JP2000197204A - 電動車両の回生制動制御方法 - Google Patents

電動車両の回生制動制御方法

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JP2000197204A
JP2000197204A JP10373268A JP37326898A JP2000197204A JP 2000197204 A JP2000197204 A JP 2000197204A JP 10373268 A JP10373268 A JP 10373268A JP 37326898 A JP37326898 A JP 37326898A JP 2000197204 A JP2000197204 A JP 2000197204A
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  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高速領域及び超高速領域においても回生充電電
流と制動トルクとを制御することができる電動車両の回
生制動制御方法を提供する。 【解決手段】車両に制動をかける際に、電機子コイルA
u〜Awの誘起電圧と同じ周波数で該誘起電圧に対して
所定の位相角を有する界磁調整用交流電圧をバッテリ3
からインバータ回路6を通して電機子コイルに印加する
ようにインバータ回路の上辺のスイッチ素子Su〜Sw
及び下辺のスイッチ素子Sx〜Szを制御し、界磁調整
用交流電圧の位相角を遅れ側または進み側に変化させる
ことにより、電機子コイルに鎖交する磁束を増加または
減少させて回生充電電流及び制動トルクを制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動機により駆動
される二輪車や四輪車等の電動車両において、電動機か
らバッテリに所定の回生充電電流を流すことにより車両
に制動をかける回生制動制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】バッテリを電源とした電動機により駆動
される電動車両においては、平地を慣性により走行して
いるときや、下り坂を走行しているとき等に、電動機が
外部から駆動される状態になると電動機が発電機として
作用し、電機子コイルに電圧が誘起する。この電機子コ
イルの誘起電圧でバッテリに回生充電電流を流すことに
より、車両に制動をかける方法が知られている。
【0003】バッテリにより駆動される電動機において
は、基本的には、電機子巻線の印加電圧と、電機子巻線
に与えられる駆動電流とにより回転速度が決る。直流電
動機においては、ブラシ付きの電動機の場合も、ブラシ
レス直流電動機の場合も、バッテリの電圧EB と電機子
電流I(平均値)と回転速度Nとの間に、等価的に下記
の式が成立する。
【0004】 EB =k・π(N/60)・p・kw ・w・Φ+I・r …(1) ここで、kは定数、pは電動機の極対数、wは電機子巻
線の巻数、kw は巻線係数、rは電機子巻線の内部抵
抗、Φは界磁により与えられる磁束である。
【0005】(1)式において、右辺の第1項は電機子
巻線の誘起電圧(平均値)を示し、第2項は電機子巻線
における電圧降下を示している。電動機の回転速度が上
昇していくと、第1項の誘起電圧が上昇していき、該誘
起電圧がバッテリ電圧に等しくなると電機子電流Iが零
になる。(1)式においてI=0とした場合の回転速度
は無負荷速度と呼ばれる。直流電動機の無負荷速度No
は、下記の式により与えられる。
【0006】 No =(60EB )/(k・π・p・kw ・w・Φ) …(2) 電動機はその回転速度が無負荷速度No 以下の領域で電
動機として作用し、無負荷速度No を超える領域では発
電機として作用することになる。無負荷速度No は電源
電圧EB を変えることにより変化させることができる
外、ブラシ付き直流電動機では弱め界磁制御により変化
させることができ、ブラシレス直流電動機では制御進み
角制御を行なうことにより変化させることができる。
【0007】電動車両においてダイレクトドライブ方式
(電動機の出力軸を変速機を介することなく、駆動車輪
の車軸に直接伝達する方式)が採用されているものとす
ると、車輪の直径をDとした場合、電動機の無負荷速度
No に相応する車両の走行速度Vo は下記の式で与えら
れる。
【0008】 Vo =π・D・No …(3) 本明細書では(3)式で与えられる走行速度Vo を無負
荷走行速度と呼ぶことにする。
【0009】電機子コイルにバッテリ電圧EB が印加さ
れている電動機を外部から駆動して上記の無負荷速度N
o を超える回転速度で回転させると、電機子コイルに誘
起する電圧(平均値)がバッテリ電圧を超えるため、電
動機側からバッテリ側に回生充電電流が流れるようにな
る。
【0010】図7は、ブラシレス直流電動機を駆動源と
した電動二輪車において、電機子コイルにバッテリ電圧
が印加されている電動機を外部から駆動する状態にした
ときに電動機側からバッテリに流れる回生充電電流Ia
と走行速度Vとの関係、及び該充電電流Ia が流れるこ
とにより生じる制動トルクτa と走行速度Vとの関係を
示したものである。ダイレクトドライブ方式の電動車両
の場合、図7の横軸の走行速度Vは電動機の回転速度N
[rpm]に対応している。
【0011】周知のように、ブラシレス直流電動機が用
いられる場合には、多くの場合、n相(nは3以上の整
数)の電機子コイルに駆動電流を転流させるために、ス
イッチ素子のブリッジ回路と各スイッチ素子に逆並列接
続されたダイオードとからなるn相ブリッジ形のインバ
ータ回路が用いられ、回転子の位置を検出する位置セン
サの出力に応じてインバータ回路のスイッチ素子がオン
オフ制御されて、バッテリから該インバータ回路を通し
て電機子コイルに所定の相順で転流する駆動電流が供給
される。
【0012】上記のインバータ回路においては、各スイ
ッチ素子に逆並列接続されたダイオードによりn相ダイ
オードブリッジ全波整流回路が構成され、電動機が外部
から駆動される状態になって電機子コイルに誘起する電
圧がバッテリ電圧を超えたときには、電動機側から上記
ダイオードブリッジ全波整流回路を通してバッテリに回
生充電電流が流れる。
【0013】図7において、横軸に示した速度Vo はバ
ッテリにより電動機を駆動した場合の無負荷走行速度で
あり、理屈の上では、図に破線で示したように、(3)
式により与えられる無負荷走行速度Vo を超える速度で
電動車両が走行した場合に始めて電動機側からバッテリ
に回生充電電流が流れることになるが、実際には、電機
子コイルの誘起電圧の波高値がバッテリ電圧を超えるよ
うになる走行速度Vo´(<Vo )から回生充電電流が
流れ始める。回生充電電流が流れると電動機が制動トル
クを生じるため、車両の速度が低下させられる。車両が
無負荷走行速度Vo を超える速度で走行する状態になる
のは、例えば車両が下り坂を走行する場合である。
【0014】ここで、電動車両の法定速度をVs (電動
二輪車の場合、Vs =30[km/h])とし、Vs ±
0.33Vs の範囲の速度領域を中速領域、Vs −0.
33Vs 以下の速度領域を低速領域、Vs +0.33V
s から2×Vs までの速度領域を高速領域、2×Vs を
超える速度領域を超高速領域とすると、図7に示した例
では、走行速度が高速領域に入らないと回生制動が有効
に働かないことになる。
【0015】上記のように、従来の方法により回生制動
をかけた場合には、走行速度が無負荷走行速度Vo を超
えないと回生制動が有効に働かないが、走行速度が無負
荷走行速度Vo を超える状態になるのは例えば下り坂を
走行する際であり、それも法定速度を大幅に超える高速
領域まで加速された際である。そのため、従来の電動車
両では、平地を法定速度付近の中速領域の速度で走行す
る定常走行時に回生制動による制動効果を期待すること
ができず、運転者により操作される摩擦ブレーキのみに
頼らざるを得ないという問題があった。
【0016】法定走行速度付近で回生制動により有効な
制動効果を得るために、電動機の無負荷速度No を低く
設定することが考えられるが、無負荷速度No を低く設
定すると法定速度付近(中速領域)での走行性能が著し
く低下するので実用的でない。また無負荷速度No を低
く設定した場合には、高速領域でバッテリに過大な回生
充電電流が流れるため、長い下り坂を走行したような場
合にバッテリが破損するおそれがある。
【0017】そこで、本出願人は先に、オン状態になっ
たときに電動機の電機子コイルを短絡する電機子コイル
短絡用スイッチ手段を設けて、電動車両の制動時の走行
速度が電動機の無負荷速度に相応する速度よりも高い値
に設定されたスイッチング終了速度Vh 以上になってい
るときに電機子コイル短絡用スイッチ手段をオフ状態に
保持し、制動時の走行速度が上記スイッチング終了速度
未満のときにオンデューティ比を走行速度の変化に伴っ
て変化させつつ該スイッチ手段をオンオフ制御するよう
にした回生制動制御方法を提案した。
【0018】この既提案の回生制動制御方法では、例え
ば、バッテリと電機子コイルとの間に設けるインバータ
回路のブリッジの下辺を構成するスイッチ素子を上記電
機子コイル短絡用スイッチ手段として用いて、制動時の
走行速度が上記スイッチング終了速度未満のときにオン
デューティ比を走行速度の低下に伴って所定の変化率で
増加させるように該オンデューティ比を走行速度の変化
に伴って変化させつつブリッジの下辺のスイッチ素子を
同時にオンオフさせ、これにより、走行速度がスイッチ
ング終了速度未満のときに流れる回生充電電流をバッテ
リの充電電流の許容範囲の上限値以下に制限するように
していた。
【0019】なおここでオンデューティ比とは、スイッ
