JP2000221402A - レンズ光学系 - Google Patents

レンズ光学系

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JP2000221402A
JP2000221402A JP11025691A JP2569199A JP2000221402A JP 2000221402 A JP2000221402 A JP 2000221402A JP 11025691 A JP11025691 A JP 11025691A JP 2569199 A JP2569199 A JP 2569199A JP 2000221402 A JP2000221402 A JP 2000221402A
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lens
group
optical system
chromatic aberration
diffraction grating
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Shigeto Omori
滋人 大森
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Minolta Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回折格子を効果的に用いることにより収差的
な面からコンパクト化が達成されたレンズ光学系を提供
する。 【解決手段】 物体側より順に、正のパワーを有する第
1群(Gr1)と、負のパワーを有する第2群(Gr2)と、負の
パワーを有する第3群(Gr3)と、正のパワーを有する第
4群(Gr4)と、を備える。第1群(Gr1)と第2群(Gr2)と
の間隔,第3群(Gr3)と第4群(Gr4)との間隔等を変化さ
せることによりズーミングを行う。第1群(Gr1)が回折
格子(r3#)を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレンズ光学系に関す
るものであり、更に詳しくは回折格子を有するレンズを
用いたレンズ光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光学機器(例えば、デジタルカメラ,ビ
デオカメラ,銀塩カメラ)に用いられるレンズ光学系(例
えば、ズームレンズ等の撮像光学系,ファインダー光学
系等の観察光学系)をコンパクト化するには、回折格子
を用いることが収差補正上有効である。具体的には、光
学要素の表面や媒質境界面に形成された回折格子で回折
光学面が構成され、その回折作用によってレンズ作用を
実現する回折光学素子(すなわち回折レンズ)を用いれば
よい。回折レンズを有するズームレンズは、特開平10-1
48757号公報や特開平10-161022号公報で提案されてい
る。前者は正・負・正・正の4成分タイプのズームレン
ズであり、第2群又は第3群に回折レンズを有してい
る。一方、後者は負・正の2成分タイプのズームレンズ
であり、第2群に回折レンズを有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来例
とは異なるズームタイプに回折格子を効果的に用いるこ
とにより、収差的な面からコンパクト化が達成されたレ
ンズ光学系を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明のレンズ光学系は、物体側より順に、正
のパワーを有する第1群と、負のパワーを有する第2群
と、負のパワーを有する第3群と、正のパワーを有する
第4群と、を備え、前記第1群と前記第2群との間隔
と、前記第3群と前記第4群との間隔と、を変化させる
ことによりズーミングを行うレンズ光学系であって、前
記第1群が回折格子を有することを特徴とする。
【0005】第2の発明のレンズ光学系は、上記第1の
発明の構成において、前記回折格子について以下の条件
式を満たすことを特徴とする。 0.004<φDOE/φgr1<0.02 ただし、 φDOE:回折格子によるレンズパワー、 φgr1:第1群のパワー、 である。
【0006】第3の発明のレンズ光学系は、上記第1又
は第2の発明の構成において、前記回折格子について以
下の条件式を満たすことを特徴とする。 0.5<tT/fT<2.0 ただし、 tT:望遠端での回折格子と絞りとの空気換算軸上面間
隔、 fT:望遠端でのズーム全系の焦点距離、 である。
【0007】第4の発明のレンズ光学系は、上記第1又
は第2の発明の構成において、以下の条件式を満たすこ
