JP2000169236A - セラミックス焼結体の成形方法 - Google Patents

セラミックス焼結体の成形方法

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JP2000169236A
JP2000169236A JP10337919A JP33791998A JP2000169236A JP 2000169236 A JP2000169236 A JP 2000169236A JP 10337919 A JP10337919 A JP 10337919A JP 33791998 A JP33791998 A JP 33791998A JP 2000169236 A JP2000169236 A JP 2000169236A
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ceramic
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sintered body
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Taro Miyamoto
太郎 宮本
Fumio Odaka
文雄 小高
Keichi Takahashi
佳智 高橋
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Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セラミックス粉末の固形分濃度が高く、分散
性に優れたスラリーを用い、均質かつ高密度の、強度お
よび導電性に優れたセラミックス焼結体の成形方法を提
供する。 【解決手段】 セラミックス焼結体の成形方法におい
て、セラミックス粉末、ポリビニルピロリドン、フェノ
ール系化合物および有機溶剤を含有するスラリーを調製
する工程と、該スラリーを鋳込み型に充填し、固化させ
てグリーン体を得る工程と、を有することを特徴とする
セラミックス焼結体の成形方法。前記フェノール系化合
物が、フェノールまたはヒドロキノンであることが好ま
しく、前記ポリビニルピロリドンが、重合度n=50〜
2000のポリビニルピロリドンであることが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反応焼結法による
セラミックス焼結体の成形方法に関し、詳しくは、分散
性の高いスラリーを用いて鋳込み成形する、高密度で均
質なセラミックス焼結体の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、セラミックスは1000℃を
超える高温下においても良好な強度、耐熱性、耐熱衝撃
性、耐摩耗性を有することから高温領域で使用される材
料として注目、期待されている。上記セラミックス粉か
らなる焼結体を製造する方法の一つとして、反応焼結法
がある。この反応焼結法は、先ず、セラミックス粉末
と、炭素源からなる有機物質または炭素粉末と、を有機
溶媒中に溶解、分散し、スラリー状の混合物を製造す
る。次に、得られた混合物を鋳込み成形型(鋳型)、押
出し成形型、プレス成形型等に流し込み、乾燥させグリ
ーン体を得る。
【0003】得られたグリーン体を、真空雰囲気または
不活性ガス雰囲気下で加熱した後、溶融した金属シリコ
ンと接触、或いは浸漬し、毛細管現象により金属シリコ
ンをグリーン体中に吸上げ、吸い上げられた金属シリコ
ンとグリーン体中の遊離炭素とを反応させることによ
り、セラミックス焼結体を得る。上記の製造過程におい
て、窒素を導入する工程を設けることによりセラミック
ス焼結体に導電性を付与することもでき、放電加工によ
り加工成形することもできる。
【0004】しかし、上記のような反応焼結法によりグ
リーン体を形成する段階で、有機溶媒が除去されて気孔
が形成されるが、セラミックス粉末の分散性が十分でな
いと、セラミックス粉が凝集等してスラリー中の固体濃
度に偏りが生じたり、粒径の大きいセラミックス粒子が
多く混在して、その結果、セラミックス粉が不均質に存
在し、均一径の気孔がグリーン体全体に均一に分散され
ていない構造のグリーン体が形成されてしまうことにな
る。このようなグリーン体では、その構造全体に均一な
焼結反応を十分に行うことができず、最終的に成形され
るセラミックス焼結体の高密度化、均質化が図れず、そ
の結果、十分な硬度、強度、導電度等を得ることができ
ない。
【0005】また、一般に鋳型等の型を用い、これにス
ラリーを流し込み、鋳込み体を形成する成形方法は、造
形性と生産性に優れる一方、いわゆる化学工学で扱う濾
過操作において得られた濾過体に見られる現象と同様
に、形成される鋳込み体(グリーン体)の鋳型面から厚
み方向に向かって、徐々に密度が低下するといった密度
分布を有するため、得られるグリーン体が極めて不均質
で、さらに厚み方向への密度の低下に伴い、脱型後の鋳
込み体の保形性に劣る欠点を有している。
【0006】そこで、鋳型等の型を用いた反応焼結法に
より成形されるセラミックス焼結体の製造において、均
質、かつ保形性の高いグリーン体を形成し、最終的に形
成されるセラミックス焼結体の均質化、高硬度化および
導電性の向上を図ることのできるセラミックス焼結体の
成形方法が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、均質
かつ高密度の、強度および導電性に優れたセラミックス
焼結体の成形方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、反応焼結
法に使用するセラミックス粉末のスラリーの配合成分に
関し鋭意検討を重ねた結果、分散剤としてポリビニルピ
ロリドンを用い、これに特定のフェノール系化合物を併
用することにより、セラミックス粉体の分散性を向上
し、スラリー中のセラミックス粉体の固形分濃度を高め
ることができること、さらにこのスラリーを用いること
により、均質かつ高密度で、強度、導電性をさらに向上
したセラミックス成形体を得ることができること、を見
出し、本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、前記目的は、以下に示すセラミック
ス焼結体の成形方法により達成される。 <1> セラミックス焼結体の成形方法において、少な
くとも、セラミックス粉末、ポリビニルピロリドン、フ
ェノール系化合物および有機溶剤を含有するスラリーを
調製する工程と、該スラリーを鋳込み型に充填し、固化
させてグリーン体を得る工程と、を有することを特徴と
するセラミックス焼結体の成形方法。
【0010】<2> 前記フェノール系化合物が、フェ
ノールまたはヒドロキノンであることを特徴とする上記
<1>に記載のセラミックス焼結体の成形方法。
【0011】<3> 前記フェノール系化合物が、スラ
リー全重量に対し2〜10重量%含有されていることを
特徴とする上記<1>または<2>に記載のセラミック
ス焼結体の成形方法。
【0012】<4> 前記ポリビニルピロリドンが、重
合度n=50〜2000の範囲のポリビニルピロリドン
であることを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか
1つに記載のセラミックス焼結体の成形方法。
【0013】<5> 前記スラリーが、粘度14.5ポ
イズ以下、および/または、チクソトロピック指数1.
