構造は、TIMPが、対応するMMP
と広範囲に接触していることも示すというデータもあ
る。
用いるTIMP−1の化学修飾は、阻害活性を消滅させ
ると報告されてきた。修飾される残基は、TIMP−1
のHis−95、His−144およびHis−164
であり、His−95の修飾は、活性の低下に関与して
いると考えられる(Williamson,R.A.,
Smith,B.J.,Angal,S.,および F
reedman,R.B.(1993)Biochi
m.Biophys.Acta.1203,147−1
54)。しかしながら、部位特異的変異導入による研究
は、His−95のグルタミンへの置換が、TIMP−
1の阻害活性に影響を与えないことを示した(Will
iamson,R.A.,Smith,B.J.,An
gal,S.,および Freedman,R.B.
(1993)Biochim.Biophys.Act
a.1203,147−154)。さらに、H95Q変
異体は、ジエチルピロカーボネート処理に対してなお感
受性である。これまでのところ、TIMP−1活性に対
するジエチルピロカーボネートの作用については説明さ
れていない。
機構について、TIMPがMMPと複合体を形成するこ
とが知られており、そして、当該複合体の形成にはTI
MPのN末端領域が関与していると推定されていた。し
かしながら、その詳細は不明であり、またこのような機
構の解明から癌の転移を有効に抑制する方法も得られて
いなかった。
MP修飾体を提供することを目的とする。本発明のTI
MP修飾体は、TIMPのNH2末端α-アミノ基を電子
吸引基で修飾し、メタロプロテイナーゼとの結合性を実
質的に消失していることを特徴とする。
TIMP−2修飾体である。本発明において、好ましく
は、前記電子吸引基はカルバミル基である。本発明は、
また、前記TIMP修飾体を加えることにより、in
vitroでTIMPを含む複合体の形成を阻害する方
法を提供する。
前記TIMP修飾体はTIMP2修飾体であり、前記複
合体はMT−MMP、TIMP−2およびゼラチナーゼ
Aを含む複合体である。
ずれか1項に記載のTIMP修飾体を含む、薬学的に受
容可能な担体と共に含む医薬用組成物を提供することを
目的とする。
の転移抑制または血管新生抑制のために用いられる。
のMMPの阻害活性機構を解明し、癌の浸潤・転移およ
び血管内皮細胞の浸潤によって引き起こされる血管新生
等の諸現象を有効に抑制するために鋭意研究につとめた
結果、本発明を想到した。以下、より詳細に説明する。
−2につき以下のような仮説に基づき研究を行った。T
IMP−2のNH2末端の反応性部位は、MT−MMP
の活性部位に結合してプロテアーゼ−阻害剤複合体を形
成し、一方、TIMP−2のCOOH末端部分は、ゼラ
チナーゼAのヘモペキシン様ドメインに対して親和性を
有する。したがって、MT−MMPとTIMP−2との
間に形成された複合体は、プロゼラチナーゼAの受容体
として作用するという仮説が立てられる。この仮説は、
MT−MMPの過発現が細胞表面上でのゼラチナーゼA
の蓄積を引き起こすという知見によって支持されると考
えられる(Sato,H.,Takino,T.,Ok
ada,Y.,Cao,J.,Shinagawa,
A.,Yamamoto,E.,および Seiki,
M.(1994)Nature 370,61−6
5)。
胞媒介活性化における二機能調節因子である。Stro
nginら(Strongin,A.Y.,Colli
er,I.,Bannikov,G.,Marmer,
B.L.,Grant,G.A.,および Goldb
erg,G.I.(1995)J.Biol.Che
m.270,5331−5338)は、少量のTIMP
−2が、MT−MMP含有細胞膜によるプロゼラチナー
ゼAの活性を促進するが、過剰のTIMP−2はMT−
MMP活性を強く阻害することを示した。これは、TI
MP−2のMT−MMPに対する結合がプロゼラチナー
ゼAに受容体を与える反面、MT−MMPの触媒活性は
阻害するためであると説明されうる。
ナーゼA、TIMP−2および3種類のMT−MMPの
発現レベルを検討し、そしてプロゼラチナーゼAの活性
化が、培地中に分泌されたTIMP−2のレベルとのみ
強い逆の相関関係を有することを発見した。これによ
り、TIMP−2はプロゼラチナーゼAの活性化の重要
な調節因子であることが示唆された(Shofuda,
K.,Moriyama,K.,Nishihash
i,A.,Higashi,S.,Mizushim
a,H.,Yasumitsu,H.,Miki,
K.,Sato,H.,Seiki,M.,および M
iyazaki,K.(1998)J.Bioche
m.(東京)124,462−470)また、前述した
TIMPとMMPとの複合体の結晶構造のデータによれ
ば、TIMP−1もTIMP−2もNH2末端のCys
−1のα−アミノ基およびカルボニル酸素が、プロテア
ーゼの触媒亜鉛と相互作用していると推定され、よっ
て、TIMPのNH2末端のCys−1による触媒亜鉛
原子のキレート化は、MMP活性の阻害に共通の機序で
あると考えられる。
IMP−2において、MMPとの結合に関与していると
予測されるNH2末端部位を修飾したTIMP−2修飾
体を製造した。そして、プロゼラチナーゼAの細胞媒介
活性化に対するTIMP−2修飾体の作用について検討
した。その結果、シアネートイオンでTIMP−2を処
理したところ、マトリライシンまたはゼラチナーゼAに
対する阻害活性の低下をもたらすことを見出した。TI
MP−2修飾体の構造的および機能的分析により、阻害
活性の低下はTIMP−2のNH2末端Cys−1のα
−アミノ基のカルバミル化によることが示された(実施
例)。
合に関与するNH2末端を修飾し、MMPとの結合性を
実質的に消失しているTIMP修飾体を提供する。既に
記載したように、TIMPは既に4つの型が発見されて
おり、TIMP−1ないしTIMP−4と命名されてい
る。それらのアミノ酸配列を各々配列表の配列番号1な
いし4に示す。いずれの型も前駆体として産生され、後
にシグナル配列が切断されて成熟体となる。シグナル配
列の切断は、いずれの型もアラニンとシステインの間で
起こる。即ち、TIMP−1では、アミノ酸残基番号で
第23番目と第24番目の間が、TIMP−2では第2
6番目と第27番目の間が、TIMP−3では第23番
目と第24番目の間が、そして、TIMP−4では第2
9番目と第30番目の間が切断される。よって、成熟体
はいずれもN末端がシステイン残基となる。
胞、HT1080ヒト繊維肉腫細胞系の馴化培地等の材
料より、公知の方法(Miyazaki,K.,Fun
ahashi,K.,Numata,Y.,Koshi
