JP2000223303A - 有機質正特性サーミスタ - Google Patents

有機質正特性サーミスタ

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JP2000223303A
JP2000223303A JP11020600A JP2060099A JP2000223303A JP 2000223303 A JP2000223303 A JP 2000223303A JP 11020600 A JP11020600 A JP 11020600A JP 2060099 A JP2060099 A JP 2060099A JP 2000223303 A JP2000223303 A JP 2000223303A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 室温抵抗が十分低く、動作時と非動作時の抵
抗変化率が大きく、温度−抵抗曲線のヒステリシスが小
さく、抵抗増加後のNTC特性が見られず、動作温度の
調整が容易であり、しかも、特性安定性が高い有機質正
特性サーミスタを提供する。 【解決手段】 本発明の有機質正特性サーミスタは、熱
硬化性高分子マトリックス、低分子有機化合物およびス
パイク状の突起を有する導電性粒子を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温度センサーや過
電流保護素子として用いられ、温度上昇とともに抵抗値
が増大するPTC(positive temperature coefficient
of resistivity)特性を有する有機質正特性サーミス
タに関する。
【0002】
【従来の技術】結晶性熱可塑性高分子に導電性粒子を分
散させた有機質正特性サーミスタはこの分野では公知で
あり、米国特許第3243753号明細書および同第3
351882号明細書等に開示されている。抵抗値の増
大は、結晶性高分子が融解に伴って膨張し、導電性微粒
子の導電経路を切断するためと考えられている。
【0003】有機質正特性サーミスタは、自己制御型発
熱体、過電流保護素子、温度センサー等に利用すること
ができる。これらに要求される特性としては、非動作時
の室温抵抗値が十分低いこと、室温抵抗値と動作時の抵
抗値の変化率が十分大きいこと、繰り返し動作による抵
抗値の変化が小さいことが挙げられる。
【0004】こうした要求特性を満足させるために、ワ
ックス等の低分子有機化合物を用い、バインダーとして
熱可塑性高分子をマトリックスとする有機質正特性サー
ミスタが提案されている。このような有機質正特性サー
ミスタとしては、例えば、ポリイソブチレン/パラフィ
ンワックス/カーボンブラック系(F.Bueche,J.Appl.Phy
s.,44,532,1973)、スチレン−ブタジエンラバー/パラ
フィンワックス/カーボンブラック系(F.Bueche,J.Poly
mer Sci.,11,1319,1973)、低密度ポリエチレン/パラフ
ィンワックス/カーボンブラック系(K.Ohe et al.,Jpn.
J.Appl.Phys.,10,99,1971)がある。また、特公昭62-165
23号、特公平7-109786号、同7-48396号、特開昭62-5118
4号、同62-51185号、同62-51186号、同62-51187号、特
開平1-231284号、同3-132001号、同9-27383号、同9-694
10号の各公報にも低分子有機化合物を使った有機質正特
性サーミスタを用いた自己温度制御発熱体、限流素子等
が開示されている。これらの場合は低分子有機化合物の
融解により抵抗値が増大すると考えられる。
【0005】低分子有機化合物を動作物質に用いると、
一般に高分子に比べて結晶化度が高いため、昇温により
抵抗が増大する際の立ち上がりが急峻になるという利点
がある。また、高分子は過冷却状態を取りやすいため、
通常、昇温時に抵抗値が増大する温度より降温時に抵抗
値が減少する温度の方が低くなるようなヒステリシスを
示すが、低分子有機化合物を用いることでこのヒステリ
シスを抑えることができる。さらには、融点の異なる低
分子有機化合物を用いれば、抵抗が増大する温度(動作
温度)を簡単に制御できる。高分子の場合、分子量や結
晶化度の違い、また、コモノマーと共重合することによ
って融点が変化し、動作温度を変化させることができる
が、その際、結晶状態の変化を伴うために十分なPTC
特性が得られないことがある。
【0006】しかし、上記文献に開示されている有機質
正特性サーミスタでは、導電性粒子としてカーボンブラ
ックや黒鉛が用いられているので、低い初期(室温)抵
抗と大きな抵抗変化率とを両立させていない。Jpn.J.Ap
pl.Phys.,10,99,1971には、比抵抗値(Ω・cm)が108
倍増加した例が示されているが、室温での比抵抗値は1
4Ω・cmで非常に高く、特に過電流保護素子や温度セ
ンサーに使うには実用的ではない。また、他の文献にお
ける抵抗値(Ω)あるいは比抵抗値(Ω・cm)の増加
は、いずれも10倍以下から104倍程度の範囲にあ
り、室温抵抗も十分低いものではない。
【0007】また、マトリックスに熱可塑性高分子を用
いると、その融点では軟化・流動するため、特に高温に
さらされたとき系の分散状態が変化し、特性が安定しな
いという問題がある。
【0008】一方、低分子有機化合物と、マトリックス
として熱硬化性高分子を用いた有機質正特性サーミスタ
