JP2000249152A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2000249152A
JP2000249152A JP5291399A JP5291399A JP2000249152A JP 2000249152 A JP2000249152 A JP 2000249152A JP 5291399 A JP5291399 A JP 5291399A JP 5291399 A JP5291399 A JP 5291399A JP 2000249152 A JP2000249152 A JP 2000249152A
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outer ring
fretting
oil
bearing
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Masao Yamamoto
雅雄 山本
Hiroyuki Ito
裕之 伊藤
Michiharu Naka
道治 中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 輸送時のように外部からの繰り返し振動によ
り生じるフレッチング摩耗を防止するため、軌道面と転
動体との間の滑りを小さくして潤滑剤保持性を向上させ
た転がり軸受を提供する。 【解決手段】 少なくとも内輪、外輪及び複数の転動体
から構成され、外輪と内輪との間に転動体を介して潤滑
剤で潤滑される転がり軸受において、内輪の溝曲率半径
R1と外輪の溝曲率半径R2との比(R2/R1)が1.01以上1.
10以下であり、かつ潤滑剤が特定の動粘度η(40℃)を
有する潤滑油または前記潤滑油を基油とするグリースで
あることを特徴とする転がり軸受。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は転がり軸受に関し、
より詳細には、フレッチング摩耗と寿命に対する耐久性
とを大幅に改善した転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】電動機(エアーコンディショナー、換気
扇、冷却ファンなど)は、図1に示すようにロータ1を
装着したロータ軸2とロータ2の外周に配されたステー
タコア3とを主たる構成部材とし、これらをハウジング
4内に収納して構成される。また、ロータ軸2はその両
端部を一対の軸受5a,5bにより支持されて、ハウジ
ング4に組み込まれている。前記軸受5a,5bは、図
2に示されるように、外輪6と内輪7との間に複数個の
転動体8を保持器9を用いて介装し、更に軸受空間(外
輪6、内輪7およびシール又はシールド10で囲まれた空
間)に潤滑剤であるグリースを封入して構成されるのが
一般的である。
【0003】ところで、軸受5a,5bは、転動体8と
外輪6および内輪7の軌道面との間にグリースなどの潤
滑剤が侵入する隙間が形成されるように寸法が決められ
ている。そのため、電動機もしくは電動機を組み込んだ
機械装置を輸送する場合、輸送時の上下振動や横揺れに
より、軸受5a,5bの転動体8の表面や外輪6及び内
輪7の軌道面には衝撃的な繰り返し荷重が加えられる。
そして、このような繰り返し荷重による微小滑りの結
果、局所的な損傷が起こり、いわゆるフレッチング摩耗
が発生する。このフレッチング摩耗は、電動機の作動時
に異音や振動を発生させ軸受寿命を短縮させる等の種々
の問題を引き起こす原因となっている。このフレッチン
グ摩耗防止対策として、電動機の梱包を強化して耐震性
を持たせることも行われているが、フレッチング摩耗を
完全に防止するには至っておらず、またコスト増を招く
ことから有効な対策とはなっていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、軸受
特性に優れることは勿論のこと、耐フレッチング摩耗性
を兼ね備えた転がり軸受は未だ得られていない。そこ
で、本発明は輸送時のように外部からの繰り返し振動に
より生じるフレッチング摩耗を防止するため、軌道面と
転動体との間の滑りを小さくし、かつ潤滑剤保持性を向
上させた転がり軸受を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、本発明に
係る、少なくとも内輪、外輪および複数の転動体から構
成され、外輪と内輪との間に転動体を介して潤滑剤で潤
滑される転がり軸受において、内輪溝曲率半径R1と外輪
溝曲率半径R2との比(R2/R1)が1.01以上1.10以下であ
り、かつ潤滑剤が40℃における動粘度ηが下記(1) 式を
