JP2000240766A - 一方向クラッチ内蔵型プーリ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 面倒な加工を不要とする等、コスト高となる
要素を排除しつつ、一方向クラッチ１０ａを構成するク
ラッチ用保持器２０が軸方向にずれる事を防止する。 【解決手段】 一方向クラッチ１０ａの両側に設けるサ
ポート軸受９ａ、９ａとして、玉軸受を使用する。上記
クラッチ用保持器２０の軸方向両端面と、これら各サポ
ート軸受９ａ、９ａに組み込んだ各軸受用保持器１７、
１７のリム部１８、１８の側面とを近接対向させる。こ
れら両リム部１８、１８により、上記クラッチ用保持器
２０が軸方向にずれる事を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明の一方向クラッチ内蔵
型プーリ装置は、自動車用の発電機であるオルタネータ
の回転軸の端部に固定し、エンジンのクランクシャフト
の端部に固定した駆動プーリとの間に無端ベルトを掛け
渡す事により、上記オルタネータを駆動する為に利用す
る。

【０００２】

【従来の技術】自動車の駆動用エンジンを駆動源とし
て、自動車に必要な発電を行なうオルタネータの構造
が、例えば特開平７−１３９５５０号公報に記載されて
いる。図４は、この公報に記載されたオルタネータ１を
示している。ハウジング２の内側に回転軸３を、１対の
転がり軸受４、４により、回転自在に支持している。こ
の回転軸３の中間部には、ロータ５と整流子６とを設け
ている。又、この回転軸３の一端部（図４の右端部）で
上記ハウジング２外に突出した部分には、プーリ７を固
定している。エンジンへの組み付け状態では、このプー
リ７に無端ベルトを掛け渡し、エンジンのクランクシャ
フトにより、上記回転軸３を回転駆動自在とする。

【０００３】上記プーリ７として従来一般的には、単に
上記回転軸３に固定しただけのものを使用していた。こ
れに対して近年、無端ベルトの走行速度が一定若しくは
上昇傾向にある場合には、無端ベルトから回転軸への動
力の伝達を自在とし、無端ベルトの走行速度が低下傾向
にある場合には、プーリと回転軸との相対回転を自在と
する、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置が各種提案さ
れ、一部で使用されている。例えば、特開昭５６−１０
１３５３号公報、特開平７−３１７８０７号公報、同８
−６１４４３号公報、特公平７−７２５８５号公報、フ
ランス特許公報ＦＲ２７２６０５９Ａ１等に、上述の様
な機能を有する一方向クラッチ内蔵型プーリ装置が記載
されている。

【０００４】図５は、このうち特開平８−６１４４３号
公報に記載されている一方向クラッチ内蔵型プーリ装置
を示している。この一方向クラッチ内蔵型プーリ装置
は、上記回転軸３に外嵌固定自在なスリーブ８を有す
る。そして、このスリーブ８の周囲にプーリ７ａを、こ
のスリーブ８と同心に配置している。そして、これらス
リーブ８の外周面とプーリ７ａの内周面との間に、１対
のサポート軸受９、９と一方向クラッチ１０とを設けて
いる。このうちのサポート軸受９、９は、上記プーリ７
ａに加わるラジアル荷重を支承しつつ、上記スリーブ８
とプーリ７ａとの相対回転を自在とする。又、上記一方
向クラッチ１０は、上記プーリ７ａが上記スリーブ８に
対して所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、
このプーリ７ａからスリーブ８への回転力の伝達を自在
とする。

【０００５】この様なオルネータ用一方向クラッチ内蔵
型プーリ装置を使用する理由は、次の通りである。例え
ば、上記駆動用エンジンがディーゼルエンジンであった
場合、アイドリング時等、低回転時にはクランクシャフ
トの回転角速度の変動が大きくなる。この結果、上記ク
ランクシャフトの端部に固定した駆動プーリに掛け渡し
た無端ベルト１１の走行速度も細かく変動する事にな
る。一方、この無端ベルト１１によりプーリ７ａを介し
て回転駆動されるオルタネータ１（図４）の回転軸３
は、この回転軸３並びにこの回転軸３に固定したロータ
５及び整流子６（図４）等の慣性質量に基づき、それ程
急激には変動しない。従って、上記プーリ７ａを回転軸
３に対し単に固定した場合には、クランクシャフトの回
転角速度の変動に伴い、上記無端ベルト１１とプーリ７
ａとが両方向に擦れ合う傾向となる。この結果、このプ
ーリ７ａと擦れ合う無端ベルト１１に、繰り返し異なる
方向の応力が作用して、この無端ベルト１１とプーリ７
ａとの間に滑りが発生し易くなったり、或はこの無端ベ
ルト１１の寿命が短くなったりする原因となる。

