JP2000280717A - サスペンションブッシュ及びその製造方法 - Google Patents

サスペンションブッシュ及びその製造方法

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JP2000280717A
JP2000280717A JP9237399A JP9237399A JP2000280717A JP 2000280717 A JP2000280717 A JP 2000280717A JP 9237399 A JP9237399 A JP 9237399A JP 9237399 A JP9237399 A JP 9237399A JP 2000280717 A JP2000280717 A JP 2000280717A
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outer cylinder
cylinder
bush
rubber
vehicle
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Yorikazu Nakamura
順和 中村
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】別体ストッパゴムを備えることにより新たに発
生するショック感の問題を抑えつつ、ハーシュネスを効
果的に吸入する。 【解決手段】 外筒10及び内筒20間の軸方向一端に
設けられたゴム弾性体30が存在しない筒状の空洞部た
る略円筒状凹部31aに、内筒20の外周面に軸方向一
端から圧入された筒状のストッパゴム9が収容されてい
る。ストッパゴム9は、車両前後方向のうちの一方側の
みの外面形状が半径方向外方に膨出する異形部9aとさ
れ、異形部9aの外面が外筒10の内面に当接されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のサスペンシ
ョンに用いられるサスペンションブッシュ及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、車両において、車輪が支持さ
れるサスペンション側の取付部材と、車体側の取付部材
との間には、サスペンションブッシュが介在されてお
り、このサスペンションブッシュにより車輪からの振動
が車体に伝達されること等を防止している。
【0003】このような防振装置としてのサスペンショ
ンブッシュとして、例えば特開平9−104212号公
報には、トーションビーム式サスペンションに用いられ
るものが開示されている。トーションビーム式サスペン
ションは、車両幅方向を長手方向として配置されたトー
ションビームと、該トーションビームの長手方向両端部
に車両略前後方向を長手方向として配置され、後端部に
車輪がそれぞれ支持される左右一対のトレーリングアー
ムとを備えている。そして、このトーションビーム式サ
スペンションに用いられるブッシュは、図12に示すよ
うに、各上記トレーリングアーム80の前端部に軸方向
が車両幅方向と一致するようにそれぞれ配設されて、各
該前端部と車体側の取付部材(ブラケット)81とを連
結している。
【0004】すなわち、このサスペンションブッシュ
は、トレーリングアーム80の前端部に設けられた圧入
部80aに圧入された外筒82と、外筒82の内側に同
心状に配設され、車体側の取付部材81に固定される内
筒83と、外筒82及び内筒83の間に介在されて両者
を連結する筒状のゴム弾性体84とから構成されてい
る。なお、図12はこのサスペンションブッシュの水平
方向断面を示すもので、図12の上方が車両の前方側で
あり、図12の下方が車両の後方側である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記構成の従来のサス
ペンションブッシュでは、外筒82と内筒83との間で
径方向の振動が発生すると、両者間に介在するゴム弾性
体84が弾性変形することによりその振動を吸収する。
しかしながら、上記従来のサスペンションブッシュは、
ゴム弾性体84の断面形状が単純な円筒形状であり、ハ
ーシュネスを吸収するための形状的な工夫が何らなされ
ていなかった。ここに、ハーシュネスとは、路面の継ぎ
目や凸、凹部を通過する差異に発生する、30〜60H
z程度の衝撃的な振動や衝撃音をいう。なお、かかるハ
ーシュネスの対策としては、サスペンション前後コンプ
ライアンス、すなわちサスペンションに前後方向の力が
加わったときにおけるサスペンションの撓み易さ(前後
可撓性)を大きくすることが効果的である。
【0006】そこで、車両前後方向におけるブッシュの
ばね定数を小さくすべく、外筒82と内筒83との間に
ゴム弾性体84が存在しない筒状の空洞部を軸方向一端
に設け、この空洞部に内筒の外周面に軸方向一端から圧
入した筒状の別体ストッパゴムを収容させる手段が考え
られる。このような別体ストッパゴムによれば、ストッ
パゴムの外周面と外筒の内周面とが固着されていない分
だけ、両者が固着されて両者の相対移動が相互に規制さ
れる場合よりもばね定数が小さくなる。また、ストッパ
ゴムの外周面と外筒の内周面との間に隙間が形成されて
いる場合は、その隙間を無くす方向に外筒及び内筒が相
対変位する際に、圧縮を受けるゴムがその隙間分だけ存
在しないことになることから、その分ばね定数が小さく
なる。
【0007】したがって、ストッパゴムの外周面と外筒
の内周面との間に単純な円筒形状の隙間を仮に形成すれ