満たす潤滑油または前記潤滑油を基油とするグリースで
あることを特徴とする転がり軸受により達成される。
【0006】
【数2】
【0007】フレッチングは、空間にフリーに置かれた
軸受の外輪、内輪、転動体が相対的に振動するため、軌
道面と転動面との接触部に揺動運動による交互の接線力
が繰り返し作用するために発生する。このため、フレッ
チングは、内輪と外輪のうち、転動体が転がりではな
くより大きな滑リが生じる側の軌道面、あるいは面圧
が大きい方の軌道面、あるいは潤滑油が少ない方の軌
道面に発生しやすい。
【0008】具体的に説明すると、については、自由
空間におかれた軸受が振動するため、相対的に質量が大
きい外輪が固定側となり、転動体と外輪との接触面より
も転動体と内輪との接触面の方により大きなすべりが生
じる。さらに、玉軸受の場合では、内輪と玉とは凸曲率
を有する曲面と凸面との接触であり、外輪と玉とは凹面
と凸面との接触になることから、転動体と内輪との間の
すべりの増加が加速される。また、凸面同士が接触しな
がら相対移動する場合は非接触部での内輪と玉との相対
面が急激に離れるが、凹面と凸面が接触しながら相対移
動する場合は非接触部での外輪と玉との相対面の距離が
小さい。従って、フレッチングは滑りが生じた時に滑っ
た移動面が変位の少ない状態でその位置に動くかどうか
によって損傷度が異なり、変位が大きい状態で移動する
ほど損傷が大きくなるため、内輪と玉との接触の方が外
輪と玉との接触よりもフレッチング損傷が発生しやすく
なる。については、現行のJIS 通りの溝曲率半径52
%の軸受では、内輪の方が面圧が大きくなる。このこと
は、外輪と転動体との接触面積が内輪と転動体との接触
面積よりも大きく、外輪と転動体との摩擦係数が大きく
なるため、外輪と転動体よりも内輪と転動体の方がより
滑り易いという前述のの要因を増大させることにもな
る。については、前述のの接触状態とも関連する
が、内輪と転動体とが凸曲率を有する曲面と凸面との接
触であるのに対し、外輪と転動体とは凸面と凹面との接
触となるため、外輪の方が内輪より潤滑油の保持能力が
大きくなる。さらに、前述のからも接触面積の大きな
外輪の方が内輪よりも潤滑油の保持能力が大きい。
【0009】〜の何れの要因からも、現行の軸受で
は内輪の方が外輪よりもフレッチングが発生しやすくな
っている。ただし、の内輪と外輪との質量差やの軌
道輪と転動体との接触形状は変えることができないが、
内輪および外輪の転動体との接触面積の比を変えること
により、内輪の相対的な接線力及びすべり量、接触面
圧、潤滑油の保持能力を改良することができ、それによ
り耐フレッチング性能を向上させることができる。
【0010】そこで、本発明においては、外輪の溝曲率
半径(以下、R2と略す)を内輪の溝曲率半径(以下、R1
と略す)よりも特定量だけ大きくしたことを第1の特徴
とする。即ち、内輪の接触面積を外輪の接触面積よりも
大きくして、については内輪の摩擦係数を大きくして
内輪軌道面と転動体だけが滑ることを防止すると共に、
むしろ内輪と転動体とを接触させて外輪と転動体との間
に滑りが生じるようにする(内輪コントロール)、に
ついては内輪の接触面圧を小さくする、については内
輪の面圧勾配を小さくかつ面積を広くすることにより潤
滑油の保持能力を大きくする、という対策を採ったもの
である。そして、については、フレッチングが揺動に
より微小滑りが連続して摩擦係数が小さい内輪に発生し
やすいという問題を解決するため、滑りを減らして転が
り運動にすることによりフレッチングの発生を防止する
効果が得られる。については、フレッチングの発生が
面圧の大きさに依存することから、面圧を小さくするこ
とによる効果を、またについては、潤滑剤が十分に存
在する面ではフレッチングが発生しづらいという効果を
狙ったものである。
【0011】ただし、R2を大きくしすぎると、逆に外輪
と転動体との接触面積が小さくなり、今度は外輪の面圧
が大きくなったり、油膜厚さが確保されなかったり、滑
りが発生する等の不具合が現れて、この場合は特に回転
中の軸受部の発熱によるグリースや潤滑油の劣化が問題
となり、耐久性が満たされなくなる。このため、R2を必
要以上に大きくしてはならず、R1とR2との比(R2/R1) を
ある範囲以内とする必要がある。この時の(R2/R1) の範
囲は後述の実験結果から得られたものであり、(R2/R1)
が1.01以上1.10以下であることが好ましい。この(R2/R
1) が1.01未満になると内輪の方の接触面積が小さくな
り、面圧が大きくなったり、振動が加わった時の転動体
との相対滑りが大きくなり、また相対的にR1が大きくな