【０００６】又、上述の様なプーリ７ａの外周面と無端
ベルト１１の内周面との摩擦に基づく無端ベルト１１の
寿命低下は、走行時に加減速を繰り返す事によっても生
じる。即ち、加速時には無端ベルト１１側からプーリ７
ａ側に駆動力が伝達されるのに対し、減速時には上述の
様に慣性に基づいて回転し続けようとするプーリ７ａ
に、上記無端ベルト１１から制動力が作用する。この制
動力と上記駆動力とは、上記無端ベルト１１の内周面に
対して逆方向の摩擦力として作用するので、やはり上記
無端ベルト１１の寿命低下の原因となる。特に、トラッ
クの様に排気ブレーキを備えた車両の場合には、アクセ
ルオフ時に於けるクランクシャフトの回転低下の減速度
が著しく、上記制動力に基づいて上記無端ベルト１１の
内周面に加わる摩擦力が大きくなる結果、上記寿命低下
が著しい。

【０００７】そこで、上述の様なプーリ７ａとして、上
記一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を使用する事によ
り、上記無端ベルト１１の走行速度が一定若しくは上昇
傾向にある場合には、上記プーリ７ａから回転軸３への
回転力の伝達を自在とし、反対に上記無端ベルト１１の
走行速度が低下傾向にある場合には、これらプーリ７ａ
と回転軸３との相対回転を自在とする。即ち、上記無端
ベルト１１の走行速度が低下傾向にある場合には、上記
プーリ７ａの回転角速度を上記回転軸３の回転角速度よ
りも遅くして、上記無端ベルト１１とプーリ７ａとの当
接部が強く擦れ合う事を防止する。この様にして、プー
リ７ａと無端ベルト１１との擦れ合い部に作用する応力
の方向を一定にし、この無端ベルト１１とプーリ７ａと
の間に滑りが発生したり、或はこの無端ベルト１１の寿
命が低下する事を防止する。

【０００８】上述した様な一方向クラッチ内蔵型プーリ
装置を構成する場合、一方向クラッチとしては、何れも
従来から周知である、複数個のロック部材としてスプラ
グを使用するスプラグ型の一方向クラッチ、或は複数個
のロック部材としてローラを使用するローラクラッチを
使用する。何れの一方向クラッチの場合でも、ロック部
材を保持する為の保持器が必要である。そして、この様
な一方向クラッチを一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に
組み込んだ状態では、上記保持器が軸方向にずれ動くの
を防止する必要がある。この為従来から、特開平７−３
１７８０７号公報に記載されている様に、一方向クラッ
チを内蔵したプーリと保持器との間に係合部を設け、こ
の保持器の軸方向移動を防止する事が考えられていた。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】保持器の軸方向移動を
防止する為、プーリと保持器との間に係合部を設ける作
業は面倒で、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置のコスト
を高くする原因となる。本発明は、この様な事情に鑑み
て、プーリや保持器に余分な加工を施す事なく一方向ク
ラッチを構成する保持器が軸方向に変位する事を防止で
きる、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を実現すべく発
明したものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の一方向クラッチ
内蔵型プーリ装置は、従来から知られている一方向クラ
ッチ内蔵型プーリ装置と同様に、回転軸に外嵌固定自在
なスリーブと、このスリーブの周囲にこのスリーブと同
心に配置したプーリと、これらスリーブの外周面の軸方
向一部とプーリの内周面の軸方向一部との間に設け、こ
のプーリが上記スリーブに対し所定方向に相対回転する
傾向となる場合にのみプーリとスリーブとの間での回転
力の伝達を自在とする一方向クラッチと、上記スリーブ
の外周面の軸方向他部と上記プーリの内周面の軸方向他
部との間に設け、このプーリに加わるラジアル荷重を支
承しつつこれらスリーブとプーリとの相対回転を自在と
するサポート軸受とを備える。