ば、内筒の前方側及び後方側のいずれにもストッパゴム
と外筒との間に隙間が存在するため、内筒に対して外筒
が車両前後のいずれの方向に相対移動する場合であって
も、上記隙間分だけばね定数が小さくなり、ハーシュネ
ス対策としてはより効果的である。
【0008】しかしながら、この場合、外筒及び内筒が
上記隙間分だけ相対変位した直後に、ストッパゴムの外
面と外筒の内面とが衝突することになり、この衝突時の
衝撃によるショック感が新たに発生するという問題があ
る。特に、内筒の前方側及び後方側のいずれにもストッ
パゴムと外筒との間に隙間が存在することから、内筒に
対して外筒が車両の前方側に相対変位する場合及び後方
側に相対変位する場合の双方において、上記ショック間
が発生することとなり、車両の乗員に与える不快感は顕
著なものとなる。
【0009】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あり、別体ストッパゴムを備えることにより新たに発生
するショック感の問題を抑えつつ、ハーシュネスを効果
的に吸入することのできるサスペンションブッシュを提
供することを解決すべき技術課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明のサスペンションブッシュは、軸方向が車両幅方向と
一致するように配設されてサスペンション側の第1取付
部材と車両側の第2取付部材とを連結するブッシュであ
って、該第1取付部材及び該第2取付部材のうちの一方
に固定される外筒と、該外筒の内側に配設され、該第1
取付部材及び該第2取付部材のうちの他方に固定される
内筒と、該外筒及び該内筒の間に介在されて両者を連結
する筒状のゴム弾性体とを備えたサスペンションブッシ
ュにおいて、上記外筒及び上記内筒間の軸方向一端に設
けられた上記ゴム弾性体が存在しない筒状の空洞部に、
上記内筒の外周面に軸方向一端から圧入された筒状のス
トッパゴムが収容され、該ストッパゴムは、車両前後方
向のうち一方側のみの外面が外筒の内面に当接されてい
ることを特徴とするものである。
【0011】このサスペンションブッシュでは、外筒及
び内筒間の軸方向一端にゴム弾性体が存在しない筒状の
空洞部が設けられ、車両前後方向のうちの一方側のみの
外面が外筒の内面に当接された、ゴム弾性体とは別体の
ストッパゴムがこの空洞部に収容されている。かかる別
体ストッパゴムによれば、ストッパゴムの外周面と外筒
の内周面とが固着されていない分だけ、両者が固着され
て両者の相対移動が相互に規制される場合よりも、車両
前後方向におけるブッシュのばね定数が小さくなる。ま
た、ストッパゴムの外周面と外筒の内周面との間には、
車両前後のうちの他方側に隙間が形成されているので、
その隙間を無くす方向に外筒及び内筒が相対変位する際
に、圧縮を受けるゴムがその隙間分だけ存在しないこと
になり、その分車両前後方向におけるブッシュのばね定
数が小さくなる。したがって、本発明のサスペンション
ブッシュは、サスペンション前後コンプライアンスが大
きくなり、ハーシュネスを効果的に吸収することができ
る。
【0012】一方、ストッパゴムの外周面と外筒の内周
面との間で車両前後のうちの一方側では、ストッパゴム
の外面と外筒の内面とが当接されているので、外筒に対
して内筒が当該一方側に相対変位する場合は、ストッパ
ゴムの外面と外筒の内面とが予め当接されているので両
者が衝突することはなく、両者が衝突する際の衝撃によ
るショック感が発生することもない。なお、車両前後の
うちの他方側、すなわちストッパゴムの外面と外筒の内
面との間に隙間が形成されている側に外筒に対して内筒
が相対変位する場合は、ストッパゴムの外面と外筒の内
面とが衝突することになるため、この際の衝撃によりシ
ョック感が発生する。
【0013】このように本発明のサスペンションブッシ
ュでは、車両前後のうちの一方側(ストッパゴムの外面
と外筒の内面とが当接された側)に外筒に対して内筒が
相対変位する場合において、ストッパゴムの外面と外筒
の内面とが衝突する際のショック感を無くすことができ
る。よって、本発明のサスペンションブッシュによれ
ば、別体ストッパゴムを備えることにより新たに発生す
るショック感の問題を抑えつつ、ハーシュネスを効果的
に吸収することが可能となる。
【0014】好適な態様において、前記ストッパゴム
は、車両前後方向のうちの一方側のみの外面形状が半径
方向外方に膨出する異形部とされ、該異形部の外面が前
記外筒の内面に当接されている。この態様によれば、異
形部をもつストッパゴムを加硫成形し、当該異形部が所
定方向に位置するように周方向に位置合わせしつつ、ス
トッパゴムを内筒の外周面に圧入し、その後必要に応じ
て外筒を絞り加工するという簡易な手段により、ストッ
パゴムの外面を車両前後方向のうち一方側のみで外筒の
内面に当接させることができる。
【0015】なお、上記異形部をもつストッパゴムとす
る場合は、内筒に圧入する際の周方向における位置合わ
せを容易にすべく、位置合わせ用目印を設けておくこと
が好ましい。好適な態様において、前記異形部の外面に
おける外曲率半径は、該異形部の外面が当接する前記外
筒の内面における内曲率半径よりも小さく設定されてい
る。異形部の外面が当接する外筒の内面における内曲率
半径よりも、異形部の外曲率半径を小さく設定すること
により、ストッパゴムの異形部における外面と外筒の内
面との当接面積を小さくすることができる。かかる当接
部位は、内外筒間で相対変位が生じていない通常状態
で、常に当接している部位になることから、その当接面
