JP2000288897A - 電動工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 出力軸が往復運動と回転往復運動との両機能
を有し、かつ、これらの機能を容易に切換えることが可
能な電動工具を提供する。 【解決手段】 ハウジング１と、このハウジングの内部
に収容された回転駆動装置２と、軸線回りに回転可能か
つ軸線方向に往復運動可能な状態で上記ハウジング内に
取り付けられ、先端には工具が取り付け可能な出力軸４
と、上記回転駆動装置の回転運動を上記出力軸の往復運
動に変換するカム機構５とを備えた電動工具において、
上記回転駆動装置の回転運動を上記出力軸に伝達するた
めの回転伝達機構６を設け、上記出力軸を上記回転駆動
装置により往復運動させつつ回転駆動可能とする。ま
た、上記回転伝達機構を介した上記回転駆動装置と上記
出力軸との連結および連結解除を切り換え可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、先端工具を取り替
えて使用する研磨機等の電動工具に関する。

【０００２】

【従来の技術】モータによって回転駆動される出力軸
に、研磨材や彫刻刀などの先端工具を取り付けて作業を
行う電動工具が知られている。従来の電動工具は、出力
軸が回転運動するか、若しくは軸方向に往復運動するか
のどちらかの機能を持ったものしか存在しなかった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、電動工具を用
いた作業には、例えば細管内の研磨等、研磨材の往復運
動と回転運動の両者を必要とするものが存在する。従来
の電動工具にてこの種の作業を効率よく行うことは困難
であった。

【０００４】そこで、本発明は先端工具の往復運動と回
転運動とを必要とする作業を効率的に行うことができ、
好ましくは先端工具の往復運動および回転運動の両者を
利用する作業と、先端工具の往復運動のみを利用する作
業の両者に対応可能な電動工具を提供することを目的と
する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】以下、本発明について説
明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図
面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本
発明が図示の形態に限定されるものではない。

【０００６】請求項１の発明は、ハウジング（１）と、
このハウジングの内部に収容された回転駆動装置（２）
と、軸線回りに回転可能かつ軸線方向に往復運動可能な
状態で上記ハウジング内に取り付けられ、先端には工具
が取り付け可能な出力軸（４）と、上記回転駆動装置の
回転運動を上記出力軸の往復運動に変換するカム手段
（５）とを備えた電動工具において、上記回転駆動装置
の回転運動を上記出力軸に伝達するための回転伝達手段
（６）を設け、上記出力軸を上記回転駆動装置により往
復運動させつつ回転駆動可能としたことを特徴とする。

【０００７】請求項２の発明は、上記回転伝達手段
（６）を介した上記回転駆動装置（２）と上記出力軸
（４）との連結および連結解除を切り換え可能としたこ
とを特徴とする。

【０００８】請求項３の発明は、上記回転駆動装置
（２）には上記出力軸（４）に対して偏心した軸線の回
りに回転駆動される回転軸（３）が設けられ、上記カム
手段（５）は、上記回転軸の上記出力軸と対向する端部
に設けられたカム面（２０）と、上記出力軸の後端に設
けられて上記カム面に当接する当接部（２１）と、上記
出力軸を上記カム面に向けて付勢する付勢手段（２２）
とを具備し、上記回転伝達手段（６）は、上記回転軸と
平行に設けられた回転伝達軸（３０）と、上記回転軸の
回転運動を上記回転伝達軸に伝達すべく上記回転軸およ
び上記回転伝達軸のそれぞれに設けられた一対の第１歯
車（３３，３４）と、上記回転伝達軸の回転を上記出力
軸に伝達すべく上記回転伝達軸および上記出力軸のそれ
ぞれに設けられた一対の第２歯車（３５，３６）とを具
備し、上記一対の第２歯車が上記カム手段による上記出
力軸の往復範囲内の全域に亘って互いに噛み合い可能で
あることを特徴とする。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１および図２は本発明が適用さ
れた電動工具の一種の電動研磨機を示す図である。これ
らの図に示すように電動研磨機は、ハウジング１と、回
転駆動装置としてのモータ２と、そのモータ２により回
転駆動される回転軸３と、先端（図１の左端）にブラシ
等の先端工具が取り付けられる出力軸４と、回転軸３の
回転運動を出力軸４の往復運動に変換するカム機構５
と、回転軸３の回転運動を出力軸４に伝達して出力軸４
を回転させるための回転伝達機構６とを有している。

【００１０】ハウジング１は一対のハウジング要素１
０，１１を組み合わせて構成されている。ハウジング１
の内部には、モータ２を収容するモータ収容部１２と、
回転軸３、カム機構５および回転伝達機構６を収容する
機構収容部１３と、出力軸４が装着される軸孔１４とが
設けられている。

