JP2005036015A - アクリル酸精製法 - Google Patents

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Yasuyuki Sakakura
康之 坂倉
Masahiko Yamagishi
昌彦 山岸
Hirochika Hosaka
浩親 保坂
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Abstract

【課題】 アクリル酸の重合を防止しつつ粗アクリル酸水溶液からアクリル酸を高度に精製する方法を提供する。
【解決手段】 プロピレン及び/又はアクロレインを分子状酸素を用いて接触酸
化しアクリル酸を製造するに際し、酸化反応ガスを冷却及び/又は水に吸収して得られる
粗アクリル酸水溶液又は該液中のアルデヒド類を予めストリッピングにより除去した液か
ら、沸点130℃以下の共沸剤を用い共沸脱水蒸留塔にて脱水するとき、共沸脱水蒸留塔
に供給される粗アクリル酸水溶液がアクリル酸40〜80重量%、酢酸1〜5重量%、水
20〜60重量%を含有し、塔底缶出液中の共沸剤濃度を5重量%以上30重量%以下に
、更に水の濃度を0.04〜0.5(但し0.05〜0.3を除く)重量%に保つことを特徴とするアクリル酸精製法であり、共沸脱水蒸留塔と酢酸分離蒸留塔の理論段数を5〜20とすることも含む。
【選択図】 図 1

Description

本発明はアクリル酸の重合を防止しつつ、粗アクリル酸水溶液からアクリル酸を精製する方法に関するものである。更に詳しくは、プロピレン及び/又はアクロレインを分子状酸素を用いて接触気相酸化し、得られる粗アクリル酸水溶液から共沸剤を用いて、水、酢酸などの軽沸点不純物を除去する際、蒸留塔でのアクリル酸の重合を防止しつつアクリル酸を高度に精製する方法である。
プロピレン及び/又はアクロレインを水蒸気の存在下、分子状酸素含有ガスにより、酸化触媒を用いて酸化し得られた反応ガスを冷却及び/又は水で吸収すると粗アクリル酸水溶液が得られる。該粗アクリル酸水溶液はアクリル酸の他、酢酸、蟻酸、ホルマリン、アセトアルデヒド等の副生物を含有する。酸化反応の転化率が低い場合には、未反応物であるアクロレインが少量含まれているので、ストリッピング等によりアクロレインが除かれた後、アクリル酸の精製に供せられる。
該粗アクリル酸水溶液のアクリル酸濃度は40〜80重量%であり、副生物で最も重要なのは酢酸で1から5重量%含有する。水、酢酸及びアクリル酸はそれぞれの化学的類似性、気液平衡などの物理化学的性質から、直接蒸留により分離することは、効率的ではない。近年、精製アクリル酸を得る方法は、共沸剤を用いて効率よく、水を脱水蒸留し、更に酢酸を蒸留分離する方法が数多く提案されている。本発明者らの分類によれば、水及び酢酸を分離するのに一塔の蒸留塔により同時に除去する一塔法ともいえる方法(特公昭46−18967号、特公昭46−20372号、特公昭46−22456、特公昭46−34692号、特公昭49−21124号、特開平5−246941号)と二塔の蒸留塔を用いて脱水、酢酸分離を行う方法である二塔法という精製法(特公昭41−15569号、特公昭46−18966号、特公昭50−25451、特公昭63−10691号、特開平3−181440号、特公平6−15495号、特公平6−15496号)がある。本発明は、二塔法の改良に関するものである。
前者の方法では、水及び酢酸を同時に、一本の蒸留塔で分離しようとするため、多くの段数を有する蒸留塔を用い、大きな還流比が必要とされる。従って、エネルギー的にも不利であり、又、アクリル酸は非常に重合し易い物質で、蒸留塔の塔底温度が高くなりすぎることは、工業的製造においては不利である。多くの段数を有する蒸留塔を用いるときには、塔底の圧力が高くなりすぎて、缶出液温度を低く保つことが困難で、アクリル酸の重合防止の観点からは致命的な欠点である。
