JP2000239454A - ポリオレフィン系組成物 - Google Patents

ポリオレフィン系組成物

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JP2000239454A
JP2000239454A JP11347201A JP34720199A JP2000239454A JP 2000239454 A JP2000239454 A JP 2000239454A JP 11347201 A JP11347201 A JP 11347201A JP 34720199 A JP34720199 A JP 34720199A JP 2000239454 A JP2000239454 A JP 2000239454A
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trehalose
polyolefin composition
freshness
polymer
inorganic filler
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Hiroharu Miyajima
弘治 宮嶋
Kanji Imanishi
幹治 今西
Kunihiko Ketsuen
邦彦 結縁
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WAKOO JUSHI KK
Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
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WAKOO JUSHI KK
Hayashibara Biochemical Laboratories Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多種多様な食品等の鮮度保持が可能であり、
鮮度保持期間の延長が期待できる包装材および容器の材
料として好適なポリオレフィン系組成物を提供するこ
と。 【解決手段】 ベースポリマーとしてのオレフィン系ポ
リマーとトレハロースとを含有するポリオレフィン系組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン系
組成物及び該ポリオレフィン系組成物で全体又は部分が
成形加工又は改質されてなるポリオレフィン系組成物加
工品、さらには、食品の鮮度保持方法に関する。特に、
鮮度保持が要求される青果物や肉類等の食品包装用フィ
ルム(鮮度保持フィルム)、および容器への適用が効果
的な発明である。
【0002】ここでは、青果物を主として例にとり説明
するが、他の生鮮食品、さらには、米飯、おにぎり、す
し、パン、和菓子、洋菓子、等の加工食品の包装材及び
容器等、更には、化粧品、医薬品、農林畜産水産用資
材、工業用資材のラッピング、部分ラッピングにも本発
明は適用可能である。
【0003】
【従来の技術】果物や野菜類等のいわゆる青果物は、保
存中も呼吸(好気性)を行うが、収穫後、養分が新たに
供給されないため、体内に蓄積された炭水化物等を養分
として、炭酸同化作用とは逆の作用、即ち、酸素(O
2 )を吸収して、主として炭酸ガス(CO2 )や水分
(H2 O)を発生することとなる(「包装技術」(昭和
60年4月号)、(社)日本包装技術協会発行、「鮮度
保持フィルムの特性とその応用」、61頁参照)。さら
には、リンゴやモモ等の果物の場合、エチレンガスが少
量であるが発生し、青果物の成熟を促進することが知ら
れている(化学大辞典編集委員会編、「化学大辞典9」
(昭和37年7月31日)、共立出版発行、907頁参
照)。
【0004】したがって、青果物をプラスチックフィル
ムで密閉包装すると、青果物の周囲の酸素量が少なくな
り、呼吸が抑制されることとなり(休眠状態)、養分消
費や黄変等は抑制され、また、CO2 ガスの充満により
好気性菌の繁殖も防止され、さらには、水分が揮散しな
いため、水分の蒸散に基づく青果物の萎縮や軟化、つや
の低下等の発生が改善される(前記「包装技術」、62
頁)。しかしながら、プラスチックフィルムで青果物を
密閉包装すると、CO2 ガス濃度が高くなり、嫌気性菌
が繁殖し易くなるとともに、雰囲気中に揮散できない水
分がフィルム内面に結露して、微生物に都合のよい条件
が創出され、腐食や雑菌汚染が促進され易くなるとの欠
点があった。
【0005】他方、有孔プラスチックフィルムで青果物
を包装したものもあるが、この場合は、青果物の周囲の
酸素量は大気中のそれと変わらず、青果物の養分消費や
生長に伴う変色(黄変等)が起こり易く、さらには、水
分も青果物から逸散してしまい、萎びたり表面が硬化し
てしまうとの欠点があった。
【0006】このため、プラスチックフィルムを成形す
る軟質ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂
組成物中にガス吸着性能を有する無機充填剤を含有させ
て青果物の成熟を促進させるエチレンガス等を吸着させ
るとともにフィルムのガス透過性を向上させて、青果物
の鮮度保持をする方法が提案されている(特開昭62−
184035号公報、特開昭62−27185号公報、
特許第2542645号公報等)。
【0007】また、適度のガス透過性を確保するため
に、開口面積比率を所定(例えば、1×10-5〜1×1
-4%)とした有孔プラスチックフィルムで種々の野菜
を包装することが提案されている(特開平6−1256
96号公報、特開平6−125697号公報、特開平6
−125698号公報、特開平6−125699号公
報、特開平6−125700号公報、特開平6−125
701号公報、特開平6−125702号公報、特開平
6−125703号公報、特開平6−141764号公
報、特開平6−141765号公報、特開平6−141
766号公報、特開平6−199385号公報等)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これら従来の
方法は、適度のガス透過性ないしガス吸着性を確保し
て、青果物の保存雰囲気を可及的に鮮度が低下しがたい
環境ガス・湿度に調整することを目的とするものである
が、青果物の種類、すなわち、葉菜、茎菜、根菜、果
菜、果実、花卉、菌茸等、および、同種であってもそれ
らの収穫地域、時期に応じて、呼吸作用、発生ガスの組
成が異なり、従来の包装フィルムでは十分な対応が困難
であり、鮮度保持期間も満足できるものではなかった。
【0009】本発明は、上記にかんがみて、従来技術に
比して、多種多様な食品等の鮮度保持が可能であり、充
分なる鮮度保持期間の延長が期待できる包装材料および
収容するための容器材料として好適なポリオレフィン系
組成物および該組成物からなる食品包装材および容器を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、鋭意開発に努力をする過程で、糖類
の一種であるトレハロースが優れた鮮度保持効果を有す
ることを見出して、下記構成のポリオレフィン系組成物
に想到した。
【0011】即ち、本発明はベースポリマーとしてのオ
レフィン系ポリマーに、トレハロースを含有させること
を特徴とし、当該トレハロースの配合量を、通常、0.