【００１１】特に、本発明の一方向クラッチ内蔵型プー
リ装置に於いては、上記一方向クラッチは、複数個のロ
ック部材とこれら各ロック部材を保持するクラッチ用保
持器とを備えたものである。又、上記各サポート軸受
は、それぞれ上記プーリの外周面に設けた断面円弧形の
外輪軌道と上記スリーブの外周面に設けた断面円弧形の
内輪軌道との間に転動自在に設けた複数個の玉と、これ
ら各玉を転動自在に保持する軸受用保持器とを備え、ス
ラスト荷重を支承自在なものである。そして、上記クラ
ッチ用保持器の軸方向両端面のうちの少なくとも一端面
は、上記軸受用保持器の軸方向端面と近接対向する事
で、軸方向への変位を阻止されている。

【００１２】

【作用】上述の様に構成する本発明の一方向クラッチ内
蔵型プーリ装置の場合には、サポート軸受の軸受用保持
器により、一方向クラッチを構成するクラッチ用保持器
が軸方向に変位する事を阻止する。従って、この一方向
クラッチを構成する、硬質金属製の軌道輪に、面倒な加
工を施す必要がなくなり、一方向クラッチ内蔵型プーリ
装置のコスト低減を図れる。

【００１３】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の実施の形態の第
１例を示している。スリーブ８ａは、全体を円筒状に形
成しており、オルタネータの回転軸３（図４〜５参照）
の端部に外嵌固定して、この回転軸３と共に回転自在で
ある。この為に図示の例では、上記スリーブ８ａの中間
部内周面に雌ねじ部１２を形成し、この雌ねじ部１２と
上記回転軸３の端部外周面に形成した雄ねじ部（図示省
略）とを螺合自在としている。これら両ねじ部同士を螺
合させる際に六角レンチ等の工具を係止する為、上記ス
リーブ８ａの端部内周面には、断面六角形の係止孔部１
３を形成している。尚、上記回転軸３とスリーブ８ａと
の相対回転を防止する為の構造は、ねじに代えて、スプ
ライン係合、或は非円筒面同士の嵌合、キー係合等とし
ても良い。

【００１４】上述の様なスリーブ８ａの周囲にはプーリ
７ｂを、このスリーブ８ａと同心に配置している。この
プーリ７ｂは、その内側に次述するサポート軸受９ａ、
９ａ及びスプラグ型の一方向クラッチ１０ａを装着す
る。又、上記プーリ７ｂの外周面は、幅方向に亙る断面
形状を波形として、ポリＶベルトと呼ばれる無端ベルト
の一部を掛け渡し自在としている。

【００１５】前述の様に構成するスリーブ８ａの外周面
と上述の様に構成するプーリ７ｂの内周面との間には、
１対のサポート軸受９ａ、９ａと、１個の一方向クラッ
チ１０ａとを設けている。このうちのサポート軸受９
ａ、９ａは、上記プーリ７ｂに加わるラジアル荷重を支
承しつつ上記スリーブ８ａとプーリ７ｂとの相対回転を
自在とする。図示の例では、上記各サポート軸受９ａ、
９ａとして、深溝型の玉軸受を使用している。即ち、こ
れら各サポート軸受９ａ、９ａは、上記プーリ７ｂの両
端部内周面に形成した深溝型の外輪軌道１４、１４と、
上記スリーブ８ａａの両端部外周面に形成した深溝型の
内輪軌道１５、１５と、上記各外輪軌道１４、１４と内
輪軌道１５、１５との間にそれぞれ複数個ずつ転動自在
に設けた玉玉１６、１６と、これら各玉１６、１６を転
動自在に保持する軸受用保持器１７、１７とから成る。

【００１６】本例の場合、上記各外輪軌道１４、１４を
プーリ７ｂに、上記各内輪軌道１５、１５を上記スリー
ブ８ａに、それぞれ直接形成している為、これらプーリ
７ｂ及びスリーブ８ａを、それぞれＳＵＪ２の如き軸受
鋼等の硬質金属或はＳＣＭ４１５等の浸炭鋼により造っ
ている。そして、上記各外輪軌道１４、１４及び各内輪
軌道１５、１５部分の表面硬度が H_RC６０〜６４程度に
なる様に、浸炭焼き入れ等の熱硬化処理を施している。
これに対して、上記各軸受用保持器１７、１７は、合成
樹脂製の冠型保持器を使用している。冠型保持器は、円
環状のリム部１８、１８の軸方向片面に弾性片を設け、
円周方向に隣り合う１対の弾性片同士の間を、上記各玉
１６、１６を保持する為のポケットとして成る。本例の
場合には、この様な各軸受用保持器１７、１７のリム部
１８、１８を、それぞれ上記プーリ７ｂ及びスリーブ８
ａの軸方向中央側に向けている。