が、特開平2-156502号、同2-230684号、同3-132001号、
同3-205777号の各公報に開示されている。しかしなが
ら、これらも導電性粒子としてカーボンブラックや黒鉛
が用いられており、抵抗変化率はいずれも1桁以下と小
さく、室温抵抗も1Ω・cm前後で十分低いものではな
く、低い初期抵抗と大きな抵抗変化率とを両立させてい
ない。
【0009】また、低分子有機化合物を用いず、熱硬化
性高分子と導電性粒子のみで構成される有機質正特性サ
ーミスタが、特開昭55-68075号、同58-34901号、同63-1
70902号、特開平2-33881号、同9-9482号、同10-4002号
の各公報、米国特許4966729号明細書で提案されてい
る。これらにおいても、導電性粒子としてカーボンブラ
ックや黒鉛が用いられているので、0.1Ω・cm以下の
室温抵抗と5桁以上の抵抗変化率とを両立させた例はな
い。また、一般に、熱硬化性高分子と導電性粒子のみの
構成では明確な融点をもつ構成物がないため、温度−抵
抗特性における抵抗の立ち上がりが鈍くなり、特に過電
流保護素子や温度センサーの用途では満足な特性が得ら
れていないことが多い。
【0010】上記のものも含め、従来の有機質正特性サ
ーミスタでは導電性粒子としてカーボンブラックや黒鉛
が多く用いられてきたが、初期抵抗値を下げるためカー
ボンブラックの充填量を多くしたときに十分な抵抗変化
率が得られず、低い初期抵抗と大きな抵抗変化率とを両
立できないという欠点があった。また、一般の金属粒子
を導電性粒子に用いた例もあるが、同じように低い初期
抵抗と大きな抵抗変化率とを両立させることは困難であ
った。
【0011】上記の欠点を解決する方法として、スパイ
ク状の突起を有する導電性粒子を用いる方法が開示され
ている。特開平5−47503号公報には、結晶性重合
体、具体的にはポリフッ化ビニリデンとスパイク状の突
起を有する導電性粒子、具体的にはスパイク状Niパウ
ダーとからなる有機質正特性サーミスタが開示されてい
る。また、米国特許第5378407号明細書にも、ス
パイク状の突起を有するフィラメント形状のNiと、ポ
リオレフィン、オレフィン系コポリマー、あるいはフル
オロポリマーとを用いたものが開示されている。しかし
ながら、これらのものでは、低い初期抵抗と大きな抵抗
変化を両立させる効果は向上するものの、低分子有機化
合物を動作物質に用いていないのでヒステリシスの点が
不十分であり、特に温度センサーのような用途には適さ
ない。また、動作時に抵抗が増加した後さらに加熱する
と、温度上昇とともに抵抗値が減少するNTC特性(ne
gative temperature coefficient of resistivity )を
示すという問題がある。なお、上記公報および上記明細
書では、低分子有機化合物を用いることは全く示唆され
ていない。
【0012】また、特開平5−198403号、同5−
198404号公報には、熱硬化性樹脂とスパイク状の
突起を有する導電性粒子とを混合してなる有機質正特性
サーミスタが開示されており、9桁以上の抵抗変化率が
得られている。しかしながら、フィラー充填量を多くし
て室温抵抗値を下げると十分な抵抗変化率が得られず、
低い初期抵抗と大きな抵抗変化を両立させることは困難
である。また、熱硬化性樹脂と導電性粒子とから構成さ
れているので、抵抗増加の立ち上がりも十分急峻なもの
ではない。なお、上記公報でも、低分子有機化合物を用
いることは全く示唆されていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、室温
抵抗が十分低く、動作時と非動作時の抵抗変化率が大き
く、温度−抵抗曲線のヒステリシスが小さく、抵抗増加
後のNTC特性が見られず、動作温度の調整が容易であ
り、しかも、特性安定性が高い有機質正特性サーミスタ
を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
の本発明により達成される。 (1) 熱硬化性高分子マトリックス、低分子有機化合
物およびスパイク状の突起を有する導電性粒子を含む有
機質正特性サーミスタ。 (2) 前記低分子有機化合物の融点が40〜200℃
である上記(1)の有機質正特性サーミスタ。 (3) 前記低分子有機化合物の分子量が4,000以
下である上記(1)または(2)の有機質正特性サーミ
スタ。 (4) 前記低分子有機化合物が石油系ワックスまたは
脂肪酸である上記(1)〜(3)のいずれかの有機質正
特性サーミスタ。 (5) 前記熱硬化性高分子マトリックスが、エポキシ
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリウレ
タン、フェノール樹脂またはシリコーン樹脂のいずれか
である上記(1)〜(4)のいずれかの有機質正特性サ
ーミスタ。 (6) 前記低分子有機化合物の重量が、前記熱硬化性
高分子マトリックスの重量の0.2〜2.5倍である上
記(1)〜(5)のいずれかの有機質正特性サーミス
タ。 (7) 前記スパイク状の突起を有する導電性粒子が鎖
状に連なっている上記(1)〜(6)のいずれかの有機
質正特性サーミスタ。
【0015】
【作用】本発明では、スパイク状の突起を有する導電性
粒子を用いているので、その形状によりトンネル電流が
流れやすくなり、球状の導電性粒子と比較して低い室温
抵抗が得られる。また、導電性粒子間の間隔が球状のも
のと比較して大きいため、動作時にはより大きな抵抗変