チ手段を周期Tでオンオフ制御する場合に、オン時間T
onとオフ時間Toff との和Ton+Toff (=T)に対す
るオン時間Tonの比[Ton/(Ton+Toff )]を意味
する。
【0020】上記のように、電動機が外部から駆動され
る状態になったときに、電機子コイルを短絡し得るよう
に設けたスイッチ手段をオンオフ制御すると、スイッチ
手段がオン状態からオフ状態になった際にそれまで流れ
ていた短絡電流を流し続けようとする極性の高い電圧が
n相の電機子コイルに誘起するため、電動機の回転速度
が無負荷速度No より低い状態でも、電機子コイルから
バッテリに回生充電電流を流すことができる。従って、
電動機の無負荷速度に相応する速度Vo より低い走行速
度で平地を走行している状態でも制動時にバッテリに回
生充電電流を流して回生制動効果を得ることができ、安
全性を高めることができる。
【0021】上記のように、電機子コイルを短絡し得る
ように設けたスイッチ手段をオンオフさせて電機子コイ
ルに電圧を誘起させることにより回生充電電流を流して
制動効果を得る場合、各回転速度において流れる回生充
電電流をできるだけ大きくして制動効果を大きくするこ
とを狙うのであれば、各走行速度において流れる回生充
電電流を最大にするように、スイッチ手段のオンデュー
ティ比(オン時間Tonとオフ時間Toff との和Ton+T
off に対するオン時間Tonの比)Dを回転速度に反比例
させて変化させるようにすればよい。
【0022】図8は、電動機1を外部から駆動したとき
にバッテリに流れる回生充電電流と走行速度との関係、
回生充電電流により生じる制動トルクと走行速度との関
係、及びスイッチ手段のオンデューティ比と走行速度と
の関係を示したもので、同図において、Ia は、電動機
が外部から駆動される状態になったときに、電動機から
インバータ回路の帰還ダイオードにより構成された全波
整流回路を通してバッテリに供給される回生充電電流を
示している。またτa は、充電電流Ia により生じる制
動トルク(電動機を発電機として動作させて負荷に電流
Ia を流すために必要な入力トルク)である。充電電流
Ia 及び制動トルクτa の特性曲線は、図7に示したも
のと同様のものである。ここで便宜上、Ia を全波整流
充電電流と呼び、τa を全波整流充電トルクと呼ぶこと
にする。
【0023】図8においてDm はデューティ比を示し、
Ibmは、図示のようにオンデューティ比Dm を走行速度
に反比例させて変化させつつスイッチ素子を同時にオン
オフさせた場合に流れる回生充電電流を示している。ま
たτbmは充電電流Ibmにより生じる制動トルクを示して
いる。スイッチングにより流れる回生充電電流Ibmをス
イッチング充電電流と呼び、同充電電流により生じる制
動トルクτbmをスイッチング充電トルクと呼ぶことにす
る。
【0024】図8に示した例では、ほぼ原点から立上る
スイッチング充電電流Ibm対走行速度V(この例ではダ
イレクトドライブ方式であるので電動機の回転速度Nに
対応している。)の特性直線が、全波整流充電トルクτ
a が最大になる走行速度Vmで全波整流充電電流Ia 対
走行速度Vの特性曲線に接するように、オンデューティ
比Dm を変化させている。このようにオンデューティ比
Dm を変化させると、各走行速度において最大の充電ト
ルクを得ることができ、回生制動効果を最大にすること
ができる。
【0025】ところが上記のようにスイッチ手段のオン
デューティ比を回転速度に応じて変化させると、スイッ
チング充電電流Ibmが過大になることがある。例えば、
バッテリが鉛蓄電池からなっていて、その充電電流の適
正範囲が図8の縦軸に示したように1C〜2C(Cはバ
ッテリの25℃における定格放電率換算容量)の範囲に
あるとすると、高速領域でスイッチング充電電流Ibmが
許容範囲を超えてしまうことになる。電動車両は、下り
坂を走行する際に容易にその走行速度が高速領域に入る
ので、上記のようにオンデューティ比を変化させた場合
には、回生充電電流が過大になってバッテリが破損する
おそれがある。シール鉛蓄電池の場合には、充電電流の
適正範囲が0.2C〜0.5C程度であるので、上記の
ようにオンデューティ比を変化させると更に低い速度で
回生充電電流が許容値を超えることになる。
【0026】そこで、既提案の発明においては、図9に
示すように、電動車両の制動時の走行速度が電動機の無
負荷速度に相応する速度Vo よりも高い値に設定された
スイッチング終了速度Vh 以上になっているときにオン
デューティ比を0としてスイッチ手段をオフ状態に保持
し、制動時の走行速度がスイッチング終了速度Vh 未満
のときにオンデューティ比Db を走行速度の低下に伴っ
て所定の変化率で増加させるように該オンデューティ比
を走行速度の変化に伴って変化させつつスイッチ手段を
オンオフ制御する。そして、走行速度がスイッチング終
了速度Vh に達したときに流れる回生充電電流Ib をバ
ッテリの充電電流の許容範囲の上限値以下に制限するよ
うにオンデューティ比Db の変化率を設定する。
【0027】なおスイッチ手段のオン時間をTon、オフ
時間をToff 、オンオフの周期をT=Ton+Toff とし
た場合、オンデューティ比DはD=Ton/Tで与えられ
るが、ここで、オンオフの周期Tは走行速度の如何に係
わりなく一定に保持されるものとする。
【0028】図9に示した例では、スイッチング充電電
流Ib を許容範囲の中間値である1.5C以下に制限す
るようにしており、全波整流充電電流Ia が1.5Cに
等しくなる走行速度をスイッチング終了速度Vh として
いる。なお図9において、Dm ,Ibm及びτbmはそれぞ
れ図8に示したDm ,Ibm及びτbmと同じものである。
【0029】上記のように、バッテリと電機子コイルと
の間に設けられたインバータ回路のブリッジの下辺のス
イッチ素子を同時にオンオフさせるように制御すると、
該スイッチ素子が同時にオン状態になったときに電機子
コイルが短絡されて短絡電流が流れ、該スイッチ素子が
オフ状態になった際にそれまで流れていた短絡電流を流
し続けようとする極性の高い電圧が電機子コイルに誘起
する。そのため、電動機の回転速度が無負荷速度No よ
り低い状態でも、電機子コイルからバッテリに回生充電
電流を流すことができ、電動機の無負荷速度に相応する
速度Vo より低い走行速度で平地を走行している状態で
もバッテリに回生充電電流を流して制動効果を得ること
ができ、安全性を高めることができる。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、既提案
の制御方法では、インバータ回路のブリッジの下辺のス
イッチ素子を所定のオンデューティ比で同時にオンオフ
させるように制御し、速度によってオンデューティ比を
変えることにより、幅広い回転速度領域で回生制動効果
を得るようにしていた。
【0031】既提案の制御方法による場合、より大きい
制動トルクを得ようとすると、回転速度の上昇に伴って
オンデューティ比を小さくしなければならないが、速度
がスイッチング終了速度Vh 以上になるとオンデューテ
ィ比が零になり、回生充電電流の制御を行うことができ
なくなるという問題があった。また制動トルクは、オン
デューティ比が零のときの大きさ(インバータ回路のダ
イオードブリッジ全波整流回路を通して回生充電電流が
流れたときの大きさ)以上の大きさにすることはできな
かった。
【0032】そのため、既提案の回生制御方法により回
生充電電流を制御している状態で、車両の走行速度が高
速領域から超高速領域に入ってしまった場合には、制動
トルクが不足する上に、バッテリが過充電状態になって
破損するおそれがあった。特にバッテリがニッケルカド
ミウム電池の場合には、過充電ぎみになるとバッテリ電
圧が低下して充電電流が急激に増大するため、発火する
おそれがあり、危険であった。
【0033】本発明の目的は、高速領域及び超高速領域
においても、回生充電電流及び制動トルクを制御するこ
とができるようにして、制動トルクが不足したり、バッ
テリが過充電状態になったりするのを防ぐことができる
ようにした電動車両用回生制動制御方法を提供すること
にある。
【0034】
【課題を解決するための手段】本発明は、磁石界磁を有
する回転子と、周方向に並ぶ多数の歯部を有する電機子
鉄心と該電機子鉄心の歯部に巻回されてn相回路(nは
3以上の整数)を構成するように結線されたコイル群か
らなるn相の電機子コイルとを有して電機子鉄心の歯部
の先端に形成された磁極部が磁石回転子の磁石界磁に対
向させられる固定子と、n個の上辺のスイッチ素子とn
個の上辺のスイッチ素子にそれぞれ対応するように設け
られて一端が共通接続されるとともに他端が対応する上
辺のスイッチ素子の他端に接続されたn個の下辺のスイ
ッチ素子とを有するスイッチ素子のブリッジ回路と該ブ
リッジ回路を構成する各スイッチ素子に逆並列接続され
たダイオードとを有するn相ブリッジ形のインバータ回
路と、各相の電機子コイルが巻回されている電機子鉄心
の歯部の先端の磁極部の中心位置と磁石界磁の各磁極の
中心位置との間の位置関係が予め設定された関係になる
タイミングを各相の基準励磁相切替タイミングとして検
出して、該基準励磁相切替タイミングの情報を含む信号
を発生する位置検出装置とを備えて、位置検出装置によ
り検出される基準励磁相切替タイミングまたは該基準励
磁相切替タイミングに対して所定の制御進み角を有する
励磁相切替タイミングで電機子コイルの励磁相を切り替
えるようにインバータ回路のスイッチ素子を制御しつつ
バッテリからインバータ回路を通して電機子コイルに駆
動電流を流して回転子を回転させるブラシレス直流電動
機により車輪を駆動する電動車両の制動時に、電動機の
電機子コイルに誘起する電圧でバッテリに回生充電電流
を流すことにより制動トルクを生じさせて車両の走行速