積が大きいとストッパゴム及び外筒間における摩擦によ
る抵抗力が大きくなり、車両上下方向における振動の吸
収効果に対して悪影響を及ぼすおそれがある。この点、
上記態様により、ストッパゴムの異形部における外面と
外筒の内面との当接面積を小さくして、両者間で働く摩
擦による抵抗力を小さくすることができ、車両上下方向
における振動の吸収効果に対する悪影響を少なくするこ
とが可能となる。
【0016】本発明のサスペンションブッシュは、好適
には、以下の方法により製造することができる。すなわ
ち、外筒と、該外筒の内側に配設された内筒と、該外筒
及び該内筒の間に介在されて両者を連結する筒状のゴム
弾性体とからなり、該外筒及び該内筒間の軸方向一端に
該ゴム弾性体が存在しない筒状の空洞部が設けられたブ
ッシュ本体を加硫成形により得る第1工程と、筒状のス
トッパゴムを、該ストッパゴムの外周面と上記外筒の内
周面との間に筒状の間隙を形成しつつ、上記内筒の外周
面に軸方向一端から圧入する第2工程と、少なくとも上
記ストッパゴムと対応する部分における上記外筒の軸方
向端部の外周面であって、周方向における少なくとも一
部を絞り加工して、絞り加工により縮径された該外筒の
内面を周方向において部分的に該ストッパゴムの外面に
当接させる第3工程とを順に実施することにより、本発
明のサスペンションブッシュを製造することができる。
【0017】この製造方法では、上記第2工程で、スト
ッパゴムの外周面と外筒の内周面との間に筒状の間隙を
形成しつつ、ストッパゴムを内筒の外周面に圧入するの
で、圧入する際にストッパゴムの外周面と外筒の内周面
とが干渉することがない。このため、ストッパゴムの圧
入操作が容易になるとともに、圧入時にストッパゴムが
歪みを受けることもなく本来のストッパゴムの形状や姿
勢を維持させることが可能となる。
【0018】なお、上記第2工程で圧入するストッパゴ
ムの外周面形状としては、前述した異形部をその外面に
もつものであっても、あるいは単純な円形状であっても
いずれでもよい。また、外筒及び内筒間にゴム弾性体を
加硫成形する場合、ゴム弾性体の内筒及び外筒との界面
には引張応力が残留し、この引張応力はゴム弾性体の耐
久疲労性を低下させる要因となる。このため、加硫成形
後は、ゴム弾性体の耐久疲労性を向上させるべく、通常
外筒の外周面を絞り加工することにより、ゴム弾性体に
予備圧縮を加えることが行われている。上記第3工程で
は、外筒を絞り加工することにより、絞り加工で縮径さ
れた該外筒の内面を周方向において部分的にストッパゴ
ムの外面に当接させるので、ストッパゴムの外面を部分
的に外筒の内面に当接させるための操作と、上記したゴ
ム弾性体に予備圧縮を加えるという操作とを同一工程で
簡便に行うことができる。
【0019】なお、上記第2工程で前述した異形部を外
面にもつストッパゴムを圧入した場合は、上記第3工程
で当該異形部の外面の少なくとも一部が外筒の内面に当
接するように外筒の外周面を絞り加工すればよく、上記
第2工程で単純な円形状の外周面形状をストッパゴムを
圧入した場合は、上記第3工程で外筒の外周面を周方向
において部分的にのみ絞り加工したり、あるいは部分的
に多の部分より大きく絞り加工したりすることにより、
絞り加工により縮径された外筒の内面を周方向において
部分的にストッパゴムの外面に当接させればよい。
【0020】また、本発明のサスペンションブッシュで
は、外筒及び内筒間の軸方向一端に設けられたゴム弾性
体が存在しない筒状の空洞部の部分において、外筒の内
面及び内筒の外面のうちの少なくとも一方には、ゴム弾
性体と一体に形成された薄肉状のゴム膜を周方向の全体
又は周方向の一部に設けることができる。内筒の外周面
に例えば断面円筒状のゴム膜を設けた場合は、このゴム
膜の外周面に別体としての上記ストッパゴムが圧入され
ることになり、外筒の外周面に例えば断面円筒状のゴム
膜を設けた場合は、別体としての上記ストッパゴムの外
面はこのゴム膜を介して外筒の内面に当接することにな
り、ストッパゴムの外面が当接する外筒のゴム膜はスト
ッパゴムが衝突する際の衝撃を吸収しうるストッパゴム
部としても機能しうる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明のサスペンションブ
ッシュの具体的な実施形態について、図面を参照しつつ
説明する。本実施形態は、本発明のサスペンションブッ
シュをトーションビーム式リヤサスペンションに用いら
れるトーコレクトブッシュに適用したものである。
【0022】なお、以下の説明において、車両幅方向と
は図1、図4、図5、図7、図9及び図10の左右方向
のことをいい、車両幅方向の内側又は内方とは図1、図
4、図5、図7及び図10の左側のことをいい、車両幅
方向の外側又は外方とは図1、図4、図5、図7及び図
10の右側のことをいう。また、車両前後方向とは図1
〜図3、図5〜図10の上下方向のことをいい、前側又
は前方とは図1〜図3、図5〜図10の上側のことをい
い、後側又は後方とは図1〜図3、図5〜図10の下側
のことをいう。さらに、これらの図において適宜示され
る矢印FRは車両前方側を示し、矢印WIは車両幅方向
内側を示し、矢印TSは車両上方側を示す。
【0023】また、図1、図5及び図7は本実施形態の
トーコレクトブッシュ(車両の右側に配置されるもの)
に係るものであり、軸線に沿って水平方向に切った(図
2のA−A線で切った)軸方向断面図であり、図2は図
1の右から見た右側面図であり、図3は図1の左から見
た左側面図であり、図4は図2のB−B線で切った軸方
