JP2000201682A - タンパク質のタ―ゲッティングに使用するためのタンパク質断片 - Google Patents

タンパク質のタ―ゲッティングに使用するためのタンパク質断片

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JP2000201682A JP10376107A JP37610798A JP2000201682A JP 2000201682 A JP2000201682 A JP 2000201682A JP 10376107 A JP10376107 A JP 10376107A JP 37610798 A JP37610798 A JP 37610798A JP 2000201682 A JP2000201682 A JP 2000201682A
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グラハム ホープ ラルフ
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タンパク質のターゲッティングに使用するタ
ンパク質断片を提供する。 【解決手段】 C型肝炎ウイルス(HCV)コアタンパ
ク質またはその断片もしくは相同体を含む脂質小球ター
ゲッティング配列を目的のタンパク質に結合させてな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、目的のタンパク質
を脂質小球(特に、動物のミルク中にその後分泌される
脂質小球)にターゲッティングするためのC型肝炎ウイ
ルスのコアタンパク質から誘導されるポリペプチドの使
用に関する。その結果得られるタンパク質/脂質複合体
はワクチンの製造を含めて治療に使用することができ
る。
【0002】
【従来の技術】C型肝炎ウイルス(HCV)は、慢性肝
炎および肝疾患の主要な原因物質である。世界的に見る
と、約3億人がこのウイルスに感染していると推定さ
れ、そのうち20%は中程度から重篤な肝疾患または癌を
発症していると思われる。感染の長期的作用に屈するこ
との危険は別として、これらの人々はウイルスが将来伝
播するための巨大な貯蔵所でもある。今日まで、広く用
いられているHCVに対する治療法はインターフェロン
による治療のみである。しかし、持続性応答は症例の約
20%においてしか達成されない。さらに、感染から保護
するワクチンは現在のところ存在しない。今日に至るま
で組織培養系におけるこのウイルスの増殖は不可能なの
で、ウイルス複製の間に起こる分子現象についても殆ど
知られていない。
【0003】HCVのコアタンパク質は、ウイルス粒子
のキャプシドを構成していると予想される。種々の研究
から、このタンパク質の発現は、HBVおよびHIV遺
伝子の転写の低下およびアポトーシスへの変更を含む、
細胞内プロセスに対する広範な作用をもたらすことが知
られている。トランスジェニックマウスでの研究から、
コアの肝臓特異的発現は、脂肪症(脂肪肝)(肝細胞内
での脂肪沈着物の蓄積によって特徴づけられる、HCV
感染患者によく見られる病状)の発症に結びついている
可能性があるという証拠も存在する。したがって、コア
タンパク質は肝臓内の脂質代謝にも作用するのかもしれ
ない。ヒト血清に関する研究から得られた別の結果は、
HCVウイルス粒子が肝臓によって生産されるリポタン
パク質粒子と結合して見いだされることを示唆してい
る。HCVコアタンパク質は細胞内で脂質小滴と結合す
ることもまた示された(Barbaら,1997; Moradpourら,
1996)。これらの小滴は、ミトコンドリアにおける酸化
および膜形成のための基質として用いることができるト
リアシルグリセロールとコレステロールエステルの両方
の貯蔵コンパートメント(compartment)である。特殊な
細胞においては、貯蔵されたコレステロールはステロイ
ドホルモン合成に使用される。
【0004】肝臓内でも、脂質小滴はこの臓器からリポ
タンパク質粒子の形で分泌される脂質の前駆体の貯蔵部
位として機能する。脂質小滴は数十年前に同定され、染
色法によって容易に検出可能であるが、細胞内での組み
立て(assembly)、貯蔵および分解(diassembly)のプロセ
スについては殆ど知られていない。脂肪細胞関連分化タ
ンパク質(adipocyte-related differentiation protei
n:ADRP)と呼ばれるタンパク質は、種々の細胞型
およびいくつかの臓器において脂質小滴と結合している
ことが見いだされた。今日まで、こうした細胞内分布を
有し、明らかに細胞型特異性でないタンパク質はこのタ
ンパク質のみである。ADRPは細胞内の脂質小滴の維
持に必要であると提唱されているが、このタンパク質の
正確な機能は確認されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】C型肝炎ウイルスコア
タンパク質と細胞内脂質小球との結合を指令するHCV
コアタンパク質内の特定の配列がこのたび特性決定され
た。したがって、これらの配列は他のタンパク質を脂質
小球(ミルク産生細胞により分泌される脂質小球を含
む)にターゲッティングするために使用することができ
る。本発明者らはまた、HCVコアタンパク質の発現お
よびその結果としての脂質小滴との結合は、ADRPの
脂質小滴からの減量をもたらすことを示した。さらに、
コア発現の漸進的な増加は、検出不可能なレベルにまで
ADRPの量を減少させる。ADRPはヒト、ウシおよ
びラットから得られるミルク中の脂肪球の一成分として
も分泌されることが以前に示されたので、HCVコアタ
ンパク質配列を含むタンパク質も動物のミルク中に分泌
される可能性がある。かくして、目的のタンパク質に融
合されたHCVコアタンパク質エレメントを含む融合タ
ンパク質は種々の動物により産生されたミルク中に分泌
される脂質小球に特異的にターゲッティングされ、その
タンパク質はミルクから抽出されうる。これは目的のタ
ンパク質の発現およびミルクへの分泌を容易にし、トラ
ンスジェニック動物において組換えタンパク質を産生す
るための有効な方法を提供するだろう。
【0006】
【課題を解決するための手段】したがって、本発明は、
目的のタンパク質(POI)に結合された脂質小球ター
ゲッティング配列を含んでなるタンパク質であって、前
記ターゲッティング配列がC型肝炎ウイルス(HCV)
コアタンパク質またはその断片もしくは相同体を含むこ
とを特徴とする、上記タンパク質を提供する。好ましく
は、脂質小球ターゲッティング配列は配列番号2および
3に示すHCVコアタンパク質のアミノ酸125から144お
よび/または161から166、または他のHCV株/分離株
における等価のアミノ酸を含む。より好ましくは、脂質
小球ターゲッティング配列は少なくとも8アミノ酸から
なる親水性アミノ酸配列をも含む。本発明はまた、本質
的に脂質小球ターゲッティング配列からなる単離された
ポリペプチドであって、前記ターゲッティング配列が少
なくとも8アミノ酸からなる親水性アミノ酸配列に結合
されたHCVコアタンパク質のアミノ酸125から144およ
び161から166を含むことを特徴とする、上記ポリペプチ
ドを提供する。
【0007】目的のタンパク質は好ましくは病原体によ
り発現されるタンパク質、好ましくはウイルスまたは細
菌のタンパク質もしくはその断片、より好ましくは少な
くとも1つのエピトープを含むものである。
【0008】他の面において、本発明は、本発明のタン
パク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。本発
明はまた、適当な宿主細胞内でのタンパク質の発現を可
能とする制御配列に機能しうる形で連結された、本発明
のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供す
る。好適な宿主細胞としては脂肪細胞およびミルク分泌
細胞がある。
【0009】本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチ
ドを含有する核酸ベクターを提供する。本発明はまた、
本発明のポリヌクレオチドまたは本発明の核酸ベクター
を含有する宿主細胞を提供する。
【0010】他の面において、本発明は、タンパク質の
発現を可能とする条件下で本発明の宿主細胞を培養し、
タンパク質を回収することを特徴とする、本発明のタン
パク質の生産方法を提供する。
【0011】本発明のタンパク質は、脂質小球(タンパ
ク質はこの脂質小球に向かうように脂質小球ターゲッテ
ィング配列により指令されている)と関連した細胞から
有利に抽出することができる。特に、ミルク産生動物に
おいてミルク分泌細胞内で産生されたタンパク質はその
動物のミルクから簡単に抽出できる。これらのタンパク
質/脂質複合体はそれ以上精製せずに使用できる。実
際、脂質はワクチン組成物の製造においてアジュバント
として使用されている。それゆえ、本発明のタンパク質
/脂質小球組成物は、特に目的のタンパク質に免疫原性
がある場合は、ワクチン製造に使用することができる。
【0012】したがって、本発明はまた、本発明のタン
パク質および脂質小球を含有する組成物を提供する。好
ましくは、脂質小球は哺乳動物のミルクの構成成分であ
る。
【0013】本発明の組成物、タンパク質、ポリヌクレ
オチドおよびベクターは病原体感染の予防または治療に
使用することができる。かくして、更なる面において、
本発明は、本発明の組成物、タンパク質、ポリヌクレオ
チドまたはベクターを製薬上許容されるキャリアーまた
は希釈剤と共に含有するワクチン組成物を提供する。本
発明のタンパク質は、その有効性を高めるために他のワ
クチン組成物の活性成分と組み合わせて使用することが
好ましいかもしれない。
【0014】本発明はまた、ヒトまたは動物に、有益な
免疫学的効果を達成するのに十分な量の本発明の組成
物、タンパク質、ポリヌクレオチドまたはベクターを投
与することを特徴とする、ヒトまたは動物における病原
体感染の治療または予防方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】本明細書に記述する技法は全般に
当分野で周知であるが、特にSambrookら,Molecular Cl
oning, A Laboratory Manual (1989) およびAusubelら,
Current Protocols in Molecular Biology (1995), Jo
hn Wiley & Sons, Inc.を参照することができる。
【0016】A.タンパク質/ポリペプチド 「タンパク質」という用語は、1本鎖ポリペプチド分
子、および個々の構成ポリペプチドが共有または非共有
手段で結合している多ポリペプチド複合体を含む。「ポ
リペプチド」という用語は、長さが2以上のアミノ酸、
典型的には6以上、10または20個のアミノ酸を有するペ
プチドを含む。本発明のタンパク質は一般に少なくとも
2つの成分を含み、すなわち、脂質小球に分子をターゲ
ッティングすることができる脂質小球ターゲッティング
配列および目的の分子(典型的にはタンパク質)を含
む。
【0017】1.脂質小球ターゲッティング配列 「脂質小球ターゲッティング配列」という用語は、脂質
小球、好ましくは脂肪細胞中に見いだされる細胞内脂質
小球または哺乳動物ミルク中に見いだされる分泌された
脂質小球、等の生物学的に存在する脂質小球と結合する
ことができるアミノ酸配列を意味する。さらに、脂質小
球ターゲッティング配列は、目的のタンパク質もターゲ
ッティング配列と結合していることによって脂質小球と
結合するように、好ましくは目的のタンパク質と結合し
たときに脂質小球に結合可能である。脂質小球結合は、
器具(例えば、チューブまたはバット)等の非細胞性お
よび/または細胞外環境においても起こりうる。また
は、脂質小球結合は、発現されたターゲッティング配列
が細胞内脂質小球またはそのような小球の膜に指向する
細胞性環境において起こりうる。ターゲッティング配列
は、その後細胞外環境に(例えば雌性動物によるミルク
の産生中に)分泌される脂質小球に指向することが特に
好適である。
【0018】標的脂質小球と結合するアミノ酸配列の能
力をin vitroまたはin vivoで評価することができる。
例えば、候補のターゲッティング配列を水性溶媒中の脂
質小球分散物(リン脂質およびトリアシルグリセロール
の混合物、等)に添加し、混合物を超音波処理し、そし
て水相と脂質相の分配の程度を分画化によって測定する
ことができる。典型的には、混合物の分画化は、ソルビ
トールまたは臭化ナトリウムを用いて溶液の密度を増大
させ、そして溶液を超遠心することを包含する。脂質複
合体は遠心チューブの上部に移動し、次にこの上部脂質
層を候補のターゲッティング配列について検査する。好
ましくは、適切な脂質小球ターゲッティング配列は少な
くとも脂質:水相を50:50 に、より好ましくは少なくと
も75:25、80:20または90:10に分配すべきである。
【0019】別の適切な試験は、候補配列(場合により
目的のタンパク質に結合している)をコードするポリヌ
クレオチドを培養下のミルク産生細胞に導入し、そして
ターゲッティング配列/目的のタンパク質が培養培地に
分泌されたかどうかを確認することを包含する。実施例
に例証する免疫細胞化学的技法もまた使用することがで
きる。
【0020】適切な脂質小球ターゲッティング配列はH
CVコアタンパク質から得ることができる。HCVコア
タンパク質のアミノ酸配列は、多数の異なるHCV分離
株についてすでに得られている。これらの配列は当業者
には容易に入手可能である。その1つであるHCV Gla
sgow株の配列を配列番号1に示す。新しいHCV株をク
ローン化して同定し、その結果さらに別のコア配列を取
