JP2000188269A - 部材の分離方法及び分離装置並びに基板の製造方法 - Google Patents

部材の分離方法及び分離装置並びに基板の製造方法

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JP2000188269A
JP2000188269A JP11240140A JP24014099A JP2000188269A JP 2000188269 A JP2000188269 A JP 2000188269A JP 11240140 A JP11240140 A JP 11240140A JP 24014099 A JP24014099 A JP 24014099A JP 2000188269 A JP2000188269 A JP 2000188269A
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Kiyobumi Sakaguchi
清文 坂口
Kazutaka Yanagida
一隆 柳田
Kazuaki Omi
和明 近江
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Abstract

(57)【要約】 【課題】貼り合わせ基板の分離に好適な分離方法を提供
する。 【解決手段】本体基板1上に空洞含有層(例えば、陽極
化成により形成された多孔質層)2を有し、その上に非
空洞含有層(例えば、単結晶Si層及び絶縁層)3を有
する第1の基板10と、第2の基板20とを貼り合わせ
てなる貼り合わせ基板100を密閉容器内に収容して圧
力を印加する。この時、空洞含有層2の空洞2b,2d
内に圧力と外部の圧力との圧力差によって、空洞壁2
a,2cが破壊される。この破壊が空洞含有層2の内部
に進行することにより、貼り合わせ基板100が空洞含
有層2で分離される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部材の分離方法及
び分離装置並びに基板の製造方法に係り、特に、多数の
空洞を有する空洞含有層を内部に有する部材を該空洞含
有層で分離する分離方法及び分離装置並びに該方法を適
用した基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】絶縁物上に単結晶Si層を有する基板と
して、SOI(Silicon On Insulator)構造を有する基
板(SOI基板)が知られている。このSOI基板を採
用したデバイスは、通常のSi基板では到達し得ない数
々の優位点を有する。この優位点としては、例えば、以
下のものが挙げられる。 (1)誘電体分離が容易で高集積化に適している。 (2)放射線耐性に優れている。 (3)浮遊容量が小さく、素子の動作速度の高速化が可
能である。 (4)ウェル工程が不要である。 (5)ラッチアップを防止できる。 (6)薄膜化による完全な空乏型電界効果トランジスタ
の形成が可能である。
【0003】これらの事項は、「Special Issue : "Sin
gle-crystal silicon on non-single-crystal insulato
rs"; edited by G.W.Cullen, Journal of Crystal Grow
th,volume 63, no 3, pp 429-590(1983)」に詳しい。
【0004】更に、ここ数年においては、SOI基板
が、MOSFETの高速化、低消費電力化を実現するた
めに有効な基板であるとの多くの報告がなされている
(IEEE SOI conference 1994)。また、SOI構造を採
用した場合、素子の下部に絶縁層が存在するため、バル
クSi基板上に素子を形成する場合に比べて、素子分離
プロセスを単純化することができる。従って、デバイス
プロセス工程を短縮することができる。即ち、SOI基
板を採用することにより、デバイスの高性能化の他、ウ
ェハコスト及びプロセスコストを含む全体的なコストの
低減が期待されている。
【0005】中でも完全空乏型(FD; Fully Depleted)
MOSFETは、駆動能力の向上による高速化及び低消
費電力化が期待されている。MOSFETの閾値電圧
(Vth)は、一般的には、チャネル部の不純物濃度に
より決定される。しかしながら、SOI基板を用いた完
全空乏型MOSFETの場合には、閾値電圧が空乏層厚
にも依存し、この空乏層厚がSOI層の膜厚の影響を受
ける。従って、閾値を一定にし、大規模集積回路を高歩
留まりで製造するには、SOI層の膜厚を均一化する必
要がある。
【0006】また、化合物半導体基板上に形成されるデ
バイスは、通常のSi基板上に形成されるデバイスでは
得られない高い性能(例えば、動作速度、発光)を有し
ている。現在、これらのデバイスは、GaAs等の化合
物半導体基板上にエピタキシャル成長層を形成し、その
中に作り込まれている。しかしながら、化合物半導体基
板は、高価であり、機械的強度が低く、しかも大面積化
が困難であるという問題点がある。また、この方法によ
り形成されるエピタキシャル成長層は、格子定数や熱膨
張係数の違いのために結晶性が悪く、デバイスに応用す
ることは非常に困難である。また、格子のミスフィット
を緩和するために、多孔質Si上に化合物半導体をエピ
タキシャル成長させる方法が試みられているが、多孔質
Siの熱安定性の低さ、経時変化等によりデバイスの作
成中又は作成した後の基板としての安定性、信頼性に欠
ける。そこで、安価で、機械強度が高く、大面積化が容
易なSi基板上に、化合物半導体をヘテロエピタキシャ
ル成長させる試みがなされている。
【0007】SOI基板の形成に関する研究は、197
0年代頃から盛んであった。初期は、絶縁物であるサフ
ァイア基板の上に単結晶Siをヘテロエピタキシャル成
長させる方法(SOS;Sapphire On Silicon)や、多
孔質Siの酸化による誘電体分離によってSOI構造を
形成する方法(FIPOS;Fully Isolation by Porou
s Oxidized Silicon)、酸素イオン注入法が主に研究さ
れた。
【0008】FIPOS法では、まず、P型単結晶Si
基板の表面にN型Si層をプロトンイオン注入(イマイ
他、J.Crystal Growth, vol 63,547(1983))、若しく
は、エピタキシャル成長とパタニングによって島状に形
成する。そして、これを表面からHF溶液中で陽極化成
することにより、N型Si島を囲むようにP型基板のみ
を多孔質化し、その後、増速酸化によりN型Si島を誘
電体分離する。この方法では、分離されるSi領域は、
デバイス工程の前に決定されるため、デバイス設計の自
由度を制限する場合がある。
【0009】酸素イオン注入法は、K.Izumiによって初
めて報告された方法であって、SIMOX法とも呼ばれ
る。この方法では、Si基板に酸素イオンを1017
10 18/cm程度注入した後に、アルゴン・酸素雰
囲気中で1320℃程度の高温でアニ−ルする。その結
果、イオン注入の投影飛程(Rp)に相当する深さを中
心に注入された酸素イオンがSiと結合して酸化Si層
が形成される。このアニ−ルの際に、酸化Si層の上部
の酸素イオン注入によりアモルファス化したSi層も再
結晶化して、単結晶Si層となる。表面のSi層中に含
まれる欠陥は、従来は10/cm程度と多かった
が、酸素の注入量を4×1017付近にすることによ
り、10/cm以下にまで低減することに成功して
いる。しかしながら、酸化Si層の膜質、表面Si層の
結晶性等を維持可能な注入エネルギーや注入量の範囲が
狭いために、表面Si層や埋め込み酸化Si層(BO
X;Burried Oxide)の膜厚は、特定の値に制限されて
いた。所望の膜厚の表面Si層を得るためには、犠牲酸
化乃至はエピタキシャル成長の工程が必要である。その
場合、膜厚の分布にこれらの工程による劣化分が重畳さ
れる結果、膜厚の均一性が劣化するという問題がある。
【0010】また、BOXには、パイプと呼ばれる酸化
Siの形成不良領域が存在することが報告されている。
この原因の1つとして、注入時のダスト等の異物が考え
られている。パイプの存在する部分では、活性層と支持
基板との間のリークによりデバイス特性の劣化が生じ
る。
【0011】また、SIMOX法におけるイオン注入工
程は、通常の半導体プロセスで使用するイオン注入量と
比べて、イオン注入量が大きいため、専用のイオン注入
装置が開発されても、依然として長い注入時間を要す
る。イオン注入は、所定の電流値のイオンビームをラス
タースキャンし、或いは、ビーム径を大きくして行われ
るため、形成する基板の大面積化に伴って、注入時間の
増大が予想される。また、大面積の基板を高温で処理す
ると、基板内の温度分布によるスリップの発生などの問
題がより助長されるとの指摘がなされている。SIMO
X法では、前述のように、1320℃という通常のSi
半導体プロセスでは使用されない高温での処理が必須で
あることから、装置開発を含めて、この問題を解決する
ことの重要度が高いと言える。
【0012】近年になって、新たなSOI基板の製造方
法が開発された。この方法は、単結晶Si基板を、表面
を熱酸化した他の単結晶Si基板に対して、熱処理又は
接着剤を用いて貼り合わせ、これによりSOI構造を形
成する方法である(bonding法)。この方法では、デバ
イスを形成するための活性層を均一に薄膜化する必要が
ある。即ち、この方法では、数百μmもの厚さの単結晶
Si基板をμmオーダー又はそれ以下まで薄膜化する必
要がある。この薄膜化の方法には、研磨、局所プラズマ
エッチング、選択エッチングによる方法がある。
【0013】しかし、研磨による薄膜化では、均一な薄
膜化が困難である。特に、サブミクロンオーダーまでの
薄膜化では、ばらつきが数十%にも達し、この不均一性
が大きな問題となっている。更に基板の大口径化が進む
と、この困難性は一層大きくなる。
【0014】局所プラズマによる薄膜化では、まず、1
〜3μm程度の厚さまで上記の研磨による方法で単結晶
Si基板を薄膜化した後に、その基板の全面の多数の箇
所で膜厚を測定することにより膜厚の分布を測定する。
その後、この測定した膜厚分布に基づいて、直径が数m
mのSF等を用いたプラズマをスキャンさせることに
より、膜厚分布を補正しながらエッチングし、所望の膜
厚になるまで単結晶Si基板を薄膜化する。しかし、プ
ラズマエッチングの際に基板上に異物(パーティクル)
が存在すると、この異物がエッチングマスクとして作用
するために基板上に突起が形成される可能性がある。
【0015】また、プラズマエッチングの直後は基板の
表面が荒れているため、これを是正するためにタッチポ
リッシングが必要であるが、ポリッシング量の制御が時
間管理によってなされるため、最終膜厚の制御の困難性
やポリッシングによる膜厚分布の劣化が指摘されてい
る。更に、コロイダルシリカ等の研磨材が直接に活性層
になる表面を擦るため、研磨による破砕層の形成、加工
歪みの導入も懸念されている。また、更に、基板が大面
積化した場合に、それに伴ってプラズマエッチング時間
が増大するために、スループットの著しい低下が懸念さ
れる。
【0016】選択エッチングによる薄膜化は、予め薄膜
化すべき基板に選択エッチングが可能な構造を作り込ん
でおき、この構造を利用して単結晶Si基板の不要な部
分を選択的にエッチングする方法である。この方法で
は、例えば、P型基板上にボロンを1019/cm
上の濃度に含むP−Siの薄膜とP型Siの薄膜とを
エピタキシャル成長法等により積層し、これを第1の基
板とする。そして、この第1の基板を、酸化膜等の絶縁
層を挟むようにして第2の基板と貼り合わせた後に、第
1の基板の裏面を、研削、研磨により予め薄くする。そ
の後、薄くなったP型Si層を選択エッチングしてP
−Si層を露出させ、更に、そのP−Si層を選択エ
ッチングしてP型Si層を露出させて、SOI構造を得
る。この方法は、Maszaraの報告において詳述されてい
る(W.P.Maszara, J.Electrochem.Soc.,vol.138,341(19
91))。
【0017】選択エッチングによる薄膜化は、均一な薄
膜化には有効であると言われているが、得られる選択比
が10程度であり十分ではなく、また、エッチング後
の表面性が悪いため、エッチング後にタッチポリッシン
グが必要であるという問題がある。このタッチポリッシ
ングは、膜厚を減少させると共に膜厚を不均一化させ易
い。特に、ポリッシングは時間によって管理されるが、
研磨速度のばらつきが大きいために研磨量の制御が困難
である。これは、100nmというような極薄のSOI
層の形成において特に問題になる。
【0018】また、選択エッチングによる薄膜化では、
イオン注入によるP−Si層上にエピタキシャル成長
法又はヘテロエピタキシャル成長法によりSOI層を形
成するため、SOI層の結晶性が悪く、また、第2の基
板と貼り合せる面の表面性が通常のSi基板よりも劣る
とういう問題もある(C.Harendt, et.al., J.Elect.Mat
er.Vol.20,267(1991), H.Baumgart, et.al., Extended
Abstract of ECS 1stInternational Symposium of Wafe