01〜50 phbとするものである。前記配合量の単位
は、特に断らない限り、重量単位で、記号「phb 」は、
「Part(s) per Hundred parts of Base polymer 」の略
号で、ベースポリマー100部に対するトレハロース又
はその他の配合薬品(副資材)の配合部数を意味する。
【0012】上記構成において、さらに無機充填剤をガ
ス透過調整剤として含有させることが望ましく、無機充
填剤の配合量は通常0.05〜50 phbとする。
【0013】上記構成において、無機充填剤としては、
吸水性が少なく、ガス吸着性も有するシリカ、ケイソウ
土、ゼオライト、タルク及びクレーの群から選択される
1種又は2種以上を使用することが望ましい。
【0014】上記構成において、さらに防曇剤を副資材
として含有することが望ましく、防曇剤の配合量は通常
0.01〜20 phbとする。
【0015】上記構成において、さらにフラノボイド化
合物を脱臭剤として含有することが望ましく、フラノボ
イド化合物の配合量は通常0.05〜50 phbとする。
【0016】上記構成において、オレフィン系ポリマー
としては、炭素数2〜4のα−オレフィンの重合体の群
から選択される1種若しくは2種以上からなるもの、又
は、それらに生分解性ポリマーをブレンドしたものを使
用する。
【0017】そして、上記ポリオレフィン系組成物は、
全体または部分が成形加工又は改質されてなるポリオレ
フィン系組成物加工品に適用される。
【0018】当該ポリオレフィン系組成物加工品を食品
包装用フィルムに適用すると効果的である。
【0019】
【手段の詳細な説明】以下の説明で、配合単位は、特に
断らない限り重量単位である。
【0020】本発明のポリオレフィン系組成物は、ベー
スポリマーとしてのオレフィン系ポリマーに、トレハロ
ースを含有させることを特徴とするものである。
【0021】オレフィン系ポリマーとは、ポリ(α−オ
レフィン)やポリ(ビニル芳香族化合物)等のポリオレ
フィンの単独重合体ばかりでなくそれらの共重合体およ
びそれらのブレンド体、さらには、生分解性ポリマーが
ブレンドしたものも含まれる。
【0022】ポリ(α−オレフィン)としては、通常、
ポリエチレン、ポリプロピレンおよポリ(1−ブテン)
等の炭素数2〜4のα−オレフィンの単独重合体及びそ
れらの共重合体を使用するが、ポリ(1−ペンテン)、
ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(3−メチル−1−ペンテ
ン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−
ヘプテン)、ポリ(4−メチル−1−ヘキセン)、ポリ
(5−メチル−1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテ
ン)、ポリスチレン、ポリ(m−メチルスチレン)等の
炭素数5以上の高級α−オレフィンの単独重合体及び/
又は炭素数2〜4のα−オレフィンの共重合体も使用可
能である。さらには、適宜、水酸基、カルボキシル基、
アミノ基等の極性基を導入した変性ポリオレフィン、金
属を側鎖に導入したメタロセンポリオレフィン等も使用
可能である。これらの極性基又は金属の導入は、トレハ
ロースの分散性を確保することが容易となるとともに、
フィルム強度その他の改質に寄与する。
【0023】上記の内、特にポリエチレン(PE)は汎
用樹脂であって各種グレードのものを入手し易くて望ま
しい。PEには、分岐低密度PE(分岐LDPE)、線
状低密度PE(線状LDPE)、高密度PE(HDP
E)及び超高分子量PE(UHMPE)があるが、いず
れも適用可能である。
【0024】また、上記生分解性ポリマーを添加するの
は、ポリオレフィン系組成物加工品としたときの生分解
性を促進させるためである。生分解性ポリマーのブレン
ド量は、ポリマー成分中100 phb未満とする。100
phb以上では、所期の効果が充分発揮されないか、逆に
阻害的に作用する場合があるので好ましくない。
【0025】上記生分解性ポリマーとしては、下記に示
す天然系(主として炭水化物系)および合成系(重合物
系)のものが好適に使用できる。 天然系:澱粉、澱粉エステル、澱粉エーテル、寒天、ア
ルギニン、デキストラン、キトサン、マンナン、カラギ
ーナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、アラ
ビアガム、グルコマンナン、ジェランガム、グアガム、
ペクチン、アラビアガム、カードラン、プルラン、プル
ランエステル、プルランエーテル、セルロース、酢酸セ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシブチ
ルセルロース、等、 重合物系:ポリカプロラクトン(PCL:Polyc
aprolactone)、ポリ乳酸(PLA:Pol
ylactic acid)、ポリアジペート、ポリヒ
ドロキシブチレート(ポリヒドロキシアルカノエート
類)、ポリヒドロキシブチレートバレエート(PHB/
V)、琥珀酸−1,4ブタンジオール重合物等の生分解
性ポリエステル又はポリアミド、 ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等の
