JP2000158208A - 硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発揮する表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具 - Google Patents
硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発揮する表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具Info
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- JP2000158208A JP2000158208A JP34130598A JP34130598A JP2000158208A JP 2000158208 A JP2000158208 A JP 2000158208A JP 34130598 A JP34130598 A JP 34130598A JP 34130598 A JP34130598 A JP 34130598A JP 2000158208 A JP2000158208 A JP 2000158208A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発揮する表
面被覆超硬合金製切削工具を提供する。 【解決手段】 表面被覆超硬合金製切削工具が、炭化タ
ングステン基超硬合金基体の表面に、(a)いずれも
0.1〜5μmの平均層厚および粒状結晶組織を有す
る、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、T
iNO層、およびTiCNO層のうちの1種または2種
以上からなるTi化合物層と、(b)2〜15μmの平
均層厚および縦長成長結晶組織を有するTiCN層と、
(c)0.5〜10μmの平均層厚および粒状結晶組織
を有するAl2 O3 層と、(d)2〜10μmの平均層
厚および縦長成長結晶組織を有するTiN層、以上
(a)〜(d)で構成された硬質被覆層を5〜25μm
の全体平均層厚で化学蒸着および/または物理蒸着して
なる。
面被覆超硬合金製切削工具を提供する。 【解決手段】 表面被覆超硬合金製切削工具が、炭化タ
ングステン基超硬合金基体の表面に、(a)いずれも
0.1〜5μmの平均層厚および粒状結晶組織を有す
る、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、T
iNO層、およびTiCNO層のうちの1種または2種
以上からなるTi化合物層と、(b)2〜15μmの平
均層厚および縦長成長結晶組織を有するTiCN層と、
(c)0.5〜10μmの平均層厚および粒状結晶組織
を有するAl2 O3 層と、(d)2〜10μmの平均層
厚および縦長成長結晶組織を有するTiN層、以上
(a)〜(d)で構成された硬質被覆層を5〜25μm
の全体平均層厚で化学蒸着および/または物理蒸着して
なる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、縦長成長結晶組
織を有する窒化チタン(以下、l−TiNで示す)層を
硬質被覆層の構成層とすることにより断続切削を高切り
込みや高送りなどの重切削条件で行っても切刃に欠けや
チッピング(微小欠け)などの発生なく、すぐれた耐欠
損性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具(以下、被
覆超硬工具という)に関するものである。
織を有する窒化チタン(以下、l−TiNで示す)層を
硬質被覆層の構成層とすることにより断続切削を高切り
込みや高送りなどの重切削条件で行っても切刃に欠けや
チッピング(微小欠け)などの発生なく、すぐれた耐欠
損性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具(以下、被
覆超硬工具という)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般に、炭化タングステン基超硬
合金基体(以下、超硬基体という)の表面に、(a)
いずれも0.1〜5μmの平均層厚および粒状結晶組織
を有する、炭化チタン(以下、TiCで示す)層、窒化
チタン(以下、同じくTiNで示す)層、炭窒化チタン
(以下、TiCNで示す)層、炭酸化チタン(以下、T
iCOで示す)層、窒酸化チタン(以下、TiNOで示
す)層、および炭窒酸化チタン(以下、TiCNOで示
す)層のうちの1種または2種以上からなるTi化合物
層と、(b) 2〜15μmの平均層厚および縦長成長