化が得られる。
【0016】本発明では、低分子有機化合物を含有さ
せ、この低分子有機化合物の融解により温度上昇ととも
に抵抗値が増大するPTC(positive temperature coef
ficient of resistivity)特性を発現させているので、
結晶性の熱可塑性高分子の融解によって動作させる場合
に比べて温度−抵抗曲線のヒステリシスが小さくなる。
また、高分子の融点変化を利用して動作温度を調整する
場合に比べ、融点の異なる低分子有機化合物を用いるこ
となどにより容易に動作温度を調整することができる。
また、熱硬化性高分子を動作物質とする場合と違って、
動作時における抵抗の立ち上がりが急峻である。
【0017】さらに、本発明では、マトリックスとして
熱硬化性高分子を用いる。本発明では、低分子有機化合
物の融解に伴う大きな体積膨張を利用して動作時の大き
な抵抗変化を得ているが、低分子有機化合物と導電性粒
子のみの構成では、低分子有機化合物の溶融粘度が低い
ために、動作すると素子の形状が保てない。そのため、
動作時の低分子有機化合物の融解による流動、素子の変
形等を防ぐために、マトリックス高分子に低分子有機化
合物と導電性粒子とを分散する必要がある。このマトリ
ックス高分子に熱可塑性高分子を用いた場合、融点以上
では高分子が溶融するため、特に高温安定性に問題があ
る。本発明では、高分子マトリックスに熱硬化性高分子
を用いており、不溶不融の3次元網状マトリックス中に
低分子有機化合物と導電性粒子とが分散されるため、熱
可塑性高分子を用いる場合と比べて、特性安定性が非常
に向上し、低い室温抵抗と動作時の大きな抵抗変化とが
安定して長期に渡って維持される。
【0018】また、熱可塑性高分子マトリックスを用い
た場合、抵抗が増加した後さらに加熱すると、温度上昇
とともに抵抗値が減少するNTC現象を示す。また、冷
却時には低分子有機化合物の融点よりも高い温度から抵
抗が減少し、温度−抵抗曲線のヒステリシスが大きい。
設定温度よりも高い温度で抵抗値が復帰することは、特
に保護素子として用いるときに大きな問題になりうる。
NTC現象は、熱可塑性高分子と導電性粒子とを用いた
系でも見られる現象で、抵抗が増加した後電流を流し続
けることにより、導電性粒子が溶融状態のマトリックス
中で再配列し、抵抗が減少すると考えられる。冷却時
に、加熱時の動作温度よりも高い温度から抵抗値が減少
するのも同じ理由と考えられる。本発明では、不溶不融
の熱硬化性高分子マトリックスを用いることで、上記の
欠点、つまり、抵抗増大後のNTC現象、温度−抵抗曲
線のヒステリシスを大幅に改善している。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の有機質正特性サーミスタ
は、熱硬化性高分子マトリックス、低分子有機化合物、
スパイク状の突起を有する導電子粒子を含むものであ
る。
【0020】熱硬化性高分子マトリックスとしては、特
に制限されないが、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル
樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、フェノール樹脂、シ
リコーン樹脂が好ましく用いられる。
【0021】エポキシ樹脂は、末端に反応性のエポキシ
基をもつオリゴマー(分子量数百から一万程度)を各種
硬化剤で硬化(架橋)したものであり、ビスフェノール
Aに代表されるグリシジルエーテル型、グリシジルエス
テル型、グリシジルアミン型、脂環型に分類される。用
途によっては、3官能以上の多官能エポキシ樹脂も用い
ることができる。本発明では、これらの中でも、グリシ
ジルエーテル型、中でもビスフェノールA型を用いるこ
とが好ましい。用いるエポキシ樹脂のエポキシ当量は1
00〜500程度が好ましい。硬化剤は、反応機構によ
り、重付加型、触媒型、縮合型に分類される。重付加型
は、硬化剤自身がエポキシ基や水酸基に付加するもの
で、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメル
カプタン、イソシアネート等がある。触媒型は、エポキ
シ基同士の重合触媒となるもので、3級アミン類、イミ
ダゾール類等がある。縮合型は、水酸基との縮合で硬化
するもので、フェノール樹脂、メラミン樹脂等がある。
本発明では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の硬化剤
としては、重付加型、特にポリアミン系および酸無水物
を用いることが好ましい。硬化条件は適宜決めればよ
い。
【0022】このようなエポキシ樹脂、硬化剤は市販さ
れており、例えば、油化シェルエポキシ社製エピコート
(樹脂)、エピキュア、エポメート(硬化剤)、チバガ
イギー社製アラルダイト等がある。
【0023】不飽和ポリエステル樹脂は、主に不飽和二
塩基酸もしくは二塩基酸と多価アルコールとを主体とし
たポリエステル(分子量1000〜5000程度)を架
橋の働きをするビニルモノマーに溶解したもので、過酸
化ベンゾイル等の有機過酸化物を重合開始剤として硬化
させて得られる。必要に応じて重合促進剤を併用して硬
化してもよい。本発明で用いる不飽和ポリエステルの原
料としては、不飽和二塩基酸としては無水マレイン酸、
フマル酸が好ましく、二塩基酸としては無水フタル酸、
イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、多価アルコー