ることから、接触面積が小さくなって回転中の滑りが発
生しやすくなるとともに油膜の成膜性が悪くなるので、
グリース寿命等の潤滑剤の劣化による耐久寿命不足が生
じる。
【0012】また、上述したように、R2をR1よりも大き
くすることにより耐フレッチング性能はかなり改善され
るが、この対策だけでは潤滑油の粘度が低い場合に振動
が連続的に加わることにより潤滑剤が押し出されて油膜
切れの状態が生じてフレッチングが発生する。更に、フ
レッチングに加えて寿命に対する耐久性の問題も解決す
る必要がある。その対策としては、振動が連続的に加わ
っても油膜保持が維持されるように、潤滑剤であるグリ
ースの基油あるいは潤滑油の粘度を高くすることが有効
である。本発明においては、グリースの基油や潤滑油の
最適な粘度をR1及びR2と関係付けて求めたことを第2の
特徴とする。即ち、後述の実験結果から、耐フレッチン
グ性と耐久性とを兼備するには、40℃における動粘度
ηが上記(1) 式を満足する潤滑油あるいはこの潤滑油を
基油とするグリースを用いることが好ましいことを見い
出した。ηが(1) 式の左辺〔0.0008{(R2/R1 - 1) ×50
00}2 - 0.4(R2/R1 - 1)×5000 + 80 〕で計算される値
よりも低い場合には、十分な耐フレッチング性と耐久性
とが得られない。一方、ηが高すぎるとトルクや回転中
の発熱が大きくなり、軸受性能が悪くなるため、500mm2
/s未満とする。本発明は以上の知見に基づくものであ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係わる転がり軸
受を詳細に説明する。本発明において潤滑油又はグリー
スに使用される基油は、40℃における動粘度ηが上記
(1) 式を満足する限り、その種類は特に制限されない。
例えば、エステル油、合成炭化水素油、エーテル油、シ
リコーン油、鉱油及びフッ素油等が挙げられる。また、
これらの基油は単独又は適宜混合して用いることができ
る。音響特性および耐熱性を考慮した場合、エステル油
が好ましい。ηが(1) 式の左辺〔0.0008{(R2/R1 - 1)
×5000}2 - 0.4(R2/R1 - 1)×5000+ 80〕で計算される
値よりも低い場合には、十分な油膜厚さが得られ難いた
め、転動体と接触する内輪、外輪の軌道面にフレッチン
グ摩耗を生じ易くなる。一方、ηが高すぎるとトルクや
回転中の発熱が大きくなり、軸受性能が悪くなるため、
500mm2/s未満とする。
【0014】グリースを用いる場合、増ちょう剤として
は石けん系としてリチウム石けん、カルシウム石けん、
ナトリウム石けん等、コンプレックス石けん系としてリ
チウムコンプレックス、バリウムコンプレックス、カル
シウムコンプレックス、アルミニウムコンプレックス
等、有機系非石けん系としてウレア系化合物等、無機系
非石けん系としてベントナイト等が挙げられる。
【0015】また、潤滑油及びグリースの基油には、そ
の好ましい特性を損なわない限り、防錆剤や酸化防止
剤、油性剤、極圧添加剤等を添加することができる。こ
れらは何れも公知のもので構わない。上記した潤滑油ま
たはグリースは、通常の使用形態で後述される転がり軸
受に適用される。
【0016】一方、本発明における転がり軸受は、内輪
の溝曲率半径R1と外輪の溝曲率半径R2との比(R2/R1) が
1.01以上1.10未満であれば、その構造、構成等は特に制
限されない。図2に示したような深溝玉軸受の他、アン
ギュラ玉軸受等あらゆる玉軸受に適用可能である。(R2/
R1) が1.01未満では、内輪でのヘルツの接触圧が外輪に
比べ相対的に大きくなり、内輪でのフレッチング摩耗が
生じ易い。一方、(R2/R1) が1.10を超すと、内輪でのヘ
ルツの接触圧が外輪に比べて相対的に小さくなり、内輪
のフレッチング摩耗が生じ難くなるが、内輪と転動体と
の接触面積が大きくなるため、回転中の滑りが大きくな
り、寿命やトルクが不利になる。
【0017】上記した(R2/R1) 並びにηは以下の実験に
より求めたものである。(1)フレッチング試験図3に
示されるように、試験軸受Aを組み込み、予圧バネBで
付勢し、更におもりCを負荷したスピンドルDを加振機
E上に設置し、下記に示す条件でスピンドルDの外部加
振試験を行った。加振後の試験軸受Aを分解してその軸
受内輪および外輪軌道面を顕微鏡により観察し、下記に
示す基準により耐フレッチング性能を評価した。 <試験条件> ・試験軸受 :深溝玉軸受(6202VV) ・バネ加重 :10 kg ・おもり加重 :2 kgf ・加振周波数 :30 Hz ・加速度 :4.5 G ・温度 :25℃ ・加振時間 :1 hr <評価基準> ◎:フレッチング摩耗なし ○:玉走行跡あり(フレッチング摩耗ほとんどなし) ×:フレッチング摩耗あり ◎及び○が合格である。
