JP2000173395A - メンブレンスイッチ及びその製造方法 - Google Patents

メンブレンスイッチ及びその製造方法

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JP2000173395A
JP2000173395A JP10346194A JP34619498A JP2000173395A JP 2000173395 A JP2000173395 A JP 2000173395A JP 10346194 A JP10346194 A JP 10346194A JP 34619498 A JP34619498 A JP 34619498A JP 2000173395 A JP2000173395 A JP 2000173395A
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wiring
connection
film
insulating film
membrane switch
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JP10346194A
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Kazuyuki Motoki
和行 元木
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Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気的な導通信頼性を向上させることができ
るメンブレンスイッチ及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 上部フィルム5aの表面には、複数の電
極及びこの電極間を接続する上部配線9aが形成され、
同様に、下部フィルム5bの表面には、複数の電極、こ
れらの電極間を接続する下部配線、及び上部配線9aに
接続される上部配線接続用配線9cが形成されている。
上部配線9aと上部配線接続用配線9cとは、異方導電
性フィルム2を介して導通され、この部分の上部配線9
aは、上部フィルム5a側から塗膜強度が小さい軟Ag
ペースト17aと塗膜強度が大きい硬Agペースト16
aとの2層重ね印刷により形成され、同様に上部配線接
続用配線9cは、下部フィルム5b側から軟Agペース
ト17cと硬Agペースト16cとの2層重ね印刷によ
り形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はパーソナルコンピュ
ータのキーボード等に組み込まれるメンブレンスイッチ
及びその製造方法に関し、特に、電気的な導通信頼性を
向上させることができるメンブレンスイッチ及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は従来のパーソナルコンピュータの
入力装置として使用されるキーボードの一部を示す模式
図である。また、図5(a)はキーボードのキートップ
部を示す斜視図、図5(b)はメンブレンスイッチを示
す斜視図であり、図5(c)は支持板を示す斜視図であ
る。更に、図6は図5(b)に示すメンブレンスイッチ
の下部電極シートを示す平面図である。
【0003】図4並びに図5(b)及び図5(c)に示
すように、Fe及びAl等の金属板からなる支持板28
の上には、メンブレンスイッチ31が配置される。図4
及び図6に示すように、ポリエチレンテレフタレート
(PET)からなる上部フィルム25aの表面における
所定の位置には、Agからなる複数の電極27a、及び
電極27a間を接続する上部配線(図示せず)が印刷に
より形成されており、これにより、上部電極シートが構
成されている。なお、これらの上部配線は上部フィルム
25aに設けられた配線接続部に集積されており、上部
フィルム25aには、配線接続部を区画するコの字状の
スリットが設けられている。
【0004】同様に、PETからなる下部フィルム25
bの表面における所定の位置に、Agからなる複数の電
極27b、これらの電極27b間を接続する下部配線2
9b、及び上部フィルム25aに形成された配線に接続
される上部配線接続用配線29cが印刷により形成され
て、下部電極シートが構成されている。なお、下部配線
29b及び上部配線接続用配線29cは、メンブレンス
イッチ31のテイル部31aに集積されている。そし
て、電極27a、27bが形成されている面を対向させ
て上部電極シート及び下部電極シートが配置され、両者
の間に、電極に整合する位置に開口部を有するPETか
らなるスペーサ26が重ねられている。
【0005】なお、これらの上部電極シート、スペーサ
及び下部電極シートは、ジグ等を利用して厳密に位置合
わせされた後、電極及び配線等が形成されていない領域
に図7に示す形状の融着ホーン30の先端を当接させ、
この融着ホーン30の先端から発振される超音波により
融着部31bが形成されて、これらが接着されている。
この融着部31bは通常2箇所に形成され、その大きさ
は約2.0乃至3.5mmの円形状である。
【0006】また、上部フィルム25aの上には、キー
トップ部32を構成するプラスティック製の基体24が
配置されている。基体24は、キーが形成される箇所、
即ち、メンブレンスイッチ31上にキートップ部32を
配置したときに電極27a及び27bに整合する位置に
開口部を有しており、この開口部内にはラバークッショ
ン23が配設されている。ラバークッション23は、ス
イッチを押圧するための突起23cを有する本体部23
aと、この本体部23aを支持する脚部23bとからな
り、これにより、本体部23aは上部フィルム25aの
上面から離間した状態で支持されている。
【0007】更に、ラバークッション23の上方には、
支持具22により支持されたプラスティック製の指触部
21が配置されている。支持具22は、中央で互いに係
止された2本の棒状部材が交差した状態で指触部21を
支持している。支持具22の端部は指触部21の裏面側
