JP2000289154A - ガスバリア性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
ガスバリア性フィルムおよびその製造方法Info
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Abstract
ィルム、およびそれを工業的に安価に製造する方法を提
供する。 【解決手段】フィルムの少なくとも片面に、ビニルアル
コール単位を40モル%以上含有するビニル系ポリマー
(A)と、マレイン酸または無水マレイン酸単位を10
モル%以上含有するビニル系ポリマー(B)を含有し、
かつ、(A)のビニルアルコール単位と(B)のマレイ
ン酸または無水マレイン酸単位のモル比が99/1〜4
0/60である層が形成されていることを特徴とするガ
スバリア性フィルム。
Description
れた熱可塑性樹脂フィルムおよびその製造方法に関する
ものである。
樹脂フィルムは強度、透明性、成形性、ガスバリア性に
優れていることから、包装材料として幅広い用途に使用
されている。しかしながら、レトルト処理食品等の長期
間の保存性が求められる用途に用いる場合には、さらに
高度なガスバリア性が要求される。
熱可塑性樹脂フィルムの表面にポリ塩化ビニリデン(P
VDC)を積層したフィルムが食品包装等に幅広く使用
されてきたが、PVDCは焼却時に酸性ガス等の有機物
質を発生するため、近年環境への関心が高まるとともに
他材料への移行が強く望まれている。
アルコール(PVA)は有毒ガスの発生もなく、低湿度
雰囲気下でのガスバリア性も高いが、湿度が高くなるに
つれて急激にガスバリア性が低下し、水分を含む食品等
の包装には用いることができない場合が多い。
を改善したフィルムとして、ビニルアルコールとエチレ
ンの共重合体(EVOH)からなるフィルムが知られて
いるが、高湿度下でのガスバリア性を実用レベルに維持
するためにはエチレンの含有量をある程度高くする必要
があり、そのようなポリマーは水に難溶であり、コーテ
ィング材料とする場合には有機溶媒または水と有機溶媒
の混合溶媒を用いる必要があり、環境問題の観点からも
望ましくなく、また有機溶媒の回収工程などを必要とす
るため、コスト高になるという問題がある。。
ィルムにコートし、高湿度下でも高いガスバリア性を発
現させる方法として、PVAとポリアクリル酸またはポ
リメタクリル酸の部分中和物とからなる水溶液をフィル
ムにコートし熱処理することにより、両ポリマーをエス
テル結合により架橋する方法が提案されているが(特開
10-237180号公報)、この方法ではエステル化を十分に
進行させて、フィルムのガスバリア性を十分に高めるた
めには高温で長時間の加熱が必要であり生産性問題があ
った。
来技術の問題点を解決し、高湿度下でも高いガスバリア
性を維持することができる熱可塑性樹脂フィルム、およ
びそれを工業的に安価に製造する方法を提供することを
目的とするものである。
の結果、特定の樹脂組成物をフィルムの表面に積層する
ことにより、上記の課題を解決できることを見出し本発
明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、次のとおり
である。 (1)フィルムの少なくとも片面に、ビニルアルコール
単位を40モル%以上含有するビニル系ポリマー(A)
と、マレイン酸または無水マレイン酸単位を10モル%
以上含有するビニル系ポリマー(B)を含有し、かつ、
(A)のビニルアルコール単位と(B)のマレイン酸ま
たは無水マレイン酸単位のモル比が99/1〜40/6
0である層が形成されていることを特徴とするガスバリ
ア性フィルム。 (2)フィルムの少なくとも片面に、ビニルアルコール
単位を40モル%以上含有するビニル系ポリマー(A)
と、マレイン酸または無水マレイン酸単位を10モル%
以上含有するビニル系ポリマー(B)を含有し、かつ、
(A)のビニルアルコール単位と(B)のマレイン酸ま
たは無水マレイン酸単位のモル比が99/1〜40/6
0である溶液を塗布した後、150℃以上の温度で熱処
理することを特徴とする上記(1)記載のガスバリア性
フィルムの製造方法。
する。