二塔法の精製では、水と酢酸それぞれを別の蒸留塔を用いて分離するため最適な蒸留塔を用いることができ、エネルギー的にも有利である。また、プロピレン及び/又はアクロレインの酸化反応の主な副生物である酢酸を、酢酸分離蒸留塔の塔頂の留出液から分離回収が可能であるという長所を有している。
特公昭46−18967号 特公平6−15496号
しかし、本発明者らは二塔法アクリル酸精製の共沸脱水蒸留塔及び酢酸分離蒸留塔について蒸留条件を研究したところ、共沸脱水蒸留塔の塔底付近で、特にアクリル酸の重合が起こり易いことを見出した。アクリル酸のポリマーが堆積して共沸脱水蒸留塔の長期連続運転が不可能になる欠点を改良すべく種々の蒸留条件を検討した結果、共沸脱水蒸留塔の缶出液中の水及び共沸剤濃度を規制することにより、アクリル酸の好ましくない蒸留塔内での重合を防止しうることを見出し、本発明を完成した。
本発明の目的は、プロピレン及び/又はアクロレインを水蒸気の存在下、分子状酸素含有ガスにより、酸化触媒を用いて酸化し得られた反応ガスを冷却及び/又は水で吸収して得られたアクリル酸水溶液を精製するに際し、共沸剤を用いて脱水蒸留する共沸脱水蒸留塔の蒸留条件を改良し、アクリル酸の好ましくない重合を防止し、工業的なアクリル酸の精製法を提供するものである。本発明の他の目的は、共沸脱水蒸留塔の塔頂留出液を粗アクリル酸水溶液中の全ての水及び全部あるいは一部の酢酸とからなる水相と共沸剤相と二相分離し、共沸剤相の全量を還流し、水相を酸化反応ガスの吸収水として再利用する工業的有利な方法を提供するものである。
本発明は、
「1. プロピレン及び/又はアクロレインを分子状酸素を用いて接触酸化しアクリル酸
を製造するに際し、酸化反応ガスを冷却及び/又は水に吸収して得られる粗アクリル酸水
溶液又は該液中のアルデヒド類を予めストリッピングにより除去した液から、沸点130
℃以下の共沸剤を用い共沸脱水蒸留塔にて脱水するとき、共沸脱水蒸留塔に供給される粗
アクリル酸水溶液がアクリル酸40〜80重量%、酢酸1〜5重量%、水20〜60重量
%を含有し、塔底缶出液中の共沸剤濃度を5重量%以上30重量%以下に、更に水の濃度
を0.04〜0.5(但し0.05〜0.3を除く)重量%に保つことを特徴とするアクリル酸精製法。
2. 共沸脱水蒸留塔の缶出液を酢酸分離蒸留塔に導き、酢酸、共沸剤などの軽沸点物を
除去し、該軽沸点留出液の全量または一部を共沸脱水蒸留塔へリサイクルし、酢酸分離蒸
留塔の缶出液として精製アクリル酸を得る、1項に記載されたアクリル酸精製法。
3. 共沸剤が水及び酢酸と共沸し、沸点が80から130℃の範囲にある、1項または
2項に記載されたアクリル酸精製法。
4. 共沸脱水蒸留塔及び酢酸分離蒸留塔の塔底温度が100℃以下である、1項ないし
3項のいずれか1項に記載されたアクリル酸精製法。
5. 共沸脱水蒸留塔の塔頂圧力を100〜300mmHgとし、酢酸分離蒸留塔の塔頂圧力
を50〜200mmHgとした、1項ないし4項のいずれか1項に記載されたアクリル酸精製
法。
6. 共沸脱水蒸留塔と、酢酸分離蒸留塔の理論段数を夫々5〜20とした、1項ないし
5項のいずれか1項に記載されたアクリル酸精製法。
7. 共沸脱水蒸留塔塔頂より実質的に全ての水と一部又は全ての酢酸を共沸剤とともに
留出した液を共沸剤相と水相とに二相分離した後、共沸剤相の全量を還流し、水相の一部
又は全量を酸化反応ガスの吸収水として再利用する、1項ないし6項のいずれか1項に記
載されたアクリル酸精製法。」
に関する。
プロピレン及び/又はアクロレインを分子状酸素を用いて接触気相酸化し、反応精製ガスを冷却及び水で吸収して得られる粗アクリル酸水溶液の精製法である。共沸剤を用いて、水、酢酸などの軽沸点不純物を除去する際、共沸脱水蒸留塔の塔底缶出液中の水及び共沸剤の濃度を制御することによって、蒸留塔でのアクリル酸の重合を防止しつつアクリル酸を高度に精製する。
本発明により、長期連続して共沸脱水蒸留塔及び酢酸分離蒸留塔が安定運転可能となり、アクリル酸エステル製造用原料として用いることが出来る高純度のアクリル酸を、工業的有利に製造することが出来る。