とを特徴とする。 |Y'max/PZ|<0.4 ただし、 Y'max:最大像高、 PZ:像面から射出瞳位置までの距離、 である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施したレンズ光
学系を、図面を参照しつつ説明する。図1は本実施の形
態のズームレンズを示すレンズ構成図であり、その広角
端[W],ミドル(中間焦点距離状態)[M]及び望遠端[T]
でのレンズ配置を示している。レンズ構成図中、di(i=
1,2,3,...)が付された空気間隔は、物体側から数えてi
番目の軸上面間隔のうち、ズーミングにおいて変化する
可変間隔を示している。またレンズ構成図中、ri(i=1,
2,3,...)が付された面は物体側から数えてi番目の面{た
だし最終面は像面(I)}であり、riに*印が付された面は
非球面、riに#印が付された面は回折格子が形成された
回折レンズ面である。
【0009】本実施の形態は、物体側より順に、正のパ
ワーを有する第1群(Gr1)と、負のパワーを有する第2
群(Gr2)と、負のパワーを有する第3群(Gr3)と、正のパ
ワーを有する第4群(Gr4)と、を備えた4成分タイプの
ズームレンズであり、第1群(Gr1)と第2群(Gr2)との間
隔,第3群(Gr3)と第4群(Gr4)との間隔等を変化させる
ことによりズーミングを行う構成になっている。第3群
(Gr3)と第4群(Gr4)との間には第4群(Gr4)と共にズー
ミング時位置固定の絞り(S)が配置されており、最も像
面(I)側にはローパスフィルター(LPF)が配置されてい
る。
【0010】実施の形態(図1)において、各群は物体側
から順に以下のように構成されている。第1群(Gr1)
は、物体側に凸の負メニスカスレンズと、2枚の物体側
に凸の正メニスカスレンズと、で構成されており、第3
面(r3)に回折格子を有している。このズームタイプのレ
ンズ光学系をコンパクト化するためには、第1群(Gr1)
に回折格子を用いることが収差補正上有効であり、これ
については後で詳しく説明する。第2群(Gr2)は、像側
に凹の負メニスカスレンズと、両凹の負レンズと物体側
に凸の正メニスカスレンズとから成る接合レンズと、で
構成されている。第3群(Gr3)は、物体側に凹の負メニ
スカスレンズで構成されている。第4群(Gr4)は、両凸
の正レンズと、像側に凹の負メニスカスレンズと両凸の
正レンズとから成る接合レンズと、像側に凹の負メニス
カスレンズと、で構成されている。
【0011】次に、本実施の形態のように第1群(Gr1)
に回折格子を有する、正・負・負・正の4成分を備えた
ズームタイプのレンズ光学系が満足することの望ましい
条件式を説明する。なお、以下に示す全ての条件式を同
時に満たす必要はなく、個々の条件式をそれぞれ単独に
満足すれば対応する作用・効果を達成することが可能で
ある。もちろん、複数の条件式を満足する方が、光学性
能,コンパクト化等の観点からより望ましいことはいう
までもない。
【0012】前記回折格子について以下の条件式(1)を
満たすことが望ましい。 0.004<φDOE/φgr1<0.02 …(1) ただし、 φDOE:回折格子によるレンズパワー、 φgr1:第1群(Gr1)のパワー、 である。
【0013】条件式(1)は、第1群(Gr1)のパワーφgr1
(φDOEを含む。)に対する回折格子によるレンズパワー
φDOEの比の望ましい条件範囲を規定している。この条
件式(1)を満たすことにより、コンパクトなレンズ光学
系を達成することができる。条件式(1)の下限を下回っ
た場合、回折レンズの色収差補正効果が得られなくなる
ため、レンズ光学系の大きさが大きくなる。条件式(1)
の上限を上回った場合、回折レンズの非点収差が増大す
るため、それを補正するためにレンズ光学系の大きさが
大きくなる。
【0014】前記回折格子について以下の条件式(2)を
満たすことが望ましい。この条件式(2)を満たすことに
より、色収差の良好なレンズ光学系を達成することがで
きる。条件式(2)の下限を下回った場合、望遠端[T]で
の倍率色収差補正が不十分となる。条件式(2)の上限を
上回った場合、レンズ光学系の大きさが大きくなる。 0.5<tT/fT<2.0 …(2) ただし、 tT:望遠端[T]での回折格子と絞り(S)との空気換算軸
上面間隔、 fT:望遠端[T]でのズーム全系の焦点距離、 である。
【0015】以下の条件式(3)を満たすことが望まし
い。この条件式(3)を満たすことにより、撮像素子を用
いた場合に画面周辺の照度低下が良好な範囲となる。 |Y'max/PZ|<0.4 …(3) ただし、 Y'max:最大像高、 PZ:像面(I)から射出瞳位置までの距離、 である。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施したレンズ光学系の構成