度を低下させる回生制動制御方法を対象とする。
【0035】本発明においては、車両に制動をかける際
に、電機子コイルの誘起電圧と同じ周波数で該誘起電圧
に対して所定の位相角を有する界磁調整用交流電圧をバ
ッテリからインバータ回路を通して電機子コイルに印加
するようにインバータ回路の上辺のスイッチ素子及び下
辺のスイッチ素子を制御し、界磁調整用交流電圧の位相
角を遅れ側または進み側に変化させることにより、電機
子コイルに鎖交する磁束を増加または減少させて回生充
電電流及び制動トルクを制御する。
【0036】上記のように、バッテリからインバータ回
路を通して、電機子コイルの誘起電圧に対して所定の位
相角を有する界磁調整用交流電圧を電機子コイルに印加
すると、電機子コイルの誘起電圧に対する界磁調整用交
流電圧の位相角を制御することにより、電機子コイルに
鎖交する磁束を増加または減少させて、回生充電電流の
大きさ及び制動トルクの大きさを制御することができ
る。
【0037】即ち、界磁調整用交流電圧の位相を電機子
コイルの誘起電圧の位相に対して進角させると、電機子
コイルに作用する界磁が減磁されて電機子コイルに鎖交
する磁束の量が減少するため、回生充電電流が小さくな
り、制動トルクが小さくなる。また界磁調整用交流電圧
の位相を電機子コイルの誘起電圧の位相に対して遅角さ
せると、電機子コイルに作用する界磁が増磁されて、電
機子コイルに鎖交する磁束の量が増加するため、回生充
電電流が大きくなり、制動トルクが大きくなる。
【0038】本発明においてはまた、車両に制動をかけ
る際に、界磁調整用電流をPWM制御するようにしても
よい。界磁調整用電流をPWM制御する場合には、位置
検出装置により検出される基準励磁相切替タイミングを
基準にしてインバータ回路の各上辺のスイッチ素子及び
各下辺のスイッチ素子のオン期間を定めて、オン期間に
ある上辺のスイッチ素子及び下辺のスイッチ素子にそれ
ぞれのスイッチ素子をオン状態にするための駆動信号を
与えるとともに、オン期間にある上辺のスイッチ素子ま
たは下辺のスイッチ素子を所定のオンデューティ比でオ
ンオフさせる。上記のように、界磁調整用交流電圧の位
相角を制御するとともに、オン期間にある上辺のスイッ
チ素子または下辺のスイッチ素子を所定のオンデューテ
ィ比でオンオフさせることにより、界磁調整用電流をP
WM制御するようにすると、回生充電電流及び制動トル
クの制御幅を更に大きくすることができる。
【0039】例えば、界磁調整用交流電圧の位相を電機
子コイルの誘起電圧の位相に対して進角させた状態でイ
ンバータ回路の上辺または下辺のスイッチ素子のオンオ
フ動作のオンデューティ比を大きくしていくと、界磁調
整用電流をPWM制御しない場合(オンデューティ比を
100%とした場合)よりも、回生充電電流を更に小さ
くすることができる。
【0040】また界磁調整用交流電圧の位相を電機子コ
イルの誘起電圧の位相に対して遅角させた状態でスイッ
チ素子のオンデューティ比を小さくすると、界磁調整用
電流をPWM制御しない場合(オンデューティ比を10
0%とした場合)よりも、制動トルクが更に大きくな
る。
【0041】上記のように、界磁調整用交流電圧の位相
角を変えると、回生充電電流及び制動トルクの大きさを
変化させることができ、界磁調整用交流電圧の位相角と
インバータ回路のスイッチ素子のオンデューティ比との
双方を変えることにより、回生充電電流及び制動トルク
を更に大幅に変化させることができる。
【0042】従って、例えば、高速領域に入ったときに
電機子コイルの誘起電圧に対して進角した界磁調整用交
流電圧を電機子コイルに印加することにより、回生充電
電流を小さくしてバッテリの過充電を防ぐことができ、
同時に各スイッチ素子のオンデューティ比を大きくする
ことにより、回生充電電流を更に小さくすることができ
る。
【0043】また電機子コイルの誘起電圧に対して遅角
した界磁調整用交流電圧を電機子コイルに印加すること
により、制動トルクを増大させることができるため、イ
ンバータ回路の各スイッチ素子のオンデューティ比を大
きくして回生充電電流を制限した状態で界磁調整用交流
電圧を電機子コイルの誘起電圧に対して遅角させること
により、バッテリを過充電状態にすることなく、車両の
減速効果を高めることができる。
【0044】例えば、車両の速度が高速領域から超高速
領域に入る前に電機子コイルの誘起電圧に対して遅角し
た界磁調整用交流電圧を電機子コイルに印加することに
より、バッテリを過充電状態にすることなく、車両を減
速することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】一般のブラシレス直流電動機は、
磁石界磁を有する回転子と、周方向に並ぶ多数の歯部を
有する電機子鉄心と該電機子鉄心の歯部に巻回されてn
相回路(nは3以上の整数)を構成するように結線され
たコイル群からなるn相の電機子コイルとを有して電機
子鉄心の歯部の先端に形成された磁極部が磁石回転子の
磁石界磁に対向させられる固定子と、n個の上辺のスイ
ッチ素子とn個の上辺のスイッチ素子にそれぞれ対応す
るように設けられて一端が共通接続されるとともに他端
が対応する上辺のスイッチ素子の他端に接続されたn個
の下辺のスイッチ素子とを有するスイッチ素子のブリッ
ジ回路と該ブリッジ回路を構成する各スイッチ素子に逆
並列接続されたダイオードとを有するn相ブリッジ形の
インバータ回路と、各相の電機子コイルが巻回されてい
る電機子鉄心の歯部の先端の磁極部の中心位置と磁石界
磁の各磁極の中心位置との間の位置関係が予め設定され
た関係になるタイミングを各相の基準励磁相切替タイミ
ングとして検出して、該基準励磁相切替タイミングの情
報を含む信号を発生する位置検出装置とを備えていて、
位置検出装置により検出される基準励磁相切替タイミン
グまたは該基準励磁相切替タイミングに対して所定の制
御進み角を有する励磁相切替タイミングで電機子コイル
の励磁相を切り替えるようにインバータ回路のスイッチ
素子を制御しつつバッテリからインバータ回路を通して
電機子コイルに駆動電流を流して回転子を回転させる。
本発明は、このようなブラシレス直流電動機により車輪
を駆動する電動車両の制動時に、電動機の電機子コイル
に誘起する電圧で前記バッテリに回生充電電流を流すこ
とにより制動トルクを生じさせて車両の走行速度を低下
させる回生制動制御方法で、本発明の一実施形態におい
て用いる電動車両用駆動制御装置のハードウェアの構成
の一例を図1に示した。
【0046】図1において、1はブラシレス直流電動機
で、磁石界磁を有する回転子1Aと、固定子1Bとによ
り構成されている。
【0047】一般にn相のブラシレス直流電動機におい
ては、回転子に設けられる磁石界磁が2m極(mは1以
上の整数)に構成され、固定子側がn×m極に構成され
る。固定子は、周方向に並ぶ多数の歯部を有する電機子
鉄心と該電機子鉄心の歯部に巻回されてn相回路(nは
3以上の整数)を構成するように結線されたコイル群か
らなるn相の電機子コイルとを有していて、電機子鉄心
の歯部の先端に形成された磁極部が磁石回転子の磁石界
磁に対向させられる。
【0048】図1に示した例は、n=3,m=1とした
場合で、同図に示したブラシレス直流電動機1は、カッ
プ状に形成された回転子ヨーク101の周壁部の内周に
永久磁石102及び103を取り付けて2極の磁石界磁
を構成した回転子1Aと、120度間隔で設けられた歯
部Pu〜Pwを有する電機子鉄心と該電機子鉄心の歯部
Pu〜Pwにそれぞれ巻回された3相の電機子コイルA
u〜Awとを有する固定子1Bとからなっており、電機
子コイルAu〜Awは星形結線されている。
【0049】固定子1B側には回転子の磁石界磁の回転
角度位置を検出する位置検出装置2が設けられている。
位置検出装置2は、3相の電機子コイルAu〜Awのそ
れぞれに対して設けられて、120度の角度間隔をもっ
て配置された3相の位置センサhu〜hwを備えてい
て、電機子鉄心104の歯部Pu〜Pwのそれぞれの先
端の磁極部の中心位置と磁石界磁の各磁極の中心位置と
の間の位置関係が予め設定された関係になるタイミング
を各相の基準励磁相切替タイミングとして検出して、該
基準励磁相切替タイミングの情報を含む信号を3相の位
置検出信号Hu〜Hwとして発生する。
【0050】3相以上のブラシレス直流電動機では、一
度に2以上の相の電機子コイルを励磁して、回転子の位
置に応じて、励磁相の組み合わせを順次切り替えてい
く。したがって、3相以上のブラシレス直流電動機の励
磁相切替タイミングは、電機子コイルの励磁相の組み合
わせを切り替えるタイミングである。
【0051】各相の位置センサはホールICからなって
いて、検出している磁極の極性に応じて異なるレベルの
電圧信号を出力する。図示の例では、ブラシレス直流電
動機1を駆動する際に、各相の電機子コイルに流す駆動
電流の通電角を電気角で180度とする180度スイッ
チング制御を行うものとしている。そのため、図示の例
では、180度スイッチング制御を行う場合の位置セン
サの普通の配置の仕方に従って、3相の位置センサhu
〜hwはそれぞれ対応する相の電機子コイルAu〜Aw
が巻回された電機子鉄心の歯部Pu〜Pw(各相の電機
子コイルが複数の歯部に巻回される場合には、各相の電
機子コイルが巻回される複数の歯部のうちの1つの歯
部)の先端の磁極の中心位置よりも電気角で90度位相
が進んだ位置に配置されて、回転子1Aの磁石界磁の磁
極の極性を検出することにより、それぞれの相の電機子
コイルが巻かれた歯部の磁極部の中心位置に磁石界磁の
各磁極の中心位置が一致した状態になるタイミングをそ
れぞれの相の基準励磁相切替タイミングとして検出す
る。
【0052】位置センサhu〜hwが発生する位置検出
信号Hu〜Hwは、基準励磁相切替タイミングの情報を