本発明は、プロピレン及び/又はアクロレインを分子状酸素を用いて接触酸化しアクリル酸を製造するに際し、酸化反応ガスを冷却及び/又は水に吸収すると粗アクリル酸水溶液が得られる。該粗アクリル酸水溶液はアクリル酸の他、酢酸、蟻酸、ホルマリン、アセトアルデヒド等の副生物を含有する。酸化反応の転化率が低い場合には、未反応物であるアクロレインが少量含まれているので、ストリッピング等によりアクロレインが除かれた後、アクリル酸の精製に供せられる。 該粗アクリル酸水溶液は共沸剤を用いた共沸脱水蒸留塔にて水、蟻酸及びホルマリンの実質的全量と一部の酢酸が塔頂留出液中に除去される。缶出液には不純物として粗アクリル酸水溶液に含有していた残りの酢酸を含むアクリル酸が得られる。該缶出液は続いて酢酸分離蒸留塔にて処理され、酢酸及び共沸剤は留出液として除去され、該留出液の全部あるいは一部は前記共沸脱水蒸留塔にリサイクルされ、再び処理されて含有するアクリル酸が分離回収される。缶出液には精製されたアクリル酸が得られる。該精製アクリル酸はエステル化されてアクリル酸エステルとするため次行程に導入される。
アクリル酸は非常に重合し易い物質で、しばしば蒸留塔内でポリマーが生成し蒸留等の
運転が不可能になることは当業者ではよく知られている。本発明者らは、連続運転後には
共沸脱水蒸留塔の塔底付近及び酢酸分離蒸留塔と塔頂部付近に、好ましくないポリマーが
生成し易いことを見出し、共沸脱水蒸留塔及び酢酸分離蒸留塔の蒸留条件を種々変更した
ところ、共沸脱水蒸留塔の塔底缶出液中の共沸剤濃度を5重量%以上30重量%以下に、
更に水の濃度を0.5〜0.04重量%に保つことにより、共沸脱水蒸留塔ばかりでなく
酢酸分離蒸留塔中でもアクリル酸の好ましくない重合を防止して、蒸留塔の長期連続運転
を可能にすることが出来た。
共沸脱水蒸留塔の塔底缶出液中の共沸剤濃度は、アクリル酸の重合防止の観点からは多
い方が好ましいが、多すぎると酢酸分離蒸留塔にて共沸剤を分離するためのエネルギーが
大きくなり経済的に不利となる。さらには製品アクリル酸中に共沸剤が混入し製品純度が
低下する原因にもなり、重合防止剤などの高沸点物を除去したあと、水溶性高分子等を製
造する場合は重合を阻害する不純物になることもあり好ましくない。酢酸分離蒸留塔での
酢酸分離に有利な共沸剤濃度が好ましいが、実際には、共沸剤と酢酸が共沸するかにも影
響される。結局、共沸剤の濃度としては5重量%以上30重量%以下、通常、6から15
重量%の範囲が好ましい、更に好ましくは6から13重量%の範囲が好ましい。また共沸
剤が不足するときは酢酸分離蒸留塔に共沸剤を追加することも可能である。水の濃度を0
.5〜0.04重量%に共沸脱水蒸留塔の缶出液濃度を制御するには、共沸脱水蒸留塔の
共沸剤相の還流量とそれに対応するリボイラーの加熱量によって行われる。リボイラーの
炊き上げ量と還流量を大きくすれば、缶出液中の水濃度を低下させることが出来る。本発
明の目的であるアクリル酸の重合防止の目的には、水濃度は0.5〜0.04重量%であ
るが、水濃度の制御値を下げると共沸脱水蒸留塔の塔底温度が高くなって重合防止の目的
には好ましくない、更に共沸脱水蒸留塔の共沸剤相還流量を増加させねばならず、塔頂留
出水中に酢酸が増加する。酢酸分離蒸留塔留出液から酢酸を回収するときは、酢酸の回収
量が低下する欠点となる。
共沸剤として具備すべき条件は、130℃以下の標準沸点を有する有機溶剤であることが重要である。好ましくは80から130℃の範囲の沸点を有する有機溶剤である。沸点が130℃より高いと酢酸分離蒸留塔でのアクリル酸との分離が困難となり缶出液中に共沸剤が残留し、精製アクリル酸中に共沸剤が混入して純度低下をまねく。共沸剤の沸点が80℃より低いと、特に共沸脱水蒸留塔の蒸留圧力の減圧度を高く出来ないので塔底温度が高くなり、アクリル酸の重合がより起こり易くなる。