5〜5.0の範囲にあるスラリーであることを特徴とす
る上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のセラミッ
クス焼結体の成形方法。
【発明の実施の形態】
【0014】本発明のセラミックス焼結体の成形方法
は、炭化ケイ素等のセラミックス粉末を製造する工程を
経た後、少なくとも、(1)前記セラミックス粉末を有
機溶媒に分散してスラリーを調製する工程、(2)前記
スラリーを鋳込み型に充填し、固化させてグリーン体を
得る工程、を有してなるセラミックス粒体の成形方法で
あり、その後さらに、得られたグリーン体を真空雰囲気
下または不活性ガス雰囲気下で溶融した高純度金属シリ
コンと接触、或いは浸漬し、気孔内の毛細管現象により
金属シリコンを吸い上げ、吸上げられた金属シリコンと
グリーン体中の炭素とを反応させて炭化ケイ素を形成
し、気孔を埋める工程を経ることにより、セラミックス
焼結体を成形することができる。但し、必要に応じて、
他に窒素を導入する工程、加工・研磨する工程、洗浄工
程等を設けてもよい。
【0015】本発明のセラミックス焼結体の成形方法に
おいては、上記(1)のスラリーを調製する工程が重要
であり、分散媒として用いる有機溶媒中にセラミックス
粉末を分散してスラリーを調製する場合に、分散剤とし
てポリビニルピロリドンを使用し、かつ特定のフェノー
ル系化合物を併用する必要がある。
【0016】前記ポリビニルピロリドンは分散剤として
有用な化合物であるが、上記のようなフェノール系化合
物を同時に用いることにより、セラミックス粉末の分散
性を大幅に向上することができる。即ち、両化合物を併
用することにより、スラリーの粘度を大幅に低下させる
ことができ、これらの添加量または配合比を調整するこ
とにより、所望の粘度に調整することができる。
【0017】上記のように、スラリーを低粘度化し、そ
の分散性を向上することにより、分散媒である有機溶媒
のセラミックス粉末に対する相対量を低減でき、その結
果、セラミックス粉末の固形分濃度が高く、均一なスラ
リーを調製することができる。調製したスラリーを鋳込
み型に充填し、グリーン体を形成する際、固形分濃度が
高く、かつ低粘度なスラリーを用いることにより、鋳込
み型中に分散の均一なスラリーをその均一性を保持した
まま充填することができ、また、グリーン体の気孔は有
機溶媒の除去により形成されるため、上記のような固形
分濃度が高く、分散性に優れたスラリーを用いること
で、セラミックス粉体と気孔とが均一に分散して極めて
均質に構造化されたグリーン体を形成することができ
る。このようなグリーン体とすることにより、反応焼結
して気孔を埋める工程で、グリーン体全体に均一に溶融
金属シリコンが浸透して炭化ケイ素を形成し、均質で、
かつ高密度なセラミックス焼結体を形成することがで
き、従って、最終焼結体の強度、導電性を向上すること
ができる。
【0018】上記ポリビニルピロリドンは、重合度nが
50〜2000の範囲のポリビニルピロリドンを用い
る。中でも、100〜1000の範囲の重合度からなる
ポリビニルピロリドンが好ましい。さらに、上記n値
は、上記数値範囲のいずれかの下限値または後述の実施
例で採用したn値のいずれかの値を下限とし、上記数値
範囲のいずれかの上限値または後述の実施例で採用した
n値のいずれかの値を上限とする数値範囲も好ましい。
ポリビニルピロリドンの重合度nが50未満では、分散
性に優れたスラリーを調製することができず、2000
を超えると分散媒として用いる有機溶媒に対する溶解性
が悪くなるため好ましくない。このポリビニルピロリド
ンの重合度は、粘度の測定により極限粘度を求めて平均
重合度を算出する、いわゆる粘度法により算出すること
ができる。
【0019】分散とは解膠ともいい、凝集した粒子を粒
子表面の電荷を調整することにより凝集を壊し、一つ一
つの粒子に分散させることである。分散した粒子は流動
性が良くなるとともにセラミックス粉末の固形分濃度を
大きくしても、分子同士の相互作用による凝集等が起こ
りにくく、著しく粘度が上昇することもない。
【0020】本発明におけるポリビニルピロリドンを用
いたことによる分散作用については必ずしも明確ではな
いが、ポリビニルピロリドンがセラミック粉末の各微粒
子表面を覆うことにより、セラミックス粉末の有機溶剤
との濡れ性が上がるとともに、セラミック粉末相互の斥
力が高められることにより、凝集性が妨げられ分散性が
発現されるものと推定される。