含む波形の信号であればよいが、位置センサとしてホー
ルICを用いた場合、該ホールICは、検出している磁
極の極性がN極のときとS極のときとで異なるレベルの
信号を発生するので、位置検出信号Hu〜Hwの波形は
図2(A)ないし(C)に示すように矩形波状の波形に
なり、それぞれ位置検出信号の立上り及び立下がりがそ
れぞれ基準励磁相切替タイミングになる。
【0053】電動機1の出力軸は車両の駆動車輪に直結
されるか、または減速機を介して連結される。一般に電
動機と駆動車輪との間にはクラッチが設けられないた
め、制動時や坂道を下る際等には電動機が外部から駆動
される状態になり、このとき電動機1は同期発電機とし
て作用して交流電圧を発生する。以下の説明では電動車
両においてダイレクトドライブ方式が採用されているも
のとし、電動機の出力軸が駆動車輪に直結されているも
のとする。
【0054】図1に示された電動車両用駆動制御装置の
構成を更に説明すると、同図において、3はバッテリ、
4は運転者により操作されるキースイッチ、5は励磁コ
イル5aと励磁コイル5aが励磁されたときに閉じる接
点5bとを有する主リレー、6は電動機1の電機子コイ
ルAu〜Awへの駆動電流の供給と該駆動電流の転流と
を行わせるブリッジ形のインバータ回路、7はインバー
タ回路6のスイッチ素子にトリガ信号を与えるスイッチ
駆動回路、8は制御ユニット、9は車両の走行速度を調
節するために運転者により操作される速度調節部材(例
えばアクセルグリップやアクセルペダル)の位置を検出
するアクセルセンサ、10はインバータ回路6の直流入
力端子間に接続されたサージ吸収素子である。
【0055】図示の例では、バッテリ3の出力電圧がキ
ースイッチ4を介してDC−DCコンバータ20に印加
され、バッテリ3の出力電圧(この例では56V)がD
C−DCコンバータ20により12Vの直流電圧に変換
される。DC−DCコンバータ20から得られる直流電
圧は主リレー5の励磁コイル5aと、ヘッドランプやウ
ィンカー等の点灯負荷22とに印加されている。
【0056】一般にブリッジ形のインバータ回路6は、
駆動信号が与えられている間だけ導通する単方向性スイ
ッチ素子をブリッジ接続して構成したスイッチ素子のブ
リッジ回路と、各スイッチ素子の両端に逆並列接続され
た帰還ダイオードとからなっている。
【0057】なおここでスイッチ素子をブリッジ接続す
るとは、スイッチ素子を周知のダイオードブリッジ全波
整流回路と同様にブリッジ接続することを意味し、一般
にこの種の接続をしたブリッジ回路は、2個のスイッチ
素子を極性を同じにして直列に接続したものからなるス
イッチ素子直列回路を複数個設けて、該複数個のスイッ
チ素子直列回路を互いに並列に接続した回路構成を有す
る。n相(nは3以上の整数)ブラシレス直流電動機を
ブリッジ形のインバータ回路を用いて駆動する場合に
は、2n個のスイッチ素子をブリッジ接続して構成した
スイッチ素子のブリッジ回路(n個のスイッチ素子直列
回路を並列接続して構成したインバータ回路)が用いら
れる。
【0058】このような回路構成を有するインバータ回
路では、n個のスイッチ素子直列回路の一端側の共通接
続点及び他端側の共通接続点(インバータ回路の両端)
を対の直流入力端子(バッテリの電圧が印加される端
子)として、該対の直流入力端子間に直流電源電圧を印
加する。またn個のスイッチ素子直列回路のそれぞれの
スイッチ素子どうしの接続点から引き出したn個の端子
を出力端子(n個の電機子コイルに接続される端子)と
して、これらの出力端子にブラシレス直流電動機の電機
子コイルを接続する。更にこの種のインバータ回路をn
個の出力端子側から見た場合、n個の帰還ダイオードに
より、ダイオードブリッジ全波整流回路が構成されてい
る。
【0059】本明細書においては、インバータ回路を構
成するスイッチ素子のブリッジ回路の、正極性側の直流
入力端子と出力端子との間に位置するスイッチ素子をブ
リッジの上辺を構成するスイッチ素子またはブリッジの
上辺のスイッチ素子と呼び、負極性側の直流入力端子と
出力端子との間に位置するスイッチ素子をブリッジの下
辺を構成するスイッチ素子またはブリッジの下辺のスイ
ッチ素子と呼んでいる。
【0060】上記のようにスイッチ素子をブリッジ接続
して構成したインバータ回路6をバッテリ3とn相のブ
ラシレス直流電動機の電機子コイルAu〜Awとの間に
設けると、インバータ回路6のブリッジの上辺のスイッ
チ素子及び下辺のスイッチ素子をそれぞれ1つずつ所定
のタイミングでオンオフさせることにより、バッテリ3
の出力電圧を交流電圧に変換して電機子コイルAu〜A
wに印加することができ、これにより電機子コイルAu
〜Awに駆動電流を所定の相順で転流させて電動機を回
転させることができる。
【0061】図1に示した例で用いるインバータ回路6
は、スイッチ素子SuとSxとを直列に接続して構成し
たスイッチ素子直列回路、SvとSyとを直列に接続し
て構成したスイッチ素子直列回路及びSwとSzとを直
列に接続して構成したスイッチ素子直列回路を並列に接
続(3相全波ブリッジ接続)するとともに、スイッチ素
子Su,Sv,Sw及びSx,Sy,Szのそれぞれの
両端に帰還ダイオードDu,Dv,Dw及びDx,D
y,Dzを逆並列接続して構成したものである。図示の
インバータ回路6においては、各スイッチ素子として電
界効果トランジスタ(FET)が用いられ、スイッチ素
子Su〜Swを構成するFETのドレインの共通接続点
が正極性側の直流入力端子6aとなり、スイッチ素子S
x〜Szを構成するFETのソースの共通接続点が負極
性側の直流入力端子6bとなっている。またスイッチ素
子Su〜Swをそれぞれ構成するFETのソースとスイ
ッチ素子Sx〜Szをそれぞれ構成するFETのドレイ
ンとの接続点が3相の出力端子6u〜6wとなってい
る。
【0062】図示のインバータ回路6を電動機1側から
見た場合、帰還ダイオードDu〜Dw及びDx〜Dzに
より全波ブリッジ整流回路が構成され、電動機1が外部
から駆動される状態になって電機子コイルAu〜Awに
3相交流電圧が誘起した際に、ダイオードDu〜Dw及
びDx〜Dzからなる全波ブリッジ整流回路と主リレー
5の接点5bとを通してバッテリ3に回生充電電流が流
れる。
【0063】この例では、インバータ回路6の正極性側
の直流入力端子6aと出力端子との間に位置するスイッ
チ素子Su〜Swがブリッジの上辺のスイッチ素子であ
り、負極性側の直流入力端子6bと出力端子との間に位
置するスイッチ素子Sx〜Szがブリッジの下辺のスイ
ッチ素子である。
【0064】インバータ回路6の正極性側の直流入力端
子6aは主リレーの接点5bを介してバッテリ3の正極
端子に接続されている。またインバータ回路6の負極性
側の直流入力端子6bは電流検出用抵抗R1 を通して接
地され、バッテリ3の負極端子は充電電流検出用抵抗R
2 を通して接地されている。インバータ回路6の3相の
出力端子6u,6v及び6wには、ブラシレス直流電動
機1の3相の電機子コイルAu〜Awの中性点と反対側
の端子がそれぞれ接続されている。
【0065】制御ユニット8はCPU12と、該CPU
に電源電圧を与える電源回路21と、発光ダイオードや
ブザー等からなる表示器13への通電をオンオフするス
イッチ手段としてのトランジスタ14a〜14cとを有
している。
【0066】電源回路21は、DC−DCコンバータ2
0から与えられる12[V]の電圧を5[V]の直流定
電圧に変換してCPU12の電源端子に供給する。
【0067】CPU12には、位置検出装置2の出力、
アクセルセンサ9の出力、バッテリ3の出力電圧Bの検
出値、温度センサ15により検出されたバッテリ3の温
度の検出値、抵抗R1 の両端の電圧を増幅器AMP(1)
により増幅して得た電動機の駆動電流の検出値、抵抗R
2 の両端の電圧を増幅器AMP(2) により増幅して得た
回生充電電流の検出値、分圧回路16により検出された
インバータ回路6の正極性側直流入力端子と接地間の電
圧の検出値、ラッチ回路17に保持された駆動電流の検
出値、温度センサ18により検出されたインバータ回路
6の温度の検出値、及び温度センサ19により検出され
た電動機1の巻線温度の検出値が入力されている。これ
らの信号の内アナログ信号は、CPU12に設けられて
いるA/D端子を通してデジタル信号に変換されてCP
Uに読み込まれる。
【0068】CPU12は、図示しないROMまたはE
EPROMに記憶されたプログラムを実行することによ
り、電機子コイルAu〜Awに流す駆動電流の大きさの
調整と転流とを行わせるべくインバータ回路6のスイッ
チ素子をオンオフ制御するスイッチ制御手段(駆動指示
信号u´〜w´,x´〜z´及びPWM信号を発生させ
る手段)や、電動機が外部から駆動される状態になった
ときに該電動機の電機子コイルに誘起する電圧でバッテ
リ3に流れる回生充電電流を制御する回生電流制御手段
や、表示器13に警告表示や各部の状態の表示(例えば
温度表示)等の各種の表示動作を行わせるべく、トラン
ジスタ14a〜14cをオンオフ制御する表示制御手段
等を実現する。
【0069】CPU12は、7個の出力ポートからそれ
ぞれ駆動指示信号u´〜w´及びx´〜z´とPWM信
号とを発生する。これらの信号はインターフェース回路
7Aを通してドライブ回路7Bに与えられる。
【0070】駆動指示信号u´〜w´,x´〜z´は、
インバータ回路6を構成するスイッチ素子のうち、導通
させる必要があるスイッチ素子を指示する信号であり、
PWM信号は電機子コイルに流す駆動電流の平均値に相
応したオンデューティ比で断続するパルス信号である。
【0071】スイッチ駆動回路7は、インバータ回路6
を構成するスイッチ素子Su〜Sw及びSx〜Szにそ
れぞれ駆動信号eu〜ew及びex〜ezを供給する回
路で、図示のスイッチ駆動回路7は、DC−DCコンバ