共沸剤の具体低な例としてはトルエン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、イソブチルエーテルがあり、これらは水に対する共沸剤でもあって酢酸とも共沸し、共沸脱水蒸留塔及び酢酸分離蒸留塔での酢酸分離を容易にする効果をもち、還流比を小さくでき経済的に有利である。しかし、酢酸と共沸しないが水とは共沸する酢酸ノルマルブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メチルイソブチルケトン等も使用可能である。ただし酢酸と共沸しない有機溶剤を共沸剤として用いるときは、共沸脱水蒸留塔での酢酸分離のための多くの共沸剤相還流が必要なため、酢酸分離蒸留塔の塔頂留出液の全量を共沸脱水蒸留塔にリサイクルすることは好ましくなく、留出液を取り出して酢酸回収工程に導入し酢酸を分離回収することが好ましい。前記の共沸剤は、一種を用いてもよく、勿論これらの混合物でも使用出来る。
共沸脱水蒸留塔及び酢酸分離蒸留塔の塔底缶出液温度は100℃以下が好ましい。該蒸留塔は通常減圧下で操作され、塔頂圧力を制御することにより塔底缶出液温度の制御は可能である。共沸脱水蒸留塔の塔頂圧力は通常、100から300mmHgで操作され、蒸留塔は30から50段のトレイを有する(理論段数では通常、5から20)。酢酸分離蒸留塔の塔頂圧力は通常、50から200mmHgで制御され、塔段数は通常15から50段のトレイ(理論段数5から20)、好適には30〜40段のトレイ(理論段数10〜15)を有する蒸留塔が採用される。勿論、段塔に限られているわけではなく、充填塔も採用可能である。
通常、蒸留塔にはアクリル酸の好ましくない重合を防止する目的で、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン等のフェノール系、アミン系の重合防止剤が供給される。これらの防止剤はアクリル酸、共沸剤及び水の溶液として塔頂から供給されることが多い。また、同様の目的で分子状酸素含有ガスが塔底から吹き込まれる。
プロピレン及び/又はアクロレインの分子状酸素含有ガスを用いた接触気相酸化により、アクリル酸が生産される工業的製造条件においては、酸化反応ガスを冷却/吸収して得られる粗アクリル酸水溶液は、アクリル酸40〜80重量%、酢酸1〜5重量%、水20〜60重量%を含有する。経済的観点からは、アクリル酸吸収塔における吸収水量が重要で、吸収水を多くすると粗アクリル酸水溶液のアクリル酸濃度が低くなり、共沸脱水蒸留塔の負荷が大きくなってしまう。
共沸脱水蒸留塔の塔頂留出液は、酢酸の全部又は一部と少量の蟻酸、ホルマリンを含む水溶液である。該水溶液は前記アクリル酸吸収塔に吸収水として用いることにより有効活用される。該水溶液が共沸剤を含んでいる場合は、蒸留により共沸剤を分離し、冷却した後、アクリル酸吸収塔に吸収水として再利用可能である。共沸剤として実質的に水に不溶であるトルエン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素を用いた場合は、共沸脱水蒸留塔の塔頂留出液中には共沸剤が含有しないので、共沸剤の分離回収は不要である。該水溶液中にアクリル酸の濃度は1重量%以下が好ましい。共沸脱水蒸留塔の分離効率が不十分で留出水溶液中にアクリル酸が多量に含まれるとときは、アクリル酸の損失となり好ましくない。しかし該留出水溶液をアクリル酸吸収塔に再利用すれば、吸収水中のアクリル酸の一部はアクリル酸吸収塔の塔底に回収することが可能である。
本発明の代表的な実施例を図1に示すフローに従って説明する。しかし、本発明の技術的範囲はそのフロー及びここに示す説明に限定されるものではない。
プロピレン及び/又はアクロレインを水蒸気の存在下、分子状酸素含有ガスにより、酸化触媒で接触気相酸化し得られた反応生成ガスを導管1により、アクリル酸吸収塔(A)に導き、導管7にて導入される水と接触させてアクリル酸を吸収し、アクリル酸吸収塔の缶出液(導管2)として粗アクリル酸水溶液が得られる。一般的には、アクリル酸の吸収効率を上げるため、導管2の缶出液を冷却してアクリル酸吸収塔にリサイクルされることが多い(図1には示されていない)。導管7の吸収水は共沸脱水蒸留塔の塔頂留出水を用いることが、排水量を極力少なくするうえで好適である。該粗アクリル酸水溶液はアクリル酸の他、酢酸、蟻酸、ホルマリン等の酸化反応副生成物や、アクロレインを含むことがあるので、必要なら、アクロレイン放散塔に供給し、アクロレインは除去される(図1には示されていない)。