ポリアルキレンオキシド、および ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、
ポリアクリルアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、
ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルカル
バゾール、ポリアクリル酸エステル、エチレン酢酸ビニ
ル共重合体等のビニルポリマー。
【0026】本発明で使用するトレハロースは、2分子
のD−グルコースが還元性基同士で結合した非還元性の
二糖類で、グルコシド結合の様式により、α,α−、
α,β−、β,β−トレハロースの3種類の異性体が存
在する。本発明においては、これら3種類のトレハロー
スの何れも単独又は併用して使用することができるが、
供給量やコストの点で、α,α−トレハロース(1−O
−α−D−グルコピラノシル−α−D−グルコピラノシ
ド)が好適に使用される。α,α−、α,β−又はβ,
β−トレハロースの内、その代表例として、α,α−ト
レハロースの構造式を下記に示す。
【0027】
【化1】
【0028】本発明で用いるトレハロースは、固体状の
形態のものが好ましく、例えば、図1に示す粉末X線回
折図形を示すトレハロース含水結晶、図2に示す粉末X
線回折図形を示すトレハロース無水結晶、および図3に
示す粉末X線回折図形を示す非晶質無水トレハロースな
どが適宜使用できる。粉末X線回折図形は、エフ・エイ
チ・ストドーラ(F.H.Stodola )等が、『ジャーナル・
オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(Jo
urnal of the American Chemical Society )』、第7
8巻、p.2514〜2518頁(1956年)に報告されている方
法に準じて、CuKα線を使用して測定したものであ
る。
【0029】本発明で用いることのできるトレハロース
の具体例としては、株式会社林原商事から商品名「トレ
ハオース(登録商標)」で販売されているトレハロース
含水結晶(2含水結晶)を挙げることができる。
【0030】本発明で用いることのできるトレハロース
を製造する方法としては、例えば、特開昭50−154
485号公報に開示されている微生物を用いる方法や、
特開昭58−216695号公報で提案されているマル
トース・ホスホリラーゼとを組み合わせてマルトースを
トレハロースに変換する方法、また、特開平7−170
977号公報に開示されたマルトース・トレハロース変
換酵素を用いてマルトースをトレハロースに変換する方
法、更には、澱粉部分分解物から生化学的手段により製
造されるトレハロース、例えば、特開平7−14387
6号公報に開示された澱粉部分分解物から非還元性糖質
生成酵素と、特開平7−213283号公報に開示され
たトレハロース遊離酵素とを用いる生化学的手段による
方法を挙げることができる。また、特開平7−2988
87号公報および特開平7−298880号公報に開示
された、末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質
からトレハロースを遊離する遺伝子組み替え型酵素を用
いる方法によってもトレハロースは好適に製造すること
ができる。
【0031】本発明においてトレハロースは、鮮度保持
寄与剤として配合するもので、その配合量は、使用目的
にも依存するが、通常、0.001〜100 phb、望ま
しくは0.1〜50 phb、さらに望ましくは0.5〜2
0 phbとする。トレハロースは、本発明のポリオレフィ
ン系組成物に、適度なガス透過性(CO2 ガス、酸素、
エチレンなど)、水分透過性、ガス吸着性、湿度調節性
等を付与するものである。トレハロースの配合量が前記
数値範囲より過少又は過多である場合は、所期の効果が
充分発揮されないか、阻害的に作用することがあるので
好ましくない。
【0032】本発明のポリオレフィン系組成物を包装用
フィルムとする場合、通常、無機充填剤をガス透過調整
剤として含有させるが、その配合量は、0.01〜50
phb、望ましくは、0.05〜30 phb、さらに望まし
くは、0.1〜3 phbとする。このときのガス透過率
は、被包装物により異なるが、包装空間内のガス組成が
2 :5〜10v/v%、CO2 :30〜50v/v%、その
他:残の場合において、 O2 :6000〜12000 cc/m2/24h 、望ましくは8000〜1000
0 cc/m2/24h CO2 :30000 〜50000 cc/m2/24h 、望ましくは35000
〜45000 cc/m2/24h H2 O(水蒸気):10〜30g/m2/24h、望ましくは1
5〜25g/m2/24h とする。
【0033】無機充填剤の配合量が前記数値範囲より過
少又は過多である場合は、所期の効果が充分発揮されな
いか、阻害的に作用することがあるので好ましくない。
【0034】本発明で使用できる無機充填剤としては、
シリカ(二酸化ケイ素)、タルク(滑石:フィロケイ酸
マグネシウム)、クレー(ケイ酸アルミニウム)、酸化
チタン、チョーク、ライムストーン、炭酸カルシウム、
マイカ、ガラス、ケイソウ土、ウォールアストナイト、
ゼオライト、その他各種ケイ酸塩・マグネシウム塩・マ
ンガン塩、さらには、活性炭、などを適宜選択して使用