ルとしてはプロピレングリコール、エチレングリコール
が好ましい。ビニルモノマーとしてはスチレン、ジアリ
ルフタレート、ビニルトルエンが好ましい。ビニルモノ
マーの配合量は適宜決めればよいが、通常、フマル酸残
基1molに対して1.0〜3.0mol程度である。また、
合成工程におけるゲル化防止、硬化特性の調節等のため
にキノン類、ヒドロキノン類等の公知の重合禁止剤が添
加される。硬化条件は適宜決めればよい。
【0024】このような不飽和ポリエステル樹脂は市販
されており、例えば、日本触媒製エポラック、日立化成
製ポリセット、大日本インキ化学工業製ポリライト等が
ある。
【0025】ポリイミドは、製造方法により縮合型と付
加型とに大別されるが、付加重合型ポリイミドのビスマ
レイミド型ポリイミドが好ましい。ビスマレイミド型ポ
リイミドは、単独重合、他の不飽和結合との反応、芳香
族アミン類とのマイケル付加反応あるいはジエン類との
Diels-Alder反応等を利用して硬化できる。本発明で
は、特に、ビスマレイミドと芳香族ジアミン類との付加
反応によって得られるビスマレイミド系ポリイミド樹脂
が好ましい。芳香族ジアミン類としては、ジアミノジフ
ェニルメタン等が挙げられる。その合成・硬化条件は適
宜決めればよい。
【0026】このようなポリイミドは市販されており、
例えば、東芝ケミカル社製イミダロイ、チバガイギー社
製ケルイミド等がある。
【0027】ポリウレタンは、ポリイソシアネートとポ
リオールの重付加反応で得られる。ポリイソシアネート
としては、芳香族系と脂肪族系とがあるが、芳香族系が
好ましく、2,4−または2,6−トリレンジイソシア
ネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタリ
ンジイソシアネート等が好ましく用いられる。ポリオー
ルには、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポ
リオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオー
ル等があるが、ポリプロピレングリコールが好ましい。
触媒は、アミン系(トリエチレンジアミン等の3級アミ
ン系とアミン塩)でもよいが、ジブチルチンジラウレー
ト、スタナスオクトエート等の有機金属系を用いること
が好ましい。その他に、多価アルコール、多価アミン等
の架橋剤等を副資材として併用してもよい。合成・硬化
条件は適宜決めればよい。
【0028】このようなポリウレタンは市販されてお
り、例えば、住友バイエルウレタン社製スミジュール、
三井東圧化学社製NPシリーズ、日本ポリウレタン社製
コロネート等がある。
【0029】フェノール樹脂は、フェノールとホルムア
ルデヒド等のアルデヒドとを反応させて得られ、合成条
件によってノボラック型とレゾール型とに大別される。
酸性触媒下で生成するノボラック型はヘキサメチレンテ
トラミン等の架橋剤とともに加熱することで硬化し、塩
基性触媒下で生成するレゾール型はそれ単独で加熱また
は酸触媒存在下で硬化する。本発明では、どちらを用い
てもよい。合成・硬化条件は適宜決めればよい。
【0030】このようなフェノール樹脂は市販されてお
り、例えば、住友ベークライト社製スミコン、日立化成
製スタンドライト、東芝ケミカル社製テコライト等があ
る。
【0031】シリコーン樹脂は、シロキサン結合の繰り
返しからなり、主にオルガノハロシランの加水分解や重
縮合から得られるシリコーン樹脂、また、アルキッド変
性、ポリエステル変性、アクリル変性、エポキシ変性、
フェノール変性、ウレタン変性、メラミン変性等の各変
性シリコーン樹脂、線状のポリジメチルシロキサンやそ
の共重合体を有機過酸化物等で架橋したシリコーンゴ
ム、室温硬化(RTV)可能な縮合および付加型のシリ
コーンゴム等がある。
【0032】このようなシリコーン樹脂は市販されてお
り、例えば、信越化学製、東レダウコーニング製、東芝
シリコーン製の各種シリコーンゴム、シリコーンレジン
等がある。
【0033】用いる熱硬化製樹脂は、所望の性能、用途
に応じて適宜選択することができるが、中でも、エポキ
シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂を用いることが好まし
い。また、2種以上を用いて相互に反応させた重合物で
あってもよい。
【0034】高分子マトリックスは上記のような熱硬化
性樹脂のみで構成されることが好ましいが、場合によっ
てはエラストマー、熱可塑性樹脂またはその混合物を含
んでいてもよい。
【0035】本発明に用いる低分子有機化合物は、分子
量が4000程度まで、好ましくは1000程度まで、
さらに好ましくは200〜800の結晶性物質であれば
特に制限はないが、常温(25℃程度の温度)で固体で
あるものが好ましい。
【0036】低分子有機化合物としては、ワックス(具
体的には、パラフィンワックスやマイクロクリスタリン
ワックス等の石油系ワックス、植物系ワックス、動物系
ワックス、鉱物系ワックスのような天然ワックス等)、
油脂(具体的には、脂肪または固体脂と称されるもの)
などがある。ワックスや油脂の成分は、炭化水素(具体
的には、炭素数22以上のアルカン系の直鎖炭化水素
等)、脂肪酸(具体的には、炭素数12以上のアルカン
系の直鎖炭化水素の脂肪酸等)、脂肪酸エステル(具体
的には、炭素数20以上の飽和脂肪酸とメチルアルコー