ール単位を40モル%以上含有するビニルアルコール系
ポリマー(A)は、ビニルエステルの重合体、またはビ
ニルエステルと他のビニル系モノマーとの共重合体を完
全または部分ケン化する方法により得ることができる。
ビニルエステルとしては、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸
ビニル等が挙げられ、中でも酢酸ビニルが工業的に好ま
しい。ビニルエステルと共重合させる他のビニル系モノ
マーとしては、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸
等の不飽和モノカルボン酸およびそのエステル、塩、無
水物、アミド、ニトリル化合物や、マレイン酸、イタコ
ン酸、フマル酸などの不飽和スルホン酸およびその塩、
炭素数2〜30のオレフィン類、アルキルビニルエーテ
ル類、ビニルピロリドン類などが挙げられる。上記のポ
リマーはケン化され、ビニルエステル単位の全部または
一部がビニルアルコール単位となる。ケン化方法として
は公知のアルカリケン化法及び酸ケン化法を適用するこ
とができ、中でもメタノール中で水酸化アルカリを使用
して加アルコール分解する方法が好ましい。
マー(A)のビニルアルコール単位の含有量は全ビニル
基単位に対して40モル%以上含まれていることが必要
である。ビニルアルコール単位が40モル%より少ない
と、充分なガスバリア性を有するフィルムを得ることが
できない。これは、ビニルアルコール単位の水酸基は、
マレイン酸もしくは無水マレイン酸単位を含有するポリ
マー(B)と反応して架橋構造を形成する反応性基とし
て働くだけでなく、未反応の水酸基の強い凝集力がガス
バリア性を高めるのに有効に働くからである。ビニルア
ルコール系ポリマーの最も好適な例としては、ポリビニ
ルアルコールを挙げることができるが、無水マレイン酸
基や他のビニル系化合物を共重合したものでもよい。ま
た、ビニルアルコール単位の一部を化学的に修飾したも
のを用いることもできる。
レイン酸単位を10モル%以上含有するポリマー(B)
は、マレイン酸または無水マレイン酸と他のビニルモノ
マーを溶液ラジカル重合などの方法により重合すること
により得られる。他のビニル系モノマーとしては、メチ
ルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどの炭素数
3〜30までのアルキルビニルエーテル類、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタク
リル酸メチル等のアクリル酸エステル類、ギ酸ビニル、
酢酸ビニルなどのビニルエステル類、スチレン、p−ス
チレンスルホン酸、プロピレン、イソブチレンなどの炭
素数2〜30のオレフィン類等や、ポリマー(A)の水
酸基等と反応する反応性基を有する化合物を用いること
もできる。ポリマー(B)の具体例としては、メチルビ
ニルエーテルとマレイン酸または無水マレイン酸の共重
合体、スチレンとマレイン酸または無水マレイン酸の共
重合体、イソブチレンとマレイン酸または無水マレイン
酸の共重合体などを挙げることができる。
ン酸または無水マレイン酸単位を10モル%以上含有す
ることが必要である。ポリマー(B)中のマレイン酸や
無水マレイン酸単位は、ビニルアルコール単位含有ポリ
マー(A)と反応して架橋構造を形成することにより高
度なガスバリア性が得られる。
アルコール単位と、(B)ポリマー中のマレイン酸また
は無水マレイン酸単位のモル比率は、99/1〜40/
60の範囲であることが必要である。モル比率がこの範
囲を外れる場合には、特に高湿度雰囲気下でのフィルム
のガスバリア性の発現のために有効な架橋密度を得るこ
とができず、本発明の目的とするガスバリア性フィルム
を得ることができない。
(B)とからなる層中には、さらに、バーミキュライ
ト、モンモリロナイト、ヘクトライトなどの水膨潤性の
層状無機化合物を少量添加することによってフィルムの
ガスバリア性をさらに向上させることができる。また、
フィルムの特性を改良するために、本発明の目的を損な
わない範囲で、ポリマー(A)とポリマー(B)からな
る層中に有機または無機の各種の添加剤を含有させるこ