得する手段は、EP-B-318,216に記述されている。
【0021】本発明によれば、分子(HCVコアタンパ
ク質の断片が結合している)を脂質小球にターゲッティ
ングすることができるHCVコアタンパク質の断片を使
用することが好ましい。以下に記述する好ましい断片の
アミノ酸番号づけは配列番号1を参考にしたものであ
る。しかし、他のHCV株/分離株のコアタンパク質の
等価な断片もまた使用できることが理解されよう。本発
明のHCVコアタンパク質由来の脂質小球ターゲッティ
ング配列は、好ましくは、分子(典型的にはタンパク
質)を脂質小球にターゲッティングすることができる最
小のアミノ酸配列である。最小配列は、典型的には、H
CVコア配列のアミノ酸120から169に由来する疎水性ア
ミノ酸配列を含み、この疎水性配列は、少なくとも8、
好ましくは10、より好ましくは少なくとも12アミノ酸か
らなる親水性アミノ酸に結合していることが好ましい。
この親水性配列は、上記疎水性配列と連続している必要
はない。例えば、親水性配列がN末端にあり、疎水性配
列がC末端にあるようにして、目的のタンパク質を上記
2つの配列の間に置くことができる。
【0022】この疎水性アミノ酸配列は、典型的には少
なくとも10個、好ましくは少なくとも15個または20個の
連続したアミノ酸を含み、そして少なくとも +40 kJ/mo
l(例えば、Englemanら,1986に記述されているように
理論的に測定した場合)の疎水親水指数(hydropathy in
dex)を有する。上記親水性アミノ酸配列は、典型的には
-20 kJ/mol未満、好ましくは-40 kJ/mol未満の疎水親水
指数を有する。
【0023】好ましいHCVコア断片はアミノ酸161か
ら166(配列番号3)を含む。また、アミノ酸125から14
4(配列番号2)を含むHCVコアタンパク質の断片を
使用することも好ましい。1つの好ましい実施態様にお
いては、本発明のHCVコアタンパク質断片は、アミノ
酸161から166およびアミノ酸125から144の両方を含む。
特に好ましい実施態様においては、本発明の脂質小球タ
ーゲッティング配列は、HCVコア配列のアミノ酸1か
ら8を含む親水性アミノ酸配列を含む。他の好ましい断
片は、アミノ酸1から173または1から169 を含む。
【0024】アミノ酸9から43、49から75、80から11
8、および155から161は脂質結合にとって必要ではない
ことが今回示されたので、本発明の好ましいHCVコア
タンパク質断片はこれらの配列の1以上を欠いている。
特に、本発明のHCVコアタンパク質断片はアミノ酸9
から43を欠失していることが好ましい。適切な断片は大
きさが少なくとも5アミノ酸、例えば、10、12、15また
は20アミノ酸であり、好ましくは100、90、80、70、60
または50未満のアミノ酸を有する。好ましい側面におい
て、断片はHCVエピトープを含む。
【0025】しかし、本発明の脂質小球ターゲッティン
グ配列、例えばHCVコアタンパク質配列またはその断
片は、より大きいポリペプチド(例えば融合タンパク
質)の一部であってよい。この場合、付加的ポリペプチ
ド配列は好ましくは本発明の脂質小球ターゲッティング
配列が普通では結合しないポリペプチド配列である。
【0026】本発明の脂質小球ターゲッティング配列は
HCVコアタンパク質から得られる配列に限定されるの
ではなく、任意の源(例えば、関連ウイルスタンパク
質、細胞性相同体および合成ペプチド、ならびにそれら
の変異体または誘導体)から得られる相同配列を含むこ
とが理解されるであろう。したがって本発明は、本発明
の脂質小球ターゲッティング配列の変異体、相同体また
は誘導体、ならびに本発明のターゲッティング配列をコ
ードするヌクレオチド配列の変異体、相同体または誘導
体を包含する。
【0027】本発明の状況下においては、相同配列と
は、少なくとも5、好ましくは8、10、15、20、30また
は40アミノ酸にわたってアミノ酸レベルでHCVコアタ
ンパク質脂質小球ターゲッティング配列(例えば、本明
細書の配列表に記載されている)と少なくとも60、70、
80または90% 同一な、好ましくは少なくとも95% または
98% 同一なアミノ酸配列を含むものと見なされる。特
に、相同性は典型的には、非必須の近隣配列についてで
はなく、脂質小球結合に必須であることが知られている
ターゲッティング配列の領域に関して考慮されるべきで
ある。相同性の比較は肉眼によって、またはより一般に
は容易に入手できる配列比較プログラムを用いて実施す
ることができる。これら市販のコンピュータプログラム
は、2つ以上の配列の間の相同性%を計算することがで
きる。このようなコンピュータプログラムの典型的な例
は CLUSTALである。
【0028】配列相同性(または同一性)は、任意の適
切な相同性アルゴリズム、例えば、デフォルト(defaul
t) パラメーターを用いてさらに決定することが可能で
ある。有利には、パラメーターをデフォルト値に合わせ
たBLASTアルゴリズムが用いられる。BLASTアルゴリズム
は、参考としてここに組み入れるhttp://www.ncbi.nih.
gov/BLAST/blast help.html に詳細に記述されている。
検索パラメーターは下記のように規定されており、そし
て有利には規定されたデフォルトパラメーターに設定さ
れる。
【0029】有利なことに、BLAST によって評価された
場合、「実質的相同性」とは少なくとも7、好ましくは
少なくとも約9、そして最も好ましくは10以上というEX
PECT値と一致する配列に等しい。BLAST検索におけるEXP
ECTのデフォルト閾値は通常10である。
【0030】BLAST (Basic Local Alignment Search To
ol) は、プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn
およびtblastx に採用されている発見的な検索アルゴリ
ズムである。これらのプログラムは、KarlinおよびAlts
chulの統計学的方法 (http://www.ncbi.nih.gov/BLAST/
blast help.html 参照)を2〜3の点で強化して用いた
発見に意義があるとする。BLASTプログラムは、例えば
問題の配列の相同体を同定するための、配列類似性検索
に合わせて作製されている。このプログラムは一般的に
はモチーフスタイル検索には有用でない。配列データベ
ースの類似性検索における基本的問題点の議論について
は、Altschulら,1994を参照されたい。
【0031】http://www.ncbi.nlm.nih.govで利用可能
な5つBLASTプログラムは、以下の仕事を達成する: blastp -問題のアミノ酸配列をタンパク質配列データベ
ースと比較する。 blastn -問題のヌクレオチド配列をヌクレオチド配列デ
ータベースと比較する。 blastx -問題のヌクレオチド配列(両方の鎖)の6フレ
ームの概念的翻訳産物をタンパク質配列データベースと
比較する。 tblastn - 問題のタンパク質配列を、全6リーディング
フレーム(両方の鎖)においてダイナミックに翻訳され
たヌクレオチド配列データベースと比較する。 tblastx - 問題のヌクレオチド配列の6フレーム翻訳
を、ヌクレオチド配列データベースの6フレーム翻訳と
比較する。
【0032】BLASTは以下の検索パラメーターを使用す
る。 HISTOGRAM - 各検索についてスコアの柱状グラフをディ
スプレーする; デフォルトはイエスである。(BLASTマ
ニュアルのパラメーターH参照)。 DESCRIPTIONS -報告された一致する配列の短い記載の数
を特定された数に制限する;デフォルト限界は100記載
である。(マニュアル頁のパラメーターV参照)。EXPE
CTおよびCUTOFFも参照されたい。 ALIGNMENTS -高スコアのセグメントペア(HSP)が報告さ
れている、特定された数にデータベース配列を制限す
る;デフォルト限界は50である。これ以上のデータベー
ス配列がたまたま報告のための統計的有意性閾値を満た
す場合は(下記のEXPECTおよびCUTOFF参照)、最大の統
計的有意性に帰されたマッチ(一致)のみが報告され
る。(BLASTマニュアルのパラメーターB参照)。
【0033】EXPECT -データベース配列に対する一致を
報告する統計的有意性閾値;KarlinおよびAltschul(199
0)の確率論的モデルによれば、単に偶然によって10の一
致が見いだされると予想されるので、デフォルト値は10
である。ある一致に帰された統計的有意性がEXPECT閾値
よりも大きい場合、この一致は報告されない。より低い
EXPECT閾値はよりストンジェントであり、一致が報告さ
れる機会をより少数にする。端数は受け入れ可である。
(BLASTマニュアルのパラメーターE参照)。
【0034】CUTOFF -高スコアのセグメントペア(HSP)
を報告するためのカットオフスコア。デフォルト値はEX
PECT値から計算される(上記参照)。HSPは、それらに
帰される統計的有意性が、CUTOFF値と等しいスコアを有
する単一のHSPに帰されるであろう統計的有意性と少な
くとも同じだけ高い場合のみ、データベース配列に対し
て報告される。より高いCUTOFF値はよりストリンジェン
トであり、マッチ(一致)が報告される機会をより少数
にする。(BLASTマニュアルのパラメーターS参照)。
典型的には、有意性閾値はEXPECTを用いてより直観的に
管理することができる。
【0035】MATRIX - BLASTP、BLASTX、TBLASTNおよび
TBLASTX のための別のスコアリングマトリックスを特定
する。デフォルトマトリックスはBLOSUM62である(Henik
off およびHenikoff, 1992)。有効な代替選択物は、PAM
40、PAM120、PAM250およびIDENTITYを含む。BLASTNには
別のスコアリングマトリックスはない。BLASTNリクエス
トの中でMATRIXディレクティブを特定すると、エラー応
答が返ってくる。 STRAND - TBLASTN検索をデータベース配列の上の鎖の
み、または下の鎖のみに制限する;または、BLASTN、BL
ASTXまたはTBLASTX 検索を問題の配列の上または下の鎖
の読み枠のみに制限する。
【0036】FILTER - WoottonおよびFederhenのSEGプ
ログラム(1993)で測定した場合に低い組成的複雑性(com
positional complexity)を有する、問題の配列のセグメ
ントをマスクオフ(mask off)する;またはClaverieおよ
びStatesのXNUプログラム(1993)で測定した場合に、ま
たはBLASTNについてはTatusovおよびLipmanのDUSTプロ
グラム(http://www.ncbi.nlm.nih.gov参照)で測定した
場合に、短周期性内部反復からなるセグメントをマスク
オフする。フィルタリングは、統計的に有意であるが生
物学的には興味のない報告(例えば、共通の酸性、塩基
性またはプロリンに富む領域に対してのヒット)をblas
tアウトプットから排除し、問題の配列の生物学的によ
り興味深い領域をデータベース配列に対する特定のマッ
チングに利用可能なように残しておくことができる。
【0037】フィルタープログラムによって見いだされ
た低複雑性配列は、ヌクレオチド配列においては「N」
という文字を用いて(例 "NNNNNNNNNNNNN")、タンパク
質配列においては「X」という文字を用いて(例 "XXXXX
XXXX") 置換される。フィルタリングは問題の配列(ま
たはその翻訳産物)のみに適用され、データベース配列
には適用されない。デフォルトフィルタリングは、BLAS
TNに対してはDUST、他のプログラムに対してはSEGであ
る。
【0038】SWISS-PROTの配列に適用した場合、SEG、X
NUまたはこれらの両方によって何もマスクされないとい
うことは珍しくない。したがって、フィルタリングが常
に効果を生じるとは期待すべきでない。さらに、ある場
合には、配列の全体がマスクされ、フィルタリングして
いない問題の配列に対して報告された任意のマッチの統
計的有意性が疑わしいことを示す。
【0039】NCBI-gi - アクセッションおよび/または
座名の他に、NCBI-gi識別子をアウトプットに示させ
る。最も好ましくは、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BL
AST で提供される簡便なBLAST検索アルゴリズムを用い
て配列の比較を実施する。2つの配列間の同一性および
類似性を測定するための他のコンピュータプログラム
は、GCG プログラムパッケージ(Devereuxら,1984) お
よびFASTA (Atschulら,1990)を含むが、これらだけに
限定されない。
【0040】本発明の脂質小球ターゲッティング配列、
例えば、HCVコアタンパク質配列ならびにその変異
体、相同体および断片は、本発明に使用するために改変
することができる。典型的には、配列の疎水性/親水性
を維持する改変が成される。改変された配列が分子を脂
質小球にターゲッティングする能力を保持するのであれ
ば、例えば1、2または3から10、20または30個までの
アミノ酸置換を行なうことができる。アミノ酸置換は、
例えば、治療的に投与されるポリペプチドの血漿半減期
を増大させるため、天然には存在しない類似体の使用を
含むことができる。
【0041】同類アミノ酸置換は、例えば下記の表にし
たがって実施することができる。第2欄の同一ブロック
内および好ましくは第3欄の同一線上にあるアミノ酸は
相互に置換することができる。
【0042】
【表1】 脂肪族 非極性 GAP ILV 極性−非荷電 CSTM NQ 極性−荷電 DE KR 芳香族 HFWY
