JP2000256221A - 易重合性化合物の精製方法 - Google Patents

易重合性化合物の精製方法

Info

Publication number
JP2000256221A
JP2000256221A JP11056642A JP5664299A JP2000256221A JP 2000256221 A JP2000256221 A JP 2000256221A JP 11056642 A JP11056642 A JP 11056642A JP 5664299 A JP5664299 A JP 5664299A JP 2000256221 A JP2000256221 A JP 2000256221A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
polymerizable compound
easily polymerizable
vacuum pump
liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11056642A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuyuki Sakakura
康之 坂倉
Masahiko Yamagishi
昌彦 山岸
Yukihiro Hasegawa
幸弘 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP11056642A priority Critical patent/JP2000256221A/ja
Publication of JP2000256221A publication Critical patent/JP2000256221A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エス
テル、メタクリル酸エステル及びスチレン等の、分子内
に重合性二重結合を有する易重合性化合物を効率的かつ
安全、安価に減圧蒸留により精製するための方法の提
供。 【解決手段】 アクリル酸、メタクリル酸、及びそれら
のエステル、或いはスチレン等の易重合性化合物を含む
液を減圧下で蒸留するに際して、減圧装置として水封式
真空ポンプを用いる易重合性化合物の精製方法。水封式
真空ポンプの水封液の温度を30℃以下に維持し、水封
液としてプロセス排水を使用すると、更に効果が大き
い。また水封液の冷却は冷却装置を有する循環ラインを
用いて行うのが好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル酸、メタ
クリル酸(この両者をまとめて「(メタ)アクリル酸」
と記載する)、(メタ)アクリル酸エステルやスチレン
等の、分子内に重合性二重結合を有する易重合性化合物
を精製する方法に関するものである。詳しくは、本発明
は易重合性化合物の減圧蒸留による精製を効率的かつ安
全に行うための精製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】分子内に二重結合、特に炭素−炭素二重
結合を有する化合物は、一般に反応性に富み、重合しや
すい。このような化合物を取り扱うプロセス、特にその
精製工程において、重合が起こった場合、製品収率の低
下及び重合体の付着やそれに起因する配管等の閉塞など
による設備の操業トラブルの原因となる可能性がある。
そのため、このような易重合性化合物を蒸留により精製
する場合は、重合を防止するために、フェノチアジン、
メトキシハイドロキノン、ハイドロキノン、種々の金属
またはその化合物、或いは酸素または酸素含有ガス等の
重合禁止剤を添加して蒸留する方法や、これに加えて処
理温度を低くして重合を抑えるため高真空下で蒸留を行
う方法などが広く用いられている。
【0003】しかしながら、高真空下で蒸留を行う場合
は、以下のような問題点がある。 (1)蒸留装置の構造が複雑になって、蒸留塔や配管等
の結合部分やポンプ等の機器のシール部分の気密が不十
分となり、大気が僅かながら系内に吸い込まれるのが通
常である。大型の装置では吸入空気量も多くなり、設備
が必要以上に過大なものとなりやすい。 (2)(1)で吸入された窒素等の非凝縮性ガスは、系
外へ排出される際に塔頂に留出する有機成分を同伴する
ことがあるため、環境上好ましくない。これを防ぐため
には、排気処理装置を付加しなければならない。また、
重合禁止剤を添加して蒸留を行う場合でも、低い温度で
蒸留を行う方がより好ましいので、減圧下に蒸留を行う
のが一般的である。真空蒸留や減圧蒸留を行うための減
圧装置としては、往復型(ピストン型)、ルーツ型等の
乾式機械式ポンプ、油封液式ナッシュ型ポンプ、油封回
転型真空ポンプ等の湿式機械式ポンプや、スチームエゼ
クターが広く用られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、通常の
乾式機械式真空ポンプや湿式機械式真空ポンプでは、た
とえポンプ前段に冷却装置を設けて易重合性化合物の凝
