JP2000189252A

JP2000189252A - 歯ブラシ

Info

Publication number: JP2000189252A
Application number: JP10370911A
Authority: JP
Inventors: Yoshinari Nakanishi; 良成中西
Original assignee: Lion Corp
Current assignee: Lion Corp
Priority date: 1998-12-25
Filing date: 1998-12-25
Publication date: 2000-07-11

Abstract

(57)【要約】【課題】歯と歯の間や、歯と歯茎の境目などに蓄積し
た除去しにくい歯垢に対する清掃効果が高く、しかも、
歯茎への当たりがソフトで使用感に優れた歯ブラシを提
供する。【解決手段】ヘッド部１の植毛面２に植毛された合成
モノフィラメント５として先端にカール形状を備えたも
のを用い、該カール部５ａのカール長さが刷毛全長に対
して２０％以内とされ、かつ、各合成モノフィラメント
５のカール方向が同一毛束内でランダムになるように植
毛したものである。さらに、必要に応じて、合成モノフ
ィラメント５の毛先をテーパー加工したものである。刷
毛の端部に局所的にカール形状を備えているので、毛先
の当たりが大変ソフトで感触が良くなり、刷毛のカール
方向がランダムであるので、毛先が歯間部や歯と歯茎の
境目、歯列不正による凹部などの通常では磨きにくい箇
所にも届きやすくなり、口腔内の隅々まで刷掃できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、歯と歯の間や、歯
と歯茎の境目などに蓄積した除去しにくい歯垢に対する
清掃効果が高く、しかも、歯茎への当たりがソフトで使
用感に優れた歯ブラシに関する。

【０００２】

【従来の技術】歯周疾患およびう蝕の２大歯科疾患予防
のためには、歯ブラシによる歯垢除去が重要であり、近
年、スクラブ法やバス法などの毛先磨きによる刷掃法が
歯垢除去に有効であることが認められてきた。

【０００３】現在広く使用されている歯ブラシは、合成
フィラメントの刷毛を植毛したものが一般的である。こ
の合成フィラメントの刷毛を用いた歯ブラシにおいて
は、刷掃効果を上げるために太めの硬い刷毛の歯ブラシ
を用いた場合、刷掃力には優れるが、毛先の歯茎への当
たりが強くなることがある。一方、歯茎への当たりを弱
めるために細目の柔らかい刷毛の歯ブラシを用いた場合
には、ソフト感はあるが、毛腰が弱いため、歯垢を掻き
取る力が不十分であり、耐久性も低いという欠点があっ
た。

【０００４】他方、上記のような問題をなくすために、
毛先部分を様々に加工・処理した刷毛を用いた歯ブラシ
も知られている。この中の１つに、毛先が歯と歯茎の境
目などの凹部に容易に入り込むように、毛先をテーパー
状に研磨加工した歯ブラシが知られているが、このテー
パー部の長さはせいぜい１ｍｍ程度と短いため、清掃効
果やソフト感が思ったほど向上するまでには至らず、通
常の毛先ラウンド状の刷毛とほとんど差がなかった。

【０００５】さらに、合成フィラメントを化学処理によ
ってテーパー部をより長く先鋭化した刷毛を用いた歯ブ
ラシ（実開平５−１５８３４号）や、毛先部分を曲げ加
工した刷毛を用いた歯ブラシ（実開昭６１−１２６８２
３号）も知られている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
の歯ブラシにおいても、刷毛の毛先をラウンド形状、テ
ーパー形状、球状にするなど様々に工夫を施している
が、いずれの場合も刷毛全体が直線的形状であり、歯お
よび歯茎に対して毛先がダイレクトに接するため、以下
に述べるような様々な問題があった。

【０００７】（１）例えば、刷毛径が太かったり、毛
先に球状加工が施されている場合には、歯および歯茎へ
の当たりが強く、そのために使用者が毛先を口腔内細部
まで入り込ませられない。一方、刷毛径が細い場合に
は、毛の「腰」が弱くなってしまい、毛先の刷掃効果が
大きく低下してしまう。

【０００８】（２）先鋭化したテーパー形状の場合
は、歯間部や歯周ポケット、歯間三角部に入りやすくは
なるが、その部位を毛先が局所的に刺激してしまうた
め、使用者に違和感を与えることがあった。また、テー
パー形状が適切でなく、長すぎたり、細すぎたりする
と、歯肉のマッサージ効果も低下してしまう。

