JP2000205758A - 誘導溶解炉及び誘導溶解方法 - Google Patents

誘導溶解炉及び誘導溶解方法

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JP2000205758A JP11007258A JP725899A JP2000205758A JP 2000205758 A JP2000205758 A JP 2000205758A JP 11007258 A JP11007258 A JP 11007258A JP 725899 A JP725899 A JP 725899A JP 2000205758 A JP2000205758 A JP 2000205758A
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melted
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induction melting
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶解時における溶解効率を低下させず、溶湯
中の流動パターンを改善して脱ガス効率を改良すること
により、溶解性能を向上させた誘導溶解炉を提供する。 【解決手段】 複数の誘導コイル16A、16Bと、こ
の誘導コイル16A、16Bに交流電流を通電する交流
電源12、14と、被溶解金属を収容する坩堝18とを
備え、誘導電流Jeにより発生する熱で被溶解金属を溶
解し、溶解した被溶解金属から脱ガスを行うようにした
誘導溶解炉10において、交流電源として、被溶解金属
の溶解時に使用する高周波電源14と、被溶解金属の脱
ガス時に使用する低周波電源12を用いる構成とした。
この場合、低周波電源12は、2相又は3相であり、か
つ、50Hz又は60Hzの交流電源であるようにする
と、工場等や製鉄所においては、通常の商用電力が使用
でき、別途特別に低周波電源を用いる必要がなくなるの
で、誘導溶解炉10の構造が簡単になり、製造コストを
低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コイルに高周波電
流を通電させて被溶解金属に誘導電流を発生させ、ジュ
ール熱により炉内の金属を溶解するようにした誘導溶解
炉の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の誘導溶解炉には、通常の誘導溶解
炉と、この通常の誘導溶解炉を改良したU.D.S(UN
I-DIRECTIONAL-STIRRING)システムによる誘導溶解炉
(以下、「U.D.S.システム誘導溶解炉」とい
う。)が実用に供されている。この通常の誘導溶解炉と
U.D.S.システム誘導溶解炉について、以下、順次
説明を行う。
【0003】先ず、通常の誘導溶解炉について、図4及
び図5を用いて説明する。図4は、通常の誘導溶解炉5
0の概略構成を示す概念図、図5は、誘導溶解炉50の
温度及び供給電力と、経過時間との関係を示す特性図で
ある。図4に示すように、通常の誘導溶解炉50の主要
構成は、高周波電源52、高周波電源52により高周波
電流が通電される単一のコイル54、被溶融金属を収容
しておく坩堝56である。なお、図4において、Yは溶
解された金属の溶湯、Sは、溶湯Yを高周波電源52で
加熱する加熱回路58のスイッチである。また、同図で
は垂直方向をZ軸、半径方向をR軸とする円柱座標を用
いているが、以降の説明で用いる座標系は、同様に総て
円柱座標とする。
【0004】以上の構成で、通常の誘導溶解炉50の基
本動作を図4を用い、図5を参照して説明する。コイル
54に、高周波電源52により単相の高周波電流を流す
と、坩堝56中の被溶解金属に誘導電流が発生し、この
ジュール熱により被溶解金属が溶解し、溶湯Yとなる。
総ての被溶解金属を溶解した後は、溶湯Yから発生する