【0043】本発明のターゲッティング配列に関係する
「変異体」、「相同体」または「誘導体」という用語
は、得られるアミノ酸配列が脂質小球に標的を定める活
性を、好ましくは本明細書の配列表に示すターゲッティ
ング配列の活性と少なくとも同一の活性を有するという
条件で、配列中に1以上のアミノ酸の任意の置換、変
異、修飾、欠失、または付加を含むものである。
【0044】2.目的のタンパク質 目的のタンパク質としては、例えば、細胞***の調節に
関与するタンパク質、例えば神経栄養成長因子等の成長
因子、サイトカイン(例えば、α、βまたはγインター
フェロン、IL−1、IL−2等のインターロイキン、
腫瘍壊死因子、またはインスリン様増殖因子IまたはI
I)、プロテインキナーゼ(MAPキナーゼ等)、プロ
テインホスファターゼ、および前記のいずれかの細胞性
受容体が挙げられる。このタンパク質はまた細胞の代謝
経路に関与する酵素、例えばアミノ酸の生合成または分
解に係わる酵素(チロシンヒドロキシラーゼ等)、プリ
ンまたはピリミジンの生合成または分解に係わる酵素、
およびドーパミンのような神経伝達物質の生合成または
分解に係わる酵素、またはかかる経路の調節に関与する
タンパク質(例えば、プロテインキナーゼおよびホスフ
ァターゼ)であってもよい。このタンパク質はまた、転
写因子もしくはその調節に関与するタンパク質、例えば
Rbファミリーのポケットタンパク質(Rb、p107
等)、膜タンパク質、構造タンパク質または熱ショック
タンパク質(hsp70 等)であってもよい。目的のタンパ
ク質は好ましくは脂質可溶性であるか、脂質小球の中に
タンパク質の一部を埋め込むことを可能にする領域を含
む。好ましくは、POIは脂質小球ターゲッティング配
列の脂質を標的とする作用を妨害しないものである。
【0045】好ましくは、目的のタンパク質は治療用の
ものであるか、またはその機能が疾患の経過に関係して
いてもよい。目的のタンパク質はワクチンとして使用す
るために抗原性ポリペプチドを含むこともできる。好ま
しくは、このような抗原性ポリペプチドは病原生物、例
えば細菌やウイルスに由来するか、または腫瘍に由来す
るものである。特に、HCVエピトープを含む抗原性ポ
リペプチドを使用することができる。HCVゲノムの広
範なエピトープマッピングがすでに行われており、HC
Vエピトープの大部分が特性決定されている。エピトー
プは線状であっても立体配座的であってもよい。HCV
コアタンパク質のエピトープの場合には、本発明のHC
Vコアタンパク質ターゲッティング配列が適当なHCV
エピトープをすでに含むことがあり、そのような場合に
は更なる抗原性配列を含む必要がないかもしれない。そ
の結果、HCVコアタンパク質配列は目的のタンパク質
に融合させずに本発明に従って使用することができる。
しかしながら、目的のタンパク質は好ましくは、脂質小
球ターゲッティング配列が通常結合している配列ではな
い方がよい。
【0046】脂質小球ターゲッティング配列に結合させ
ることに加えて、目的のタンパク質を別の融合タンパク
質に結合させることもできる。本発明のポリペプチド
は、例えば抽出および精製を容易にするために、融合タ
ンパク質として産生することもできる。融合タンパク質
パートナーの例は、グルタチオン−S−トランスフェラ
ーゼ(GST)、6xHis、GAL4(DNA結合お
よび/または転写活性化ドメイン)およびβ−ガラクト
シダーゼを含む。融合タンパク質配列の除去を可能とす
るため、融合タンパク質パートナーとHCVコアタンパ
ク質配列の間、および/またはHCVコアタンパク質配
列と目的のタンパク質の間にタンパク質分解開裂部位を
含めることもまた好都合である。好ましくは、融合タン
パク質は脂質小球ターゲッティング配列の脂質を標的と
する作用を妨げない。脂質小球ターゲッティング配列
は、融合タンパク質パートナーまたは目的のタンパク質
のN末端またはC末端に結合させることができる。
【0047】本発明のタンパク質は、典型的には例えば
以下に記述するような組換え手段によって産生される。
しかし、これらのタンパク質は固相合成等の当業者に周
知の技法を用いて合成手段によって作製することも可能
である。
【0048】本発明のタンパク質は、実質的に単離され
た形態であることができる。このタンパク質をその意図
された目的を妨害しないキャリアーまたは希釈剤と混合
してもよく、そしてその場合でもなお実質的に単離され
ていると見なされることが理解されるであろう。本発明
のタンパク質はまた、実質的に精製された形態であるこ
とができる。この場合、その形態は一般に調製物中のタ
ンパク質の90%以上、例えば95%、98%または99%が本発明
のタンパク質であるタンパク質調製物からなる。
【0049】B.ポリヌクレオチドおよびベクター 本発明のポリヌクレオチドは、本発明の脂質小球ターゲ
ッティング配列および本発明のタンパク質をコードする
核酸配列を含む。遺伝子暗号の縮重のために、多数の異
なるポリヌクレオチドが同一のポリペプチドをコードで
きることが当業者には理解されるであろう。さらに当業
者は、その中で本発明のポリペプチドを発現させるべき
特定の宿主生物のコドン使用を反映させるため、日常の
技法を用いて、本発明のポリヌクレオチドでコードされ
るポリペプチド配列に影響を及ぼさないヌクレオチド置
換を作製できることが理解されるべきである。
【0050】本発明のポリヌクレオチドはDNAまたは
RNAを構成することができる。それらは1本鎖または
2本鎖であってよい。また、それらは合成または改変ヌ
クレオチドを含むポリヌクレオチドであってもよい。当
分野では、多数の異なる種類のオリゴヌクレオチドの改
変が公知である。これらは、メチルホスホネートおよび
ホスホロチオエート骨格、分子の3'および/または5'末
端へのアクリジンまたはポリリシン鎖の付加を含む。本
発明の目的上、本明細書に記載されるポリヌクレオチド
は当分野で利用可能な任意の方法によって改変されてよ
いことが理解されるべきである。そのような改変は、本
発明のポリヌクレオチドのin vivo活性または寿命を増
大させるために実施することができる。
【0051】本発明の脂質ターゲッティング配列をコー
ドするヌクレオチド配列に関連する「変異体」、「相同
体」または「誘導体」という用語は、その結果得られる
核酸配列が脂質をターゲッティングする活性、好ましく
は本明細書の配列表に記載のターゲッティング配列と少
なくとも同一の活性を有するタンパク質をコードすると
いう条件の下に、配列中での1(または2以上)の核酸
の任意の置換、変異、改変、欠失または付加を含む。
【0052】上に示したように、配列相同性について
は、好ましくは本明細書の配列表に記載の配列と少なく
とも75%、より好ましくは少なくとも85%、さらに好まし
くは少なくとも90%の相同性がある。より好ましくは、
少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の相同性
がある。ヌクレオチドの相同性比較は上に記述したよう
に実施することができる。
【0053】本発明はまた、本明細書に示す配列、もし
くはその任意の変異体、断片または誘導体、もしくは上
記の任意のものの相補体に選択的にハイブリダイズする
ことができるヌクレオチド配列をも包含する。ヌクレオ
チド配列は好ましくは長さが少なくとも15ヌクレオチド
であり、より好ましくは長さが少なくとも20、30、40ま
たは50ヌクレオチドである。
【0054】本明細書に用いる「ハイブリダイゼーショ
ン」という用語は、「核酸の1本の鎖が塩基対形成によ
って相補鎖と結合するプロセス」(Coombs, J. (1994)
Dictionary of Biotechnology, Stockton Press, New Y
ork NY)、ならびに Dieffenbach C.W.およびG.S. Dveks
ler (1995, PCR Primer, A Laboratory Manual, ColdSp
ring Harbor Press, Plainview, NY)に記述されている
ポリメラーゼ連鎖反応法において実施される増幅プロセ
スを含むものとする。
【0055】本明細書に示すヌクレオチド配列またはそ
れらの相補体に選択的にハイブリダイズすることができ
る本発明のポリヌクレオチドは、少なくとも20個、好ま
しくは少なくとも25または30個、例えば少なくとも40、
60または100個またはそれ以上の連続したヌクレオチド
の領域にわたって、本明細書に示す対応するヌクレオチ
ド配列と一般には少なくとも70%、好ましくは少なくと
も80%または90%、そしてより好ましくは少なくとも95%
または98%相同である。本発明の好ましいポリヌクレオ
チドは、配列番号1のヌクレオチド715 〜774 および/
またはヌクレオチド826 〜840 に好ましくは少なくとも
80%または90%相同な領域、そしてより好ましくは配列番
号1のヌクレオチド715 〜774 および/またはヌクレオ
チド826〜840 に少なくとも95%相同な領域を含む。
【0056】「選択的にハイブリダイズできる」という
表現は、本発明の標的ポリヌクレオチドがバックグラウ
ンドよりも有意に高いレベルでプローブにハイブリダイ
ズするのが見いだされる条件下で、プローブとして用い
られるポリヌクレオチドが使用されることを意味する。
バックグラウンドハイブリダイゼーションは、例えば、
スクリーニングされるcDNAまたはゲノムDNAライ
ブラリー中に存在する他のポリヌクレオチドゆえに起こ
りうる。この現象において、バックグラウンドとはプロ
ーブとライブラリーの非特異的DNAメンバーとの相互
作用によって生じるシグナルのレベルを意味し、そのレ
ベルは標的DNAとの間に観察される特異的相互作用の
1/10未満、好ましくは1/100未満の強度である。相互作
用の強度は、例えば32P 等を用いてプローブを放射線標
識することによって測定できる。
【0057】ハイブリダイゼーション条件は、Bergerお
よびKimmel (1987, Guide to Molecular Cloning Techn
iques, Methods in Enzymology, Vol 152, Academic Pr
ess,San Diego CA)が教示するように核酸結合複合体の
融解温度(Tm)に基づいており、以下に説明する規定され
た「ストリンジェンシー」を付与する。
【0058】最大ストリンジェンシーは典型的には約Tm
−5℃(プローブのTmの5℃下)で起こる。高いストリン
ジェンシーはTmの約5℃から10℃下で、中程度のストリ
ンジェンシーはTmの約10℃から20℃下で、そして低いス
トリンジェンシーはTmの約20℃から25℃下で起こる。当
業者によって理解されるように、最大ストリンジェンシ
ーのハイブリダイゼーションは同一のポリヌクレオチド
配列を同定または検出するのに用いることができ、他
方、中程度の(または低い)ストリンジェンシーのハイ
ブリダイゼーションは類似の、または関連したポリヌク
レオチド配列を同定または検出するのに用いることがで
きる。
【0059】好ましい態様においては、本発明はストリ
ンジェントな条件下で(例えば、65℃および0.1xSSC{1
xSSC = 0.15 M NaCl, 0.015 Mクエン酸三ナトリウム、p
H 7.0})本発明のヌクレオチド配列にハイブリダイズ
できるヌクレオチド配列を包含する。本発明のポリヌク
レオチドが2本鎖の場合、二重らせんの両方の鎖は(個
々にも、または組合せでも)本発明に包含される。本発
明のポリヌクレオチドが1本鎖の場合は、このポリヌク
レオチドの相補配列もまた本発明の範囲内に含まれるこ
とが理解されねばならない。
【0060】本発明の配列に100%相同ではないが本発明
の範囲内にあるポリヌクレオチドは、多数の方法で得る
ことができる。本明細書に記載のHCVコアタンパク質
配列の他のHCVコアタンパク質変異体は、例えば、異
なる集団からの個体等のある範囲のHCV感染個体から
作製されたDNAライブラリーを釣り上げることによっ
てえることができる。さらに、他のウイルス性または細
胞性相同体、特に哺乳動物細胞中(例えば、ラット、マ
ウス、ウシおよび霊長類細胞)に見いだされる細胞性相
同体を得ることができる。そして、そのような相同体ま
たはその断片は一般に本明細書の配列表に示す配列に選
択的にハイブリダイズすることができる。そのような配
列は、他の動物種から作製されたcDNAライブラリー
またはゲノムDNAライブラリーを釣り上げることによ
って、そして配列番号1の全体または一部を含むプロー
ブを用いて中程度から高いストリンジェンシーの条件下
でそのようなライブラリーを釣り上げることによって得
ることができる。
【0061】変異体および株/種相同体もまた、変異体
および相同体内部にあって本発明の脂質小球ターゲッテ
ィング配列内の保存されたアミノ酸配列をコードする配
列をターゲッティングするように設計されたプライマー
を使用する縮重PCRを用いて得ることができる。保存
された配列は、例えば、幾つかのHCV分離株由来のH
CVコアタンパク質アミノ酸配列を並べて見ることによ
って予測できる。このようなHCV配列の比較は当分野
では広く利用可能である。プライマーは1以上の縮重位
置を含んでおり、そして公知の配列に対する単一配列プ
ライマーを用いて配列をクローン化する場合よりも低い
ストリンジェンシー条件で使用される。
【0062】または、そのようなポリヌクレオチドは、
配列番号1等の特徴づけられた脂質小球ターゲッティン
グ配列の部位特異的突然変異誘発によって得ることがで
きる。これは、例えば、ポリヌクレオチド配列を発現さ
せようとしている特定の宿主細胞に対するコドン選択(c
odon preference)を最適化するために、配列にとってサ
イレントな(発現しない)コドン変化が必要とされる場