【0021】ポリビニルピロリドンは、セラミックス粉
末の使用量に対し、3〜20重量%の範囲で使用するこ
とが好ましく、5〜10重量%の範囲で使用することが
より好ましい。使用量が3重量%未満では、十分な分散
性を得ることができず、30重量%を超えると、スラリ
ーの粘度が上昇してしまい、分散性が劣化するため好ま
しくない。
【0022】上記フェノール系化合物としては、フェノ
ール類またはその誘導体が挙げられる。上記フェノール
類としては、例えば、フェノール、o,m,p−クレゾ
ール、ナフトール等の1価フェノール化合物;カテコー
ル、レゾルシン、ヒドロキノン等の2価フェノール化合
物;ピロガロール、フロログルシン等の3価フェノール
化合物等が挙げられ、さらにこれらの誘導体等が挙げら
れる。中でも、フェノール、ヒドロキノンが特に好まし
い。
【0023】上記フェノール系化合物は、調製したスラ
リーの全重量に対し、2〜10重量%の範囲で含有する
ことが好ましく、4〜8重量%の範囲で含有することが
より好ましいが、5〜7重量%の範囲で含有することが
最も好ましい。これらの範囲で使用することにより、調
製したスラリーの粘度とチクソトロピック性を低下させ
ることができ、分散性に優れたスラリーを調整すること
ができる。上記含有量が2重量%未満では、スラリーの
粘度およびチクソトロピック性を低下させることができ
ないため十分な分散性が得られず、10重量%を超える
と、逆に粘度が上昇してスラリーの分散性が低下するこ
とから好ましくない。
【0024】チクソトロピック性とは、懸濁液を攪拌す
ると流動性が向上し(この時の粘度をρa )、これを静
止すると流動性を失う現象(この時の粘度をρb )をい
い、チクソトロピック指数(ρb /ρa )で表すことが
できるが、このρb /ρa 値が小さいほどチクソトロピ
ック性は小さく、流動性が高いと言える。
【0025】本発明においては、調製したスラリーをB
型粘度計(ビスメトロンVSA1,芝浦システム(株)
製)によりロータの回転数を6rpm、30rpmとし
たときの粘度(ρ6 、ρ30)を測定し、その粘度の比
(ρ6 /ρ30)を1.5〜5.0の範囲とすることが均
質で、かさ比重の大きいセラミックス顆粒体を得るのに
有用である。中でも、ρ6 /ρ30値は、1.5〜3.0
の範囲にあることが好ましい。さらに、上記ρ6 /ρ30
値は、上記数値範囲のいずれかの下限値または後述の実
施例で採用したρ6 /ρ30値のいずれかの値を下限と
し、上記数値範囲のいずれかの上限値または後述の実施
例で採用したρ6 /ρ30値のいずれかの値を上限とする
数値範囲も好ましい。ρ6 /ρ30比が1.5未満である
と、スラリーの流動性が高すぎて、スプレードライヤー
により成形する顆粒体の粒径を大きくすることができ
ず、3.0を超えると、調製したスラリーに外力を与え
ても十分な流動性を得ることができず、スプレードライ
ヤーのノズルの詰まりを起こすため好ましくない。
【0026】分散媒として用いる有機溶剤としては、エ
タノール、メタノール、イソプロピルアルコール、ブタ
ノール、アセトン、ヘキサン等が挙げられる。これらは
1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよ
い。また、不純物の含有量が低い溶媒を使用することが
好ましい。但し、例えば、後述の加熱により炭素を生成
する有機化合物であるフェノール樹脂に対しては、エチ
ルアルコール等の低級アルコール類やエチルエーテル、
アセトン等を用いることが好ましい。
【0027】本発明では、フェノール系化合物を併用し
粘度を低下し、分散性が向上するため、上記有機溶媒
は、セラミックス粉末1重量部に対して、0.6〜2重
量部の範囲で混合することが好ましく、0.8〜1.5
重量部の範囲で混合することがより好ましい。0.6未
満では、十分な分散性を得ることができず、2重量部を
超えると、鋳込み時に良質なグリーン体を得ることがで
きないため好ましくない。
【0028】本発明に用いるセラミックス粉末として
は、炭化ケイ素、或いは、カーボンを混合した複合材等
が挙げられる。
【0029】セラミックス粉末の粒径は、顆粒体の高密
度化の観点からは、小さいことが好ましいが、具体的に
は、0.01〜10μm程度が好ましく、0.05〜5
μmの範囲がより好ましい。粒径が0.01μm未満で
あると、計量、混合等の処理工程における取扱いが困難
となり易く、10μmを超えると、比表面積が小さく、
即ち、隣接する粉末同士の接触面積が小さくなり、セラ