kawa,N.,Akaogi,K.,Kikkaw
a,Y.,Yasumitsu,H.,および Ume
da,M.(1993)J.Biol.Chem.26
8,14387−14393;ならびにCollie
r,I.E.,Wilhelm,S.M.,Eise
n,A.Z.,Marmer,B.L.,Grant
G.A.,Seltzer,J.L.,Kronber
ger,A.,He,C.,Bauer,E.A.,お
よび Goldberg,G.I.(1988)J.B
iol.Chem.263,6579−6587)を用
いて精製することができる。または、本明細書の配列表
に記載されているように、アミノ酸配列も公知であり、
遺伝子工学的手法により産生させることもできる。遺伝
子工学的手法によるタンパク質の産生は当業者に熟知さ
れており、当業者は本明細書に基づいて、TIMPを得
ることが可能である。
TIMP−2の修飾体である。しかしながら、本発明の
TIMP修飾体は特定の型のTIMPに限定されず、T
IMP−1等他の修飾体も含まれる、配列表の配列番号
No.1ないしNo.4に記載されたアミノ酸配列から
も、特にNH2末端領域の配列は相同性が高いことがわ
かる。さらに、前述したように、MMPとの結合体は、
TIMP−1、TIMP−2のいずれもNH2末端のC
ys−1のα−アミノ基およびカルボニル酸素が、プロ
テアーゼの触媒亜鉛と相互作用していると推定され、よ
って、TIMPのNH2末端のCys−1による触媒亜
鉛原子のキレート化は、MMP活性の阻害に共通の機序
であると考えられる。よって、いずれのTIMPにおい
ても共通してNH2末端を修飾することにより、MMP
との結合性を実質的に消失すると考えられる。
TIMPの遊離NH2末端を修飾する。修飾は、電子吸
引性の基であれば既知のものを用いることができる。例
えば、限定されるわけではないが、カルバミル基、アセ
チル基、アミジノ基、トリニトロフェニル基等である。
カルバミル基が好ましい。
は、特に限定されず、公知の方法を用いることによって
行える。例えば、カルバミル基によって修飾する場合、
先ず、水溶液中、KNCOを用いて、20℃から40
℃、好ましくは25℃から37℃で、10分から5時
間、好ましくは20分から30分間反応させる。緩衝液
としては、トリス−HCl、ヘペス(Hepes)−ナ
トリウム、リン酸緩衝液等を用いることができる。pH
は、7.0−8.5の範囲内である。次いで、ヒドロキ
シアミン塩酸塩等のヒドロキシルアミンの塩を添加し反
応を停止させることにより、カルバミル基導入量を調節
することができる。反応は、10℃から25℃、好まし
くは20℃から25℃で、30分から2時間、好ましく
は60分から2時間行う。
TIMPを、アフィニティーカラム等により、非修飾T
IMPと分離することができる。アフィニティーカラム
の担体に固定する物質としては、各TIMPのNH2末
端の反応性部位とのみと結合性を有するもの、例えば、
TIMP−2の場合は、マトリライシン、ストロムライ
シン等を固定化物質として使用できる。
P修飾体は、末端NH2が修飾されているため、MMP
と結合することができず、よって複合体を生成できな
い。例えば、本明細書の実施例において、1個のカルバ
ミル化されたα−アミノ基を有する修飾TIMP−2
は、マトリライシンとの親和性をもたなかった。理論に
しばられるわけではないが、TIMPの末端NH2を電
子吸引性の基で修飾することにより、アミノ基のNα窒
素の塩基度の減少がもたらされ、これによりNα窒素が
MMPの触媒中心である亜鉛原子に配位できないように
させ、それによってTIMP−2の阻害活性を消滅させ
ると考えられる(図7A)。
は修飾されていない。よって、本発明ではTIMPのC
末端領域の関与する反応は阻害されない点をその特徴の
一つとする。例えば、TIMP−1とTIMP−2は、
活性型となる前の潜在型(プロ型)MMPとも複合体を
形成することが知られており、TIMP−1は潜在型M
MP−9と、TIMP−2はプロゼラチナーゼA(潜在
型MMP−2)と、C末端領域同士の親和性により結合
することが知られている(Birkedal−Hans
en,H.,Moore,W,G.,Bodden,
M.K.ら:Crit.Rev.Oral Biol.
Med.4,197−250(1993); Naga
e,H.:Biol.Chem.378,151−16
0(1997))。即ち、TIMP−2は、N末端領域
でMT1−MMPと結合し、一方、C末端側でプロゼラ
チナーゼAと結合し、三分子複合体を形成すると推測さ
れている。プロゼラチナーゼAが活性型のゼラチナーゼ
Aになるためには、当該三分子複合体を形成することが
必要であるとするモデルが考えられている(図7B)。
修飾されており、MMP、例えば、TIMP−2の場合
はMT1−MMPと結合できない一方、C末端は修飾さ
れていないので、プロゼラチナーゼAとの結合が可能で
ある(図5)。よって、プロゼラチナーゼAとの結合に
おいて天然のTIMP−2と競合する一方、MT1−M
MPとは結合せず、TIMPを含む複合体の形成を阻害
する。従って、このようなTIMPの複合体の形成によ
り促進される反応が、調節、抑制される。一方、NH2
末端が結合するMMP自体の酵素活性機能には無関係で
ある。例えば、本発明のTIMP−2修飾体は、MT1
−MMPの触媒活性を阻害することなく、プロゼラチナ
ーゼAの活性化を阻害できる(図7A)。このようにT
IMP−2修飾体は、MT1−MMPのプロテアーゼ活
性自体と、TIMPと結合して複合体を形成し、プロゼ
ラチナーゼAの活性化を促進する機能とを区別する有用
な手段である。
体を含む、薬学的に受容可能な担体と共に含む医薬用組
成物を提供する。本発明の医薬用組成物は、MMPが関
与する癌の転移および血管新生の抑制、並びにこれらに
伴う疾患を予防、治療するために有用である。具体的に
は、特に、胃癌、大腸癌、肺癌、頭頸部癌、脳腫瘍、乳
癌、甲状腺癌、前立腺癌、卵巣癌、膵癌等の癌の転移お
よびそれにおける血管新生等の予防、治療に有用であ
る。
体との混合物中に、TIMPの治療上有効な量を含む。
本発明の組成物は、全身的にまたは局所的に、経口的ま
たは静脈内、皮下内、筋肉内等の非経口的に投与しう
る。
状等公知の所望の形態を採用しうる。製剤化には、賦形
剤、希釈剤、潤滑剤、結合剤、流動助剤、崩壊剤、界面
活性剤等、公知の所望の製剤化のための補助剤を使用し
うる。
パク質溶液の調剤は、pH、等張性、安全性等を考慮
し、当業者の技術範囲内において行いうる。本発明の組
成物の用量用法は、薬剤の作用、例えば、患者の症状の
性質および/もしくは重度、体重、性別、食餌、投与の
時間、並びに他の臨床的作用を左右する種々の因子を考