合に有用であろう。制限酵素認識部位を導入するため、
またはポリヌクレオチドによってコードされるポリペプ
チドの特性または機能を変えるためには、他の配列変化
が望ましい場合もある。
【0063】本発明のポリヌクレオチドを用いて、例え
ばPCRプライマーや別の増幅反応のためのプライマー
のようなプライマー、および、例えば放射性または非放
射性標識を用いて慣用の手段で検出可能に標識したプロ
ーブを作製することができる。または、本発明のポリヌ
クレオチドをベクター中にクローン化することができ
る。そのようなプライマー、プローブおよび他の断片
は、長さが少なくとも15ヌクレオチド、好ましくは少な
くとも20ヌクレオチド、例えば少なくとも25、30または
40ヌクレオチドであって、そしてこれらもまた本明細書
中で用いる「ポリヌクレオチド」という用語に包含され
る。
【0064】本発明によるDNAポリヌクレオチドおよ
びプローブ等のポリヌクレオチドは、組換えによって、
合成によって、または当業者が使用できる任意の手段に
よって作製することができる。それらのポリヌクレオチ
ドは標準的技法によってクローン化することもできる。
一般にプライマーは、所望の核酸配列のヌクレオチドを
1個ずつ作っていく段階的作製を含む、合成手段によっ
て作製される。自動化された技法を用いてこれを達成す
る方法が当分野では容易に利用できる。
【0065】より長いポリヌクレオチドは一般に、例え
ばPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)クローニング技法等
の組換え手段を用いて作製される。これは、クローン化
が望まれる脂質小球ターゲッティング配列領域/POIの
両側に位置する一対のプライマー(例えば、約15〜30ヌ
クレオチドからなる)を作製し、このプライマーを動物
またはヒト細胞から得たmRNAまたはcDNAと接触
させ、所望の領域の増幅をもたらす条件下でポリメラー
ゼ連鎖反応を実施し、増幅された断片を単離し(例え
ば、アガロースゲルを用いて反応混合物を精製すること
によって)、そして増幅されたDNAを回収することを
含む。上記プライマーは、増幅されたDNAを適切なク
ローニングベクター中にクローン化できるように、適切
な制限酵素認識部位を含むように設計することができ
る。
【0066】本発明のポリヌクレオチドは、複製可能な
組換えベクターに組み込むことができる。このベクター
は、適合する宿主細胞中で核酸を複製するのに用いるこ
とができる。したがって、さらなる実施態様において、
本発明は、本発明のポリヌクレオチドを複製可能なベク
ターに導入し、このベクターを適合する宿主細胞中に導
入し、そしてベクターの複製をもたらす条件下で宿主細
胞を増殖させることによる、本発明のポリヌクレオチド
の作製方法を提供する。上記ベクターは宿主細胞から回
収することができる。適切な宿主細胞は、大腸菌等の細
菌、酵母、哺乳動物細胞系、および例えば昆虫Sf9 細胞
等の他の真核細胞系を含む。
【0067】好ましくは、ベクター中の本発明のポリヌ
クレオチドは、宿主細胞によるコード配列の発現をもた
らすことのできる調節配列に機能しうる形で結合してい
る。つまり、このベクターは発現ベクターである。「機
能しうる形で結合している」という表現は、上記の構成
要素が、それらの意図された方法で機能することを可能
とする関係にあることを意味する。コード配列に「機能
しうる形で結合している」調節配列は、コード配列の発
現が調節配列に適合した条件下で達成されるように連結
されている。
【0068】そのようなベクターは、下記の適切な宿主
細胞中に形質転換またはトランスフェクションし、本発
明のタンパク質の発現をもたらすことができる。このプ
ロセスは、上記のように発現ベクターによって形質転換
された宿主細胞を、該ベクターによるタンパク質をコー
ドするコード配列の発現をもたらす条件下で培養し、そ
して場合により発現されたタンパク質を回収することを
含むことができる。
【0069】ベクターは、複製起点、場合により該ポリ
ヌクレオチドを発現するためのプロモーターおよび場合
によりプロモーターの調節要素を備えた、例えば、プラ
スミドまたはウイルスベクターであってよい。ベクター
は、例えば細菌プラスミドの場合はアンピシリン耐性遺
伝子、または哺乳動物ベクターの場合はネオマイシン耐
性遺伝子、等の1以上の選択マーカー遺伝子を含むこと
ができる。ベクターは、例えば、in vitroまたはin viv
oで宿主細胞をトランスフェクトまたは形質転換するの
に使用できる。
【0070】本発明のタンパク質をコードする配列に機
能しうる形で結合した調節配列は、プロモーター/エン
ハンサーおよび他の発現調節シグナルを含む。これらの
調節配列は、発現ベクターをその中で使用するように設
計した宿主細胞に適合するように選択することが可能で
ある。プロモーターという用語は当分野で周知であり、
大きさおよび複雑性において最小プロモーターから上流
エレメントおよびエンハンサーを含むプロモーターまで
及ぶ核酸領域を包含する。
【0071】プロモーターは、原核プロモーターおよび
他の真核細胞において機能するプロモーターも使用可能
であるが、典型的には哺乳動物細胞において機能するプ
ロモーターから選択される。プロモーターは典型的には
ウイルスまたは真核生物遺伝子のプロモーター配列から
誘導される。例えば、プロモーターは、その中で発現を
起こそうとしている細胞のゲノムに由来するプロモータ
ーであってよい。真核生物プロモーターについては、そ
れらのプロモーターは遍在的な様式で機能するプロモー
ター(α-アクチン、β-アクチン、チューブリンのプロ
モーター、等)、または組織特異的な様式で機能するプ
ロモーター(ピルビン酸キナーゼ遺伝子のプロモータ
ー、等)であってよい。脂肪細胞、特にミルク産生細胞
に特異的な組織特異的プロモーター(例えば、ペリリピ
ン(perilipin)プロモーター)が特に好ましく、例え
ば、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、乳清
酸性タンパク質またはブチロフィリン(butyrophilin)遺
伝子のプロモーターが挙げられる。プロモーターは特定
の刺激に応答するプロモーター、例えば、ステロイドホ
ルモン受容体に結合するプロモーターであってもよい。
例えば、モロニーマウス白血病ウイルス長末端反復(MM
LV LTR)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV) LTRプ
ロモーター、またはヒトサイトメガロウイルス(CMV) IE
プロモーター等のウイルスプロモーターもまた使用でき
る。
【0072】細胞の寿命の間に異種遺伝子の発現レベル
が調節しうるように、プロモーターが誘導性であること
もまた有利である。「誘導性である」とは、該プロモー
ターを用いて得られる発現レベルが調節可能であること
を意味する。さらに、例えばエンハンサー配列等のさら
なる調節配列を付加することによって、これらのプロモ
ーターの任意のものを改変することができる。上記の2
つ以上の異なるプロモーター由来の配列エレメントを含
むキメラプロモーターもまた使用できる。
【0073】C.宿主細胞 本発明のベクターおよびポリヌクレオチドは、ベクター
/ポリヌクレオチドを複製するため、および/または本
発明のポリヌクレオチドによってコードされる本発明の
タンパク質を発現させるため、宿主細胞に導入すること
ができる。本発明のタンパク質は原核細胞を宿主細胞と
して用いて産生させることができるが、植物、酵母、昆
虫または哺乳動物細胞等の真核細胞、特に哺乳動物細胞
を用いることが好ましい。特に好ましい細胞は、相当な
量の細胞内脂質小滴/小球を有する細胞、例えば脂肪細
胞である。好ましい実施態様において、脂質小球を分泌
する宿主細胞(例えば、ミルク産生細胞)が用いられ
る。哺乳動物細胞系がin vitroでトランスフェクトされ
てもよいし、あるいはまた、例えばウシ、ヤギ、ブタお
よびヒツジのような有蹄類動物の完全な多細胞器官を用
いてもよい。ミルク産生量の高い動物を用いるのが好ま
しい。
【0074】本発明のベクター/ポリヌクレオチドは、
当分野で公知の種々の技法、例えばトランスフェクショ
ン、形質転換およびエレクトロポレーション等を用いて
適切な宿主細胞に導入することができる。本発明のベク
ター/ポリヌクレオチドを動物に投与する場合は、当分
野では幾つかの技法が公知である。例えば、単純ヘルペ
スウイルスおよびアデノウイルス等の組換えウイルスベ
クターを用いた感染、核酸の直接注入およびバイオリス
ティックな(biolistic)形質転換が挙げられる。あるい
はまた、適切な技法を用いてトランスジェニック動物を
作製してもよい。
【0075】例えば、トランスジェニック動物を作製す
るための1つの方法は、標準的な方法により核酸を前核
期の卵にマイクロインジェクションすることを含む。次
に、注入を受けた卵を培養した後で、擬妊娠レシピエン
トの卵管に移植する。トランスジェニック配列を含む可
能性のある動物の分析は、標準的な方法を行った後、引
き続いてPCRまたはサザンブロット分析を行うことに
より実施される。
【0076】トランスジェニック動物はまた、Schniek
e, A.E.ら(1997)およびCibelli, J.B.ら(1998)に記載の
核移植技法によっても作製することができる。この方法
を用いると、ドナー動物由来の繊維芽細胞が、哺乳動物
細胞中での最適な発現に必要な調節エレメントの制御下
で、脂質小球ターゲッティング配列に融合しているコア
または任意の目的のタンパク質のコード配列を組み込ん
だプラスミドを用いて安定にトランスフェクトされる。
次に、適切なトランスフェクト体を除核した卵母細胞に
融合し、培養し、雌レシピエントに移植する。
【0077】トランスジェニック動物を作製する間に哺
乳動物の卵に導入するのに適切な本発明の核酸を構築す
る場合、典型的に用いられる調節配列は、例えば第B節
に記載のような、組織特異的発現に必要とされるプロモ
ーターエレメントである。さらに、調節配列は、イント
ロン、エンハンサーエレメント、および、トランスジェ
ニック動物における発現に影響を及ぼすことが知られて
おり、かつミルク中での最適な発現に必要である可能性
のあるコード領域の部分の両側に位置する配列を含み得
る。これらの調節エレメントは、天然に存在するものに
由来するものであってもよいし、あるいは合成されたも
のに由来するものであってもよく、該コード領域の上
流、内部および下流に位置し得る。トランスジェニック
動物の作製に用いられる核酸ベクターは、完全β-ラク
トグルブリン(β-lactoglubulin)遺伝子も組み込み得
る。そのような方法論は、トランスジェニック動物中で
の発現レベルを増大させることが知られている(例え
ば、Sola, I.ら, 1998を参照)。
【0078】D.タンパク質の発現および精製 本発明のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を用いて本発
明のタンパク質を発現することができる。宿主細胞は、
本発明のタンパク質の発現を可能とする適切な条件下で
培養することができる。本発明のタンパク質の発現は、
該タンパク質が連続的に産生されるように構成的であっ
てもよいし、または誘導性であって発現を開始するのに
刺激を必要としてもよい。誘導性発現の場合には、例え
ば、培養培地への誘導物質(デキサメタゾンまたはIPT
G、等)の添加によって要請された場合にタンパク質の
産生が開始されうる。
【0079】本発明のタンパク質は、酵素的、化学的、
および/または浸透的溶解および物理的破壊を含む当分
野で公知の種々の技法によって宿主細胞から抽出するこ
とができる。多数の異なる精製プロトコールが使用でき
るが、対象のタンパク質を脂質小球にターゲッティング
する本発明のHCVコアタンパク質の能力を考慮すれ
ば、好ましい抽出/精製プロトコールは、細胞ホモジネ
ートを高速で遠心分離し(例えば、100,000 gで60分
間、2〜4℃で)、そして得られた浮遊脂質層を除去す
ることを包含する。これは一次精製工程として機能す
る。次に、必要であれば例えばカラムクロマトグラフィ
ー(イオン交換またはアフィニティークロマトグラフィ
ー等)を用いて、さらに精製を実施してもよい。脂質小
球を分泌する細胞もまた好都合に用いることができ、脂
質小球は培養上清から採取することができる。
【0080】脂肪小球を囲む膜に結合しているタンパク
質は、1% (w/v) Triton X-100/1.5M NaCl/10 mM Tris
(pH 7.0)を用いた抽出、または1.5% (w/v)ドデシルβ-D
マルトシド/0.75 M アミノヘキサン酸/10 mM Hepes (pH
7.0) を用いた抽出、またはこれら2つの界面活性剤含
有溶液を用いた連続抽出によって、可溶性画分と不溶性
画分とに分画することができる(PattonおよびHuston,
G.E., 1986, Lipids 21;170-174)。界面活性剤含有溶液
中に脂肪小球成分を懸濁させることは、全ガラス(all-g
lass)ホモジナイザーを用い、そして氷上に30〜60分間
保持することによって達成できる。その後、60分間2℃
で150,000 gで遠心分離することによって不溶性物質と
可溶性物質を分離することができる。上記の条件を改変
して、コアタンパク質、または成分としてコアを含む融
合タンパク質が脂肪小球に結合しているかどうかを分析
することができる。脂肪小球からタンパク質性物質を引
き出すためには他の界面活性剤(イオン性および非イオ
ン性の両方)および種々の濃度の塩溶液が使用できるで
あろう。インキュベーション時間および温度は経験的手
段によって最適化することができる。
【0081】本発明のタンパク質を生産するための特に