ミックス焼結体の高密度化が困難となり、十分な強度お
よび導電性を得ることができないため好ましくない。
【0030】本発明のセラミックス焼結体の成形方法で
は、成形するセラミックス焼結体に窒素を含有させて導
電性を付与する目的で、窒素を導入する工程を設けるこ
とができる。グリーン体またはセラミックス焼結体に窒
素を導入する方法としては、(1)後述するセラミック
ス粉末を製造する工程において、ケイ素源、炭素源と同
時に、少なくとも1種以上の窒素源からなる有機物質を
添加する方法、または(2)セラミックス粉末からスラ
リーを調製する工程において、セラミックス粉末と少な
くとも1種の炭素源からなる有機物質または炭素粉末と
を溶媒中に溶解、分散する際に、少なくとも1種以上の
窒素源からなる有機物質を同時に溶媒中に添加し、溶
解、分散する方法、が挙げられる。
【0031】上記窒素源からなる有機物質としては、加
熱により窒素を発生する物質が好ましく、例えば、ポリ
イミド樹脂、ナイロン樹脂等の高分子化合物;ヘキサメ
チレンテトラミン、アンモニア、トリエチルアミン等ま
たはこれらの化合物、塩類の各種有機アミン類、または
アンモニア等その他アミン類等が挙げられ、中でも、ヘ
キサメチレンテトラミンが好ましい。また、ヘキサミン
を触媒として合成したフェノール樹脂で、その合成工程
に由来する窒素をフェノール樹脂1gに対して、2.0
mmol以上含有するフェノール樹脂も、窒素源として
好適に用いることができる。これら窒素源からなる有機
物質は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても
よい。
【0032】これら窒素源からなる有機物質の添加量と
しては、(1)セラミックス粉末を製造する工程で、ケ
イ素源および炭素源と同時に添加する場合、ケイ素源1
g当り、窒素が1mmol以上含有されることが好まし
いので、ケイ素源1gに対し80μg〜1000μg添
加することが好ましく、また(2)セラミックス粉末か
らスラリーを製造する工程で、セラミックス粉末と、少
なくとも1種以上の炭素源からなる有機物質又は炭素粉
末と、を同時に添加する場合、セラミックス粉末1g当
り、窒素が0.7mmol以上含有されることが好まし
いので、セラミックス粉末1gに対し200μg〜20
00μg添加されることが好ましく、1500μg〜2
000μg添加されることがより好ましい。
【0033】セラミックス粉末の製造工程について、炭
化ケイ素粉末の製造工程について、以下に詳述する。炭
化ケイ素粉末としては、α型、β型、非晶質或いはこれ
らの混合物等が挙げられる。また、高純度のグリーン体
または焼結体を得るためには、原料である炭化ケイ素粉
末に、高純度の炭化ケイ素粉末を用いることが好まし
い。上記β型炭化ケイ素粉末はグレードに特に制限はな
く、例えば、一般に市販されているβ型炭化ケイ素粉末
を使用することができるが、下記工程を経ることにより
高純度の炭化ケイ素粉末とすることができる。
【0034】高純度の炭化ケイ素粉末は、少なくとも1
種以上のケイ素化合物を含むケイ素源と、少なくとも1
種以上の加熱により炭素を生成する炭素源と、重合また
は架橋触媒と、を溶媒中で溶解し乾燥して得られた粉末
を非酸化性雰囲気下で焼成する工程により得ることがで
きる。
【0035】上記ケイ素化合物を含むケイ素源(以下、
単に「ケイ素源」と称する。)としては、液状のものと
固体状のものとを併用することができるが、少なくとも
1種は液状のものから選ばれなくてはならない。液状の
ものとしては、(モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−)ア
ルコキシシラン、或いは、テトラアルコキシシランの重
合体が用いられる。アルコキシシランの中では、テトラ
アルコキシシランが好ましく、具体的には、メトキシシ
ラン、エトキシシラン、プロポキシシラン、ブトキシシ
ラン等が挙げられるが、ハンドリングの点でエトキシシ
ランがより好ましい。また、テトラアルコキシシランの
重合体としては、重合度が2〜15程度の低分子量重合
体(オリゴマー)、さらに重合度の高いケイ酸ポリマー
で液状のもの、が挙げられる。これらと併用可能な固体
状のものとしては、酸化ケイ素が挙げられる。酸化ケイ
素とは、SiOのほか、シリカゾル(コロイド状超微細
シリカ含有液、内部にOH基やアルコキシル基を含
む。)、二酸化ケイ素(シリカゲル、微細シリカ、石英