ガスを脱ガスするための脱ガスモードに切り替わる。な
お、この際、コイル54に通電するための高周波電源と
しては、被溶解金属の溶解効率を上げるために、通常は
500Hz以上の周波数のものが用いられる。
【0005】また、図5に示すように、時間0→t1の
被溶融金属の溶解モードでは、大電力をコイル54に供
給するので、誘導溶解炉50の溶解温度は、経過時間に
ほぼ比例して上昇する。一方、被溶解金属の溶融が終了
する時間t1以降の時間t1→t2の脱ガスモードで
は、溶解温度を一定に保つために電力を制御して溶解温
度を調節し、被溶解金属から発生するガスの脱ガスを行
う。なお、脱ガスモードにおいては、溶湯Yの余分な温
度上昇は、冶金的な見地及び炉材に与える悪影響の点か
ら好ましくないので、スイッチSをオンオフすることに
よりスポット的に電力を供給し、溶湯Yの温度をほぼ一
定に保つようにしている。
【0006】ところで、溶湯Yに発生する誘導電流をJ
eとし、溶湯Y中に発生する磁界をBとすると、溶湯Y
には、誘導電流Jeと磁界Bによるローレンツ力F=J
e×Bが働く。このローレンツ力Fは、図4に矢印で示
すように、誘導溶解炉50の中心軸方向に向かう力であ
り、その大きさは、コイル54の両端で最小値、コイル
54の中間位置で最大値となる山形の分布となる。その
ために、溶湯Yの流動パターンは、図4の破線矢印で示
すように、コイル54の中間位置において、坩堝56の
周縁部から坩堝56の中心軸に向かう流れが発生し、坩
堝56の中心軸では溶湯Yの流れは坩堝56の上部に向
かうものと、坩堝56の下部に向かうものと2つの方向
に分流する。
【0007】一方、通常の誘導溶解炉50では、溶解の
際に発生するガスの脱ガスは、溶湯Yの上面でのみ行わ
れるために、溶湯Yの流れが坩堝56の中心軸(Z軸)
近辺でこのように2方向に分かれると溶湯Yの撹拌効率
が悪く、下層部の被溶融金属が坩堝56の上面に出るに
は長時間を要し、その結果、誘導溶解炉50の溶解性能
を阻害しているという問題があった。
【0008】この通常の誘導溶解炉の有する問題を解決
するために開発されたU.D.S.システム誘導溶解炉
について、図6を用い、図5を参照して説明する。図6
は、U.D.S.システム誘導溶解炉60の概略構成を
示す側面図である。
【0009】図6に示すように、U.D.S.システム
誘導溶解炉60の主要構成は、高周波電源62、高周波
電源62により高周波電流が通電される2つのコイル6
4A、64B、被溶融金属を収容しておく坩堝66であ
る。なお、図6において、Yは溶解された金属の溶湯、
S3、S4は、溶湯Yを高周波電源62で加熱する加熱
回路68のスイッチである。なお、図6に示すように、
U.D.S.システム誘導溶解炉60の特徴は、上述し
た通常の誘導溶解炉50とは異なりコイルを複数(図示
のものでは2つ)に分割している点である。
【0010】以上の構成で、U.D.S.システム誘導
溶解炉60の基本動作を図6を用い、図5を参照して説
明する。先ず、図5に示す溶解モード区間(区間:0→
t1)では、U.D.S.システム誘導溶解炉60によ
り被溶解金属を溶解する場合は、図6に示すスイッチS
3を閉じ、スイッチS4を開いたままとすることによ
り、コイル64Aとコイル64Bを直列に接続し、上述
した通常の誘導溶解炉50と同様に、高周波電源62に
より単相の高周波電流を流し、2分割したコイル64
A、64Bを中心に磁場を誘導し、坩堝66中の被溶解
金属に誘導電流を発生させて、このジュール熱により被
溶解金属が溶解し、溶湯Yとする。
【0011】次に、図5に示す脱ガスモード区間(区
間:t1→t2)では、スイッチS3を閉じたままスイ
ッチS4を閉じ、コイル64Bを短絡する。すると、コ
イル64Bでは、コイル64Aの作る磁界により電圧が
誘起され、コイル64Aに流れる交流電流よりもほぼπ
/2の位相遅れの交流電流が流れる。このように、コイ
ル64Bには、コイル64Aよりもπ/2だけ位相が遅