等を、コンストラクションデータ,収差図等を挙げて、
更に具体的に説明する。なお、以下に挙げる実施例は、
前述した実施の形態に対応しており、実施の形態を表す
レンズ構成図(図1)は、対応する実施例のレンズ構成を
示している。また、実施例に対する比較例(回折格子を
有しない。)を併せて示すとともに、そのレンズ構成を
図3に示す。
【0017】実施例及び比較例のコンストラクションデ
ータにおいて、ri(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番
目の面の曲率半径、di(i=1,2,3,...)は物体側から数え
てi番目の軸上面間隔を示しており、Ni(i=1,2,3,...),
νi(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の光学要素
のd線に対する屈折率(nd),アッベ数(νd)を示してい
る。また、コンストラクションデータ中、ズーミングに
おいて変化する軸上面間隔(可変間隔)は、広角端(短焦
点距離端)[W]〜ミドル(中間焦点距離状態)[M]〜望遠
端(長焦点距離端)[T]での各群間の軸上空気間隔であ
る。各焦点距離状態[W],[M],[T]に対応する全系の焦
点距離f,半画角ω(°)及びFナンバーFNO、並びに条件
式対応値を併せて示す。
【0018】曲率半径riに*印が付された面は、非球面
で構成された面であることを示し、非球面の面形状を表
わす以下の式(AS)で定義されるものとする。また、曲率
半径riに#印が付された面は、回折格子が形成された回
折レンズ面であることを示し、回折レンズ面のピッチの
位相形状を表す以下の式(DS)で定義されるものとする。
各非球面の非球面データ及び各回折レンズ面の回折面デ
ータを他のデータと併せて示す。
【0019】 Z(H)=(C0・H2)/{1+√(1-C02・H2)}+(A・H4+B・H6+C・H8+D・H10) …(AS) ただし、式(AS)中、 Z(H) :高さHの位置での光軸方向の変位量(面頂点基
準)、 H :光軸からの高さ(光軸垂直方向高さ)、 C0 :近軸曲率、 A,B,C,D:非球面係数、 である。
【0020】 Φ(H)=(2π/λ0)・(C1・H2+C2・H4+C3・H6) …(DS) ただし、式(DS)中、 Φ(H) :位相関数、 H :光軸からの高さ(光軸垂直方向高さ)、 λ0 :設計波長、 C1,C2,C3:位相係数、 である。
【0021】 《実施例》 f= 5.1〜16.0〜29.4 ω=31.2〜11.0〜 6.0(°) FNO= 4.1〜 4.1〜 4.1 [曲率半径] [軸上面間隔][屈折率] [アッベ数] r1= 65.90 d1= 0.19 N1= 1.805 ν1= 25.5 r2= 30.99 d2= 0.08 r3#= 31.42 d3= 4.61 N2= 1.603 ν2= 60.7 r4= 2132.74 d4= 0.10 r5= 29.89 d5= 2.81 N3= 1.713 ν3= 53.9 r6= 138.01 d6= 0.2〜16.7〜22.3 r7= 79.35 d7= 0.19 N4= 1.772 ν4= 49.6 r8= 10.37 d8= 3.49 r9= -61.35 d9= 0.19 N5= 1.772 ν5= 49.6 r10= 12.36 d10= 2.20 N6= 1.847 ν6= 23.9 r11= 159.73 d11=20.5〜3.2〜0.2 r12= -7.99 d12= 2.42 N7= 1.546 ν7= 64.9 r13= -25.35 d13= 1.9〜2.7〜0.1 r14= ∞(S) d14= 2.00 r15*= 10.05 d15= 3.92 N8= 1.603 ν8= 60.7 r16*=-17.18 d16= 2.12 r17= 49.13 d17= 0.19 N9= 1.847 ν9= 23.9 r18= 10.41 d18= 1.07 N10=1.516 ν10=64.1 r19= -10.43 d19= 0.20 r20= 15.77 d20= 4.63 N11=1.541 ν11=47.2 r21= 7.28 d21= 1.40 r22= ∞ d22= 3.40 N12=1.517 ν12=64.1 r23= ∞ d23= 4.15 r24= ∞(I)
【0022】 [第15面(r15)の非球面データ] A= 3.69×10-5,B=-8.06×10-6,C= 3.73×10-6,D=-3.23×10-7 [第16面(r16)の非球面データ] A= 5.22×10-4,B= 8.89×10-6,C=-1.80×10-7,D=-2.21×10-9