ータ20から直流電源電圧が与えられて動作するインタ
ーフェース回路7Aとドライブ回路7Bとにより構成さ
れている。
【0072】ドライブ回路7Bは、駆動指示信号u´〜
w´及びx´〜z´とPWM信号とに応じて、インバー
タ回路6のブリッジの上辺のスイッチ素子Su〜Swに
所定のパルス幅を有する駆動信号eu〜ewを与え、ブ
リッジの下辺のスイッチ素子Sx〜Szに所定のオンデ
ューティ比をもって変化するパルス幅変調された駆動信
号ex〜ezを与える。これにより、上辺のスイッチ素
子Su〜Swのうち、駆動信号が与えられたスイッチ素
子が、駆動信号のパルス幅に相当する時間だけ導通し、
下辺のスイッチ素子Su〜Swのうち、パルス幅変調さ
れた駆動信号が与えられたスイッチ素子が所定のオンデ
ューティ比でオンオフして所定の相の電機子コイルにパ
ルス幅変調された駆動電流を流す。
【0073】位置検出装置2を構成するホールICが図
2(A)〜(C)のように矩形波信号(位置検出信号)
Hu〜Hwを発生する場合、スイッチ素子Su〜Sw及
びSx〜Szにそれぞれ与えられる駆動信号eu〜ew
及びex〜ezは図2(D)〜(F)及び(G)〜
(I)のようになり、これらの駆動信号eu〜ew及び
ex〜ezがそれぞれ高レベルの状態にある期間スイッ
チ素子Su〜Sw及びSx〜Szがオン状態になる。な
お図2(D)〜(F)及び(G)〜(I)の波形は駆動
電流のオンデューティ比が100%の場合を示してい
る。
【0074】また車両に制動をかける際には、位置検出
装置2により検出される基準励磁相切替タイミングを基
準にしてインバータ回路6の上辺のスイッチ素子Su〜
Sw及び下辺のスイッチ素子Sx〜Szのそれぞれのオ
ン期間を定めて、オン期間にある上辺のスイッチ素子及
び下辺のスイッチ素子にそれぞれのスイッチ素子をオン
状態にするための駆動信号を与えるとともに、オン期間
にある上辺のスイッチ素子または下辺のスイッチ素子を
所定のオンデューティ比でオンオフさせる(駆動信号を
断続させる)ことにより、電機子コイルAu〜Awの誘
起電圧と同じ周波数で該誘起電圧に対して進み位相角を
有する界磁調整用交流電圧または遅れ位相角を有する界
磁調整用交流電圧をバッテリ3からインバータ回路6を
通して電機子コイルAu〜Awに印加して、該界磁調整
用交流電圧により電機子コイルに界磁調整用電流を流
す。そして、界磁調整用交流電圧の位相角と界磁調整用
電流の平均値とを制御することにより、電機子コイルに
鎖交する磁束を増加または減少させて回生充電電流及び
制動トルクを制御する。
【0075】また図示の例では、駆動電流の検出値をラ
ッチするラッチ回路17の出力または増幅器AMP(1)
の出力がドライブ回路7Bに入力されている。ドライブ
回路7Bは、駆動電流の検出値を取り込んで電機子コイ
ルAu〜Awに流れる駆動電流を所定の制限値以下に保
つ制御を行う。
【0076】ラッチ回路17は、電機子コイルの短絡事
故などにより、過大な駆動電流が流れたときに、駆動電
流を直ちに遮断して電機子コイルの焼損を防止する制御
を行わせるために設けられている。
【0077】図1に示した駆動制御装置の動作の概略は
次の通りである。運転者によりキースイッチ4が閉じら
れると、DC−DCコンバータ20が12[V]の直流
電圧を出力するため、主リレー5の接点が閉じ、バッテ
リ3の出力電圧(例えば60[V])がインバータ回路
6の直流入力端子間と、電源回路21と、スイッチ駆動
回路7のインターフェース7A及びドライブ回路7Bの
電源端子とに印加される。
【0078】制御ユニットのCPU12により実現され
るスイッチ制御手段は、位置検出装置2から与えられる
位置検出信号Hu〜Hwと図示しない手段により与えら
れる回転方向指令信号とから励磁すべき相順を求めて、
インバータ回路6の所定のスイッチ素子に駆動信号を与
えることを指示する駆動指示信号u´〜w´及びx´〜
z´をスイッチ駆動回路7に与える。
【0079】CPU12はまた、位置検出装置2から与
えられる信号から(または別個に設けられたエンコーダ
から)電動機の回転速度の情報を得て、この回転速度情
報をアクセルセンサ9から与えられる指示速度情報と比
較し、電動機の回転速度を指示速度に一致させるために
必要な駆動電流の大きさ(平均値)を演算して、演算し
た駆動電流の大きさに相応したオンデューティ比で変化
するパルス波形のPWM信号をスイッチ駆動回路7に与
える。
【0080】ドライブ回路7Bは、制御ユニット8から
与えられる駆動指示信号及びPWM信号に応じて、イン
バータ回路6のブリッジの上辺のスイッチ素子Su〜S
wの中から選択した1つのスイッチ素子に所定の時間幅
の駆動信号を与えて該スイッチ素子を導通させるととも
に、下辺のスイッチ素子Sx〜Szの中から選択した1
つのスイッチ素子に、駆動電流の大きさに相応したオン
デューティ比で断続する(PWM変調された)駆動信号
を与えて該スイッチ素子をオンオフさせる。これにより
インバータ回路6の上辺のスイッチ素子Su〜Sw及び
下辺のスイッチ素子Sx〜Szをそれぞれ1つずつ所定
の順序で導通させて電動機に駆動電流を流し、電動機を
指示速度で回転させる。
【0081】CPU12により実現される表示制御手段
は、バッテリ温度、バッテリ電圧、電動機の回転状況、
電動機の温度等を監視して、これらに異常が生じたとき
にLEDやブザー等の表示器13を動作させて警告表示
を行わせる。
【0082】分圧回路16は、インバータ回路6の両端
6a,6b間の電圧を検出して、その検出値をCPU1
2に与える。CPU12は、この検出値を入力として、
インバータ回路6の直流入力端子6a,6b間の電圧が
許容値を超えているときにインバータ回路6をブリッジ
の下辺のスイッチ素子Su〜Swのすべてをオン状態に
する過電圧時スイッチオン手段を実現する。
【0083】上記の電動車両において、バッテリ3が外
された状態、またはバッテリの端子の締め付けが緩い状
態(端子の電気的接触抵抗が大きい状態)で、回生制動
をかけると、インバータ回路6のスイッチ素子に高い電
圧が印加され、スイッチ素子が破損するおそれがある。
そこで、上記のように過電圧時スイッチオン手段を設け
ておくと、インバータ回路6の直流入力端子間の電圧が
過大になったときに、インバータ回路のブリッジの下辺
のスイッチ素子を通して電機子コイルを短絡してスイッ
チ素子に過電圧が印加されるのを防ぐことができるた
め、スイッチ素子が過電圧により破損するのを防止する
ことができる。またこの場合、分圧回路16により過電
圧が検出されたときに、表示器13を動作させて、警告
表示を行わせるようにしてもよい。
【0084】車両を減速するため、または停止させるた
めにアクセルグリップ等の速度調節部材を戻すと、車両
が減速する過程で電動機が外部から駆動される状態にな
って、電動機1が同期発電機として働き、電機子コイル
Au〜Awに3相交流電圧が誘起する。このときインバ
ータ回路のすべてのスイッチ素子をオフ状態に保つと、
電機子コイルから帰還ダイオードDu〜Dw及びDx〜
Dzにより構成されたダイオードブリッジ全波整流回路
と主リレーの接点5bとを通してバッテリ3に回生充電
電流が流れ、この回生充電電流により、バッテリ3が充
電されるとともに、電動機1に制動トルクが生じて車両
が減速させられる。
【0085】このように、車両を減速する過程でインバ
ータ回路のスイッチ素子をオフ状態に保持した場合に
は、電動機の回転速度が無負荷速度を超えている場合に
のみ電動機からバッテリに回生充電電流が流れるため、
前述のように、走行速度が高速領域にある場合にしか回
生制動による制動効果を得ることができない。
【0086】そこで本発明においては、位置検出装置2
により検出される基準励磁相切替タイミングを基準にし
てインバータ回路6の上辺のスイッチ素子Su〜Sw及
び下辺のスイッチ素子Sx〜Szのオン期間を定めて、
オン期間にある上辺のスイッチ素子及び下辺のスイッチ
素子にそれぞれのスイッチ素子をオン状態にするための
駆動信号を与えるとともに、オン期間にある上辺のスイ
ッチ素子または下辺のスイッチ素子を所定のオンデュー
ティ比でオンオフさせることにより、電機子コイルAu
〜Awの誘起電圧と同じ周波数で該誘起電圧に対して所
定の位相角を有する界磁調整用交流電圧をバッテリ3か
らインバータ回路6を通して電機子コイルに印加して、
該界磁調整用交流電圧により電機子コイルに界磁調整用
電流を流し、界磁調整用交流電圧の位相角と界磁調整用
電流の平均値とを制御することにより、電機子コイルA
u〜Awに鎖交する磁束を増加または減少させて回生充
電電流及び制動トルクを制御する。
【0087】上記界磁調整用交流電圧の位相角は、ブラ
シレス直流電動機における「制御進み角」に相当する。
「制御進み角」は、位置検出装置により検出される基準
励磁相切替タイミングと、実際の励磁相切替タイミング
(駆動電流を流す電機子コイルの相を切り替える際の回
転子の回転角度位置)との位相差であるが、この制御進
み角が正負の値をとり得るもので、実際の励磁相切替タ
イミングが基準励磁相切替タイミングに対して遅れ側の
位置となる場合には、該制御進み角が負の値をとる。
【0088】なお基準励磁相切替タイミングは、ブラシ
レス直流電動機の機械的構造により一義的に決まるもの
ではなく、位置検出装置2を構成する位置センサの取付
け位置により決まるものである。通常のブラシレス直流
電動機では、各相の電機子コイルに流す駆動電流の通電
角(電気角)に応じて、位置検出装置の取付け位置を適
当な位置に設定している。例えば、各相の電機子コイル
に駆動電流が流れた際に該電機子コイルに誘起する無負
荷誘起電圧がピークに達する位置(各相の電機子コイル
が巻回された歯部を流れる磁束が零点を通過する位置)
の前後90度(電気角)の区間各相の電機子コイルに電