【００１７】又、上記一方向クラッチ１０ａは、上記プ
ーリ７ｂがスリーブ８ａに対して所定方向に回転する傾
向となる場合にのみ、プーリ７ｂとスリーブ８ａとの間
での回転力の伝達を自在とする。この様な一方向クラッ
チ１０ａとして、本例の場合には、スプラグ型のものを
使用している。この様なスプラグ型の一方向クラッチを
構成する為、上記プーリ７ｂの軸方向中間部内周面と上
記スリーブ８ａの軸方向中間部外周面とは、それぞれ段
付加工を施さないストレート状の円筒面としている。そ
して、これら両周面同士の間に、それぞれがロック部材
であり、断面形状が非円形である複数個のスプラグ１９
を、クラッチ用保持器２０により保持した状態で設けて
いる。このクラッチ用保持器２０は、鋼板等の金属板に
プレス加工等の塑性加工を施す等により造った金属製の
ものでも良い。但し、本例の場合には、上記クラッチ用
保持器２０として合成樹脂製のものを使用して、このク
ラッチ用保持器２０と上記各軸受用保持器１７、１７と
が擦れ合った場合に摩擦面同士の間に作用する摩擦を低
減し、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の内部で発生す
る発熱の抑制を図っている。尚、この様な目的で上記ク
ラッチ用保持器２０を構成する為に使用する合成樹脂と
しては、ポリアミド６６、或はガラス繊維により補強し
たポリアミド４６等が、好ましく使用できる。

【００１８】上記クラッチ用保持器２０と各スプラグ１
９との間にはばね等の弾性材を設け、この弾性材により
これら各スプラグ１９に、上記プーリ７ｂの軸方向中間
部内周面と上記スリーブ８ａの軸方向中間部外周面とに
押し付ける方向の弾性を付与している。上記各スプラグ
１９は、上記プーリ７ｂと上記スリーブ８ａとが所定方
向に相対回転する場合には、これらプーリ７ｂの軸方向
中間部内周面とスリーブ８ａの軸方向中間部外周面との
間で突っ張り、これらプーリ７ｂとスリーブ８ａとの間
で回転力の伝達を行なわせる。これに対して、上記プー
リ７ｂと上記スリーブ８ａとが逆方向に相対回転する場
合に上記各スプラグ１９は、これらプーリ７ｂの軸方向
中間部内周面とスリーブ８ａの軸方向中間部外周面とに
対して滑り、これらプーリ７ｂとスリーブ８ａとの間で
回転力の伝達を行なわせない。尚、この様なスプラグ型
の一方向クラッチ１０ａの構造及び作用は、従来から周
知であるので、詳しい説明は省略する。尚、上記各スプ
ラグ１９の形状は、伝達すべきトルクの大きさ等に応じ
て各種の形状を採用できる。

【００１９】更に、本発明の一方向クラッチ内蔵型プー
リ装置の場合には、上記クラッチ用保持器２０の軸方向
両端面を、前記各軸受用保持器１７、１７を構成するリ
ム部１８、１８の内側面に近接対向させている。これら
各軸受用保持器１７、１７は、前記各玉１６、１６との
係合に基づき、上記プーリ７ｂ及びスリーブ８ａの軸方
向（図１の左右方向）に亙る変位を阻止されている。
又、上記各玉１６、１６は、それぞれが深溝型である外
輪軌道１４、１４と内輪軌道１５、１５との係合に基づ
き、やはり上記軸方向に亙る変位を阻止されている。従
って、上記クラッチ用保持器２０は、軸方向に亙る変位
を阻止されている。この為、上記クラッチ用保持器２０
に保持された上記各スプラグ１９が、上記プーリ７ｂの
軸方向中間部内周面とスリーブ８ａの軸方向中間部外周
面とから外れる事はない。尚、上記プーリ７ｂの軸方向
両端部内周面には、それぞれ円輪状に形成したシールリ
ング２１、２１の外周縁を係止して、外部空間と、前記
各サポート軸受９ａ、９ａ及び一方向クラッチ１０ａを
装着した内部空間とを遮断している。従って、外部空間
に存在する塵芥等の異物が内部空間に入り込んだり、或
はこの外部空間内に封入したグリースが外部空間に漏洩
する事はない。尚、このグリースは、上記各サポート軸
受９ａ、９ａの潤滑と、上記一方向クラッチ１０ａの潤
滑及びトラクション伝達とを両立できるものを使用す
る。