れた電流が発生するために、溶湯Y中には進行磁界が生
じ、図6に示すように溶湯Yに上向き又は下向きのロー
レンツ力を発生させる。
【0012】このようにして、溶湯Yには、図6の破線
に示すように、溶湯Yの周縁部では概ね上方に進行し、
坩堝66の中心軸(Z軸)近辺では下向きに進行する流
動パターンが生じる。これにより、坩堝66底部近辺の
溶解金属も溶湯Yの上面に出やすく撹拌効率が良くな
り、脱ガス機能が高まることにより、溶解炉の溶解機能
が著しく向上する。即ち、U.D.S.システム誘導溶
解炉60は、単一電源で、複数コイル64A、64Bに
所定の位相差の交流電流を流して進行磁界を生成し、一
方向流動パターンを作ることを特徴としている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、通常の誘導
溶解炉、及び、U.D.S.システム誘導溶解炉の脱ガ
スモードにおいて、磁界解析シミュレーションを行った
結果の磁束分布とローレンツ力分布を図7乃至図9に示
す。なお、この解析は、高周波電流の位相速度をω、時
間をtとした場合、ωt=0、電流値を一定、周波数を
500Hzとした条件で行っている。
【0014】図7は、上記条件における通常の誘導溶解
炉50の磁束FXの分布とローレンツ力Fの分布の解析
結果を示す側面図である。図8乃び図9は、同様に、
U.D.S.システム誘導溶解炉60、60′の磁束F
Xの分布とローレンツ力Fの分布の解析結果の右半分を
示す側面図で、図8はコイルを2分割とし、夫々コイル
64A、コイル64Bとした場合のU.D.S.システ
ム誘導溶解炉60、図9はコイルを4分割とし、夫々コ
イル64A、コイル64B、コイル64C、コイル64
Dとした場合のU.D.S.システム誘導溶解炉60′
である。なお、図7乃至図9において、70は誘導磁場
の強度を増大すると共に、外部への磁束FXの漏洩を防
止するために取り付けた背面鉄心である。
【0015】図7に示すように、通常の誘導溶解炉50
では、ローレンツ力Fはコイル54の中間部で高くなる
山形の分布となっており、これは上述したように、図4
に示す、2方向の流動パターンの原動力となっている。
従って、磁界解析シミュレーションにより、通常の誘導
溶解炉50における流動パターンが裏付けられている。
【0016】一方、図8、図9に示すように、U.D.
S.システム誘導溶解炉60、60′では、2分割コイ
ル64A、64B、4分割コイル64A〜64Dの場合
双方で、従来より説明されていたものとは異なり、上
(下)方向のローレンツ力Fは、その成分が半径R方向
が大半を占め、Z軸方向にはほとんど働いていないこと
が分かる。即ち、高周波(500Hz)の単一電源を用
い、コイルを複数分割することにより上下方向の力を発
生させて一定方向の流動パターンを作るという従来から
の説明には誤りがあることが、この磁界解析シミュレー
ション結果から分かる。
【0017】以下、従来のU.D.S.システム誘導溶
解炉で説明されていた上下方向にローレンツ力が発生す
るということが誤りであることを図10を用いて説明す
る。図10は、U.D.S.システム誘導溶解炉60の
右半分のみを示した側面図である。図10に示すよう
に、コイル64A、64Bに流す電流の周波数が大きい
と、磁束Fは溶湯Yに発生する誘導電流Jeによるダン
ピング効果のために、溶湯Yの内部深くにはほとんど発
生せず、溶湯Y表面に沿って多数分布する。なお、同図
においてIはコイル64A、64Bに流す位相差をπ/
2としたときの交流電流であり、電流の向きはある時点
での瞬間的な方向を示している。
【0018】ここで、磁界浸透深さをδとすると、δは
次の(1)式で与えられる。 なお、ρは溶湯Yの抵抗率、μは溶湯Yの透磁率、fは
高周波電流の周波数である。式(1)に示すように、磁
界浸透深さδは、周波数fの1/2乗に反比例すること
が分かる。即ち、溶湯Yに発生するローレンツ力Fは、
溶湯Yの中心軸方向に向かう分布となり、従来のU.