r Bonding, pp-733(1991), C.E.Hunt, Extended Abstra
ct of ECS 1st International Symposium of Wafer Bon
ding, pp-696(1991))。
【0019】また、選択エッチングの選択比は、ボロン
等の不純物の濃度差とその深さ方向の分布の急峻性に大
きく依存している。従って、貼り合わせ強度を高めるた
めにの高温のボンディングアニ−ル工程や、結晶性を向
上させるための高温のエピタキシャル成長工程を実施す
ると、不純物濃度の深さ方向の分布幅が広がり、エッチ
ングの選択性を低下させることになる。即ち、エッチン
グの選択比の向上と、結晶性及び貼り合わせ強度の向上
とを両立させることが困難である。
【0020】最近、米原等は、上記の問題点を解決し、
膜厚の均一性や結晶性に優れ、バッチ処理が可能なSO
I基板の製造方法を報告した(T.Yonehara et,al., App
l.Phys.Lett. vol.64, 2108(1994))。この方法では、
まず、単結晶Si基板に多孔質層を形成し、その上に非
多孔質単結晶Si層をエピタキシャル成長させ、その
後、この第1の基板を酸化Siを挟んで第2の基板と貼
り合せる。次いで、第1の基板を研削等の方法で裏面側
から薄膜化して多孔質Si層を露出させる。次いで、露
出した多孔質Si層をKOHや、HFとHとの混
合液等の選択エッチング液によりエッチングして除去す
る。多孔質SiのバルクSi(非多孔質単結晶Si)に
対するエッチングの選択比は十分に高い(10
度)。
【0021】従って、予め多孔質Si層上に成長させた
非多孔質単結晶Si層の膜厚を殆ど減じることなく、第
2の基板上に該非多孔質単結晶Si層を有するSOI基
板を形成することができる。即ち、SOI層の膜厚均一
性は、エピタキシャル成長の工程時によって概ね決定さ
れる。エピタキシャル成長工程には、通常の半導体プロ
セスで多用されるCVD装置を採用することができる。
佐藤等の報告(SSDM95)によれば、上記の方法によって
形成されるSOI層の膜厚は、100nm±2%以内の
均一性を達成している。また、SOI層の結晶性も良好
で、3.5×10/cmが達成されていることが報
告されている。
【0022】従来のSOI基板の製造方法では、エッチ
ングの選択性が、不純物濃度の差と、不純物濃度の深さ
方向の分布とに依存していたため、不純物の深さ方向の
分布幅を大きくする要因となる熱処理(貼り合わせ工
程、エピタキシャル成長工程、酸化工程等)の温度は、
概ね800℃以下に制限されていた。一方、米原等が報
告した方法では、多孔質Si層とバルクSiとの構造の
差によりエッチングの選択比が決定されるため、熱処理
の温度に対する制限が小さく、例えば1180℃程度の
熱処理を行うことが可能であると報告されている。ここ
で、例えば、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせた
後の熱処理は、基板同士の結合強度を高め、貼り合わせ
界面に生じる空隙(void)の数やその大きさを低減させ
ることが知られている。また、上記のような構造の差を
利用した選択エッチングでは、多孔質Si層上に異物が
付着していても、最終的に形成されるSOI層の膜厚均
一性に与える影響は極めて小さい。
【0023】ところで、ガラス等に代表される光透過性
基板上に形成されるSi層は、一般には、非晶質にな
り、良くても多結晶の層にしかならない。これは、形成
されるSi層が、光透過性基板の結晶構造(非晶質)の
無秩序性を反映するためである。従って、光透過性基板
上に単純にSi層を堆積する場合には、良好な単結晶S
i層を得ることができない。この点においても、上記の
米原等が報告したSOI基板の製造方法は優れている。
即ち、この方法によれば、光透過性基板上に良質の単結
晶Si層を形成することができる。
【0024】光透過性基板は、例えば、受光素子である
コンタクトセンサや投影型液晶画像表示装置を構成する
上で重要である。コンタクトセンサや投影型液晶画像表
示装置の画素(絵素)をより一層、高密度化、高解像度
化、高精細化するためには、高性能の駆動素子が必要に
なる。そこで、光透過性基板上に設けられる素子は、優
れた結晶性を有する単結晶層を用いて形成されることが
重要であると言える。また、光透過性基板上に単結晶層
を有する基板を採用するこよにより、画素を構成する素
子を駆動する周辺回路や画像処理用の回路を該素子と同
一の基板上に組み込み、チップを小型化し、処理速度を
高速化することができる。
【0025】以上のように米原等が報告したSOI基板
の製造方法は、極めて有用で、その応用も期待される
が、2枚の基板を貼り合わせて半導体基板を形成するた
め、必然的に2枚の基板を必要とし、経済性等の点で問
題があった。この問題を解決する方法として、坂口等
は、第1の基板を再利用する方法を提案している(特願
昭7−045441号)。この方法では、第1の基板と
第2の基板とを貼り合わせた後に、第1の基板をその裏
面から研削、エッチング等の方法で薄膜化して多孔質S
i層を露出させる代わりに、第1の基板と第2の基板と
を貼り合わせて貼り合わせ基板を作成し、この貼り合わ
せ基板を多孔質層で分割し、その後、第2の基板側に表
面に残った多孔質Si層を選択的に除去することによ
り、SOI基板を形成する。
【0026】貼り合わせ基板を多孔質層で分割する方法
としては、例えば、次のような方法がある。 (1)貼り合わせ基板の全面に対して、その面に垂直な
方向(軸方向)に引っ張り力又は押圧力を加える。 (2)貼り合わせ基板の周辺部に多孔質Si層を露出さ
せ、その多孔質Si層をある程度だけエッチングし、そ
こに剃刀の刃のような部材を挿入する。 (3)貼り合わせ基板の周辺部に多孔質Si層を露出さ
せ、その多孔質Si層に水等の液体を染み込ませた後
に、その貼り合わせ基板を加熱又は冷却し、この時の染
み込んだ液体の膨張を利用する。 (4)貼り合わせ基板を構成する第1又は第2の基板に
対して面方向に力を加える。
【0027】以上の分割方法は、いずれも多孔質Si層
の機械的強度(多孔度により異なる)が、バルクSiよ
りも十分に脆弱であることに基づく。即ち、貼り合わせ
基板に押圧力、引っ張り力、揃断力を加えると、多孔質
Si層が選択的に破壊されて貼り合わせ基板が分割され
る。なお、多孔度を高くすると、より弱い力で多孔質層
を破壊し、貼り合わせ基板を分割することができる。
【0028】多孔質Siは、1956年に、半導体の電
界研磨の研究過程においてUhlir等によって発見された
(A.Uhlir, Bell Syst.Tech.J., vol.35, 333(1956))。
多孔質Si層は、Si基板をHF溶液中で陽極化成(an
odization)することにより形成することができる。ウ
ナガミ等は、陽極化成におけるSiの溶解反応を研究
し、HF溶液中のSiのSiの陽極反応には正孔が必要
であり、その反応は、次の通りであると報告している
(T.Unagami,J.Electrochem.Soc., vol.127, 476(198
0))。
【0029】Si + 2HF + (2-n)e+ → SiF2 + 2H+ + ne- SiF2 + 2HF → SiF4 + H2 SiF4 + 2HF → H2SiF6 または、 Si + 4HF +(4-λ)e+ → SiF4 4H+ + λe- SiF4 + 2HF → H2SiF6 ここで、e+、e-は夫々正孔、電子を表している。また、
n、λは夫々1つのSi原子が溶解するために必要な正
孔の数であり、n>2又はλ>4という条件が満たされ
た時に多孔質Siが形成されるとしている。
【0030】以上の事から、正孔の存在するP型Siは
多孔質化されるが、正孔が存在しないN型Siは多孔質
化されない。この多孔質化における選択性は、長野等及
びイマイによって実証されている(「長野、中島、安
野、大野、梶原、電子通信学会技術報告、vol.79, SSD7
9-9549(1979)」、「K.Imai,Solid-State Electronics,v
ol.24,159(1981)」)。ただし、N型Siであっても、
例えば光を照射することなどにより正孔を発生させるこ
とにより多孔質化させることができる。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、第1の
基板と第2の基板とを貼り合わせて貼り合わせ基板を作
成し、これを多孔質層で2つの基板に分離してSOI基
板を製造する方法において、この分離を効率化するため
の他の方法が望まれるところである。
【0032】本発明は、上記の背景に鑑みてなされたも
のであり、例えば、貼り合わせ基板等の部材の分離に好
適な装置及び方法を提供することを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の側面に係
る分離方法は、多数の空洞を有する空洞含有層を内部に
有する部材を該空洞含有層で分離する分離方法であっ
て、前記部材を密閉容器内に収容する収容工程と、前記
密閉容器内を高圧にして前記空洞含有層の空洞壁を破壊
し、これにより前記部材の少なくとも一部を前記空洞含
有層で分離する分離工程とを有することを特徴とする。
【0034】本発明の第1の側面に係る分離方法におい
て、例えば、前記分離工程では、前記空洞内の圧力と前
記密閉容器内の圧力との圧力差によって前記空洞壁が破
壊されるような大きさの圧力を前記密閉容器内に印加す
ることが好ましい。
【0035】本発明の第1の側面に係る分離方法におい
て、例えば、前記分離工程の後に未分離の領域として残
った空洞含有層を破壊し、前記部材を完全に分離する最
終分離工程を更に有することが好ましい。
【0036】本発明の第1の側面に係る分離方法におい
て、前記最終分離工程では、前記部材に振動エネルギー
を印加し、これにより前記分離工程の後に未分離の領域
として残った空洞含有層を破壊することが好ましい。
【0037】本発明の第1の側面に係る分離方法におい
て、例えば、前記最終分離工程を、前記部材が前記密閉
容器内に収容された状態で実施することが好ましい。
【0038】本発明の第1の側面に係る分離方法におい
て、例えば、前記最終分離工程では、前記部材に押圧力
を印加し、これにより前記分離工程の後に未分離の領域
として残った空洞含有層を破壊することが好ましい。
【0039】本発明の第1の側面に係る分離方法におい
て、例えば、前記最終分離工程では、前記部材に引っ張
り力を印加し、これにより前記分離工程の後に未分離の
領域として残った空洞含有層を破壊することが好まし
い。
【0040】本発明の第1の側面に係る分離方法におい
て、例えば、前記最終分離工程では、前記部材に対し
て、前記空洞含有層と平行な方向に力を印加し、これに
より前記分離工程の後に未分離の領域として残った空洞
含有層を破壊することが好ましい。
【0041】本発明の第1の側面に係る分離方法におい
て、例えば、前記最終分離工程では、前記空洞含有層に
部材を挿入し、これにより前記分離工程の後に未分離の
領域として残った空洞含有層を破壊することが好まし
い。
【0042】本発明の第1の側面に係る分離方法におい
て、例えば、前記最終分離工程では、前記空洞含有層に
液体を染み込ませて、該液体を加熱することが好まし
い。
【0043】本発明の第1の側面に係る分離方法におい
て、例えば、前記最終分離工程では、前記空洞含有層に
液体を染み込ませて、該液体を加熱することが好まし
い。
【0044】本発明の第1の側面に係る分離方法におい
て、例えば、前記最終分離工程では、前記空洞含有層に
液体状の物質を染み込ませて、該物質の体積を膨張させ
ることが好ましい。
【0045】本発明の第1の側面に係る分離方法におい
て、例えば、前記最終分離工程では、前記分離工程によ
り生じた前記部材の隙間に向けて束状の流体を噴射し、
これにより前記分離工程の後に未分離の領域として残っ
た空洞含有層を破壊することが好ましい。
【0046】本発明の第1の側面に係る分離方法におい
て、例えば、前記空洞含有層は、多孔質層であるこが好
ましい。
【0047】本発明の第1の側面に係る分離方法におい
て、例えば、前記空洞含有層は、陽極化成により形成さ
れる多孔質層であることが好ましい。
【0048】本発明の第1の側面に係る分離方法におい
て、例えば、前記空洞含有層は、微小な気泡状の空洞を
有する微小気泡層であることが好ましい。
【0049】本発明の第1の側面に係る分離方法におい
て、例えば、前記空洞含有層は、イオン注入により形成
される微小な気泡状の空洞を有する微小気泡層であるこ
とが好ましい。
【0050】本発明の第1の側面に係る分離方法におい
て、例えば、前記部材は、内部に前記空洞含有層を有す
る第1の板状部材を第2の板状部材に貼り合わせてなる
ことが好ましい。
【0051】本発明の第2の側面に係る分離装置は、多
数の空洞を有する空洞含有層を内部に有する部材を該空
洞含有層で分離するための分離装置であって、前記部材
を収容するための容器と、前記容器内に高圧の流体を注
入し、該流体の圧力により前記空洞含有層の空洞壁を破
壊し、これにより前記部材の少なくとも一部を前記空洞
含有層で分離するための注入部を備えることを特徴とす
る。