慮し、診察する医師により決定されうる。当業者は、こ
れらの要素に基づき、本発明の組成物の用量を決定する
ことができる。以下、実施例によって本発明を説明する
が、実施例は例証のためのものであり、本発明を制限す
るものではない。本発明の範囲は、請求の範囲の記載に
基づいて判断される。さらに、当業者は本明細書の記載
に基づいて、容易に修正、変更を加えることが可能であ
る。
験手順」によって行った。実験手順 材料 用いられた材料の由来は次の通りであった。Pepti
de Institute,Inc.(大阪,日本)か
らの3167−v(7−メトキシクマリン−4−イル)
アセチル−Arg−Pro−Lys−Pro−Tyr−
Ala−ノルバリル−Trp−Met−Nε−(2,4
−ジニトロフェニル)−リシンアミド);和光純薬株式
会社(大阪)からのシアン酸カリウム;東京化成(東
京,日本)からのp−アミノフェニル酢酸第二水銀(A
PMA);Pharmacia Fine Chemi
cals(ウプサラ,スウェーデン)からのCNBr活
性セファロース4B;Beckman(フラートン,C
A)からの Ultrasphere ODS 5U
(2.0×150mm)。N−トシル−L−フェニルア
ラニンクロロメチルケトンで処理されたウシ膵臓トリプ
シンは、Worthington(フリーホールド,N
J)から購入され;植物レクチンコンカナバリンA(I
V型,実質的に炭水化物不含)は Sigma(セント
・ルイス,MO)から;ゼラチンは Difco(デト
ロイト,MI)からであった。組換えヒトマトリライシ
ンは、オリエンタル酵母工業株式会社製(滋賀,日本)
のものを使用した。他の化学薬品は全て、分析用または
商業的に入手可能なものを使用した。タンパク質 TIMP−2不含およびTIMP−2結合型のプロゼラ
チナーゼAは、前に記載されたように(Miyazak
i,K.,Funahashi,K.,Numata,
Y.,Koshikawa,N.,Akaogi,
K.,Kikkawa,Y.,Yasumitsu,
H.,および Umeda,M.(1993)J.Bi
ol.Chem.268,14387−14393)、
T98Gヒトグリア芽細胞腫細胞系の馴化培地(以下、
「CM」と言う)から別個に精製した。TIMP−2
は、Collier ら(Collier,I.E.,
Wilhelm,S.M.,Eisen,A.Z.,M
armer,B.L.,GrantG.A.,Selt
zer,J.L.,Kronberger,A.,H
e,C.,Bauer,E.A.,および Goldb
erg,G.I.(1988)J.Biol.Che
m.263,6579−6587)の方法にしたがって
SynChropak RP−4 逆相カラム(Syn
Chrom;ラフィエット,IN)を用いて、TIMP
−2結合プロゼラチナーゼAから精製した。プロゼラチ
ナーゼAに対するウサギ抗血清は、公知の方法を用いて
製造したものを使用した。KNCOを用いるTIMP−2の化学修飾 50μlの1.0M KNCOを、0.1M NaCl
および0.01%NaN3を含有する50mMトリス−
HCl(pH7.5)(トリス緩衝食塩水;TBS)中
に500ピコモルのTIMP−2を含有した200μl
のタンパク質溶液に対して加えた。その混合物を37℃
で0分間、30分間、60分間、120分間および24
0分間インキュベートした。インキュベーション後、反
応混合物から得られた50μlの各試料を20μlの
1.0Mヒドロキシルアミン塩酸塩(pH8.0)と混
合し、そして25℃で1時間インキュベートして修飾反
応を終結させた。得られた反応混合物をTBSに対して
4℃で透析した。化学修飾後のTIMP−2の阻害活性の検定 種々の条件下でのTIMP−2の修飾後、種々の濃度の
TIMP−2修飾体を、10mM CaCl2および
0.01%のBrij35を含有する90μlのTBS
中のマトリライシン(33nM)と一緒に37℃で15
分間インキュベートした。それら混合物を、10μlの
1mMの3167vと一緒に加え、そして更に40分間
インキュベートした。その反応物を、100μlの0.
1M EDTA(pH7.5)を加えることによって終
結させた。マトリライシンによって加水分解された31
67vの量を、360nmでの励起および460nmで
の発光を用いて蛍光定量法によって測定した。酵素非存
在下で加水分解された3167vの量を、加水分解され
た基質の全量から差引いた。TIMP−2(150μ
g)を、500μlのTBS中0.2M KNCOと一
緒に37℃で25分間インキュベートした。この処理
は、TIMP−2の阻害活性の50%減少を引き起こし
た。部分カルバミル化後の活性および不活性TIMP−2の
分離 KNCOで処理したTIMP−2試料を、0.2Mヒド
ロキシルアミン塩酸塩と一緒に25℃で1時間更にイン
キュベートした後、10mM CaCl2含有TBSに
対して4℃で充分に透析した。活性TIMP−2と不活
性TIMP−2を分離するために、マトリライシン10
0μgを500μlのCNBr活性セファロース4Bに
対して結合させたマトリライシン−セファロース4Bカ
ラムに対してその反応混合物を加え、そして不活性TI
MP−2を含有する流出(flow−through)
画分を集めた。10mM CaCl2含有TBSでカラ
ムを洗浄後、吸着した試料(活性TIMP−2)を、4
Mグアニジン塩酸塩および20mM EDTAを含有す
るTBSで溶離した。溶離後、そのカラムを、10mM
CaCl2および50μM ZnCl2を含有するTB
Sで、次いで10mM CaCl2含有TBSで逐次的
に洗浄して、固定されたマトリライシンを再生した。流
出画分および溶離画分中のTIMP−2試料を、リン酸
緩衝溶液に対して別々に透析した。TIMP−2修飾体によるゼラチナーゼA活性の阻害検
定 TIMP−2不含型のプロゼラチナーゼAを、前に記載
されたように(Miyazaki,K.,Funaha
shi,K.,Numata,Y.,Koshikaw
a,N.,Akaogi,K.,Kikkawa,
Y.,Yasumitsu,H.,および Umed
a,M.(1993)J.Biol.Chem.26
8,14387−14393)、1mM APMAと一
緒に37℃で1時間インキュベートすることによって活
性化させた。活性型ゼラチナーゼA(89nM)を、1
0mM CaCl2および0.01%Brij35を含
有する90μlのTBS中の種々の濃度のTIMP−2
のKNCO処理誘導体と一緒に37℃で15分間インキ
ュベートした。それら混合物を、10μlの1mM31
67vと一緒に加え、そして更に40分間インキュベー
トした。100μlの0.1M EDTA(pH7.