結晶組織を有する炭窒化チタン(以下、l−TiCNで
示す)層と、(c) 0.5〜10μmの平均層厚およ
び粒状結晶組織を有する酸化アルミニウム(以下、Al
2 O3 で示す)層と、で構成された硬質被覆層を5〜2
5μmの全体平均層厚で化学蒸着および/または物理蒸
着してなる被覆超硬工具が知られており、またこの被覆
超硬工具が鋼や鋳鉄などの連続切削や断続切削に用いら
れることも知られている。また、一般に上記の被覆超硬
工具の硬質被覆層を構成するAl2 O3 層として、α型
結晶構造をもつものやκ型結晶構造をもつものなどが広
く実用に供されることも良く知られており、さらに上記
l−TiCN層は、例えば特開平6−8010号公報や
特開平7−328808号公報などにより公知であり、
通常の化学蒸着装置にて、反応ガスとして有機炭窒化物
を含む混合ガスを使用し、700〜950℃の中温温度
域で化学蒸着することにより形成されるものである。
合金基体(以下、超硬基体という)の表面に、(a)
いずれも0.1〜5μmの平均層厚および粒状結晶組織
を有する、炭化チタン(以下、TiCで示す)層、窒化
チタン(以下、同じくTiNで示す)層、炭窒化チタン
(以下、TiCNで示す)層、炭酸化チタン(以下、T
iCOで示す)層、窒酸化チタン(以下、TiNOで示
す)層、および炭窒酸化チタン(以下、TiCNOで示
す)層のうちの1種または2種以上からなるTi化合物
層と、(b) 2〜15μmの平均層厚および縦長成長
結晶組織を有する炭窒化チタン(以下、l−TiCNで
示す)層と、(c) 0.5〜10μmの平均層厚およ
び粒状結晶組織を有する酸化アルミニウム(以下、Al
2 O3 で示す)層と、で構成された硬質被覆層を5〜2
5μmの全体平均層厚で化学蒸着および/または物理蒸
着してなる被覆超硬工具が知られており、またこの被覆
超硬工具が鋼や鋳鉄などの連続切削や断続切削に用いら
れることも知られている。また、一般に上記の被覆超硬
工具の硬質被覆層を構成するAl2 O3 層として、α型
結晶構造をもつものやκ型結晶構造をもつものなどが広
く実用に供されることも良く知られており、さらに上記
l−TiCN層は、例えば特開平6−8010号公報や
特開平7−328808号公報などにより公知であり、
通常の化学蒸着装置にて、反応ガスとして有機炭窒化物
を含む混合ガスを使用し、700〜950℃の中温温度
域で化学蒸着することにより形成されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の切削加工
に対する省力化および省エネ化の要求は強く、これに伴
い、切削加工は、例えば切削条件のうちの切り込みや送
りを高くして切削能率を向上させる重切削化の傾向にあ
るが、上記の従来被覆超硬工具を重切削条件で用いる
と、特に断続切削において硬質被覆層の靭性不足が原因
で切刃に欠けやチッピングなどが発生し易く、比較的短
時間で使用寿命に至るものである。
に対する省力化および省エネ化の要求は強く、これに伴
い、切削加工は、例えば切削条件のうちの切り込みや送
りを高くして切削能率を向上させる重切削化の傾向にあ
るが、上記の従来被覆超硬工具を重切削条件で用いる
と、特に断続切削において硬質被覆層の靭性不足が原因
で切刃に欠けやチッピングなどが発生し易く、比較的短
時間で使用寿命に至るものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、上記の従来被覆超硬工具の硬質
被覆層に着目し、これの一層の耐欠損性向上を図るべく
研究を行った結果、上記の従来被覆超硬工具の硬質被覆
層に、さらにl−TiN層、すなわち上記のl−TiC
N層と破面組織およぞ光学顕微鏡組織が実質的に同じT
iN層を構成層として加えると、このl−TiN層は、
縦長成長結晶組織により粒状結晶組織のものより一段と
すぐれた靭性を具備するので、この結果の被覆超硬工具
は、断続切削を重切削条件で行っても前記l−TiN層
によって硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発揮するよう
になることから、切刃に欠けやチッピングなどの発生も
なく、すぐれた切削性能を長期に亘って発揮するという
研究結果を得たのである。
上述のような観点から、上記の従来被覆超硬工具の硬質
被覆層に着目し、これの一層の耐欠損性向上を図るべく
研究を行った結果、上記の従来被覆超硬工具の硬質被覆
層に、さらにl−TiN層、すなわち上記のl−TiC
N層と破面組織およぞ光学顕微鏡組織が実質的に同じT
iN層を構成層として加えると、このl−TiN層は、
縦長成長結晶組織により粒状結晶組織のものより一段と
すぐれた靭性を具備するので、この結果の被覆超硬工具