【0052】本発明の第2の側面に係る分離装置におい
て、例えば、前記容器内に振動エネルギーを供給するた
めの振動源を更に備えることが好ましい。
【0053】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
は、多数の空洞を有する空洞含有層を内部に有しその上
に非空洞含有層を有する第1の基板を作成する工程と、
前記非空洞含有層を挟むようにして、前記第1の基板と
別途用意した第2の基板とを貼り合せて貼り合わせ基板
を作成する貼り合わせ工程と、前記貼り合わせ基板を密
閉容器内に収容し、該密閉容器内を高圧にして前記空洞
含有層の空洞壁を破壊し、これにより前記貼り合わせ基
板の少なくとも一部を前記空洞含有層で分離する分離工
程とを有することを特徴とする。
【0054】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記分離工程では、前記空洞内の圧
力と前記密閉容器内の圧力との圧力差によって前記空洞
壁が破壊されるような大きさの圧力を前記密閉容器内に
印加することが好ましい。
【0055】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記分離工程の後に未分離の領域と
して残った空洞含有層を破壊し、前記貼り合わせ基板を
完全に分離する最終分離工程を更に有することが好まし
い。
【0056】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記最終分離工程では、前記貼り合
わせ基板に振動エネルギーを印加し、これにより前記分
離工程の後に未分離の領域として残った空洞含有層を破
壊することが好ましい。
【0057】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記最終分離工程を、前記貼り合わ
せ基板が前記密閉容器内に収容された状態で実施するこ
とが好ましい。
【0058】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記最終分離工程では、前記貼り合
わせ基板に押圧力を印加し、これにより前記分離工程の
後に未分離の領域として残った空洞含有層をを破壊する
ことが好ましい。
【0059】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記最終分離工程では、前記貼り合
わせ基板に引っ張り力を印加し、これにより前記分離工
程の後に未分離の領域として残った空洞含有層を破壊す
ることが好ましい。
【0060】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記最終分離工程では、前記貼り合
わせ基板に対して、前記空洞含有層と平行な方向に力を
印加し、これにより前記分離工程の後に未分離の領域と
して残った空洞含有層を破壊することが好ましい。
【0061】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記最終分離工程では、前記空洞含
有層に液体を染み込ませて、該液体を加熱することが好
ましい。
【0062】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記最終分離工程では、前記分離工
程により生じた前記貼り合わせ基板の隙間に向けて束状
の流体を噴射し、これにより前記分離工程の後に未分離
の領域として残った空洞含有層を破壊することが好まし
い。
【0063】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記空洞含有層は、多孔質層である
ことが好ましい。
【0064】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記空洞含有層は、陽極化成により
形成される多孔質層であることが好ましい。
【0065】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記空洞含有層は、微小な気泡状の
空洞を有する微小気泡層であることが好ましい。
【0066】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記空洞含有層は、イオン注入によ
り形成される微小な気泡状の空洞を有する微小気泡層で
あることが好ましい。
【0067】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記非空洞含有層は、Si層を含む
ことが好ましい。
【0068】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記非空洞含有層は、表面に絶縁層
が形成されたSi層であることが好ましい。
【0069】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記絶縁層は、酸化Si層であるこ
とが好ましい。
【0070】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記Si層は、単結晶Si層である
ことが好ましい。
【0071】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記非空洞含有層は、化合物半導体
層であることが好ましい。
【0072】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記非空洞含有層は、表面に絶縁層
が形成された化合物半導体層であることが好ましい。
【0073】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記非空洞含有層は、半導体素子を
含む層であることが好ましい。
【0074】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記第1の基板は、単結晶Si基板
であることが好ましい。
【0075】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記第2の基板は、単結晶Si基板
であることが好ましい。
【0076】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記第2の基板は、表面に酸化Si
層が形成された単結晶Si基板であることが好ましい。
【0077】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記第2の基板は、光透過性基板で
あることが好ましい。
【0078】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記第2の基板は、樹脂基板である
ことが好ましい。
【0079】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記第2の基板は、ICカードの本
体となる基板であることが好ましい。
【0080】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記貼り合わせ工程は、陽極整合工
程、加圧工程、熱処理工程又はこれらを組み合わせた工
程のいずれかを含むことが好ましい。
【0081】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、貼り合わせ基板が完全に分離された
後に、前記第2の基板上に残存する空洞含有層を除去す
る除去工程を更に備えることが好ましい。
【0082】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記除去工程は、エッチング工程を
含むことが好ましい。
【0083】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記除去工程は、研磨工程を含むこ
とが好ましい。
【0084】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記除去工程の後に、前記第2の基
板上の前記非空洞含有層の表面を平坦化する平坦化工程
を更に有することが好ましい。
【0085】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記平坦化工程は、研磨工程を含む
ことが好ましい。
【0086】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、前記平坦化工程は、水素を含む雰囲
気中での熱処理を含むことが好ましい。
【0087】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、貼り合わせ基板が完全に分離された
後に、前記第1の基板上に残存する前記空洞含有層を除
去し、該基板を再利用可能にする工程を更に有すること
が好ましい。
【0088】本発明の第3の側面に係る基板の製造方法
において、例えば、多数の空洞を有する空洞含有層を内
部に有しその上に非空洞含有層を有する第1の基板を作
成し、前記非空洞含有層を挟むようにして、前記第1の
基板と別途用意した第2の基板とを貼り合せて貼り合わ
せ基板を作成し、前記貼り合わせ基板を密閉容器内に収
容し、該密閉容器内を高圧にして前記空洞含有層の空洞
壁を破壊し、これにより前記貼り合わせ基板の少なくと
も一部を前記空洞含有層で分離して得られることが好ま
しい。
【0089】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら本
発明の好適な実施の形態を説明する。
【0090】図1乃至図3は、本発明の好適な実施の形
態に係る試料(部材)の分離方法の概念的に示す図であ
る。分離対象の試料100は、内部に脆弱な構造の層で
ある空洞含有層(多孔質層)2を有する。ここでは、空
洞含有層2が、図示のように、試料の面に対して略垂直
な空洞壁(空洞を仕切る壁)を有する例を説明する。こ
の空洞含有層2は、例えば、HF溶液中等で単結晶Si
基板を陽極化成することにより形成される。
【0091】この実施の形態に係る試料の分離方法は、
例えば、本体基板1上に空洞含有層2を有し、その上に
非空洞含有層3を有する第1の基板10と、第2の基板
20とを非空洞含有層3を挟んで貼り合わせてなる試料
(貼り合わせ基板)を該空洞含有層2で分離する処理に
好適である。この分離処理により、第1の基板10の表
面の非空洞含有層3を第2の基板20の表面に移設する
ことができる。
【0092】この非空洞含有層3としては、例えば、
1)単結晶Si層、2)多結晶Si層、3)非晶質Si
層、4)金属膜、5)化合物半導体膜、6)超伝導薄
膜、7)半導体素子(例えば、トランジスタ、発光素
子、太陽電池等)を含む層、8)これらのいずれかの層
の上に絶縁層(例えば、SiO層)を有する多層構造
の層等が好ましい。第2の基板20としては、例えば、
1)単結晶Si基板、2)単結晶Si基板上に絶縁層
(例えば、SiO層)を有する基板、3)光透過性基
板(例えば、石英基板)、4)サファイア基板、5)絶
縁材料からなる基板、6)樹脂基板(例えば、ICカー
ドを構成するためのICを搭載するカード)等が好まし
い。
【0093】この実施の形態では、試料100を高圧の
環境下に置くことにより、空洞含有層2の空洞の内部の
圧力と外部の圧力との間に圧力差を設け、この圧力差に
よって、空洞壁(空洞含有層2)を破壊し、試料100
を2つに分離する。
【0094】試料に圧力を印加するための媒体(流体)
は、水等の液体であってもよいし、空気等の気体であっ
てもよい。また、この流体による圧力の印加と共に空洞
含有層2に対して機械的な力を印加してもよい。空洞含
有層2に対して機械的な力を印加する方法としては、例
えば、空洞含有層2に、例えばナイフ状又は楔状の挿入
部材を挿入することなどが好適である。
【0095】流体による圧力は、試料100の全体に対
して印加することが好ましい。これにより、空洞含有層
2に対して効率的に破壊力を作用させることができる。
この方法としては、試料100の全体を密閉容器内に収
容し、該密閉容器内に圧力を印加する方法が好適であ
る。この場合、流体の圧力は、試料100の各部に対し
て等方的に作用する。なお、図1〜図3において、矢印
は、試料100に対して印加する圧力を模式的に示して
いる。
【0096】図1は、圧力による試料の分離処理の初期
段階を概念的に示す図である。この段階では、空洞含有
層2のうち試料100の端部に露出した空洞壁2a,2
cに対して、外部の圧力と、空洞壁2a,2cの内側の
空洞2b,2d内の圧力との圧力差が加わり、空洞壁2
a,2cが破壊される。空洞壁2a,2cが破壊される
と、空洞2b,2dが外部に通じるため、この空間に外
部の圧力が加わる。これにより、内側の空洞壁2e,2
gに対して、外部の圧力と、空洞壁2e,2cの内側の
空洞2f,2h内の圧力との圧力差が加わり、空洞壁2
e,2gが破壊される。図2は、空洞壁2a,2c,2
e,2gが破壊された様子を模式的に示している。
【0097】以上の処理が進行すると、最終的には、図
3に示すように、空洞含有層2の中心部まで空洞壁が破
壊される。ただし、空洞含有層2の全空洞壁が破壊され