【０００９】（３）刷毛全体が非直線的形状とされた
歯ブラシ（実開昭６０−３９６３１号）などにおいて
も、毛先部分が直線状とされている場合には、上記した
各問題と同様な問題を生じる。

【００１０】（４）また、従来の刷毛毛先を曲げ加工
された歯ブラシ（例えば、実開昭６１−１２６８２３号
など）においては、適切な形状をとっていないものもあ
り、刷毛全体の長さに対する曲げられた部分の長さが大
きすぎる場合には、歯ブラシとしてのソフトな使用感と
刷掃効果のどちらも得られなくなってしまうという問題
も起こる。

【００１１】（５）さらに、曲げられている方向があ
る決められた方向のみの歯ブラシ（例えば、実開昭６２
−１１９８４１号など）の場合、期待される所期の効果
を生み出すためには、その歯ブラシに合った特定の磨き
方が求められることから、一般の使用者には大変使いづ
らいものとなる。

【００１２】本発明は、上記のような問題を解決するた
めになされたもので、歯と歯の間や、歯と歯茎の境目な
どに蓄積した除去しにくい歯垢に対する清掃効果が高
く、しかも、歯茎への当たりがソフトで使用感に優れた
歯ブラシを提供することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１に係る歯ブラシは、合成モノフィラメント
を束ねて毛束とし、該毛束をヘッド部の植毛面に植毛し
た歯ブラシにおいて、前記合成モノフィラメントとして
先端にカール形状を備えたものを用い、該カール部のカ
ール長さが刷毛全長に対して２０％以内とされ、かつ、
各合成モノフィラメントのカール方向が同一毛束内でラ
ンダムになるように植毛されていることを特徴とするも
のである。

【００１４】また、請求項２に係る歯ブラシは、合成モ
ノフィラメントを束ねて毛束とし、該毛束をヘッド部の
植毛面に植毛した歯ブラシにおいて、前記合成モノフィ
ラメントとして先端にカール形状を備えたものを用い、
該カール部のカール長さが刷毛全長に対して２０％以内
とされ、かつ、各合成モノフィラメントのカール方向が
同一毛束内では同じ向きであるが、毛束同士ではその向
きがランダムになるように植毛されていることを特徴と
するものである。

【００１５】さらに、請求項３に係る歯ブラシは、前記
請求項１または２に係る歯ブラシにおいて、前記合成モ
ノフィラメントの毛先がテーパー加工されたものである
ことを特徴とするものである。

【００１６】上記構成とした場合、刷毛の端部に局所的
にカール形状を備えているので、歯磨き操作の際に、毛
先の口腔内組織への当たりが大変ソフトで感触が良くな
り、特に、歯肉に対して良好な刺激を与えることができ
る。また、全体的に見て、刷毛のカール方向がランダム
であるので、通常の歯磨き操作でも、毛先が歯間部や歯
と歯茎の境目、歯列不正による凹部などの通常では磨き
にくい箇所にも届きやすくなり、口腔内の隅々まで簡単
に刷掃することが可能となる。

【００１７】さらに、カール状毛先の掻き取り効果で清
掃効率が高くなることから、食物残渣や歯垢を効果的に
取り除くことができる。さらにまた、ブラッシング時に
刷毛にかかる過剰な力をカール形状により吸収できるた
め、使用による刷毛の広がりも防ぐことができ、歯ブラ
シ自体の耐久性をも高めることができる。

【００１８】また、合成モノフィラメントの毛先をテー
パー加工した場合、毛先が歯間部や歯周ポケット、歯間
三角部に入りやすくなり、ソフトな使用感を維持しなが
ら、清掃効果をより高めることができる。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図１および図１に、本発明
に係る歯ブラシの一実施の形態を示す。図１は実施の形
態の模式斜視図、図２は模式平面図である。

【００２０】図において、１はヘッド部、２は植毛面、
３は植毛穴、４は柄部であって、本発明の歯ブラシは、
植毛穴３に植毛される毛束の刷毛として合成モノフィラ
メント５を用い、この合成モノフィラメント５の先端部
を所定の長さにカールさせてカール部５ａとし、このカ
ール部５ａのカール長さを刷毛全長に対して２０％以内
とするとともに、各合成モノフィラメント５のカール部
５ａのカール方向が同一毛束内でランダムな方向を向く
ように植毛したものである。