好ましい方法は、適切な発現ベクターを用いて安定にト
ランスフェクトされたミルク産生動物、またはトラスジ
ェニックミルク産生動物を用いることを含む。これらの
場合、該ミルクはそれらの動物から採取され、脂質小球
/タンパク質複合体が抽出される。
【0082】ミルク脂肪小球は、全乳から、室温で2000
gにて15分間遠心分離することによって分離できる。こ
の場合、ミルク脂肪小球は、遠心管の上部の層として採
取される(Freudenstein, C.ら, 1979)。あるいはま
た、ミルクにショ糖を添加してもよく(5%w/v)、そ
してこのミルク溶液の上に水、緩衝液または食塩溶液の
層を上層させてもよい。室温で2000gにて20分間遠心分
離した後、ミルク脂肪小球を遠心管の上部の層として採
取する。これらの両方の方法において、脂肪小球は、ス
プーン、ピペットまたは類似の道具により採取すること
ができる。純度を高めるために、脂肪小球を食塩溶液に
分散させ、上記にように遠心分離によって採取すること
ができる。これらの方法は、1ml未満、最大約1リット
ルまでの容量の場合に好適である。大量の場合には、ク
リーム分離器を利用することができる。
【0083】E.組成物 本発明のタンパク質は、種々の成分と組み合わせて本発
明の組成物を作製することができる。これらの成分とし
ては、製剤上許容される担体または希釈剤、および/ま
たは以下のワクチン成分を挙げることができる。特に、
本発明の組成物は、本発明のタンパク質と脂質小球とを
含んでなる。本発明のHCVコアタンパク質は目的とす
るタンパク質を脂質小球へとターゲッティングするの
で、精製操作の生成物の1つは、脂質小球と既に結合し
ている状態の目的のタンパク質であり得る。あるいはま
た、本発明のタンパク質を作製および/または抽出し
て、実質的に脂質が結合していない水性生成物を得て、
その精製物に脂質小球を添加することができる。好まし
い脂質小球は、哺乳動物のミルク中に存在するものであ
る。
【0084】F.投与 本発明の組成物は直接注入によって投与することができ
る。好ましくは、該組成物は、製剤上許容される担体ま
たは希釈剤と組み合せて、医薬組成(ヒトまたは動物
用)を製造する。適切な担体および希釈剤としては、リ
ン酸緩衝化生理食塩水等の等張食塩水が含まれる。本発
明の組成物は、非経口、筋肉内、静脈内、皮下、眼内ま
たは経皮投与用に製剤化することができる。典型的に
は、各タンパク質は体重1 kgあたり0.01〜30 mg、好ま
しくは0.1 〜10 mg、より好ましくは0.1 〜1 mgの用量
で投与することができる。
【0085】本発明のポリヌクレオチド/ベクターは、
好ましくは宿主細胞ゲノムに相同のフランキング配列を
さらに含む裸の核酸構築物として直接投与することがで
きる。ポリヌクレオチド/ベクターを裸の核酸構築体と
して投与する場合、投与される核酸の量は典型的には1
μg 〜10 mg、好ましくは100 μg〜1 mgである。哺乳動
物細胞による裸の核酸構築体の取り込みは、例えばトラ
ンスフェクション剤を用いる技法を含む幾つかの公知の
トランスフェクション技法によって促進することができ
る。トランスフェクション剤の例としては、カチオン性
作用物質(例えば、リン酸カルシウムおよびDEAE-デキ
ストラン)およびリポフェクション剤(lipofectant)
(例えば、lipofectamTMおよびtransfectamTM)が含ま
れる。典型的には、核酸構築物をトランスフェクション
剤と混合して組成物を作製する。
【0086】好ましくは、本発明のポリヌクレオチドま
たはベクターを製剤上許容される担体または希釈剤と組
み合わせて、医薬組成物を作製する。適切な担体および
希釈剤としては、リン酸緩衝化生理食塩水等の等張食塩
水が含まれる。該組成物は非経口、筋肉内、静脈内、皮
下、眼内または経皮投与用に製剤化することができる。
上記の投与経路および用量は単なる目安として意図され
ている。なぜなら、熟練した医師であれば任意の特定患
者及び病状に対して最適な投与経路および用量を容易に
決定することができるからである。
【0087】G.ワクチンの調製 ワクチンは、本発明の1以上のタンパク質または本発明
の組成物から調製することができる。この場合、該タン
パク質は免疫原性であり、例えばウイルス性または細菌
性の病原体由来のエピトープを含む。ワクチンは、さら
に1以上の当分野で公知の免疫原性ポリペプチドを含む
ことができる。免疫原性ポリペプチドを活性成分として
含むワクチンの調製は当業者には公知である。典型的に
は、そのようなワクチンは、注射可能薬物(液体溶液ま
たは懸濁液のいずれか)として調製される。注射する前
に液体中での溶液または懸濁液とするのに適当な固体形
態を調製することもできる。調製物は乳化してもよく、
あるいは該タンパク質をリポソームに封入してもよい。
免疫原性活性成分は、製剤上許容され、かつ該活性成分
と適合する賦形剤と混合されることが多い。適切な賦形
剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロ
ール、エタノール等、およびそれらの組合せである。さ
らに、所望により、ワクチンは、微量の補助物質を含む
ことができ、そのような物質としては、例えば加湿剤も
しくは乳化剤、pH緩衝剤、および/またはワクチンの
効果を増大させるアジュバントが挙げられる。有効であ
り得るアジュバントの例としては、水酸化アルミニウ
ム、N-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタ
ミン(thr-MDP)、N-アセチル-ノルムラミル-L-アラニ
ル-D-イソグルタミン(CGP 11637、nor-MDPと呼ぶ)、N
-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミニル-L-
アラニン-2-(1′-2′-ジパルミトイル-sn-グリセロ
-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミン(CGP
19835A、MTP-PEと呼ぶ)、およびRIBI[細菌から抽出さ
れた3つの成分、モノホスホリルリピドA、トレハロー
スジミコレート(trehalose dimycolate)および細胞壁骨
格(MPL+TDM+CWS)を2%スクアレン/Tween80乳濁液
中に含むもの]が挙げられるが、これらに限定されな
い。アジュバントの有効性は、抗原配列を含む免疫原性
ポリペプチドをワクチン(各種のアジュバントを含む)
として投与した結果生じる該ポリペプチドに対する抗体
の量を測定することによって判定できる。
【0088】ワクチンは、例えば皮下または筋肉内のい
ずれかの注射によって、慣用のように非経口で投与され
る。他の投与様式に適する更なる製剤としては、座薬、
および或る特定の場合には経口製剤が含まれる。座薬の
場合、従来の結合剤および担体としては、例えば、ポリ
アルキレングリコールまたはトリグリセリドを含むこと
ができる。そのような座薬は、活性成分を0.5%〜10%
の範囲、好ましくは1%〜2%の範囲で含む混合物から
形成され得る。経口製剤は、例えば、製薬等級のマンニ
トール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、
サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウ
ム、等のような通常用いられる賦形剤を含む。これらの
組成物は、液剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐
放製剤または粉剤の形態をとり、10%〜95%、好ましく
は25%〜70%の活性成分を含むことができる。ワクチン
組成物を凍結乾燥する場合、凍結乾燥した材料は(例え
ば懸濁剤として)投与する前に元の状態にもどすことが
できる。元の状態に戻すのは、好ましくは緩衝液中で行
う。
【0089】患者に経口投与するためのカプセル剤、錠
剤および丸剤には、例えばEudragit「S」、Eudragit
「L」、酢酸セルロース、フタル酸酢酸セルロースまた
はヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの腸溶性コ
ーティングを付与することができる。これらのカプセル
剤をそのまま用いてもよいし、あるいは、本発明のタン
パク質および組成物を中性または塩の形態でワクチンに
配合してもよい。製剤上許容される塩としては、酸付加
塩(該ぺプチドの遊離のアミノ基を用いて形成されるも
の)、および塩酸もしくはリン酸のような無機酸、また
は酢酸、シュウ酸、酒石酸およびマレイン酸のような有
機酸を用いて形成されるものが含まれる。遊離のカルボ
キシル基を用いて形成される塩は、例えば水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カ
ルシウムまたは水酸化第二鉄のような無機塩基、および
イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルア
ミノエタノール、ヒスチジンおよびプロカインのような
有機塩基からも誘導され得る。
【0090】H.ワクチンの用量および投与 ワクチンは、投与処方に適合する方法で、予防上および
/または治療上有用な量で投与される。投与される量
は、一般に用量当たり抗原5mg〜250mgの範囲であり、
これは治療する患者、該患者の免疫系の抗体を合成する
容量、および予防が望まれる程度に応じて決定される。
投与が必要とされる活性成分の正確な量は医師の判断に
より決定することができ、各患者に固有のものであり得
る。
【0091】ワクチンは、1回量計画で投与することが
でき、または好ましくは複数回量計画で投与することも
できる。複数回量計画とは、ワクチン接種の初回クール
が1〜10回の別々の用量を用いるものであり、続いて2
回目の用量として免疫応答を維持および/または増大さ
せるのに必要な時間間隔(例えば、1〜4ヶ月)で別の
用量を投与し、そして必要であれば、続いて数ヶ月後に
別の用量を投与するものである。投与レジメは、少なく
とも一部は、個人の要求によっても決定され、医師の判
断に依存する。さらに、本発明の免疫原性タンパク質を
含有するワクチンは、他の免疫抑制剤(例えば、免疫グ
ロブリン)と共に投与することができる。
【0092】I.本発明のポリペプチドに対する抗体の
調製 上記のように調製した本発明の免疫原性タンパク質は、
抗体(ポリクローナルおよびモノクローナルの双方)を
産生させるのに用いることができる。ポリクローナル抗
体が望まれる場合には、選択した哺乳動物(例えば、マ
ウス、ウサギ、ヤギ、ウマ、等)を本発明の免疫原性タ
ンパク質を用いて免疫する。免疫した動物から血清を採
取し、公知の手順に従って処理する。本発明の免疫原性
タンパク質に対するポリクローナル抗体を含む血清が他
の抗原に対する抗体を含んでいる場合には、該ポリクロ
ーナル抗体をイムノアフィニティクロマトグラフィーに
より精製することができる。ポリクローナル抗血清を作
製および処理するための技法は当分野で公知である。
【0093】本発明のタンパク質中の目的とするエピト
ープに対するモノクローナル抗体も当業者であれば容易
に作製することができる。ハイブリドーマによりモノク
ローナル抗体を作製するための一般的な方法論は周知で
ある。細胞融合により、およびBリンパ球を癌遺伝子D
NAを用いて直接形質転換すること、またはエプスタイ
ン-バー(Epstein-Barr)ウイルスを用いてトランスフ
ェクトする、などの他の技法により、不死抗体産生細胞
系を創製することができる。目的とするエピトープに対
して作製したモノクローナル抗体のパネルは各種の特性
(すなわち、イソ型およびエピトープ親和性)について
スクリーニングすることができる。
【0094】診断においてはエピトープに対する抗体
(モノクローナルおよびポリクローナルの双方)が特に
有用であり、受動免疫療法においては中和性(neutrali
sing)であるものが有用である。特にモノクローナル抗
体は抗-イディオタイプ抗体を産生させるのに用いるこ
とができる。抗-イディオタイプ抗体は、予防が望まれ
る感染物質の抗原の「内部イメージ」を有している免疫
グロブリンである。
【0095】抗-イディオタイプ抗体を産生させる技法
は当分野では公知である。これらの抗-イディオタイプ
抗体は、ウイルス性および/または細菌性の疾患の治
療、ならびにウイルス性および/または細菌性抗原の免
疫原性領域の解明にも有用となり得る。上記の抗体の断
片、例えばFab断片を用いることも可能である。
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではな
い。実施例では以下の図に言及する。図の詳細な説明 図1.pSFVおよびpgHCV 構築物によって作製されたコア
タンパク質の分析。 A.エレクトロポレーションの20時間後に回収した細胞
から調製した抽出物のウエスタンブロット分析。抗体J
M122を用いて同数の細胞等価物を含む抽出物のアリ
コートを分析した。サンプルは、以下の構築物からのR
NAを用いてエレクトロポレーションした細胞からのも
のである:レーン1、pSFV.1-195; レーン2、pSFV.1-1
73; レーン3、pSFV.1-169; レーン4、pSFV.1-153; レ
ーン5、pSFV.△155-161;レーン6、pSFV.△161-166;レ
ーン7、RNAなし。矢印は内部プロセシング部位で開
裂された(Cと表示してある)および開裂されなかった
(UCと表示してある)コア形態を示す。 B.コアタンパク質のin vitro翻訳。10% ポリアクリル
アミドゲルを用いて反応生成物を電気泳動し、オートラ
ジオグラフィーによって検出した。サンプルは以下の構
築物を含む反応液からのものである: レーン1、pgHCV.
