JP2000283680A - 内面溝付管及びその製造方法 - Google Patents

内面溝付管及びその製造方法

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JP2000283680A
JP2000283680A JP11361951A JP36195199A JP2000283680A JP 2000283680 A JP2000283680 A JP 2000283680A JP 11361951 A JP11361951 A JP 11361951A JP 36195199 A JP36195199 A JP 36195199A JP 2000283680 A JP2000283680 A JP 2000283680A
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Mamoru Ishikawa
守 石川
Chikara Saeki
主税 佐伯
Kiyonori Koseki
清憲 小関
Nobuaki Hinako
伸明 日名子
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷媒流量が少ない領域であっても、高い凝縮
性能及び高い蒸発性能を得ることができ、凝縮器及び蒸
発器の伝熱管として好適な内面溝付管及びその製造方法
を提供する。 【解決手段】 金属又は合金管の内面に螺旋状溝が形成
された螺旋溝加工帯1と、金属又は合金管の内面に複数
の溝を交差させた交差溝群が形成された交差溝加工帯2
とが相互に異なる領域に配置されている。この螺旋溝加
工帯1と交差溝加工帯2とは金属又は合金管の管円周方
向に交互に1又は複数配置されている。前記管円周方向
における螺旋溝加工帯1の加工幅をW1とし、交差溝加
工帯2の加工幅をW2としたとき、W1とW2との比W1
2が1.1乃至3.0である。なお、この比W1/W2
を0.3乃至0.9とすることもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はルームエアコン等の
熱交換器に使用される凝縮器及び蒸発器用伝熱管として
好適な内面溝付管及びその製造方法に関し、特に、冷媒
流量が少ない領域であっても高い凝縮性能及び蒸発性能
を発揮する内面溝付管及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エアコン等の熱交換器では、熱交
換性能を高めるために、伝熱管として管の内面に複数の
螺旋状溝を有する内面溝付管が使用されている。
【0003】エアコン等の熱交換は冷媒液を蒸発させた
り、冷媒ガスを凝縮させるときの潜熱を利用したもので
あり、蒸発性能の向上には、冷媒液を伝熱管内全体に広
めて、伝熱面全体で蒸発が生じる構造が必要である。一
方、凝縮性能の向上には、伝熱面で凝縮した冷媒液が容
易に除去できると共に、除去した液により伝熱面が再び
覆われることがないように、液を1ヶ所に集めやすい構
造が好ましい。
【0004】近時、エアコン等においては、省エネルギ
のために、伝熱性能(蒸発性能及び凝縮性能)の高性能
化が求められており、このため、運転負荷の小さい条
件、即ち、冷媒流量が少ない領域であっても高い伝熱性
能を発揮する伝熱管が不可欠となっている。
【0005】従来、伝熱性能を高めるために管の内面に
加工を施した内面溝付管として、以下に示す伝熱管が提
案されている。
【0006】特開平4−158193号公報に記載され
た伝熱管においては、複数種の螺旋溝群が設けられてお
り、これらの螺旋溝群は、隣接する螺旋溝間で管軸方向
に対する溝のピッチ、溝の寸法、溝の形状及び管軸方向
に対する溝群の捩れ角度のうち、少なくとも1以上の要