るとは限らない。即ち、空洞壁の中には、力が印加され
ず、そのまま残るものもあり得る。図7は、空洞含有層
2の空洞壁が完全には破壊されない場合の試料の状態を
概念的に示す図である。なお、図7は、試料100の空
洞含有層2を面方向に切断した断面図である。図7にお
いて、101は、破壊されなかった空洞壁を模式的に示
している。
【0098】空洞含有層2の全空洞壁を破壊するには、
上記の圧力による分離処理(第1の分離処理)を適用し
た後に、第2の分離処理を適用すればよい。ただし、圧
力による分離方法により相当量の空洞壁が破壊され、空
洞含有層2は一層脆弱な構造に変化するため、第2の分
離処理では、弱い力を試料100に作用させることによ
り該試料100を完全に分離することができる。
【0099】第2の分離処理の方法としては、例えば、
以下の方法が好適である。 (1)超音波等の振動エネルギーを試料に印加する。 (2)試料に対して、その面に垂直な方向(軸方向)に
引っ張り力又は押圧力を印加する。 (3)空洞含有層2に分離用の部材(例えば、ナイフ状
の部材)を挿入する。 (4)空洞含有層2に水等の液体状の物質を染み込ませ
た後に、その貼り合わせ基板を加熱又は冷却することに
より、該物質の体積を膨張させる。 (5)第1の基板10又は第2の基板20に対して面方
向に力を加える。 (6)空洞含有層2に向けて束状の流体を噴射する(例
えば、ウォータージェット法)。
【0100】図4〜図6は、他の構造の空洞含有層を有
する試料の分離方法を概念的に示す図である。図4〜図
6に示す例では、空洞含有層2は、気泡状の多数の空洞
を有する。この空洞含有層2は、単結晶Si基板に対し
て、例えば、希ガス、水素、窒素のうち少なくとも1種
の元素をイオン注入して、その後、必要に応じてその単
結晶Si基板を熱処理することにより形成される。この
ようにして形成される空洞を微小気泡(microcavity)
ともいう。また、微小気泡を有する層を微小気泡層とも
いう。
【0101】図4〜図7に示す試料100としては、例
えば、単結晶Si基板等の本体基板1に希ガス、水素、
窒素のうち少なくとも1種の元素をイオン注入して、そ
の後、その本体基板1を熱処理することにより、非空洞
含有層3の下に空洞含有層(微小気泡層)2が形成され
た第1の基板10と、第2の基板20とを貼り合わせて
なる試料(貼り合わせ基板)が好適である。
【0102】非空洞含有層3は、例えば、1)単結晶S
i層、2)多結晶Si層、3)非晶質Si層、4)金属
膜、5)化合物半導体膜、6)超伝導薄膜、7)半導体
素子(例えば、トランジスタ、発光素子、太陽電池等)
を含む層、8)これらのいずれかの層の上に絶縁層(例
えば、SiO層)を有する多層構造の層等を含むこと
が好ましい。第2の基板20としては、例えば、1)単
結晶Si基板、2)単結晶Si基板上に絶縁層(例え
ば、SiO層)を有する基板、3)光透過性基板(例
えば、石英基板)、4)絶縁材料からなる基板、5)樹
脂基板(例えば、ICカードを構成するためのICを搭
載するカード)等が好ましい。
【0103】図4〜図7に示すような試料100に関し
ても、図1〜図3を参照して説明した上記の圧力による
分離処理及び第2の分離処理を適用して分離することが
でこきる。
【0104】図4は、圧力による試料の分離処理の初期
段階を概念的に示す図である。この段階では、空洞含有
層2のうち試料100の端部に露出した空洞壁に対し
て、外部の圧力と、該空洞壁の内側(空洞内)の圧力と
の圧力差が加わり、該空洞壁が破壊される。そして、空
洞壁が破壊されると、該空洞壁により仕切られていた空
洞が外部に通じるため、更に内側の空洞壁が破壊され
て、空洞含有層2の破壊が進行する。図5は、圧力によ
る試料の分離処理の途中の段階を示している。
【0105】以上の処理が進行すると、最終的には、図
6に示すように、空洞含有層2の中心部まで空洞壁が破
壊される。ただし、図3〜図6に示す例においても、空
洞含有層2の全空洞壁が破壊されるとは限らない。即
ち、前掲の図7に示すように、空洞壁の中には、力が印
加されず、そのまま残るものもあり得る。この場合、前
述の第2の分離処理を適用して、試料100を完全に分
離することができる。
【0106】図8は、本発明の好適な実施の形態に係る
試料の分離装置の概略構成を示す図である。この分離装
置200は、前述の第1の分離処理、即ち、圧力による
試料の分離処理を実施するための装置である。
【0107】この分離装置200は、試料100を収容
して密閉空間210を構成するための密閉容器201
と、密閉蓋202とを有する。密閉容器201と密閉蓋
202とは、ヒンジ部203により連結されており、密
閉蓋202を閉じたり開いたりすることができる。ま
た、この分離装置200には、密閉蓋202を閉じた状
態で、該密閉蓋202をロックするためのロック機構2
04が設けられている。また、この分離装置200に
は、密閉容器201と密閉蓋202とをシールするため
のシール部材205が設けられている。
【0108】また、この分離装置200は、密閉空間2
10内に流体を供給するための注入口207を有し、こ
の注入口207は、バルブ208を介してポンプ209
に接続されている。また、この分離装置200は、密閉
容器201内の流体を排出するための排出口211を有
し、この排出口211は、排出制御用のバルブ212に
接続されている。
【0109】密閉容器201内には、複数の試料100
を支持するための試料支持部材206が設けられてい
る。なお、支持部材206を設ける代わりに、例えば、
試料をカセット(例えば、ウェハカセット)に収容した
まま密閉容器201内に収容して分離処理を実行する方
式を採用することも有効である。
【0110】この分離装置200は、例えば、試料20
0に超音波等の振動エネルギーを印加するための振動源
250を更に備えることが好ましい。この振動源250
を備えることにより、圧力の印加による分離処理(第1
の分離処理)により破壊することができなかった空洞壁
を破壊し、試料200を完全に分離(第2の分離処理)
することができる。
【0111】以下、この分離装置200による分離処理
に関して説明する。まず、密閉蓋202を開いて、例え
ば搬送ロボット等により処理対象の試料100を密閉容
器201内に入れ、支持部材206により支持させるよ
うにして立てる。ここで、前述のように、1又は複数枚
の試料を収容したカセットを密閉容器201内に収容さ
せる方式も有効である。
【0112】次いで、密閉蓋202を閉じてロック機構
204によりこれをロックする。次いで、ポンプ209
を作動させると共にバルブ208を開いて、密閉空間2
10内に流体を注入し、密閉空間210内を所定の圧力
にする(第1の分離処理の開始)。ここで、流体として
は、空気等の気体、水等の液体等を使用することができ
る。また、流体として、空洞含有層を選択エッチングし
得るエッチングガス又はエッチング液を使用することも
好ましい。この場合、分離処理を効率化すると共に分離
後に残存し得る空洞壁を低減することができる。
【0113】この状態で、例えば所定時間が経過するの
を待つ。これにより、試料100が空洞含有層で完全に
分離されるか、或いは、相当量の空洞壁が破壊される。
次いで、ポンプ209を停止させると共にバルブ208
を閉じる。次いで、バルブ212を開いて密閉空間21
0内の流体を排出口211を通して排出することにより
密閉空間210内の圧力を常圧に戻す(第1の分離処理
の終了)。なお、流体として、自然環境等に悪影響を及
ぼす流体を使用する場合には、排出口211を通して排
出される流体を回収し、適切な処理をすることは言うま
でもない。
【0114】次いで、振動源250を駆動して、密閉容
器201内の試料に振動エネルギーを印加し、これによ
り、未破壊の空洞壁を破壊し、試料100を完全に分離
する(第2の分離処理)。なお、第2の分離処理は、第
1の分離処理の実行中に並行して実行してもよいし、他
の装置に試料100を移送して他の装置により実行して
もよい。
【0115】次いで、ロック機構204によるロックを
解除して密閉蓋202を開く。そして、流体として液体
を用いた場合には、必要に応じて、バルブ212を開い
て密閉容器210内の流体を排出する。次いで、例えば
搬送ロボット等により、密閉容器201から処理済みの
試料100を取り出す。ここで、上記の振動エネルギー
を利用した第2の分離処理に代えて、又は、該第2の分
離処理に加えて、他の分離装置(例えば、図9、図10
に示す分離装置)により分離処理を続行する場合には、
取り出した試料100を当該他の分離装置に移送する。
【0116】なお、図8に示す分離装置200は、3つ
の試料100を一括して処理する分離装置であるが、一
括して処理可能な試料100の個数は3つ以外でもよ
い。
【0117】この分離装置200によれば、空洞含有層
の空洞が密閉空間であることを利用し、空洞壁に対して
選択的に圧力差を作用させるため、空洞壁のみを選択的
に破壊して試料を分離することができる。ここで、空洞
壁以外の部分、即ち、基板本体1、非多孔質層2、第2
の基板20には、圧力差に起因する力が殆ど作用しない
ため、これらが破壊されることはない。従って、この分
離装置200によれば、空洞含有層以外の部分を破損さ
せることなく、試料100を分離することができる。ま
た、この分離装置200によれば、例えば、試料100
が第1の基板と第2の基板とを貼り合わせてなる試料で
ある場合において、その貼り合わせ界面に対して、結合
を破壊し得る力が作用しないため、結合力が弱い試料を
空洞含有層で分離する処理にも好適である。また、この
分離装置200によれば、多数枚の貼り合わせ基板を一
括して処理することができるため、処理の効率がよく、
高いスループットを得ることができる。
【0118】図9は、第2の分離処理の実行に好適な分
離処理の構成を概略的に示す図である。この分離装置3
00は、試料100に対して、その面方向に垂直な方向
(軸方向)に引っ張り力又は押圧力を印加することによ
り、又は、その面方向に力を印加することにより、該試
料100を完全に分離する。この分離装置300は、一
対の分離力印加部310及び320を有する。この分離
力印加部310,320は、試料100を吸着するため
の吸着機構(例えば、真空吸着機構、静電吸着機構等)
311,321を有する。ただし、試料100に対して
押圧力を印加して分離する場合には、吸着機構311,
321を設けなくてもよい。
【0119】図10は、第2の分離処理の実行に好適な
他の分離処理の構成を概略的に示す図である。この分離
装置400は、試料100を保持するための一対の保持
部410及び420と、空洞含有層2(2’,2”)に
挿入する挿入部材430とを有し、一対の保持部410
及び420により試料100を保持した状態で、該試料
100の空洞含有層2に、例えばナイフ状又は楔状の挿
入部材430を挿入することにより、該試料100を完
全に分離する。
【0120】保持部410,420は、試料100を吸
着するするための吸着機構(例えば、真空吸着機構、静
電吸着機構等)411,421を有する。
【0121】次に、上記の分離装置を適用したSOI基
板等の製造方法を説明する。図11は、本発明の好適な
実施の形態に係るSOI基板等の製造方法を工程順に説
明する図である。
【0122】図11(a)に示す工程では、第1の基板
501として単結晶Si基板を準備する。図11(b)
に示す工程では、第1の基板501を処理することによ
り、内部に空洞含有層502を有し、その上に非空洞含
有層503を有する基板を形成する。
【0123】空洞含有層502及び非空洞含有層503
を形成する方法としては、例えば以下の方法が好適であ
る。 (1)第1の基板501を陽極化成して空洞含有層(多
孔質層)502を形成し、その上に非空洞含有層(例え
ば、単結晶Si層)503を形成する方法。 (2)希ガス、水素、窒素のうち少なくとも1種の元素
を第1の基板501にイオン注入し、イオン注入層を空
洞含有層(微小気泡層)502を形成すると共に、該空
洞含有層502の上の層を非空洞含有層503とする方
法。 (3)第1の基板501を陽極化成して空洞含有層(多
孔質層)を形成し、更に、希ガス、水素、窒素のうち少
なくとも1種の元素を第1の基板501にイオン注入し
て他の空洞含有層(微小気泡層)を形成し、これにより
多層構造の空洞含有層502を形成し、その上に非空洞
含有層503を形成する方法。
【0124】非空洞含有層503としては、例えば、
1)単結晶Si層、2)多結晶Si層、3)非晶質Si
層、4)金属膜、5)化合物半導体膜、6)超伝導薄
膜、7)半導体素子(例えば、トランジスタ、発光素
子、太陽電池等)を含む層等が好ましい。
【0125】更に、図11(b)に示す工程では、非空
洞含有層503の上に、絶縁層(例えば、SiO)5
04を形成することが好ましい。この絶縁層504を形
成することにより、活性層を貼り合わせ界面から離すこ
とができる。
【0126】(1)の方法、即ち、陽極化成による空洞
含有層の形成方法においては、陽極化成に供する溶液の
濃度、電流密度、第1の基板501の不純物の密度や濃
度等の条件を変更することにより、空洞含有層502の
空洞の大きさ、密度、多孔度を変更することができる。