向断面図であり、図6は図5の右から見た右側面図であ
り、図8は図7の右から見た右側面図である。そして、
図1〜図4がブッシュ本体5aを加硫成形した後の状態
を示すもので、図5及び図6がこのブッシュ本体5aの
内筒20にストッパゴム9を圧入した状態を示すもの
で、図7及び図8がストッパゴム9が圧入されたブッシ
ュ本体5aの外筒10を絞り加工して、本実施形態のト
ーコレクトブッシュを完成した状態を示すものである。
【0024】図9に示すトーションビーム式リヤサスペ
ンションは、車両幅方向を長手方向として配置されたト
ーションビーム1と、このトーションビーム1の長手方
向両端部に車両略前後方向を長手方向として配置、固定
され、サスペンション側の取付部材としての左右一対の
トレーリングアーム2、3とを備えている。各トレーリ
ングアーム2、3の前端部には、円筒状のブッシュ圧入
部2a、3aが一体に形成されており、各ブッシュ圧入
部2a、3aには、軸線方向が車両幅方向と一致するよ
うに配設されたトーコレクトブッシュ4、5がそれぞれ
圧入されている(図10参照)。そして、このトーコレ
クトブッシュ4、5には、車体側の取付部材6、7がボ
ルト8及びナット9により取り付けられている。こうし
て、トーションビーム式サスペンションの各トレーリン
グアーム2、3の前端部と車体側の取付部材6、7とが
トーコレクトブッシュ4、5により連結されている。な
お、各トレーリングアーム2、3の後端部には、スピン
ドルを介して車輪2b、3b(図11に示す)がそれぞ
れ回転自在に支持されている。
【0025】図7に示すトーコレクトブッシュ5は、右
側のトレーリングアーム3に取り付けられて車両の右側
に配置されたもので、図7はその水平断面構造を示す。
なお、左側のトレーリングアーム2には、図7に示すト
ーコレクトブッシュ5と同一構造のトーコレクトブッシ
ュ4が車両中心面に対して左右対称となるように配置さ
れている。
【0026】このトーコレクトブッシュ5は、トレーリ
ングアーム3に固定される略円筒状の外筒10と、外筒
10の内側に所定間隔を隔てて同心状に配設され、車体
側の取付部材7に固定される略円筒状の内筒20と、外
筒10及び内筒20の間に同心状に配設されて両者を連
結する略円筒状のゴム弾性体30とから構成されたブッ
シュ本体5aと、外筒10及び内筒20間の軸方向一端
(車両幅方向の外側の端部)に設けられたゴム弾性体3
0が存在しない略円筒状の空洞部5bに収容された別体
としてのストッパゴム9とを構成要素としている。
【0027】外筒10は、金属製のもので、前方側の内
端が前方側へ30〜70度の範囲で斜めに屈曲された傾
斜屈曲部11と、後方側の内端が後方側へ略直角に屈曲
された直角屈曲部12とを有している。なお、外筒10
の軸線と略平行に延びる部分(以下、「外筒円筒部1
3」という。)の後方側の内端に直角屈曲部12が一体
に形成されるとともに、この外筒円筒部13の前方側の
内端に傾斜屈曲部11が一体に形成されており、外筒1
0の軸方向長さは、傾斜屈曲部11が車両幅方向の内方
へ傾斜している分だけ、後方側よりも前方側の方が長く
されている。
【0028】内筒20は、金属製の円筒状の内筒本体2
1と、内筒本体21の車両幅方向の内方側端部に固定さ
れた金属製のプレート22とから構成されている。この
プレート22は、内筒本体21の外径と略同等の孔径を
もつ貫孔22aが形成されており、この貫孔22a内に
内筒本体21を挿入後、両者を溶接により固着してい
る。プレート22の前方側は、内筒本体21の外面から
車両幅方向の内方に傾斜しつつ前方に延びて外筒10の
傾斜屈曲部11と対向する傾斜突出部22bとされてい
る。一方、プレート22の後方側は、内筒本体21の外
面から直角に(半径方向外方に)後方に延びる直角基部
22cと、この直角基部22cの先端から車両幅方向の
内方に傾斜しつつ後方に一体に延びる傾斜中間部22d
と、この傾斜中間部22dの先端から再び直角に(半径
方向外方に)後方に一体に延びて外筒10の直角屈曲部
12と車両幅方向に対向する直角先端部(直角突出部)
22eとされている。さらに、プレート22の上方側
は、直角先端部22eの上端面と面一の上端面をもつ上
方突起部22fとされ、プレート22の下方側は、直角
先端部22eの下端面と面一の下端面をもつ下方突起部
22gとされている(図3参照)。
【0029】なお、図2及び図3に示すように、外筒1
0の傾斜屈曲部11は内筒本体21の外周面の前方端F
よりも前方側の範囲に配設され、また外筒10の直角屈
曲部12は内筒本体21の外周面の後方端Rよりも後方
側の範囲に配設されている。また、外筒10の傾斜屈曲
部11及び内筒20の傾斜突出部22bは、いずれも軸
心Oを中心として周方向に60度を超える範囲Pにわた
って形成されており、内筒20の直角先端部22dは軸
心Oを中心として周方向に約60度の範囲Qにわたって
形成されている。さらに、外筒10の傾斜屈曲部11及
び内筒20の傾斜突出部22bの車両上下方向(図3の
左右方向)における幅d1 は外筒円筒部13の直径より
も若干小さく設定され、内筒20の直角先端部22eの
車両上下方向における幅d2 は、内筒本体21の外径よ
りも大きく、かつ、外筒10の傾斜屈曲部11及び内筒
20の傾斜突出部22bの車両上下方向における幅d1
よりも小さく設定されている。
【0030】ゴム弾性体30は、外筒10の外筒円筒部
13と内筒20の内筒本体21とを径方向に連結する本
体ゴム部(本体部)31と、外筒10の傾斜屈曲部11