5)を加えることによって反応を終結させた。加水分解
された3167vの量を上記のように測定した。マトリライシン結合画分およびマトリライシン非結合画
分中のKNCOで処理された型のTIMP−2の還元お
よびS−カルボキサミドメチル化 マトリライシン結合画分およびマトリライシン非結合画
分中のKNCOで処理された型のTIMP−2それぞれ
(10μM)を、4Mグアニジン塩酸塩および20mM
EDTAを含有するTBS中100mMジチオトレイ
トールと一緒に50℃で30分間インキュベートした。
インキュベーション後、それら試料を氷水の容器に移
し、そして240mMヨードアセトアミドと一緒に更に
インキュベートした。2時間後、試料をTBSに対して
透析した。細胞培養物並びにCMおよび細胞溶解産物の調製 HT1080線維肉腫細胞系を、10%ウシ胎児血清
(FCS)を補足したダルベッコ修飾イーグル培地およ
びハムのF12培地(Gibco;グランド・アイラン
ド,NY)の1:1混合物、DME/F12中で半密集
まで増殖させた。それら細胞を血清不含DME/F12
で3回洗浄し、そして血清不含DME/F12中の種々
の濃度のTIMP−2またはTIMP−2修飾体および
一定濃度のコンカナバリンA(100μg/ml)の存
在下で培養を更に続けた。24時間後、得られたCMを
集め、遠心分離によって清澄にし、そして蒸留水に対し
て4℃で透析した。次に、試料を凍結乾燥させ、そして
50mMトリス−HCl(pH6.8)、2%ドデシル
硫酸ナトリウムおよび10%グリセロールから成る少量
のドデシル硫酸ナトリウム試料採取用緩衝液中に溶解さ
せた。これら手順により、初期CMを20倍に濃縮し
た。細胞溶解産物を調製するために、細胞をリン酸緩衝
溶液で3回洗浄後、少量のドデシル硫酸ナトリウム試料
採取用緩衝液中に溶解させた。リガンドブロッティング分析 TIMP−2またはTIMP−2修飾体を、非還元条件
下においてドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動に供した。電気泳動後、ゲル上のタンパ
ク質を、Bio−Rad Mini Trans−Bl
ot 装置(リッチモンド,CA)を用いてニトロセル
ロース膜上に移した。その膜を、5%脱脂乳含有TBS
を用いて室温で12時間遮断し、0.05%トゥイーン
(Tween)20、10mM CaCl2および0.
1%ウシ血清アルブミンを含有するTBS(TBS−ト
ゥイーン)で洗浄後、TBS−トゥイーン中においてプ
ロゼラチナーゼA(5μg/ml)と一緒に室温でイン
キュベートした。3時間後、膜をTBS−トゥイーンで
洗浄し、そしてTBS−トゥイーンで1000倍に希釈
された抗プロゼラチナーゼA抗血清と一緒に3時間イン
キュベートした。TBS−トゥイーンで洗浄後、膜を1
000倍希釈ビオチニル化抗ウサギIgG抗体(Vec
tor Laboratories;バーリンゲーム,
CA)とインキュベートし、TBS−トゥイーンで洗浄
後、アビジン−アルカリ性ホスフェート(Vecto
r)と一緒に室温で1時間インキュベートした。その膜
を充分に洗浄後、5−ブロモ−4−クロロ−3−インド
リルリン酸およびニトロブルーテトラゾリウムを含有す
る反応混合物中でインキュベートして、膜上に着色生成
物を生じさせた。ゼラチンザイモグラフィー ザイモグラフィーは、Miyazakiら(Miyaz
aki,K.,Hattori,Y.,Umenish
i,F.,Yasumitsu,H.,およびUmed
a,M.(1990)Cancer Res.50,7
758−7764)に記載されたように、ゼラチン1m
g/mlを含有する10%ポリアクリルアミドゲル上で
行った。アミノ末端配列分析 試料を、Applied Biosystems 47
7A 気相シークエンサーで分析した。フェニルチオヒ
ダントイン誘導体を、Applied Biosyst
ems 120A PTH 分析器を用いてオンライン
システムで検出した。質量分析 TIMP−2のトリプシンペプチド(10ピコモル/μ
l)を、等容量のα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸
溶液(α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸10mg
を、0.1%トリフルオロ酢酸含有50%アセトニトリ
ル1ml中に溶解させた)と一緒に混合した。試料/マ
トリックス溶液を、飛翔質量分析(flight ma
ss spectrometry)のマトリックス介助
レーザー脱離イオン化時間のために試料プレート上に滴
下した後、周囲条件下で乾燥させた。質量スペクトル
は、Voyager−DE(商標)STR システム
(PerSeptive Biosystems,In
c.;フレーミンハム,MA)で得られた。実施例 阻害活性に対するTIMP−2のKNCO処理の効果 TIMP−1とストロムライシンとの間に形成される複
合体の最近確認された結晶構造は、TIMP−1のNH
2末端のCys−1のα−アミノ基が、ストロムライシ
ンの活性部位の触媒亜鉛原子に対して結合し、したがっ
て、TIMP−1の阻害作用において本質的な役割を果
たすことを示唆している(Gomis−Ruth,F.
X.,Maskos,K.,Betz,M.,Berg
ner,A.,Huber,R.,Suzuki,
K.,Yoshida,N.,Nagase,H.,B
rew,K.,Bourenkov,G.P.,Bar
tunik,H.,および Bode,W.(199
7)Nature 389,77−81)。TIMP−
2のNH2末端部分の構造はTIMP−1のそれと相同
であるので、TIMP−2のCys−1のα−アミノ基
は、TIMP−1のそれに対応して、TIMP−2の阻
害作用に重要でありうる。この可能性を検討するため
に、本発明者は、種々の条件下においてTIMP−2を
KNCOで処理することによってCys−1のα−アミ
ノ基をカルバミル化することを試みた。そしてTIMP
−2修飾体を、3167vのマトリライシンに触媒され
た加水分解を阻害するそれらの能力について調べた。図
1Aで示されるように、TIMP−2とKNCOとのイ
ンキュベーションは、阻害のIC50値の増加をもたらし
た。このIC50は、マトリライシンの活性の50%阻害
を与えるTIMP−2修飾体の濃度を示している。KN
COとのインキュベーション時間に対するIC50の逆の
値をプロットした場合、1/IC50値は、KNCOとの
インキュベーション時間の増加に伴って減少し、そして
1/IC50値の50%減少は、インキュベーション時間
が25分である場合に観察された(図1B)。TIMP
−2の阻害活性は、KNCOとの4時間のインキュベー
ション後に消滅した。TIMP−2の部分修飾後の活性および不活性画分の分
離 「実験手順」で記載されたように、TIMP−2を0.