また、陽極化成の条件を変更して複数回の処理を行うこ
とにより、多孔度等の異なる多層構造の空洞含有層50
2を得ることができる。
【0127】(2)の方法、即ち、イオン注入法により
形成される空洞含有層502は、例えば透過型電子顕微
鏡で観察すると、多数の微小な空洞を有することが確認
される。注入するイオンの荷電状態は特に限定されな
い。加速エネルギーは、イオンを注入すべき深さに投影
飛程が一致するように設定すればよい。イオンの注入量
を変更することにより、形成される空洞の大きさや密度
を変更することが可能であるが、注入量は、概ね1×1
15/cm以上であることが好ましく、1×10
16〜1×1017/cmがより好ましい。投影飛程
を深くする場合には、チャネリングイオン注入法を適用
することができる。イオンを注入した後には、必要に応
じて熱処理を行うことが好ましい。
【0128】図11(c)に示す工程では、図11
(b)に示す第1の基板側(501〜503又は501
〜504)と、別途用意した第2の基板505とを室温
で密着させて貼り合わせ基板を作成する。その後、陽極
整合、加圧、熱処理又はこれらの組み合わせにより、貼
り合わせの強度を高くしてもよい。
【0129】第2の基板505としては、例えば、1)
単結晶Si基板、2)単結晶Si基板上に絶縁層(例え
ば、SiO層)を有する基板、3)光透過性基板(例
えば、石英基板)、4)サファイア基板、5)絶縁材料
からなる基板、6)樹脂基板(例えば、ICカードを構
成するためのICを搭載するカード)等が好ましい。
【0130】また、図11(b)に示す第1の基板側
(501〜503又は501〜504)と、第2の基板
505との間に、例えば絶縁性の薄膜を挟んで、3枚重
ねにしてもよい。
【0131】空洞含有層502の端部は、例えば、2枚
の基板の貼り合わせ工程(図11(c))の後に、非空
洞含有層503をエッチング(例えば、ドライエッチン
グ、ウェットエッチング等)する方法、又は、非空洞含
有層503を形成する工程(図11(b))において、
第1の基板501の端部を覆わないように非空洞含有層
503を形成する方法、又は、空洞含有層502を形成
する工程(図11(b))において、第1の基板501
の端部まで空洞含有層502を形成する方法等により、
外部に表出させておくことが好ましい。
【0132】図11(d)に示す工程では、図11
(c)に示す貼り合わせ基板を図8に示す分離装置20
0にセットして、その密閉空間210内を高圧の流体で
満たすことにより分離する(第1の分離処理)。この流
体としては、例えば、ArガスやNガス等の不活性ガ
ス、空気等の気体であっても良いし、水(例えば、純
水)等の液体であってもよい。
【0133】この第1の分離処理によって貼り合わせ基
板が完全に分離されない場合には、前述のように、第2
の分離処理を実行すればよい。
【0134】図11(e)に示す工程では、第2の基板
側(503〜505、又は503及び505)の表面に
残存する空洞含有層502を選択的に除去する。ここ
で、非空洞含有層503が単結晶Si層である場合は、
例えば、通常のSiエッチング用のエッチング液、多孔
質Siの選択エッチング用のエッチング液である弗酸、
弗酸にアルコール及び過酸化水素水の少なくとも一方を
添加した混合液、バッファード弗酸、バッファード弗酸
にアルコール及び過酸化水素水の少なくとも一方を添加
した混合液の少なくとも1種類を使用して、空洞含有層
502のみを無電界湿式化学エッチングすることができ
る。これにより、第2の基板505上には、第1の基板
501上の空洞含有層502上に形成した非空洞含有層
503(又は503及び504)が残る。
【0135】空洞含有層502は、膨大な表面積を有す
るため、例えば、空洞含有層502が単結晶Si層であ
って、その下の非空洞含有層503が同様に単結晶Si
層である場合、通常のSiエッチング用のエッチング液
によっても、空洞含有層502のみを選択エッチングす
ることができる。また、この代わりに、空洞含有層50
2を選択的に研磨してもよいし、時間制御により高精度
に空洞含有層のみを研磨してもよい。
【0136】また、空洞含有層502が単結晶Siであ
り、その下の非空洞含有層503が化合物半導体層であ
る場合、化合物半導体をエッチングする速度よりも単結
晶Siをエッチングする速度が速いエッチング液を使用
して空洞含有層502を選択エッチングすればよい。ま
た、この代わりに、化合物半導体層を研磨ストッパーと
して空洞含有層502のみを選択的に研磨してもよい
し、時間制御により高精度に空洞含有層502のみを研
磨してもよい。
【0137】空洞含有層502が薄い場合には、例え
ば、水素を含む雰囲気中で貼り合わせ基板に熱処理を施
すことにより、基板表面の構成原子のマイグレーション
を引き起こし、これにより基板表面の空洞を埋め込むこ
とにより、結果として空洞含有層502を除去すること
もできる。
【0138】通常は、空洞含有層をエッチングにより除
去した後は、該空洞含有層の除去により表出する基板表
面は荒れているので、例えば、水素を含む雰囲気中での
熱処理や、研磨等の表面平坦化処理を行うことが好まし
い。
【0139】このSOI基板等の製造方法によれば、平
坦かつ均一な膜厚の非空洞含有層(例えば、単結晶Si
層)を上層に有する大面積の基板を形成することができ
る。非空洞含有層503が単結晶Si層でその下に絶縁
層(例えば、SiO)504を有する基板は、SOI
基板として知られる基板である。なお、この絶縁層50
4は、第1の基板501上の空洞含有層503上に形成
するのではなく、第2の基板505上に形成してもよい
し、空洞含有層503上及び第2の基板505上の双方
に形成してもよく、結果として、図11(c)に示す構
造が得ることにより、最終的に、空洞含有層503の下
に絶縁層504を有する基板を形成することができる。
【0140】更に、図11(e)に示す工程において、
第1の基板501上に残存する空洞含有層502を除去
し、必要に応じて表面平坦化工程を実施することによ
り、例えば、第1の基板501若しくは第2の基板50
5、又は他の用途の基板として再利用することができ
る。この表面平坦化工程としては、水素を含む雰囲気中
での熱処理や、研磨等が好適である。
【0141】以下、分離装置200の適用例を挙げる。
【0142】[適用例1]単結晶Si基板を準備し、H
F溶液中において該単結晶Si基板を陽極化成し、その
表面に空洞含有層(多孔質層)を形成する。この陽極化
成条件は、例えば以下の通りである。
【0143】 電流密度 :7(mA・cm-2) 陽極化成溶液 :HF:H2O:C25OH=1:
1:1 時間 :11(min) 多孔質Si層の厚み :12(μm) 次いで、多孔質Si層上にCVD(Chemical Vapor Depos
ition)法により10μm厚の単結晶Si層をエピタキシ
ャル成長させる。この成長条件は、例えば以下の通りで
ある。エピタキシャル成長の前段では、H雰囲気中に
多孔質Si層の表面が曝されるため、空洞の表面付近が
埋まり、表面が平坦になる。
【0144】 ソースガス:SiH2Cl2/H2 ガス流量 :0.5/180(l/min) ガス圧力 :760(Torr) 温度 :1000(℃) 成長速度 :1(μm/min) 次いで、この基板を分離装置200にセットし、900
kg/cmの高圧のArガスを封入する(分離処
理)。そして、1時間後に圧力を下げて分離装置200
から基板を取り出す。以上の処理により、多孔質Si層
で基板が分離され、10μm厚の分離されたエピタキシ
ャル成長層を得ることができる。
【0145】ここで、分離処理の前に、エピタキシャル
層の表面側に、部分的に穴の開いた部材を接合又は接着
させることにより、マイクロマシンに用いられるメンブ
レン(薄膜)や片持ち梁構造を形成することができる。
これにより、例えば、加速度センサや表面検知センサを
作成することができる。
【0146】また、予めエピタキシャル層に半導体回路
や太陽電池等を形成した後に分離処理を行うことも可能
である。
【0147】[適用例2]単結晶Si基板上にCVD(Ch
emical Vapor Deposition)法により0.3μm厚の単結
晶Siをエピタキシャル成長させる。成長条件は、例え
ば以下の通りである。
【0148】 ソースガス:SiH2Cl2/H2 ガス流量 :0.5/180(l/min) ガス圧力 :80(Torr) 温度 :950(℃) 成長速度 :0.3(μm/min) 次いで、エピタキシャル成長層の表面に、熱酸化により
200nmのSiO2層を形成する。次いで、表面のSi
2層を通してHを40keV、5×1016cm-2
条件でイオン注入して空洞含有層(微小気泡層)を形成
する。
【0149】次いで、この基板を分離装置200にセッ
トし、1000kg/cm2の高圧の水を封入する(分
離処理)。そして、1時間後に圧力を下げて分離装置2
00から基板を取り出す。以上の処理により、微小空洞
層で基板が分離され、0.2μm厚の分離されたエピタ
キシャル成長層を得ることができる。
【0150】ここで、分離処理の前に、エピタキシャル
層の表面側に、部分的に穴の開いた部材を接合又は接着
させることにより、マイクロマシンに用いられるメンブ
レン(薄膜)や片持ち梁構造を形成することができる。
これにより、例えば、加速度センサや表面検知センサを
作成することができる。
【0151】また、予めエピタキシャル層に半導体回路
や太陽電池等を形成した後に分離処理を行うことも可能
である。
【0152】[適用例3]単結晶Si基板を準備し、H
F溶液中において該単結晶Si基板を陽極化成し、その
表面に、多孔度(porosity)の異なる複数の層からなる
積層構造の空洞含有層(多孔質層)を形成する。この陽
極化成条件は、例えば以下の通りである。
【0153】<第1の化成条件> 電流密度 :7(mA・cm-2) 陽極化成溶液 :HF:H2O:C25OH=1:
1:1 時間 :11(min) 多孔質Si層の厚み:12(μm) <第2の化成条件> 電流密度 :21(mA・cm-2) 陽極化成溶液 :HF:H2O:C25OH=1:
1:1 時間 :2(min) 多孔質Si層の厚み :3(μm) 第2の化成条件に従って形成される多孔質層は、第1の
化成条件に従って形成される多孔質層よりも多孔度が高
い。
【0154】次いで、この基板を分離装置200にセッ
トし、700kg/cm2の高圧の水を注入する(分離
処理)。そして、30分後に圧力を下げて分離装置20
0から基板を取り出す。以上の処理により、1層目と2
層目の多孔質層の界面付近で基板が分離される。
【0155】ここで、分離前処理の前に、エピタキシャ
ル層の表面側に、部分的に穴の開いた部材を接合又は接
着させることにより、マイクロマシンに用いられるメン
ブレン(薄膜)や片持ち梁構造を形成することができ
る。これにより、加速度センサや表面検知センサを作製
することができる。
【0156】また、予めエピタキシャル層に半導体回路
や太陽電池等を形成した後に分離処理を行うことも可能
である。
【0157】[適用例4]単結晶Si基板を準備し、H
F溶液中において該単結晶Si基板を陽極化成し、その
表面に、多孔度の異なる複数の層からなる積層構造の空
洞含有層(多孔質層)を形成する。この陽極化成条件
は、例えば以下の通りである。
【0158】<第1の化成条件> 電流密度 :7(mA・cm-2) 陽極化成溶液 :HF:H2O:C25OH=1:
1:1 時間 :11(min) 多孔質Si層の厚み :12(μm) <第2の化成条件> 電流密度 :10(mA・cm-2) 陽極化成溶液 :HF:H2O:C25OH=1:
2:2 時間 :3(min) 多孔質Si層の厚み :3(μm) <第3の化成条件> 電流密度 :7(mA・cm-2) 陽極化成溶液 :HF:H2O:C25OH=1:
1:1 時間 :1(min) 多孔質Si層の厚み :1.1(μm) 第2の化成条件に従って形成される多孔質層は、第1の
化成条件に従って形成される多孔質層よりも多孔度が高
い。
【0159】次いで、この基板を分離装置200にセッ
トし、700kg/cm2の高圧のArガスを注入する
(分離処理)。そして、30分後に圧力を下げて分離装
置200から基板を取り出す。以上の処理により、1層
目と2層目の多孔質層の界面付近若しくは2層目と3層
目の多孔質層の界面付近、又は2層目の多孔質層中で基
板が分離される。
【0160】ここで、分離前処理の前に、エピタキシャ
ル層の表面側に、部分的に穴の開いた部材を接合又は接
着させることにより、マイクロマシンに用いられるメン
ブレン(薄膜)や片持ち梁構造を形成することができ
る。これにより、加速度センサや表面検知センサを作製
することができる。
【0161】また、予めエピタキシャル層に半導体回路
や太陽電池等を形成した後に分離処理を行うことも可能
である。
【0162】[適用例5]単結晶Si基板(第1の基
板)を準備し、例えば上記の適用例1、3及び4で説明
した陽極化成条件に従って、該単結晶Si基板を陽極化
成し、その表面に、空洞含有層(多孔質Si層)を形成
する。次いで、この基板の表面を400℃の酸素雰囲気
中で1時間酸化させることにより、多孔質Si層の空洞
の内側に熱酸化膜を形成する。
【0163】次いで、多孔質Si層上にCVD(Chemical