と内筒20の傾斜突出部22bとの間に配設されて両者
を斜め方向に連結する傾斜連結部32と、外筒10の直
角屈曲部12と内筒20の直角先端部22eとの間に配
設されて両者を車両幅方向に連結する幅方向連結部33
とが一体に形成されている。
【0031】本体ゴム部31には、車両幅方向の外端か
ら略円筒状凹部31aが形成されている。なお、この略
円筒状凹部31aが、外筒10及び内筒20間の軸方向
一端(車両幅方向の外端)に設けられたゴム弾性体30
が存在しない筒状の空洞部を構成する。そして、この略
円筒状凹部31aの底面(車両幅方向の内端面)には、
図2に示すように、径方向で車両前後方向に対向するよ
うに、周方向に幅の広い一対の幅広凹部31b、31b
が軸線に沿って延設されており、また径方向で車両上下
方向(図2の左右方向)に対向するように、周方向に幅
の狭い一対の幅狭凹部31c、31cが軸線に沿って延
設されている。これらの幅広凹部31b及び幅狭凹部3
1cは、本体ゴム部31における車両前後方向及び車両
上下方向等のばね特性を調整するためのものであり、そ
の大きさは適宜設定可能である。特に、本実施形態で
は、車両前後方向に対向する各幅広凹部31bの方が、
車両上下方向に対向する各幅狭凹部31cよりも周方向
の幅が広くされていることにより、この本体ゴム部31
におけるばね定数は車両上下方向よりも車両前後方向の
方が小さく設定されている。こうすることで、前後コン
プライアンスの確保という作用効果を達成することがで
きる。
【0032】また、本体ゴム部31には、上記空洞部た
る略円筒状凹部31aの部分において、外筒10の外筒
円筒部13の内面及び内筒20の内筒本体21の外面の
双方には、本体ゴム部31と一体に形成された薄肉状で
断面略円筒状のゴム膜31d及び31eが周方向の全体
に設けられている。外筒円筒部13の内面に設けられた
ゴム膜31dは、ストッパゴム9の外面が衝突する際の
衝撃を吸収しうるストッパゴム部として機能する。ここ
に、このストッパゴム部として機能しうるゴム膜31d
は、車両前後方向に対向する部位がそれぞれ車両上下方
向に対向する部位よりもそれぞれ若干厚肉とされた厚肉
ゴム膜31f、31fとされている。
【0033】傾斜連結部32は、外筒10の傾斜屈曲部
11及び内筒20の傾斜突出部22bと同様、内筒本体
21の外周面の前方端Fよりも前方側の範囲に配設され
るとともに、軸心Oを中心として周方向に60度を超え
る範囲Pにわたって形成されている。また、傾斜連結部
32の車両上下方向における幅も、傾斜屈曲部11及び
傾斜突出部22bと同様の幅d1 とされている。
【0034】幅方向連結部33は、内筒20の直角先端
部22e全体と外筒10の直角屈曲部12とを車両幅方
向に連続的に連結している。そして、幅方向連結部33
は、外筒10の直角屈曲部12と同様、内筒本体21の
外周面の後方端Rよりも後方側の範囲に配設されてお
り、また内筒20の直角先端部22eと同様、軸心Oを
中心として周方向に約60度の範囲Qにわたって形成さ
れている。さらに、幅方向連結部33の車両上下方向に
おける幅も、直角先端部22eと同様の幅d2 とされて
傾斜連結部32の車両上下方向における幅d1 よりも小
さくされており、これにより傾斜連結部32におけるト
ーコレクト機能を有効に発揮させうるようになされてい
る。
【0035】また、本体ゴム部31には、図4に示すよ
うに、外筒10の外筒円筒部13の内端よりも車両幅方
向の内側に位置する内筒本体21の外周面であって、車
両上下方向に対向する部位に、内筒20の上方突起部2
2f及び下方突起部22gをそれぞれ覆うように上方被
覆部34及び下方被覆部35が一体に形成されている。
この上方被覆部34の上端面は幅方向連結部33の上端
面と面一とされており、下方被覆部35の下端面は幅方
向連結部33の下端面と面一とされている。また、上方
被覆部34及び下方被覆部35の車両幅方向における外
端面と、本体ゴム部31の車両幅方向における内端面と
の間には、上凹部34a及び下凹部35aが形成されて
いる。この上凹部34a及び下凹部35aは、その周辺
部の耐久性向上のためにある。
【0036】上記空洞部たる略円筒状凹部31aに収容
されたストッパゴム9は、内筒20の内筒本体21の外
周面に設けられたゴム膜31eの外周面に圧入されたも
ので、車両前後方向のうちの一方側のみ、本実施形態で
は前方側のみの外面形状が半径方向外方に膨出する異形
部9aとされ、この異形部9aの外面が周方向において
部分的に外筒10の外筒円筒部13の内面に設けられた
厚肉ゴム膜31fに当接されている。
【0037】そして、異形部9aの外面における外曲率
半径は、内筒20の内筒本体21の外周面における曲率
半径よりも大きく、かつ、異形部9aの外面が当接する
厚肉ゴム膜31fの内面における内曲率半径よりも小さ
く設定されている。なお、ストッパゴム9には、ストッ
パゴム9自身の剛性アップを図るべく、円筒状の金属リ
ング9bが内蔵されている。
【0038】上記構成を有するトーコレクトブッシュ5
は、以下のようにして製造した。まず、第1工程によ
り、内筒本体21に所定形状のプレート22を溶接によ
り固着した後、この内筒20と所定形状に成形された外
筒10とを所定の加硫成形型内に配置し、ゴム弾性体3
0を一体に加硫成形するとともに、ゴム弾性体30と外
筒10及び内筒20とを加硫接着することにより、外筒
10及び内筒20間の軸方向一端(車両幅方向の外端)
にゴム弾性体30が存在しない筒状の空洞部たる略円筒
状凹部31a等がゴム弾性体30に設けられたブッシュ