することができる。
【0035】上記のうち、シリカ、ゼオライト、ケイソ
ウ土の群から選択される1種又は2種以上を使用するこ
とが望ましい。これらは、賦形剤として好適であり、さ
らにガス透過性能も高いためである。また、特殊なもの
としてケイソウ土を焼成して得たセラミックの使用も期
待できる。当該ケイソウ土セラミックは、ポリオレフィ
ン組成物に配合してフィルムを調製した場合、被包装物
が放出するエチレンガスと水分の吸着量を有効に調整で
き、包装系内を適度な水蒸気、酸素、炭酸ガス、エチレ
ン濃度分布に制御できるとの報告がなされている。
((株)加工技術研究会発行「コンバーテック199
9.10」”珪藻土セラミックを配合した青果物鮮度保
持フィルムの開発”の項参照)。
【0036】クレーとしては、カオリンクレーを焼成し
た焼成クレーや、シランカップリング剤で改質したシラ
ン改質クレー、及び、ベントナイト(モンモリナイト)
が、上記特性とともに分散性も優れて望ましい。膨潤土
と称され、吸水性が良好である。
【0037】そして、無機充填剤の形態は、粉末状、顆
粒状、板状、棒状、柱状、繊維状、針状等、適宜、任意
形態のものを選択できるが、上記包装用フィルムとする
場合には、粒径5〜30μm、望ましくは10〜20μ
mの粉末状のものを使用することが望ましい。
【0038】ガス透過性を確保するために、無機充填剤
の配合に替えて、又は、無機充填材の配合とともに、成
形後、物理的又は化学的に細孔を複数設けたり、又は、
発泡成形して連続気泡構造としてもよい。このとき、細
孔径(pore size) は10〜500μm(望ましくは50
〜100μm)とし、開口面積比率が1x10ー5〜1%
の範囲になるようにする。
【0039】さらに、本発明のポリオレフィン系組成物
には、防曇剤、脱臭剤、バイオサイド(biocides) (抗
菌剤、防黴剤、防腐剤、保存剤)、安定剤(酸化防止
剤、脱酸素剤、老化防止剤)、分散剤、発泡剤、着色
剤、着香剤、軟化剤(可塑剤、柔軟剤)、賦形剤、賦活
剤、増粘剤、防止剤、pH調整剤などの副資材(補助
剤)を適宜配合してもよい。
【0040】防曇剤(無滴剤)としては、通常、食品包
装フィルムに使用される、ソルビタン、グリセリン、ポ
リグリセリンの高級脂肪酸エステルや高級アルキルアミ
ン系の界面活性剤を好適に使用できる。
【0041】脱臭剤としては、フラボイノイド系化合
物、シリカゲル、活性炭などを挙げることができる。特
に、これらの内で緑茶から抽出したフラボノイド系化合
物が望ましい。
【0042】抗菌剤としては、キトサン及びその分解物
を代表とするアミノ糖、銀ゼオライト等の銀系抗菌剤、
クエン酸、安息香酸などを挙げることができる。特にこ
れらの内でキトサンが望ましい。特に被包装物をバナナ
とした場合、有効な抗菌効果が得られる。
【0043】また、防黴剤としては、サリチル酸、オル
トフェニルフェノール、オルトフェニルフェノールナト
リウム、ジフェニル、ソルビン酸、ソルビン酸カリウ
ム、チアベンダゾール、プロピオン酸カルシウム、プロ
ピオン酸ナトリウムなどを挙げることができる。
【0044】酸化防止剤としては、還元型アスコルビン
酸(いわゆるビタミンC)の塩が好適に用いられる。ア
スコルビン酸の形態で添加してもよいが、アスコルビン
酸は100℃近傍になると熱分解するため、安定なアル
カリ(Na、Ka)・アルカリ土類(Mg・Ca)金属
塩として添加する。水分の存在下、還元型アスコルビン
酸として強い還元作用を発揮して、被包装物の品質保持
に寄与する。特にアスパラ、ブロッコリー、その他カッ
ト野菜等の青果物は、葉緑素の減少による黄変がおきや
すく、酸化防止剤を配合することは有用である。
【0045】分散剤としては、ステアリン酸カリウム、
ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム等の
ステアリン酸塩を好適に使用できる。
【0046】なお、上記脱臭剤・抗菌剤・防黴剤・酸化
防止剤等の高機能性薬剤は、最終製品が完成するまでに
添加配合すればよい。当初から入れると混練工程・保管
中に機能性が低減するおそれがあるためである。
【0047】副資材の各配合量は、それらの形態や種
類、使用目的にも依存するが、通常0.0001〜10
0 phb、望ましくは0.001〜50 phb、さらに望ま
しくは0.01〜20 phbの範囲が望ましい。前記数値
範囲より過少又は過多である場合、所期の効果が充分発
揮されないか、阻害的に作用することがあるので好まし
くない。
【0048】本発明のポリオレフィン系組成物は、上記
オレフィン系ポリマーにトレハロースを含む上記各副資
材を添加し、押出機等で混練して、ペレット材料又は粉
状材料として使用する。なお、トレハロースは、α−オ
レフィンの重合前、重合時、重合後に添加してマスター
バッチとしてもよい。
【0049】そして、当該ポリオレフィン系組成物を包
装フィルムとするときは、上記材料をインフレーション
法やTダイ法等の成形機の押出機に投入して成形する
が、全体又は部分が成形加工又は改質されてなる他の棒
状、柱状、板状、カプセル状、多面立方体形状、球形
状、円錐形状、楕円形状、円形状、蓋状、等の成形加工
品及び改質加工品とすることも可能である。当該成形加
工及び改質加工には、インフレーション法、Tダイ法、
押出積層(extrusion laminate)などのフィルム成形法