ル等の低級アルコールとから得られる飽和脂肪酸のメチ
ルエステル等)、脂肪酸アミド(具体的には、オレイン
酸アミド、エルカ酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド
等)、脂肪族アミン(具体的には、炭素数16以上の脂
肪族第1アミン)、高級アルコール(具体的には、炭素
数16以上のn−アルキルアルコール)、塩化パラフィ
ンなどであるが、これら自体を単独で、もしくは併用し
て低分子有機化合物として用いることができる。低分子
有機化合物は、各成分の分散を良好にするために、高分
子マトリックスの極性を考慮して適宜選択すればよい。
低分子有機化合物としては石油系ワックス、脂肪酸が好
ましい。
【0037】これらの低分子有機化合物は、市販されて
おり、市販品をそのまま用いることができる。
【0038】本発明では、動作温度が好ましくは200
℃以下、さらに好ましくは100℃以下であるサーミス
タを目的としているため、低分子有機化合物としては、
融点mpが40〜200℃、さらに好ましくは40〜1
00℃であるものを用いることが好ましい。このような
ものとしては、パラフィンワックス(例えば、テトラコ
サンC2450;mp49〜52℃、ヘキサトリアコンタ
ンC3674;mp73℃、商品名HNP−10(日本精
蝋社製);mp75℃、HNP−3(日本精蝋社製);
mp66℃など)、マイクロクリスタリンワックス(例
えば、商品名Hi−Mic−1080(日本精蝋社
製);mp83℃、Hi−Mic−1045(日本精蝋
社製);mp70℃、Hi−Mic2045(日本精蝋
社製);mp64℃、Hi−Mic3090(日本精蝋
社製);mp89℃、セラッタ104(日本石油精製社
製);mp96℃、155マイクロワックス(日本石油
精製社製);mp70℃など)、脂肪酸(例えば、ベヘ
ン酸(日本精化製);mp81℃、ステアリン酸(日本
精化製);mp72℃、パルミチン酸(日本精化製);
mp64℃など)、脂肪酸エステル(例えば、アラキン
酸メチルエステル(東京化成製);mp48℃など)、
脂肪酸アミド(例えば、オレイン酸アミド(日本精化
製);mp76℃)などがある。また、ポリエチレンワ
ックス(例えば商品名三井ハイワックス110(三井石
油化学工業社製);mp100℃)、ステアリン酸アミ
ド(mp109℃)、ベヘン酸アミド(mp111
℃)、N−N’−エチレンビスラウリン酸アミド(mp
157℃)、N−N’−ジオレイルアジピン酸アミド
(mp119℃)、N−N’−ヘキサメチレンビス−1
2−ヒドロキシステアリン酸アミド(mp140℃)な
どもある。また、パラフィンワックスに樹脂類を配合し
た配合ワックスやこの配合ワックスにマイクロクリスタ
リンワックスを混合したものであって融点を40〜20
0℃にしたものも好ましく用いることができる。
【0039】低分子有機化合物は、動作温度等によって
1種あるいは2種以上を選択して用いることができる。
【0040】用いる低分子有機化合物の重量は、熱硬化
性高分子マトリックス(硬化剤等も含む)の合計重量の
0.2〜4倍、特に0.2〜2.5倍であることが好ま
しい。この混合比が小さくなって低分子有機化合物の量
が少なくなると、抵抗変化率が十分得られにくくなって
くる。反対に混合比が大きくなって低分子有機化合物の
量が多くなると、低分子化合物が溶融する際に素体が大
きく変形する他、導電性粒子との混合が困難になってく
る。
【0041】本発明に用いるスパイク状の突起を有する
導電性粒子は、1個、1個が鋭利な突起をもつ一次粒子
から形成されており、粒径の1/3〜1/50の高さの
円錘状のスパイク状の突起が1個の粒子に複数(通常1
0〜500個)存在するものである。その材質は金属、
特にNi等が好ましい。
【0042】このような導電性粒子は、1個、1個が個
別に存在する粉体であってもよいが、一次粒子が10〜
1000個程度鎖状に連なり二次粒子を形成しているこ
とが好ましい。鎖状のものには、一部一次粒子が存在し
てもよい。前者の例としては、スパイク状の突起をもつ
球状のニッケルパウダがあり、商品名INCO Typ
e 123ニッケルパウダ(インコ社製)として市販さ
れており、その平均粒径は3〜7μm 程度、見かけの密
度は1.8〜2.7g/cm3程度、比表面積は0.34
〜0.44m2/g程度である。
【0043】また、好ましく用いられる後者の例として
は、フィラメント状ニッケルパウダがあり、商品名IN
CO Type 210、255、270、287ニッ
ケルパウダ(インコ社製)として市販されており、この
うちINCO Type 255、287が好ましい。
そして、その一次粒子の平均粒径は、好ましくは0.1
μm 以上、より好ましくは0.5以上4.0μm以下程
度である。これらのうち、一次粒子の平均粒径は1.0
以上4.0μm以下が最も好ましく、これに平均粒径
0.1μm 以上1.0μm未満のものを50重量%以下
混合してもよい。また、見かけの密度は0.3〜1.0
g/cm3程度、比表面積は0.4〜2.5m 2/g程度で
ある。
【0044】なお、この場合の平均粒径はフィッシュー
・サブシーブ法で測定したものである。
【0045】このような導電性粒子については、特開平
5−47503号公報、米国特許第5378407号明
細書に記載されている。
【0046】また、スパイク状の突起を有する導電性粒
子の他に、補助的に導電性を付与するための導電性粒子