粉末)等を含む。これらケイ素源は、単独で用いてもよ
いし、2種以上併用してもよい。
【0036】上記ケイ素源のうち、均質性やハンドリン
グ性が良好である点で、テトラエトキシシランのオリゴ
マーおよびテトラエトキシシランのオリゴマーと微粉末
シリカとの混合物等が好適である。また、これらのケイ
素源は高純度の物質が用いられ、初期の不純物含有量が
20ppm以下であることが好ましく、5ppm以下で
あることがさらに好ましい。
【0037】前記加熱により炭素を生成する有機化合物
を含む炭素源(以下、単に「炭素源」と称する。)とし
ては、液状のもののほか、液状のものと固体のものとを
併用することができ、かつ残炭率が高いうえ、触媒若し
くは加熱により重合または架橋する有機化合物、例え
ば、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウ
レタン、ポリビニルアルコール等の樹脂のモノマーやプ
レポリマーの他、セルロース、蔗糖、ピッチ、タール等
の液状物が挙げられ、中でも、特にレゾール型フェノー
ル樹脂が好ましい。上記のような炭素源は、単独で用い
てもよいし、2以上併用してもよい。また、その純度は
目的により適宜制御選択する必要があるが、特に高純度
の炭化ケイ素粉末を調製する場合には、各金属を5pp
m以上含有していない有機化合物を用いることが望まし
い。
【0038】高純度の炭化ケイ素粉末の製造に用いられ
る重合および架橋触媒としては、炭素源に応じて適宜選
択でき、炭素源がフェノール樹脂やフラン樹脂の場合、
トルエンスルホン酸、トルエンカルボン酸、酢酸、シュ
ウ酸、硫酸等の酸類が挙げられる。これらの中でも、ト
ルエンスルホン酸が好適に用いられる。
【0039】高純度炭化ケイ素粉末を製造する工程にお
ける、炭素とケイ素の比(以下、「C/Si比」と略記
する。)は、混合物を1000℃にて炭化して得られる
炭化物中間体を、元素分析することにより定義される。
即ち、化学量論的には、C/Si比が3.0の時に生成
炭化ケイ素中の遊離炭素が0%となるはずであるが、実
際には同時に生成するSiOガスの揮散により低C/S
i比において遊離炭素が発生する。この生成炭化ケイ素
粉末中の遊離炭素量が焼結体等の製造用途に適当でない
量にならないように予め配合を決定することが重要であ
る。通常、1気圧近傍で1600℃以上での焼成では、
C/Si比を2.0〜2.5にすると遊離炭素を抑制す
ることができ、この範囲を好適に用いることができる。
C/Si比を2.5以上にすると遊離炭素が顕著に増加
するが、この遊離炭素は粒成長を抑制する効果を持つた
め、粒子形成の目的に応じて適宜選択してもよい。但
し、雰囲気の圧力を低圧又は高圧で焼成する場合は、純
粋な炭化ケイ素を得るためのC/Si比は変動するの
で、この場合は必ずしも前記C/Si比の範囲に限定す
るものではない。
【0040】上記ケイ素源と加熱により炭素を生成する
有機化合物を含む炭素源とを、溶媒中に溶解し、乾燥し
て粉末を得るために、ケイ素源と有機化合物を含む炭素
源との混合物を硬化して粉末とすることも必要に応じて
行われる。硬化の方法としては、加熱により架橋する方
法、硬化触媒により硬化する方法、電子線や放射線によ
る方法が挙げられる。硬化触媒としては、炭素源に応じ
て適宜選択できるが、フェノール樹脂やフラン樹脂の場
合には、トルエンスルホン酸、トルエンカルボン酸、酢
酸、シュウ酸、塩酸、硫酸、マレイン酸等の酸類、ヘキ
サミン等のアミン類等を用いる。これらの混合触媒は、
溶媒中に溶解または分散して混合する。溶媒としては、
低級アルコール(例えば、エチルアルコール等)、エチ
ルエーテル、アセトン等が挙げられる。
【0041】ケイ素源と加熱により炭素を生成する有機
化合物を含む炭素源とを、溶媒中に溶解し、乾燥した粉
末は、その後加熱炭化される。この場合、窒素またはア
ルゴン等の非酸化性雰囲気中の800℃〜1000℃下
で30分〜120分間、上記粉末を加熱することにより
行われる。
【0042】さらに、この炭化物をアルゴン等の非酸化
性雰囲気中1350℃〜2000℃で加熱処理すること
により炭化ケイ素が生成する。焼成温度と時間は、粒径
等の希望する特性に応じて適宜選択できるが、より効率
的に生成するには1600℃〜1900℃での焼成が望
ましい。また、より高純度の炭化ケイ素粉末を必要とす
る時には、前述の焼成の際に2000〜2100℃下で
5〜20分間加熱処理を施すことにより不純物をさらに
除去することができる。
【0043】さらに高純度の炭化ケイ素粉末を得る方法