の他に、射出成形、押出成形、カレンダー加工、圧縮成
形(プレス成形)、トランスファー成形、注型法(キャ
スト)、積層法、真空成形、吹込み成形(ブロー成
形)、発泡成形、塗装、流延、熱接着、延伸加工、等が
含まれる(日本化学会編「第5版化学便覧 応用化学編
I」(平成7年3月15日発行)丸善、773頁、表1
0.22参照)。また、改質加工品には、天然系材料か
らなる紙、不織布等に改質剤として当該ポリオレフィン
系組成物を添加する場合も含まれ、紙、加工紙、不織布
等も含まれる。
【0050】上記ポリオレフィン系組成物を使用して食
品包装用フィルムを、インフレーション法で行なう場
合、たとえば、下記の如く行なう。
【0051】材料のチャージ形態は、ベースポリマーに
トレハロースその他の副資材を配合したり、予め、ベー
スポリマーの重合時にトレハロースなど副資材の一部を
同時配合したマスターバッチでもよい。マスターバッチ
の方が、トレハロースの分散性が良好となり望ましい。
なお、分散性を向上させるには、すでに上述した分散剤
を同時配合することが望ましい。また、マスターバッチ
とする時は、空気中の水分が混合し易いため、該水分に
よる発泡を防止するために、酸化カルシウム(CaO)
を配合することが望ましい。酸化カルシウムの配合量は
0.5〜5 phrとする。酸化カルシウムの配合量が多す
ぎると、本発明のフィルムの品質が損なわれ易く、逆に
少なすぎると水分による発泡を抑制することができず、
フィルム強度の面で問題が生じる可能性がある。
【0052】加工条件は、たとえば、スクリュー口径:
45mm、L/D:24の場合、シリンダ温度:160〜
180℃、押出量:10〜20kg/h、加工速度:10〜
30m/min とする。
【0053】そして、ポリオレフィン系組成物のベース
ポリマーが、軟質PEの場合、フィルム厚:20〜50
μm、望ましくは25〜45μm、さらに望ましくは3
5μm前後とする。フィルム厚が厚すぎるとガス透過性
能が低減し、逆に薄すぎるとフィルムの強度が低下す
る。
【0054】このとき、フィルム柔軟性が得易い低密度
のPEの内、高圧法で製造されて長鎖分岐を有する低密
度ポリエチレン(分岐LDPE)に比して、低圧法で製
造されて長鎖分岐をもたない線状低密度ポリエチレン
(線状LDPE)を使用することが望ましい。線状LD
PEは分岐LDPEに比して、伸び及び強度が大きいた
めである。特に、チャック付き袋体にしたとき、チャッ
ク作業性・シール性に優れたものを得易く、また、ヒー
トシール性にも優れている。
【0055】なお、分岐LDPEは、引張強度:6.2
〜11.5MPa、伸び:20〜40%、で有るのに対
し、線状LDPEは、引張強度:38MPa、伸び:6
20%(ただし、エチレン・ブテン共重合体における巻
き取り方向の)である(三田達監訳「高分子大辞典」1
994年丸善刊、p.104,106 参照)。
【0056】本発明のポリオレフィン系組成物は、最終
製品の調製途中または完成後に、包装又は収容用物品の
全体または部分を、一または複数工程で成形加工又は改
質するために用いるものである。
【0057】上記ポリオレフィン系組成物を用いて食品
を包装すれば、従来用いられていた包装材以上の鮮度保
持効果を期待できるが、鮮度保持効果をより向上させる
ために、被包装物を一旦トレハロースの水溶液に浸した
後、包装することが有効である。例えば、ブロッコリー
を40℃のトレハロース水溶液に15分間浸漬した後、
後述実施例で示す実施例11のフィルムを用いて包装し
たところ、20℃の状態でもこれまでの冷蔵状態と同様
の鮮度を保ち、より常温に近い状態で市場に流通させる
ことが可能となった。また、椎茸についても上記と同一
条件でトレハロース水溶液に浸漬後、包装したところ、
15℃の状態で従来の冷蔵状態と同様の鮮度を保つこと
が可能となった。
【0058】
【実施例】以下、本発明の実施例について、対照例とと
もに述べる。
【0059】表1・2に示す各組成のポリオレフィン系
組成物を、上向式インフレーションフィルム加工装置を
使用して、シリンダ温度170℃、押出量10kg/
h、加工速度約20m/min で肉厚35μmのフィルム
を成形した。
【0060】なお、各実施例・対照例に使用したポリマ
ー(樹脂)および副資材を下記する。副資材としてMB
(マスターバッチ)を使用した場合についても、表示の
量は純分換算量である。なお、MBに使用する樹脂は当
然、それぞれ各実施例・比較例に使用するLDPEであ
る。
【0061】分岐LDPE…「日本ユニカー DFD−
0148」(日本ユニカー株式会社製) 線状LDPE…「日本ポリオレフィン AC451S」
(日本ポリオレフィン株式会社製) トレハロースMB…「トレハオース」(株式会社林原生
物化学研究所製)50%含有物 シリカMB…「東京インク1090」(東京インク株式
会社製)シリカ50%含有物 フラノボイドMB…「フレッシュライマツ」(白井松新
薬株式会社製)15%含有物 防曇剤MB…グリセリン高級脂肪酸エステル/高級アル
キルアミン系防曇剤20%含有物 エタノール発生剤…「アンチモード」(フロイント産業
株式会社製)
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【実験例】本発明の効果を確認するために行なった後述