流を流す「180度スイッチング制御」を行って電動機
を回転させる場合には、各相の電機子コイルが巻回され
ている歯部の先端の磁極部の中心位置(周方向の中心)
が回転子の磁石界磁の各磁極の中心位置に一致した時の
回転子の回転角度位置を検出するように各相の位置検出
信号を得るための位置センサを取り付ける。
【0089】例えば、図1に示したように、U相ないし
W相の電機子コイルAuないしAwが3つの歯部Pu〜
Pwに巻回されている場合に、ホールICからなる位置
センサhuないしhwを用いて磁石回転子の磁極を検出
することにより、U相ないしW相の位置検出信号を得る
場合には、図示のように歯部PuないしPwの磁極部の
中心位置からそれぞれ90度位相が進んだ位置に位置セ
ンサhu〜hwを配置して磁石界磁の磁極を検出するこ
とにより、歯部Pu〜Pwの先端の磁極部の中心位置に
磁石界磁の各磁極の中心位置が一致する毎にレベルが変
化する矩形波状のU相ないしW相の位置検出信号を得る
ようにするのが普通である。
【0090】この場合、歯部Pu〜Pwの先端の磁極部
の中心位置に磁石界磁の各磁極の中心位置が一致するタ
イミングがそれぞれU相ないしW相の基準励磁相切替タ
イミングとなり、各相の基準励磁相切替タイミングは、
各相の位置センサから得られる矩形波状の位置検出信号
のレベルが変化するタイミング(矩形波信号の立上り及
び立下がり)となる。
【0091】また各相の電機子コイルに駆動電流が流れ
た際に該電機子コイルに誘起する無負荷誘起電圧がピー
クに達する位置の前後60度の区間各相の電機子コイル
に電流を流す「120度スイッチング制御」を行って電
動機を回転させる場合には、歯部PuないしPwの磁極
部の中心位置からそれぞれ60度位相が進んだ位置にU
相ないしW相の位置センサhu〜hwを配置して磁石界
磁の磁極を検出することにより、歯部Pu〜Pwの先端
の磁極部の中心位置よりも電気角で30度遅れた位置に
磁石界磁の各磁極の中心位置が一致する毎にレベルが変
化する矩形波状のU相ないしW相の位置検出信号を得る
ようにするのが普通である。この場合、歯部Pu〜Pw
の先端の磁極部の中心位置よりも電気角で30度遅れた
位置に磁石界磁の各磁極の中心位置が一致した状態にな
るタイミングが基準励磁相切替タイミングとなり、各相
の基準励磁相切替タイミングは、各相の位置センサから
得られる位置検出信号のレベルが変化するタイミングと
なる。
【0092】180度スイッチング制御または120度
スイッチング制御を行ってブラシレス直流電動機を回転
させる場合に上記のように位置センサを配置して、各相
の位置検出信号を得るようにした場合には、制御進み角
を零とした場合、即ち、各相の位置検出信号のレベルが
変化する基準励磁相切替タイミング(位置検出信号の立
上り及び立下がり)で励磁される電機子コイルの相の組
み合わせを所定の組み合わせに切り替えるようにインバ
ータのスイッチ素子を制御することにより、起動時のト
ルクを最大にすることができる。しかしながら、常に上
記のように位置センサの取り付け位置を設定しなければ
ならないわけではなく、基準励磁相切替位置をインバー
タ回路の制御にとって都合がよいで位置に設定して、該
基準励磁相切替位置で検出信号を発生させるように位置
センサを取り付けるようにすることもできる。
【0093】図1の駆動装置において、車両に制動がか
けられた状態になったとき、即ち、電動機が外部から駆
動される状態になったときには、バッテリ3からインバ
ータ回路6を通して、電機子コイルAu〜Awの誘起電
圧と同じ周波数で該誘起電圧に対して所定の位相角(制
御進み角)を有する界磁調整用交流電圧を電機子コイル
に印加するようにインバータ回路6のスイッチ素子を制
御して、該界磁調整用交流電圧により電機子コイルに界
磁調整用電流を流す。このようにバッテリからインバー
タ回路を通して電機子コイルに界磁調整用交流電圧を印
加すると、該界磁調整用交流電圧の位相角に応じて、電
機子コイルに鎖交する磁束を増加または減少させること
ができるため、界磁調整用交流電圧の位相角(制御進み
角)に応じて、制動トルク及び回生充電電流を変化させ
ることができる。
【0094】図3は、回生制動により得られる制動トル
クと車両の走行速度Vとの関係を与える制動トルク対走
行速度特性が界磁調整用交流電圧の位相角(制御進み
角)αに応じて変化する様子を示したもので、同図にお
いて曲線aは制御進み角α=0°とした場合を示し、曲
線b及びcはそれぞれα=12°及びα=24°とした
場合を示している。また曲線dはα=−12°とした場
合(12°遅角させた場合)を示し、曲線e及びfはそ
れぞれα=−24°及びα=−36°とした場合を示し
ている。更に曲線gはインバータのスイッチ素子をオフ
状態に保って帰還ダイオードDu〜Dw及びDx〜Dz
により構成される整流回路を通して回生充電電流を流し
た場合に得られる全波整流充電トルクτa(図8に示さ
れたものと同じ。)を示し、曲線hは図8に示した制動
トルクτbmを示している。
【0095】また図4は、回生充電電流Iの走行速度V
に対する特性が制御進み角αにより変化する様子を示し
たもので、曲線aは制御進み角α=0°とした場合を示
し、曲線b及びcはそれぞれα=12°及びα=24°
とした場合を示している。また曲線dはα=−12°と
した場合を示し、曲線e及びfはそれぞれα=−24°
及びα=−36°とした場合を示している。更に曲線g
は、制動時にインバータのスイッチ素子をオフ状態に保
った場合に、帰還ダイオードDu〜Dw及びDx〜Dz
により構成される整流回路を通して流れる回生充電電流
Iaを示し、曲線hは図8に示したスイッチング充電電
流Ibmを示している。
【0096】図5は、制動時に、インバータ回路6の下
辺のスイッチ素子(または上辺のスイッチ素子)を所定
のデューティ比でオンオフさせて、界磁調整用電流をP
WM制御するようにした場合の制動トルク対走行速度特
性を、種々のデューティ比D0 〜D4 をパラメータとし
て示したものである。同図においてτa及びτbmは図8
に示したものと同様である。
【0097】また図6は、制動時に、インバータ回路6
の下辺のスイッチ素子(または上辺のスイッチ素子)を
所定のデューティ比でオンオフさせて、界磁調整用電流
をPWM制御する場合の回生充電電流対走行速度特性を
種々のデューティ比D0 〜D4 をパラメータとして示し
たもので、Ia及びIbmは図8に示したものと同様であ
る。
【0098】図3及び図4から明らかなように、界磁調
整用交流電圧の位相角を変化させることにより、制動ト
ルク及び回生充電電流を変化させることができる。即
ち、界磁調整用交流電圧の位相を電機子コイルの誘起電
圧の位相に対して進角させる(制御進み角をプラス側に
増大させると)と、電機子コイルに作用する界磁が減磁
されて電機子コイルに鎖交する磁束の量が減少するた
め、回生充電電流が小さくなり、回生制動トルクが小さ
くなる。
【0099】また界磁調整用交流電圧の位相を電機子コ
イルの誘起電圧の位相に対して遅角させると(制御進み
角をマイナス側に増大させると)、電機子コイルに作用
する界磁が増磁されて、電機子コイルに鎖交する磁束の
量が増加するため、回生充電電流が大きくなり、回生制
動トルクが大きくなる。従って、例えば、下り坂を走行
する際などに、界磁調整用交流電圧の位相角を遅角させ
るように、インバータ回路を制御することにより、大き
な制動力を得て、車両の速度が制限速度を超えるのを防
ぐことができる。
【0100】界磁調整用交流電圧の位相を電機子コイル
の誘起電圧に対して進み位相とするか、遅れ位相とする
かは、制動時の車両の速度やバッテリの充電状態により
相違する。例えば、制動時にバッテリが満充電の状態に
あるときには、界磁調整用交流電圧の位相角を進み位相
角として回生充電電流を抑制するように制御する。また
制動時にバッテリが放電していて、大きな充電電流を流
すことが許容される状態にあるときには、界磁調整用交
流電圧の位相角を遅れ位相角として制動トルクを増大さ
せるように制御する。
【0101】また上記のように、界磁調整用交流電圧の
位相角を制御するとともに、オン期間にある上辺のスイ
ッチ素子または下辺のスイッチ素子を所定のオンデュー
ティ比でオンオフさせて界磁調整用電流をPWM制御す
るようにすると、回生充電電流及び制動トルクの制御幅
を更に大きくすることができる。
【0102】例えば、界磁調整用交流電圧の位相を電機
子コイルの誘起電圧の位相に対して進ませた状態でイン
バータ回路の上辺または下辺のスイッチ素子のオンオフ
動作のオンデューティ比を大きくしていくと、界磁調整
用電流をPWM制御しない場合(オンデューティ比を1
00%とした場合)よりも、回生充電電流を更に小さく
することができる。
【0103】また界磁調整用交流電圧の位相を電機子コ
イルの誘起電圧の位相に対して遅らせた状態でスイッチ
素子のオンデューティ比を小さくすると、界磁調整用電
流をPWM制御しない場合(オンデューティ比を100
%とした場合)よりも、制動トルクが更に大きくなる。
【0104】上記のように、界磁調整用交流電圧の位相
角を変えると、回生充電電流及び制動トルクの大きさを
変化させることができ、界磁調整用交流電圧の位相角と
インバータ回路のスイッチ素子のオンデューティ比との
双方を変えることにより、回生充電電流及び制動トルク
を更に大幅に変化させることができる。
【0105】従って、例えば、高速領域に入ったときに
電機子コイルの誘起電圧に対して進角した界磁調整用交
流電圧を電機子コイルに印加することにより、回生充電
電流を小さくしてバッテリの過充電を防ぐことができ、
同時に各スイッチ素子のオンデューティ比を大きくする
ことにより、回生充電電流を更に小さくすることができ
る。
【0106】また電機子コイルの誘起電圧に対して遅角
した界磁調整用交流電圧を電機子コイルに印加すること