としては、本願出願人が先に出願した特開平9−486
05号公報中の単結晶の製造方法に記載の原料粉末の製
造方法を挙げることができる。即ち、高純度のテトラア
ルコキシシラン、テトラアルコキシシラン重合体から選
択される1種以上をケイ素源とし、加熱により炭素を生
成する高純度有機化合物を炭素源とし、これらを均質に
混合して得られた混合物を非酸化性雰囲気下において加
熱、焼成して炭化ケイ素粉末を得る炭化ケイ素生成工程
と、得られた炭化ケイ素粉末を1700℃以上2000
℃未満の温度に保持し、該温度の保持中に少なくとも1
回2000℃〜2100℃の温度下で5〜20分間加熱
処理を行う後処理工程と、からなる製造方法により、各
不純物元素の含有量が0.5ppm以下である炭化ケイ
素粉末を得ること、を特徴とする高純度炭化ケイ素粉末
の製造方法等を利用することができる。このようにして
得られた炭化ケイ素粉末は大きさが不均一であるため、
解粉、分級により前記粒度に適合するように処理する。
【0044】炭化ケイ素粉末を製造する工程において、
窒素を導入する場合には、先ずケイ素源と、炭素源と、
窒素源からなる有機物質と、重合又は架橋触媒と、を均
質に混合する必要があるが、前述の如くフェノール樹脂
等の炭素源と、ヘキサメチレンテトラミン等の窒素源か
らなる有機物質と、トルエンスルホン酸等の重合又は架
橋触媒と、をエタノール等の溶媒に溶解する場合に、テ
トラエトキシシランのオリゴマー等のケイ素源と十分に
混合するように溶解することが好ましい。
【0045】次に、セラミックス粉末からスラリーを製
造する工程について詳述する。例えば、上記のようにし
て得られたセラミックス粉末とポリビニルピロリドンと
をそれぞれ前述した使用量の範囲内で混合し、この混合
物を分散媒である有機溶媒に加える。用いる溶媒量は上
述の範囲で使用できるが、採用する成形法に応じて調節
することが好ましい。さらに、必要に応じて結合剤等を
添加することもできる。
【0046】上記より得られた混合液の混合は、ミキサ
ー、遊星ボールミル等の公知の混合機を用いて行うこと
ができる。この場合、混合時間は10〜30時間の範囲
が好ましく、特に16〜24時間の範囲で行うことがよ
り好ましい。混合時間が10時間未満であると、微粉末
なセラミックス粉末を他の成分と十分に接触させ、かつ
十分な分散性を得ることができないため好ましくない。
この攪拌混合を十分に行い均一に分散させることによ
り、グリーン体を作製したときに気孔が均一に分散され
たグリーン体を得ることができる。グリーン体とは、ス
ラリーから溶媒を除去して得られる、多くの気孔が内在
する反応焼結前のセラミックス成形体をいう。尚、金属
不純物の混入等により、得られるセラミックス顆粒体の
純度を損なわないようにするため、ボールミル容器、ボ
ール等の混合部材の材質に金属を含まない、合成樹脂等
を用いた混合機を選択することが好ましい。
【0047】上記結合剤は、セラミックス粒子同士を結
合させ、顆粒体や成形体に機械的強度や可撓性を付与す
ることが好ましく、以下のような有機バインダーが挙げ
られる。有機バインダーとしては、分散媒である有機溶
媒に可溶なポリマーやエマルジョンが好適に用いられ
る。ポリマーからなる結合剤の場合、接着剤同様の機構
でセラミックス粒子同士がその表面で結合するものであ
り、エマルジョンからなる結合剤の場合、セラミックス
粒子表面の水酸基、カルボキシル基、アミノ基またはこ
れらと類似の活性基による吸着により結合効果を生ずる
ものである。セラミック粒子同士の結合強度は、結合剤
中の分子化合物の鎖長と相関するが、通常はその配合量
により調整される。また、結合剤によっては、スラリー
の粘度に影響を与える場合もあり、結合剤の種類や添加
量を制御する必要がある。
【0048】結合剤としては、具体的に解膠剤、粉体結
合剤等が挙げられる。解膠剤としては、ポリアクリル酸
アンモニウム塩等が挙げられ、上記粉体結合剤として
は、ポリビニルアルコール、または水溶性ポリウレタン
等のウレタン樹脂等が好適に挙げられる。また、その他
消泡剤を添加してもよく、該消包剤としては、シリコー
ン消泡剤等が挙げられる。この結合剤は、スラリーの全
重量に対し、0.5〜10重量%の範囲で使用すること
が好ましい。10重量%を超えると、チクソトロピック
性が大きくなりスラリーの特性を損なうため好ましくな
い。
【0049】鋳込み型等に充填してセラミックス焼結体
を成形する場合には、調製するスラリーの粘度は14.