する実施例および対照例についての比較実験(鮮度保持
試験・生分解性試験)を行なったのでそれらについて説
明する。
【0065】<実験例1:鮮度保持試験>実施例および
対照例1(トレハロース無配合)のフィルムおよび対照
例2とした市販軟質PEフィルム(肉厚:35μm、大
谷石粉末配合)に、表示の被包装物を1個づつ又は1本
づつ入れて手包装し(椎茸についてはヒートシール包
装)、定温冷蔵庫で15℃に保持した。
【0066】変色日数を目視観察により判定するととも
に、臭気をパネラー(健常な大人女性5人)により判定
させた(椎茸は変色発生日におけるもの)。
【0067】対比のために、ブロッコリーについては、
そのまま裸で入れた無包装のものについても同様に判定
した。チューリップについては、つぼみの状態のものを
使用して開花日数について判定した。
【0068】表3に示す結果から明らかなように、上記
から本発明の実施例1〜9のポリオレフィン系組成物か
らなるフィルムは、対照例1〜6と比べ、ブロッコリ
ー、牛肉ブロック、椎茸およびチューリップのつぼみを
包装して保持したとき、著しく優れた鮮度保持効果を発
揮することが分かる。
【0069】
【表3】
【0070】<実験例2:生分解性試験>実施例6(ト
レハロース10 phb添加)と対照例1(トレハロース無
配合)の各フィルムから、それぞれ縦横15cmの正方
形状片(各10枚)に切断し、活性汚泥5Lを入れた曝
気槽に入れ、 pH 7付近に調製し、攪拌しつつ、25℃
で14日間曝気した(通気量400ml/ min )。
【0071】曝気終了後、実施例6と対照例1の正方形
状片について肉眼観察するとともに、引張り強度につい
て比較検討した。
【0072】その結果、実施例6の正方形状片の表面に
は細孔が多数形成され、それらの両端を手で持って引っ
張ると容易に切断される程度にまでもろくなっていた。
この結果は、本発明のポリオレフィン系組成物が、活性
汚泥中の微生物により分解されたことを意味している。
【0073】これに対し、対照例1の正方形状片の表面
には細孔は見られず、曝気前と殆ど変化がなく、手で持
って引っ張った時の強度も、曝気前と殆ど差はなかっ
た。このことは、対照例1の正方形状片が微生物の分解
を実質的に受け難いことを意味している。
【0074】したがって、本発明のトレハロースを含有
してなるポリオレフィン系組成物は、生分解性を有する
組成物であり、フィルム等に成形したとき良好な生分解
性を有することが分かる。すなわち、環境に優しい包装
フィルムとして好適に使用できることが分かる。
【0075】<実験例3:透湿度試験>実施例10・2
・11・12の各フィルムを用いて、透湿度試験を行な
った。測定方法はJIS Z 0208に準拠し、透湿面積5cm
2 、測定時間24時間、測定温度40℃とした。
【0076】これらの結果を示す表4から、分岐LDP
E(実施例10・2)は線状LDPE(実施例11、1
2)よりも透湿度(水蒸気透過性)が高い(防湿性が低
い)ことが分かる。
【0077】また、線状LDPEにおいては、防曇剤及
びシリカを含有させると、透湿度が上昇するが、分岐L
DPEにおいては逆に、透湿度が低減する(防湿性が向
上する)ことが分かる。線状分岐LDPEと分岐LDP
Eの違いによりこのような差異が出る理由は、下記の如
くであると推定される。
【0078】界面活性剤である防曇剤は疎水基として高
級炭化水素を備えており同じく長鎖分岐を備える分岐L
DPEと疎水基を介して付着(結合)して親水基が外側
に位置する。この外側に位置する親水基は、H2 O(極
性分子)捕獲する。したがって、分岐LDPEに結合す
る防曇剤は透湿度低減作用を奏する。
【0079】他方、シリカは、フィルムに細孔形成する
とともに、界面活性剤である防曇剤が親水基を介して吸
着し疎水基が外側に位置する。この外側に位置する疎水
基は、H2 Oを捕獲しない(疎外する)。したがって、
シリカに結合する防曇剤は透湿度低減作用を奏しない。
【0080】よって、防曇剤(界面活性剤)が結合し易
い分岐LDPEにおいては、H2 O捕獲作用を奏する防
曇剤の比率が高くて透湿度低減作用が、シリカ(無機充
填剤)の細孔形成に基づくガス透過性(透湿度)増大に
優る結果、透湿度が低減する。
【0081】逆に、防曇剤が結合し難い線状LDPEに
おいては、H2 O捕獲作用を奏する防曇剤の比率が低く
て透湿度低減作用が、シリカの細孔形成に基づくガス透
過性(透湿度)増大に劣る結果、透湿度が増大する。
【0082】このことは、シリカ/防曇剤の比率を変え
ることよりフィルム透湿度調整が可能であることを示
す。
【0083】<実験例4:O2 、CO2 ガス透過試験>
同様に実施例10・2・11・12の各フィルムを用い
て、O2 、CO2 ガス透過試験を行った。
【0084】使用測定機器は、日本分光(株)製Gasper
m-100 とし、測定面積:12.56cm2 (φ40mm)、
測定圧力3kg/cm2で30min ガス透過させて行った。
【0085】それらの結果を示す表4から、上記水分透
過性と同様、分岐LDPE(実施例10・2)は、線状
LDPE(実施例11、12)よりもガス透過量が多い
(ガス透過性が低い)ことが分かる。
【0086】また、線状LDPEでは、シリカ及び防曇
剤を含有させると、O2 、CO2 の透過量が低減したの
に対し、分岐LDPEでは逆にO2 、CO2 の透過量が