縮除去を行ったとしても、その吸入ガス中には微量の易
重合性化合物が混入するため、ポンプ内で易重合性化合
物が蓄積し、重合することにより、重合体の付着や閉
塞、ひいては設備停止等のトラブルに至る可能性があ
る。また、スチームエゼクターを使用した場合には、駆
動スチーム量に対応した排水が発生し、その排水中に
は、有機物である易重合性化合物が溶存しているため、
これを安全に排出するための活性汚泥設備等の処理設備
が必要となる。有機物の凝縮による爆発性混合ガスの形
成防止と重合物の生成を防ぐために、水エゼクターによ
り減圧する方法も提案されている(特開平10−204
030号公報)。しかしながら、この場合も上述のスチ
ームエゼクターの場合と同様に、排水の問題が残ってし
まう。本発明は、上記の観点から、易重合性化合物を効
率的かつ安全、安価に精製するための方法を提供する事
を目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の諸
点に関して、種々の検討・評価を行った結果、特定の減
圧装置を用いることにより、これらの問題点が解決でき
ることを見出し、本発明に到達した。即ち、本発明の要
旨は、易重合性化合物、特に(メタ)アクリル酸及び/
または(メタ)アクリル酸エステルを含む液を減圧下で
蒸留するに際して、減圧装置として水封式真空ポンプを
用いる易重合性化合物の精製方法、に存している。本発
明の他の要旨は、水封式真空ポンプの水封液の温度を3
0℃以下に維持する上記の方法、水封液としてプロセス
排水を使用する上記の方法、及び水封液を冷却装置を有
する循環ラインで冷却する上記の方法にも存しており、
更に本発明の別の要旨は、水封液を連続的又は定期的に
抜き出し、抜き出した水封液から有機物成分を回収する
上述の方法、及び水封式真空ポンプの排気に不活性ガス
を供給する上述の易重合性化合物の精製方法、にも存し
ている。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。本発明において用いる水封式真空ポンプはそのシー
ル液(封液)として水を使用する。ここで言う「水」と
は、水を主成分として含むものであれば本発明の目的を
阻害しない限り、使用することができる。このようにし
て用いることのできる真空ポンプとしてナッシュ型真空
ポンプが例示でき、具体的には粟村製作所製ANVH
型、SONIT型、新日本造機製SLPH型などが挙げ
られる。易重合性化合物の減圧蒸留において、塔頂留出
ガスからコンデンサーで凝縮しきれない蒸気圧相当分の
易重合性化合物は、減圧ラインを経て真空ポンプに入
り、ここでその一部あるいはほとんど全部が凝縮する。
本発明においては、真空ポンプに水をシール液として使
用しているので、凝縮した易重合性化合物は水に溶解又
は分散して稀薄な水溶液又は水分散液となる。従って、
重合が起こりにくくなり、重合体の生成によるトラブル
発生の恐れも小さくなる。
【0007】しかしながら、運転を長期間続けた場合、
水封液中に易重合性化合物が蓄積して、その結果重合体
が生成する可能性が高くなるので、連続的に又は定期的
に水封液を抜き出すことが好ましい。抜き出した易重合
性化合物を含有する水封液は、蒸留塔へ供給する等によ
って易重合性化合物を回収することができる。水封液の
抜き出しを行う場合、塔頂の留出ガス中に水分が含まれ
ている場合等は、水封液の追加を行う必要がないことも
あるが、通常は新たな水封液を追加供給する必要があ
る。プロセスで副生する水がある場合は、供給する水封
液としてこの副生水を用いると、排水量を少なくするこ
とができるので好ましい。このようなプロセスからの副
生水としては、例えば(メタ)アクリル酸の製造の酸化
工程において生成する水や、(メタ)アクリル酸エステ
ルの製造におけるエステル化反応で生成する水などが挙
げられる。
【0008】水封液の温度は、低い方が水及び水中に溶
解・分散した易重合性化合物等の蒸気圧が低くなるの
で、真空ポンプの到達真空度が高くできる、即ちより低
い圧力での操作が可能になるので好ましい。また、真空
ポンプにおいては圧縮されたガスの断熱圧縮により温度
が上昇する傾向があるので、真空ポンプ内での易重合性
化合物の重合を防止するためにも、水封液の温度を低く
維持することが好ましい。
【0009】本発明においては、水封液を30℃以下、
好ましくは25℃以下、更に好ましくは20℃以下に保
つことが重合体の生成防止等のために効果的である。ま
た水封液の温度管理は、真空ポンプ内部に設置した温度
計による方法や、真空ポンプからの水封液の出口温度を
測定して行う方法が、水封液の温度を直接管理できるの
で好ましいが、真空ポンプの上記部位の温度と、供給す
る水封液の温度・量との相関に基づいて管理を行っても
よい。
【0010】上記のような水封液の抜き出しと温度の制
御とを効率よく行うためには、例えば図1に示すよう
な、「真空ポンプ(1)からの水封液の抜き出し−気液
分離(2)−冷却(3)−真空ポンプへの供給」を行う