D.S.システム誘導溶解炉60で説明されていたよう
に、溶湯Yの上下方向のローレンツ力Fは発生しないの
が示される。従って、従来のU.D.S.システム誘導
溶解炉60も、脱ガスモードにおいて、脱ガス効率の改
善が不十分であるという問題を含んでいる。
【0019】本発明は、上記課題(問題点)を解決し、
溶解時における溶解効率を低下させず、溶湯中の流動パ
ターンを改善して脱ガス効率を改良することにより、溶
解性能を向上させた誘導溶解炉を提供することを目的と
する。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の誘導溶解炉は、
上記課題を解決するために、請求項1に記載のもので
は、複数の誘導コイルと、この誘導コイルに交流電流を
通電する交流電源と、被溶解金属を収容する坩堝とを備
え、誘導電流により発生する熱で被溶解金属を溶解し、
溶解した被溶解金属から脱ガスを行うようにした誘導溶
解炉において、前記交流電源として、前記被溶解金属の
溶解時に使用する高周波電源と、被溶解金属の脱ガス時
に使用する低周波電源とを用いる構成とした。このよう
に構成すると、溶解時には高周波電源を用いることによ
り溶解効率の低下を防止でき、また、脱ガス時では低周
波電源を用いることにより溶湯中の流動パターンが改善
されて脱ガス効率が改良され、溶解性能を向上させた誘
導溶解炉とすることができる。
【0021】請求項2に記載の誘導溶解炉は、上記低周
波電源は単相交流電源であり、誘導溶解炉の加熱回路
は、この単相交流電源に上記複数の誘導コイルの内の1
又は2以上の誘導コイルを接続するか、或いは、所定の
静電容量のコンデンサを接続することにより、各誘導コ
イルに通電する交流電流に夫々所定の位相差が生じる回
路構成とした。このように構成すると、溶湯中におい
て、一方向流動パターンが生成されるので、脱ガス効率
が改善され、溶解性能が一層向上する。
【0022】請求項3に記載の誘導溶解炉は、上記低周
波電源は、2相以上の低周波交流電源であるように構成
した。このように構成すると、最も簡単な構成で所定の
位相差が生じる低周波電源とすることができる。
【0023】請求項4に記載の誘導溶解炉は、上記低周
波電源は、2相又は3相であり、かつ、50Hz又は6
0Hzの交流電源であるように構成した。このように構
成すると、工場等や製鉄所においては、通常の商用電力
が使用でき、別途特別に低周波電源を用いる必要がなく
なるので、誘導溶解炉の構造が簡単になり、誘導溶解炉
の製造コストを低減することができる。
【0024】請求項5に記載の誘導溶解方法では、請求
項1乃至4のいずれかに記載の誘導溶解炉において、被
溶解金属の溶解時は上記複数の誘導コイル及び上記高周
波電源を直列に接続して被溶解金属を溶解し、溶解した
被溶解金属の脱ガス時は、上記誘導コイルに低周波電源
を接続し、かつ、上記複数の各誘導コイルには所定の位
相差を有する交流電流を夫々通電するようにした。この
ようにすると、溶解効率の低減を抑え、脱ガス効率を改
善し、誘導溶解炉の溶解性能を向上させた誘導溶解方法
とすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の誘導溶解炉の一実施の形
態を図1乃至図3を用い、図5を参照して説明する。図
1は、本実施の形態の誘導溶解炉10の概略構成及び作
動原理を示す、右半分を示した側面図、図2及び図3
は、本実施の形態の誘導溶解炉10の磁場解析結果の右
半分を示す側面図で、図2はコイルを2分割とし、夫々
コイル16A、コイル16Bとした場合の誘導溶解炉1
0、図3はコイルを4分割とし、夫々コイル16A、コ
イル16B、コイル16C、コイル16Dとした場合の
誘導溶解炉10′である。
【0026】図1に示すように、本発明の誘導溶解炉1
0の主要構成は、高周波電源14、低周波電源12と、
高周波電源14及び低周波電源12により交流電流が通
電される2つのコイル16A、16B、被溶融金属を収
容しておく坩堝18である。なお、図1において、Yは
溶解された金属の溶湯、S1、S2は、溶湯Yを加熱す
る加熱回路20のスイッチで、a、bは加熱回路20の
端子である。また、同図においてIはコイル16A、1
6Bに流す位相差をπ/2としたときの交流電流であ
り、電流の向きはある時点での瞬間的な方向を示してい
る。