及び基体24の上面側で摺動するように係止されてお
り、指触部21を押圧していない状態では、指触部21
はラバークッション23の本体部23aに支持されて、
持ち上げられている。このように、基体24、ラバーク
ッション23、支持具22及び指触部21により、キー
トップ部32が構成されている。
【0008】ここで、図4及び図5に示すキーボードの
組立方法について、以下に詳細に説明する。図8(a)
及び図8(b)はキーボードの組立方法を工程順に示す
断面図である。但し、図8(a)及び図8(b)は、図
6のA部に示す下部電極シートの上部配線接続用配線2
9cと、上部電極シートの配線とを接続する方法を示し
ている。キーボードを組み立てる前には、上部電極シー
トの配線接続部33に集積された上部配線29aと、下
部フィルム25bの上に形成された上部配線接続用配線
29cとが接続されていない。そこで、キーボードを組
み立てることにより、配線接続部33を下方に押圧し
て、上部配線29aと上部配線接続用配線29cとを接
続する。
【0009】即ち、図8(a)に示すように、キートッ
プ部32の基体24の裏面側には、配線接続部33に整
合する位置に上方に向けて凹んだ溝24aが形成されて
いる。そこで、キーボードの組立工程においては、先
ず、溝24aにラバー製の圧接用チューブ34を挟み込
んだ後、基体24を上部フィルム25aの上面に当接さ
せる。
【0010】このとき、図8(b)に示すように、上部
フィルム25aには配線接続部33を囲むようにスリッ
ト33aが設けられているので、配線接続部33は圧接
用チューブ34に押圧されて下方に歪み、上部配線29
aが下部電極シートの上部配線接続用配線29cに圧接
される。これにより、上部配線29aと上部配線接続用
配線29cとが電気的に接続され、上部配線接続用配線
29cを介して上部電極シートの電極27aに電流を通
流させることができ、メンブレンスイッチ31としての
回路が完成する。
【0011】ところで、圧接用チューブを使用せずにメ
ンブレンスイッチをキーボード等に組み込む方法とし
て、図9に示すように、キーボートを構成するキートッ
プ部42の裏面側に突起42aを設けておき、この突起
42aにより配線接続部を下部フィルム25b側に押圧
して、上部配線29aと上部配線接続用配線29cとを
接続する方法が考えられる。しかし、この方法を使用す
ると、突起42aの高さの設計及びキートップ部の成形
が困難となり、得られた突起42aの高さが設計値と異
なった場合には、配線間の電気的導通を得ることができ
ないことがあるため、図8(a)及び(b)に示す圧接
用チューブを使用する方法が主流となっている。
【0012】このように構成されたキーボードにおいて
は、所定の位置の指触部21を指で押圧すると、支持具
22を構成する棒状部材が直線状に重なり合い、これと
同時に、ラバークッション23の脚部23bが撓んで本
体部23aが下方に押圧される。そうすると、ラバーク
ッション23の突起23cがメンブレンスイッチ31の
スイッチの部分を押圧し、電極27aと電極27bとが
接触する。これにより、上部フィルム25aに形成され
た配線と下部フィルム25bに形成された配線29bと
の間で電流が通流し、この情報がパーソナルコンピュー
タのハード(図示せず)に送信される。その後、指触部
21を開放すると、ラバークッション23の脚部23b
が元の形状に戻り、指触部21が持ち上げられて、電極
27aと電極27bとが離間する。
【0013】なお、メンブレンスイッチ31をキーボー
ド以外の筐体の内部に組み込む場合であっても、基体2
4に設けられた溝24aと同様の溝を筐体に設けて、図
8(a)及び図8(b)に示す方法と同様にして、圧接
用チューブにより上部配線29aと上部配線接続用配線
29cとを接続するようになっている。
【0014】ところで、従来より、下部フィルムに上部
配線接続用配線等を形成することなく、夫々、電極及び
配線が形成された上部フィルムと下部フィルムとの間に
スペーサを介装して形成されたメンブレンスイッチも使
用されている。しかし、上部フィルム、スペーサ及び下
部フィルムが単純に組み立てられたメンブレンスイッチ
は、上部フィルム及び下部フィルムに合計2本のテイル
部(オスコネクタ)を有するものとなる。従って、この
メンブレンスイッチを電源及び他の配線等に接続する場
合に、2本のコネクタを夫々別のメスコネクタに差し込
む必要がある。
【0015】そこで、図8(a)及び図8(b)に示す
ように、上部配線29aを下部フィルム上の上部配線接
続用配線29cに接続して、下部フィルム25b上で上
部配線29aを取り扱うことにより、メンブレンスイッ
チのテイル部を下部フィルム側のみにすることができ、
他の配線との接続が容易になる。
【0016】また、上部配線29aと上部配線接続用配
線29cとを圧接により導通させて組み立てられたメン
ブレンスイッチ31の他に、折り曲げ構造のメンブレン
スイッチがある。この折り曲げ構造のメンブレンスイッ
チは、上部フィルムと下部フィルムとが所定の辺(折り
曲げ部)で繋がった状態で金型により外形を切り抜いた
後に、この折り曲げ部を中心として折り曲げ、上部フィ
ルムと下部フィルムとの間にスペーサを挟んで両者を接
着することにより製造されている。従って、上部フィル
ムに形成された上部配線は、予め折り曲げ部を介して下
部フィルム上の配線に接続されているので、図8(a)
及び図8(b)に示すメンブレンスイッチ31と同様
に、1本のテイル部を有するメンブレンスイッチを得る
ことができる。
【0017】しかしながら、前述のメンブレンスイッチ
31には、以下に示す問題点がある。即ち、図8(a)
に示すように、上部配線29aと上部配線接続用配線2
9cとを接続するために、筐体(キートップ部32の基
体24)に圧接用チューブ34を挟み込むための溝24
aが必要となる。従って、溝24aの深さhRの分だけ
筐体の厚さが増大する。
【0018】また、この圧接用チューブ34はラバー製
であるので、原料コストが高いものであると共に、圧接
用チューブ34を筐体に組み込むためのコストが高くな