5ポイズ以下であることが好ましいが、ある程度の粒径
を有する顆粒体を調製するためには、0.3〜2ポイズ
の範囲にあることがより好ましい。さらに、上記ρ6
ρ30値は、上記数値範囲のいずれかの下限値または後述
の実施例で採用したρ6 /ρ30値のいずれかの値を下限
とし、上記数値範囲のいずれかの上限値または後述の実
施例で採用したρ6 /ρ30値のいずれかの値を上限とす
る数値範囲も好ましい。本発明のセラミックス粉体の成
形方法によれば、スラリー中にポリビニルピロリドンと
フェノール系化合物とを共存させることにより、スラリ
ーの粘度を低減できるうえ、その添加量または両者の使
用量比を調整することで所望の粒径の顆粒体を作製する
ことができる。
【0050】次に、調製したスラリーを鋳込み型に充填
し、グリーン体を製造する工程について説明する。調製
したスラリーを型に流し込み成形する成形方法では、一
般に、鋳型を用いた鋳込み成形が好適に用いられる。こ
の場合、スラリーを鋳型に流し込み、放置してセラミッ
クス粉からなる鋳込み体を形成し、脱型した後、50〜
60℃の温度条件下で加熱乾燥または自然乾燥して溶媒
を除去することにより、気孔を有する規定寸法のグリー
ン体を得ることができる。ここで、流し込むスラリーの
セラミックス粉の固形分濃度を高めることにより、高密
度でグリーン体を製造することができる。
【0051】一般に、上記のセラミックス粉からなる鋳
込み体は、鋳型面から厚み方向に向かってセラミックス
紛の密度が低下するといった密度分布を有する傾向にあ
るが、前記のようにして得られる本発明に係る、セラミ
ックス粉の固体分濃度が高く、分散性に優れたスラリー
を使用することにより、グリーン体の厚み方向でのセラ
ミックス粉の密度分布を抑制することができ、かつ均一
径の気孔をグリーン体の構造全体に形成することができ
る。即ち、後述のセラミックス焼結体を製造する段階
で、溶融高純度金属シリコンをグリーン体の気孔中に均
一に吸い込ませるのに十分な気孔率を確保しながら、グ
リーン体自体の高密度化を図ることもできる。従って、
均質に構造化されたグリーン体の形成が可能となり、保
形性の高いグリーン体を製造することができる。
【0052】グリーン体からセラミックス焼結体を製造
する工程について説明する。上記工程を経て製造された
グリーン体を、真空雰囲気または不活性ガス雰囲気の下
で、高純度金属シリコンの融点以上、具体的には145
0〜1700℃に加熱し溶融した高純度金属シリコンと
接触、或いは浸漬させる。グリーン体を溶融した金属シ
リコーンに接触、或いは浸漬させることにより、液状に
なった金属シリコンが毛細管現象によりグリーン体中に
形成された気孔内に浸透し、この金属シリコンとグリー
ン体中の遊離炭素とが反応して焼結する。この反応によ
り炭化ケイ素が生成し、グリーン体中の気孔が生成され
た炭化ケイ素によって充填される。金属シリコンと遊離
炭素との焼結反応は、セラミックス粉末を製造する工程
で示したように1420〜2000℃程度で起こるの
で、1450〜1700℃迄加熱された溶融高純度金属
シリコンが、グリーン体中に浸透した段階で遊離炭素と
の反応が進行する。また、グリーン体を溶融金属シリコ
ンに接触、或いは浸漬する時間としては、特に限定され
るものではなく、大きさやグリーン体中の遊離炭素の量
により適宜決定する。
【0053】グリーン体を溶融金属シリコンに接触、浸
漬する場合、高純度金属シリコンは1450〜1700
℃の範囲に加熱し溶融させることが好ましく、1550
〜1650℃の範囲に加熱して溶融させることがより好
ましい。溶融温度が1450℃未満では、高純度金属シ
リコンの粘性が上昇するため毛細管現象によるグリーン
体への浸透性が悪くなり、1700℃を超えると、蒸発
が著しくなり炉体等に損傷を与えてしまうことになり好
ましくない。
【0054】高純度金属シリコンとしては、粉末、顆
粒、塊状の金属シリコンが等が挙げられ、2〜5mmの
塊状の金属シリコンが好適に用いられる。本発明におい
て、高純度とは、不純物の含有量が1ppm未満のもの
を意味する。
【0055】上記のように窒素を含有したグリーン体中
に含まれる遊離炭素と金属シリコンとを反応させて、生
成した炭化ケイ素がグリーン体中の気孔を埋めることに
より、良好な導電性を有するとともに、高密度で高強度
なセラミックス焼結体を得ることができる。従って、上
述のような気孔とセラミックス粉とが均一に構造化され
たグリーン体を用いることが強度、導電性をより向上し
うる点で好ましい。
【0056】上記反応焼結法において、用いる製造装置
は前記した加熱条件等を満たしうるものであれば特に制
限されるものではなく、公知の加熱炉内や反応装置を使
用することができる。
【0057】本発明のセラミックス焼結体は、使用目的
に応じて、加工、研磨、洗浄等の処理工程を設けること
ができる。本発明の製造方法で得られたセラミックス焼
結体は、放電加工により半導体製造部品、電子情報機器
用部品等をはじめとする種々の製品に供することができ
る。
【0058】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらによって制限されるものではな
い。
【0059】<スラリーの調製> (実施例1〜3および比較例1)平均粒径1.2μmの
高純度炭化ケイ素粉末(特開平9−48605号に記載
の製造方法に準じて製造された不純物含有量5ppm以
下の炭化ケイ素:1.5重量%のシリカを含有)130
0g、炭素源であるフェノール樹脂(商品名:SKライ
トSR101,住友金属化学工業(株)製)211.6
g、エタノール1800gおよび水を混合し、この混合
液中に重合度360のポリビニルピロリドン(PVP)