【0023】 [第3面(r3)の回折面データ] C1=-1.04×10-4,C2=7.13×10-8
【0024】 [条件式対応値] 条件式(1):φDOE/φgr3=0.0087 条件式(2):tT/fT=1.15 条件式(3)(広角端[W]時,望遠端[T]時共):|Y'max/PZ|=0.17
【0025】 《比較例》 f= 5.1〜16.0〜29.4 ω=31.2〜11.0〜 6.0(°) FNO= 4.1〜 4.1〜 4.1 [曲率半径] [軸上面間隔][屈折率] [アッベ数] r1= 67.09 d1= 0.18 N1= 1.805 ν1= 25.5 r2= 31.58 d2= 0.10 r3= 31.82 d3= 5.13 N2= 1.603 ν2= 60.7 r4= 641.33 d4= 0.10 r5= 33.34 d5= 2.83 N3= 1.713 ν3= 53.9 r6= 141.04 d6= 0.2〜19.3〜25.8 r7= 70.86 d7= 0.18 N4= 1.772 ν4= 49.6 r8= 11.43 d8= 3.83 r9= -172.01 d9= 0.18 N5= 1.772 ν5= 49.6 r10= 13.13 d10= 2.42 N6= 1.847 ν6= 23.9 r11= 80.41 d11=23.3〜3.1〜0.2 r12= -8.74 d12= 1.53 N7= 1.487 ν7= 70.4 r13= -23.90 d13= 2.6〜3.7〜0.1 r14= ∞(S) d14= 3.60 r15*= 10.18 d15= 5.95 N8= 1.603 ν8= 60.7 r16*=-22.87 d16= 2.20 r17= 34.91 d17= 0.26 N9= 1.847 ν9= 23.9 r18= 9.07 d18= 1.16 N10=1.516 ν10=64.1 r19= -19.23 d19= 1.05 r20= 10.65 d20= 6.28 N11=1.541 ν11=47.2 r21= 6.81 d21= 1.57 r22= ∞ d22= 3.40 N12=1.517 ν12=64.1 r23= ∞ d23= 1.39 r24= ∞(I)
【0026】 [第15面(r15)の非球面データ] A= 7.51×10-5,B=-1.09×10-6,C= 1.05×10-6,D=-7.38×10-8 [第16面(r16)の非球面データ] A= 2.72×10-4,B= 4.78×10-6,C= 3.08×10-8,D=-5.70×10-9
【0027】上記比較例は正・負・負・正の4成分ズー
ムレンズであり、第1群(Gr1)が負レンズと正レンズと
正レンズとの3枚、第2群(Gr2)が負レンズと負レンズ
と正レンズとの3枚、第3群(Gr3)が負レンズ1枚、第
4群(Gr4)が正レンズと負レンズと正レンズと負レンズ
との4枚、で構成されている。表1に、比較例の広角端
[W],望遠端[T]における、光学系全体の色収差係数と
各群(Gr1〜Gr4)の色収差係数を示す(ただし、LC:軸
上色収差係数,TC:倍率色収差係数である。)。比較
例の光学系全体での色収差係数値から、広角端[W]での
軸上色収差係数LCと倍率色収差係数TCがやや正に大
きいこと、望遠端[T]での倍率色収差係数TCが負に大
きいことが分かる。この比較例の第1群(Gr1),第2群
(Gr2),第3群(Gr3)又は第4群(Gr4)に回折レンズを用
いたときの色収差補正効果を以下に検討する。
【0028】
【表1】
【0029】上記比較例の第1群(Gr1)に回折レンズを
配置したと仮定する。この場合のレンズ構成は前記実施
例に相当する。表2に、実施例の広角端[W],望遠端
[T]における、光学系全体の色収差係数と各群(Gr1〜Gr
4)の色収差係数を、表1と同様に示す。ただし、第1群
(Gr1)で発生する色収差係数については、第1群(Gr1)全
体での色収差係数と回折レンズが発生する色収差係数と
に分けて示す。
【0030】
【表2】
【0031】第1群(Gr1)は絞り(S)から離れて前に位置
するため、倍率色収差係数TCが大きくなる。比較例の
倍率色収差係数TCは、広角端[W]から望遠端[T]にか
けて正から負へと変化するため、第1群(Gr1)の回折レ
ンズが発生する倍率色収差係数TCにより、全体の倍率
色収差係数TCを広角端[W]から望遠端[T]にわたって
小さくすることはできない。しかし、比較例では望遠端
[T]での倍率色収差係数TCの悪化度合いの方が大きい
ため、実施例では第1群(Gr1)の回折レンズが正の倍率