【００２０】上述の様に構成する本例の一方向クラッチ
内蔵型プーリ装置の場合には、上記一方向クラッチ１０
ａの働きにより、無端ベルトを掛け渡した前記プーリ７
ｂの回転速度が、オルタネータの回転軸３に固定したス
リーブ８ａの回転速度以上の場合にのみ、上記プーリ７
ｂからこの回転軸３にトルクを伝達する。逆に言えば、
上記プーリ７ｂの回転速度が上記スリーブ８ａの回転速
度未満の場合には、これらプーリ７ｂとスリーブ８ａと
の接続を断ち、上記無端ベルトに無理な力が加わる事を
防止する。特に、本例の一方向クラッチ内蔵型プーリ装
置の場合には、上記各サポート軸受９ａ、９ａを構成す
る軸受用保持器１７、１７により、一方向クラッチ１０
ａを構成するクラッチ用保持器２０が軸方向に変位する
事を阻止している。従って、この一方向クラッチ１０ａ
を構成する、それぞれが軸受鋼等の硬質金属製のプーリ
７ｂやスリーブ８ａに、面倒な加工を施す必要がなくな
り、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置のコスト低減を図
れる。

【００２１】次に、図２は、本発明の実施の形態の第２
例を示している。本例の場合には、１対のサポート軸受
９ｂ、９ｂを構成する為の軸受用外輪２２、２２をプー
リ７ｂの両端部内周面に締り嵌めで内嵌固定すると共
に、同じく軸受用内輪２３、２３をスリーブ８ｂの両端
部外周面に締り嵌めで外嵌固定している。又、スプラグ
型の一方向クラッチ１０ｂを構成する為のクラッチ用外
輪２４を上記プーリ７ｂの中間部内周面に締り嵌めで内
嵌固定すると共に、同じくクラッチ用内輪２５を上記ス
リーブ８ｂの中間部外周面に、締り嵌めで外嵌固定して
いる。内部空間と外部空間とを遮断する為のシールリン
グ２１、２１の外周縁は、上記軸受用外輪２２、２２の
端部内周面に係止している。この様な本例の場合には、
上記各軸受用外輪２２、２２、上記各軸受用内輪２３、
２３、上記クラッチ用外輪２４、上記クラッチ用内輪２
５は、ＳＵＪ２等の軸受鋼の如き硬質金属により造る
が、上記プーリ７ｂ及びスリーブ８ｂは、必ずしも硬質
金属製とする必要はない。本例の場合は、一方向クラッ
チ１０ｂを構成する、クラッチ用内輪２５の外周面及び
クラッチ用外輪２４の内周面を、何れも段付加工を施さ
ないストレート状の円筒面として、面倒な加工を施す必
要がなくなり、やはり一方向クラッチ内蔵型プーリ装置
の加工コストの低減を図れる。その他の構成及び作用
は、上述した第１例の場合と同様であるから、重複する
説明は省略する。

【００２２】次に、図３は、本発明の実施の形態の第３
例を示している。本例の場合には、単列のサポート軸受
９ｃと、スプラグ型の一方向クラッチ１０ｃとにより、
一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を構成する。一方向ク
ラッチ内蔵型プーリ装置の組立完了時、外輪２６は図示
しないプーリに締り嵌めで内嵌固定する。これに対し
て、請求項に記載したスリーブに相当する内輪２７は、
オルタネータ１の回転軸３（図４参照）に外嵌固定す
る。上記外輪２６の一端部（図３の左端部）内周面には
深溝型の外輪軌道１４を、上記内輪２７の一端部外周面
には深溝型の内輪軌道１５を、それぞれ形成している。
そして、これら外輪軌道１４と内輪軌道１５との間に複
数個の玉１６、１６を設けて、深溝型の単列玉軸受であ
る、上記サポート軸受９ｃを構成している。上記各玉１
６、１６を転動自在に保持する、合成樹脂製の冠型保持
器である軸受用保持器１７は、リム部１８を軸方向中央
側に向けた状態で、これら各玉１６、１６に装着してい
る。