として、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、
金属被覆カーボンブラック、グラファイト化カーボンブ
ラック、金属被覆炭素繊維等の炭素系導電性粒子、球
状、フレーク状、繊維状等の金属粒子、異種金属被覆金
属(銀コートニッケル等)粒子、炭化タングステン、窒
化チタン、窒化ジルコニウム、炭化チタン、ホウ化チタ
ン、ケイ化モリブデン等のセラミック系導電性粒子、ま
た、特開平8−31554号、同9−27383号公報
に記載されている導電性チタン酸カリウムウィスカー等
を添加してもよい。このような導電性粒子は、スパイク
状の突起を有する導電性粒子の25重量%以下とするこ
とが好ましい。
【0047】用いる導電性粒子の重量は、熱硬化性高分
子マトリックスと低分子有機化合物の合計重量(硬化剤
等を含む有機成分の合計重量)の1.5〜5倍であるこ
とが好ましい。この混合比が小さくなって導電性粒子の
量が少なくなると、非動作時の室温抵抗を十分低くする
ことができなくなってくる。反対に導電性粒子の量が多
くなると、大きな抵抗変化率が得られにくくなり、ま
た、均一な混合が困難になって安定した特性が得られに
くくなってくる。
【0048】次に、本発明の有機質正特性サーミスタの
製造方法について説明する。まず、所定量の硬化前の熱
硬化性樹脂、硬化剤等、低分子有機化合物およびスパイ
ク状の突起を有する導電性粒子を混合、分散して塗料状
とする。混合・分散は既知の方法によればよく、各種撹
拌機、分散機、ミル、塗料用ロール機等が用いられる。
混合中に気泡が混入した場合は真空脱泡を行う。粘度の
調製のために、芳香族炭化水素、ケトン類、アルコール
類等各種溶媒を用いてもよい。これをニッケルや銅等の
金属箔電極間に流し込む、または、スクリーン印刷等の
塗布によりシート状にしたものを熱硬化性樹脂の所定の
熱処理条件で硬化する。このとき、比較的低温で予備硬
化を行った後、高温にして本硬化を行う方法もある。ま
た、混合物のみをシート状に硬化したものに導電性ペー
スト等を塗布して電極としてもよい。得られたシート成
形体は所望の形状に打ち抜いてサーミスタ素子とする。
【0049】また、本発明の有機質サーミスタには、本
発明の特性を損なうものでなければ各種添加剤を混入し
てもよい。例えば、高分子マトリックス、低分子有機化
合物の熱劣化を防止するために酸化防止剤を混入するこ
ともでき、フェノール類、有機イオウ類、フォスファイ
ト類(有機リン系)などが用いられる。
【0050】また、良熱導電性添加物として、特開昭5
7−12061号公報に記載されている窒化ケイ素、シ
リカ、アルミナ、粘土(雲母、タルク等)、特公平7−
77161号公報に記載されているシリコン、炭化ケイ
素、窒化ケイ素、ベリリア、セレン、特開平5−217
711号公報に記載されている無機窒化物、酸化マグネ
シウム等を添加してもよい。
【0051】耐久性向上のために、特開平5−2261
12号公報に記載されている酸化チタン、酸化鉄、酸化
亜鉛、シリカ、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化クロ
ム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウ
ム、酸化鉛、特開平6−68963号公報に記載されて
いる高比誘電率の無機固体、具体的には、チタン酸バリ
ウム、チタン酸ストロンチウム、ニオブ酸カリウム等を
添加してもよい。
【0052】耐電圧改善のために、特開平4−7438
3号公報に記載されている炭化ホウ素等を添加してもよ
い。
【0053】強度改善のために、特開平5−74603
号公報に記載されている水和チタン酸アルカリ、特開平
8−17563号公報に記載されている酸化チタン、酸
化鉄、酸化亜鉛、シリカ等を添加してもよい。
【0054】結晶核剤として、特公昭59−10553
号公報に記載されているハロゲン化アルカリ、メラミン
樹脂、特開平6−76511号公報に記載されている安
息香酸、ジベンジリデンソルビトール、安息香酸金属
塩、特開平7−6864号公報に記載されているタル
ク、ゼオライト、ジベンジリデンソルビトール、特開平
7−263127号公報に記載されているソルビトール
誘導体(ゲル化剤)、アスファルト、さらには、リン酸
ビス(4−t−ブチルフェニル)ナトリウム等を添加し
てもよい。
【0055】ア−ク調節制御剤としては、特公平4−2
8744号公報に記載されているアルミナ、マグネシア
水和物、特開昭61−250058号公報に記載されて
いる金属水和物、炭化ケイ素等を添加してもよい。
【0056】金属害防止剤として、特開平7−6864
号公報に記載されているイルガノックスMD1024
(チバガイギー製)等を添加してもよい。
【0057】また、難燃剤として、特開昭61−239
581号公報に記載されている三酸化二アンチモン、水
酸化アルミニウム、特開平5−74603号公報に記載
されている水酸化マグネシウム、さらには、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロ
パン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のハロゲン
を含有する有機化合物(重合体を含む)、リン酸アンモ
ニウム等のリン系化合物等を添加してもよい。
【0058】これら以外にも、硫化亜鉛、塩基性炭酸マ
グネシウム、酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケ
イ酸マグネシウム、アルミノシリケート粘土(雲母、タ
ルク、カオリナイト、モンモリロナイト等)、ガラス
粉、ガラスフレーク、ガラス繊維、硫酸カルシウム等を
添加してもよい。
【0059】これらの添加剤は、高分子マトリックス、
低分子有機化合物および導電性粒子の合計重量の25重
量%以下であることが好ましい。
【0060】本発明の有機質正特性サーミスタは、非動
作時における初期抵抗が低く、その室温比抵抗値は10
-2〜100Ω・cm程度であり、動作時における抵抗の立
ち上がりが急峻であり、非動作時から動作時にかけての
抵抗変化率が6桁以上と大きい。
【0061】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに示
し、本発明を具体的に説明する。 <実施例1>熱硬化性高分子マトリックスとしてビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、
商品名エピコート801)、変性アミン系硬化剤(油化
シェルエポキシ社製、商品名エポメートB002)、低
分子有機化合物としてパラフィンワックス(日本精蝋社
製、商品名HNP−10、融点75℃)、導電性粒子と
してフィラメント状ニッケルパウダ(INCO社製、商
品名Type255ニッケルパウダ)を用いた。導電性
粒子の平均粒径は2.2〜2.8μm 、見かけの密度は
0.5〜0.65g/cm3、比表面積は0.68m2/gであ
る。
【0062】ビスフェノールA型エポキシ樹脂20g 、
変性アミン系硬化剤10g 、パラフィンワックス15g
(エポキシ樹脂と硬化剤の合計重量の0.5倍)、ニッ
ケルパウダ180g (有機成分の合計重量の4倍)、ト
ルエン20mlを遠心式分散機で約10分混合した。そし
て、得られた塗料状の混合物を厚さ30μm のNi箔の
電極の片面に塗布した後、もう一枚のNi箔電極で挟み
込み、真鍮板に挟んでスペーサーを用いて全体で厚さ1
mmとし、熱プレス機で加圧した状態で80℃で3時間加
熱硬化させた。この電極が熱圧着されたシート状硬化物
を直径1cmの円盤状に打ち抜き、有機質正特性サーミス
タ素子を得た。このサーミスタ素子の概略断面図を図1
に示す。図1に示されるように、サーミスタ素子はNi
箔から形成された電極11間に、低分子有機化合物と高
分子マトリックスと導電性粒子とを含むシート状硬化物
であるサーミスタ素体12を挟み込んだものである。
【0063】この素子を恒温槽内で室温(25℃)から
120℃まで2℃/minで加熱、冷却し、所定の温度
で、4端子法で抵抗値を測定して温度−抵抗曲線を得
た。この結果を図2に示す。
【0064】初期室温抵抗(25℃)は8.2×10-3
Ω(6.4×10-2Ω・cm)、ワックスの融点75℃付
近で抵抗値は急激に上昇し、抵抗変化率は10桁以上で
あった。抵抗が増加した後、さらに120℃まで加熱を
続けても、抵抗の減少(NTC現象)は見られなかっ
た。また、冷却時の温度−抵抗曲線は、加熱時のものと
大きく変化することなく、ヒステリシスは十分小さいも
のであった。
【0065】<実施例2>熱硬化性高分子マトリックス
として不飽和ポリエステル樹脂(日本触媒製、商品名G
−110AL)、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル
(化薬アクゾ製、商品名カドックスB−75W)、低分
子有機化合物としてベヘン酸(日本精化製、融点81
℃)、導電性粒子として実施例1と同じフィラメント状
ニッケルパウダ(INCO社製、商品名Type255
ニッケルパウダ)を用いた。
【0066】不飽和ポリエステル樹脂30g 、過酸化ベ
ンゾイル0.3g 、ベヘン酸15g、ニッケルパウダ1
80g 、トルエン20mlを遠心式分散機で約10分混合
した。そして、得られた塗料状の混合物を厚さ30μm
のNi箔の電極の片面に塗布した後、もう一枚のNi箔
電極で挟み込み、真鍮板に挟んでスペーサーを用いて全
体で厚さ1mmとし、熱プレス機で加圧した状態で80℃
で30分間加熱硬化させた。この電極が熱圧着されたシ
ート状硬化物を直径1cmの円盤状に打ち抜き、有機質正
特性サーミスタ素子を得た。そして、この素子の温度−
抵抗曲線を実施例1と同様にして得た。この結果を図3
に示す。
【0067】初期室温抵抗(25℃)は5.0×10-3
Ω(3.9×10-2Ω・cm)、ベヘン酸の融点81℃付
近で抵抗値は急激に上昇し、抵抗変化率は8桁以上であ
った。抵抗が増加した後、さらに120℃まで加熱を続
けても、抵抗の減少(NTC現象)はほとんど見られな
かった。また、冷却時の温度−抵抗曲線は、加熱時のも
のと大きく変化することなく、ヒステリシスは10℃程
度で十分小さいものであった。ヒステリシスは、温度−
抵抗曲線のグラフ上での動作前と動作後のカーブの接線
を引きその交点を動作温度とし、同様にして降温時の温
度−抵抗曲線から動作温度を求め、両者の動作温度の差
(絶対値)をヒステリシス度とした。
【0068】<実施例3>実施例1において、熱硬化性
高分子マトリックスとして、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、変性アミン系硬化剤の代わりに、ポリアミノビ
スマレイミドプレポリマー(チバガイギー製、商品名ケ
ルイミドB601)20g 、ジメチルホルムアミド10
g を用い、150℃で1時間、180℃で3時間硬化さ