2M KNCOを用いて37℃で25分間処理した。こ
の修飾は、TIMP−2の50%阻害活性の減少をもた
らした(図1)。次に、部分修飾されたTIMP−2
を、マトリライシン−セファロース4Bカラムで分離し
た。分離後、マトリライシン結合画分およびマトリライ
シン非結合画分はほぼ同量のタンパク質を含有し(デー
タは示されていない)、分離前の修飾TIMP−2の約
50%は、マトリライシンに対してほとんど親和性がな
かったことが示唆された。マトリライシン結合画分およ
び天然TIMP−2は、3167vのマトリライシンに
触媒された加水分解を阻害する同様の能力を示した(図
2A)。対照的に、マトリライシン非結合画分は、阻害
活性がなかった。マトリライシン非結合画分は、APM
A活性ゼラチナーゼAに対しても不活性であった(図2
B)。これらデータは、TIMP−2のKNCOでの処
理が、TIMP−2の末端NH2の修飾をもたらし、し
たがって、プロテアーゼ阻害複合体の形成を妨げるとい
う知見と一致する。TIMP−2の阻害活性の減少に関与する修飾部位の決
定 阻害活性の減少に関与する修飾部位を決定するために、
マトリライシン結合画分およびマトリライシン非結合画
分中の試料を還元し且つS−カルボキサミドメチル化し
た後、トリプシン消化を施し、その後、消化物を逆相H
PLCによって分離した。2種類の溶離プロフィール間
で認められる違いは、マトリライシン結合画分およびマ
トリライシン非結合画分それぞれからのB−20および
U−21のピークだけであった(図3AおよびB)。そ
れらペプチドの質量分析(図4AおよびB)は、B−2
0およびU−21の分子質量がそれぞれ、2345.2
2および2388.26であることを示した。測定され
た分子質量に基づき、B−20は、ヒトTIMP−2の
残基1ないし20に該当するペプチドとされる。もう一
方で、B−20とU−21との間の分子質量の差はカル
バミル付加物の質量に相当し、U−21は、1個のカル
バミル化アミノ基を有するTIMP−2の残基1ないし
20に該当するペプチドであることが示唆される。
分析においてTIMP−2の残基1ないし19に該当す
る配列が決定されたが、第1番目、第3番目および第1
3番目の残基は、S−カルボキサミドメチルシステイン
のフェニルチオヒダントイン誘導体として検出された。
一方、U−21のNH2末端配列分析において、アミノ
酸のフェニルチオヒダントイン誘導体は検出されなかっ
た。これらの結果は、B−20およびU−21が、残基
1ないし20に該当するTIMP−2のNH2末端部分
から誘導されたペプチドであること、およびU−21の
Cys−1のα−アミノ基はカルバミル化されているこ
とを示している。これらの結果は、TIMP−2のNH
2末端のCys−1のα−アミノ基のカルバミル化が、
TIMP−2の失活をもたらすということも示唆してい
る。プロゼラチナーゼA結合能力に対するTIMP−2のK
NCO処理の効果 MMP阻害活性に加えて、TIMP−2は、プロゼラチ
ナーゼAのヘモペキシン様ドメインと相互作用する能力
も有する。TIMP−2のカルバミル化がプロゼラチナ
ーゼA結合能力に影響を与えるかどうか調べるために、
KNCOで処理されたTIMP−2のマトリライシン結
合画分およびマトリライシン非結合画分並びに天然TI
MP−2のプロゼラチナーゼA結合能力について、「実
験手順」で記載のリガンドブロッティング分析を用いて
試験した。図5で示されるように、天然TIMP−2並
びにマトリライシン非結合画分中のKNCO処理された
TIMP−2およびマトリライシン結合画分中のそれ
は、プロゼラチナーゼAと結合する同様の能力を有し、
TIMP−2のカルバミル化が、プロゼラチナーゼAと
の相互作用にほとんど影響しないことが示唆された。プロゼラチナーゼAの細胞媒介活性化に対するTIMP
−2修飾体および天然TIMP−2の効果 MT−MMPとTIMP−2との間に形成された複合体
は、プロゼラチナーゼAの受容体として作用し、そして
その三分子複合体の形成は、プロゼラチナーゼAの細胞
媒介活性化に不可欠であるという仮説が立てられた(S
trongin,A.Y.,Marmer,B.L.,
Grant,G.A.,および Goldberg,
G.I.(1993)J.Biol.Chem.26
8,14033−14039; Strongin,
A.Y.,Collier,I.,Bannikov,
G.,Marmer,B.L.,Grant,G.