【００１１】回転軸３はボールベアリング１５によりそ
の軸線回りに回転可能に支持されている。一方、出力軸
４は、軸孔１４に装着された滑り軸受１６，１７によ
り、回転軸３と平行でかつ回転軸３の軸線から偏心した
軸線の回りに回転可能かつ軸線方向に往復運動可能に支
持されている。

【００１２】カム機構５は、回転軸３の先端の拡大部３
ａに設けられたカム面２０と、出力軸４の後端（図１の
右端）に設けられた半球状の当接部２１と、出力軸４の
途中に設けられた付勢手段としてのコイルばね２２とを
有している。コイルばね２２は、出力軸４上に固定され
た止め輪２３とワッシャ２４との間に圧縮状態で取り付
けられており、そのコイルばね２２の反発力により出力
軸４がモータ２側に付勢されて当接部２１がカム面２０
に押し付けられる。カム面２０は回転軸３の軸線方向に
対して斜めに交差する傾斜面状に形成されている。従っ
て、回転軸３が回転すると、カム面２０と当接部２１と
の接触位置が回転軸３の軸線方向に変化し、それにより
出力軸４が所定範囲で往復駆動される。往復運動量は、
回転軸３と出力軸４との間の偏心量とカム面２０の傾斜
とによって定まる。

【００１３】一方、回転伝達機構６は、一対の滑り軸受
３１，３２によって回転軸３と平行な軸線の回りに回転
可能かつ軸線方向に移動可能に支持された回転伝達軸３
０と、回転軸３の回転運動を回転伝達軸３０に伝達すべ
く回転軸３および回転伝達軸３０のそれぞれに設けられ
た一対の第１歯車３３，３４と、回転伝達軸３０の回転
を出力軸４に伝達すべく回転伝達軸３０および出力軸４
のそれぞれに設けられた一対の第２歯車３５，３６とを
備えている。回転伝達軸３０のほぼ中間位置には拡大部
３７が設けられ、ハウジング１にはその拡大部３７に対
応してモード切換部材４０が取り付けられている。

【００１４】図３にも示したように、モード切換部材４
０は、ハウジング１の外周に設けられた凹所１ａ内に配
置されてその凹所１ａ内を回転伝達軸３０の軸線方向に
移動可能な操作部４１と、ハウジング１の内部に配置さ
れて操作部４１と一体的に移動可能な一対の係合部４
２，４２（図１参照）とを有している。各係合部４２は
回転伝達軸３０を受け入れ可能な二股形状に形成され、
これら係合部４２，４２の間に回転伝達軸３０の拡大部
３７が挟まれる。従って、操作部４１をスライドさせる
と、回転伝達軸３０がその軸方向に一体的に移動して歯
車３３〜３６の噛み合い状態が切り換わる。すなわち、
図１に示すようにモード切換部材４０をハウジング１の
先端側に切り換えた場合には、第１歯車３３，３４の噛
み合いが外れて回転軸３から回転伝達軸３０へ回転が伝
達されない。一方、図２に示すようにモード切換部材４
０をハウジング１の後端側に切り換えた場合には、第１
歯車３３，３４が噛み合って回転軸３から回転伝達軸３
０への回転伝達が可能となる。図２の状態では第２歯車
３５，３６も相互に噛み合う。カム機構５による出力軸
４の往復運動範囲内の全域に亘って第２歯車３５，３６
の噛み合いが維持されるように、第２歯車３５の軸線方
向の幅は第２歯車３６のそれよりも出力軸４の往復運動
量と同等かそれ以上に大きく設定されている。

【００１５】以上の構成の電動研磨機によれば、モード
切換部材４０を図２の状態に切り換えてモータ２を起動
すると、回転軸３の回転がカム機構５によって出力軸４
の往復運動に変換されると同時に、回転軸３の回転運動
が第１歯車３３，３４から回転伝達軸３０および第２歯
車３５，３６を経由して出力軸４まで伝達される。従っ
て、出力軸４の先端に取り付けられた先端工具を軸線方
向に往復運動させつつ回転運動させて作業を行うことが
できる。例えば、出力軸４の先端に円筒状のブラシを装
着してこれに往復運動および回転運動を与えた場合に
は、細管内部の研磨等を効率よく行える。

【００１６】モード切換部材４０を図１の状態に切り換
えた場合には、回転軸３から回転伝達軸３０への回転伝
達が絶たれるため、出力軸４にはカム機構５を介して往
復運動のみが伝達される。この場合には、先端工具の往
復運動のみを利用する作業が行える。例えば、平面の研
磨作業を効率よく行える。