は、断続切削を重切削条件で行っても前記l−TiN層
によって硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発揮するよう
になることから、切刃に欠けやチッピングなどの発生も
なく、すぐれた切削性能を長期に亘って発揮するという
研究結果を得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果に基づいてな
されたものであって、超硬基体の表面に、(a) いず
れも0.1〜5μmの平均層厚および粒状結晶組織を有
する、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、
TiNO層、およびTiCNO層のうちの1種または2
種以上からなるTi化合物層と、(b) 2〜15μm
の平均層厚のl−TiCN層と、(c) 0.5〜10
μmの平均層厚および粒状結晶組織を有するAl2 O3
層と、(d) 2〜10μmの平均層厚のl−TiN層
と、で構成された硬質被覆層を5〜25μmの全体平均
層厚で化学蒸着および/または物理蒸着してなる、硬質
被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する被覆超硬工具に特
徴を有するものである。
されたものであって、超硬基体の表面に、(a) いず
れも0.1〜5μmの平均層厚および粒状結晶組織を有
する、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、
TiNO層、およびTiCNO層のうちの1種または2
種以上からなるTi化合物層と、(b) 2〜15μm
の平均層厚のl−TiCN層と、(c) 0.5〜10
μmの平均層厚および粒状結晶組織を有するAl2 O3
層と、(d) 2〜10μmの平均層厚のl−TiN層
と、で構成された硬質被覆層を5〜25μmの全体平均
層厚で化学蒸着および/または物理蒸着してなる、硬質
被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する被覆超硬工具に特
徴を有するものである。
【0006】なお、この発明の被覆超硬工具の硬質被覆
層を構成するl−TiN層は、反応ガス組成:容量%
で、TiCl4 :0.2〜1%、N2 :5〜10%、H
2 :残り、 反応雰囲気温度:1000〜1100℃、 反応雰囲気圧力:400〜600Torr、 の条件で形成することができるが、粒状結晶組織のTi
N層の形成条件が、反応ガス組成:容量%で、TiCl
4 :2〜10%、N2 :20〜40%、H 2 :残り、 反応雰囲気温度:900〜1050℃、 反応雰囲気圧力:50〜300Torr、 であるから、その形成条件は、粒状結晶組織のTiN層
のそれに比して、反応ガスにおけるTiN形成成分の濃
度が相対的に低く、反応雰囲気圧力が高い条件となる。
層を構成するl−TiN層は、反応ガス組成:容量%
で、TiCl4 :0.2〜1%、N2 :5〜10%、H
2 :残り、 反応雰囲気温度:1000〜1100℃、 反応雰囲気圧力:400〜600Torr、 の条件で形成することができるが、粒状結晶組織のTi
N層の形成条件が、反応ガス組成:容量%で、TiCl
4 :2〜10%、N2 :20〜40%、H 2 :残り、 反応雰囲気温度:900〜1050℃、 反応雰囲気圧力:50〜300Torr、 であるから、その形成条件は、粒状結晶組織のTiN層
のそれに比して、反応ガスにおけるTiN形成成分の濃
度が相対的に低く、反応雰囲気圧力が高い条件となる。
【0007】さらに、この発明の被覆超硬工具の硬質被
覆層における構成層の平均層厚は以下の理由により定め
たものである。すなわち、Ti化合物層のそれぞれに
は、共通する性質として構成層相互間の層間密着性を向
上させる作用があり、したがってその平均層厚が0.1
μm未満では、所望のすぐれた層間密着性を確保するこ
とができず、一方その平均層厚が5μmを越えると、切
刃に欠けやチッピングが発生し易くなることから、その
平均層厚を0.1〜5μmと定めた。また、Al2 O3
層には、硬質被覆層の耐摩耗性を向上させる作用がある
が、その平均層厚が0.5μm未満では、所望のすぐれ
た耐摩耗性を確保することができず、一方その平均層厚
が10μmを越えると切刃にチッピングが発生し易くな
ることから、その平均層厚を0.5〜10μmと定め
た。さらに、l−TiCN層には、自身のもつ高靭性に
よって硬質被覆層の耐欠損性を一段と向上させる作用が
あるが、その平均層厚が2μm未満では、耐欠損性に所
望の向上効果が得られず、一方その平均層厚が15μm
を越えると耐摩耗性が急激に低下するようになることか
ら、その平均層厚を2〜15μmと定めた。さらに、ま