本体5aを加硫成形により得た。なお、この状態は図1
〜図4により示される。
【0039】そして、第2工程により、加硫成形により
所定形状に成形したストッパゴム9を、該ストッパゴム
9の外周面と外筒10の内周面(ゴム膜31d及び厚肉
ゴム膜31fの内周面)との間に筒状の間隙を形成しつ
つ、内筒20の外周面(ゴム膜31eの外周面)に軸方
向一端(車両幅方向の外端)から圧入した。なお、この
状態は図5及び図6により示される。
【0040】最後に、第3工程により、外筒10の外筒
円筒部13において、軸方向一端(車両幅方向外端)側
の約半分程度の部分の外周面を、周方向全体で均一に絞
り加工した。これにより、ストッパゴム9の外周面のう
ち、異形部9bの外面の一部分のみを外筒10の内面
(厚肉ゴム膜31fの内面)に当接させて、本実施形態
に係るトーコレクトブッシュ5を完成した。なお、この
状態は図7及び図8により示される。
【0041】そして、このトーコレクトブッシュ5は、
図10に示すように、傾斜屈曲部11、傾斜突出部22
b及び傾斜連結部32等が車両幅方向の内側に位置する
ように、外筒10の外筒円筒部13が車両幅方向右側の
トレーリングアーム3のブッシュ圧入部3aに圧入され
るとともに、内筒20の内筒本体21がボルト8及びナ
ット9により車体側の取付部材7に取り付けられる。
【0042】このトーコレクトブッシュ5では、ストッ
パゴム9により、ストッパゴム9の外周面と外筒10の
内周面とが固着されていない分だけ、両者が固着されて
両者の相対移動が相互に規制される場合よりも、車両前
後方向におけるブッシュのばね定数が小さくなる。ま
た、ストッパゴム9の外周面と外筒10の内周面との間
には、車両前後のうちの後方側に隙間cが形成されてい
るので、その隙間cを無くす方向に外筒10及び内筒2
0が相対変位する際に、圧縮を受けるゴムがその隙間分
だけ存在しないことになり、その分車両前後方向におけ
るブッシュのばね定数が小さくなる。したがって、本実
施形態のトーコレクトブッシュ5は、サスペンション前
後コンプライアンスが大きくなり、ハーシュネスを効果
的に吸収することができる。
【0043】一方、ストッパゴム9の外周面と外筒10
の内周面との間で車両前後のうちの前方側では、ストッ
パゴム9の外面と外筒10の内面とが当接されているの
で、外筒10に対して内筒20が車両前方側に相対変位
する場合は、ストッパゴム9の外面と外筒10の内面と
が予め当接されているので両者が衝突することはなく、
両者が衝突する際の衝撃によるショック感が発生するこ
ともない。なお、車両前後のうちの後方側、すなわちス
トッパゴム9の外面と外筒10の内面との間に隙間cが
形成されている側に外筒10に対して内筒20が相対変
位する場合は、ストッパゴム9の外面と外筒10の内面
とが衝突することになるが、このとき外筒10の内面に
設けられた厚肉ゴム膜31fがこの衝突時の衝撃を効果
的に吸収するため、かかる衝突の際の衝撃によるショッ
ク感を和らげることができる。
【0044】このように本実施形態のトーコレクトブッ
シュ5では、車両前後のうちの前方側(ストッパゴム9
の外面と外筒10の内面とが当接された側)に外筒10
に対して内筒20が相対変位する場合において、ストッ
パゴム9の外面と外筒10の内面とが衝突する際のショ
ック感を無くすことができるとともに、車両前後のうち
の後方側(ストッパゴム9の外面と外筒10の内面との
間に隙間cが形成された側)に外筒10に対して内筒2
0が相対変位する場合において、ストッパゴム9の外面
と外筒10の内面とが衝突する際のショック感を和らげ
ることができる。
【0045】よって、本実施形態のトーコレクトブッシ
ュによれば、別体ストッパゴム9を備えることにより新
たに発生するショック感の問題を抑えつつ、ハーシュネ
スを効果的に吸収することが可能となる。また、ストッ
パゴム9に異形部9aを設けていることから、外筒10
の外周面を周方向全体において均一に絞り加工すること
によっても、ストッパゴム9の異形部9aのみの外面を
外筒10の内面に当接されることができるので、絞り加
工時の工程が容易となる。
【0046】さらに、異形部9aの外面における外曲率
半径は、異形部9aの外面が当接する外筒10の内面
(厚肉ゴム膜31fの内面)における内曲率半径よりも
小さく設定されており、異形部9aの外面と厚肉ゴム膜
31fの内面との当接面積が小さくされていることか
ら、両者間で働く摩擦による抵抗力を小さくすることが
でき、車両上下方向における振動の吸収効果に対する悪
影響を少なくすることが可能となる。
【0047】加えて、ストッパゴム9を内筒20に圧入
する段階では、ストッパゴム9の外周面と外筒10の内
周面との間に所定の隙間が存在していることから、スト
ッパゴム9の圧入操作が容易になるとともに、圧入時に
ストッパゴム9が変形したりすることもない。また、ス
トッパゴム9の異形部9aの外面に外筒10の内面を当
接させるための外筒10の絞り加工と、ゴム弾性体30
に予備圧縮を加えてゴム弾性体30の耐久疲労性を向上
させるための外筒10の絞り加工とを同時に行うことが
できるので、製造工程全体における工程の簡略化を図る
ことが可能となる。
【0048】一方、このトーコレクトブッシュ5では、
外筒10の傾斜屈曲部11と内筒20側の傾斜突出部2
2bとの間でゴム弾性体30の傾斜連結部32が圧縮・
引張の作用を受けることを介して、外筒10及び内筒2
0間における車両幅方向の相対変位と車両前後方向の相
対変位とを相互に変換させることができる。これによ