アクリル酸吸収塔の缶出液である粗アクリル酸水溶液は、導管2により共沸脱水蒸留塔(B)に導入される。共沸脱水蒸留塔では、共沸剤を導管5(図1には示されていない)から導入して共沸脱水蒸留により塔頂から共沸剤、水及び全量あるいは一部の酢酸よりなる蒸気を冷却凝縮した留出液は相分離される。共沸剤相は導管4により全量が還流され、水相は抜き出されてアクリル酸吸収塔に再利用される(導管7)。該水相の一部は、水のバランスをとるため抜き出されて廃棄することも可能である(導管8)。共沸脱水蒸留塔の缶出液中の特に水濃度を制御するため、共沸剤の還流量が決定される。共沸剤還流量は水と共沸剤との共沸組成から決定され、缶出液中の水濃度は0.5から0.04重量%以下に保たれる。共沸剤の缶出液濃度は5から30重量%、好ましくは6から15重量%、更に好ましくは6から13重量%に保たれる。
共沸脱水蒸留塔の缶出液は、導管6により酢酸分離蒸留塔(C)に供給される。ここで、軽沸点不純物の実質的全てが除去され、精製アクリル酸が塔底缶出液(導管10)として得られる。該精製アクリル酸は次工程(図1に示されていない)にてアクリル酸エステルの原料に用いることが出来る。酢酸分離蒸留塔の塔頂から得られる実質的に酢酸、共沸剤及びアクリル酸からなる留出液(導管9)は、含有するアクリル酸を回収するため共沸脱水蒸留塔にリサイクルされる。あるいは、該留出液は酢酸の分離回収工程(図1には示されていない)に供給され、精製酢酸を生産し、分離したアクリル酸及び共沸剤を戻すことも可能である。
各蒸留塔の塔底缶出液温度は100℃以下に保たれる。
次に具体的な実施例を示す。
実施例1
ガラス製蒸留実験装置を用いてアクリル酸水溶液の脱水蒸留を行った。ガラス製蒸留塔
は、蒸留塔部はガラス製円筒で直径50ミリ、底部に1リットルのフラスコが接続されリ
ボイラー、塔頂部にはコンデンサーが設置されている。コンデンサーの出口は真空装置に
接続されている。蒸留塔内には3ミリのラシッヒリングを充填した。充填高さは90セン
チで、これは理論段15段に相当する。塔頂部コンデンサーで凝縮された留出液はデカン
ターで静置分離された後、共沸剤相は全量還流し、水相は抜き出した。リボイラーである
フラスコの加熱はオイルバスで行われる。オイルバス中にフラスコを浸し、加熱量の調節
はオイルの温度により制御した。フラスコよりポンプで缶出液を抜き出し、フラスコ内の
液面を一定に保った。
蒸留原料液として用いたアクリル酸水溶液は、アクリル酸55重量%、酢酸1.5重量
%、ホルムアルデヒド0.3重量%及び若干の蟻酸を含んでいた。共沸剤としてトルエン
を用い、共沸脱水蒸留塔の実験を行った。アクリル酸水溶液を毎時280g とトルエンを
毎時14ミリリットル、蒸留塔中央部に供給した。圧力を180mmHgに制御し、塔頂よ
り重合防止剤としてハイドロキノン及びフェノチアジンを、塔底のフラスコには空気を毎
時15ミリリットル供給した。缶出液中の重合防止剤濃度は、ハイドロキノン800ppm
、フェノチアジン500ppm となるように供給量を調節した。
このようにして、共沸脱水蒸留塔の運転を7時間継続した。このとき塔頂温度は49℃
、塔底缶出液温度は96℃で、塔頂共沸剤還流量は830ミリリットルであった。蒸留が
安定した時点で、塔底から抜き出したアクリル酸をガスクロマトグラフィーにより分析し
たところ、酢酸2.3重量%、水0.05重量%、トルエン6.5重量%及び重合防止剤
が含まれていた。塔底缶出液のアクリル酸の抜き出し量は、平均して毎時170.5g で
あった。塔頂より留出した水相は、酢酸0.2重量%、アクルリ酸0.1重量%とホルマ