とができる。
リマー(B)の混合溶液を作製し、これをフィルムの表
面にコートした後、加熱乾燥することによって得られ
る。混合溶液を作製するときの溶媒としては、水、低級
アルコール、メチルエチルケトン、酢酸メチル、ベンゼ
ン、トルエン等の溶媒の1種または2種以上の混合溶媒
を用いることができるが、両ポリマーが充分な水溶性を
示す場合は水を溶媒として用いることが工程の環境また
は溶媒コストの面から好ましい。しかし、溶解性を高め
る目的や乾燥工程の短縮、溶液の安定性の改善などの目
的により、水にアルコールや有機溶媒を少量添加する方
法が有効である。また、本発明のフィルムのガスバリア
性を高めるためには、ポリマー(A)とポリマー(B)
間にエステル結合による架橋反応が起こることが必要で
あるが、架橋反応を促進させるために、酸などの触媒を
添加することもできる。
(B)からなる層の厚みは、フィルムのガスバリア性を
十分高めるためには少なくとも0.1μmより厚くする
ことが望ましい。また、ポリマー(A)とポリマー
(B)からなる混合溶液をフィルムにコートする際のポ
リマー濃度は、液の粘度や反応性、用いる装置の仕様に
よって適宜変更されるものであるが、あまりに希薄な溶
液ではガスバリア性を発現するのに充分な厚みの層をコ
ートすることが困難となり、また、その後の乾燥工程に
おいて長時間を要するという問題を生じやすい。一方、
溶液の濃度が高すぎると、混合操作や保存性などに問題
を生じることがある。この様な観点から、ポリマー濃度
は溶液全体の10〜70重量%の範囲にすることが好ま
しい。
混合溶液をフィルムにコーティングする方法は特に限定
されないが、グラビアロールコーティング、リバースロ
ールコーティング、ワイヤーバーコーティング等の通常
の方法を用いることができる。またコーティングは、フ
ィルムの延伸前に行ってもよく、また、延伸後のフィル
ムに行ってもよい。
は両面に形成された、ポリマー(A)とポリマー(B)
からなる層においては、両ポリマーを架橋反応させるた
めに、コーティング後の熱処理温度を150℃以上の雰
囲気で行うことが好ましい。熱処理の温度が低いと架橋
反応を充分に進行させることができず、充分なガスバリ
ア性を有するフィルムが得ることが困難になる。また、
コーティングを延伸に先だって行い、その後に延伸、熱
処理を行う方法は延伸、熱処理時の高い温度を架橋反応
に利用できるので好ましい方法である。
ー(B)からなる層を形成させる基材フィルムとして
は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリ
アミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、
ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹
脂、またはそれらの混合物よりなるフィルム、またはそ
れらのフィルムの積層体が上げられ、未延伸フィルムで
あっても延伸フィルムであってもよい。
る。なお、フィルムの酸素バリア性は、モコン社製酸素
バリア測定器により20℃、相対湿度85%の雰囲気に
おける酸素透過度を測定した。
ン化度99.6%、平均重合度500)を用い、無水マ
レイン酸共重合体として、International Specialty Pr
oducts社製GANTREZ AN119(メチルビニル
エーテル/無水マレイン酸等モル共重合体)を用いた。
まず、PVAを純水に溶解し、10重量%の水溶液を得
た。一方、GANTREZをマレイン酸単位に対して1
0モル%の水酸化ナトリウムを含む水溶液に溶解し10
重量%溶液とした。次いでPVA中のビニルアルコール
単位およびGANTREZのマレイン酸単位のモル比が
表1に示した割合となるように両水溶液を混合し、室温
で撹拌してコート液を調製した。このコート液を、二軸
延伸PETフィルム(ユニチカ社製エンブレット PE
T12、厚み12μm)上に、乾燥後の塗膜厚みが約2
μmになるようにワイヤーバーでコートし、100℃で
2分間乾燥した後、200℃で5分間熱処理した。得ら
れたフィルムの酸素透過率は表1に示すとおりであり、
優れたガスバリア性を有していた。