たl−TiN層には、上記の通り自身のもつ高靭性によ
って硬質被覆層の耐欠損性を向上させ、もって被覆超硬
工具を断続切削を重切削条件で行うのに用いても切刃に
欠けやチッピングの発生するのを抑制する作用がある
が、その平均層厚が2μm未満では、前記作用に所望の
向上効果が得られず、一方その平均層厚が10μmを越
えると、摩耗の進行が急激に促進されるようになること
から、その平均層厚を2〜10μmと定めた。また、硬
質被覆層の全体平均層厚を5〜25μmとしたのは、そ
の平均層厚が5μm未満では、所望の耐摩耗性を確保す
ることができず、一方その平均層厚が25μmを越える
と、切刃に欠けやチッピングが発生し易くなるという理
由からである。
覆層における構成層の平均層厚は以下の理由により定め
たものである。すなわち、Ti化合物層のそれぞれに
は、共通する性質として構成層相互間の層間密着性を向
上させる作用があり、したがってその平均層厚が0.1
μm未満では、所望のすぐれた層間密着性を確保するこ
とができず、一方その平均層厚が5μmを越えると、切
刃に欠けやチッピングが発生し易くなることから、その
平均層厚を0.1〜5μmと定めた。また、Al2 O3
層には、硬質被覆層の耐摩耗性を向上させる作用がある
が、その平均層厚が0.5μm未満では、所望のすぐれ
た耐摩耗性を確保することができず、一方その平均層厚
が10μmを越えると切刃にチッピングが発生し易くな
ることから、その平均層厚を0.5〜10μmと定め
た。さらに、l−TiCN層には、自身のもつ高靭性に
よって硬質被覆層の耐欠損性を一段と向上させる作用が
あるが、その平均層厚が2μm未満では、耐欠損性に所
望の向上効果が得られず、一方その平均層厚が15μm
を越えると耐摩耗性が急激に低下するようになることか
ら、その平均層厚を2〜15μmと定めた。さらに、ま
たl−TiN層には、上記の通り自身のもつ高靭性によ
って硬質被覆層の耐欠損性を向上させ、もって被覆超硬
工具を断続切削を重切削条件で行うのに用いても切刃に
欠けやチッピングの発生するのを抑制する作用がある
が、その平均層厚が2μm未満では、前記作用に所望の
向上効果が得られず、一方その平均層厚が10μmを越
えると、摩耗の進行が急激に促進されるようになること
から、その平均層厚を2〜10μmと定めた。また、硬
質被覆層の全体平均層厚を5〜25μmとしたのは、そ
の平均層厚が5μm未満では、所望の耐摩耗性を確保す
ることができず、一方その平均層厚が25μmを越える
と、切刃に欠けやチッピングが発生し易くなるという理
由からである。
【0008】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の被覆超硬工具
を実施例により具体的に説明する。原料粉末として、い
ずれも0.5〜5μmの平均粒径を有する、WC粉末、
(Ti,W)C(重量比で、以下同じ、TiC/WC=
50/50)粉末、(Ti,W)CN(重量比で、以下
同じ、TiC/TiN/WC=24/20/56)粉
末、(Ta,Nb)C(TaC/NbC=90/10)
粉末、Cr3 C2 粉末、およびCo粉末を用意し、これ
ら原料粉末を表1に示される配合組成に配合し、ボール
ミルで72時間湿式混合し、乾燥した後、この混合粉末
をISO規格SCNMG120408に則した形状の圧
粉体にプレス成形し、この圧粉体を10 -2torrの真
空雰囲気中、1350〜1500℃の範囲内の所定の温
度に1時間保持の条件で真空焼結することにより超硬基
体A〜Eをそれぞれ製造した。なお、上記超硬基体A〜
Cには、焼結したままで、表面部にいずれも表面から約
20μmの深さに亘って結合相形成成分であるCoの濃
度が超硬基体内部に比して相対的に高いCo富化層(強
靭層)が形成されており、残りの超硬基体D、Eには前
記Co富化層の形成はなく、全体的に均一な組織をもつ
ものであった。
を実施例により具体的に説明する。原料粉末として、い
ずれも0.5〜5μmの平均粒径を有する、WC粉末、
(Ti,W)C(重量比で、以下同じ、TiC/WC=
50/50)粉末、(Ti,W)CN(重量比で、以下
同じ、TiC/TiN/WC=24/20/56)粉
末、(Ta,Nb)C(TaC/NbC=90/10)
粉末、Cr3 C2 粉末、およびCo粉末を用意し、これ
ら原料粉末を表1に示される配合組成に配合し、ボール
ミルで72時間湿式混合し、乾燥した後、この混合粉末
をISO規格SCNMG120408に則した形状の圧
粉体にプレス成形し、この圧粉体を10 -2torrの真
空雰囲気中、1350〜1500℃の範囲内の所定の温
度に1時間保持の条件で真空焼結することにより超硬基
体A〜Eをそれぞれ製造した。なお、上記超硬基体A〜