【００１７】本発明は以上の実施形態に限定されること
なく、種々変更して実施してよい。例えば、カム手段の
構成は端面カムを利用するものに限らず、種々変更して
よい回転伝達手段の構成も、単一の回転伝達軸を使用す
るものに限らず、種々変更してよい。出力軸を往復運動
のみさせるモードが不要な場合には回転伝達軸３０を軸
方向に関して図２の位置に固定し、モード切換部材４０
を省略してよい。

【００１８】

【発明の効果】以上に説明したように、請求項１の発明
の電動工具によれば、出力軸に往復運動と回転運動の両
者を与えることができる。従って、先端工具の往復運動
と回転運動とを必要とする作業を効率的に行うことがで
きる。例えば、出力軸の先端に円筒状のブラシを装着し
てこれに往復運動および回転運動をさせることにより、
細管内部の研磨等を効率よく行える。

【００１９】また、請求項２の発明によれば、出力軸に
与える運動を、往復運動と回転運動の両者と、往復運動
のみとに切り換えることができる。従って、出力軸を往
復運動のみさせた場合には、平面の研磨作業も可能とな
り、１台で平面や細かい管内の研磨作業が可能となる。

【００２０】さらに、請求項３の発明によれば、出力軸
に回転軸と出力軸との間の偏心量およびカム面の傾斜に
応じた往復運動を与えると同時に、回転軸の回転を一対
の第１歯車、回転伝達軸および一対の第２歯車を介して
出力軸に伝達することにより、出力軸に往復運動と回転
運動の両者を与えることができる。また、一対の第１歯
車の噛み合わせを外すことにより、出力軸に往復運動の
みをさせることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明が適用された電動工具にて往復運動のみ
を利用して作業を行う状態を示す断面図。

【図２】本発明が適用された電動工具にて往復運動と回
転運動の両者を利用して作業を行う状態を示す断面図。

【図３】図１の状態と図２の状態とを切り換えるための
モード切換部材の詳細を示す図。

【符号の説明】

１ ハウジング １ａ 凹所 ２ モータ（回転駆動装置） ３ 回転軸 ３ａ 拡大部 ４ 出力軸 ５ カム機構 ６ 回転伝達機構 １０，１１ ハウジング要素 １２ モータ収容部 １３ 機構収容部 １４ 軸孔 １５ ボールベアリング １６，１７ 滑り軸受 ２０ カム面 ２１ 当接部 ２２ コイルばね ２３ 止め輪 ２４ ワッシャ ３０ 回転伝達軸 ３１，３２ 滑り軸受 ３３，３４ 第１歯車 ３５，３６ 第２歯車 ３７ 拡大部 ４０ モード切換部材 ４１ 操作部 ４２ 係合部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハウジングと、このハウジングの内部に
   収容された回転駆動装置と、軸線回りに回転可能かつ軸
   線方向に往復運動可能な状態で上記ハウジング内に取り
   付けられ、先端には工具が取り付け可能な出力軸と、上
   記回転駆動装置の回転運動を上記出力軸の往復運動に変
   換するカム手段とを備えた電動工具において、 上記回転駆動装置の回転運動を上記出力軸に伝達するた
   めの回転伝達手段を設け、上記出力軸を上記回転駆動装
   置により往復運動させつつ回転駆動可能としたことを特
   徴とする電動工具。
2. 【請求項２】 上記回転伝達手段を介した上記回転駆動
   装置と上記出力軸との連結および連結解除を切り換え可
   能としたことを特徴とする請求項１に記載の電動工具。
3. 【請求項３】 上記回転駆動装置には上記出力軸に対し
   て偏心した軸線の回りに回転駆動される回転軸が設けら
   れ、上記カム手段は、上記回転軸の上記出力軸と対向す
   る端部に設けられたカム面と、上記出力軸の後端に設け
   られて上記カム面に当接する当接部と、上記出力軸を上
   記カム面に向けて付勢する付勢手段とを具備し、上記回
   転伝達手段は、上記回転軸と平行に設けられた回転伝達
   軸と、上記回転軸の回転運動を上記回転伝達軸に伝達す
   べく上記回転軸および上記回転伝達軸のそれぞれに設け
   られた一対の第１歯車と、上記回転伝達軸の回転を上記
   出力軸に伝達すべく上記回転伝達軸および上記出力軸の
   それぞれに設けられた一対の第２歯車とを具備し、上記
   一対の第２歯車が上記カム手段による上記出力軸の往復
   範囲内の全域に亘って互いに噛み合い可能であることを
   特徴とする請求項１に記載の電動工具。