素が異なるように形成されている。
【0007】また、特開平8−121984号公報に記
載された伝熱管においては、管軸方向に互いに交差しな
いように形成された連続する複数のフィンと、この連続
フィンと隣接し連続フィンと交差しないように長手方向
に沿って不連続又は鋸歯状に形成された不連続フィン
と、この不連続フィンと連続フィンとの間に形成された
溝とが設けられている。
【0008】更に、特開平8−178574号公報に記
載された内面クロス溝付伝熱管においては、管内面に主
溝を管軸に対し7°乃至25°傾斜させて成形すると共
に、副溝を管軸に平行に設けるか、又は主溝と副溝との
間に残された3次元的な突起にバリを設けることによ
り、副溝方向に冷媒の流れを誘導するようにしている。
【0009】更にまた、特開平10−206060号公
報に記載された内面溝付伝熱管においては、管円周方向
の溝ピッチが同一で管軸方向に対する捩れ角度及び捩れ
方向が相違する第1及び第2の溝群を設け、これらの第
1及び第2の溝群が形成された第1及び第2の溝加工領
域を異なる幅で複数組管円周方向に配置し、各溝加工領
域間に、管軸方向に延びる直線溝領域を配置している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の伝熱管には以下に示す問題点がある。先ず、特
開平4−158193号公報に記載された伝熱管におい
ては、冷媒液の流れは阻害されないが、蒸発時には圧力
損失を十分に低減できないので、蒸発性能が低下してし
まうと共に、凝縮時には凝縮液の排出性が十分でないの
で伝熱面と冷媒ガスとの接触性が低下して凝縮性能が低
下してしまう。また、管軸方向に対して同一の捩れ角度
を有する螺旋溝群を管内面全体に設けると、凝縮時に凝
縮液が伝熱面全体に拡がりやすくなり、伝熱面が凝縮液
に覆われてしまい、凝縮性能が低下してしまうという問
題点がある。
【0011】また、特開平8−121984号公報及び
特開平8−178574号公報に記載された伝熱管にお
いては、伝熱面は連続溝を基準に設計されているため、
凝縮器として使用した場合には、冷媒ガス凝縮液が溝に
沿って旋回流を生じやすい。この結果、凝縮に必要な乾
いた伝熱面の確保が困難になるため、凝縮性能の低下を
招く。従って、蒸発性能及び凝縮性能が要求されるヒー
トポンプ式エアコンには好ましくないという欠点があ
る。
【0012】更に、特開平10−206060号公報に
記載された伝熱管においては、冷媒流量が少ない条件で
は、逆方向の溝によって冷媒の旋回流が阻害されるた
め、蒸発性能が低下するという問題点がある。
【0013】このように、いずれの従来技術においても
一長一短があり、蒸発性能及び凝縮性能が共に優れた性
能を確保することはできないという問題点がある。
【0014】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、冷媒流量が少ない領域であっても、高い凝
縮性能及び高い蒸発性能を得ることができ、凝縮器及び
蒸発器の伝熱管として好適な内面溝付管及びその製造方
法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る内面溝付管
は、金属又は合金管の内面に螺旋状溝が形成された螺旋
溝加工帯と、前記金属又は合金管の内面の前記螺旋溝加
工帯とは異なる領域に配置され複数の溝を交差させた交
差溝群が形成された交差溝加工帯と、を有し、前記螺旋
溝加工帯と前記交差溝加工帯とが前記金属又は合金管の
内周方向に交互に1又は複数配置されると共に、前記内
周方向における前記螺旋溝加工帯の加工幅をW1とし、
前記交差溝加工帯の加工幅をW2としたとき、W1とW2
との比W1/W2が0.3乃至0.9又は1.1乃至3.