【００２１】すなわち、図３および図５の模式拡大図を
参照して、前記合成モノフィラメント５の先端部に形成
されたカール部５ａの形状についてさらに詳しく説明す
ると、カール部５ａのカール長さをＣ、合成モノフィラ
メント５からなる刷毛の植毛面２からの全長（刷毛全
長）をＬとするとき、カール長さＣをＣ＝ａ・Ｌ（ａ：パラメータ、０＜ａ≦０．２）の式で特定される長さとしたものである。

【００２２】前記合成モノフィラメント５からなる刷毛
の全長Ｌは、通常の歯ブラシと同様に６〜１３ｍｍ程度
とされる。したがって、カール部５ａのカール長さＣの
最大値は、１．２ｍｍから２．６ｍｍ程度となる。

【００２３】前記合成モノフィラメント５としては、ポ
リエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの合成樹
脂を用いることができる。また、合成モノフィラメント
５の端部にカール部５ａを形成するには、薬品などによ
る化学的処理、熱などによる物理的処理、あるいはそれ
らの組み合わせ処理を施すことにより実現できる。カー
ル部５ａは、図５または図６に示すように、合成モノフ
ィラメント５の少なくともいずれか一方の端部に形成さ
れていれば、所期の効果を得ることができる。

【００２４】刷毛の最先端部分の高さについては、すべ
てが同じ高さに揃っている場合、口腔内組織へ当たる感
触が大変よくなり、また、不揃いである場合には、毛先
の口腔内組織への到達実感がさらに増すことから、いず
れの場合においても本発明の効果を得ることができる。
また、いずれの効果をより強くするかによって、刷毛最
先端部分の高さを毛束毎にあるいは毛束内で変えること
が可能である。

【００２５】前記合成モノフィラメント５の端部に形成
するカール部５ａは、刷毛としての訴求機能に応じてカ
ールさせる程度を変えることが好ましい。例えば、より
ソフトな感触を求める場合には、図７のようにきつめに
カールをかけることが好ましいし、より毛先の到達感を
求める場合には、図８あるいは図９のようにゆるめにカ
ールをつけることが好ましい。

【００２６】また、同一歯ブラシで複数の効果を出すた
めに、同一植毛面にそれぞれ異なるカール形状になる複
数種類の合成モノフィラメント５を植毛してもよいし、
図１３のように１本のフィラメントの両端に異なるカー
ル形状を与えた合成モノフィラメント５を植毛してもよ
いものである。

【００２７】前記合成モノフィラメントの最大径は、
０．１５〜０．２８ｍｍ程度とすればよく、さらに、前
述したカール形状とともに、カール部５ａの先端に、ラ
ウンド状（図１０）、球状（図１１）、化学的処理ある
いは物理的処理によるテーパー形状（図１２）などの毛
先加工を施すと、本発明の効果に加え、それぞれの形状
由来の効果も期待されることから、なお好ましいものと
なる。特に、図１２に示した毛先がテーパー加工された
合成モノフィラメント５を用いた場合、毛先が歯間部や
歯周ポケット、歯間三角部に入りやすくなるので、ソフ
トな使用感を維持しながら、清掃効果をより高めること
ができる。

【００２８】ヘッド部１、柄部４を含むハンドル材料と
しては、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル・スチ
レン樹脂（ＡＳ樹脂）などを用いることができる。

【００２９】上記したように、先端にカール部５ａを備
えた合成モノフィラメント５によって刷毛を構成する
と、カール部５ａを備えた合成モノフィラメント５のみ
が１００％植毛されている場合はもちろんのこと、カー
ル部５ａを備えた合成モノフィラメントが実質的に５０
％以上となるように他の形状の刷毛と混在して植毛され
ていれば、歯茎などへの当たりが柔らかくなってソフト
感が得られると同時に、歯と歯茎の境目などに蓄積した
除去しにくい歯垢を効果的に掻き取ることができる。

【００３０】このような歯ブラシの作成方法としては、
毛束がヘッド部にしっかり固定されればよいので、特に
制限はなく、例えば、平線と呼ばれる金属片を用いて刷
毛を植毛穴に打ち込む方法や、特開平９−１４９８１５
号で示されているような射出成形法など、従来公知の方
法を利用することができる。

【００３１】なお、上記実施の形態においては、図１に
示したように、合成モノフィラメント５のカール部５ａ
のカール方向が同一毛束内でランダムになるように植毛
した場合について例示したが、図１４に示すように、合
成モノフィラメント５のカール部５ａのカール方向が同
一毛束内では同じ方向であるが、毛束同士ではそのむき
が互いにランダムになるように植毛してもよいものであ
る。