【0027】以上の構成で、本発明の誘導溶解炉10を
用いて、被溶解金属を溶解する方法について図1を用
い、図5を参照して説明する。先ず、図5に示す溶解モ
ード区間(区間:0→t1)では、図1に示すようにス
イッチS2を開放し、スイッチS1を端子a側に投入す
ることにより、コイル16A及びコイル16Bを直列に
接続し、この2つのコイル16A、16Bを高周波電源
(例えば500Hz)14に接続することにより、コイ
ル16A、16Bに高周波電流を供給する。
【0028】このとき、図5に示すように、コイル16
A、16Bには大電力が供給されるために、誘導溶解炉
10の温度は経過時間に比例する形で上昇して行く。こ
れは上述した従来のU.D.S.システム誘導溶解炉の
溶解時と同様であり、従って、高周波電流により被溶解
金属を溶解することにより、従来の誘導溶解炉が備えて
いる溶解効率を維持できる。
【0029】一方、図5に示す脱ガスモード区間(区
間:t1→t2)では、スイッチS1をb側に切り替
え、スイッチS2を閉じ、コイル16A、16Bには共
に低周波電源12に接続する。このとき、例えば低周波
電源12の周波数を50Hzとすると、式(1)に示し
たように、磁界の浸透深さδは周波数の1/2乗に反比
例するために、従来の誘導溶解炉のときのように500
Hzの高周波電源を用いていたのに比べて、約3.3倍
の値になり、低周波電源12で発生する磁界は溶湯深く
まで浸透し、図2(或いは、コイルを4分割しコイル1
6A〜16Dとした場合は図3)に示すように磁束FX
は溶湯Yの中心軸方向まで広く分布するようになる。ま
た、スイッチS2を閉ざすことにより、U.D.S.シ
ステム誘導溶解炉と同様に、コイル16Bには、コイル
16Aとの位相差が最大でπ/2の交流電流が流れるよ
うになる。
【0030】このため、ローレンツ力Fは上述したよう
に、誘導電流Jeと磁束Bとのベクトル積(外積)で与
えられるために、溶湯Yの中心軸方向に至るまで広い範
囲でローレンツ力Fが発生し、その向きも図2及び図3
に示すようにZ軸方向の成分が増加する。また、コイル
16Aとコイル16Bには最大で位相差がπ/2の交流
電流が流れることにより、溶湯Y中には底部から上面に
かけて進行磁界が発生する。その結果、溶湯内には溶融
金属を溶湯表面に押しやる一方向の流れとなり、この結
果、溶湯Y底部の溶融金属が溶湯Yの表面に浮揚しやす
くなり、脱ガス効率が改善し、誘導溶解炉10の溶解性
能を向上させることが可能となる。
【0031】更に、低周波電源の周波数を単相の50H
z又は60Hzとするようにすると、工場や製鉄所等に
おいては、商業電力をそのまま使用できるようになるの
で、誘導溶解炉10の構成が簡単で、製造コストを大幅
に低減することができる。
【0032】本発明の誘導溶解炉は上記実施の形態には
限定されず、種々の変更が可能である。例えば、上記実
施の形態では、低周波電源として、単相の交流電源を用
い、2つのコイルに所定の位相差が生じるような回路構
成で説明したが、これに代わり2相交流電源を用いるよ
うにしても良い。また、上記実施の形態では、コイルを
2分割した例で説明したが、コイルを3分割し、3相交
流電源を用いるようにしても良い。
【0033】
【発明の効果】本発明の誘導溶解炉は、上述のように構
成したために以下のような優れた効果を有する。 (1)請求項1に記載したように、交流電源として、被
溶解金属の溶解時に使用する高周波電源と、被溶解金属
の脱ガス時に使用する低周波電源とを用いるようにする
と、溶解時には高周波電源を用いることにより溶解効率
の低下を防止でき、また、脱ガス時では低周波電源を用
いることにより溶湯中の流動パターンが改善されて脱ガ
ス効率が改良され、溶解性能を向上させた誘導溶解炉と
することができる。
【0034】(2)請求項2に記載したように、低周波
電源は単相交流電源であり、誘導溶解炉の加熱回路は、
この単相交流電源に上記複数の誘導コイルの内の1又は
2以上の誘導コイルを接続するか、或いは、所定の静電
容量のコンデンサを接続することにより、各誘導コイル
に通電する交流電流に夫々所定の位相差が生じる回路構
成とすると、溶湯中において、一方向流動パターンが生
成されるので、脱ガス効率が改善され、溶解性能が一層
向上する。
【0035】(3)請求項3に記載したように、低周波
電源は、2相以上の低周波交流電源であるようにする