Cには、焼結したままで、表面部にいずれも表面から約
20μmの深さに亘って結合相形成成分であるCoの濃
度が超硬基体内部に比して相対的に高いCo富化層(強
靭層)が形成されており、残りの超硬基体D、Eには前
記Co富化層の形成はなく、全体的に均一な組織をもつ
ものであった。
【0009】ついで、これらの超硬基体A〜Eの表面
に、ホーニング加工を施した状態で、通常の化学蒸着装
置を用い、表2に示される条件にて、表3、4に示され
る組成および目標層厚(切刃の逃げ面)の硬質被覆層を
形成することにより硬質被覆層がl−TiN層を構成層
とした本発明被覆超硬工具1〜10、および前記l−T
iN層の存在しない従来被覆超硬工具1〜10をそれぞ
れ製造した。なお、この結果得られた各種の被覆超硬工
具について、硬質被覆層の構成層の層厚を光学顕微鏡を
用いて測定したところ、いずれも表3、4に示される目
標層厚と実質的に同じ平均層厚を示した。
に、ホーニング加工を施した状態で、通常の化学蒸着装
置を用い、表2に示される条件にて、表3、4に示され
る組成および目標層厚(切刃の逃げ面)の硬質被覆層を
形成することにより硬質被覆層がl−TiN層を構成層
とした本発明被覆超硬工具1〜10、および前記l−T
iN層の存在しない従来被覆超硬工具1〜10をそれぞ
れ製造した。なお、この結果得られた各種の被覆超硬工
具について、硬質被覆層の構成層の層厚を光学顕微鏡を
用いて測定したところ、いずれも表3、4に示される目
標層厚と実質的に同じ平均層厚を示した。
【0010】つぎに、上記本発明被覆超硬工具1〜10
および従来被覆超硬工具1〜10について、 被削材:JIS・SCM440の長さ方向等間隔4本縦
溝入り丸棒、 切削速度:100m/min.、 切り込み:5.0mm、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:15分、 の条件での合金鋼の乾式高切り込み断続切削試験、並び
に、 被削材:JIS・SCM439の長さ方向等間隔4本縦
溝入り丸棒、 切削速度:100m/min.、 切り込み:2.5mm、 送り:0.45mm/rev.、 切削時間:15分、 の条件での合金鋼の乾式高送り断続切削試験を行い、い
ずれの切削試験でも切刃の最大逃げ面摩耗幅を測定し
た。この測定結果を表5に示した。
および従来被覆超硬工具1〜10について、 被削材:JIS・SCM440の長さ方向等間隔4本縦
溝入り丸棒、 切削速度:100m/min.、 切り込み:5.0mm、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:15分、 の条件での合金鋼の乾式高切り込み断続切削試験、並び
に、 被削材:JIS・SCM439の長さ方向等間隔4本縦
溝入り丸棒、 切削速度:100m/min.、 切り込み:2.5mm、 送り:0.45mm/rev.、 切削時間:15分、 の条件での合金鋼の乾式高送り断続切削試験を行い、い
ずれの切削試験でも切刃の最大逃げ面摩耗幅を測定し
た。この測定結果を表5に示した。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【表3】
【0014】
【表4】
【0015】
【表5】
【0016】
【発明の効果】表3〜5に示される結果から、硬質被覆
層中に構成層としてl−TiN層が存在する本発明被覆
超硬工具1〜10は、いずれも前記l−TiN層によっ
て硬質被覆層が高靭性を具備するようになることから、
耐欠損性が要求される重切削条件での断続切削でも切刃
に欠けやチッピングの発生なく、すぐれた耐摩耗性を発
揮するのに対して、硬質被覆層に前記l−TiN層が存
在しない従来被覆超硬工具1〜10においては、重切削
条件での断続切削ではいずれも硬質被覆層の靭性不足が
原因で切刃に欠けやチッピングが発生し、比較的短時間
で使用寿命に至ることが明らかである。上述のように、
この発明の被覆超硬工具は、例えば鋼や鋳鉄などの通常
の条件での連続切削や断続切削は勿論のこと、特に断続
切削を重切削条件で行った場合にもすぐれた耐欠損性を
発揮し、すぐれた切削性能を長期に亘って発揮するもの
であるから、切削加工の省力化および省エネ化に十分満
足に対応できるものである。
層中に構成層としてl−TiN層が存在する本発明被覆
超硬工具1〜10は、いずれも前記l−TiN層によっ
て硬質被覆層が高靭性を具備するようになることから、
耐欠損性が要求される重切削条件での断続切削でも切刃
に欠けやチッピングの発生なく、すぐれた耐摩耗性を発
揮するのに対して、硬質被覆層に前記l−TiN層が存
在しない従来被覆超硬工具1〜10においては、重切削
条件での断続切削ではいずれも硬質被覆層の靭性不足が