増大することが分かる。
【0087】線状LDPEと分岐LDPEでこのような
違いが出る理由は、実験例3と同様である。
【0088】分岐LDPEに結合する防曇剤は、親水基
(極性基)が外側に位置して結合しているため非極性ガ
ス(O2 、CO2 )に対して非極性ガス捕獲作用がな
い。したがって、分岐LDPEに結合する防曇剤は、非
極性ガス透過性低減作用を奏しない。
【0089】他方、シリカに結合する防曇剤は、疎水基
を外側に位置して結合するため、非極性分子である非極
性ガスに対して分子捕獲作用がある。したがって、線状
LDPEに結合する防曇剤は、非極性ガス透過性低減作
用を奏する。
【0090】よって、防曇剤(界面活性剤)が結合し易
い分岐LDPEにおいては、非極性ガス捕獲作用を奏す
るシリカと結合する防曇剤の比率が低くて非極性ガス低
減作用が、シリカ(無機充填剤)の細孔形成に基づくガ
ス透過性(透湿度)増大に劣る結果、非極性ガス透過性
が増大する。
【0091】逆に、防曇剤が結合し難い線状LDPEに
おいては、非極性ガス捕獲作用を奏するシリカと結合す
る防曇剤の比率が高くて非極性ガス透過性低減作用が、
シリカの細孔形成に基づくガス透過性(透湿度)増大に
優り非極性ガス透過性が低減する。
【0092】このことは、上記同様、シリカ/防曇剤の
比率を変えることよりフィルム透湿度調整が可能である
ことを示す。
【0093】
【表4】
【0094】<実験例5:エチレンガス透過試験>線状
LDPEの各フィルムのみ(無配合)又はトレハロース
及び/又はシリカを含有させた実施例12・13・対照
例5の各フィルムにおけるエチレンガス透過能を比較し
た。ガス透過試験方法は上記実験例4に準じた。
【0095】結果を示す表5から、防曇剤を含まない場
合、トレハロース、シリカを単独で含有してもエチレン
透過性能は向上するが、組み合わせることにより更に透
過性能が向上することが分かる。よって青果物等の鮮度
保持効果が向上すると言える。また、防曇剤を含まない
場合、非極性ガス透過性低減作用を受けないことが分か
る。
【0096】
【表5】
【0097】<実験例6:無機充填剤添加の効果>無機
充填剤の違いによるフィルムの透視度(曇り度:ASTM D
883 )及び強度(ASTM D638 ) を比較し、表6に示し
た。加えて、各フィルムでブロッコリーを包装した際の
ブロッコリーの黄変具合を目視により評価した。フィル
ムは線状LDP100部に対して、表中の各無機充填剤
1.5部(phb)トレハロース1部(phb)、防曇材5部を
含有するものを用いた。
【0098】表6から無機充填剤としては、シリカ、ケ
イソウ土及びゼオライトを用いることが好ましい、特に
ゼオライトがブロッコリーの黄変に対する抑制効果が著
しいことが分かる。
【0099】
【表6】
【0100】
【発明の効果】本発明のポリオレフィン系組成物および
該ポリオレフィン系組成物で全体または部分が成形加工
又は改質されてなるポリオレフィン系組成物加工品は、
食品等の包装材又は収容材に適用した場合、上記の如
く、顕著な鮮度保持効果を奏する。したがって、多種多
様な食品等の鮮度保持が可能であり、鮮度保持期間の延
長が期待できる。
【0101】その理由としては、本願発明のポリオレフ
ィン系組成物中に存在するトレハロースは、その一部又
は全部が結晶化し、この結晶化したトレハロースが、当
該ポリオレフィン系組成物に微細な細孔を形成し、この
形成された細孔およびトレハロース結晶自体が、適度な
ガス透過性(CO2 、O2 など)、水分透過性、ガス吸
着性、湿度調節性を付与するためと考えられる。
【0102】また、トレハロースは、それ自体天然に存
在する糖質で、構成糖がグルコースであることから、生
体内または自然界に存在する微生物により容易に資化さ
れ、最終的には水と二酸化炭素とになる。すなわち、ト
レハロースを含有する本発明のポリオレフィン系組成物
を自然界に放置したとき、当該ポリオレフィン系組成物
中のトレハロースは天然界に存在する微生物によって容
易に資化され、これにより、該組成物の破断化又は断片
化が促進され、更には、自然環境下における温度変化、
紫外線等の作用により、当該組成物の分解は更に進み、
時間の経過につれ原形をとどめない程度にまで分解が進
むことが期待される。
【0103】したがって、トレハロースを含有する本発
明のポリオレフィン系組成物は生分解性であり、このこ
とは、昨今の環境問題にも充分呼応するものである。
【0104】また、本発明のポリオレフィン系組成物
は、青果物のみならず、魚肉類、切り花、竹・木材およ
びそれらの加工品、等の包装にも使用でき、さらには、
米飯、おにぎり、すし、パン、和菓子、洋菓子、等の飲
食物、化粧品、医薬品、農林畜産水産用資材、工業用資
材のラッピング、部分ラッピングにも適用できる。
【0105】さらには、本発明のポリオレフィン系組成
物は、エマルション(乳濁液)やサスペンション(懸濁
液)の形態にして、段ボール箱、木箱、竹・木製容器等
の表面に塗布したりした場合にも、それら自体は勿論の
こと、それらが収容する内容物に対して鮮度保持効果付
与が期待できるものである。
【0106】なお、本発明の発明性には影響を与えない
が、先行技術として、特開平9−176420号公報
(刊行物1)にトレハロースを含有させた塩化ビニル系
樹脂(PVC)が開示されている。