1-195;レーン2、pgHCV.1-173;レーン3、pgHCV.1-15
3。
【0096】図2.コアタンパク質および脂質小滴の細
胞内局在の共焦点像。 BHK C13細胞をエレクトロポレーションの20時間後に回
収し、4%パラホルムアルデヒド、0.1% Triton X-100で
固定した。抗体JM122およびFITCに結合した抗
マウス二次抗体を用いて間接免疫蛍光法を実施した。オ
イルレッドOを用いて脂質小滴を染色した。パネルA,
D,G,J,M,P,SおよびVはコアタンパク質の分
布を示す。パネルB,E,H,K,N,Q,TおよびW
は脂質小滴の位置を示す。パネルC,F,I,L,O,
R,UおよびXはコアタンパク質および脂質小滴の合併
像(merged image)を示す。細胞は、以下の構築物からの
RNAを用いてエレクトロポレーションした:パネル
A,BおよびC,pSFV.1-195; パネルD,EおよびF,
pSFV.1-173; パネルG,HおよびI,pSFV.1-169; パネ
ルJ,KおよびL,pSFV.1-153; パネルM,Nおよび
O,pSFV.△155-161;パネルP,QおよびR,pSFV.△16
1-166;パネルS,TおよびU,pSFV.△125-144;パネル
V,WおよびX,pSFV.1-124, 145-152。
【0097】図3.共焦点顕微鏡検査法によるBHK C13
細胞中のADRP検出能に及ぼすコアタンパク質発現の
影響。 細胞をエレクトロポレーションの20時間後に回収し、メ
タノールで固定した。抗アジポフィリン(adipophilin)
抗体を用いてADRPを、また308 抗血清を用いてコア
タンパク質を検出した。二次抗体は(抗アジポフィリン
に対しては)FITCと結合した抗マウスIgG、およ
び(抗308 抗血清に対しては)Cy5と結合した抗ウサ
ギIgGであった。パネルA,D,G,J,MおよびP
は、ADRP局在の像である。パネルB,E,H,K,
NおよびQは、コア分布の像である。パネルC,F,
I,L,OおよびRは、コアおよびADRP分布の合併
像を示す。細胞は、以下の構築物からのRNAを用いて
エレクトロポレーションした:パネルA,BおよびC,
pSFV.1-195; パネルD,EおよびF,pSFV.1-173; パネ
ルG,HおよびI,pSFV.1-169; パネルJ,Kおよび
L,pSFV.1-153; パネルM,NおよびO,pSFV.△155-1
61;パネルP,QおよびR,pSFV.△161-166。
【0098】図4.共焦点顕微鏡検査法によるMCA RH77
77細胞中のADRP検出能に及ぼすコアタンパク質発現
の影響。 細胞を図3の説明に記述するようにして検査した。
【0099】図5.ADRPの豊富さに及ぼすコアタン
パク質発現の影響。pSFV.1-195および pSFV.1-153 から
のRNAを用いてBHK C13細胞をエレクトロポレーショ
ンし、図に示したエレクトロポレーション後の時間に抽
出物を調製した。10%ポリアクリルアミドゲル上で細胞
抽出物のアリコートを電気泳動し、次にウエスタンブロ
ット分析のためにタンパク質をニトロセルロース膜に転
写した。上部のパネルはJM122抗体を用いて釣り上
げた膜を示す。他方、下部パネルでは抗アジポフィリン
抗体を用いて膜を釣り上げた。pSFV.1-195および pSFV.
1-153 から発現されたコアタンパク質ならびにADRP
に対応するバンドを矢印で示す。
【0100】材料および方法 細胞系 ベビーハムスター腎(BHK)C13細胞を、10%ウシ新生児
血清、100 IU/mlペニシリン/ストレプトマイシンおよ
び5%リン酸トリプトース(tryptose)ブロスを補充したGl
asgow改変イーグル培地中で維持した。ラット肝細胞ガ
ン細胞系MCA RH7777を、20%ウシ胎児血清、100 IU/mlペ
ニシリン/ストレプトマイシン、1 x 非必須アミノ酸お
よび2 mM L-グルタミンを補充した最小必須イーグル培
地中で維持した。
【0101】免疫学的試薬 抗体JM122は、ヒスチジン・タグに結合した、HC
V Glasgow株によってコードされるコアタンパク質の
N末端118アミノ酸残基から成る精製融合タンパク質
(細菌中で発現させた)に対して産生させたマウスモノ
クローナル抗体であった。抗血清308は、ウサギ中で分
岐ペプチド ([A/P]KPQRKTKRNT[I/N]RRPQDVKFPGG)8K7A
に対して産生させた。このペプチドはHCV Glasgow
株によってコードされるコアタンパク質(配列番号1)
の5-27残基から成る。他の単離株からのコアタンパク質
に対して反応性の抗血清を得るため、位置1および12に
2つの縮重部位を導入した。アジポフィリン抗体は Cym
bus Biotechnology Ltd.より入手した。二次抗体は Sig
maより入手した。ただし、Cy5結合ヤギ抗ウサギIgG
のみはAmershamより入手した。
【0102】プラスミドの構築 HCV Glasgow株のコアタンパク質のコード領域を含
むプラスミドは、core.pTZ18および 5'-△NS2 と呼ばれ
る2つの構築物(M. McElweeおよびR. Elliottによって
提供された)からの断片を組合わせることによって得
た。core.pTZ18は、HCV Glasgow株ゲノムのヌクレ
オチド残基337-915 を有し、また5'- △NS2は残基1-289
5を有する。これらのプラスミドからのDNA断片をpGE
M1 と呼ばれるベクター中で組合せ、pgHCV.CE1E2 と称
する構築物を作製した。このプラスミドは、HCV Gl
asgow株ゲノムのヌクレオチド残基337-2895を含んでお
り、したがってこの単離株のコア、E1およびE2タン
パク質をコードする。
【0103】クローニングの目的上、残基337のすぐ上
流に位置する配列を改変してBgl IIおよびKpn I 制限酵
素部位の認識配列を含むようにした。また、残基2895の
すぐ下流には、翻訳終止コドンおよびそれに続くBgl II
制限酵素部位の配列をコードするオリゴヌクレオチドを
挿入した。pgHCV.CE1E2 を作製するため、コア、E1お
よびE2配列を含むBgl IIDNA断片をpGEM1 のBam HI
部位に挿入した。pGEM主鎖のEco RI部位にBgl II制限酵
素部位を導入することによって、このプラスミドをさら
に改変した。誘導体プラスミドpgHCV.1-195 の構築は、
翻訳終止コドンおよびBgl II酵素部位の認識配列の両方
を有するオリゴヌクレオチド(GCTGAGATCTA)をHCVゲ
ノムの残基925にあるFsp I 酵素部位とpGEM主鎖のHind
III酵素部位の間に挿入することにより達成した。した
がって、pgHCV.1-195 は、HCVGlasgow株のN末端195
アミノ酸をコードする。HCV Glasgow株のこの領域
のヌクレオチド配列および予想されるアミノ酸配列を配
列番号1に示す。pgHCV.1-195 から、HCVコード領域
の種々の領域を除去した下記の一連の構築物を作製した
(1〜3および6においては、pgHCV の後に付した数字
は各構築物によってコードされる、HCV Glasgow株
のアミノ酸残基を表す)。
【0104】1.pgHCV.1-173 は、pgHCV.1-195のBst E
II酵素部位(HCV Glasgow株ゲノムのヌクレオチド
残基841にある)とHind III酵素部位(pGEM主鎖に位置
する)の間にオリゴヌクレオチド GTAACCTTCCTGGTTGCTC
TTGAGATCTAを挿入することにより構築した。 2.pgHCV.1-169 は、pgHCV.1-195のBst EII酵素部位
(HCV Glasgow株ゲノムのヌクレオチド残基841にあ
る)とHind III酵素部位(pGEM主鎖に位置する)の間に
オリゴヌクレオチド GTAACCTTTGAGATCTAを挿入すること
により構築した。 3.pgHCV.1-153 は、pgHCV.1-195のBst XI酵素部位
(HCV Glasgow株ゲノムのヌクレオチド残基792にあ
る)とHind III酵素部位(pGEM主鎖に位置する)の間に
オリゴヌクレオチド CTGGCGCATTGAGATCTAを挿入するこ
とにより構築した。 4.pgHCV.△155-161 は、pgHCV.1-195のBst XI酵素部
位とBst EII酵素部位(それぞれHCV Glasgow株ゲノ
ムのヌクレオチド残基792および841にある)の間にオリ
ゴヌクレオチド CTGGCCCATGGTGTTAACTATGCAACAG を挿入
することにより構築した。この構築物はHCV Glasgo
w株のコアタンパク質の残基155から161をコードするヌ
クレオチド配列を欠損している。 5.pgHCV.△161-166 は、pgHCV.1-195のBst XI酵素部
位とBst EII酵素部位の間に別のオリゴヌクレオチド CT
GGCCCATGGCGTCCGGGTTCTGGAAGACGを挿入することにより
構築した。この構築物はHCV Glasgow株のコアタン
パク質の残基161から166をコードするヌクレオチド配列
を欠損している。 6.pgHCV.1-124, 145-152は、pgHCV.1-195のCla I酵素
部位(HCV Glasgow株ゲノムのヌクレオチド残基710
にある)とHind III酵素部位(pGEM主鎖に位置する)の
間にオリゴヌクレオチド CGATAGAGGCGCTGCCAGGGCCCTGGC
GTGAGATCTAを挿入することにより構築した。 7.pgHCV.△125-144 は、pgHCV.1-124, 145-152からの
400 bpの Kpn I/Bst XIDNA断片(これは残基1-124お
よび145-152 を含む)をpgHCV.1-195からの2970bpの Kp
n I/Bst XI DNA断片(これは残基153-195を含む)に
挿入することによって構築した。
【0105】組織培養細胞中で発現させるため、適切な
HCV配列を担持するBgl IIDNA配列をpgHCV プラス
ミドシリーズから調製し、セムリキ森林熱ウイルス(Se
mliki Forest virus)ベクターpSFV1 のBam HI部位に挿
入した。得られたプラスミドをpSFV.シリーズ(例え
ば、pSFV.1-195)と名付けた。
【0106】in vitro翻訳 Promega によって供給される一体型(coupled)転写/翻
訳キットを用いて、タンパク質をin vitroで翻訳した。
1 μgのDNAを鋳型として用いて、製造者の指示にし
たがって反応を実施した。in vitro転写 エレクトロポレーションの前に、Spe I酵素部位で線状
化した適切なpSFVプラスミドからin vitroでRNAを転
写した。典型的には、反応液は容量が20μlで、40 mM T
ris (pH 7.5)、6 mM MgCl2、2 mMスペルミジン、10 mM
NaCl、1 mM DTT、1 mM ATP、1 mM CTP、1 mM UTP、0.5
mM GTP、1 mM m7G(5')ppp(5')G キャップ類似体、50単
位のRnasin、50単位のSP6 RNAポリメラーゼ、および
2 μgの線状化DNAを含んでいた。反応は37℃で2時
間実施した。反応生成物をアガロースゲル電気泳動によ
って分析して、エレクトロポレーションに用いる前に合
成されたRNAの質および量を調べた。
【0107】エレクトロポレーション用のコンピテント
細胞の調製 細胞を洗浄し、組織培養容器から引き離すためにトリプ
シンで処理した。引き離した細胞を20 mlの増殖培地に
懸濁し、100 gで5分間室温で遠心した。細胞ペレット
を50 mlのPBSAに懸濁し、上記のように遠心した。ペレ
ットを最終濃度が約2 x 107細胞/mlとなるようにPBSA
に懸濁した。細胞のエレクトロポレーションおよび細胞抽出物の調製 エレクトロポレーションキュベット(0.4 cmギャップ)
中で0.8 mlのコンピテント細胞をin vitroで転写したR
NAと混合し、1.2 kV, 25μF (BHK C13細胞の場合)ま
たは0.36 kV, 960μF (MCA RH7777細胞の場合)でパル
スを2回かけた。パルスの間に、細胞/RNA懸濁物を
穏やかに混合した。エレクトロポレーション後、細胞を
増殖培地で希釈し、組織培養皿、または24ウエル組織培
養プレートのカバーグラスに播いて、37℃でインキュベ
ートした。抽出物を調製するため、増殖培地を除去し、
細胞単層をPBSで洗浄することによりエレクトロポレー
ションした細胞を回収した。細胞をPBS 中にはぎ取り、
100 gで5分間4℃で遠心してペレット化した。該細胞
ペレットを、160 mM Tris (pH 6.7)、2% SDS、700 mMβ
-メルカプトエタノール、10% グリセロール、0.004%ブ
ロモフェノールブルーからなるサンプル緩衝液中で可溶
化した。または、PBS で洗浄した細胞にサンプル緩衝液
を直接添加した。細胞は、サンプル緩衝液1 mlあたり約
4 x 106細胞等価物の濃度で可溶化した。サンプルを100
℃に5分間加熱し、タンパク質および核酸を完全に変性
させた。
【0108】SDS-PAGEおよびウエスタンブロット分析 サンプルを電気泳動用に調製し、そして標準的技法を用
いて、2.5% (wt/wt) N,N'-メチレンビスアクリルアミド
を用いて架橋させたポリアクリルアミドゲル上でタンパ
ク質を分離した。オートラジオグラフィーまたはクーマ
シーブリリアントブルーを用いた染色によってポリペプ
チドを検出した。ウエスタンブロット分析のため、標準
的技法を用いてタンパク質をポリアクリルアミドゲル上
で分離し、ニトロセルロース膜に転写した。このニトロ
セルロース膜を、一次抗体と共にインキュベーションす
る前に、3%ゼラチン、20 mM Tris(pH 7.5)、500 mM NaC
l 中で少なくとも6時間37℃でブロックした。一次抗体
(アジポフィリン抗体は1/500 に、JM122は1/1000
に希釈)とのインキュベーションは、1%ゼラチン、20 m
M Tris (pH 7.5)、500 mM NaCl、0.05% Tween 20中で、
室温でまたは37℃で、約3〜4時間実施した。20 mM Tris
(pH 7.5)、500 mM NaCl、0.05% Tween 20を用いてまん
べんなく洗浄した後、膜を、一次抗体に用いたのと同じ
溶液に入れた、1/1000希釈の西洋ワサビペルオキシダー
ゼ結合抗マウスIgGと共に室温で2時間インキュベー
トした。増強された化学発光によって結合抗体を検出し
た。
【0109】間接免疫蛍光法および脂質の染色 13 mmのカバーグラス上の細胞を-20℃のメタノールまた
は4℃の4%パラホルムアルデヒド、0.1% Triton X-100
(PBS 中に調製)中に30分間固定した。PBS で洗浄し、
PBS/CS (1%ウシ新生児血清を含むPBS)でブロックした
後、細胞を一次抗体(PBS/CSを用いてJM122抗体は
1/200に、308抗血清は1/1000に、アジポフィリン抗体は
1/100に希釈)と共に室温で2時間インキュベートし
た。PBS/CSを用いて細胞をまんべんなく洗浄し、次に結
合(conjugated)二次抗体(ヤギ中に産生させた抗マウス
または抗ウサギIgG)と共に室温で2時間インキュベ
ートした。Citifluorを用いてスライドにマウントする
前に、細胞をPBS/CS溶液、次にPBS 溶液、そして最後に
H2Oを用いて細胞をまんべんなく洗浄した。サンプルはL
eiss LSM 共焦点顕微鏡を用いて分析した。
【0110】両方の抗体と共にインキュベートし、洗浄
した後、パラホルムアルデヒドで固定した細胞中で脂質
小滴を染色した。これは、カバーグラスを60%プロパン-
2-オールで簡単にすすぎ、次にオイルレッドOを含む0.