って、メンブレンスイッチ全体の製造コストが上昇する
という問題点もある。
【0019】更に、圧接用チューブ34の組み込みを忘
れて、筐体を組み立ててしまうことがある。そうする
と、上部配線29aと上部配線接続用配線29cとを導
通させることができなくなり、メンブレンスイッチの回
路がオープン回路となるので、スイッチ機能を得ること
ができない。更にまた、圧接用チューブ34の組み込み
忘れが発生しなかった場合であっても、チューブ34の
設計不良又は筐体の成形不良等により、上部配線29a
と上部配線接続用配線29cとの接触部の接続抵抗が高
くなったり、両者の間の導通が不良になることがある。
【0020】また、折り曲げ構造のメンブレンスイッチ
においては、上部フィルムと下部フィルムとが繋がった
状態で1枚のPETフィルムから切り抜くので、1枚の
フィルムからとることができる上部フィルム及び下部フ
ィルムの数(面付効率)が少ないという問題点がある。
更に、上部フィルムと下部フィルムとが繋がった状態で
PETフィルムから切り抜く場合には、上部フィルムと
下部フィルムとを別々に切り抜く場合と比較して、大き
な特殊金型が必要となるので、製造コストが著しく高く
なるという問題点もある。
【0021】更に、折り曲げ構造のメンブレンスイッチ
においては、以下に示す欠点がある。図10は折り曲げ
構造のメンブレンスイッチを示す図であって、(a)は
キュア工程前の折り曲げ部を示す断面図、(b)はキュ
ア工程後の折り曲げ部を示す断面図、(c)はメンブレ
ンスイッチに実装されたラバーを示す断面図である。折
り曲げ構造のメンブレンスイッチの折り曲げ部において
は、上部フィルム43aと下部フィルム43bとを繋ぐ
部分が狭くなる場合があり、このため、回路設計が難し
い。また、図10(a)に示すように、通常は粘着剤4
3cを介して上部フィルム43aと下部フィルム43b
とが接着されて折り曲げ部43が構成されているが、図
10(b)に示すように、折り曲げ部43における粘着
剤43cの接着力が低下し、上部フィルム43aと下部
フィルム43bとが剥離する場合がある。
【0022】このような状態は、例えば、図10(c)
に示すように、メンブレンスイッチ44における上部フ
ィルム25aに形成された電極27aと、下部フィルム
25bに形成された電極27bとが対向するように構成
された電極部と整合する位置に、ドーム型であってその
内側に凸部が形成されたラバー44aを接着剤44bを
介してメンブレンスイッチ44の電極部に実装するため
のキュア(乾燥)工程後に発生する。このキュア工程
は、130℃の温度下で2時間行われるものであるが、
粘着剤43cにはそれに対する耐熱性が不十分であるた
めである。この場合、キュア(乾燥)工程後において、
折り曲げ部43に繋がった部分付近のキースイッチにお
けるONを認識するために要する荷重が変化するという
欠点がある。
【0023】ところで、上述した問題点を解決するため
に、異方導電性接着剤、例えば、異方導電性フィルムを
使用して上部電極シートの配線接続部33に集積された
上部配線29aと下部電極シートの上部配線接続用配線
29cとを接続する方法がある。
【0024】この異方導電性フィルムは、高分子を主原
料として構成されており、接着機能、導電機能及び絶縁
機能という3種の機能を有する接続材料である。そし
て、この異方導電性フィルムを熱圧着すると、その膜厚
方向には導電性が得られ、その表面と平行な方向には絶
縁性が得られるという、電気的な異方性を示す。
【0025】異方導電性フィルムの構造及び使用方法に
ついて説明する。図11(a)は本圧着直前の異方導電
性フィルムを示す模式的断面図であり、図11(b)は
本圧着後の異方導電性フィルムを示す模式的断面図であ
る。図11(a)に示すように、異方導電性フィルム2
においては、透明なバインダ53が基材となり、その中
に導電粒子52が分散されている。バインダ53には、
エポキシ系熱硬化性樹脂が使用されることが多いが、熱
可塑性樹脂が使用されることもある。また、バインダ5
3の片面にはセパレータ(図示せず)が離型フィルムと
して貼り付けられている。
【0026】次に、異方導電性フィルム2を使用して、
例えば、上部フィルム25aと下部フィルム25bとを
接続する方法を以下に示す。異方導電性フィルム2にお
いては、セパレータが貼り付けられた表面とは逆側の面
を下部フィルム25bに形成された上部配線接続用配線
29cに仮付けする。そして、熱圧着機を使用して仮圧
着を行う。次いで、セパレータを剥がし、上部フィルム
25aに形成された上部配線29aを位置合わせしなが
ら、バインダ53上に仮固定する。そして、熱圧着機を
使用して本圧着を行う。
【0027】図11(a)に示すように、本圧着直前に
は、導電粒子52は、バインダ53中に均一に分散して
いる。しかし、本圧着を行うと、図11(b)に示すよ
うに、上部配線29aと上部配線接続用配線29cとの
間ではバインダ53のみが他の部位へ流れ出して、導電
粒子52のみが残存するため、配線間の導電が確保され
る。また、流れ出したバインダ53により、上部フィル
ム25aと下部フィルム25bとは機械的に接続される
と共に、フィルム表面に並設された配線間では絶縁が確
保されている。即ち、上部配線29aと上部配線接続用
配線29cとは、導電粒子52により電気的に導通さ
れ、上部フィルム25aと下部フィルム25bとは、バ
インダ53により機械的に接続される。
【0028】このように、異方導電性フィルム2の接着
力により上部フィルム25aと下部フィルム25bとは
接続されるが、その接着強度は熱圧着後のバインダ53
の厚さが関係し、その厚さが薄いと、十分な接着強度が
得られない。そこで、接着部分におけるバインダ53の
膜厚、即ち、異方導電性フィルム2の膜厚と、その接着
部分を剥離するのに要する力量(剥離強度)との関係を
調べるために、試験を行った。以下にその試験方法を説
明する。
【0029】図12(a)は試料の接着部分を示す断面
図であり、図12(b)は剥離強度の測定方法を示す斜
視図である。また、図13は剥離強度の測定結果を示す