【００３２】

【実施例】図１の構造になる歯ブラシにおいて、カール
長さＣと刷毛全長Ｌの関係を変えた場合の使用感につい
て、被験者１５名で評価した結果を表１に示す。この表
１の結果から明らかなように、カール長さＣが刷毛全長
Ｌに対して２０％以内のときが最も効果的であることが
確認された。

【００３３】

【表１】

【００３４】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１および２
に係る発明によるときは、合成モノフィラメントとして
先端にカール形状を備えたものを用い、該カール部のカ
ール長さが刷毛全長に対して２０％以内で、かつ、各合
成モノフィラメントのカール方向が同一毛束内でランダ
ムになるようにし、あるいは、各合成モノフィラメント
のカール方向が同一毛束内では同じ向きであるが、毛束
同士ではその向きがランダムになるようにしているの
で、歯磨き操作の際に、毛先の口腔内組織への当たりが
大変ソフトとなり、特に、歯肉に対して良好な刺激を与
えることができるようになる。また、刷毛のカール方向
がランダムであるので、通常の歯磨き操作でも、毛先が
歯間部や歯と歯茎の境目、歯列不正による凹部などの通
常では磨きにくい箇所にも届きやすくなり、口腔内の隅
々まで簡単に刷掃することができる。

【００３５】また、カール状毛先の掻き取り効果で清掃
効率が高くなるので、植毛残渣や歯垢を効果的に取り除
くことができる。さらに、ブラッシング時に刷毛にかか
る過剰な力をカール形状により吸収することができるの
で、使用による刷毛の広がりも防ぐことができ、歯ブラ
シ自体の耐久性をも高めることができる。

【００３６】また、請求項３に係る発明によるときは、
合成モノフィラメントの毛先がテーパー加工されたもの
を用いているので、毛先が歯間部や歯周ポケット、歯間
三角部に入りやすくなり、ソフトな使用感を維持しなが
ら、清掃効果をより高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る歯ブラシの一実施の形態を示す模
式斜視図である。

【図２】図１の歯ブラシの模式平面図である。

【図３】植毛状態を示す合成モノフィラメントの拡大側
面図である。

【図４】カール部の拡大側面図である。

【図５】両端にカール部を備えた合成モノフィラメント
の例を示す拡大側面図である。

【図６】一方の端部にのみカール部を備えた合成モノフ
ィラメントの例を示す拡大側面図である。

【図７】きつくカールさせたカール部の例を示す拡大側
面図である。

【図８】ゆるくカールさせたカール部の例を示す拡大側
面図である

【図９】ややゆるくカールさせたカール部の例を示す拡
大側面図である

【図１０】先端部をラウンド状としたカール部の例を示
す拡大側面図である。

【図１１】先端部を球状としたカール部の例を示す拡大
側面図である。

【図１２】先端部をテーパー加工したカール部の例を示
す拡大側面図である。

【図１３】両端に異なる形状のカール部を備えた合成モ
ノフィラメントの例を示す拡大側面図である。

【図１４】本発明に係る歯ブラシの他の実施の形態を示
す模式斜視図である。

【符号の説明】

１ヘッド部２植毛面３植毛穴４柄部５合成モノフィラメント（刷毛）５ａカール部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】合成モノフィラメントを束ねて毛束と
し、該毛束をヘッド部の植毛面に植毛した歯ブラシにお
いて、前記合成モノフィラメントとして先端にカール形状を備
えたものを用い、該カール部のカール長さが刷毛全長に
対して２０％以内とされ、かつ、各合成モノフィラメン
トのカール方向が同一毛束内でランダムになるように植
毛されていることを特徴とする歯ブラシ。
【請求項２】合成モノフィラメントを束ねて毛束と
し、該毛束をヘッド部の植毛面に植毛した歯ブラシにお
いて、前記合成モノフィラメントとして先端にカール形状を備
えたものを用い、該カール部のカール長さが刷毛全長に
対して２０％以内とされ、かつ、各合成モノフィラメン
トのカール方向が同一毛束内では同じ向きであるが、毛
束同士ではその向きがランダムになるように植毛されて
いることを特徴とする歯ブラシ。
【請求項３】前記合成モノフィラメントの毛先がテー
パー加工されたものであることを特徴とする請求項１ま
たは２記載の歯ブラシ。