色収差係数TCを発生して、望遠端[T]での倍率色収差
係数TCの改善を行っている。したがって、第1群(Gr
1)に回折レンズを有することで、やや効果的な補正が可
能となる。
【0032】上記比較例の第2群(Gr2)に回折レンズを
配置したと仮定する。第2群(Gr2)は広角端[W]では絞
り(S)から離れて前に位置し、望遠端[T]では絞り(S)直
前に位置するため、広角端[W]では倍率色収差係数TC
が大きくなり、望遠端[T]では軸上色収差係数LCが大
きくなる。したがって、第2群(Gr2)に回折レンズを有
することは、比較例の広角端[W]での倍率色収差係数T
Cの補正に有効であると予測される。ただし、比較例は
広角端[W]での倍率色収差が望遠端[T]での倍率色収差
ほど悪くないため、広角端[W]での倍率色収差改善によ
る光学系全体に及ぼす影響度合いは、望遠端[T]での倍
率色収差を改善する場合ほど大きくない。
【0033】上記比較例の第3群(Gr3)に回折レンズを
配置したと仮定する。第3群(Gr3)は広角端[W]では絞
り(S)からやや離れて前に位置し、望遠端[T]では絞り
(S)直前に位置するため、広角端[W]では倍率色収差係
数TCが大きくなり、望遠端[T]では軸上色収差係数L
Cが大きくなる。しかし、広角端[W]での絞りからの離
れ具合は第2群(Gr2)に劣るため、広角端[W]での倍率
色収差係数TCの補正も第2群(Gr2)に比べてやや劣る
ことになる。したがって、第3群(Gr3)に回折レンズを
有するときの効果度合いは、第2群(Gr2)に比べてやや
劣ることになる。
【0034】上記比較例の第4群(Gr4)に回折レンズを
配置したと仮定する。第4群(Gr4)は絞り(S)からやや離
れて後ろに位置するため、軸上色収差係数LCと倍率色
収差係数TCが大きくなる。広角端[W]での軸上色収差
を補正するために負の軸上色収差係数LCを発生する回
折レンズを第4群(Gr4)に用いた場合、その回折レンズ
によって同時に負の倍率色収差係数TCも発生する。こ
のため、望遠端[T]での光学系全体の倍率色収差係数T
Cが負に大きくなる。したがって、第4群(Gr4)に回折
レンズを有することは適当でない。以上の検討結果か
ら、回折レンズは第1群(Gr1)に配置されるのが適当で
あり、回折レンズによる色収差補正効果は第1群(Gr1)
で最も大きくなることが分かる。
【0035】次に、回折レンズを用いたときの非点収差
とペッツバールの効果を以下に検討する。図5(a)〜
(c)に示す3種類の薄肉レンズの光学系: (a)正・負の接合レンズ,(b)接合面が回折レンズ面
(破線部)から成る正・負の接合レンズ,(c)回折レンズ
面(破線部)を有する正の単レンズ,をモデルとして考え
る。モデル(a)では正・負の接合で色収差補正が行わ
れ、モデル(b)では正・負の接合と回折レンズ面で色収
差補正が行われ、モデル(c)では回折レンズ面のみで色
収差補正が行われる。回折レンズによる色収差補正度合
いには(a)<(b)<(c)の関係があるため、回折レンズ
のレンズパワーにも(a)<(b)<(c)の関係が生じる。
したがって、回折レンズによる色収差補正度合いの最も
大きいモデル(c)の回折レンズのレンズパワーが最も大
きくなる。
【0036】前記比較例の第1群(Gr1)は正レンズと負
レンズで構成されており、正レンズの硝種は相対的に低
屈折率・低分散、負レンズの硝種は相対的に高屈折率・
高分散である。そこで、モデル(a),(b)の接合レンズ
も、正レンズの硝種を相対的に低屈折率・低分散とし、
負レンズの硝種を相対的に高屈折率・高分散とする。表
3に、各硝種データ(ただし、nd:d線に対する屈折
率,νd:アッベ数である。)を示す。
【0037】
【表3】
【0038】表4に、各モデル(a)〜(c)の光学系全体
の収差係数を示す(ただし、PT:ペッツバール係数,
AS:非点収差係数である)。比較例において第1群(Gr
1)は絞り(S)より前に位置するため、各モデル(a)〜
(c)も同様に絞り(S)より前に位置すると仮定して、収
差係数の計算を行った。また、各モデル(a)〜(c)の収
差係数算出に当たっては、光学系全体の球面収差係数が
最小となるベンディングを与えた。表4から、ペッツバ
ール係数PTは回折レンズのレンズパワーが大きくなる
ほど小さくなることが分かる。また、非点収差係数AS
は回折レンズのレンズパワーが小さく又は大きくなるほ
ど大きくなり、所定のレンズパワーのとき最小となるこ
とが分かる。
【0039】
【表4】
【0040】表5に、比較例と実施例{第1群(Gr1)に回
折レンズを有する光学系}のペッツバール係数PTと非
点収差係数ASを示す。2つの光学系は、同等のレンズ