グラフ図である。この試験は、表面に回路が形成された
基板同士を異方導電性フィルムにより、その回路同士を
対向させて接着したものを、一方の基板を他方の基板か
ら剥離するように引っ張り、両基板を剥離するのに要す
る力量(剥離強度)を測定するものである。
【0030】図12(a)に示すように、Cuのエッチ
ングにより表面に回路73aが形成されたフレキシブル
プリント配線基板(FPC)71と、Cuのエッチング
により表面に回路73bが形成されたプリント配線基板
(PCB)72とは、異方導電性フィルムにより回路7
3aと73bとを対向させて、接着されている。このフ
レキシブルプリント配線基板71の回路73aの膜厚は
35μmであり、プリント配線基板72の回路73bの
膜厚は18μmである。また、基板表面に並設された回
路間のピッチは0.2mmであり、異方導電性フィルム
2のみの部分の厚さをtとする。なお、異方導電性フィ
ルムの熱圧着条件は、温度150℃、押圧力30kgf
/cm2、押圧時間30秒である。
【0031】また、図12(a)及び(b)に示すよう
に、2mm×10mm四方の接着範囲74で異方導電性
フィルム2により接着したフレキシブルプリント配線基
板71をプリント配線基板72の表面と垂直な方向に引
張速度50mm/minで引っ張り、プリント配線基板
72がフレキシブルプリント配線基板71から剥離した
ときの力量(剥離強度)を測定した。このとき、異方導
電性フィルム2のみの部分の膜厚t(図12(a)参
照)を種々変化させた試料を準備し、夫々剥離強度を測
定した。
【0032】上述の試験方法により、図13に示すよう
に、5個の測定データを得た。但し、括弧内の数値はフ
レキシブルプリント配線基板71の回路73aの膜厚
(35μm)とプリント配線基板72の回路73bの膜
厚(18μm)との和(53μm)に対する異方導電性
フィルムのみの部分の膜厚tの比である。
【0033】異方導電性フィルムの膜厚tが40μm
(回路膜厚の和との比は40/53で75.5%)、4
5μm(同じく84.9%)及び49μm(同じく9
2.5%)の場合は、剥離強度は高いレベルで安定して
いる。一方、異方導電性フィルムの膜厚tが32μm
(同じく60.4%)及び35μm(同じく66.0
%)のデータから回路膜厚の和に対する比が約75%以
下、即ち、異方導電性フィルムの膜厚tが約40μm以
下になると、剥離強度が大幅に低下することがわかる。
即ち、異方導電性フィルムの膜厚tが約40μm以上あ
れば、十分な剥離強度が得られることがわかる。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、異方導
電性フィルムを使用して、従来のメンブレンスイッチの
上部フィルムと下部フィルムとを接続する方法において
は、以下に示す問題点がある。図14(a)は従来のメ
ンブレンスイッチの配線接続部を示す断面図であり、図
14(b)は同じく平面図である。また、図15は従来
のメンブレンスイッチにおいて、上部フィルムに発生す
る剥離応力を示す模式的断面図であり、図16は従来の
メンブレンスイッチの一部を拡大して示す平面図であ
る。
【0035】図14(a)及び(b)に示すように、従
来のメンブレンスイッチにおいては、上部フィルム25
aと下部フィルム25bとを異方導電性フィルム2を熱
圧着させて接続させる場合、上部配線29a及び上部配
線接続用配線29cの膜厚は、夫々5乃至10μm程度
と薄いと共に、高圧力を加えるため異方導電性フィルム
2のバインダ53の流動性が特に高くなるため、異方導
電性フィルム2のバインダ成分は配線接続部33の外側
に流れ出してしまう。このように、異方導電性フィルム
のみの部分の厚さが薄いと共に、配線接続部に残留する
バインダが減少する。このため、異方導電性フィルム2
による上部フィルム25aと下部フィルム25bとの接
着強度、即ち、上部配線29aと上部配線接続用配線2
9cとの電気的導通性が低下するという問題点がある。
【0036】このとき、上部配線29a及び上部配線接
続用配線29cの塗膜の鉛筆引っかき抵抗性(以下、塗
膜強度)が小さい場合は、異方導電性フィルムの熱圧着
時に配線接続部の配線の切れ及びつぶれが発生する。こ
のため、配線膜厚が更に減少して、接着強度が低下し、
問題点がより顕著になる。
【0037】また、図15に示すように、上部フィルム
25aと下部フィルム25bとの間隔はスペーサ26に
より確保されているが、上部配線29aの膜厚と上部配
線接続用配線29cの膜厚との和はスペーサ26の厚さ
と比べて薄い。このため、上部フィルム25aを下部フ
ィルム25b側に撓ませて、上部配線29aと上配線接
続用配線29cとを接触させるので、熱圧着後、上部フ
ィルム25aに下部フィルム25bから剥離しようとす
る応力が発生する。このため、上部配線29aと上部配
線接続用配線29cとの電気的導通性が低下するという
難点かある。
【0038】更に、図16に示すように、従来、上部フ
ィルム25aに極力歪みを与えないために、スリット3
3aを設けて、上部配線29aと上部配線接続用配線2
9cとを接続させている。このため、スリットの形成が
必須という設計的制約及び製造時におけるスリットの形
成コストが発生する。また、ノート型パソコンのキーボ
ード用メンブレンスイッチのように、作業上、薄型化及
び安価化の為に組立用の孔を多数設ける必要があり、ス
リットを設けることができない場合は、異方導電性フィ
ルムを使用する方法を適用することができない。
【0039】更にまた、配線接続部の接着力が不足して
いる場合、配線接続部周辺に歪みが生じ、配線接続部付
近のキー(スイッチ)の荷重特性(異なるキーの間にお
けるオンを認識する荷重のばらつき)が不安定になると
いう欠点がある。
【0040】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、電気的な導通信頼性を向上させることがで
きるメンブレンスイッチ及びその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0041】