せた他は、実施例1と同様にしてサーミスタ素子を作製
し、同様に評価を行ったところ、実施例1のサーミスタ
素子と同等の結果が得られた。
【0069】<実施例4>実施例1において、熱硬化性
高分子マトリックスとして、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、変性アミン系硬化剤の代わりに、ポリウレタン
(日本ポリウレタン工業製、商品名コロネート)30g
を用い、100℃で1時間硬化させた他は、実施例1と
同様にしてサーミスタ素子を作製し、同様に評価を行っ
たところ、実施例1のサーミスタ素子と同等の結果が得
られた。
【0070】<実施例5>実施例1において、熱硬化性
高分子マトリックスとして、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、変性アミン系硬化剤の代わりに、フェノール樹
脂(住友ベークライト製、商品名スミコンPM)30g
を用い、120℃で3時間硬化させた他は、実施例1と
同様にしてサーミスタ素子を作製し、同様に評価を行っ
たところ、実施例1のサーミスタ素子と同等の結果が得
られた。
【0071】<実施例6>実施例1において、熱硬化性
高分子マトリックスとして、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、変性アミン系硬化剤の代わりに、シリコーンゴ
ム(東芝シリコーン製、商品名TSE3221)30g
を用い、100℃で1時間硬化させた他は、実施例1と
同様にしてサーミスタ素子を作製し、同様に評価を行っ
たところ、実施例1のサーミスタ素子と同等の結果が得
られた。
【0072】<比較例1>パラフィンワックスを用い
ず、エポキシ樹脂と硬化剤の合計重量の4倍のニッケル
パウダを配合した他は、実施例1と同様にしてサーミス
タ素子を作製した。そして、この素子の温度−抵抗曲線
を実施例1と同様にして得た。この結果を図4に示す。
【0073】この素子の初期の室温抵抗(25℃)は
8.8×10-3Ω(6.9×10-2Ω・cm)で、80℃
前後から徐々に抵抗が増加し、明確な転移温度が得られ
なかった。また、180℃で抵抗値は13Ωで、抵抗変
化率は3.2桁と小さかった。
【0074】<比較例2>カーボンブラック(東海カー
ボン製、商品名トーカブラック#4500;平均粒径6
0nm、比表面積66m2/g)を導電性粒子に用い、エポキ
シ樹脂と硬化剤とパラフィンワックスとの合計重量の
0.3倍のカーボンブラックを配合した他は、実施例1
と同様にしてサーミスタ素子を作製し、同様に評価を行
った。
【0075】この素子の初期の室温抵抗(25℃)は
7.2Ω(56.5Ω・cm)で、ワックスの融点75℃
付近で抵抗値は上昇し、抵抗変化率は2.5桁であっ
た。
【0076】また、上記のカーボンブラックの配合量を
混合物に対し0.5重量倍に増加すると、室温抵抗を下
げることができたが、抵抗変化率はさらに減少した。こ
れにより、スパイク状の突起を持つ導電性粒子の効果は
明らかである。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、室温抵抗が十分低く、
動作時と非動作時の抵抗変化率が大きく、温度−抵抗曲
線のヒステリシスが小さく、抵抗増加後のNTC特性が
見られず、動作温度の調整が容易であり、しかも、特性
安定性が高い有機質正特性サーミスタを提供を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機質正特性サーミスタ素子の概略断面図であ
る。
【図2】実施例1のサーミスタ素子の温度−抵抗曲線で
ある。
【図3】実施例2のサーミスタ素子の温度−抵抗曲線で
ある。
【図4】比較例1のサーミスタ素子の温度−抵抗曲線で
ある。
【符号の説明】
11 電極 12 サーミスタ素体

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性高分子マトリックス、低分子有
    機化合物およびスパイク状の突起を有する導電性粒子を
    含む有機質正特性サーミスタ。
  2. 【請求項2】 前記低分子有機化合物の融点が40〜2
    00℃である請求項1の有機質正特性サーミスタ。
  3. 【請求項3】 前記低分子有機化合物の分子量が4,0
    00以下である請求項1または2の有機質正特性サーミ
    スタ。
  4. 【請求項4】 前記低分子有機化合物が石油系ワックス
    または脂肪酸である請求項1〜3のいずれかの有機質正
    特性サーミスタ。
  5. 【請求項5】 前記熱硬化性高分子マトリックスが、エ
    ポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポ
    リウレタン、フェノール樹脂またはシリコーン樹脂のい
    ずれかである請求項1〜4のいずれかの有機質正特性サ
    ーミスタ。
  6. 【請求項6】 前記低分子有機化合物の重量が、前記熱
    硬化性高分子マトリックスの重量の0.2〜2.5倍で
    ある請求項1〜5のいずれかの有機質正特性サーミス
    タ。
  7. 【請求項7】 前記スパイク状の突起を有する導電性粒
    子が鎖状に連なっている請求項1〜6のいずれかの有機
    質正特性サーミスタ。
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