原因で切刃に欠けやチッピングが発生し、比較的短時間
で使用寿命に至ることが明らかである。上述のように、
この発明の被覆超硬工具は、例えば鋼や鋳鉄などの通常
の条件での連続切削や断続切削は勿論のこと、特に断続
切削を重切削条件で行った場合にもすぐれた耐欠損性を
発揮し、すぐれた切削性能を長期に亘って発揮するもの
であるから、切削加工の省力化および省エネ化に十分満
足に対応できるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河野 和弘 茨城県結城郡石下町大字古間木1511番地 三菱マテリアル株式会社筑波製作所内 Fターム(参考) 3C046 FF03 FF10 FF19 FF22 FF25 FF32 FF52 4K044 AA09 AB08 BA12 BA13 BA18 BB01 BB02 BC01 CA13 CA14
Claims (1)
- 【請求項1】 炭化タングステン基超硬合金基体の表面
に、 (a) いずれも0.1〜5μmの平均層厚および粒状
結晶組織を有する、炭化チタン層、窒化チタン層、炭窒
化チタン層、炭酸化チタン層、窒酸化チタン層、および
炭窒酸化チタン層のうちの1種または2種以上からなる
Ti化合物層と、 (b) 2〜15μmの平均層厚および縦長成長結晶組
織を有する炭窒化チタン層と、 (c) 0.5〜10μmの平均層厚および粒状結晶組
織を有するを有する酸化アルミニウム層と、 (d) 2〜10μmの平均層厚および縦長成長結晶組
織を有する窒化チタン層と、で構成された硬質被覆層を
5〜25μmの全体平均層厚で化学蒸着および/または
物理蒸着してなる、硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発
揮する表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工
具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34130598A JP2000158208A (ja) | 1998-12-01 | 1998-12-01 | 硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発揮する表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP34130598A JP2000158208A (ja) | 1998-12-01 | 1998-12-01 | 硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発揮する表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具 |
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Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
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JP34130598A Pending JP2000158208A (ja) | 1998-12-01 | 1998-12-01 | 硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発揮する表面被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009233822A (ja) * | 2008-03-28 | 2009-10-15 | Mitsubishi Materials Corp | 表面被覆切削工具 |
JP2009233821A (ja) * | 2008-03-28 | 2009-10-15 | Mitsubishi Materials Corp | 表面被覆切削工具 |
-
1998
- 1998-12-01 JP JP34130598A patent/JP2000158208A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009233822A (ja) * | 2008-03-28 | 2009-10-15 | Mitsubishi Materials Corp | 表面被覆切削工具 |
JP2009233821A (ja) * | 2008-03-28 | 2009-10-15 | Mitsubishi Materials Corp | 表面被覆切削工具 |
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