0であることを特徴とする。
【0016】本発明においては、本発明の内面溝付管を
蒸発器として使用した場合、内面溝付管内に冷媒液が供
給されると、交差溝加工帯においては、複数の溝群が相
互に交差した交差溝群が形成されているため、各溝が交
差した交差溝部が沸騰核となり、冷媒液の蒸発が促進さ
れるため、蒸発性能を向上させることができる。
【0017】一方、内面溝付管を凝縮器として使用した
場合、内面溝付管内に冷媒ガスが供給されると、この冷
媒ガスは伝熱面と接触し冷却されて凝縮する。この凝縮
した冷媒液(冷媒ガス凝縮液)は加工幅が広い領域に形
成された溝群に沿って旋回流を生じようとするが、液化
初期の冷媒ガス凝縮液はその流れの慣性が小さいため、
加工幅が狭い領域に形成されて前記溝群と逆方向に傾斜
する溝群により旋回流の流れが抑制される。このため、
冷媒ガス凝縮液は重力により内面溝付管内の下部に集液
しやすくなり、伝熱面全体が冷媒ガス凝縮液に覆われる
ことがないと共に、内面溝付管内の上部では、常に伝熱
面が冷媒ガスと接触して連続的な凝縮を維持するため、
高い凝縮性能を得ることができる。
【0018】また、W1/W2が0.3未満であると、冷
媒の旋回流の流れが促進されるため、蒸発性能が向上す
るものの、冷媒ガスが凝縮した凝縮液が伝熱面全体に広
がりやすくなり伝熱面を覆うことにより、伝熱面と冷媒
ガスとの接触が阻害されるため、凝縮性能の低下が生じ
る。一方、W1/W2が0.9を超え1.0以下である
と、凝縮性能が向上するものの、螺旋溝加工帯の螺旋状
溝群により冷媒の旋回流が抑止されることによる蒸発性
能の低下が生じる。
【0019】更に、W1/W2が1.1未満であると、凝
縮性能は向上するものの、狭い交差溝加工帯の交差溝部
による冷媒の旋回流の抑止効果が大きくなり、蒸発性能
の低下が生じる。一方、W1/W2が3.0を超えると、
冷媒の旋回流が促進されて蒸発性能は向上するものの、
凝縮時に液化した凝縮液が内面溝付管の伝熱面全体に広
がりやすくなり、凝縮液が内面溝付管の伝熱面を覆って
冷媒ガスと伝熱面との接触が阻害され凝縮性能が低下す
る。従って、W1/W2を0.3乃至0.9又はW1/W2
を1.1乃至3.0とすることにより、蒸発性能及び凝
縮性能のいずれも高い性能を得ることができる。
【0020】また、前記交差溝加工帯に形成された交差
溝群を構成する一の溝群及びこれに交差する他の溝群の
うち、前記一の溝群は前記金属又は合金管の管軸に対す
る捩れ方向が、前記螺旋状溝とは逆向きに形成され、前
記一の溝群の溝底幅は前記他の溝群の溝底幅よりも広く
形成されていることが好ましい。この場合に、前記一の
溝群はその溝底が長手方向に連続し、前記他の溝群はそ
の溝底が長手方向に断続的になるように形成することが
できる。このように、一の溝群の連続性を他の溝群より
強くすることにより、冷媒液は他の溝群に比較して連続
性が強い一の溝群に沿って旋回流を生じ、管内面全体に
広がる。このため、内面溝付管の蒸発性能を更に向上さ
せることができる。
【0021】本発明に係る内面溝付管の製造方法は、金
属又は合金からなる帯状の条材の表面に、圧延により、
請求項1乃至3に記載の条件の前記交差溝加工帯及び前
記螺旋溝加工帯を形成し、前記交差溝加工帯及び前記螺
旋溝加工帯が形成された面を内側にして前記条材を丸め
ながらその突き合わせ端部を溶接することを特徴とす
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例に係る内面
溝付管及びその製造方法について、添付の図面を参照し
て具体的に説明する。図1は本発明の第1の実施例に係
る内面溝付管の内面を管の円周方向に展開した状態を示
す模式図である。
【0023】本実施例の内面溝付管においては、金属又
は合金管の内面に管軸方向に連なる螺旋状溝群6を形成
した螺旋溝加工帯1が配置されている。この螺旋溝加工