【0018】(2)耐久寿命試験 上記の試験軸受を組み込んだ電動機(150W , 2P)を80℃
の雰囲気(恒温槽)に設置して3000rpm で連続運転し、
試験軸受が焼付くまでの時間を測定した。 <評価基準> ○:10000時間以上 ・・・ 合格 ×:10000時間未満 ○が合格である。
【0019】以上の各試験を表1〜表6に示す如く、軸
受側の(R2/R1) 並びに潤滑剤側の潤滑油またはグリース
を変えて行った。尚、試料1〜試料15までが本発明に従
う。結果を同表に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】
【表4】
【0024】
【表5】
【0025】
【表6】
【0026】また、図4は、上記フレッチング試験およ
び耐久寿命試験結果を基に、横軸に(R2/R1) を、縦軸に
η(グリースの場合は基油粘度)をとって試験結果をプ
ロットしたものである。図中、◎は耐久寿命試験が○で
かつフレッチング試験が◎、○は耐久寿命試験及びフレ
ッチング試験とも○、×は耐久寿命試験またはフレッチ
ング試験の少なくとも一方が×であることを示す。図示
されるように、(R2/R1) が1.01以上1.10以下で、かつη
が下記(2) 式で表される曲線Aよりも上方にある領域で
は、少なくとも○となっている。これに対し、この範囲
から外れる(R2/R1) が1.01未満あるいは1.10を超える場
合、もしくはηが曲線Aよりも下方にある領域では何れ
も×となっている。
【0027】
【数3】
【0028】尚、ηが500mm2/sを超えるものはトルクが
大いので、耐久寿命試験は焼付く前に中断し、フレッチ
ング試験は実施しなかった。
【0029】このことから、軸受寸法において(R2/R1)
が1.01以上1.10以下となるように設計し、ηが上記(1)
式の範囲にある潤滑油またはこの潤滑油を基油とするグ
リースを用いることにより、耐フレッチング性と耐久性
とに優れた転がり軸受が得れることが判る。さらに◎の
領域は、(R2/R1) が1.04以上1.10以下で、かつηが100m
m2/s以上500mm2/s以下の領域に含まれており、これらを
満足するように軸受寸法及び潤滑剤の選択を行うことが
より望ましい。
【0030】また、図5は、試験軸受に用いた深溝玉軸
受6202の(R2/R1) と、内輪と転動体(玉)との接触面積
(S1)と外輪と転動体(玉)との接触面積(S2)との比(S2/
S1)との関係を計算によって求めたものである。溝曲率
半径が同じ場合には、内輪と転動体とは凸曲率を有する
曲面と凸面との接触となるのに対し、外輪と転動体とは
凹面と凸面との接触となるため、外輪の方が内輪よりも
接触面積が大きいが、R2が大きくなるほど内輪の接触面
積比率が大きくなり、ある値で内輪の方が外輪よりも接
触面積が大きくなる。また、外輪にかかる荷重と内輪に
かかる荷重とが同じ場合には、(R2/R1) ≒1.05でS1とS2
とがほぼ等しくなる。通常の軸受使用条件ではこのよう
な荷重条件であるが、本発明が問題とするフレッチング
は自由空間での振動であるため、衝突に伴う移動(変
位)によって荷重の軽減がある。この時、内輪には外輪
側の、外輪には内輪側の荷重が負荷されるため、重量が
大きな外輪側の荷重が負荷される内輪の方が大きな荷重
が負荷されることになる。この荷重はフレッチング試験
後の試験終了軸受の接触跡から推定でき、内輪を基準に
外輪に滑りが生じる場合に外輪に負荷される荷重は、外
輪基準で内輪に滑りが生じる場合に内輪に負荷される荷
重よりも約20%小さくなる。そこで、外輪に負荷される
荷重を内輪に負荷される荷重の80%として(S2/S1) を計
算すると、(R2/R1) が1.01以上の領域で内輪の方が外輪
よりも接触面積が大きくなる。即ち、(R2/R1) を1.01以
上とすることにより、内輪と転動体(玉)との接触面積
が外輪と転動体との接触面積よりも大きくなり(S2/S1<
1)、これに対応して内輪と転動体との摩擦係数の方が外
輪と転動体との摩擦係数よりも大きくなり、その結果内
輪が固定側となり外輪と転動体との間に滑りが発生する
(内輪コントロールという;逆に、(S2/S1) > 1とな
り、外輪が固定側で内輪と転動体との間に滑りが生じる
場合を外輪コントロールという)。以上のように、フレ
ッチングを防止するには内輪での滑りを無くして外輪滑
りとすることが重要であり、この臨界点が(R2/R1) =1.