A.,およびGoldberg,G.I.(1995)
J.Biol.Chem.270,5331−533
8; Kinoshita,T.,Sato,H.,O
kada,A.,Ohuchi,E.,Imai,
K.,Okada,Y.,およびSeiki,M.(1
998)J.Biol.Chem.273,16098
−16103)。カルバミル化されたTIMP−2のマ
トリライシン非結合画分は、MMPの活性部位と相互作
用する反応性部位を失っているが、プロゼラチナーゼA
結合部位を保持しているので、TIMP−2修飾体は、
プロゼラチナーゼAの限られた数のTIMP−2結合部
位に関して競合することによってその三分子複合体の形
成を妨げることができると考えられる。この可能性を検
討するために、種々の濃度の修飾型および非修飾型のT
IMP−2並びに天然TIMP−2を、コンカナバリン
Aで刺激されたHT1080細胞のCMに対して加え、
そして細胞溶解産物中の様々な種類の内因性ゼラチナー
ゼAおよびCM中のそれらを、ゼラチンザイモグラフィ
ーによって分析した。図6Aで示されるように、細胞に
結合した成熟型のゼラチナーゼAは、マトリライシン非
結合画分中の不活性のTIMP−2修飾体の濃度の増加
に伴って徐々に減少した。細胞溶解産物中のプロゼラチ
ナーゼAおよびプロゼラチナーゼBは、TIMP−2修
飾体によって影響されなかった。これら検出されたチモ
ーゲンは、細胞から分泌される前のタンパク質でありう
る。CM中では、ゼラチナーゼAの中間型はTIMP−
2修飾体の存在下、顕著に減少しなかったものの、成熟
型はTIMP−2修飾体の濃度が36nMまたはそれ以
上まで増加するに伴いほとんど消滅した。一方、プロゼ
ラチナーゼAの量はTIMP−2の濃度の増加に伴って
増加した(図6B)。これは、内因性プロゼラチナーゼ
Aの中間型への変換は部分的に阻害されたが、中間型の
成熟型への変換は、高濃度のTIMP−2修飾体の存在
下において強く阻害されたことを示唆した。CM中の成
熟型ゼラチナーゼAの消失は、細胞結合成熟型の減少と
平行していた。したがって、中間型の成熟型への変換
は、細胞に結合した活性ゼラチナーゼAに依存しうる。
もう一方において、マトリライシン結合画分中の活性T
IMP−2を濃度を変化させながらHT1080細胞の
培養物中に加えた場合、細胞結合成熟型のゼラチナーゼ
Aは、4.5nMの活性TIMP−2で僅かに増加した
後、更に高濃度では急激に減少した(図6A)。CM中
のゼラチナーゼAの成熟型および中間型両方が消失した
が、プロゼラチナーゼAは、活性TIMP−2の濃度の
増加に伴って増加した。よって、プロゼラチナーゼAの
MT−MMPによるプロセシングは、活性TIMP−2
の存在下で阻害されたことが示唆された。CM中のゼラ
チナーゼAの成熟型および中間型の消失は、細胞結合成
熟型の減少とも平行していた。活性TIMP−2による
プロゼラチナーゼAのプロセッシングの阻害は、細胞結
合プロゼラチナーゼAの量の増加を伴わなかったので、
細胞結合チモーゲンは、高濃度のTIMP−2存在下、
細胞表面から遊離すると考えられる。
びプロゼラチナーゼAの細胞媒介活性化に対するマトリ
ライシン結合画分中の活性TIMP−2の作用は、天然
TIMP−2の作用とほぼ同様であった(データは示さ
れていない)。以上の実施例において、TIMP−2修
飾体を、コンカナバリンAで刺激されたHT1080細
胞の培地に対して加えた場合、内因性プロゼラチナーゼ
Aの中間型への変換は部分的に阻害され、その中間型の
成熟型への変換は強く阻害された。本発明のTIMP−
2修飾体は、細胞表面上での活性型ゼラチナーゼAの蓄
積をも妨げた。理論に縛られるわけではないが、本発明
者は、TIMP−2修飾体によるゼラチナーゼAのヘモ
ペキシン様ドメインの占有が、ゼラチナーゼAを細胞表
面上に保持できないようにさせ、それによってゼラチナ
ーゼAの中間型からその成熟型への自己触媒的変換を妨
げると推測している。
熟型への変換がゼラチナーゼAの細胞に結合した活性に
依存しているので、TIMP−2修飾体による細胞に結
合した活性型ゼラチナーゼAの喪失は、成熟型の生産の
阻害を引き起こすということも考えている。実際、高濃
度のTIMP−2修飾体の存在下において、CM中の成
熟型ゼラチナーゼAの消失は、細胞に結合した活性ゼラ
チナーゼAの減少と平行していた(図6)。
ロ)ゼラチナーゼAから成る三分子複合体の形成の重要
性を考えると、TIMP−2によるプロゼラチナーゼA
の細胞媒介活性化の阻害は、二つの別の方法で説明でき
ると考えられる。一つの解釈は、過剰のTIMP−2
が、MT−MMPの活性部位および(プロ)ゼラチナー
ゼAのヘモペキシン様ドメイン中のTIMP−2結合部
位両方を占有し、それによって三分子複合体の形成を妨
げるということである(図7B)。もう一つの解釈は、
TIMP−2がMT−MMPの触媒活性を阻害し、それ
によってプロゼラチナーゼAのタンパク質分解過程を阻
害するということである。
−2修飾体も、細胞結合プロゼラチナーゼAを増加させ
ることなく、細胞表面上での活性ゼラチナーゼAの蓄積
を防止しうることを発見した。これらデータは、三分子
複合体の形成の防止が、TIMP−2によるプロゼラチ
ナーゼAの細胞媒介活性化の阻害の原因となることを示
唆している。
の中間型の生産を阻害したが、TIMP−2修飾体は阻
害しなかった。したがって、TIMP−2によるMT−
MMPの触媒活性の阻害は、プロゼラチナーゼAのプロ
セッシングの阻害の原因となるということも考えられ
る。CM中の成熟型および中間型ゼラチナーゼAの消失
並びに細胞に結合した活性ゼラチナーゼAの減少は、同
様の濃度の非修飾TIMP−2で認められたので(図
6)、三分子複合体の形成の防止およびMT−MMP活
性の阻害は、臨界的濃度のTIMP−2存在下、同時に
起こりうる(図7B)。それら機序の両方が、TIMP
−2がプロゼラチナーゼAの細胞媒介活性化の調節因子
になり得る要因であると考えられる。
果を示す。TIMP−2(2μM)を、TBS中0.2
M KNCOと一緒に37℃で0分間(●)、30分間
(○)、60分間(▲)、120分間(△)および24
0分間(x)インキュベートした。インキュベーション
後、それぞれの試料をヒドロキシルアミン塩酸塩で処理
し、そして「実験手順」で記載されたようにTBSに対
して透析した。パネルAでは、マトリライシン(30n
M)を、種々の濃度のTIMP−2のKNCOで処理さ
れた誘導体の存在下において0.1mMの3167vと
一緒に37℃で40分間インキュベートした。反応混合
物は全て、TBS、10mM CaCl2および0.0
1%Brij35を含有した。マトリライシンによって
加水分解された3167vの量を100%として、各濃
度のTIMP−2のKNCO処理誘導体の存在下でマト
リライシンによって加水分解された3167vの相対量
を縦座標で示す。パネルBでは、KNCOとのインキュ
ベーション時間に対するパネルAで得られたIC50の逆
の値をプロットしている。IC50は、マトリライシンの
活性の50%阻害を与えるTIMP−2のKNCO処理
誘導体の濃度を示す。
トリライシン非結合画分中のKNCOで処理された型の
TIMP−2の阻害活性を示す。KNCOでの処理後、
部分修飾されたTIMP−2を、「実験手順」で記載さ
れたようにマトリライシン−セファロース4Bカラムを
用いて分離した。マトリライシン(30nM,パネル
A)およびAPMA活性化ゼラチナーゼA(80nM,
パネルB)をそれぞれ、マトリライシン結合(●)およ
びマトリライシン非結合(○)画分中の種々の濃度のK
NCOで処理された型のTIMP−2の存在下におい
て、0.1mMの3167vと一緒に37℃で40分間
インキュベートした。反応混合物は全て、TBS、10
mM CaCl2および0.01%Brij35を含有
した。酵素によって加水分解された3167vの量を1
00%として、各濃度のKNCO処理型TIMP−2の
存在下で酵素によって加水分解された3167vの相対
量を縦座標で示す。
トリライシン非結合画分中のKNCOで処理された型の
TIMP−2のトリプシンペプチドのHPLC分離を示
す。マトリライシン結合(パネルA)およびマトリライ
シン非結合(パネルB)画分中のKNCOで処理された
型のTIMP−2をそれぞれ、「実験手順」で記載され
たように還元し且つS−カルボキサミドメチル化した
後、1:100(w/w)の酵素対基質比のトリプシン
を用いて37℃で24時間消化した。消化物をUltr
asphere ODS 5Uカラム(2.0×150
mm)に加え、そして0.05%トリフルオロ酢酸を含
有するアセトニトリルの直線勾配を用いて0.5ml/
分の流速で溶離した。カラム溶出液を206nmで監視
したが(実線)、破線はカラム基材中のアセトニトリル
の百分率を示す。
クトルを示す。ODSカラムから得られたピークB−2
0(パネルA)およびU−21(パネルB)を、マトリ
ックス溶液として10mg/mlのα−シアノ−4−ヒ
ドロキシケイ皮酸/50%アセトニトリル/0.1%ト
リフルオロ酢酸を用いて、マトリックス介助レーザー脱
離イオン化時間の飛翔質量分析に供した。
トリライシン非結合画分中のKNCOで処理された型の
TIMP−2のプロゼラチナーゼA結合能力を示す。マ
トリライシン非結合画分(N末端修飾されたTIMP−
2)およびマトリライシン結合画分(非修飾TIMP−