46.8gと、下記表1に示す割合のヒドロキノンと、
を添加し、樹脂製ボールミル(中央化工機(株)製)で
8時間攪拌し、スラリーA〜CおよびDを得た。
【0060】
【表1】
【0061】<粘度の測定およびチクソトロピック指数
の導出>得られたスラリーA〜Dの粘度をB型粘度計
(ビスメトロンVSA1,芝浦システム(株)製)によ
り温度25℃の下、ローター回転数12rpmで粘度を
測定した。さらに、ローター回転数6rpm、30rp
mで測定して得られた粘度(ρ6 、ρ30)からチクソト
ロピック指数(ρ6 /ρ30)を算出した。測定結果を下
記表2に示す。
【0062】<グリーン体の形成>上記スラリ−A〜D
を、長さ100mm、幅50mm、厚み5mmの石膏モ
ールドにそれぞれ鋳込み、24時間自然乾燥(22℃)
させて、遊離炭素を有するグリーン体A〜CおよびDを
作製した。
【0063】<炭化ケイ素焼結体の成形>次に、上記グ
リーン体A〜Dを内径200mm、高さ80mmの黒鉛
製のるつぼ内で、アルゴン雰囲気下で1550℃まで昇
温して溶融させた高純度金属シリコン粉末(高純度化学
研究所製)に接触させて30分保持することにより、グ
リーン体の遊離炭素と毛細管現象によりグリーン体中に
浸透した溶融金属シリコンとを反応させ、生成した炭化
ケイ素によりグリーン体中の気孔の充填された、本発明
のセラミックス焼結体の成形方法に係る炭化ケイ素焼結
体A〜Cおよび炭化ケイ素焼結体Dを作製した。
【0064】<アルキメデス法による密度、気孔率の測
定法>上記より得られた炭化ケイ素焼結体A〜Dの密
度、気孔率をJIS R1634に従って測定した。測
定結果を下記表2および表3に示す。
【0065】<3点曲げ試験>上記より得られた炭化ケ
イ素焼結体A〜Dの3点曲げ試験を、JIS R160
1に従って行った。測定結果を下記表3に示す。
【0066】<4端子法による体積抵抗率の測定法>上
記より得られた炭化ケイ素焼結体A〜Dの4端子法によ
る体積抵抗率を、ロレスターAp(三菱化学(株)製)
を用いて測定した。尚、測定条件はピン間隔を1mmと
し、長さ60mm、幅15mm、厚み3mmのサンプル
サイズにて行った。測定結果を下記表3に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】表2および表3より明らかなように、分散
質としてポリビニルピロリドンを用い、かつフェノール
系化合物を併用して調製した実施例1〜3では、低粘度
で、チクソトロピック指数の低いスラリーA〜Cを形成
することができた。また、これらのスラリーA〜Cを用
いることにより、気孔率を十分に確保しながら、高い密
度を有する、即ち、気孔とセラミックス粉とが均一に構
造化された保形性の高いグリーン体A〜Cを形成するこ
とができ、これらのグリーン体を溶融金属シリコンと焼
結することにより、残存気孔が少なく高密度であるとと
もに、均質で強度、導電性に優れたセラミックス焼結体
を成形することができた。
【0070】一方、上記フェノール系化合物を併用しな
かった比較例1では、粘度、チクソトロピック指数を十
分に低下させることができなかった。また、比較例1の
スラリーDを用いて成形した炭化ケイ素焼結体は、炭化
ケイ素焼結体の気孔率、即ち、残存気孔率が高く、密度
も低いうえ、強度、導電性の向上を図ることはできなか
った。
【0071】
【発明の効果】本発明のセラミックス焼結体の成形方法
によれば、スラリーの低粘度化を図ることができるた
め、セラミックス粉体の固形分濃度が高く、分散性に優
れたスラリーを調製することができる。さらに、このス
ラリーを用いることにより気孔とセラミックス粉とが均
一に構造化された保形性に優るグリーン体を形成するこ
とができ、均質かつ高密度の、強度および導電性に優れ
たセラミックス焼結体を成形することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス焼結体の成形方法におい
    て、少なくとも、 セラミックス粉末、ポリビニルピロリドン、フェノール
    系化合物および有機溶剤を含有するスラリーを調製する
    工程と、 該スラリーを鋳込み型に充填し、固化させてグリーン体
    を得る工程と、を有することを特徴とするセラミックス
    焼結体の成形方法。
  2. 【請求項2】 前記フェノール系化合物が、フェノール
    またはヒドロキノンであることを特徴とする請求項1に
    記載のセラミックス焼結体の成形方法。
  3. 【請求項3】 前記フェノール系化合物が、スラリー全
    重量に対し2〜10重量%含有されていることを特徴と
    する請求項1または2に記載のセラミックス焼結体の成
    形方法。
  4. 【請求項4】 前記ポリビニルピロリドンが、重合度n
    =50〜2000の範囲のポリビニルピロリドンである
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載
    のセラミックス焼結体の成形方法。
  5. 【請求項5】 前記スラリーが、粘度14.5ポイズ以
    下、および/または、チクソトロピック指数1.5〜
    5.0の範囲にあるスラリーであることを特徴とする請
    求項1ないし4のいずれか1に記載のセラミックス焼結
    体の成形方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040023039A (ko) * 2002-09-10 2004-03-18 한국과학기술연구원 분무건조용 세라믹 분말 슬러리 및 그 제조방법

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