Vapor Deposition)法により0.3μm厚の単結晶Si
層をエピタキシャル成長させる。この成長条件は以下の
通りである。エピタキシャル成長の前段では、H2雰囲
気中に多孔質Si層の表面が曝されるため、空洞の表面
付近が埋まり、表面が平坦になる。
【0164】 ソースガス:SiH2Cl2/H2 ガス流量 :0.5/180(l/min) ガス圧力 :80(Torr) 温度 :950(℃) 成長速度 :0.3(μm/min) 次いで、このエピタキシャルSi層の表面に熱酸化法に
より200nm厚のSiO2層を形成する。次いで、この
SiO2層の表面と、別に用意したSi基板(第2の基
板)の表面とを重ね合わせて接触させた後に、1000
℃で1時間の熱処理を行って貼り合わせ基板を作成す
る。
【0165】この貼り合わせ基板を分離装置200にセ
ットし、900kg/cm2の高圧の純水を注入する
(分離処理)。そして、30分後に圧力を下げて分離装
置200から基板を取り出す。以上の処理により、貼り
合わせ基板は、多孔質層で2枚の基板に分離される。大
きな電流密度で形成した多孔質Si層は、相対的に低圧
の環境下であっても多孔質層が破壊されるが、高圧の環
境下であっても多孔質層以外の部分が破壊されない限り
何等の問題もない。従って、例えば、多孔質構造の異な
る多数の貼り合わせ基板を一括して処理する場合、多孔
質層の強度が最も強い貼り合わせ基板の分離が可能な圧
力を選択すればよい。
【0166】次いで、第2の基板側に残存する多孔質S
i層を49%弗酸と30%過酸化水素水と水との混合液
で選択エッチングする。単結晶Si層はエッチ・ストッ
プの材料として機能し、多孔質Si層のみが選択エッチ
ングされて完全に除去される。
【0167】非多孔質Si単結晶の該エッチング液に対
するエッチング速度は、極めて低く、多孔質Si層と非
多孔質Si層とのエッチング速度との選択比は10
上にも達する。従って、非多孔質層がエッチングされる
ことによる膜厚の減少(数十オングストローム程度)
は、実用上は、無視することができる。
【0168】以上の処理により、Si酸化膜上に0.2
μmの厚みを持った単結晶Si層を形成することができ
る。この段階での単結晶Si層の膜厚を面内全面にわた
って100点について測定したところ、膜厚の均一性は
201nm±4nmであった。
【0169】次いで、水素雰囲気中において1100℃
で1時間の熱処理を施す。この段階での単結晶Si層の
表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、50μm
角の領域での平均2乗粗さは、大凡0.2nmであっ
た。これは、通常市販されているSiウエハと同等であ
る。
【0170】また、以上の方法により形成された基板の
断面を透過電子顕微鏡によって観察した、単結晶Si層
には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結晶性
が維持されていることが確認された。
【0171】なお、エピタキシャルSi層の表面に酸化
膜を形成しない場合においても上記と同様の結果が得ら
る。
【0172】更に、第1の基板側に残存する多孔質Si
を49%弗酸と30%過酸化水素水と水との混合液で選
択エッチングしてもよい。この時、単結晶Siはエッチ
・ストップの材料として機能し、多孔質Siのみが選択
エッチングされて完全に除去される。この基板は、第1
の基板として陽極化成工程に投入し、又は、第2の基板
として貼り合わせ工程に投入することができる。
【0173】第1基板側に残存する多孔質Siを選択エ
ッチングした後、これを再利用する前に、水素中におい
て1100℃で1時間の熱処理を施して微小孔に起因す
る表面荒れ(マイクロラフネス)を回復(平坦化)して
もよい。ただし、第1の基板として再利用する場合に
は、エピタキシャル成長の前段における水素中でのプリ
ベーク中に多孔質Si表面の孔のシールと同時に平面平
坦化が行われため、上記のマイクロラフネスの平坦化を
必ずしも行う必要はない。ここで、水素中での熱処理の
代わりに、表面タッチポリッシュにより、微小孔に起因
するマイクロラフネスを平坦化してもよい。
【0174】[適用例6]適用例5を次のように変更す
ることもできる。
【0175】 1)エピタキシャルSi厚:2μm 2)エピタキシャルSi層表面の熱酸化膜:0.1μm 3)第2の基板:1.9μmのSiO2層を形成したSi
基板 4)貼り合わせ:両基板の表面を窒素プラズマに曝した
後に、重ね合わせ、接触させ、400℃で10時間のア
ニールを行う [適用例7]適用例5を次のように変更することもでき
る。
【0176】 1)第2の基板:石英基板 2)貼り合わせ:両基板の表面を窒素プラズマに曝した
後、重ね合わせ、接触させ、200℃で24時間のアニ
ールを行う 3)水素中の熱処理:さらに水素中で970℃で熱処理
を2時間施す(表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したと
ころ、50μm角の領域での平均2乗粗さは、大凡0.
2nmであり、これは通常市販されているSiウエハと
同等である) 4)分離した基板を第1基板として再投入 [適用例8]第1の基板として単結晶Si基板を準備
し、HF溶液中において該単結晶Si基板を陽極化成
し、その表面に、多孔度の異なる複数の層からなる積層
構造の空洞含有層(多孔質層)を形成する。この陽極化
成条件は、例えば以下の通りである。
【0177】<第1の化成条件> 電流密度 :7(mA・cm-2) 陽極化成溶液 :HF:H2O:C25OH=1:
1:1 時間 :5(min) 多孔質Si層の厚み :6(μm) <第2の化成条件> 電流密度 :30(mA・cm-2) 陽極化成溶液 :HF:H2O:C25OH=1:
1:1 時間 :110(sec) 多孔質Siの厚み :3(μm) この基板を酸素雰囲気中において400℃で1時間酸化
させる。この酸化により多孔質Si層の孔の内壁は熱酸
化膜で覆われる。次いで、多孔質Si上にMOCVD(Me
tal Organic Chemical Vapor Deposition)法により1μ
m厚の単結晶GaAsをエピタキシャル成長させる。この
成長条件は、例えば以下の通りである。
【0178】 ソースガス:TMG/AsH3/H2 ガス圧力 :80(Torr) 温度 :700(℃) 次いで、該GaAs層の表面と、別に用意したSi基板
(第2の基板)の表面とを重ね合わせて接触させて貼り
合わせ基板を作成する。次いで、この貼り合わせ基板を
分離装置200にセットし、900kg/cm2の高圧
の純水を注入する。そして、30分後に圧力を下げて分
離装置200から基板を取り出す。以上の処理により、
貼り合わせ基板は、多孔質層、より詳しくは、1層目と
2層目の多孔質Si層の界面付近で2枚の基板に分離さ
れる。
【0179】次いで、第2の基板側に残存する多孔質S
i層を、エチレンジアミン+ピロカテコール+水(17
ml:3g:8mlの比率)の混合液により110℃で
エッチングした。単結晶GaAsはエッチ・ストップの材
料として機能し、多孔質Si層のみが選択エッチングさ
れて完全に除去される。
【0180】非多孔質GaAs単結晶の該エッチング液に
対するエッチング速度は、極めて低く、非多孔質層のエ
ッチングによる膜厚の減少(数十オングストローム程
度)は、実用上は、無視することができる。
【0181】以上の処理により、単結晶Si上に1μm
の厚みを持った単結晶GaAs層を形成することができ
る。この段階での単結晶GaAs層の膜厚を面内全面にわ
たって100点について測定したところ、膜厚の均一性
は1μm±29.8nmであった。
【0182】また、透過電子顕微鏡による断面観察の結
果、GaAs層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、
良好な結晶性が維持されていることが確認された。
【0183】支持基板(第2の基板)として酸化膜を有
するSi基板を用いることにより、絶縁膜上にGaAs層
を有する基板を形成することもできる。
【0184】更に、第1の基板側に残存する多孔質Si
を49弗酸と30%過酸化水素水との混合液で撹拌しな
がら選択エッチングしてもよい。この時、単結晶Siは
エッチ・ストップの材料として機能し、多孔質Siのみ
が選択エッチングされて完全に除去される。この基板
は、第1の基板として陽極化成工程に投入し、又は、第
2の基板として貼り合わせ工程に投入することができ
る。
【0185】第1基板側に残存する多孔質Siを選択エ
ッチングした後、これを再利用する前に、水素中におい
て1100℃で1時間の熱処理を施して微小孔に起因す
る表面荒れ(マイクロラフネス)を回復(平坦化)して
もよい。ただし、第1の基板として再利用する場合に
は、エピタキシャル成長の前段における水素中でのプリ
ベーク中に多孔質Si表面の孔のシールと同時に平面平
坦化が行われため、上記のマイクロラフネスの平坦化を
必ずしも行う必要はない。
【0186】ここで、水素中での熱処理の代わりに、表
面タッチポリッシュにより、微小孔に起因するマイクロ
ラフネスを平坦化してもよい。
【0187】[適用例9]第1の基板として単結晶Si
基板を準備し、HF溶液中において該単結晶Si基板を
陽極化成し、その表面に、多孔度の異なる複数の層から
なる積層構造の空洞含有層(多孔質層)を形成する。こ
の陽極化成条件は、例えば以下の通りである。
【0188】<第1の化成条件> 電流密度 :7(mA・cm-2) 陽極化成溶液 :HF:H2O:C25OH=1:
1:1 時間 :11(min) 多孔質Si層の厚み :12(μm) 多孔度 :〜24(%) <第2の化成条件> 電流密度 :10(mA・cm-2) 陽極化成溶液 :HF:H2O:C25OH=1:
2:2 時間 :3(min) 多孔質Si層の厚み :3(μm) 多孔度 :〜35% 第2の化成条件に従って形成される多孔質層は、第1の
化成条件に従って形成される多孔質層よりも多孔度が高
い。
【0189】この基板を酸素雰囲気中において400℃
で1時間酸化させる。この酸化により多孔質Si層の孔
の内壁は熱酸化膜で覆われる。次いで、多孔質Si層上
にMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Depositi
on)法により単結晶InPを1μmエピタキシャル成長さ
せる。
【0190】次いで、該InP表面と、別に用意した石
英基板(第2の基板)の表面とをそれぞれ窒素プラズマ
に曝した後に、重ね合わせて接触させ、200℃で10
時間のアニールを行うことにより貼り合わせ基板を作成
する。
【0191】次いで、この貼り合わせ基板を分離装置2
00にセットし、900kg/cm 2の高圧の純水を注
入する(分離処理)。そして、30分後に圧力を下げて
分離装置200から基板を取り出す。以上の処理によ
り、貼り合わせ基板は、多孔質層で、より詳しくは、1
層目と2層目の多孔質Si層の界面付近で、2枚の基板
に分離される。
【0192】次いで、第2の基板側に残存する多孔質S
i層を49弗酸と30%過酸化水素水との混合液で撹拌
しながら選択エッチングする。この時、単結晶InPは
エッチ・ストップの材料として機能し、多孔質Siのみ
が選択エッチングされて完全に除去される。
【0193】非多孔質InP単結晶の該エッチング液に
対するエッチング速度は、極めて低く、非多孔質層のエ
ッチングによる膜厚の減少(数十オングストローム程
度)は、実用上は、無視することができる。
【0194】以上の処理により、石英基板上に1μmの
厚みを持った単結晶InP層を形成することができる。
この段階での単結晶InP層の膜厚を面内全面にわたっ
て100点について測定したところ、膜厚の均一性は1
μm±29.0nmであった。
【0195】また、透過電子顕微鏡による断面観察の結
果、InP層には新たな結晶欠陥は導入されておらず、
良好な結晶性が維持されていることが確認された。
【0196】更に、第1の基板側に残存する多孔質Si
を49弗酸と30%過酸化水素水との混合液で撹拌しな
がら選択エッチングしてもよい。この時、単結晶Siは
エッチ・ストップの材料として機能し、多孔質Siのみ
が選択エッチングされて完全に除去される。この基板
は、、第1の基板として陽極化成工程に投入することが
できる。
【0197】第1基板側に残存する多孔質Siを選択エ
ッチングした後、これを再利用する前に、水素中におい
て1100℃で1時間の熱処理を施して微小孔に起因す
る表面荒れ(マイクロラフネス)を回復(平坦化)して
もよい。ただし、第1の基板として再利用する場合に
は、エピタキシャル成長の前段における水素中でのプリ
ベーク中に多孔質Si表面の孔のシールと同時に平面平
坦化が行われため、上記のマイクロラフネスの平坦化を
必ずしも行う必要はない。
【0198】ここで、水素中での熱処理の代わりに、表
面タッチポリッシュにより、微小孔に起因するマイクロ
ラフネスを平坦化してもよい。
【0199】[適用例10]例えば適用例1において、
単結晶Si基板の両面に空洞含有層(多孔質層)を形成
し、その上に単結晶Si層をエピタキシャル成長させ、
その後、この基板を分離装置200にセットし、2つの
多孔質層で3枚に分離してもよい。