により、制動トルクを増大させることができるため、イ
ンバータ回路の各スイッチ素子のオンデューティ比を大
きくして回生充電電流を制限した状態で界磁調整用交流
電圧を電機子コイルの誘起電圧に対して遅角させること
により、バッテリを過充電状態にすることなく、車両の
減速効果を高めることができる。
【0107】例えば、車両の速度が高速領域から超高速
領域に入る前に電機子コイルの誘起電圧に対して遅角し
た界磁調整用交流電圧を電機子コイルに印加することに
より、バッテリを過充電状態にすることなく、車両を減
速することができる。
【0108】上記の説明では、電動車両が、電動機の出
力軸を変速機を介することなく、駆動輪の軸に直接伝達
するダイレクトドライブ方式を採用しているとしたが、
ダイレクトドライブ方式の電動車両では、走行速度と電
動機の回転速度とが対応しているので、制御を簡単にす
ることができる。しかしながら、本発明はダイレクトド
ライブ方式の電動車両に限定されるものではなく、電動
機の出力軸を変速機を介して駆動輪に伝達する方式の電
動車両でも、変速比を加味して制動時のスイッチングの
オンデューティ比を制御することにより、本発明を実施
することができる。
【0109】上記の例では、回生制動をかける際に、イ
ンバータ回路の上辺のスイッチ素子または下辺のスイッ
チ素子のオンオフのデューティ比を制御するとしたが、
インバータ回路の上辺のスイッチ素子または下辺のスイ
ッチ素子のオンオフのデューティ比を一定として、界磁
調整用交流電圧の位相角(制御進み角)のみを制御する
ようにしてもよい。
【0110】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、車両に
制動をかける際に、電機子コイルの誘起電圧と同じ周波
数で該誘起電圧に対して所定の位相角を有する界磁調整
用交流電圧をバッテリからインバータ回路を通して電機
子コイルに印加して、該界磁調整用交流電圧の位相角を
制御することにより、電機子コイルに鎖交する磁束を増
加または減少させて回生充電電流及び制動トルクを制御
するようにしたので、高速領域及び超高速領域において
も、回生充電電流及び制動トルクを制御して、制動トル
クが不足したり、バッテリが過充電状態になったりする
のを防ぐことができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態で用いる装置の構成例を示し
た構成図である。
【図2】図1の装置の各部の信号波形を示した波形図で
ある。
【図3】ブラシレス直流電動機により駆動される車両の
制動トルク対走行速度特性を界磁調整用交流電圧の位相
角をパラメータとして示した線図である。
【図4】ブラシレス直流電動機により駆動される車両の
回生充電電流対走行速度特性を、界磁調整用交流電圧の
位相角をパラメータとして示した線図である。
【図5】ブラシレス直流電動機により駆動される車両の
制動トルク対走行速度特性を、PWM制御される界磁調
整用電流のデューティ比をパラメータとして示した線図
である。
【図6】ブラシレス直流電動機により駆動される車両の
回生充電電流対走行速度特性を、PWM制御される界磁
調整用電流のデューティ比をパラメータとして示した線
図である。。
【図7】従来の電動車両の回生制動制御方法において制
動時に流れる全波整流充電電流と走行速度との関係及び
全波整流充電トルクと走行速度との関係を示した線図で
ある。
【図8】ブラシレス直流電動機により駆動される車両に
おいて、各走行速度において最大の制動トルクを得るよ
うに回生充電電流のスイッチングのオンデューティ比を
制御した場合のオンデューティ比Dm と走行速度との関
係、スイッチング充電電流Ibmと走行速度との関係、ス
イッチング充電トルクτbmと走行速度との関係、全波整
流充電電流Ia と走行速度との関係及び全波整流充電ト
ルクτa と走行速度との関係を示した線図である。
【図9】既提案の制御方法により回生制動制御を行った
場合について、各走行速度において最大の制動トルクを
得るように回生充電電流のスイッチングのオンデューテ
ィ比を制御した場合のオンデューティ比Dm と走行速度
との関係、スイッチング充電電流Ibmと走行速度との関
係、スイッチング充電トルクτbmと走行速度との関係、
全波整流充電電流Ia と走行速度との関係及び全波整流
充電トルクτa と走行速度との関係を示した線図であ
る。
【符号の説明】
1 ブラシレス直流電動機 Au〜Aw 電機子コイル 2 位置検出装置 3 バッテリ 6 インバータ回路 Su〜Sw,Sx〜Sz スイッチ素子 Du〜Dw,Dx〜Dz 帰還ダイオード 7 ドライブユニット 8 コントロールユニット 12 CPU
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H115 PA10 PI13 PI29 PI30 PO02 PO09 PO17 PU11 PV09 PV24 QA05 QI04 QN03 QN06 QN09 RB21 RB22 TI05 TI06 TI10 TO05 TO12 TO13 TO21 TO30 TR04 TR05 TR19 TU02 TU04 TU05 TU07 TU11 TU16 TU17 TZ01 TZ04 UB05 UB07 UB08 UB11 UI14 5H530 AA07 BB24 CC30 CD24 CD30 CD32 CD33 CD34 CD40 CE16 DD03 DD14 DD22 DD26 EE05 5H560 AA08 BB04 BB07 BB16 DA13 DA19 DC12 DC13 EB01 HB02 UA05 XA06 XA12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁石界磁を有する回転子と、周方向に並
    ぶ多数の歯部を有する電機子鉄心と該電機子鉄心の歯部
    に巻回されてn相回路(nは3以上の整数)を構成する
    ように結線されたコイル群からなるn相の電機子コイル
    とを有して前記電機子鉄心の歯部の先端に形成された磁
    極部が前記磁石回転子の磁石界磁に対向させられる固定
    子と、n個の上辺のスイッチ素子と前記n個の上辺のス
    イッチ素子にそれぞれ対応するように設けられて一端が
    共通接続されるとともに他端が対応する上辺のスイッチ
    素子の他端に接続されたn個の下辺のスイッチ素子とを
    有するスイッチ素子のブリッジ回路と該ブリッジ回路を
    構成する各スイッチ素子に逆並列接続されたダイオード
    とを有するn相ブリッジ形のインバータ回路と、各相の
    電機子コイルが巻回されている電機子鉄心の歯部の先端
    の磁極部の中心位置と前記磁石界磁の各磁極の中心位置
    との間の位置関係が予め設定された関係になるタイミン
    グを各相の基準励磁相切替タイミングとして検出して該
    基準励磁相切替タイミングの情報を含む信号を発生する
    位置検出装置とを備えて、前記位置検出装置により検出
    される基準励磁相切替タイミングまたは該基準励磁相切
    替タイミングに対して所定の制御進み角を有する励磁相
    切替タイミングで前記電機子コイルの励磁相を切り替え
    るように前記インバータ回路のスイッチ素子を制御しつ
    つバッテリから前記インバータ回路を通して前記電機子
    コイルに駆動電流を流して前記回転子を回転させるブラ
    シレス直流電動機により車輪を駆動する電動車両の制動
    時に、前記電動機の電機子コイルに誘起する電圧で前記
    バッテリに回生充電電流を流すことにより制動トルクを
    生じさせて前記車両の走行速度を低下させる電動車両の
    回生制動制御方法において、 前記車両に制動をかける際に、前記電機子コイルの誘起
    電圧と同じ周波数で該誘起電圧に対して所定の位相角を
    有する界磁調整用交流電圧を前記バッテリから前記イン
    バータ回路を通して前記電機子コイルに印加するように
    前記インバータ回路の上辺のスイッチ素子及び下辺のス
    イッチ素子を制御し、 前記界磁調整用交流電圧の位相角を遅れ側または進み側
    に変化させることにより、前記電機子コイルに鎖交する
    磁束を増加または減少させて前記回生充電電流及び制動
    トルクを制御することを特徴とする電動車両の回生制動
    制御方法。
  2. 【請求項2】 磁石界磁を有する回転子と、周方向に並
    ぶ多数の歯部を有する電機子鉄心と該電機子鉄心の歯部
    に巻回されてn相回路(nは3以上の整数)を構成する
    ように結線されたコイル群からなるn相の電機子コイル
    とを有して前記電機子鉄心の歯部の先端に形成された磁
    極部が前記磁石回転子の磁石界磁に対向させられる固定
    子と、n個の上辺のスイッチ素子と前記n個の上辺のス
    イッチ素子にそれぞれ対応するように設けられて一端が
    共通接続されるとともに他端が対応する上辺のスイッチ
    素子の他端に接続されたn個の下辺のスイッチ素子とを
    有するスイッチ素子のブリッジ回路と該ブリッジ回路を
    構成する各スイッチ素子に逆並列接続されたダイオード
    とを有するn相ブリッジ形のインバータ回路と、各相の
    電機子コイルが巻回されている電機子鉄心の歯部の先端
    の磁極部の中心位置と前記磁石界磁の各磁極の中心位置
    との間の位置関係が予め設定された関係になるタイミン
    グを各相の基準励磁相切替タイミングとして検出して、
    該基準励磁相切替タイミングの情報を含む信号を発生す
    る位置検出装置とを備えて、前記位置検出装置により検
    出される基準励磁相切替タイミングまたは該基準励磁相
    切替タイミングに対して所定の制御進み角を有する励磁