ための循環ラインを設けるのが好ましい。この循環ライ
ンには、必要に応じて系外への水封液の排出(7)と系
外からの水封液の追加・供給配管(5)を設けてもよ
い。水封液の温度制御は、上記のような循環ライン中に
設けた熱交換器等による他、予め冷却した水封液を供給
・混合する方法によってもよい。水封式真空ポンプは水
封液の蒸気圧の関係から到達可能な真空度には限界があ
るが、水封液の温度を30℃以下に維持すれば、少なく
とも70torr(「mmHg・abs 」のこと、以下同じ)
以下の圧力、通常であれば50torr以下の圧力で運
転することが出来る。これよりも低い圧力で操作するこ
とが必要な場合には、例えば水封式真空ポンプとスチー
ムエジェクターなどの減圧装置とを組み合わせて使用す
ればよい。水封液の凍結を防止するため、例えば塩化ナ
トリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナ
トリウム、硫酸マグネシウム等の廃水負荷の少ない無機
化合物や、エチレングリコール、メタノール等を水封液
中に加えてもよい。但し、沸点の低いアルコールを多量
に入れた場合、水封液の蒸気圧が高くなって、真空ポン
プの到達可能な減圧度が低下する。水封液として水溶液
を用いる場合は、30℃での蒸気圧が70torr以下
のものを用いるのが好ましい。
【0011】なお封液として有機溶媒を使用すると、そ
の蒸気による爆発性混合ガス形成の可能性があることに
加えて、有機溶媒自体のコストや封液として使用した有
機溶媒の回収のための装置や費用がかかり、経済的でな
い。易重合性化合物の重合反応をより効果的に抑制する
ために、水封液中にはあらかじめ重合禁止剤を溶解させ
ておくことが好ましい。ここで用いることのできる重合
禁止剤としては、前述のハイドロキノン、メトキシハイ
ドロキノン等を適宜選択して使用すればよい。水封液の
抜き出しは、前記の循環配管の一部から行えばよいが、
気液分離器が循環ライン中にある場合は、その液面を監
視しながら液相部を抜き出すのが一般的である。易重合
性化合物が例えばスチレン、(メタ)アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシルのような水への溶解
度が低い化合物である場合は、この気液分離器中で相分
離が起こって油層が形成されることがある。この場合
は、気液分離器からオーバーフロー配管を設けることに
より、効率的に油層を回収することができる。
【0012】通常は、抜き出された水封液は蒸留塔など
を用いて有機物成分を分離回収され、有機物成分はプロ
セスの適切な工程へ返送し、排水は必要に応じて更に高
次の処理を加えた上、系外へ排出する。このような水封
液からの有機物成分の回収は、例えば(メタ)アクリル
酸エステルの製造プロセスのように、反応生成水からの
有機物成分を回収するための蒸留塔などの設備を有する
場合は、その蒸留設備で行うことが合理的である。
【0013】本発明方法を適用することができる易重合
性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽
和カルボン酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−ヒドロキシエ
チル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル
酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステルを含む不飽和
カルボン酸エステル類、アクリロニトリル、アクリルア
ミドのようなアクリル化合物、スチレン等の芳香族ビニ
ル化合物等が例示できる。この易重合性化合物の沸点が
80℃以上の場合に、本発明方法は特に有効である。易
重合性化合物の沸点が80℃以下の場合には、蒸留を減
圧で行う必要が無い場合が多い。
【0014】また蒸留に際しては、トルエン、メチルイ
ソブチルケトン等の有機溶剤を共沸溶剤として用いる方
法も採用される。このような化合物やメタクリル酸メチ
ルのような引火点が30℃以下の化合物を含む混合物を
精製する場合は、真空ポンプの排気側で爆発範囲のガス
混合物が形成される可能性がある。これを予防するため
には、真空ポンプの排気ガスに窒素や二酸化炭素などの
不活性ガスを供給し、排気中の酸素濃度を低くして、爆
発範囲のガス組成を回避する等の手段を講じることが安
全上好ましい。循環ラインの気液分離器から排出される
ガス中には、蒸留塔の塔頂留出成分が多く含まれてい
る。また(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エス
テルの蒸留塔のように、重合防止のために塔底に酸素含
有ガスを供給している場合は、この排ガスに酸素も含ま
れてくる。従って、この排ガスを蒸留塔に供給すること
により、有機物成分の回収と同時に排気ガスの量も削減
することが可能となる。本発明の易重合性化合物の精製
方法は、目的物質が易重合性化合物である場合だけでな
く、反応生成液中の軽質の不純物を除去・精製する場合