帯1に隣接して、管軸方向に連なる溝からなる複数の溝
群3を交差させた交差溝群を形成した交差溝加工帯2が
配置されている。即ち、金属又は合金管内に螺旋溝加工
帯1と交差溝加工帯2とが交互に夫々3つ配置されてい
る。なお、螺旋溝加工帯1と交差溝加工帯2との管円周
方向における加工幅は夫々W1、W2であり、W 1はW2
り大きい。
【0024】このような溝形状を有する内面溝付管は、
金属又は合金からなる帯状の条材の片側表面に図1に示
すように、加工幅がW1の螺旋溝加工帯1と加工幅がW2
の交差溝加工帯2とが交互に配置されるように溝形状を
圧延成形により転写し、この条材の溝形成面を内側にし
て管状に湾曲させ、条材を管周方向に丸めながら突合せ
端部を溶接接合することにより製造することができる。
【0025】次に、上述のような構成の内面溝付管の動
作について説明する。この内面溝付管を蒸発器として使
用する場合には、先ず、内面溝付管内に冷媒液が供給さ
れる。内面溝付管内に管軸方向に連なる管円周方向の加
工幅の異なる溝加工帯を設け、夫々異なる形状の溝を配
置すると、冷媒液は管円周方向の加工幅がW1と広い螺
旋溝加工帯1の溝に沿った流れが生じやすくなる。この
ため、管円周方向の加工幅がW1と広い螺旋溝加工帯1
に螺旋状溝を形成することにより、内面溝付管内におい
て冷媒の旋回流が生じる。従って、内面溝付管全体に冷
媒液が広がり、高い蒸発性能を得ることができる。
【0026】また、管円周方向の加工幅がW2と狭い方
の交差溝加工帯2に、複数の溝を交差させた溝群3を形
成することにより、夫々の溝の交差溝部4が沸騰核とな
り、蒸発が促進されて内面溝付管の蒸発性能を高めるこ
とができる。
【0027】ところで、冷媒流量が少ない条件では、冷
媒流速が遅くなるため、冷媒液の旋回流が生じ難くなる
が、伝熱面における冷媒液に覆われた部位においては、
溝の交差溝部4が沸騰核として冷媒液の蒸発が促進され
るため、冷媒流量が少ない領域においても高い蒸発性能
を確保することができる。
【0028】一方、内面溝付管を凝縮器として使用した
場合に、内面溝付管には冷媒ガスが供給される。この冷
媒ガスは伝熱面と接触して冷却されて凝縮(液化)す
る。この凝縮した冷媒液(冷媒ガス凝縮液)は管円周方
向の加工幅がW1と広い螺旋溝加工帯1の溝に沿って、
旋回流を生じようとするが、このとき、冷媒液は流れの
慣性が小さいため、加工幅がW2と狭い交差溝加工帯2
に形成された交差溝部4により旋回流が抑制される。こ
のため、凝縮した冷媒液は重力により伝熱管下方面側に
凝縮しやすくなり、伝熱面全体が凝縮した冷媒液に覆わ
れることなく、伝熱管上方面側では常に伝熱面が冷媒ガ
スと接触して連続的な凝縮を維持する。このため、高い
凝縮性能を得ることができる。
【0029】なお、溝形成領域の夫々の加工幅に関し
て、W1/W2が1.1未満であると、凝縮性能は向上す
るものの、狭い交差溝加工帯2の交差溝部4による冷媒
の旋回流の抑止効果が大きくなり、蒸発性能の低下が生
じる。一方、W1/W2が3.0を超えると、冷媒の旋回
流が促進されて蒸発性能は向上するものの、凝縮時に液
化した凝縮液が内面溝付管の伝熱面全体に広がりやすく
なり、凝縮液が内面溝付管の伝熱面を覆って冷媒ガスと
伝熱面との接触が阻害され凝縮性能が低下する。従っ
て、W1/W2は1.1乃至3.0とする。
【0030】本実施例においては、管軸方向に連なる溝
からなる複数の溝群3が交差された交差溝群を形成した
交差溝加工帯2を形成する構成としたが、本発明は特に
これに限定されるものではなく、交差溝加工帯2に形成
された交差溝群のうち、1つの溝群3は管軸に対して捩
れを有し、この捩れは螺旋溝加工帯1に形成された螺旋
状溝とは逆向きに形成してもよい。また、この1つの溝
群3は交差溝加工帯2の他の溝群5と比較して、管軸断
面における溝群3の溝底幅を他の溝群5の溝底幅よりも