性能が得られる大きさで設計した。表5から分かるよう
に、比較例はペッツバール係数PTがやや正に大きく、
望遠端[T]で非点収差係数ASがやや正に大きい。回折
レンズの効果により第1群(Gr1)のペッツバール係数P
Tと非点収差係数ASが小さくなることで収差上に余裕
が発生し、その結果、大きさの小さいズームタイプが得
られたと考えられる。
【0041】
【表5】
【0042】以上の検討結果から、回折レンズを用いる
場合、色収差補正効果とペッツバール及び非点収差の影
響とのバランスにより、コンパクト化度合いが決まるこ
とが分かる。そして、本実施例のように正・負・負・正
の4成分を備えたズームタイプの第1群(Gr1)に回折レ
ンズを用いれば、色収差補正効果によりコンパクトな光
学系を得ることができる。
【0043】図2は実施例の収差図、図4は比較例の収
差図であり、それぞれ広角端[W],ミドル[M],望遠端
[T]での諸収差を示している。各焦点距離状態での収差
図は、左から順に、[A]球面収差,[B]非点収差,[C]
歪曲収差を表している。球面収差図[A]において、縦軸
は入射瞳への入射高さHをその最大高さH0(=1)で規格化
した値(すなわち入射瞳平面を切る相対高さ)H/H0であ
り、横軸は近軸結像位置からの光軸方向のズレ量(mm)で
ある。破線はC線(波長:λC=656.3nm)に対する球面収差
量、実線はd線(波長:λd=587.6nm)に対する球面収差
量、一点鎖線はg線(波長:λg=435.8nm)に対する球面収
差量を表している。非点収差図[B]において、縦軸は像
高Y'(mm)であり、横軸は近軸結像位置からの光軸方向の
ズレ量(mm)である。また、実線Xはサジタル面での非点
収差を表しており、実線Yはメリディオナル面での非点
収差を表している。歪曲収差図[C]において、縦軸は像
高Y'(mm)であり、横軸は歪曲収差量(%)である。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、回
折格子が効果的に用いられるため、収差的な面からレン
ズ光学系のコンパクト化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態(実施例)のレンズ構成図。
【図2】実施例の収差図。
【図3】比較例のレンズ構成図。
【図4】比較例の収差図。
【図5】回折レンズを用いた場合の非点収差とペッツバ
ールの効果を説明するための図。
【符号の説明】
Gr1 …第1群 Gr2 …第2群 Gr3 …第3群 Gr4 …第4群 S …絞り LPF …ローパスフィルター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H087 KA02 KA03 NA14 PA09 PA19 PB11 QA02 QA06 QA17 QA21 QA25 QA37 QA41 QA46 RA12 RA13 RA32 RA43 RA46 SA23 SA27 SA30 SA32 SA63 SA64 SA72 SA75 SB04 SB14 SB22 SB35

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体側より順に、正のパワーを有する第
    1群と、負のパワーを有する第2群と、負のパワーを有
    する第3群と、正のパワーを有する第4群と、を備え、
    前記第1群と前記第2群との間隔と、前記第3群と前記
    第4群との間隔と、を変化させることによりズーミング
    を行うレンズ光学系であって、前記第1群が回折格子を
    有することを特徴とするレンズ光学系。
  2. 【請求項2】 前記回折格子について以下の条件式を満
    たすことを特徴とする請求項1記載のレンズ光学系; 0.004<φDOE/φgr1<0.02 ただし、 φDOE:回折格子によるレンズパワー、 φgr1:第1群のパワー、 である。
  3. 【請求項3】 前記回折格子について以下の条件式を満
    たすことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のレン
    ズ光学系; 0.5<tT/fT<2.0 ただし、 tT:望遠端での回折格子と絞りとの空気換算軸上面間
    隔、 fT:望遠端でのズーム全系の焦点距離、 である。
  4. 【請求項4】 以下の条件式を満たすことを特徴とする
    請求項1又は請求項2記載のレンズ光学系; |Y'max/PZ|<0.4 ただし、 Y'max:最大像高、 PZ:像面から射出瞳位置までの距離、 である。
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