や、易重合性化合物と水の分離、易重合性化合物中の重
質不純物の分離等にも適用することができる。
【0015】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を更に詳細かつ
具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例によって限定されるものではない。 <実施例1>ガラス製蒸留装置を使用し、共沸剤として
トルエンを用いるアクリル酸水溶液の脱水蒸留を行っ
た。蒸留塔は直径50mmのガラス製円筒で、3mmの
ラシヒリングを高さ90cmまで充填した(理論段数1
5段)。底部に容量1リットルのフラスコが、塔頂には
水冷式コンデンサーがそれぞれ接続されている。コンデ
ンサーの出口を水封式真空ポンプに接続して減圧蒸留を
実施した。
【0016】水封液は、毎時1リットル抜き出すと同時
に、新しい水封液を真空ポンプの水封液液面が一定にな
るように供給した。この水封液は冷凍機により冷却され
た8℃の冷却水(エチレングリコール/水=10%/9
0%)により18℃に維持された塔頂コンデンサーで凝
縮した留出液はデカンター(気液分離器)で静置分離し
た後、共沸剤層は全量蒸留塔へ還流し、水層は抜き出し
た。蒸留塔の加熱は油温制御装置付きのオイルバスを使
用してフラスコを加熱することによって行った。蒸留原
料液としては、アクリル酸55重量%、酢酸1.5重量
%、ホルムアルデヒド0.3重量%及び若干量の蟻酸、
アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、アクロレインを
含むアクリル酸水溶液を使用し、毎時280gの割合
で、毎時14ミリリットルのトルエン(共沸剤)ととも
に蒸留塔中段に供給した。
【0017】蒸留塔の運転圧力は180torrに制御
し、重合禁止剤として塔頂からハイドロキノン及びフェ
ノチアジンを、塔底(フラスコ)に空気を毎時15ミリ
リットル供給した。フラスコ内の液面を一定に保つよう
にポンプにより缶出液を抜き出した。この缶出液中の重
合禁止剤濃度がハイドロキノン800ppm、フェノチ
アジン500ppmとなるようにこれらの供給量を調整
した。このとき塔頂温度は49℃、塔底(缶出液)温度
は86℃であった。塔頂部における共沸剤還流量は毎時
750ミリリットルであった。真空ポンプの排気ガス組
成をガスクロマトグラフィーにより確認したところ、共
沸剤であるトルエンの濃度が2%と爆発範囲にあったた
め、真空ポンプの排気ラインに窒素ガスを供給して爆発
範囲外の組成になるように調整しながら運転した。蒸留
塔が安定した後、7時間連続して蒸留を行った。蒸留終
了後、真空ポンプを点検したが、重合体の生成・付着は
見られなかった。
【0018】<比較例1>真空ポンプとしてオイルシー
ル式回転真空ポンプを使用したこと以外は実施例1と同
様にしてアクリル酸水溶液の共沸脱水蒸留を行った。蒸
留運転中(安定運転開始後4時間経過時)に真空度を維
持ができなくなり運転を停止した。
【0019】<実施例2>水封式真空ポンプの水封液と
して、20%エチレングリコール水溶液を使用し、水封
液の温度を−3℃に維持したこと以外は実施例1と同様
にして蒸留操作を実施した。真空ポンプの排気ガス中の
トルエンの濃度は0.8%で、爆発範囲外となってい
た。
【0020】<実施例3>共沸剤としてトルエンに代え
てメチルイソブチルケトンを用いたこと以外は、実施例
1と同様にしてアクリル酸水溶液の共沸蒸留を行った。
但し、共沸剤の全量還流は行わず、塔頂液を連続的に抜
き出すとともに、毎時180gのメチルイソブチルケト
ンを塔頂より還流液として供給した。蒸留塔が安定した
後、7時間連続して蒸留を行った。蒸留終了後、真空ポ
ンプを点検したが、重合体の生成・付着は見られなかっ
た。
【0021】<実施例4>蒸留原料液として、酢酸エチ
ルを0.05%、アクリル酸を0.2%、重合禁止剤と
してハイドロキノンを含むアクリル酸エチルを毎時30
0g供給し、また塔頂からはメトキシキノンを含むアク
リル酸エチルを還流液と一緒に供給したこと以外は実施
例1と同様にしてアクリル酸エチルの精製を行った。塔
頂圧力を150torrに制御し、還留比を2.0で運
転したところ、塔頂から酢酸エチルを0.05%含むア
クリル酸エチルを得た。塔頂温度は60℃であった。実
施例1と同様に7時間連続運転した後、真空ポンプを点
検したが、重合体の生成・付着は見られなかった。
【0022】<実施例5>水封式真空ポンプの水封液の
温度を40℃に制御し、水封液の抜き出しを行わなかっ
たこと以外は実施例4と同様にしてアクリル酸エチルの
精製を行った。7時間運転後、真空ポンプを点検したと
ころ、重合体の生成・付着は見られなかったが、水封液
の粘度が上昇していた。
【0023】<実施例6>ガラス製の反応蒸留装置(塔
底部の反応器容量1リットル)を使用し、アクリル酸と
ブタノールとのエステル化反応蒸留を実施した。触媒と
して強酸性イオン交換樹脂(PK−216:三菱化学