広く形成してもよい。これにより、冷媒等が流れやすく
なる。
【0031】また、本実施例においては、螺旋溝加工帯
1と交差溝加工帯2とを夫々3つ交互に配置する構成と
したが、本発明は特にこれに限定されるものではなく、
螺旋溝加工帯1と交差溝加工帯2との夫々の加工幅に関
して、W1/W2が1.1乃至3.0の範囲内で金属又は
合金管の内面に交互に1又は複数配置することができ
る。
【0032】次に、本発明の第2の実施例について説明
する。図2は本発明の第2の実施例に係る内面溝付管の
内面を管の円周方向に展開した状態を示す模式図、図3
は図2の交差溝加工帯2の表面の溝形状を示す斜視図で
ある。なお、図2において、図1に示す第1の実施例と
同一構成物には同一符号を付してその詳細な説明は省略
する。
【0033】図2に示すように、本実施例の内面溝付管
においては、金属又は合金管の内面に交差溝加工帯2と
螺旋溝加工帯1とが管の円周方向に交互に夫々3個づつ
配置されている。この交差溝加工帯2の管円周方向の加
工帯幅W2は螺旋溝加工帯1の管円周方向の加工幅W1
り大きい。
【0034】螺旋溝加工帯1においては、管軸方向に対
して所定の捩れ角度で延びる複数の螺旋状溝からなる螺
旋状溝群6が形成されている。一方、交差溝加工帯2に
おいては、螺旋状溝からなる複数の溝群が、その管軸方
向に対する捩れ角度を相互に異ならせ、相互に交差する
ように形成されている。この交差溝加工帯2における複
数の溝群のうち、溝の連続性が強い溝群3はその管軸方
向に対する捩れ方向が、螺旋溝加工帯1に形成された螺
旋状溝群6の捩れ方向とは逆の方向に形成されている。
【0035】図3に示すように、交差溝加工帯2におい
ては、螺旋状に延びる複数の溝からなる溝群3,5が相
互に交差するように形成されており、このうち、連続性
が強い溝群3は、その溝底面11が溝の長手方向に連続
しており、連続性が弱い溝群5は、その溝底面12が溝
の長手方向に断続している。また、連続性が強い溝群3
の溝底の幅D1は連続性が弱い溝群5の溝底の幅D2より
広くなっており(D1>D2)、以上の点で、連続性が強
い溝群3内の方が連続性が弱い溝群5内よりも冷媒等が
流れやすくなっている。
【0036】このような溝形状を有する内面溝付管は、
金属又は合金からなる帯状の条材の片側表面に図2に示
すように、加工幅がW2の交差溝加工帯2と加工幅がW1
の螺旋溝加工帯1とが交互に配置されるように溝形状を
圧延成形により転写し、この条材の溝形成面を内側にし
て管状に湾曲させ、条材を管周方向に丸めながら突合せ
端部を溶接接合することにより製造することができる。
【0037】このように構成された本実施例の内面溝付
管においては、蒸発器として使用した場合には、先ず、
内面溝付管内に冷媒液が供給される。内面溝付管内面に
は相互に形状の異なる溝群が形成された交差溝加工帯2
と螺旋溝加工帯1とが管の円周方向に交互に配置されて
おり、交差溝加工帯2の幅が螺旋溝加工帯1の幅より広
いため、冷媒液の流れは交差溝加工帯2の影響を強く受
ける。
【0038】このとき、交差溝加工帯2を構成する複数
の溝群のうち一の溝群3は、管軸に対し捩れを有して成
形されていると共に、連続性を強く成形されているた
め、冷媒液は溝群3に沿って旋回流を生じ、管内面全体
に広がる。このため、内面溝付管の蒸発性能が向上す
る。
【0039】更に、交差溝加工帯2においては、複数の
溝群が交差した交差溝群が形成されているため、夫々の
溝が交差した交差溝部4が沸騰核となり、冷媒液の蒸発
が促進されるため、内面溝付管の蒸発性能を更に向上さ
せることができる。
【0040】ところで、冷媒流量が少ない条件では、冷
媒流速が遅くなるため、冷媒液の旋回流が生じ難くなる
が、伝熱面における冷媒液に覆われた部位においては、
溝の交差溝部4が沸騰核として冷媒液の蒸発が促進され