【課題を解決するための手段】本発明に係るメンブレン
スイッチは、対向して配置された第1絶縁フィルム及び
第2絶縁フィルムと、前記第1絶縁フィルムの前記第2
絶縁フィルムとの対向面上に設けられた複数の第1電
極、前記複数の第1電極に接続された第1配線及び前記
第1配線が集積された配線接続部と、前記第2絶縁フィ
ルムの前記第1絶縁フィルムとの対向面に設けられた複
数の第2電極、前記複数の第2電極に接続された第2配
線及び前記第1配線が接続される接続用配線と、前記第
1絶縁フィルムと第2絶縁フィルムとの間に介装され前
記第1電極と前記第2電極とが整合する位置にスイッチ
開口部を有し、前記配線接続部に集積された第1配線と
前記接続用配線とが整合する位置に配線接続用開口部を
有するスペーサと、前記第1配線が集積された配線接続
部と前記接続用配線が設けられた第2絶縁フィルムとの
間に介装され前記第1配線と前記接続用配線とを電気的
に導通させる異方導電性接着剤と、を有し、前記配線接
続部に集積された第1配線における少なくとも前記接続
用配線に電気的に導通される部分及び前記接続用配線に
おける少なくとも前記第1配線に電気的に導通される部
分は、金属層を複数層積層して形成されていることを特
徴とする。
【0042】本発明においては、第1配線における少な
くとも接続用配線に電気的に導通される部分及び接続用
配線における少なくとも第1配線に電気的に導通される
部分は、金属層を複数層積層して形成されているので、
夫々の配線膜厚を厚くすることができる。従って、第1
絶縁フィルムと第2絶縁フィルムとの対向面同士の間隔
を大きくすることができると共に、異方導電性接着剤の
バインダ成分が配線接続部の外側に流れ出すことがない
ため、配線接続部における異方導電性接着剤の膜厚を大
きく確保することができる。このため、異方導電性接着
剤による第1絶縁フィルムと第2絶縁フィルムとの接着
力を大きくすることができ、即ち、第1配線と接続用配
線とは剥離し難くなるので、第1配線と接続用配線との
電気的な導通信頼性を向上させることができる。
【0043】前記金属層を複数層積層して形成される配
線部分の最外層の塗膜強度(塗膜の鉛筆引っかき抵抗
性)は3H以上であることが好ましく、これにより、第
1配線と接続用配線との接続面の強度が大きくなるの
で、異方導電性接着剤の圧着時における配線の切れ及び
つぶれの発生を防止することができる。このため、熱圧
着後に異方導電性接着剤の厚さが薄くなることを防止で
き、第1配線と接続用配線との電気的な導通信頼性を向
上させることができる。
【0044】前記第1配線の金属層を複数層積層した部
分の厚さと、前記接続用配線の金属層を複数層積層した
部分の厚さとの和は、前記スペーサの厚さと実質的に等
しいことが好ましく、これにより、異方導電性接着剤の
熱圧着後においても、第1絶縁フィルムと第2絶縁フィ
ルムとの間に剥離応力が発生しない。このため、第1配
線と接続用配線とは剥離し難くなるので、第1配線と接
続用配線との電気的な導通信頼性を更に向上させること
ができる。
【0045】前記金属層を複数層積層した部分は重ね印
刷により形成されていてもよい。
【0046】本発明に係るメンブレンスイッチの製造方
法は、片面に複数の第1電極と、前記複数の第1電極に
接続された第1配線とが設けられ、前記第1配線が集積
された配線接続部とを有する第1絶縁フィルムと、片面
に複数の第2電極と、前記複数の第2電極に接続された
第2配線と、前記第1配線が接続される接続用配線とが
設けられた第2絶縁フィルムとを、前記第1電極と前記
第2電極とを対向させて配置し、前記配線接続部に集積
された第1配線と前記接続用配線との間に両者を電気的
に導通させる異方導電性接着剤を配置する工程と、前記
第1絶縁フィルムと前記第2絶縁フィルムとの間に、前
記第1電極と前記第2電極とが整合する位置にスイッチ
開口部を有し前記配線接続部に集積された第1配線と前
記接続用配線とが整合する位置に配線接続用開口部を有
するスペーサを介装する工程と、前記異方導電性接着剤
を介して前記第1配線が集積された配線接続部と前記接
続用配線が形成された第2絶縁フィルムとを圧着して前
記第1配線と前記接続用配線とを電気的に導通させる工
程と、前記第1絶縁フィルム及び前記第2絶縁フィルム
と前記スペーサとを接着する工程とを有するメンブレン
スイッチの製造方法において、前記異方導電性接着剤を
配置する工程の前に、前記配線接続部に集積された第1
配線における少なくとも前記接続用配線に電気的に導通
される部分に金属層を複数層形成する工程と、前記接続
用配線における少なくとも前記第1配線に電気的に導通
される部分に金属層を複数層形成する工程と、を有する
ことを特徴とする。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例に係るメン
ブレンスイッチについて、添付の図面を参照して具体的
に説明する。図1(a)は本発明の実施例に係るメンブ
レンスイッチにおける上部配線接続用配線を示す断面図
である。また、図1(b)及び(c)は本発明の実施例
に係るメンブレンスイッチにおける上部配線と上部配線
接続用配線とを接続する工程を工程順に示す模式的断面
図である。更に、図2は本発明の実施例に係るメンブレ
ンスイッチにおいて上部フィルムに発生する剥離応力を
示す模式的断面図であり、図3は同じくメンブレンスイ
ッチの一部を拡大して示す平面図である。Fe及びAl
等の金属板からなる支持板の上には、メンブレンスイッ
チが配置される。メンブレンスイッチの構成について、
以下に説明する。
【0048】図1(a)に示すように、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)からなる下部フィルム(第2絶
縁フィルム)5bの表面における所定の位置には、Ag
からなる複数の電極(第2電極:図示せず)、これらの
電極間を接続する下部配線(第2配線:図示せず)、及
び上部配線9aに接続される上部配線接続用配線9cが
形成されている。この上部配線接続用配線9cは、下部