製)を150ml用い、温度80℃、圧力150tor
rの減圧下で反応液を攪拌しながら、原料としてアクリ
ル酸毎時144g、ブタノール毎時148gをそれぞれ
反応器に供給した。スラリー状の反応液を毎時288m
lの割合で連続的に反応器から抜き出した。このスラリ
ー状の反応液中には20容量%のイオン交換樹脂が含ま
れていたので、このイオン交換樹脂は分離して供給原料
とともに反応器へ連続的に返送した。
【0024】反応蒸留塔の塔頂液は油層と水層とに相分
離した後、水層を抜き出すとともに油層は塔頂へ返送し
た。水層は蒸留してブタノールを回収し、このブタノー
ルはは反応蒸留塔へリサイクルした。塔頂のコンデンサ
ー出口は水封式真空ポンプに接続され、このポンプの水
封液は18℃に維持するとともに、水封ポンプの液面が
一定になるように、毎時1リットルの割合で新しい水封
液と抜き替えた。蒸留塔が安定した後、7時間連続して
蒸留を行った。蒸留終了後、真空ポンプを点検したが、
重合体の生成・付着は見られなかった。
【0025】<実施例7>水封式真空ポンプに供給する
水封液として、塔頂でトルエンから液液分離された水を
回収して使用したこと以外は実施例1と同様にして蒸留
を実施した。7時間の連続運転後、真空ポンプを点検し
たが、重合体の生成・付着は見られなかった
【0026】<実施例8>水封式真空ポンプに供給する
水封液として塔頂留出液からブタノールを蒸留回収した
後の水層を再度蒸留してブタノールを除去した水を用い
たこと以外は実施例6と同様にして反応蒸留を行った。
蒸留塔が安定した後7時間連続して蒸留を行ない、蒸留
終了後真空ポンプを点検したが、重合体の生成・付着は
見られなかった。
【0027】
【発明の効果】本発明の精製方法を用いることにより、
易重合性の化合物の減圧蒸留における、重合体の生成や
その付着による真空設備の閉塞等のトラブルの恐れを解
決できる。また、水封液として反応等で発生するプロセ
ス排水を使用することにより、排水量の削減も可能であ
り、工業上の価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水封式真空ポンプの封液循環ラインの
一例を示す概要図
【符号の説明】
1:水封式真空ポンプ 2:気液分離器 3:熱交換器 4:真空ライン(吸気) 5:水封液補給ライン 6:排気 7:排水 8:イナートガス 9:冷却水
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 幸弘 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内 Fターム(参考) 4D076 AA07 AA16 AA22 BB04 BB08 CC12 CD22 DA10 DA21 DA22 EA02Y EA02Z EA03Z EA04Z EA06Z EA12Y EA14Y EA16Y EA17Y EA20Z GA01 GA03 GA05 HA03 4H006 AA02 AD11 BC52 BS10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 易重合性化合物を含む液を減圧下で蒸留
    するに際して、減圧装置として水封式真空ポンプを用い
    ることを特徴とする易重合性化合物の精製方法。
  2. 【請求項2】 易重合性化合物が、(メタ)アクリル酸
    及び/または(メタ)アクリル酸エステルである特許請
    求の範囲第1項に記載の易重合性化合物の精製方法。
  3. 【請求項3】 水封式真空ポンプの水封液の温度を30
    ℃以下に維持することを特徴とする請求項1又は2に記
    載の易重合性化合物の精製方法。
  4. 【請求項4】 水封液としてプロセス排水を使用する請
    求項1〜3のいずれか1項に記載の易重合性化合物の精
    製方法。
  5. 【請求項5】 水封液を冷却装置を有する循環ラインで
    冷却する請求項1〜4のいずれか1項に記載の易重合性
    化合物の精製方法。
  6. 【請求項6】 水封液を連続的又は定期的に抜き出し、
    抜き出した水封液から有機物成分を回収することを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の易重合性化
    合物の精製方法。
  7. 【請求項7】 水封式真空ポンプの排気に不活性ガスを
    供給することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項
    に記載の易重合性化合物の精製方法。
JP11056642A 1999-03-04 1999-03-04 易重合性化合物の精製方法 Pending JP2000256221A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11056642A JP2000256221A (ja) 1999-03-04 1999-03-04 易重合性化合物の精製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11056642A JP2000256221A (ja) 1999-03-04 1999-03-04 易重合性化合物の精製方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000256221A true JP2000256221A (ja) 2000-09-19