るため、冷媒流量が少ない領域においても高い蒸発性能
を確保することができる。
【0041】一方、内面溝付管を凝縮器として使用した
場合には、内面溝付管内に冷媒ガスが供給される。この
冷媒ガスは伝熱面と接触し冷却されて凝縮(液化)す
る。この凝縮した冷媒液(冷媒ガス凝縮液)は交差溝加
工帯2に形成された溝群3に沿って旋回流を生じようと
するが、このとき、冷媒ガス凝縮液はその流れの慣性が
小さいため、螺旋溝加工帯1に形成されて交差溝加工帯
2に形成された溝群3とは捩れ方向が逆向きの螺旋状溝
群6により旋回流の流れが抑制される。
【0042】このため、冷媒ガス凝縮液は重力により内
面溝付管下方面側に集液しやすくなり、伝熱面全体が冷
媒ガス凝縮液に覆われることがないと共に、内面溝付管
上方面側では、常に伝熱面が冷媒ガスと接触して連続的
な凝縮を維持する。このため、高い凝縮性能を得ること
ができる。
【0043】なお、交差溝加工帯2の幅W2と螺旋溝加
工帯1の幅W1との比、即ち、W1/W2が0.9を超え
1.0以下であると、凝縮性能が向上するものの、螺旋
溝加工帯1の螺旋状溝群6により冷媒の旋回流が抑止さ
れることによる蒸発性能の低下が生じる。
【0044】一方、W1/W2が0.3未満であると、冷
媒の旋回流の流れが促進されるため、蒸発性能が向上す
るものの、冷媒ガスが凝縮した凝縮液が伝熱面全体に広
がりやすくなり伝熱面を覆って、伝熱面と冷媒ガスとの
接触が阻害されるため、凝縮性能の低下が生じる。
【0045】従って、蒸発性能及び凝縮性能共に高性能
を得るためには、W1/W2は0.3乃至0.9である。
【0046】また、管軸に対し相互に逆方向の捩れを有
し溝底幅が広く成形された2種類の溝群を形成すると、
圧力損失が増加するので、夫々の捩れ角を異ならせるこ
とが好ましい。
【0047】また、本実施例においては、交差溝加工帯
2と螺旋溝加工帯1とを夫々3つ交互に配置する構成と
したが、本発明は特にこれに限定されるものではなく、
交差溝加工帯2と螺旋溝加工帯1との夫々の加工幅に関
して、W1/W2が0.3乃至0.9の範囲内で金属又は
合金管の内面に交互に1又は複数配置することができ
る。
【0048】
【実施例】以下、本発明の実施例に係る内面溝付管を製
造し、その特性を比較例の内面溝付管と比較した結果に
ついて具体的に説明する。
【0049】実施例及び比較例の内面溝付管用の素材と
して、厚さが0.45mmのりん脱酸銅(JIS H3
100 C1220)コイルにより所定幅にスリットし
た帯状の条材を使用した。この条材への溝付け加工は下
側に平滑ロールを配し、上側に所定形状の溝形成ロール
を配した圧延機に条材を通過させ、上ロールの凹凸形状
を条材に転写させることにより行った。本発明の螺旋溝
及び交差溝を同一の条材に形成させるには、1ラインに
2台の圧延機を有するタンデム式圧延機を使用してもよ
く、また、ロールを1組しか有しない圧延装置を使用す
る場合には、例えば最初に螺旋溝を圧延形成してロール
アップし、その後、上ロールを組替えて行う2回目の圧
延で1回目と逆方向の螺旋溝を形成することによって所
定の位置に交差溝を形成してもよい。本実施例及び比較
例においては、圧延機が2台連続して配列するタンデム
圧延機を使用することによって溝付条材を製作した。
【0050】このように、2台の圧延機が連続配列する
タンデム圧延機を使用し、1段目の圧延機で溝深さが
0.2mm、管の円周方向の溝ピッチが0.41mm及
び管軸に対して右ネジ方向の捩れ角が15°の1次溝群
を条材の両端部を夫々1mm残して片側表面全体に圧延
形成した。なお、フィン(突起部)の頂角は25°、溝
底肉厚(最小肉厚)は0.25mmとした。
【0051】1段目の圧延機で溝圧延された条材は引き
続いて2段目の圧延機に導かれ、溝深さが0.2mm、
管の円周方向の溝ピッチが0.41mm及び管軸に対し
て左ネジ方向の捩れ角が30°の2次溝群(1次溝群と