【0200】[適用例11]第1の基板として単結晶S
i基板を準備し、HF溶液中において該単結晶Si基板
を陽極化成し、その表面に、多孔度の異なる複数の層か
らなる積層構造の空洞含有層(多孔質層)を形成する。
この陽極化成条件は、例えば以下の通りである。
【0201】<第1の化成条件> 電流密度 :1(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2O:C25OH=1:1:2 時間 :8(min) <第2の化成条件> 電流密度 :7(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2O:C25OH=1:1:2 時間 :8(min) <第3の化成条件> 電流密度 :100(mA・cm-2) 陽極化成溶液:HF:H2O:C25OH=1:1:2 時間 :0.1(min) 第3の化成条件に係る陽極化成による多孔質層は、第2
の化成条件に従って形成される多孔質層の中に形成され
る。
【0202】次いで、多孔質Si層上にCVD(Chemical
Vapor Deposition)法により0.3μm厚の単結晶Si
をエピタキシャル成長させる。この成長条件は、例えば
以下の通りである。エピタキシャル成長の前段では、H
2雰囲気中に多孔質Si表面が曝されるため、多孔質層の
表面の孔が埋まり平坦な表面になる。
【0203】 ソースガス:SiH2Cl2/H2 ガス流量 :0.5/180(l/min) ガス圧力 :80(Torr) 温度 :950(℃) 成長速度 :0.3(μm/min) 次いで、このエピタキシャルSi層の表面に熱酸化によ
り200nm厚のSiO 2層を形成する。次いで、該SI
2層の表面と、別に用意したSi基板(第2の基板)の
表面とを重ね合わせて接触させた後に、1000℃で1
時間の熱処理を行い貼り合わせ基板を作成する。
【0204】次いで、この貼り合わせ基板を分離装置2
00にセットし、900kg/cm 2の高圧の純水を注
入する。そして、30分後に圧力を下げて分離装置20
0から基板を取り出す。この処理により、貼り合わせ基
板は、多孔質層で2枚の基板に分離される。大きな電流
密度で形成した多孔質Si層は、相対的に低圧の環境下
であっても多孔質層が破壊されるが、高圧の環境下であ
っても多孔質層以外の部分が破壊されない限り何等の問
題もない。従って、例えば、多孔質構造の異なる多数の
貼り合わせ基板を一括して処理する場合、多孔質層の強
度が最も強い貼り合わせ基板の分離が可能な圧力を選択
すればよい。
【0205】次いで、第2の基板側に残存する多孔質S
i層を49弗酸と30%過酸化水素水と水との混合液で
選択エッチングする。この時、単結晶Si層はエッチ・
ストップの材料として機能し、多孔質Siのみが選択エ
ッチングされて完全に除去される。
【0206】非多孔質Si単結晶の該エッチング液に対
するエッチング速度は、極めて低く、多孔質Si層と非
多孔質Si層との選択比は10以上にも達し、非多孔
質層のエッチングによる膜厚減少(数十オングストロー
ム程度)は、実用上は、無視することができる。
【0207】以上の処理により、Si酸化膜上に0.2
μmの厚みを持った単結晶Si層を形成することができ
る。この段階での単結晶Si層の膜厚を面内全面にわた
って100点について測定したところ、膜厚の均一性は
201nm±4nmであった。
【0208】次いで、水素雰囲気中において1100℃
で1時間の熱処理を施す。この段階での単結晶Si層の
表面粗さを原子間力顕微鏡で評価したところ、50μm
角の領域での平均2乗粗さは、大凡0.2nmであっ
た。これは、通常市販されているSiウエハと同等であ
る。
【0209】また、以上の方法により形成された基板の
断面を透過電子顕微鏡によって観察した、単結晶Si層
には新たな結晶欠陥は導入されておらず、良好な結晶性
が維持されていることが確認された。
【0210】なお、エピタキシャルSi層の表面に酸化
膜を形成しない場合においても上記と同様の結果が得ら
る。
【0211】更に、第1の基板側に残存する多孔質Si
を49%弗酸と30%過酸化水素水と水との混合液で選
択エッチングしてもよい。この時、単結晶Siはエッチ
・ストップの材料として機能し、多孔質Siのみが選択
エッチングされて完全に除去される。この基板は、第1
の基板として陽極化成工程に投入し、又は、第2の基板
として貼り合わせ工程に投入することができる。
【0212】第1基板側に残存する多孔質Siを選択エ
ッチングした後、これを再利用する前に、水素中におい
て1100℃で1時間の熱処理を施して微小孔に起因す
る表面荒れ(マイクロラフネス)を回復(平坦化)して
もよい。ただし、第1の基板として再利用する場合に
は、エピタキシャル成長の前段における水素中でのプリ
ベーク中に多孔質Si表面の孔のシールと同時に平面平
坦化が行われため、上記のマイクロラフネスの平坦化を
必ずしも行う必要はない。ここで、水素中での熱処理の
代わりに、表面タッチポリッシュにより、微小孔に起因
するマイクロラフネスを平坦化してもよい。
【0213】[適用例12]例えば適用例5において、
エピタキシャル成長層の形成後に、該エピタキシャル成
長層を利用してトランジスタ、キャパシタ、ダイオー
ド、CMOS、IC、メモリ等の素子を形成することが
できる。これらの作製方法は周知であるので説明を省略
する。
【0214】この場合、例えば、形成した素子の表面に
保護絶縁膜を形成し、この基板を第2の基板と貼り合せ
て貼り合わせ基板を作成する。貼り合せには、例えば接
着材を用いてもよいし、例えば保護絶縁膜をCMP等に
より平坦化した後に上記の貼り合わせ方法を適用しても
よい。
【0215】その後、この貼り合わせ基板を分離装置2
00にセットし、900kg/cm 2の高圧の純水を注
入する(分離処理)。そして、30分後に圧力を下げて
分離装置200から基板を取り出す。以上の処理によ
り、貼り合わせ基板は、多孔質層で2枚の基板に分離さ
れる。
【0216】大きな電流密度で形成した多孔質Si層
は、相対的に低圧の環境下であっても多孔質層が破壊さ
れるが、高圧の環境下であっても多孔質層以外の部分が
破壊されない限り何等の問題もない。従って、例えば、
多孔質構造の異なる多数の貼り合わせ基板を一括して処
理する場合、多孔質層の強度が最も強い貼り合わせ基板
の分離が可能な圧力を選択すればよい。
【0217】次いで、第2の基板側に残存する多孔質S
i層を49弗酸と30%過酸化水素水と水との混合液で
選択エッチングする。この時、単結晶Si層はエッチ・
ストップの材料として機能し、多孔質Siのみが選択エ
ッチングされて完全に除去される。
【0218】非多孔質Si単結晶の該エッチング液に対
するエッチング速度は、極めて低く、多孔質Si層と非
多孔質Si層との選択比は10以上にも達し、非多孔
質層のエッチングによる膜厚減少(数十オングストロー
ム程度)は、実用上は、無視することができる。
【0219】第2の基板としては、半導体基板や絶縁基
板等の他、ICカード用の樹脂基板も好適である。図1
2は、ICカードの構成を概略的に示す図である。図1
2において、601はICチップ、602は太陽電池、
603は樹脂基板(カード本体)である。
【0220】例えば、第1の基板の空洞含有層上の非空
洞含有層にICを形成し、その上に保護膜を形成した後
に、この基板をダイシングし、ダイシングされたチップ
を第2の基板としての樹脂基板603の所定位置に貼り
合わせ、その後、分離装置200によって空洞含有層で
該チップを分離し、ICチップ601を樹脂基板603
上に残す。
【0221】また、同様にして、第1の基板の空洞含有
層上の非空洞含有層に太陽電池を形成し、その上に保護
膜を形成した後に、この基板をダイシングし、ダイシン
グされたチップを第2の基板としての樹脂基板603の
所定位置に貼り合わせ、その後、分離装置200によっ
て空洞含有層で該チップを分離し、太陽電池チップ60
2を樹脂基板603上に残す。
【0222】この適用例によれば、薄膜の半導体チップ
や太陽電池チップ等を樹脂基板に貼り付けることができ
る。従って、例えばICカード600の厚さを薄くする
ことができる。
【0223】[適用例13]多孔質Si層上に半導体層
をエピタキシャル成長させる方法としては、CVD法の
他、MBE法、スパッタ法、液相成長法等を採用するこ
ともできる。
【0224】また、多孔質Si層等の空洞含有Si層の
選択エッチング液も弗酸と過酸化水素水との混合液に限
定されず、弗酸と水との混合液、弗酸及び水にアルコー
ル及び過酸化水素水の少なくとも一方を添加した混合
液、バッファード弗酸、バッファード弗酸にアルコール
及び過酸化水素水の少なくとも一方を添加した混合液、
あるいは弗酸・硝酸・酢酸の混合液等を採用することが
できる。多孔質Si層等の空洞含有Si層は、膨大な表
面積を有するために選択エッチングが容易であるからで
ある。
【0225】なお、他の工程についても、上記の適用例
に限定されず、種々の変更が可能である。
【0226】
【発明の効果】本発明によれば、例えば、貼り合わせ基
板等の部材の分離に好適な装置及び方法を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内部に空洞含有層(多孔質層)を有する試料を
圧力によって分離する処理を概念的に示す図である。
【図2】内部に空洞含有層(多孔質層)を有する試料を
圧力によって分離する処理を概念的に示す図である。
【図3】内部に空洞含有層(多孔質層)を有する試料を
圧力によって分離する処理を概念的に示す図である。
【図4】内部に空洞含有層(微小気泡層)を有する試料
を圧力によって分離する処理を概念的に示す図である。
【図5】内部に空洞含有層(微小気泡層)を有する試料
を圧力によって分離する処理を概念的に示す図である。
【図6】内部に空洞含有層(微小気泡層)を有する試料
を圧力によって分離する処理を概念的に示す図である。
【図7】空洞含有層の空洞壁が完全には破壊されない場
合の試料の状態を概念的に示す図である。
【図8】本発明の好適な実施の形態に係る試料の分離装
置の概略構成を示す図である。
【図9】第2の分離処理の実行に好適な分離処理の構成
を概略的に示す図である。
【図10】第2の分離処理の実行に好適な他の分離処理
の構成を概略的に示す図である。
【図11】本発明の好適な実施の形態に係るSOI基板
等の製造方法を工程順に説明する図である。
【図12】ICカードの構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
100 試料(部材) 1 本体基板 2 空洞含有層 3 非空洞含有層 10 第1の基板 20 第2の基板 2a,2c,2e,2g 空洞劇 2b,2d,2f,2h 空洞 101 未破壊の空洞壁 200 分離装置(第1の分離装置) 201 密閉容器 202 密閉蓋 203 ヒンジ部 204 ロック機構 205 シール部 206 試料支持部材 207 注入口 208 バルブ 209 ポンプ 210 密閉空間 211 排出口 212 バルブ 250 振動源 300 分離装置 310,320 分離力印加部 311,321 吸着機構 400 分離装置 410,420 保持部 411,421 吸着機構 430 挿入部材 501 第1の基板 502 空洞含有層 503 非空洞含有層 504 絶縁層 505 第2の基板 600 ICカード 601 ICチップ 602 太陽電池チップ 603 樹脂基板

Claims (56)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の空洞を有する空洞含有層を内部に
    有する部材を該空洞含有層で分離する分離方法であっ
    て、 前記部材を密閉容器内に収容する収容工程と、 前記密閉容器内を高圧にして前記空洞含有層の空洞壁を
    破壊し、これにより前記部材の少なくとも一部を前記空
    洞含有層で分離する分離工程と、 を有することを特徴とする分離方法。
  2. 【請求項2】 前記分離工程では、前記空洞内の圧力と
    前記密閉容器内の圧力との圧力差によって前記空洞壁が
    破壊されるような大きさの圧力を前記密閉容器内に印加
    することを特徴とする請求項1に記載の分離方法。
  3. 【請求項3】 前記分離工程の後に未分離の領域として
    残った空洞含有層を破壊し、前記部材を完全に分離する
    最終分離工程を更に有することを特徴とする請求項1に
    記載の分離方法。
  4. 【請求項4】 前記最終分離工程では、前記部材に振動
    エネルギーを印加し、これにより前記分離工程の後に未
    分離の領域として残った空洞含有層を破壊することを特
    徴とする請求項3に記載の分離方法。
  5. 【請求項5】 前記最終分離工程を、前記部材が前記密
    閉容器内に収容された状態で実施することを特徴とする
    請求項3又は請求項4に記載の分離方法。
  6. 【請求項6】 前記最終分離工程では、前記部材に押圧
    力を印加し、これにより前記分離工程の後に未分離の領
    域として残った空洞含有層を破壊することを特徴とする
    請求項3に記載の分離方法。
  7. 【請求項7】 前記最終分離工程では、前記部材に引っ