Family

ID=13033006

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11056642A Pending JP2000256221A (ja) 1999-03-04 1999-03-04 易重合性化合物の精製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000256221A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003018162A1 (fr) * 2001-08-22 2003-03-06 Mitsubishi Chemical Corporation Materiel de distillation de compose du type en lase de polymerisation
WO2003043969A1 (fr) * 2001-11-21 2003-05-30 Mitsubishi Chemical Corporation Procede d'alimentation en gaz atmospherique
JP2003192637A (ja) * 2001-09-05 2003-07-09 Basf Ag 重合可能な化合物の製造法
JP2005289927A (ja) * 2004-04-01 2005-10-20 Mitsubishi Chemicals Corp (メタ)アクリル酸誘導体の製造方法
WO2015064563A1 (ja) * 2013-10-29 2015-05-07 三菱化学株式会社 易重合性化合物の減圧蒸留の方法およびアクリル酸の製造方法
EP3205384A1 (de) * 2016-02-15 2017-08-16 Evonik Degussa GmbH Verfahren zur vakuumdestillation einer organischen verbindung

Cited By (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7288169B2 (en) 2001-08-22 2007-10-30 Mitsubishi Chemical Corporation Distillation apparatus for readily polymerizable compound
WO2003018162A1 (fr) * 2001-08-22 2003-03-06 Mitsubishi Chemical Corporation Materiel de distillation de compose du type en lase de polymerisation
CN1305544C (zh) * 2001-08-22 2007-03-21 三菱化学株式会社 容易聚合化合物用蒸馏装置
CN1307145C (zh) * 2001-08-22 2007-03-28 三菱化学株式会社 容易聚合化合物用蒸馏装置
CN1330625C (zh) * 2001-08-22 2007-08-08 三菱化学株式会社 容易聚合化合物用蒸馏装置
US7473338B2 (en) 2001-08-22 2009-01-06 Mitsubishi Chemical Corporation Distillation apparatus for readily polymerizable compound
JP2003192637A (ja) * 2001-09-05 2003-07-09 Basf Ag 重合可能な化合物の製造法
JP4588967B2 (ja) * 2001-09-05 2010-12-01 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 重合可能な化合物の製造法
WO2003043969A1 (fr) * 2001-11-21 2003-05-30 Mitsubishi Chemical Corporation Procede d'alimentation en gaz atmospherique
US6910511B2 (en) 2001-11-21 2005-06-28 Mitsubishi Chemical Corporation Method of supplying ambient gas
WO2005100295A1 (ja) * 2004-04-01 2005-10-27 Mitsubishi Chemical Corporation (メタ)アクリル酸誘導体の製造方法