り、トーコレクト機能が発揮され、車両旋回時のオーバ
ーステアを低減させることができる。
【0049】かかるトーコレクト機能について、図11
に示すトーションビーム式リヤサスペンションの模式図
を参照しつつ、以下説明する。なお、図11(a)はト
ーコレクト機能をもたないブッシュBl、Brを用いた
場合のツイストビーム1等の動きを示すものであり、図
11(b)はトーコレクト機能をもつトーコレクトブッ
シュ4、5を用いた場合のツイストビーム1等の動きを
示すものである。
【0050】トーコレクト機能をもたないブッシュB
l、Brを用いたトーションビーム式リヤサスペンショ
ンでは、図11(a)に示すように、例えば右回り旋回
時における車両の横滑りにより、左右の車輪2b、3b
に右向きの横力Fが作用すると、右側のブッシュBrに
は、Fx(=2×F×L/D)の前向きの前後方向力が
作用する。なお、この前後方向力Fxは、トレーリング
アーム2、3のアーム長(同図では、左側のブッシュB
lと車輪2bの中心との前後方向の長さ)をLとし、左
右のブッシュBr、Bl間の距離をDとしたものであ
る。一方、左側のブッシュBlには、Fx(=2×F×
L/D)の後ろ向きの前後方向力が作用する。このた
め、これらの前後方向力Fxによって、右側のブッシュ
Brは前方へ変位し、左側のブッシュBlは後方へ変位
する。したがって、トーションビーム1は、車両幅方向
の中心を回転中心として、半時計回りに回転し、オーバ
ーステア方向へステア角が変化する。
【0051】かかるオーバーステアを低減するには、左
右の車輪2b、3bに右向きの横力Fが作用した場合
に、右側のブッシュBrには、右向きの左右方向力Fy
が作用することにより、右方向に変位するとともに後方
にも変位するような特性を付与するとともに、左側のブ
ッシュBlには、右向きの左右方向力Fyが作用するこ
とにより、右方向に変位するとともに前方にも変位する
ような特性を付与すればよい。こうすれば、トーション
ビーム1は時計回りに回転してアンダーステア方向へス
テア角を修正することができる。
【0052】かかる特性は、トーコレクト機能をもった
トーコレクトブッシュ4、5により発揮させることがで
きる。すなわち、トーコレクト機能をもったトーコレク
トブッシュ4、5を用いれば、左右の車輪2b、3bも
右向きの横力Fが作用した場合に、右側のトーコレクト
ブッシュ5は、右向きの左右方向力Fyが作用すること
により、右方向に変位するとともに後方にも変位し、左
側のトーコレクトブッシュ4は、右向きの左右方向力F
yが作用することにより、右方向に変位するとともに前
方にも変位する。
【0053】具体的には、図10に示す右側のトーコレ
クトブッシュ5では、右向きの左右方向力がトレーリン
グアーム3を介して作用することににより、外筒10が
内筒20に対して図10の右側(車両幅方向の外側)に
相対変位する。このとき、外筒10の傾斜屈曲部11と
内筒20の傾斜突出部22bとを斜め方向に連結する傾
斜連結部32には、左右方向(車両幅方向)に引っ張ら
れた際の反発力が後ろ向きの前後方向力Fxとして作用
するため、外筒10は内筒20に対して後方に相対変位
する。一方、左側のトーコレクトブッシュ4では、右向
きの左右方向力がトレーリングアーム2を介して作用す
ることににより、外筒10が内筒20に対して右側(車
両幅方向の内側)に相対変位する。このとき、外筒10
の傾斜屈曲部11と内筒20の傾斜突出部22bとを斜
め方向に連結する傾斜連結部32には、左右方向(車両
幅方向)に圧縮された際の反発力が前向きの前後方向力
Fxとして作用するため、外筒10は内筒20に対して
前方に相対変位する。
【0054】こうして、トーションビーム1は時計回り
に回転してアンダーステア方向へステア角を修正するこ
とができ、結果として図11(b)に示すようにトーシ
ョンビーム1の回転を無くしてステア角の変化を無くす
ことが可能となる。また、このトーコレクトブッシュ5
では、外筒10の直角屈曲部12と内筒20の直角突出
部たる直角先端部22eとがゴム弾性体30の幅方向連
結部33により車両幅方向に連結されている。このた
め、このトーコレクトブッシュ5におけるゴム弾性体3
0による車両幅方向のばね特性は、本体部たる本体ゴム
部31におけるせん断ばね特性及び傾斜連結部32にお
ける圧縮・引張ばね特性の他に、幅方向連結部33にお
ける圧縮・ばね特性に大きく依存する。すなわち、外筒
10及び内筒20間で車両幅方向の相対変位が発生した
場合、幅方向連結部33が圧縮・引張の作用を受ける分
だけ、車両幅方向における剛性を高めることができる。
【0055】したがって、重量の重い車両や車高の高い
車両等、旋回時の慣性力が高い車両であっても、車両旋
回時における外筒10及び内筒20間での車両幅方向の
相対変位を規制することができ、オーバーステアを抑え
て操縦安定性を向上させることが可能となる。さらに、
本実施形態では、プレート22には車両幅方向の内方に
傾斜する傾斜中間部22dが設けられ、この傾斜中間部
22dの先端に直角突出部たる直角先端部22eが設け
られており、傾斜中間部22の傾斜分だけ、直角先端部
22eと外筒10の直角屈曲部12との車両幅方向にお
ける間隔が大きくされている。したがって。直角先端部
22eと直角屈曲部12との間に配設される幅方向連結
部33の車両幅方向の大きさを大きくしてボリュームア
ップを図ることができ、幅方向連結部33における耐久
性を向上させる上で有利となる。
【0056】なお、上記実施形態では、車両前後方向の