5 mlの60%プロパン-2-オールと共に室温で1.5-2分間イ
ンキュベートすることにより実施した。カバーグラスを
60%プロパン-2-オールで簡単にすすぎ、PBS およびH2O
で洗浄し、上記のようにマウントした。オイルレッドO
染色溶液は、プロパン-2-オールに溶解した約1%オイル
レッドOの飽和原液から調製した。染色に使用する前
に、原液H2Oで希釈し、濾過した。
【0111】結果 〔実施例1〕組織培養細胞におけるHCVコアタンパク
質および変異体の発現 現在、組織培養細胞中でHCVを増殖させるために使用
できる系はない。したがって、HCV遺伝子産物の発現
は異種発現系の使用を余儀なくされる。哺乳動物細胞に
おける短期間発現のためには、ワクシニアウイルス、セ
ンダイウイルスおよびアデノウイルスを含む種々のウイ
ルスベクターが使用されてきた。さらなる代替物はセム
リキ森林熱ウイルス(SFV)系で、この系ではin vitroで
転写されたRNA(SFV複製タンパク質ならびに異種タ
ンパク質をコードするが、SFV構造タンパク質をコード
しない)が組織培養細胞中に導入される。細胞への核酸
の導入は幾つかの経路によって達成されうる。しかし、
本発明の実施例においては選択された方法はエレクトロ
ポレーションである。
【0112】pSFV構築物シリーズからのRNAを用いて
BHK 細胞をエレクトロポレーションした。エレクトロポ
レーションの20時間後に、細胞を回収し、抽出物を調製
した。10% ポリアクリルアミドゲル上でサンプルを電気
泳動し、泳動後、ウエスタンブロット分析のためタンパ
ク質をニトロセルロース膜に転写した。コア特異的モノ
クローナル抗体JM122を用いて膜を釣り上げたとこ
ろ、各サンプルにコアタンパク質に対応する主要な単一
種が示された。pSFV.1-195および末端を切断した(trunc
ated)2つの変異体pSFV.1-173およびpSFV.1-169によっ
て作製されたタンパク質の見かけの分子量は約21 kDa
で、殆ど同一である(図1A、レーン1〜3)。コアと
E1コード領域との間の開裂は、残基191と192の間で起
こる。しかし、コアタンパク質は残基174のあたりで開
裂によってさらにプロセシングされる、ということを明
らかにする更なるデータが存在する(Moradpourら,199
6)。この開裂部位を以後内部プロセシング部位と呼ぶ。
この第2開裂現象が起こる正確な残基は知られていな
い。したがって、図1A、レーン1〜3と一致して、上
記の3つの構築物が類似した分子量の産物を生成するこ
とが予想されるであろう。
【0113】組織培養細胞内で起こる残基169-173 付近
での開裂現象のさらなる証拠を図1Bに示す。ここで
は、3つのコア変異体のpGEMバージョンからin vitroで
翻訳されたポリペプチドにより、pSFV.1-195から作製さ
れたプロセシングされていない種はpSFV.1-173から作製
された種よりも大きいことがわかる(レーン1と2を比
較されたい)。第3の末端切断型形態の(truncated for
m)コアのコード配列から予想されるように、pSFV.1-153
から合成される主要な種は、pSFV.1-195からのそれより
も低い見かけ分子量を有する(図1A、レーン1と4を
比較されたい)。内部欠失突然変異体であるpSFV.△155
-161 およびpSFV.△161-166 によって作製された主要な
種は、大きさがpSFV.1-195から作製されたものとpSFV.1
-153から作製されたものの中間にある(図1A、レーン
5および6)。再度、このことはこれらの変異体におい
て除去されたアミノ酸数に基づく予想とよく一致してい
る(pSFV.△155-161 では7個、およびpSFV.△161-166
では6個)。完全にプロセシングされた形態のコアより
も高い分子量を有する、2つの内部欠失突然変異体から
生成された有意な量の物質が存在することもまた明らか
である。これは推定上、これらの突然変異体における十
分に効率的なプロセシングに必要なある残基の除去に起
因するかもしれない、内部プロセシング部位における減
少した開裂を表す。結論すると、SFV 構築物によって生
成されたコアタンパク質およびその変異体はコア特異的
抗体によって検出することができ、そしてそれらの見か
け分子量はヌクレオチド配列および以前に公表されたデ
ータからの予想に一致する。
【0114】〔実施例2〕HCVコアタンパク質の細胞
内分布 以前の研究が、HCVコアタンパク質は細胞の細胞質内
で脂質小滴と結合できることを明らかにした(Barba,
G. ら,1997; Moradpour, D. ら,1996)。免疫電子顕微
鏡検査の技法と四酸化オスミウムで脂質を染色する能力
を組み合わせることによってこの結論に達した。しか
し、この方法は時間がかかり、また四酸化オスミウムは
脂質以外の生物学的分子(例えばタンパク質)も染める
可能性がある、という不利な点がある。そこで本発明者
らは、間接免疫蛍光法およびそれに続く油溶性着色剤オ
イルレッドOを用いた脂質小滴の染色による、まずタン
パク質を検出する方法を開発した。共焦点顕微鏡検査法
と組み合わせると、コアタンパク質および脂質小滴の細
胞内局在を別々に、および一緒に可視化することが可能
である。典型的な例を図2、パネルA〜Cに示す。ここ
では、pSFV.1-195のRNAを用いてBHK C13 細胞をエレ
クトロポレーションし、37℃で20時間インキュベーショ
ンした後、細胞を間接免疫蛍光法およびオイルレッドO
による染色の両方で検査した。パネルAでは、pSFV.1-1
95によって生成されたコアタンパク質が細胞質内の小胞
構造体に位置するのが見られる。パネルBは、同一細胞
内における脂質小滴の分布を示す。これらのデータを合
併する(merge)ことにより(パネルC)、コアタンパク
質が脂質小滴の周囲に位置していることが明らかであ
る。したがって、これらのデータはコアの全長コード領
域を発現する構築物に関して以前に公表された結果と一
致する。
【0115】〔実施例3〕HCVコアタンパク質の細胞
内脂質小滴との結合は、アミノ酸161〜166および125〜1
44を必要とする。 末端切断型形態のコアタンパク質を生じる構築物を用い
た結果は、コアコード領域の173 および169 アミノ酸か
らなるタンパク質もまた小滴に位置することを示す(図
2、パネルD〜I)。対照的に、N末端側153 残基のみ
を発現させると小滴への局在が失われ、拡散した細胞質
分布が観察される(図2、パネルJ〜L)。したがっ
て、アミノ酸154〜169の間のコアタンパク質の残基は小
滴への局在に必要とされる。内部欠失突然変異体pSFV.
△155-161 およびpSFV.△161-166 を用いた試験は、コ
アタンパク質の局在に重要であるかもしれないこの16ア
ミノ酸領域内部のセグメントをさらに調べた。得られた
データから、155から161の間の残基の除去は脂質小滴結
合に影響を及ぼさなかったが、他方、161から166の間の
残基の除去は拡散した細胞質パターンをもたらした(図
2、パネルM〜OをパネルP〜Rと比較されたい)。し
たがって、残基154から169の間で、161から166のアミノ
酸は、コアタンパク質の脂質小滴に局在する能力に不可
欠な役割を果たす。
【0116】他の内部欠失突然変異体(残基9-43、4-75
および80-118を除去したもの)のさらなる分析により、
これらの構築物によって作製されたコアタンパク質が脂
質小滴と結合し続けたことが示された(データは掲げて
いない)。したがって、これらの領域は小滴への結合に
とっては重要でない。しかし、残基125〜144 を削除し
たコア変異体を発現する構築物は小滴にそって分布せ
ず、拡散した細胞質蛍光を示した(図2、パネルS、T
およびU)。したがって、この突然変異体は、161から1
66の間のセグメントに加えて、小滴との結合に必要な第
2領域を同定する。データは、脂質小滴をターゲッティ
ングするために両方の配列が必要であることを示唆して
いる。これらのデータと一致して、残基152で末端切断
されていて、かつアミノ酸125から144を欠くコア変異体
もまた小滴と結合しない(図2、パネルV、Wおよび
X)。さらに、ターゲッティング配列を両方とも削除さ
れたこのタンパク質は、分解の結果、エレクトロポレー
ションした細胞に少量存在する。
【0117】〔実施例4〕コアタンパク質の局在が脂質
小滴結合タンパク質ADRPに及ぼす影響 現在、脂質小滴に結合することが知られているタンパク
質は哺乳動物細胞中ではほんの少数しか同定されていな
い。最近同定された1つのタンパク質は、多数の組織培
養細胞系で遍在的に発現されるADRPである。ADR
P mRNAもまたマウスにおける組織タイプの範囲に
おいて検出されている。コアタンパク質の脂質小滴への
局在がADRPに何らかの影響を及ぼすかどうか調べる
ため、コアタンパク質およびその変異体を発現する一連
のpSFV構築物を用いてBHK C13細胞をエレクトロポレー
ションした。データの一例を図3に示す。パネルAから
CはpSFV.1-195を用いてエレクトロポレーションした3
つの細胞の像を示す;このうち1つのみがコアタンパク
質を含む(パネルB)。アジポフィリン抗体を用いた場
合の免疫蛍光法の結果(パネルA)は、ADRPが以前
に指定した脂質小滴との結合と一致して、小胞構造体上
に位置することを示す。コアタンパク質を発現しない細
胞中ではADRPタンパク質は容易に検出されるが、コ
アを発現する細胞においてはADRPの豊富さは相当減
少している。この実験および一連の他の実験からの観察
は、pSFV.1-195からのコアタンパク質を発現する細胞は
ADRPを欠くか、またはかろうじて検出できる量のA
DRPを含むことを首尾一貫して示した。それにもかか
わらず、コアタンパク質とADRPの両方が存在する細
胞も幾つか見いだされた;一般に、そのような細胞では
コアタンパク質の蛍光が減少していた。したがって、A
DRPの喪失は個々の細胞におけるコアの発現レベルに
関連していると結論された。脂質小滴に局在し続けたコ
アの変異体を用いた結果は、同一のデータを示した(パ
ネルD〜IおよびM〜O)。したがって、構築物pSFV.1
-173、pSFV.1-169およびpSFV.△155-161からのコアタン
パク質を発現する細胞の大半は、かろうじて検出できる
量のADRPを含んでいた。対照的に、pSFV.1-153およ
びpSFV.△161-166 からのコアタンパク質(脂質小滴と
結合しない変異体)を産生する細胞においては、ADR
Pは引き続き容易に見いだされた(パネルJ〜Lおよび
P〜R)。したがって、コアタンパク質と脂質小滴との
結合は、免疫蛍光法によるADRP検出能の喪失と相関
している。ラット肝細胞ガン細胞系 MCA RH7777 を用い
て同一の実験を実施することによって、この影響につい
て任意の細胞タイプ特異性を試験した。これらの細胞に
おいて、コアタンパク質およびその変異体は、脂質小滴
に結合する能力について同一の結果をもたらした。そし
て、これは再度コア発現細胞における検出されたADR
Pのレベルと相関していた(図4)。したがって、AD
RPに及ぼすコアタンパク質の影響は細胞タイプ特異的
ではない。
【0118】〔実施例5〕脂質小滴と結合するコアタン
パク質の能力はADRPの喪失を誘導する。 免疫蛍光法のデータは、コアタンパク質およびその変異
体と脂質小滴との結合は、ADRPの検出不能をもたら
すことを明らかにした。これはコアによるADRPのマ
スキングのためである可能性があった。ADRPのレベ
ルに及ぼすコアタンパク質の影響を直接調べるため、pS
FV.1-195またはpSFV.1-153RNAを用いてエレクトロポ
レーションした後、種々の時間に調製した細胞抽出物を
用いてウエスタンブロット分析を実施した。これと平行
して、これらの細胞について免疫蛍光分析もまた実施
し、これは上記2つのRNAによって産生されるコアタ
ンパク質の発現は、90%以上の細胞において明らかであ
ることを示した。抗体JM122を用いた分析は、コア
タンパク質は両方の構築物からエレクトロポレーション
の10時間後に検出可能であること、そして約20時間後ま
でにピークに達することを示した(図5)。上記2つの構
築物によって産生されるコアタンパク質の豊富さは、こ
の時点まで非常に類似していた。ADRP特異的抗体を
用いたこれらのサンプルの分析から、pSFV.1-153RNA
を用いてエレクトロポレーションした後ではADRPの
豊富さに変化がないことは明らかである。HCVE1お
よびE2タンパク質を発現するSFV RNAを用いてエレ
クトロポレーションしたこの実験の第3組の細胞もま
た、時間経過にともなうADRPレベルの低下を全く示
さなかった。対照的に、pSFV.1-195から作製されたコア
タンパク質の増加を反映する、ADRPレベルのかろう
じて検出できる量への急速な低下がある。
【0119】クーマシーブリリアントブルーを用いたポ
リアクリルアミドゲルの染色から、すべてのサンプルに
は殆ど同量のタンパク質が存在していた。さらに、小胞
体特異的タンパク質カルネキシン(calnexin)に対する別
の抗体を用いて膜を釣り上げたところ、pSFV.1-195およ
びpSFV.1-153サンプルの両方がエレクトロポレーション
後の種々の時間において類似した量の上記タンパク質を
有していることが示された。コアタンパク質発現のAD
RPに対するこの影響は、他の実験においても一貫して
見いだされた。したがって、コアタンパク質と脂質小滴
との結合は細胞におけるADRPタンパク質の豊富さの
特異的減少と直接相関している。
【0120】〔実施例6〕HCVターゲッティング配列