【００２３】又、上記外輪２６の他半部内周面及び上記
内輪２７の他半部外周面は、それぞれ単なる円筒面とし
て、上記一方向クラッチ１０ｃを構成するスプラグ１９
ａ、１９ａと摩擦係合自在としている。又、これら各ス
プラグ１９ａ、１９ａを保持するクラッチ用保持器２０
ａは、上記外輪２６の他半部内周面と上記内輪２７の他
半部外周面との間に、この外輪２６の内周面側に偏らせ
た状態で設けている。そして、上記クラッチ用保持器２
０ａの軸方向一端面を上記軸受用保持器１７のリム部１
８の側面に、同じく軸方向他端面を、上記外輪２６の端
部内周面に係止したシールリング２１の内側面に、それ
ぞれ近接対向させている。尚、上記クラッチ用保持器２
０ａの内径は、上記シールリング２１の内周縁を構成す
るシールリップ２８の外径よりも大きくし、上記クラッ
チ用保持器２０ａの軸方向他端面とこのシールリップ２
８とが擦れ合う事がない様にして、このシールリップ２
８の耐久性確保を図っている。

【００２４】上述の様に構成する本例の場合には、上記
クラッチ用保持器２０ａが軸方向一端側に変位する事は
上記軸受用保持器１７が、同じく軸方向他端側に変位す
る事は上記シールリング２１が、それぞれ阻止する。従
って、上記各スプラグ１９ａ、１９ａが上記外輪２６の
他半部内周面及び上記内輪２７の他半部外周面からはず
れる事はない。尚、上述した各例の場合、一方向クラッ
チとしてスプラグ型のものを使用しているが、本発明を
実施する場合に、一方向クラッチとしてローラクラッチ
を使用する事もできる。この様に一方向クラッチとして
ローラクラッチを使用する場合には、一方向クラッチを
構成する、外輪の内周面又は内輪の外周面の何れかに、
円周方向に亙る凹凸面である、カム面を形成する必要が
ある。但し、本発明によれば、この様にカム面を形成し
た場合でも、軸方向に亙る直径方向寸法を異ならせた段
付加工を施す必要がなくなり、やはり一方向クラッチ内
蔵型プーリ装置の加工コストの低減を図れるのは、一方
向クラッチとしてスプラグ型のものを使用する場合と同
様である。

【００２５】

【発明の効果】本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装
置は、以上に述べた通り構成され作用するので、信頼性
の高い構造を、特にコストを高くする事なく実現でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態の第１例を示す断面図。

【図２】同第２例を示す断面図。

【図３】同第３例を示す断面図。

【図４】従来から知られているオルタネータの１例を示
す断面図。

【図５】従来構造の１例を示す部分断面図。

【符号の説明】

１ オルタネータ ２ ハウジング ３ 回転軸 ４ 転がり軸受 ５ ロータ ６ 整流子 ７、７ａ、７ｂ プーリ ８、８ａ、８ｂ スリーブ ９、９ａ、９ｂ、９ｃ サポート軸受 １０、１０ａ、１０ｂ、１０ｃ 一方向クラッチ １１ 無端ベルト １２ 雌ねじ部 １３ 係止孔部 １４ 外輪軌道 １５ 内輪軌道 １６ 玉 １７ 軸受用保持器 １８ リム部 １９、１９ａ スプラグ ２０、２０ａ クラッチ用保持器 ２１ シールリング ２２ 軸受用外輪 ２３ 軸受用内輪 ２４ クラッチ用外輪 ２５ クラッチ用内輪 ２６ 外輪 ２７ 内輪 ２８ シールリップ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転軸に外嵌固定自在なスリーブと、こ
   のスリーブの周囲にこのスリーブと同心に配置したプー
   リと、これらスリーブの外周面の軸方向一部とプーリの
   内周面の軸方向一部との間に設け、このプーリが上記ス
   リーブに対し所定方向に相対回転する傾向となる場合に
   のみプーリとスリーブとの間での回転力の伝達を自在と
   する一方向クラッチと、上記スリーブの外周面の軸方向
   他部と上記プーリの内周面の軸方向他部との間に設け、
   このプーリに加わるラジアル荷重を支承しつつこれらス
   リーブとプーリとの相対回転を自在とするサポート軸受
   とを備えた一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に於いて、
   上記一方向クラッチは、複数個のロック部材とこれら各
   ロック部材を保持するクラッチ用保持器とを備えたもの
   であり、上記各サポート軸受は、それぞれ上記プーリの
   外周面に設けた断面円弧形の外輪軌道と上記スリーブの
   外周面に設けた断面円弧形の内輪軌道との間に転動自在
   に設けた複数個の玉と、これら各玉を転動自在に保持す
   る軸受用保持器とを備え、スラスト荷重を支承自在なも
   のであり、上記クラッチ用保持器の軸方向両端面のうち
   の少なくとも一端面は、上記軸受用保持器の軸方向端面
   と近接対向する事で、軸方向への変位を阻止されている
   事を特徴とする一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。