は捩れ角度と捩れ方向が異なる)を、板厚方向(管の円
周方向に相当)の3ヵ所に、所定の間隔を空けて所定の
加工幅で圧延成形した。なお、この2次圧延で圧下を受
けない部位は1次圧延時の溝がそのまま存続する。即
ち、板幅方向には1次圧延による螺旋溝加工帯と、2次
圧延による交差溝加工帯とが交互に配置された溝付銅板
が得られる。また、2段目の圧延機において、幅の異な
る溝形成上ロールを組み込むことにより、螺旋溝加工帯
の加工幅と交差溝加工帯の加工幅との比を変化させた。
【0052】このように溝加工が施された条材の溝加工
面を内側にして、この条材を丸めながら板幅端部を突き
合わせて高周波溶接しつつ、管径をサイジングすること
により、外径が7.0mmの内面溝付管を形成した。
【0053】このように形成された内面溝付管を長さが
3000mmの2重管式熱交換器(以下、外管という)
の内側に配置し、内面溝付管内に冷媒(R−410A)
を供給し、内面溝付管と外管との間の環状部に水を供給
して熱交換を行い、伝熱性能を測定した。
【0054】なお、本実施例と伝熱性能を比較するため
の標準材として、螺旋状溝群のみが形成された外径が
7.0mmの内面溝付管(溝深さ:0.2mm、管の円
周方向溝ピッチ:0.41mm、管軸に対する捩れ角
度:18°(右ネジ方向)、フィン頂角:20°、溝底
肉厚:0.25mm)を製造し、その伝熱性能を測定
し、以下、実施例及び比較例の内面溝付管の性能をこの
標準材の伝熱性能に対する比で表した。
【0055】図4は縦軸に伝熱性能比、横軸に交差溝群
が形成された交差溝加工帯の加工幅(W1)と螺旋状溝
群が形成された螺旋溝加工帯の加工幅(W2)との比
(W1/W2)をとって、比(W1/W2)と伝熱性能比と
の関係を示すグラフ図である。なお、図中の▲は蒸発性
能比を示し、●は凝縮性能比を示す。
【0056】冷媒流量が20kg/時間の場合における
本実施例の内面溝付管の伝熱性能と標準材の内面溝付管
の伝熱性能との比(蒸発性能比及び凝縮性能比)を下記
表1及び図4に示す。
【0057】
【表1】
【0058】表1及び図4に示すように、W1/W2が1
であれば、標準材と同等な伝熱性能を有していた。W1
/W2が1よりも小さくなるか、又は大きくなるに連
れ、伝熱性能(蒸発性能及び凝縮性能)が急激に上昇
し、W1/W2が0.3乃至0.9及びW1/W2が1.1
乃至3.0の領域においては、標準材と比較して伝熱性
能が20%以上も大幅に改善された。また、W1/W2
0.3未満の領域においては、凝縮性能が低下し、W1
/W2が3.0を超える領域においては、蒸発性能が低
下した。なお、W1/W2が0.3乃至0.9の領域にお
いては特に蒸発性能が優れており、一方、W1/W2
1.1乃至3.0の領域においては特に凝縮性能が優れ
ていた。
【0059】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、W
1/W2が0.3乃至0.9又は1.1乃至3.0である
から、蒸発性能及び凝縮性能の双方が優れており、この
本発明の内面溝付管を使用することにより、冷媒流量が
少ない場合であっても熱交換器の性能が極めて優れたも
のとなり、エアコン等の省エネルギ効果も著しく向上す
る。また、室内の冷房性能を特に重視する熱交換器には
1/W2が0.3乃至0.9の蒸発性能比が優れた伝熱
管を使用し、室内の暖房性能を特に重視する熱交換器に
はW1/W2が1.1乃至3.0の凝縮性能比が優れた伝
熱管を使用することにより、更に一層熱交換器性能を高
めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る内面溝付管の内面
を管の円周方向に展開した状態を示す模式図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る内面溝付管の内面