リン及び蟻酸を含んでいた。
蒸留の安定後、7時間経過した後蒸留を停止して、蒸留塔内を点検したところ、リボイ
ラーのフラスコ内、蒸留塔充填材にも、アクリル酸のポリマーは発見されなかった。
比較例1〜3
実施例1と同様にして共沸脱水蒸留の実験を行った。ただし、共沸剤トルエンの供給量
及び還流量を変更して、缶出液中の濃度を変化させた。蒸留塔の安定化後、7時間運転し
たのち実験を停止し、蒸留塔を解体して、特にリボイラーのフラスコ、塔内充填材の下部
でのアクリル酸重合物の生成情況を観察した。
表1に缶出液中の水、共沸剤組成及び塔底缶出液温度と共に蒸留塔解体点検結果を示す
Figure 2005036015
比較例4〜5
実施例1と同様にしたが、共沸剤としてメチルイソブチルケトン及び酢酸イソプロピルを用いた。結果を表2に示す。
Figure 2005036015
本発明は粗アクリル酸水溶液を共沸剤を用いて軽沸点物を除去する際、塔底缶出液中の水、共沸剤の濃度を制御することにより、蒸留塔でのアクリル酸の重合を防止し、高度にアクリル酸を精製することができるので、高純度のアクリル酸を工業的に有利に製造できるら、工業的に利用されるものである。
本発明の実施例を示すフローチャートである。
符号の説明
1 反応生成ガス導管
2 アクリル酸吸収液導管
3 留出蒸気導管
4 還流導管
6 缶出液導管
7 水相還流導管
8 廃棄導管
9 酢酸還流導管
10 精製アクリル酸導管
A アクリル酸吸収塔
B 共沸脱水蒸留塔
C 酢酸分離蒸留塔

Claims (7)

  1. プロピレン及び/又はアクロレインを分子状酸素を用いて接触酸化しアクリル酸を製造するに際し、酸化反応ガスを冷却及び/又は水に吸収して得られる粗アクリル酸水溶液又は該液中のアルデヒド類を予めストリッピングにより除去した液から、沸点130℃以下の共沸剤を用い共沸脱水蒸留塔にて脱水するとき、共沸脱水蒸留塔に供給される粗アクリル酸水溶液がアクリル酸40〜80重量%、酢酸1〜5重量%、水20〜60重量%を含有し、塔底缶出液中の共沸剤濃度を5重量%以上30重量%以下に、更に水の濃度を0.04〜0.5(但し0.05〜0.3を除く)重量%に保つことを特徴とするアクリル酸精製法。
  2. 共沸脱水蒸留塔の缶出液を酢酸分離蒸留塔に導き、酢酸、共沸剤などの軽沸点物を除去し、該軽沸点留出液の全量または一部を共沸脱水蒸留塔へリサイクルし、酢酸分離蒸留塔の缶出液として精製アクリル酸を得る、請求項1に記載されたアクリル酸精製法。
  3. 共沸剤が水及び酢酸と共沸し、沸点が80から130℃の範囲にある、請求項1または2に記載されたアクリル酸精製法。
  4. 共沸脱水蒸留塔及び酢酸分離蒸留塔の塔底温度が100℃以下である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載されたアクリル酸精製法。
  5. 共沸脱水蒸留塔の塔頂圧力を100〜300mmHgとし、酢酸分離蒸留塔の塔頂圧力を50〜200mmHgとした、請求項1ないし4のいずれか1項に記載されたアクリル酸精製法。
  6. 共沸脱水蒸留塔と、酢酸分離蒸留塔の理論段数を夫々5〜20とした、請求項1ないし5のいずれか1項に記載されたアクリル酸精製法。
  7. 共沸脱水蒸留塔塔頂より実質的に全ての水と一部又は全ての酢酸を共沸剤とともに留出した液を共沸剤相と水相とに二相分離した後、共沸剤相の全量を還流し、水相の一部又は全量を酸化反応ガスの吸収水として再利用する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載されたアクリル酸精製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009286775A (ja) * 2008-05-30 2009-12-10 Rohm & Haas Co 精製(メタ)アクリル酸の製造方法

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