フィルム5b側から塗膜強度(塗膜の鉛筆引っかき抵抗
性)H又は2Hを有する軟Agペースト17cと塗膜強
度3H以上を有し硬くてつぶれにくい硬Agペースト1
6cとの2層重ね印刷により形成したものである。これ
により、下部電極シートが構成されている。なお、下部
配線及び上部配線接続用配線9cは、メンブレンスイッ
チにコネクタ等を接続するためのテイル部(図示せず)
に集積されている。
【0049】同様に、図1(b)に示すように、PET
からなる上部フィルム(第1絶縁フィルム)5aの表面
における所定の位置には、Agからなる複数の電極(第
1電極:図示せず)及びこの電極間を接続する上部配線
(第1配線)9aが形成されている。この上部配線9a
における上部配線接続用配線9cとの接続部分は、上部
フィルム5a側から塗膜強度H又は2Hを有する軟Ag
ペースト17aと塗膜強度3H以上を有し硬くてつぶれ
にくい硬Agペースト16aとの2層重ね印刷により形
成されている。これにより、上部電極シートが構成され
ている。なお、これらの上部配線9aは上部フィルム5
aに設けられた配線接続部に集積されている。
【0050】また、電極が形成されている面を対向させ
て上部電極シート及び下部電極シートが配置され、両者
の間にPETからなるスペーサ6(図2及び3参照)が
介装されている。このスペーサ6は、上部電極と下部電
極とが整合する位置及び配線接続部が形成された位置
に、夫々、スイッチ開口部(図示せず)及び配線接続用
開口部6a(図3参照)を有する。従って、このスペー
サ6に設けられたスイッチ開口部を介して上部電極と下
部電極とが接触するようになっていると共に、配線接続
用開口部6aを介して、配線接続部に集積された上部配
線9aと、下部フィルム5b上に形成された上部配線接
続用配線9cとが接触するようになっている。
【0051】更に、これらの上部電極シート、スペーサ
6及び下部電極シートは、ジグ等の利用により厳密に位
置合わせされた後、電極及び配線等が形成されていない
領域で超音波融着によるスペーサ接合用融着部(図示せ
ず)が形成されており、これにより、上部電極シート及
び下部電極シートと、スペーサ6とが接合されている。
また、上部配線9aが形成された配線接続部と、下部フ
ィルム5b上の上部配線接続用配線9cが形成された領
域とは、両者の間に配置された異方導電性フィルム2に
より接着されており、これにより、配線接続部が下部フ
ィルム5bに固定されている。このようにして、上部配
線9aと上部配線接続用配線9cとが異方導電性フィル
ム2を介して電気的に接続されて、メンブレンスイッチ
が構成されている。
【0052】なお、上部配線9a及び上部配線接続用配
線9cの2層重ね印刷部分は異方導電性フィルム2によ
り接合される部分のみに形成されていればよい。また、
2層重ね印刷部分の膜厚は15乃至30μmとなってい
る。
【0053】次に、メンブレンスイッチの製造方法につ
いて説明する。図1(b)及び(c)に示すように、先
ず、上部フィルム5a、下部フィルム5b及びスペーサ
6等を構成するポリエチレンテレフタレート(PET)
シート並びに異方導電性フィルム2等を準備する。次
に、PETシートの上部フィルム5aとなる領域の表面
に、Agからなる上部電極及び上部配線9aを印刷によ
り形成する。但し、上部配線において上部配線接続用配
線9cと接続される部分は、上部フィルム5a側から軟
Agペースト17a、硬Agペースト16aの順で2層
重ね印刷により形成する。同様に、下部フィルム5bと
なる領域の表面に、Agからなる下部電極及び下部配線
9bを印刷により形成すると共に、上部配線接続用配線
9cを下部フィルム5b側から軟Agペースト17c、
硬Agペースト16cの順で2層重ね印刷により形成す
る。
【0054】次いで、PETシートを、上部フィルム5
a、下部フィルム5b及びスペーサ6の形状に切断す
る。このとき、同時に、スペーサ6の所定の位置にスイ
ッチ開口部及び配線接続用開口部6aを設ける。これに
より、メンブレンスイッチを構成する上部電極シート、
下部電極シート及びスペーサ6が得られる。
【0055】その後、熱ラミネート処理及びハンドアイ
ロン等により、下部フィルム5b上の上部配線接続用配
線9cが形成された領域に、異方導電性フィルム2を仮
圧着した後、この異方導電性フィルム2の表面を保護し
ていたセパレータ(図示せず)を剥がす。その後、下部
電極シートと上部電極シートとを、電極等が形成された
面を対向させて配置し、両者の間にスペーサ6を介装し
た後、下部電極シート、スペーサ6及び上部電極シート
を正確に位置決めすることができる組立ジグ等を利用し
て、これらを厳密に重ね合わせて固定する。
【0056】そして、超音波融着により、電極及び配線
等が形成されていない領域に融着部を形成して、上部電
極シートと、スペーサと、下部電極シートとを接着す
る。また、この超音波融着と同時に、上部電極シートの
配線接続部と下部電極シートの上部配線接続用配線9c
が形成された領域とを、異方導電性フィルム2を介して
本圧着する。
【0057】このように構成された本実施例に係るメン
ブレンスイッチにおいては、上部フィルム5aに設けら
れた上部配線9aと下部フィルム5bに設けられた上部
配線接続用配線9cとの間では、バインダ53のみが他
の部位へ流れ出して、導電粒子52のみが残存するた
め、配線間の導電が確保される。また、流れ出したバイ
ンダ53により、上部フィルム5aと下部フィルム5b
とは機械的に接続される共に、フィルム表面に並設され
た配線間では絶縁が確保される。即ち、上部配線9aと
上部配線接続用配線9cとは、導電粒子52により電気
的に導通され、上部フィルム5aと下部フィルム5bと
は、バインダ53により機械的に接続される。
【0058】このとき、上部配線9aと上部配線接続用
配線9cは2層重ね印刷により形成され、夫々の配線の
膜厚が厚いと共に、上部配線9aと上部配線接続用配線
9cとの接合面には、塗膜強度の大きい硬Agペースト
16a及び16cが形成されているため、異方導電性フ
ィルム2の熱圧着の際に、上部配線9a及び上部配線接