を管の円周方向に展開した状態を示す模式図である。
【図3】図2の交差溝加工帯の表面の溝形状を示す斜視
図である。
【図4】縦軸に伝熱性能比、横軸に交差溝群が形成され
た交差溝加工帯の加工幅(W1)と螺旋状溝群が形成さ
れた螺旋溝加工帯の加工幅(W2)との比(W1/W2
をとって、比(W1/W2)と伝熱性能比との関係を示す
グラフ図である。
【符号の説明】
1;螺旋溝加工帯 2;交差溝加工帯 3、5;溝群 4;交差溝部 6;螺旋状溝群 11、12;溝底面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小関 清憲 神奈川県秦野市平沢65番地 株式会社神戸 製鋼所秦野工場内 (72)発明者 日名子 伸明 神奈川県秦野市平沢65番地 株式会社神戸 製鋼所秦野工場内 Fターム(参考) 4E028 EA07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属又は合金管の内面に螺旋状溝が形成
    された螺旋溝加工帯と、前記金属又は合金管の内面の前
    記螺旋溝加工帯とは異なる領域に配置され複数の溝を交
    差させた交差溝群が形成された交差溝加工帯と、を有
    し、前記螺旋溝加工帯と前記交差溝加工帯とが前記金属
    又は合金管の内周方向に交互に1又は複数配置されると
    共に、前記内周方向における前記螺旋溝加工帯の加工幅
    をW1とし、前記交差溝加工帯の加工幅をW2としたと
    き、W1とW2との比W1/W2が0.3乃至0.9又は
    1.1乃至3.0であることを特徴とする内面溝付管。
  2. 【請求項2】 前記交差溝加工帯に形成された交差溝群
    を構成する一の溝群及びこれに交差する他の溝群のう
    ち、前記一の溝群は前記金属又は合金管の管軸に対する
    捩れ方向が、前記螺旋状溝とは逆向きに形成され、前記
    一の溝群の溝底幅は前記他の溝群の溝底幅よりも広く形
    成されていることを特徴とする請求項1に記載の内面溝
    付管。
  3. 【請求項3】 前記一の溝群はその溝底が長手方向に連
    続して形成されており、前記他の溝群はその溝底が長手
    方向に断続的に形成されていることを特徴とする請求項
    2に記載の内面溝付管。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
    内面溝付管を製造する方法において、金属又は合金から
    なる帯状の条材の表面に、圧延により前記交差溝加工帯
    及び前記螺旋溝加工帯を形成し、前記交差溝加工帯及び
    前記螺旋溝加工帯が形成された面を内側にして前記条材
    を丸めながらその突き合わせ端部を溶接することを特徴
    とする内面溝付管の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10210016A1 (de) * 2002-03-07 2003-09-25 Wieland Werke Ag Wärmeaustauschrohr mit berippter Innenoberfläche
JP2007310341A (ja) * 2006-05-18 2007-11-29 Lg Electronics Inc プラズマディスプレイ装置のヒートシンク

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DE10210016B9 (de) * 2002-03-07 2004-09-09 Wieland-Werke Ag Wärmeaustauschrohr mit berippter Innenoberfläche
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