に融合された目的のタンパク質のターゲッティング HCVコアが、細胞内脂質小球に連結された目的のタン
パク質をターゲッティングできるかどうかを確認するた
めに、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)VP22タンパク
質(遺伝子UL49によりコードされる)に連結したHCVコ
アタンパク質配列から構成される融合構築物を作製し
た。該融合構築物は(N末端からC末端に向かって)、 1)HCVコアのN末端側8残基またはN末端側43残
基、 2)残基6−275および残基173−275をコードするHSV−1
UL49遺伝子のセグメント、 3)残基ERKTPRVTGGからなるエピトープ・タグ(McLauch
lan,J.ら、1994)、 4)120−195および120−169からのHCVコアのC末端
残基、 を含んでいる。
【0121】また、HCVのN末端側残基およびHCV
のC末端側残基が隣接しており、かつそれがUL49コード
配列のC末端またはN末端に位置している(すなわち、上
記の2,3,1,4または1,4,2,3)構築物も使用することがで
きる。これらの構築物はSFVベクター系を用いて発現さ
れ、また該構築物が脂質小滴と結合する能力は上記の免
疫蛍光およびオイルレッドO染色により評価されうる。
エピトープ・タグを検出するために使用した抗体はCapr
icorn Productsにより提供された抗HCMV核抗原抗体(MAb
9220)であった。融合タンパク質が予想されたサイズの
ものであること、またコア構築物と比較したその豊富さ
をウェスタンブロット分析により立証するためにこの抗
体を用いることもできる。
【0122】上記の明細書で言及した全ての刊行物は参
考としてここに組み入れてある。本発明の範囲および精
神から逸脱しない、本発明の方法および系の種々の改変
または変法が当業者には明らかであろう。本発明を具体
的な好ましい実施態様に関連して説明してきたが、請求
されている本発明はそのような具体的実施態様に不当に
限定されるべきでないことが理解されなければならな
い。実際、分子生物学または関連分野における当業者に
は自明である、記述された発明の実施態様の種々の改変
は、以下の請求の範囲に含まれるものとする。
【0123】本明細書中に記載の配列の情報を以下に示
す。 配列番号1−HCVコアタンパク質 GGTGCTTGCGAGTGCCCCGGGAGGTCTCGTAGACCGTGCACCATGAGCACGAATCCTAAA 360 CCACGAACGCTCACGGGGCCCTCCAGAGCATCTGGCACGTGGTACTCGTGCTTAGGATTT M S T N P K 6 CCTCAAAGAAAAACCAAACGTAACACCAACCGTCGCCCACAGGACGTTAAGTTCCCGGGT 420 GGAGTTTCTTTTTGGTTTGCATTGTGGTTGGCAGCGGGTGTCCTGCAATTCAAGGGCCCA P Q R K T K R N T N R R P Q D V K F P G 26 GGCGGTCAGATCGTTGGTGGAGTTTACTTGTTGCCGCGCAGGGGCCCTAGATTGGGTGTG 480 CCGCCAGTCTAGCAACCACCTCAAATGAACAACGGCGCGTCCCCGGGATCTAACCCACAC G G Q I V G G V Y L L P R R G P R L G V 46 CGCGCGACGAGGAAGACTTCCGAGCGGTCGCAACCTCGAGGTAGACGTCAGCCTATCCCC 540 GCGCGCTGCTCCTTCTGAAGGCTCGCCAGCGTTGGAGCTCCATCTGCAGTCGGATAGGGG R A T R K T S E R S Q P R G R R Q P I P 66 AAGGCACGTCGGCCCAAGGGCAGGAACTGGGCTCAGCCCGGGTATCCTTGGCCCCTCTAT 600 TTCCGTGCAGCCGGGTTCCCGTCCTTGACCCGAGTCGGGCCCATAGGAACCGGGGAGATA K A R R P K G R N W A Q P G Y P W P L Y 86 GGCAATGAGGGTTGCGGGTGGGCGGGATGGCTCCTGTCCCCCAGTGGCTCTCGGCCTAGT 660 CCGTTACTCCCAACGCCCACCCGCCCTACCGAGGACAGGGGGTCACCGAGAGCCGGATCA G N E G C G W A G W L L S P S G S R P S 106 TGGGGCCCCAACGACCCCCGACGTAGGTCGCGCAATTTGGGTAAGGTCATCGATACCCTT 720 ACCCCGGGGTTGCTGGGGGCTGCATCCAGCGCGTTAAACCCATTCCAGTAGCTATGGGAA W G P N D P R R R S R N L G K V I D T L 126 ACGTGCGGCTTCGTCGATCTCATGGGGTACATACCGCTCGTCGGCGCCCCTCTTAGAGGC 780 TGCACGCCGAAGCAGCTAGAGTACCCCATGTATGGCGAGCAGCCGCGGGGAGAATCTCCG T C G F V D L M G Y I P L V G A P L R G 146 GCTGCCAGGGCCCTGGCGCATGGCGTCCGGGTTCTGGAAGACGGTGTGAACTATGCAACA 840 CGACGGTCCCGGGACCGCGTACCGCAGGCCCAAGACCTTCTGCCACACTTGATACGTTGT A A R A L A H G V R V L E D G V N Y A T 166 GGTAACCTTCCTGGTTGCTCTTTCTCTATCTTCCTTCTGGCCCTGCTCTCTTGCCTGACT 900 CCATTGGAAGGACCAACGAGAAAGAGATAGAAGGAAGACCGGGACGAGAGAACGGACTGA G N L P G C S F S I F L L A L L S C L T 186 GTGCCCGCTTCAGCCTACCAAGTGCGCAAC 930 CACGGGCGAAGTCGGATGGTTCACGCGTTG V P A S A Y Q V R N 196
【0124】 配列番号2−1−HCVコアタンパク質−アミノ酸番号125〜144 ACCCTTACGTGCGGCTTCGTCGATCTCATGGGGTACATACCGCTCGTCGGCGCCCCTCTT 777 TGGGAATGCACGCCGAAGCAGCTAGAGTACCCCATGTATGGCGAGCAGCCGCGGGGAGAA T L T C G F V D L M G Y I P L V G A P L 144
【0125】 配列番号3−1−HCVコアタンパク質−アミノ酸番号161〜166 GGTGTGAACTATGCAACA 840 CCACACTTGATACGTTGT G V N Y A T 166
【0126】
【参照文献】
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174 Schnieke, A.E.ら、1997, Science 278; 21302133 Sola, I.ら、1998, J .Virol. 72; 37623772 Wootton & Federhen, 1993, Computers and Chemistry
17: 149-163
【0127】
【図面の簡単な説明】
【図1】HCVコアタンパク質に対する抗体を用いて釣
り上げたウエスタンブロットを示す。
【図2】コアタンパク質および脂質小滴の細胞内局在の
共焦点顕微鏡検査像を示す。
【図3】BHK C13 細胞におけるADRP検出能に及ぼす
HCVコアタンパク質発現の影響を例証する、細胞の共
焦点顕微鏡検査像を示す。
【図4】ADRPの豊富さに及ぼすHCVコアタンパク
質発現の影響を例証する、細胞の共焦点顕微鏡検査像を
示す。
【図5】HCVコアタンパク質およびアジポフィリンに
対する抗体を用いて釣り上げたウエスタンブロットを示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/68 C12Q 1/70 4H045 1/70 A61K 31/00 631K // A61P 31/14 39/29 A61K 39/29 C12N 5/00 B (C12N 15/09 ZNA C12R 1:92) (C12N 5/10 C12R 1:91) (72)発明者 ジョン マクラクラン イギリス国 ジー64 1エイチ エー グ ラスゴウ,ビショップブリッジズ, カト リーン アベニュー 42 Fターム(参考) 4B024 BA31 BA80 CA02 CA10 CA12 DA02 EA04 GA11 GA14 HA11 4B063 QA01 QQ43 QQ53 QQ79 QR60 QR66 QR77 QS16 QS33 QS36 QS38 QX01 QX02 4B064 AG01 AG33 CA10 CA19 CC01 CC24 CE14 DA01 DA13 4B065 AA90X AA96Y AB01 AC14 AC16 BA03 BC01 BD01 BD50 CA24 CA45 CA46 4C085 AA02 BA87 CC21 4H045 AA10 AA11 AA20 CA02 DA86 EA31 EA50 FA74

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 目的のタンパク質(POI)に結合され
    た脂質小球ターゲッティング配列を含んでなるタンパク
    質であって、前記ターゲッティング配列がC型肝炎ウイ
    ルス(HCV)コアタンパク質またはその断片もしくは
    相同体を含むことを特徴とする、上記タンパク質。
  2. 【請求項2】 前記断片がHCVコアタンパク質のアミ
    ノ酸125から144および/または161から166を親水性配列
    と共に含む、請求項1に記載のタンパク質。
  3. 【請求項3】 前記POIが少なくとも1つのエピトー
    プを含む、請求項1または2に記載のタンパク質。
  4. 【請求項4】 前記POIがウイルスまたは細菌のタン
    パク質もしくはその断片である、請求項3に記載のタン
    パク質。
  5. 【請求項5】 前記POIがHCV抗原である、請求項
    4に記載のタンパク質。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のタ
    ンパク質および脂質小球を含むことを特徴とする組成
    物。
  7. 【請求項7】 C型肝炎ウイルス(HCV)コアタンパ
    ク質または脂質小球に結合することができるその断片お
    よび脂質小球を含むことを特徴とする組成物。
  8. 【請求項8】 前記断片がHCVコアタンパク質のアミ
    ノ酸125から144および/または161から166を含む、請求
    項7に記載の組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のタ
    ンパク質をコードするポリヌクレオチド。
  10. 【請求項10】 適当な宿主細胞内でのタンパク質の発現
    を可能とする制御配列に機能しうる形で連結された請求
    項9に記載のポリヌクレオチド。
  11. 【請求項11】 宿主細胞が脂肪細胞である、請求項1
    0に記載のポリヌクレオチド。
  12. 【請求項12】 宿主細胞がミルク分泌細胞である、請
    求項10に記載のポリヌクレオチド。
  13. 【請求項13】 請求項9〜12のいずれか1項に記載
    のポリヌクレオチドを含有する核酸ベクター。
  14. 【請求項14】 請求項9〜12のいずれか1項に記載
    のポリヌクレオチドまたは請求項12に記載の核酸ベク
    ターを含有する宿主細胞。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の宿主細胞をタンパ
    ク質の発現を可能にする条件下で培養し、該タンパク質
    を回収することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか
    1項に記載のタンパク質の生産方法。
  16. 【請求項16】 本質的に脂質小球ターゲッティング配
    列からなる単離されたポリペプチドであって、前記ター
    ゲッティング配列が少なくとも8アミノ酸の親水性アミ
    ノ酸配列に結合されたHCVコアタンパク質のアミノ酸
    125〜144および161〜166からなることを特
    徴とする、上記単離されたポリペプチド。
  17. 【請求項17】 ポリリンカークローニング部位に機能
    しうる形で連結された請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の脂質小球ターゲッティング配列をコードするポリヌ
    クレオチドを含むことを特徴とする核酸ベクター。
  18. 【請求項18】 天然のHCVコアタンパク質を除くと
    いう条件で、請求項1に記載の脂質小球ターゲッティン
    グ配列に対する抗体と免疫学的に反応することが出来る
    タンパク質。
  19. 【請求項19】 請求項1に記載の脂質小球ターゲッテ
    ィング配列に対する抗体と免疫学的に反応することが出
    来る非HCVタンパク質。
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