    相切替タイミングで前記電機子コイルの励磁相を切り替
    えるように前記インバータ回路のスイッチ素子を制御し
    つつバッテリから前記インバータ回路を通して前記電機
    子コイルに駆動電流を流して前記回転子を回転させるブ
    ラシレス直流電動機により車輪を駆動する電動車両の制
    動時に、前記電動機の電機子コイルに誘起する電圧で前
    記バッテリに回生充電電流を流すことにより制動トルク
    を生じさせて前記車両の走行速度を低下させる電動車両
    の回生制動制御方法において、 前記車両に制動をかける際に、前記電機子コイルの誘起
    電圧と同じ周波数で該誘起電圧よりも位相が進んだ界磁
    調整用交流電圧を前記バッテリから前記インバータ回路
    を通して前記電機子コイルに印加するように前記インバ
    ータ回路の上辺のスイッチ素子及び下辺のスイッチ素子
    を制御することを特徴とする電動車両の回生制動制御方
    法。
  3. 【請求項3】 磁石界磁を有する回転子と、周方向に並
    ぶ多数の歯部を有する電機子鉄心と該電機子鉄心の歯部
    に巻回されてn相回路(nは3以上の整数)を構成する
    ように結線されたコイル群からなるn相の電機子コイル
    とを有して前記電機子鉄心の歯部の先端に形成された磁
    極部が前記磁石回転子の磁石界磁に対向させられる固定
    子と、n個の上辺のスイッチ素子と前記n個の上辺のス
    イッチ素子にそれぞれ対応するように設けられて一端が
    共通接続されるとともに他端が対応する上辺のスイッチ
    素子の他端に接続されたn個の下辺のスイッチ素子とを
    有するスイッチ素子のブリッジ回路と該ブリッジ回路を
    構成する各スイッチ素子に逆並列接続されたダイオード
    とを有するn相ブリッジ形のインバータ回路と、各相の
    電機子コイルが巻回されている電機子鉄心の歯部の先端
    の磁極部の中心位置と前記磁石界磁の各磁極の中心位置
    との間の位置関係が予め設定された関係になるタイミン
    グを各相の基準励磁相切替タイミングとして検出して、
    該基準励磁相切替タイミングの情報を含む信号を発生す
    る位置検出装置とを備えて、前記位置検出装置により検
    出される基準励磁相切替タイミングまたは該基準励磁相
    切替タイミングに対して所定の制御進み角を有する励磁
    相切替タイミングで前記電機子コイルの励磁相を切り替
    えるように前記インバータ回路のスイッチ素子を制御し
    つつバッテリから前記インバータ回路を通して前記電機
    子コイルに駆動電流を流して前記回転子を回転させるブ
    ラシレス直流電動機により車輪を駆動する電動車両の制
    動時に、前記電動機の電機子コイルに誘起する電圧で前
    記バッテリに回生充電電流を流すことにより制動トルク
    を生じさせて前記車両の走行速度を低下させる電動車両
    の回生制動制御方法において、 前記車両に制動をかける際に、前記電機子コイルの誘起
    電圧と同じ周波数で該誘起電圧よりも位相が遅れた界磁
    調整用交流電圧を前記バッテリから前記インバータ回路
    を通して前記電機子コイルに印加するように前記インバ
    ータ回路の上辺のスイッチ素子及び下辺のスイッチ素子
    を制御することを特徴とする電動車両の回生制動制御方
    法。
  4. 【請求項4】 磁石界磁を有する回転子と、周方向に並
    ぶ多数の歯部を有する電機子鉄心と該電機子鉄心の歯部
    に巻回されてn相回路(nは3以上の整数)を構成する
    ように結線されたコイル群からなるn相の電機子コイル
    とを有して前記電機子鉄心の歯部の先端に形成された磁
    極部が前記磁石回転子の磁石界磁に対向させられる固定
    子と、n個の上辺のスイッチ素子と前記n個の上辺のス
    イッチ素子にそれぞれ対応するように設けられて一端が
    共通接続されるとともに他端が対応する上辺のスイッチ
    素子の他端に接続されたn個の下辺のスイッチ素子とを
    有するスイッチ素子のブリッジ回路と該ブリッジ回路を
    構成する各スイッチ素子に逆並列接続されたダイオード
    とを有するn相ブリッジ形のインバータ回路と、各相の
    電機子コイルが巻回されている電機子鉄心の歯部の先端
    の磁極部の中心位置と前記磁石界磁の各磁極の中心位置
    との間の位置関係が予め設定された関係になるタイミン
    グを各相の基準励磁相切替タイミングとして検出して、
    該基準励磁相切替タイミングの情報を含む信号を発生す
    る位置検出装置とを備えて、前記位置検出装置により検
    出される基準励磁相切替タイミングまたは該基準励磁相
    切替タイミングに対して所定の制御進み角を有する励磁
    相切替タイミングで前記電機子コイルの励磁相を切り替
    えるように前記インバータ回路のスイッチ素子を制御し
    つつバッテリから前記インバータ回路を通して前記電機
    子コイルに駆動電流を流して前記回転子を回転させるブ
    ラシレス直流電動機により車輪を駆動する電動車両の制
    動時に、前記電動機の電機子コイルに誘起する電圧で前
    記バッテリに回生充電電流を流すことにより制動トルク
    を生じさせて前記車両の走行速度を低下させる電動車両
    の回生制動制御方法において、 前記車両に制動をかける際に、前記位置検出装置により
    検出される前記基準励磁相切替タイミングを基準にして
    前記インバータ回路の各上辺のスイッチ素子及び各下辺
    のスイッチ素子のオン期間を定めて、オン期間にある上
    辺のスイッチ素子及び下辺のスイッチ素子にそれぞれの
    スイッチ素子をオン状態にするための駆動信号を与える
    とともに、オン期間にある上辺のスイッチ素子または下
    辺のスイッチ素子を所定のオンデューティ比でオンオフ
    させることにより、前記電機子コイルの誘起電圧と同じ
    周波数で該誘起電圧よりも位相が進んだ界磁調整用交流
    電圧を前記バッテリから前記インバータ回路を通して前
    記電機子コイルに印加して、該界磁調整用交流電圧によ
    り前記電機子コイルに界磁調整用電流を流し、 前記界磁調整用交流電圧の位相角と前記界磁調整用電流
    の平均値とを制御することにより、前記回生充電電流及
    び制動トルクを制御することを特徴とする電動車両の回
    生制動制御方法。
  5. 【請求項5】 磁石界磁を有する回転子と、周方向に並
    ぶ多数の歯部を有する電機子鉄心と該電機子鉄心の歯部
    に巻回されてn相回路(nは3以上の整数)を構成する
    ように結線されたコイル群からなるn相の電機子コイル
    とを有して前記電機子鉄心の歯部の先端に形成された磁
    極部が前記磁石回転子の磁石界磁に対向させられる固定
    子と、n個の上辺のスイッチ素子と前記n個の上辺のス
    イッチ素子にそれぞれ対応するように設けられて一端が
    共通接続されるとともに他端が対応する上辺のスイッチ
    素子の他端に接続されたn個の下辺のスイッチ素子とを
    有するスイッチ素子のブリッジ回路と該ブリッジ回路を
    構成する各スイッチ素子に逆並列接続されたダイオード
    とを有するn相ブリッジ形のインバータ回路と、各相の
    電機子コイルが巻回されている電機子鉄心の歯部の先端
    の磁極部の中心位置と前記磁石界磁の各磁極の中心位置
    との間の位置関係が予め設定された関係になるタイミン
    グを各相の基準励磁相切替タイミングとして検出して、
    該基準励磁相切替タイミングの情報を含む信号を発生す
    る位置検出装置とを備えて、前記位置検出装置により検
    出される基準励磁相切替タイミングまたは該基準励磁相
    切替タイミングに対して所定の制御進み角を有する励磁
    相切替タイミングで前記電機子コイルの励磁相を切り替
    えるように前記インバータ回路のスイッチ素子を制御し
    つつバッテリから前記インバータ回路を通して前記電機
    子コイルに駆動電流を流して前記回転子を回転させるブ
    ラシレス直流電動機により車輪を駆動する電動車両の制
    動時に、前記電動機の電機子コイルに誘起する電圧で前
    記バッテリに回生充電電流を流すことにより制動トルク
    を生じさせて前記車両の走行速度を低下させる電動車両
    の回生制動制御方法において、 前記車両に制動をかける際に、前記位置検出装置により
    検出される前記基準励磁相切替タイミングを基準にして
    前記インバータ回路の各上辺のスイッチ素子及び各下辺
    のスイッチ素子のオン期間を定めて、オン期間にある上
    辺のスイッチ素子及び下辺のスイッチ素子にそれぞれの
    スイッチ素子をオン状態にするための駆動信号を与える
    とともに、オン期間にある上辺のスイッチ素子または下
    辺のスイッチ素子を所定のオンデューティ比でオンオフ
    させることにより、前記電機子コイルの誘起電圧と同じ
    周波数で該誘起電圧よりも位相が遅れた界磁調整用交流
    電圧を前記バッテリから前記インバータ回路を通して前
    記電機子コイルに印加して、該界磁調整用交流電圧によ
    り前記電機子コイルに界磁調整用電流を流し、 前記界磁調整用交流電圧の位相角と前記界磁調整用電流
    の平均値とを制御することにより、前記回生充電電流及
    び制動トルクを制御することを特徴とする電動車両の回
    生制動制御方法。
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