01であり、(R2/R1) をこの値より大きくすることにより
耐フレッチング性が著しく向上する。
【0031】尚、外輪に滑りが生じることによるフレッ
チングの発生の問題は潜在的には存在するが、実用上は
ほとんど発生しない。これは、内輪と転動体とが凸曲率
を有する曲面と凸面との接触で、外輪と転動体とが凹面
と凸面との接触であることによる。凸曲率を有する曲面
と凸面との接触では非接触部での内輪と転動体との相対
面が急激に離れるが、凹面と凸面との接触では非接触部
での外輪と転動体との相対面の距離は小さい。フレッチ
ングは滑りが生じた時に滑った移動面が変位の少ない状
態でその位置に動くかどうかによって損傷度が異なり、
変位が小さい状態で移動するほど損傷が小さいため、外
輪と転動体との接触の方が内輪と転動体との接触よりも
耐フレッチング性が高くなる。更に、(R2/R1) を大きく
すれば外輪にもフレッチングが発生すると考えられる
が、(R2/R1) >1.10では耐久性が問題になり、フレッチ
ングの問題以前に、他の要因で(R2/R1) が規定される。
【0032】例えば、R1をJIS 基準の52%とすると、 R
2 が57.2%の時に(R2/R1) >1.10となる。この時には外
輪と転動体との接触面積が小さくなるとともに、面圧は
内輪よりも5 〜10%大きくなる。このため、油膜が薄く
なり、滑りが発生し易くなる。(R2/R1) がこれ以上に大
きくなると、さらに油膜の減少と滑りとが増幅され、潤
滑剤の劣化が加速されて焼き付きに至る。このため、(R
2/R1) は1.10以下にする必要がある。また、内輪と外輪
との間で接触面圧及び接触面積がほぼ等しくなる(R2/R
1) は約1.05であり、そのためにはR1が52%の時,R2は
約54.6%となる。(R2/R1がこれより小さければ内輪の方
が、これより大きければ外輪の方が面圧が高くなり、か
つ滑りも大きくなるため、耐久性は不利になる。このた
め、図4に示すように、(R2/R1) が約1.05の付近に、η
が最も低くても軸受性能を満足する極小点が存在する。
【0033】尚、上記の説明はR1を52%として述べた
が、この値はあくまでも一例であり、使用条件に合わせ
てR1は通常50.5〜56%位までの範囲で最適設計される。
それに対応して、R2は本発明の範囲となるように51〜6
1.6%とする。また、本発明は電動機用転がり軸受を基
に説明したが、電動機用に限らず軸受が使われる機械、
装置等において組立て後使用に供するまでの間に移送さ
れる場合には、その用途がどのようなものであっても、
本発明による転がり軸受はフレッチング対策及び耐久性
を兼ね備えたものとして有効である。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
フレッチング摩耗の発生を防止できるとともに寿命が改
善された転がり軸受が提供され、特に組み立て後に搬送
されるような各種機器、装置に組み込まれる転がり軸受
として有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動機(一例)の構造を示す半断面図である。
【図2】電動機用軸受(一例)の構造を示す半断面図で
ある。
【図3】フレッチング試験に使用した加振機を示す概略
図である。
【図4】内輪・外輪の各溝曲率半径の比(R2/R1)と、40
℃における潤滑油または基油の動粘度ηとの関係を示す
グラフである。
【図5】内輪・外輪の各溝曲率半径の比(R2/R1)と、内
輪・外輪の各接触面積の比(S2/S1) との関係を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 ロータ 2 ロータ軸 3 ステータコア 4 ハウジング 5a,5b 軸受 6 外輪 7 内輪 10 シール(シールド) A 試験軸受 B 予圧バネ C おもり D スピンドル E 加振機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中 道治 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3J101 AA02 AA32 AA42 AA54 AA62 BA53 BA54 BA55 EA63 EA67 FA31 FA35 GA24

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも内輪、外輪及び複数の転動体
    から構成され、外輪と内輪との間に転動体を介して潤滑
    剤で潤滑される転がり軸受において、内輪の溝曲率半径
    R1と外輪の溝曲率半径R2との比(R2/R1)が1.01以上1.
    10以下であり、かつ潤滑剤が40℃における動粘度ηが下
    記(1) 式を満たす潤滑油または前記潤滑油を基油とする
    グリースであることを特徴とする転がり軸受。 【数1】
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002235759A (ja) * 2000-12-04 2002-08-23 Nsk Ltd 転がり軸受
JP2002357226A (ja) * 2001-03-28 2002-12-13 Nsk Ltd 玉軸受
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