    張り力を印加し、これにより前記分離工程の後に未分離
    の領域として残った空洞含有層を破壊することを特徴と
    する請求項3に記載の分離方法。
  8. 【請求項8】 前記最終分離工程では、前記部材に対し
    て、前記空洞含有層と平行な方向に力を印加し、これに
    より前記分離工程の後に未分離の領域として残った空洞
    含有層を破壊することを特徴とする請求項3に記載の分
    離方法。
  9. 【請求項9】 前記最終分離工程では、前記空洞含有層
    に部材を挿入し、これにより前記分離工程の後に未分離
    の領域として残った空洞含有層を破壊することを特徴と
    する請求項3に記載の分離方法。
  10. 【請求項10】 前記最終分離工程では、前記空洞含有
    層に液体を染み込ませて、該液体を加熱することを特徴
    とする請求項3に記載の分離方法。
  11. 【請求項11】 前記最終分離工程では、前記空洞含有
    層に液体を染み込ませて、該液体を加熱することを特徴
    とする請求項3に記載の分離方法。
  12. 【請求項12】 前記最終分離工程では、前記空洞含有
    層に液体状の物質を染み込ませて、該物質の体積を膨張
    させることを特徴とする請求項3に記載の分離方法。
  13. 【請求項13】 前記最終分離工程では、前記分離工程
    により生じた前記部材の隙間に向けて束状の流体を噴射
    し、これにより前記分離工程の後に未分離の領域として
    残った空洞含有層を破壊することを特徴とする請求項3
    に記載の分離方法。
  14. 【請求項14】 前記空洞含有層は、多孔質層であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項
    に記載の分離方法。
  15. 【請求項15】 前記空洞含有層は、陽極化成により形
    成される多孔質層であることを特徴とする請求項1乃至
    請求項13のいずれか1項に記載の分離方法。
  16. 【請求項16】 前記空洞含有層は、微小な気泡状の空
    洞を有する微小気泡層であることを特徴とする請求項1
    乃至請求項13のいずれか1項に記載の分離方法。
  17. 【請求項17】 前記空洞含有層は、イオン注入により
    形成される微小な気泡状の空洞を有する微小気泡層であ
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか
    1項に記載の分離方法。
  18. 【請求項18】 前記部材は、内部に前記空洞含有層を
    有する第1の板状部材を第2の板状部材に貼り合わせて
    なることを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれ
    か1項に記載の分離方法。
  19. 【請求項19】 多数の空洞を有する空洞含有層を内部
    に有する部材を該空洞含有層で分離するための分離装置
    であって、 前記部材を収容するための容器と、 前記容器内に高圧の流体を注入し、該流体の圧力により
    前記空洞含有層の空洞壁を破壊し、これにより前記部材
    の少なくとも一部を前記空洞含有層で分離するための注
    入部と、 を備えることを特徴とする分離装置。
  20. 【請求項20】 前記容器内に振動エネルギーを供給す
    るための振動源を更に備えることを特徴とする請求項1
    9に記載の分離装置。
  21. 【請求項21】 基板の製造方法であって、 多数の空洞を有する空洞含有層を内部に有しその上に非
    空洞含有層を有する第1の基板を作成する工程と、 前記非空洞含有層を挟むようにして、前記第1の基板と
    別途用意した第2の基板とを貼り合せて貼り合わせ基板
    を作成する貼り合わせ工程と、 前記貼り合わせ基板を密閉容器内に収容し、該密閉容器
    内を高圧にして前記空洞含有層の空洞壁を破壊し、これ
    により前記貼り合わせ基板の少なくとも一部を前記空洞
    含有層で分離する分離工程と、 を有することを特徴とする基板の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記分離工程では、前記空洞内の圧力
    と前記密閉容器内の圧力との圧力差によって前記空洞壁
    が破壊されるような大きさの圧力を前記密閉容器内に印
    加することを特徴とする請求項21に記載の基板の製造
    方法。
  23. 【請求項23】 前記分離工程の後に未分離の領域とし
    て残った空洞含有層を破壊し、前記貼り合わせ基板を完
    全に分離する最終分離工程を更に有することを特徴とす
    る請求項21に記載の基板の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記最終分離工程では、前記部材に振
    動エネルギーを印加し、これにより前記分離工程の後に
    未分離の領域として残った空洞含有層を破壊することを
    特徴とする請求項23に記載の基板の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記最終分離工程を、前記部材が前記
    密閉容器内に収容された状態で実施することを特徴とす
    る請求項23又は請求項24に記載の基板の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記最終分離工程では、前記貼り合わ
    せ基板に押圧力を印加し、これにより前記分離工程の後
    に未分離の領域として残った空洞含有層をを破壊するこ
    とを特徴とする請求項23に記載の基板の製造方法。
  27. 【請求項27】 前記最終分離工程では、前記貼り合わ
    せ基板に引っ張り力を印加し、これにより前記分離工程
    の後に未分離の領域として残った空洞含有層を破壊する
    ことを特徴とする請求項23に記載の基板の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記最終分離工程では、前記貼り合わ
    せ基板に対して、前記空洞含有層と平行な方向に力を印
    加し、これにより前記分離工程の後に未分離の領域とし
    て残った空洞含有層を破壊することを特徴とする請求項
    23に記載の基板の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記最終分離工程では、前記空洞含有
    層に液体を染み込ませて、該液体を加熱することを特徴
    とする請求項23に記載の基板の製造方法。
  30. 【請求項30】 前記最終分離工程では、前記分離工程
    により生じた前記貼り合わせ基板の隙間に向けて束状の
    流体を噴射し、これにより前記分離工程の後に未分離の
    領域として残った空洞含有層を破壊することを特徴とす
    る請求項23に記載の分離方法。
  31. 【請求項31】 前記空洞含有層は、多孔質層であるこ
    とを特徴とする請求項21乃至請求項30のいずれか1
    項に記載の基板の製造方法。
  32. 【請求項32】 前記空洞含有層は、陽極化成により形
    成される多孔質層であることを特徴とする請求項21乃
    至請求項30のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  33. 【請求項33】 前記空洞含有層は、微小な気泡状の空
    洞を有する微小気泡層であることを特徴とする請求項2
    1乃至請求項30のいずれか1項に記載の基板の製造方
    法。
  34. 【請求項34】 前記空洞含有層は、イオン注入により
    形成される微小な気泡状の空洞を有する微小気泡層であ
    ることを特徴とする請求項21乃至請求項30のいずれ
    か1項に記載の基板の製造方法。
  35. 【請求項35】 前記非空洞含有層は、Si層を含むこ
    とを特徴とする請求項21乃至請求項30のいずれか1
    項に記載の基板の製造方法。
  36. 【請求項36】 前記非空洞含有層は、表面に絶縁層が
    形成されたSi層であることを特徴とする請求項21乃
    至請求項30のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  37. 【請求項37】 前記絶縁層は、酸化Si層であること
    を特徴とする請求項36に記載の基板の製造方法。
  38. 【請求項38】 前記Si層は、単結晶Si層であるこ
    とを特徴とする請求項35乃至請求項37に記載の基板
    の製造方法。
  39. 【請求項39】 前記非空洞含有層は、化合物半導体層
    であることを特徴とする請求項21乃至請求項30のい
    ずれか1項に記載の基板の製造方法。
  40. 【請求項40】 前記非空洞含有層は、表面に絶縁層が
    形成された化合物半導体層であることを特徴とする請求
    項21乃至請求項30のいずれか1項に記載の基板の製
    造方法。
  41. 【請求項41】 前記非空洞含有層は、半導体素子を含
    む層であることを特徴とする請求項21乃至請求項30
    のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  42. 【請求項42】 前記第1の基板は、単結晶Si基板で
    あることを特徴とする請求項21乃至請求項41のいず
    れか1項に記載の基板の製造方法。
  43. 【請求項43】 前記第2の基板は、単結晶Si基板で
    あることを特徴とする請求項21乃至請求項42のいず
    れか1項に記載の基板の製造方法。
  44. 【請求項44】 前記第2の基板は、表面に酸化Si層
    が形成された単結晶Si基板であることを特徴とする請
    求項21乃至請求項42のいずれか1項に記載の基板の
    製造方法。
  45. 【請求項45】 前記第2の基板は、光透過性基板であ
    ることを特徴とする請求項21乃至請求項42のいずれ
    か1項に記載の基板の製造方法。
  46. 【請求項46】 前記第2の基板は、樹脂基板であるこ
    とを特徴とする請求項21乃至請求項42のいずれか1
    項に記載の基板の製造方法。
  47. 【請求項47】 前記第2の基板は、ICカードの本体
    となる基板であることを特徴とする請求項21乃至請求
    項42のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  48. 【請求項48】 前記貼り合わせ工程は、陽極整合工
    程、加圧工程、熱処理工程又はこれらを組み合わせた工
    程のいずれかを含むことを特徴とする請求項21乃至請
    求項47のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  49. 【請求項49】 貼り合わせ基板が完全に分離された後
    に、前記第2の基板上に残存する空洞含有層を除去する
    除去工程を更に備えることを特徴とする請求項21乃至
    請求項48のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  50. 【請求項50】 前記除去工程は、エッチング工程を含
    むことを特徴とする請求項49に記載の基板の製造方
    法。
  51. 【請求項51】 前記除去工程は、研磨工程を含むこと
    を特徴とする請求項49に記載の基板の製造方法。
  52. 【請求項52】 前記除去工程の後に、前記第2の基板
    上の前記非空洞含有層の表面を平坦化する平坦化工程を
    更に有することを特徴とする請求項21乃至請求項51
    のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  53. 【請求項53】 前記平坦化工程は、研磨工程を含むこ
    とを特徴とする請求項52に記載の基板の製造方法。
  54. 【請求項54】 前記平坦化工程は、水素を含む雰囲気
    中での熱処理を含むことを特徴とする請求項52に記載
    の基板の製造方法。
  55. 【請求項55】 貼り合わせ基板が完全に分離された後
    に、前記第1の基板上に残存する前記空洞含有層を除去
    し、該基板を再利用可能にする工程を更に有することを
    特徴とする請求項21乃至請求項54のいずれか1項に
    記載の基板の製造方法。
  56. 【請求項56】 多数の空洞を有する空洞含有層を内部
    に有しその上に非空洞含有層を有する第1の基板を作成
    し、前記非空洞含有層を挟むようにして、前記第1の基
    板と別途用意した第2の基板とを貼り合せて貼り合わせ
    基板を作成し、前記貼り合わせ基板を密閉容器内に収容
    し、該密閉容器内を高圧にして前記空洞含有層の空洞壁
    を破壊し、これにより前記貼り合わせ基板の少なくとも
    一部を前記空洞含有層で分離して得られることを特徴と
    する基板。
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