2)中のKNCOで処理された型のTIMP−2並びに
天然TIMP−2の指定量を、「実験手順」で記載され
たようにリガンドブロッティング分析に供した。縦座標
は、kDaの分子寸法を示す。
T1080細胞の溶解産物およびCM中でのプロゼラチ
ナーゼAのプロセッシングに対するN末端修飾および非
修飾TIMP−2の効果を示す。HT1080細胞を、
血清不含培地中において、マトリライシン非結合画分
(N末端修飾TIMP−2)およびマトリライシン結合
画分(非修飾TIMP−2)中の指定された濃度のKN
COで処理された型のTIMP−2並びに一定濃度(1
00μg/ml)のコンカナバリンAと一緒にインキュ
ベートした。細胞溶解物(パネルA)およびCM(パネ
ルB)を、インキュベートされた細胞から調製し、そし
て「実験手順」で記載されたようにゼラチンザイモグラ
フィーに供した。くさび形は、66kDaのプロゼラチ
ナーゼA(上段)、59kDaの中間型(中段)および
57kDaの成熟型(下段)のゼラチン分解バンドを示
す。90kDaの矢印は、プロゼラチナーゼBのゼラチ
ン分解バンドを示す。縦座標、kDaでの分子寸法。
び(プロ)ゼラチナーゼAから成る三分子複合体の形成
に対するTIMP−2修飾体および天然TIMP−2の
阻害作用についての仮説モデルを示す。
は、(プロ)ゼラチナーゼAのヘモペキシン様ドメイン
に関して競合することにより、MT−MMP、TIMP
−2および(プロ)ゼラチナーゼAから成る三分子複合
体の形成を阻害する。TIMP−2修飾体は、MT−M
MPの活性部位と相互作用できない。パネルBにおい
て、過剰量の天然TIMP−2は、MT−MMPの活性
部位および(プロ)ゼラチナーゼAのヘモペキシン様ド
メイン両方を占有することによって三分子複合体の形成
を阻害する。図中、H2Nは、TIMP−2のNH2末端
のCys−1のα−アミノ基を、H2NCONHは、T
IMP−2のNH2末端のCys−1がカルバミル化さ
れたα−アミノ基を、そして、Zn2+は、メタロプロテ
イナーゼの触媒亜鉛原子を示す。
構を解明し、TIMP修飾体によりTIMPの複合体の
形成により促進される反応を調節、抑制することが可能
となった。一方、NH2末端が結合するMMP自体の酵
素活性機能は影響を受けない。例えば、本発明のTIM
P−2修飾体は、MT1−MMPの触媒活性を阻害する
ことなく、プロゼラチナーゼAの活性化を阻害できる
(図7A)。
接阻害する金属酵素阻害剤が数多く研究・試験されてい
る。例えば、BE−16627B、S1−27等であ
る。しかしながら、これらのMMP阻害剤は、MMP活
性を広範囲に阻害してしまうため、種々の副作用が指摘
されている。
するためには、例えば、天然TIMPを過剰に投与する
方法も考えられる(図7B)。しかしながら、この方法
は、臨界量まではむしろ複合体の生成を促進する可能性
がある。また、過剰量のTIMPによりMMP活性自体
が阻害される可能性がある。
は、このようにMMP自体の酵素活性を阻害せず、TI
MPの型により特異的に潜在型MMPの活性化を阻害で
きる。よって、上述のような副作用等の問題も生ぜず、
また試験用の試薬としても有用である。
COの効果を示す。
ライシン非結合画分中のKNCOで処理された型のTI
MP−2の阻害活性を示す。
ライシン非結合画分中のKNCOで処理された型のTI
MP−2のトリプシンペプチドのHPLC分離を示す。
ルを示す。
ライシン非結合画分中のKNCOで処理された型のTI
MP−2のプロゼラチナーゼA結合能力を示す。
080細胞の溶解産物およびCM中でのプロゼラチナー
ゼAのプロセッシングに対するN末端修飾および非修飾
TIMP−2の効果を示す。
(プロ)ゼラチナーゼAから成る三分子複合体の形成に
対するTIMP−2修飾体および天然TIMP0−2の
阻害作用についての仮説モデルを示す。
Claims (7)
- 【請求項1】TIMPのNH2末端α−アミノ基を電子
吸引基で修飾し、メタロプロテイナーゼとの結合性を実
質的に消失しているTIMP修飾体。 - 【請求項2】TIMP修飾体がTIMP−2修飾体であ
る、請求項1に記載のTIMP修飾体。 - 【請求項3】前記電子吸引基がカルバミル基である、請
求項1または2に記載のTIMP修飾体。 - 【請求項4】請求項1ないし3のいずれか1項に記載の
TIMP修飾体を加えることにより、in vitro
でTIMPを含む複合体の形成を阻害する方法。 - 【請求項5】前記TIMP修飾体がTIMP−2修飾体
であり、前記複合体がMT−MMP、TIMP−2およ
びゼラチナーゼAを含む複合体である、請求項4に記載
の阻害方法。 - 【請求項6】請求項1ないし3のいずれか1項に記載の
TIMP修飾体を含む、薬学的に受容可能な担体と共に
含む医薬用組成物。 - 【請求項7】癌の転移抑制または血管新生抑制のために
用いる請求項6に記載の医薬用組成物。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09514299A JP4342027B2 (ja) | 1999-04-01 | 1999-04-01 | Timp修飾体 |
US09/540,530 US6534635B1 (en) | 1999-04-01 | 2000-03-31 | Modified timp |
CA2303509A CA2303509C (en) | 1999-04-01 | 2000-03-31 | Modified timp |
EP00107041A EP1041083B1 (en) | 1999-04-01 | 2000-04-03 | Modified timp |
DE60044316T DE60044316D1 (de) | 1999-04-01 | 2000-04-03 | Modifizierte TIMPs |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09514299A JP4342027B2 (ja) | 1999-04-01 | 1999-04-01 | Timp修飾体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000290294A true JP2000290294A (ja) | 2000-10-17 |
JP4342027B2 JP4342027B2 (ja) | 2009-10-14 |
Family
ID=14129564
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09514299A Expired - Fee Related JP4342027B2 (ja) | 1999-04-01 | 1999-04-01 | Timp修飾体 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6534635B1 (ja) |
EP (1) | EP1041083B1 (ja) |
JP (1) | JP4342027B2 (ja) |
CA (1) | CA2303509C (ja) |
DE (1) | DE60044316D1 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107921085A (zh) * | 2015-06-15 | 2018-04-17 | 小利兰·斯坦福大学托管委员会 | 用于治疗衰老相关病症的方法和组合物 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7060795B2 (en) * | 2002-12-19 | 2006-06-13 | Kimberly-Clark Worldwide, Inc. | Wound care compositions |
KR101363455B1 (ko) * | 2011-09-09 | 2014-02-21 | (주)케어젠 | 매트릭스 메탈로프로테아제 활성 억제 펩타이드 및 이의 용도 |
WO2018006049A1 (en) * | 2016-06-30 | 2018-01-04 | The Research Foundation For The State University Of New York | Compositions and methods for modifying activity of extracellular mmp-2 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU648505B2 (en) | 1989-05-19 | 1994-04-28 | Amgen, Inc. | Metalloproteinase inhibitor |
US5714465A (en) * | 1989-05-19 | 1998-02-03 | Amgen Inc. | Method of inhibiting tumor cell dissemination with a metalloproteinase inhibitor |
US5484735A (en) * | 1989-08-23 | 1996-01-16 | Northwestern University | Immunoassay of glycosylated proteins employing antibody directed to reductively glycosylated N-terminal amino acids |