続用配線9cの切断及びつぶれが発生せず、異方導電性
フィルム2のバインダ53が配線接続部の外側に流れ出
すことがない。このため、配線接続部における異方導電
性フィルムのみの部分の膜厚t(図1(c)参照)を約
40μm以上と大きく確保することができる。このた
め、異方導電性フィルム2のバインダ53による上部フ
ィルム5aと下部フィルム5bとの接着力を大きくする
ことができ、上部配線9aと上部配線接続用配線9cと
の導電性を向上させることができる。
【0059】また、図2に示すように、本実施例におい
ては、上部配線9aの膜厚と上部配線接続用配線9cの
膜厚との和が大きく、スペーサ6の厚さとほぼ等しいの
で、熱圧着後においても、上部フィルム5aに下部フィ
ルム5bから剥離しようとする応力が発生しない。この
ため、上部配線9aと上部配線接続用配線9cとの電気
的導通性の経時的な低下を防止することができる。
【0060】更に、従来、配線接続部の周辺部にスリッ
トを形成していたが、上述のように、上部配線9aの膜
厚と上部配線接続用配線9cの膜厚との和がスペーサ6
の厚さとほぼ等しいので、スリットを形成する必要がな
い。このため、配線設計上の自由度を向上することがで
きると共に、スリット形成のためのコストを削減するこ
とができる。また、ノート型パソコンのキーボード用メ
ンブレンスイッチのように、組立用の孔を多数設ける必
要があるため、スリットを設けることができない場合に
おいても、本実施例のように、上部配線と上部配線接続
用配線とを異方導電性フィルムを使用して接続させる構
成を適用することができる。
【0061】更にまた、配線接合部における上部フィル
ム5aと下部フィルム5bとの接着強度が向上するた
め、配線接続部周辺の歪みが少なくなり、配線接続部付
近のキー(スイッチ)の荷重特性(異なるキーの間にお
けるオンを認識する荷重のばらつき)を安定(変化が少
ない)させることができる。
【0062】なお、本実施例においては、重ね印刷によ
り2層の配線を形成しているが、3層以上でもよく、そ
の形成方法は印刷以外の方法でもよい。また、本実施例
においては、異方導電性フィルム2を使用しているが、
本発明においては、接着力と膜厚方向のみの導通が得ら
れるものであればよく、このような異方導電性接着剤と
しては、異方導電性フィルム(ACF:Anisotropic Conduc
tive File)の他に、異方導電性ペースト(ACF:Anisotr
opic Conductive Paste)等を使用することができる。
【0063】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
第1絶縁フィルムと第2絶縁フィルムとの対向面同士の
間隔を大きくすることができると共に、異方導電性接着
剤のバインダ成分が配線接続部の外側に流れ出すことが
ないため、配線接続部における異方導電性接着剤の膜厚
を大きく確保することができる。このため、異方導電性
接着剤による第1絶縁フィルムと第2絶縁フィルムとの
接着力を大きくすることができ、即ち、第1配線と接続
用配線とは剥離し難くなるので、第1配線と接続用配線
との電気的な導通信頼性を向上させることができる。
【0064】前記金属層を複数層積層して形成される配
線部分の最外層の塗膜強度が3H以上であると、第1配
線と接続用配線との接続面の強度が大きくなるので、異
方導電性接着剤の圧着時における配線の切れ及びつぶれ
の発生を防止することができる。このため、熱圧着後に
異方導電性接着剤の厚さが薄くなることを防止でき、第
1配線と接続用配線との電気的な導通信頼性を向上させ
ることができる。
【0065】前記第1配線の金属層を複数層積層した部
分の厚さと、前記接続用配線の金属層を複数層積層した
部分の厚さとの和が、前記スペーサの厚さと実質的に等
しいと、異方導電性接着剤の熱圧着後においても、第1
絶縁フィルムと第2絶縁フィルムとの間に剥離応力が発
生しない。このため、第1配線と接続用配線とは剥離し
難くなるので、第1配線と接続用配線との電気的な導通
信頼性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施例に係るメンブレンスイ
ッチにおける上部配線接続用配線を示す断面図である。
また、(b)及び(c)は本発明の実施例に係るメンブ
レンスイッチにおける上部配線と上部配線接続用配線と
を接続する工程を工程順に示す模式的断面図である。
【図2】本発明の実施例に係るメンブレンスイッチにお
いて上部フィルムに発生する剥離応力を示す模式的断面
図である。
【図3】同じくメンブレンスイッチの一部を拡大して示
す平面図である。
【図4】従来のパーソナルコンピュータの入力装置とし
て使用されるキーボードの一部を示す模式図である。
【図5】(a)はキーボードのキートップ部を示す斜視
図、(b)はメンブレンスイッチを示す斜視図であり、
(c)は支持板を示す斜視図である。
【図6】図5(b)に示すメンブレンスイッチの下部電
極シートを示す平面図である。
【図7】融着部を形成するための融着ホーンの形状を示
す模式図である。
【図8】(a)及び(b)はキーボードの組立方法を工
程順に示す断面図である。
【図9】突起を有するキートップ部を示す断面図であ
る。
【図10】折り曲げ構造のメンブレンスイッチを示す図
であって、(a)はキュア工程前の折り曲げ部を示す断
面図、(b)はキュア工程後の折り曲げ部を示す断面
図、(c)はメンブレンスイッチに実装されたラバーを
示す断面図である。
【図11】(a)は本圧着直前の異方導電性フィルムを
示す模式的断面図であり、(b)は本圧着後の異方導電
性フィルムを示す模式的断面図である。
【図12】(a)は試料の接着部分を示す断面図であ
り、(b)は剥離強度の測定方法を示す斜視図である。
【図13】剥離強度の測定結果を示すグラフ図である。
【図14】(a)は従来のメンブレンスイッチの配線接
続部を示す断面図であり、(b)は同じく平面図であ
る。
【図15】従来のメンブレンスイッチにおいて上部フィ
ルムに発生する剥離応力を示す模式的断面図である。
【図16】従来のメンブレンスイッチの一部を拡大して