と、最も簡単な構成で所定の位相差が生じる低周波電源
とすることができる。
【0036】(4)請求項4に記載したように、低周波
電源は、2相又は3相であり、かつ、50Hz又は60
Hzの交流電源であるようにすると、工場等や製鉄所に
おいては、通常の商用電力が使用でき、別途特別に低周
波電源を用いる必要がなくなるので、誘導溶解炉の構造
が簡単になり、誘導溶解炉の製造コストを低減すること
ができる。
【0037】また、本発明の誘導溶解方法は、上述のよ
うに構成したために以下のような優れた効果を有する。 (5)請求項5に記載したように、被溶解金属の溶解時
は複数の誘導コイル及び高周波電源を直列に接続して被
溶解金属を溶解し、溶解した被溶解金属の脱ガス時は、
誘導コイルに低周波電源を接続し、かつ、複数の各誘導
コイルには所定の位相差を有する交流電流を夫々通電す
るようにすると、溶解効率の低減を抑え、脱ガス効率を
改善し、誘導溶解炉の溶解性能を向上させた誘導溶解方
法とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘導溶解炉の概略構成及び作動原理を
説明するため、右半分を示した側面図である。
【図2】コイルを2分割とした場合の、本発明の誘導溶
解炉の磁場解析結の右半分を示した側面図である。
【図3】コイルを4分割とした場合の、本発明の誘導溶
解炉の磁場解析結果の右半分を示した側面図である。
【図4】従来の通常の誘導溶解炉の概略構成を示す概念
図である。
【図5】従来の誘導溶解炉の温度及び供給電力と、経過
時間との関係を示す特性図である。
【図6】従来のU.D.S.システム誘導溶解炉の概略
構成を示す概念図である。
【図7】従来の誘導溶解炉の磁場解析結果を示す右半分
を示した側面図である。
【図8】コイルを2分割とした場合の、従来のU.D.
S.システム誘導溶解炉の磁場解析結果の右半分を示し
た側面図である。
【図9】コイルを4分割とした場合の、従来のU.D.
S.システム誘導溶解炉の磁場解析結果の右半分を示し
た側面図である。
【図10】U.D.S.システム誘導溶解炉の右半分を
示した側面図である。
【符号の説明】
10、10′:誘導溶解炉 12:低周波電源 14:高周波電源 16A〜16D:コイル 18:坩堝 20:加熱回路 Y:溶湯 Je:電流

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の誘導コイルと、この誘導コイルに
    交流電流を通電する交流電源と、被溶解金属を収容する
    坩堝とを備え、誘導電流により発生する熱で被溶解金属
    を溶解し、溶解した被溶解金属から脱ガスを行うように
    した誘導溶解炉において、 前記交流電源として、前記被溶解金属の溶解時に使用す
    る高周波電源と、被溶解金属の脱ガス時に使用する低周
    波電源とを用いるようにしたことを特徴とする誘導溶解
    炉。
  2. 【請求項2】 上記低周波電源は単相交流電源であり、
    誘導溶解炉の加熱回路は、この単相交流電源に上記複数
    の誘導コイルの内の1又は2以上の誘導コイルを接続す
    るか、或いは、所定の静電容量のコンデンサを接続する
    ことにより、各誘導コイルに通電する交流電流に夫々所
    定の位相差が生じる回路構成であることを特徴とする請
    求項1に記載の誘導溶解炉。
  3. 【請求項3】 上記低周波電源は、2相以上の低周波交
    流電源であることを特徴とする請求項1に記載の誘導溶
    解炉。
  4. 【請求項4】 上記低周波電源は、2相又は3相であ
    り、かつ、50Hz又は60Hzの交流電源であること
    を特徴とする請求項3に記載の誘導溶解炉。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の誘導
    溶解炉において、 被溶解金属の溶解時は上記複数の誘導コイル及び上記高
    周波電源を直列に接続して被溶解金属を溶解し、 溶解した被溶解金属の脱ガス時は、上記誘導コイルに低
    周波電源を接続し、かつ、上記複数の各誘導コイルには
    所定の位相差を有する交流電流を夫々通電するようにし
    たことを特徴とする誘導溶解方法。
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