CN1332920C (zh) * 2004-04-01 2007-08-22 三菱化学株式会社 生产(甲基)丙烯酸衍生物的方法
JP2005289927A (ja) * 2004-04-01 2005-10-20 Mitsubishi Chemicals Corp (メタ)アクリル酸誘導体の製造方法
JP4715106B2 (ja) * 2004-04-01 2011-07-06 三菱化学株式会社 (メタ)アクリル酸誘導体の製造方法
US8367860B2 (en) 2004-04-01 2013-02-05 Mitsubishi Chemical Corporation Method for producing (meth) acrylic acid derivitive
WO2015064563A1 (ja) * 2013-10-29 2015-05-07 三菱化学株式会社 易重合性化合物の減圧蒸留の方法およびアクリル酸の製造方法
US9738586B2 (en) 2013-10-29 2017-08-22 Mitsubishi Chemical Corporation Vacuum distillation method for easily polymerizable compound and method for producing acrylic acid
EP3064485B1 (en) 2013-10-29 2017-11-29 Mitsubishi Chemical Corporation Vacuum distillation method for easily polymerizable compound and method for producing acrylic acid
EP3205384A1 (de) * 2016-02-15 2017-08-16 Evonik Degussa GmbH Verfahren zur vakuumdestillation einer organischen verbindung
WO2017140670A1 (en) * 2016-02-15 2017-08-24 Evonik Degussa Gmbh Process for vacuum distillation of an organic compound

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1484309B1 (en) Method for production of acrylic acid
JP3937462B2 (ja) アクリル酸精製法
KR100999428B1 (ko) (메타)아크릴산의 제조 방법
EP1484308B1 (en) Method for production of acrylic acid
JP6716597B2 (ja) (メタ)アクリル酸の改良された製造方法
JP5368673B2 (ja) (メタ)アクリル酸の製造方法
KR100820927B1 (ko) (메트)아크릴산의 제조방법
JP2005015478A (ja) アクリル酸の製造方法
EP1026145B1 (en) Method for purifying acrylic acid
US7491841B2 (en) Process for producing acrylic ester
JP5378207B2 (ja) (メタ)アクリル酸の製造方法
CN1127481C (zh) 回收n-乙烯基-2-吡咯烷酮方法
JP3905810B2 (ja) アクリル酸製造プロセスにおける重合防止方法
JP2000256221A (ja) 易重合性化合物の精製方法
JP2000281617A (ja) アクリル酸の精製方法
WO2013047479A1 (ja) アクロレイン、アクリル酸、およびその誘導体の製造方法
JP3832868B2 (ja) アクリル酸の精製法
JP4658104B2 (ja) アクリル酸の製造方法
JP4074455B2 (ja) (メタ)アクリル酸の製造方法
JP4050187B2 (ja) (メタ)アクリル酸の捕集方法
RU2412151C1 (ru) Способ выделения акриловой кислоты
JP2003171347A (ja) アクリル酸エステルの製造方法
CN118201902A (zh) 高纯度(甲基)丙烯酸的制备方法
JP2005036015A (ja) アクリル酸精製法
KR20220164564A (ko) (메트)아크릴산을 정제하기 위한 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060913

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060926

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061122

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070116