示す平面図である。
【符号の説明】
2;異方導電性フィルム 5a,25a、43a;上部フィルム 5b,25b、43b;下部フィルム 6,26;スペーサ 6a、26a;配線接続用開口部 8,28;支持板 9a,29a;上部配線 9c,29c;上部配線接続用配線 16a、16c;硬Agペースト 17a、17c;軟Agペースト 21;指触部 22;支持具 23;ラバークッション 23a;本体部 23b;脚部 23c、42a;突起 24;基体 24a;溝 27a,27b;電極 29b;下部配線 30;融着用ホーン 31;メンブレンスイッチ 31a;テイル部 31b;融着部 32,42;キートップ部 33;配線接続部 33a;スリット 34;圧接用チューブ 43;折り曲げ部 43c;粘着剤 44;メンブレンスイッチ 44b;接着剤 44a;ラバー 52;導電粒子 53;バインダ 71;フレキシブルプリント配線基板 72;プリント配線基板 73a,73b;回路 74;接着部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年1月5日(1999.1.5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正内容】
【0062】なお、本実施例においては、重ね印刷によ
り2層の配線を形成しているが、3層以上でもよく、そ
の形成方法は印刷以外の方法でもよい。また、本実施例
においては、異方導電性フィルム2を使用しているが、
本発明においては、接着力と膜厚方向のみの導通が得ら
れるものであればよく、このような異方導電性接着剤と
しては、異方導電性フィルム(ACF:Anisotropic Conduc
tive Film)の他に、異方導電性ペースト(ACP:Anisotr
opic Conductive Paste)等を使用することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向して配置された第1絶縁フィルム及
    び第2絶縁フィルムと、前記第1絶縁フィルムの前記第
    2絶縁フィルムとの対向面上に設けられた複数の第1電
    極、前記複数の第1電極に接続された第1配線及び前記
    第1配線が集積された配線接続部と、前記第2絶縁フィ
    ルムの前記第1絶縁フィルムとの対向面に設けられた複
    数の第2電極、前記複数の第2電極に接続された第2配
    線及び前記第1配線が接続される接続用配線と、前記第
    1絶縁フィルムと第2絶縁フィルムとの間に介装され前
    記第1電極と前記第2電極とが整合する位置にスイッチ
    開口部を有し、前記配線接続部に集積された第1配線と
    前記接続用配線とが整合する位置に配線接続用開口部を
    有するスペーサと、前記第1配線が集積された配線接続
    部と前記接続用配線が設けられた第2絶縁フィルムとの
    間に介装され前記第1配線と前記接続用配線とを電気的
    に導通させる異方導電性接着剤と、を有し、前記配線接
    続部に集積された第1配線における少なくとも前記接続
    用配線に電気的に導通される部分及び前記接続用配線に
    おける少なくとも前記第1配線に電気的に導通される部
    分は、金属層を複数層積層して形成されていることを特
    徴とするメンブレンスイッチ。
  2. 【請求項2】 前記金属層を複数層積層して形成される
    配線部分の最外層の塗膜強度は3H以上であることを特
    徴とする請求項1に記載のメンブレンスイッチ。
  3. 【請求項3】 前記第1配線の金属層を複数層積層した
    部分の厚さと、前記接続用配線の金属層を複数層積層し
    た部分の厚さとの和は、前記スペーサの厚さと実質的に
    等しいことを特徴とする請求項1又は2に記載のメンブ
    レンスイッチ。
  4. 【請求項4】 前記金属層を複数層積層した部分は重ね
    印刷により形成されることを特徴とする請求項1乃至3
    のいずれか1項に記載のメンブレンスイッチ。
  5. 【請求項5】 片面に複数の第1電極と、前記複数の第
    1電極に接続された第1配線とが設けられ、前記第1配
    線が集積された配線接続部とを有する第1絶縁フィルム
    と、片面に複数の第2電極と、前記複数の第2電極に接
    続された第2配線と、前記第1配線が接続される接続用
    配線とが設けられた第2絶縁フィルムとを、前記第1電
    極と前記第2電極とを対向させて配置し、前記配線接続
    部に集積された第1配線と前記接続用配線との間に両者
    を電気的に導通させる異方導電性接着剤を配置する工程
    と、前記第1絶縁フィルムと前記第2絶縁フィルムとの
    間に、前記第1電極と前記第2電極とが整合する位置に
    スイッチ開口部を有し前記配線接続部に集積された第1
    配線と前記接続用配線とが整合する位置に配線接続用開
    口部を有するスペーサを介装する工程と、前記異方導電
    性接着剤を介して前記第1配線が集積された配線接続部
    と前記接続用配線が形成された第2絶縁フィルムとを圧
    着して前記第1配線と前記接続用配線とを電気的に導通
    させる工程と、前記第1絶縁フィルム及び前記第2絶縁
    フィルムと前記スペーサとを接着する工程とを有するメ
    ンブレンスイッチの製造方法において、前記異方導電性
    接着剤を配置する工程の前に、前記配線接続部に集積さ
    れた第1配線における少なくとも前記接続用配線に電気
    的に導通される部分に金属層を複数層形成する工程と、
    前記接続用配線における少なくとも前記第1配線に電気
    的に導通される部分に金属層を複数層形成する工程と、
    を有することを特徴とするメンブレンスイッチの製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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