うち前方側でのみストッパゴム9の外面と外筒10の内
面とを当接させる例について説明したが、車両前後方向
のうち後方側でのみストッパゴム90と外筒10とを当
接させることも勿論可能であり、この場合も同様の作用
効果を奏する。
【0057】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のサスペン
ションブッシュは、車両前後のうちの一方側でのみスト
ッパゴムと外筒とが当接していることから、別体ストッ
パゴムを備えることにより新たに発生するショック感の
問題を抑えつつ、ハーシュネスに対して効果的な吸収特
性を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサスペンションブッシュをトーコレク
トブッシュに適用した本実施形態のトーコレクトブッシ
ュ(車両の右側に配置されるもの)に係り、ブッシュ本
体を軸線に沿って水平方向に切った(図2のA−A線で
切った)軸方向断面図である。
【図2】上記ブッシュ本体を図1の右から見た右側面図
である。
【図3】上記ブッシュ本体を図1の左から見た左側面図
である。
【図4】上記ブッシュ本体を図2のB−B線で切った軸
方向断面図である。
【図5】上記ブッシュ本体の内筒にストッパゴムを圧入
した状態を軸線に沿って水平方向に切った(図2のA−
A線で切った)軸方向断面図である。
【図6】上記ブッシュ本体の内筒にストッパゴムを圧入
した状態を図5の右から見た右側面図である。
【図7】上記トーコレクトブッシュを軸線に沿って水平
方向に切った(図2のA−A線で切った)軸方向断面図
である。
【図8】上記トーコレクトブッシュを図7の右から見た
右側面図である。
【図9】上記トーコレクトブッシュを用いたトーション
ビーム式リヤサスペンションの全体構成を示す平面図で
ある。
【図10】上記トーコレクトブッシュをトーションビー
ム式リヤサスペンションの右側のトレーニングアームに
取り付けた状態を示す部分断面図である。
【図11】トーションビーム式リヤサスペンションの模
式図であり、(a)はトーコレクト機能をもたないブッ
シュを用いた場合のツイストビーム等の動きを示すもの
であり、(b)はトーコレクト機能をもつトーコレクト
ブッシュを用いた場合のツイストビーム等の動きを示す
ものである。
【図12】従来のトーコレクトブッシュ(車両の右側に
配置されるもの)を軸線に沿って水平方向に切った軸方
向断面図である。
【符号の説明】
1…トーションビーム 2、3…トレーリン
グアーム 4、5…トーコレクトブッシュ 5a…ブッシ
ュ本体 6、7…取付部材 9…ストッ
パゴム 9a…異形部 10…外筒 11…傾斜屈曲部 12…直角屈曲
部 13…外筒円筒部 20…内筒 21…内筒本体 22b…傾斜突出
部 22e…直角先端部 30…ゴム弾
性体 31…本体ゴム部 31a…略円筒状
凹部(空洞部) 32…傾斜連結部 33…幅方向連
結部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向が車両幅方向と一致するように配
    設されてサスペンション側の第1取付部材と車両側の第
    2取付部材とを連結するブッシュであって、該第1取付
    部材及び該第2取付部材のうちの一方に固定される外筒
    と、該外筒の内側に配設され、該第1取付部材及び該第
    2取付部材のうちの他方に固定される内筒と、該外筒及
    び該内筒の間に介在されて両者を連結する筒状のゴム弾
    性体とを備えたサスペンションブッシュにおいて、 上記外筒及び上記内筒間の軸方向一端に設けられた上記
    ゴム弾性体が存在しない筒状の空洞部に、上記内筒の外
    周面に軸方向一端から圧入された筒状のストッパゴムが
    収容され、該ストッパゴムは、車両前後方向のうち一方
    側のみの外面が外筒の内面に当接されていることを特徴
    とするサスペンションブッシュ。
  2. 【請求項2】 前記ストッパゴムは、車両前後方向のう
    ちの一方側のみの外面形状が半径方向外方に膨出する異
    形部とされ、該異形部の外面が前記外筒の内面に当接さ
    れていることを特徴とする請求項1記載のサスペンショ
    ンブッシュ。
  3. 【請求項3】 前記異形部の外面における外曲率半径
    は、該異形部の外面が当接する前記外筒の内面における
    内曲率半径よりも小さく設定されていることを特徴とす
    る請求項2記載のサスペンションブッシュ。
  4. 【請求項4】 外筒と、該外筒の内側に配設された内筒
    と、該外筒及び該内筒の間に介在されて両者を連結する
    筒状のゴム弾性体とからなり、該外筒及び該内筒間の軸
    方向一端に該ゴム弾性体が存在しない筒状の空洞部が設
    けられたブッシュ本体を加硫成形により得る第1工程
    と、 筒状のストッパゴムを、該ストッパゴムの外周面と上記
    外筒の内周面との間に筒状の間隙を形成しつつ、上記内
    筒の外周面に軸方向一端から圧入する第2工程と、 少なくとも上記ストッパゴムと対応する部分における上
    記外筒の軸方向端部の外周面であって、周方向における
    少なくとも一部を絞り加工して、絞り加工により縮径さ
    れた該外筒の内面を周方向において部分的に該ストッパ
    ゴムの外面に当接させる第3工程とを順に実施すること
    を特徴とするサスペンションブッシュの製造方法。
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