【0107】すなわち、上記刊行物1におけるトレハロ
ースの添加目的は、上記刊行物1においては、PVCの
汎用熱安定剤である有機酸金属塩との併用により熱安定
性の向上を図るものであり、本発明のごとく青果物の鮮
度保持の向上を図ることを目的とするものではなく、別
異である。そして、前提においても、刊行物1は有機酸
金属塩の配合を前提とするPVC(極性樹脂)であるの
に対し、本発明においては非極性樹脂であるPE等のポ
リオレフィン組成物であり、相違する。この樹脂におけ
る極性の相違及び有機酸金属塩の有無は、当然、極性化
合物であるトレハロース(ポリオール:ニ糖類)を配合
した場合に、トレハロースの作用の相違をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】トレハロース含水結晶の粉末X線回折図形を示
す。
【図2】トレハロース無水結晶の粉末X線回折図形を示
す。
【図3】非晶質無水トレハロースの粉末X線回折図形を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今西 幹治 岐阜県不破郡垂井町表佐731番地 ワコー 樹脂株式会社内 (72)発明者 結縁 邦彦 岡山県岡山市下石井1丁目2番3号 株式 会社林原生物化学研究所内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベースポリマーとしてのオレフィン系ポ
    リマーと、トレハロース及び無機充填剤とを含有するこ
    とを特徴とするポリオレフィン系組成物。
  2. 【請求項2】 トレハロースを鮮度保持寄与剤として、
    無機充填剤をガス透過調整剤として含有することを特徴
    とする請求項1記載のポリオレフィン系組成物。
  3. 【請求項3】 さらに、防曇剤を含有することを特徴と
    する請求項2記載のポリオレフィン系組成物。
  4. 【請求項4】 トレハロースが、α,α−、α,β−及
    び/又はβ,β−トレハロースであることを特徴とする
    請求項1、2又は3記載のポリオレフィン系組成物。
  5. 【請求項5】 前記無機充填剤が、シリカ、ケイソウ
    土、ゼオライト、タルク及びクレーの群から選択される
    1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1、
    2、3又は4記載のポリオレフィン系組成物。
  6. 【請求項6】 フラボノイド化合物を脱臭作用剤として
    含有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5
    記載のポリオレフィン系組成物。
  7. 【請求項7】 オレフィン系ポリマーが、炭素数2〜4
    のα−オレフィンの重合体の群から選択される1種若し
    くは2種以上からなるもの、又は、それらに生分解性ポ
    リマーがブレンドされてなるものであることを特徴とす
    る請求項1、2、3、4、5又は6記載のポリオレフィ
    ン系組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5、6又は7記
    載のポリオレフィン系組成物で全体または部分が成形加
    工又は改質されてなることを特徴とするポリオレフィン
    系組成物加工品。
  9. 【請求項9】 ポリオレフィン系組成物加工品が、食品
    包装用フィルムであることを特徴とする請求項8記載の
    ポリオレフィン系組成物加工品。
  10. 【請求項10】 ベースポリマーとしてのオレフィン系
    ポリマーと、トレハロース及び無機充填剤とを含有する
    ポリオレフィン系組成物を用いて食品を包装又は収容す
    ることを特徴とする食品の鮮度保持方法。
  11. 【請求項11】 トレハロースを鮮度保持寄与剤とし
    て、無機充填剤をガス透過調整剤として含有することを
    特徴とする請求項10記載の食品の鮮度保持方法。
  12. 【請求項12】 さらに、防曇剤を含有することを特徴
    とする請求項11記載の食品の鮮度保持方法。
  13. 【請求項13】 トレハロースが、α,α−、α,β−
    及び/又はβ,β−トレハロースであることを特徴とす
    る請求項10、11又は12記載の食品の鮮度保持方
    法。
  14. 【請求項14】 無機充填剤が、シリカ、ケイソウ土、
    ゼオライト、タルク及びクレーの群から選択される1種
    又は2種以上であることを特徴とする請求項10、1
    1、12又は13記載の食品の鮮度保持方法。
  15. 【請求項15】 フラボノイド化合物を脱臭作用剤とし
    て含有することを特徴とする請求項10、11、12、
    13又は14記載の食品の鮮度保持方法。
  16. 【請求項16】 オレフィン系ポリマーが、炭素数2〜
    4のα−オレフィンの重合体の群から選択される1種若
    しくは2種以上からなるもの、又は、それらに生分解性
    ポリマーがブレンドされてなるものであることを特徴と
    する請求項10、11、12、13、14又は15記載
    の食品の鮮度保持方法。
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