した以外は、実施例1と同様の操作を行いコートフィル
ムを作成した。得られたフィルムの酸素透過率を表1に
示した。
ン酸の等モル共重合体(アトケム社製SMA1000)
を用い、無水マレイン酸単位に対して10モル%の水酸
化ナトリウムを含む、SMA1000の10重量%水溶
液を調製した。次に、この溶液と実施例1と同様のPV
A溶液を、PVAのビニルアルコール単位とSMA10
00の無水マレイン酸単位の比率が80/20となるよ
うに混合した。実施例1と同様の方法で、二軸延伸PE
Tフィルムにコートし、得られたフィルムの酸素透過度
を測定した結果を表1に示した。
ン酸共重合体(アトケム社製SMA2000;無水マレ
イン酸単位の含有率33モル%)を用い、無水マレイン
酸単位に対して40モル%の水酸化ナトリウムを加えた
以外は、実施例4と同様の方法により、二軸延伸PET
フィルムにコートし、得られたフィルムの酸素透過度を
測定した結果を表1に示した。
共重合体(EVOH)を水/イソプロパノール=35/
65重量部に溶解し、EVOHの10重量%溶液とし
た。一方、GANTREZを実施例1と同様の方法で1
0重量%水溶液とした。次いで、EVOH中のビニルア
ルコール単位とGANTREZ中のマレイン酸単位のモ
ル比が80/20になるように両溶液を混合し、室温で
撹拌してコート液を調製した。このコート液を実施例1
と同様の方法により二軸延伸PETフィルムにコート
し、得られたフィルムの酸素透過度を測定した結果を表
1に示した。
製した。一方、無水マレイン酸共重合体として、イソブ
チレン−無水マレイン酸等モル共重合体(クラレ社製イ
ソバン04)を用い、無水マレイン酸単位に対して60
モル%の水酸化ナトリウムを含むイソバンの10重量%
水溶液を調製した。両溶液を混合し、PVAのビニルア
ルコール単位とイソバンの無水マレイン酸単位の比率を
80/20になるように両溶液を混合し、室温で撹拌し
てコート液を調製した。このコート液を実施例1と同様
の方法により二軸延伸PETフィルムにコートし、得ら
れたフィルムの酸素透過度を測定した結果を表1に示し
た。
し、実施例1と同様の方法により二軸延伸PETフィル
ムにコートし、得られたフィルムの酸素透過度を測定し
た結果を表1に示した。
Zのマレイン酸単位のモル比を20/80とした以外
は、実施例1と同様にして、二軸延伸PETフィルムに
コートし、得られたフィルムの酸素透過度を測定した結
果を表1に示した。
マレイン酸単位の比率を20/80とした以外は、実施
例1と同様にして、二軸延伸PETフィルムにコート
し、得られたフィルムの酸素透過度を測定した結果を表
1に示した。
時に酸性ガス等の有機物質を発生することがなく、高湿
度下でも高いガスバリア性を維持することができるフィ
ルム、およびそれを工業的に安価に製造する方法が提供
され、その実用的価値は極めて大きい。
Claims (3)
- 【請求項1】 フィルムの少なくとも片面に、ビニルア
ルコール単位を40モル%以上含有するビニル系ポリマ
ー(A)と、マレイン酸または無水マレイン酸単位を1
0モル%以上含有するビニル系ポリマー(B)を含有
し、かつ、(A)のビニルアルコール単位と(B)のマ
レイン酸または無水マレイン酸単位のモル比が99/1
〜40/60である層が形成されていることを特徴とす
るガスバリア性フィルム。 - 【請求項2】 20℃、85%RHで測定した、酸素透
過度が150ml/m2・day・MPa以下である請
求項1記載のガスバリア性フィルム。 - 【請求項3】 フィルムの少なくとも片面に、ビニルア
ルコール単位を40モル%以上含有するビニル系ポリマ
ー(A)と、マレイン酸または無水マレイン酸単位を1
0モル%以上含有するビニル系ポリマー(B)を含有
し、かつ、(A)のビニルアルコール単位と(B)のマ
レイン酸または無水マレイン酸単位のモル比が99/1
〜40/60である水系溶液を塗布した後、150℃以
上の温度で熱処理することを特徴とする請求項1または
2記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
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