-
1999
- 1999-04-01 JP JP09514299A patent/JP4342027B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
2000
- 2000-03-31 CA CA2303509A patent/CA2303509C/en not_active Expired - Fee Related
- 2000-03-31 US US09/540,530 patent/US6534635B1/en not_active Expired - Fee Related
- 2000-04-03 DE DE60044316T patent/DE60044316D1/de not_active Expired - Lifetime
- 2000-04-03 EP EP00107041A patent/EP1041083B1/en not_active Expired - Lifetime
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107921085A (zh) * | 2015-06-15 | 2018-04-17 | 小利兰·斯坦福大学托管委员会 | 用于治疗衰老相关病症的方法和组合物 |
JP2018517726A (ja) * | 2015-06-15 | 2018-07-05 | ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー | 老化関連症状を治療するための方法および組成物 |
US11141469B2 (en) | 2015-06-15 | 2021-10-12 | The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University | Methods and compositions for treating aging-associated conditions |
JP2021176883A (ja) * | 2015-06-15 | 2021-11-11 | ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー | 老化関連症状を治療する方法のために使用される医薬組成物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP1041083A1 (en) | 2000-10-04 |
DE60044316D1 (de) | 2010-06-17 |
CA2303509C (en) | 2011-01-25 |
JP4342027B2 (ja) | 2009-10-14 |
CA2303509A1 (en) | 2000-10-01 |
US6534635B1 (en) | 2003-03-18 |
EP1041083B1 (en) | 2010-05-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Howard et al. | Regulation of the autoactivation of human 72-kDa progelatinase by tissue inhibitor of metalloproteinases-2 | |
Christensson et al. | Complex formation between protein C inhibitor and prostate‐specific antigen in vitro and in human semen | |
US5786329A (en) | ATP-dependent protease and use of inhibitors for same in the treatment of cachexia and muscle wasting | |
EP0464147B1 (en) | Matrix metalloproteinase inhibitor peptides | |
Kenny et al. | Proteins of the kidney microvillar membrane. Purification and properties of the phosphoramidon-insensitive endopeptidase (‘endopeptidase-2’) from rat kidney | |
JP2736821B2 (ja) | マトリックスメタロプロテイナーゼペプチド:診断および治療における役割 | |
Szelke et al. | H-77: a potent new renin inhibitor. In vitro and in vivo studies. | |
Keppler et al. | Latency of cathepsin B secreted by human colon carcinoma cells is not linked to secretion of cystacin C and is relieved by neutrophil elastase | |
US5698671A (en) | Metalloproteinase peptides | |
Ferro et al. | Secretion of a Neuropeptide-Metabolizing Enzyme Similar to Endopeptidase 22.19 by Glioma C6-Cells | |
US4992537A (en) | cDNA encoding 92-kDA type IV collagenase | |
JP2000290294A (ja) | Timp修飾体 | |
JP2972328B2 (ja) | ヒトエラスターゼインヒビター | |
Yokosawa et al. | Purification and inhibition by neuropeptides of angiotensin‐converting enzyme from rat brain | |
Lew et al. | Substrate specificity differences between recombinant rat testes endopeptidase EC 3.4. 24.15 and the native brain enzyme | |
JPH08507754A (ja) | Mhc−1拘束性抗原提示におけるatp−ユビキチン依存蛋白分解の役割およびそのインヒビター | |
Leckie et al. | Peptide inhibitors of renin | |
Corvol et al. | Structure of the mouse submaxillary gland renin precursor and a model for renin processing. Arthur C. Corcoran Memorial Lecture. | |
Oku et al. | Antimetastatic and antitumor effect of a recombinant human tissue inhibitor of metalloproteinases-2 in murine melanoma models | |
JP3193085B2 (ja) | アンギオテンシン変換酵素阻害剤含有組成物の製造方法 | |
JP3073762B2 (ja) | アンギオテンシン変換酵素阻害剤含有組成物の製造方法 | |
HUT56130A (en) | Process for producing plasminogen activators and pharmaceutical preparatives containing these compounds | |
Takahashi et al. | Effects of vitamin A and dexamethasone on collagen degradation in mouse mammary adenocarcinoma | |
JPH10203967A (ja) | 単純ヘルペスウイルス1型プロテアーゼ阻害剤 | |
CN103370340A (zh) | 包含dhFas-1结构域和MMP底物的融合肽及其在预防和治疗类风湿性关节炎中的应用 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060403 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090115 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20090316 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090608 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090707 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120717 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |