JP2000157068A - 空気調節方法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な装備のもとに、室内を加湿冷房する一
方、適正な湿度維持のための除湿を行うようにした温室
に適した空気調節方法および装置を提供する。 【解決手段】 室内への必要な水分を細霧により供給し
て加湿すると共に、室内の湿潤空気中の水分を必要に応
じてガス分離膜型式の気液分離器等の除湿手段により除
去するようにし、なお加湿，除湿等に使用する共用のノ
ズルとして、加圧空気を使用して液体を霧化する空気霧
化型のノズルを採択する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】野菜，花，稲，果樹等の植物
の栽培について工場化が進みつつあるが、本発明は、そ
れら植物栽培のための園芸用温室の温度並びに湿度調節
に適した方法および装置に関するもので、主として加湿
冷房を採択する型式の空気調節方法および装置に関する
ものであり、なお、園芸用温室に限らず、加湿を必要と
する貯蔵庫，工場あるいは加湿が許容される養鶏，養
蚕，養殖等にも適用可能な空気調節方法および装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】温室において栽培するいわゆるハウス栽
培においては、植物の生育に最適な環境を与えるため、
暖房以外に冷房を施すことが行われるようになったが、
冷房については、概ね冷凍機による冷房と、噴霧器によ
り加湿して気化熱により室内を冷却する気化冷房とを適
用しており、また暖房については、そのほとんどが石油
を燃料としている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】冷房については、冷凍
機による冷房は設備コストが高価となるほか、騒音が発
生する欠点があり、気化冷房は設備コストおよび運転コ
ストが低廉であると言う利点がある反面、過湿を避けて
適度の湿度を維持するためには、窓の開閉による自然通
風あるいは換気扇による強制換気を行う必要があるが、
外気の湿度が高い場合には換気による湿度調節が不可能
であり、従って高湿度の季節が多い地域においては、気
化冷房の適用期間が限定されるばかりでなく、採算性が
低いと言う欠点があり、また石油を燃料とする暖房は、
取り扱いが不便であるばかりでなく、自動制御が煩雑で
ある。

【０００４】加湿冷房に当り、除湿装置を併用すること
が考えられるが、除湿装置として冷却による結露により
除湿する型式を採択すると、冷凍機による冷房と同様に
コスト高となるばかりでなく、加湿冷房が無意味とな
る。

【０００５】そこで本発明の目的は、室内の加湿を実施
すると同時に、その加湿により冷房を実施する一方、適
正な湿度維持のための除湿を行うようにした空気調節方
法および装置を提供することにあり、他の目的は比較的
簡単な装備のもとに加湿冷房および除湿を行うことがで
きる空気調節方法および装置を提供することにあり、更
に他の目的は、加湿冷房に加えて、石油燃料によること
なく、取り扱い並びに自動制御が容易な暖房を行うこと
ができる空気調節方法および装置を提供することにあ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、室内への必要な水分を細霧により供給して加
湿すると共に、室内の湿潤空気中の水分を必要に応じて
ガス分離膜型式の気液分離器等の除湿手段により除去す
るようにし、また暖房については、空気高速回転型熱温
風発生器等により温風を供給するようにし、なお加湿，
除湿，暖房等に使用する共用のノズルとして、加圧空気
を使用して液体を霧化する空気霧化型のノズルを採択す
る。

【０００７】冷房に際しては、室内へ細霧を供給する
と、加湿並びに灌水のほか、加湿に伴い気化熱により室
温は低下し、加湿により湿度が過剰になる場合には、過
湿空気は除湿手段により除湿されて乾燥状態の空気とな
り、室内に戻入される。除湿手段としてガス分離膜型式
の気液分離器を採択する場合は、過湿空気は気液分離器
に導入されて、気液分離器内を通過する過程において、
結露によることなく、水分が分離されて乾燥状態の空気
となり、これが室内に戻入される。

【０００８】暖房に際しては、空気高速回転型熱温風発
生器を採択した場合、可動部分を必要としない機器のも
とに、加圧空気は回転室内において超高速に回転され、
外周部と中心部との間に圧力差が生じ、この差圧による
中心部への空気の移動に基づく膨張により温度差が発生
し、中心部の冷気は外気に放出され、吐出側に熱音風が
得られ、この熱温風が室内へ供給される。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明を園芸用温室に適用
した図に例示する実施形態について詳細に説明する。

【００１０】本発明の適用対象としての園芸用温室とし
ては、例えば図１のように、温室１の内部に、粒径が数
〜１０数μｍ程度の細霧を噴霧することができる空気霧
化型のノズル２を適所に設置すると共に、これらノズル
２には、ポンプ等の加圧水供給源３から圧力レギュレー
タ４と給水用電磁開閉弁５とがある給水管路６を経て加
圧水を適時的に供給すると共に、コンプレッサ等の加圧
空気供給源７から給気用電磁開閉弁８がある給気管路９
を経て加圧空気を適時的に供給し、ノズル２から温室１
内の所望区域に噴霧される細霧により、栽培植物に対す
る給水，養分給付，薬剤散布に供することができるよう
にした型式を採択する。

【００１１】上記型式に対する本発明の特殊構成として
は、図１のように、加圧空気供給源７の吸気側に三方弁
１０を設けて温室１内から室内空気を取り込む吸気管路
１１を接続するほか、大気吸気部１２を接続し、かつ加
圧空気供給源７に近い前記給気管路９には、主開閉弁１
３を接続すると共に、電磁開閉弁１４と圧力レギュレー
タ１５とを直列に設けた加湿回路１６を介設し、温室１
内に任意圧力のもとに適時的に給気することができるよ
うにし、更に除湿器１７がある除湿回路１８と、熱温風
発生器１９がある加熱回路２０とを前記加湿回路１６と
は並列に設けると共に、除湿回路１８および加熱回路２
０には電磁開閉弁２１および２２を各別に介設するほ
か、必要に応じてボール弁２３を付設する。なお電磁開
閉弁１４，２１，２２に代えて分岐点に切換弁を設けて
もよい。

【００１２】前記除湿器１７としては、水蒸気を透過し
易い反面、空気を透過し難い高分子中空糸膜を使用する
ガス分離膜方式を適用した除湿器を採択するのが適当で
あって、例えば図２のような、宇部興産株式会社製のメ
ンブレンドライヤーがよい。このドライヤーは、両端に
入口２４と出口２５とがあるシェル２６に多数本の高分
子中空糸膜２７を内装すると共に側部に排水口２８を設
け、入口２４から空気を送給して中空糸膜２７内を通過
する過程において、中空糸膜２７の外方に透過する水分
（水蒸気）を排水口２８から流出させると同時に、乾燥
した空気を出口２５から送出し、出口２５から得られる
乾燥空気を温室１内へ供給することができるようにす
る。

【００１３】前記熱温風発生器１９としては、加圧空気
を回転室内のジェネレータにおいて高速回転させ、内外
周の圧力差に基づく空気の移動により生じる膨張時の温
度差を利用する空気高速回転型熱温風発生器を採択する
のが適当であって、例えば図３のように、エヤー・工販
株式会社製のスーパーウォーマーＳＡＨ−２０がよく、
可動部分が皆無であることにおいて有利である。この熱
温風発生器は、両端に冷気排気口２９と熱温風出口３０
とがあるシェル３１の内部に回転室３２を設けると共
に、回転室３２に連通する空気供給口３３を設け、空気
供給口３３から加圧空気を回転室３２内に供給して回転
室３２内において２０万〜３０万ＲＰＭの超高速に回転
させて渦流を発生させ、渦流の外周部と中心部との間に
大きな圧力差を生じさせ、この圧力差により中心部へ移
動する空気の膨張により温度差を発生させ、中心部の冷
気は冷気排気口２９から大気中に放出すると共に、熱温
風出口３０から得られる熱温風を温室１内へ供給するこ
とができるようにする。

【００１４】温室１内には、温度センサ３４および湿度
センサ３５を適所に設置と共に、コンピュータによる制
御装置３６を設けて、両センサ３４，３５による検出信
号を制御装置３６に入力するようにし、両センサ３４，
３５の検出結果に基づく制御装置３６の出力信号によ
り、諸施設の稼働並びに開閉弁の開閉を制御するように
し、電磁開閉弁５，８の開閉によるノズル２からの細霧
の噴霧あるいは空気だけの噴出、三方弁１０の切り換え
による大気の選択的取り入れ、加湿回路１６，除湿回路
１９，加熱回路２０の電磁開閉弁１４，２１，２２の選
択的開閉により、噴霧用空気の供給あるいは除湿器１８
による乾燥空気の供給あるいは熱温風発生器２０による
温風の供給を選択的に行うようにし、温室１内の湿度並
びに温度を予め設定した所望の数値に保つようにする。

【００１５】上記構成により、加湿冷房に際しては、三
方弁１０の吸気管路１１側を閉止すると同時に大気吸気
部１２を開通し、加圧空気供給源７としてのコンプレッ
サおよび加圧水供給源３としてのポンプを稼働すると共
に、電磁開閉弁２１，２２を閉止したまま、圧力レギュ
レータ１５および給水管路６における圧力レギュレータ
４の圧力を設定するほか電磁開閉弁１４を開通して加湿
回路１７を開通し、給気管路９による給気並びに給水管
路６による給水を開始状態とし、給気用電磁開閉弁８を
開通させると共に給水用電磁開閉弁５を開通させて、給
水管路６による給水と給気管路９による給気とによりノ
ズル２から細霧を噴霧して加湿冷房をするようにし、な
お温室１内の温度センサ３４および制御装置３６により
温度を制御する。

【００１６】除湿に際しては、三方弁１０の大気吸気部
１２を閉止すると同時に吸気管路１１側を開通し、加圧
水供給源３としてのポンプを稼働することなく、加圧空
気供給源７としてのコンプレッサを稼働すると共に、電
磁開閉弁１４および２２を閉止したまま、電磁開閉弁２
１を開通して除湿回路１８を作動状態とし、かつ給水用
電磁開閉弁５を閉止すると同時に給気用電磁開閉弁８を
開通し、除湿器１７により除湿された乾燥空気を給気管
路９を経てノズル２から噴出するようにし、なお温室１
内の湿度センサ３５および制御装置３６により湿度を制
御する。

【００１７】暖房に際しては、三方弁１０の大気吸気部
１２を閉止すると同時に吸気管路１１側を開通し、加圧
水供給源３としてのポンプを稼働することなく、加圧空
気供給源７としてのコンプレッサを稼働すると共に、電
磁開閉弁１４および２１を閉止したまま、電磁開閉弁２
２を開通して加熱回路１８を作動状態とし、かつ給水用
電磁開閉弁５を閉止すると同時に給気用電磁開閉弁８を
開通し、熱温風発生器１９により昇温された空気を給気
管路９からノズル２に供給して噴出し、なお温室１内の
温度センサ３４および制御装置３６により温度は制御さ
れる。

【００１８】前記ノズル２としては、空気噴霧型であれ
ば種々の型式を採択することができるのであって、要す
るに空気だけの噴出が可能なものであればよい。

【００１９】以上のほか、噴霧ノズル２からの細霧に予
め窒素，酸素，オゾン等を混入して作物に対する殺菌，
消毒，生育促進を図るのが望ましく、これがため給水管
路６に撹拌並びに混合機能があるタービン型ポンプ４４
を介設して、その吸引側に添加管４５を付設すると共
に、この添加管４５にガス切換弁４６を接続し、ガス切
換弁４６としては、窒素ガス供給弁４７，酸素供給弁４
８，オゾン供給弁４９等の複数個の開閉弁を並設して、
それぞれのガス供給源に接続し、これら供給弁を選択的
に開通させることにより、給水管路６により供給する水
に対してポンプ４４内において、窒素ガス，酸素，オゾ
ン等のガスを添加混合することができるようにする。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
次のような効果が得られる。

【００２１】ノズルを使用して水を噴霧することにより
室内を加湿し、気化熱による加湿冷房により室内を冷房
すると共に、室内が過湿状態の場合に室内空気を除湿器
により除湿するようにしたから、これにより冷凍機によ
る冷房に比較して廉価な設備コストのもとに、過湿を防
止することができ、従って高湿度の季節における加湿冷
房を容易に行うことができるのである。

【００２２】除湿に際し、水蒸気を透過し易い反面、空
気を透過し難い高分子中空糸膜を使用したガス分離膜型
式の除湿器を使用するようにしたから、これにより冷凍
機等の大型かつ高価な設備によることなく、容易に除湿
することができる。

【００２３】空気霧化型のノズル２を設けてこのノズル
２により、加湿運転，除湿運転，暖房運転のいずれの場
合においても共通のノズルを使用して液体と気体とをそ
の一方または両方を噴出させることができ、従って、構
造が簡単かつ設備コストが安価で済み、更に、空気霧化
型のノズルを使用して加湿を実施している既設の施設に
対しては、除湿回路１８あるいは加熱回路２０並びにそ
の関連施設を追加するだけで適切な除湿あるいは暖房が
でき、著しく経済的である。

【００２４】給気管路９に、加湿回路１６と除湿回路１
８と加熱回路２０とを開閉弁により選択的に切り換える
ことができるように並列に介設し、更に加圧空気供給源
７の吸気側に三方切換弁１０を設けて室内空気を取り込
む吸気管路１１と大気吸気部１２とを接続したから、こ
れにより弁の切り換えのもとに加湿，除湿，加熱の各運
転を容易に切り換えることができる。

【００２５】加熱回路２０に設ける熱温風発生器１９と
して、加圧空気を回転室内のジェネレータにおいて高速
回転させ、内外の圧力差に基づく空気の移動により生じ
る膨張時の温度差を利用する空気高速回転型熱温風発生
器を採択したことにより、石油燃料を使用する暖房に比
較して、可動部分が皆無な簡単な構造のもとに容易に暖
房を行うことができるばかりでなく、取り扱い並びにメ
ンテナンスが著しく簡単である。

【００２６】給水管路６に撹拌並びに混合機能があるポ
ンプ４４を設けて、その吸引側に添加用管４５を付設す
ると共に、この添加用管４５に複数のガスを選択的に供
給するガス切換弁４６を設けたから、これにより噴霧ノ
ズル２からの細霧に予め窒素，酸素，オゾン等を混入す
ることができ、作物に対する殺菌，消毒，生育促進を図
ることができる。

【００２７】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置を適用した温室を例示する系統図で
ある。

【図２】除湿器を例示する一部破断側面図である。

【図３】熱温風発生器を例示する一部破断側面図であ
る。

【符号の説明】

１ 温室 ２ ノズル ３ 加圧水供給源 ５ 開閉弁 ６ 給水管路 ７ 加圧空気供給源 ８ 開閉弁 ９ 給気管路 １０ 切換弁 １１ 吸気管路 １２ 大気吸気部 １６ 加湿回路 １７ 除湿器 １８ 除湿回路 １９ 熱温風発生器 ２０ 加熱回路 ２７ 高分子中空糸膜 ３２ 回転室 ４４ ポンプ ４５ 添加用管 ４６ ガス切換弁

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 加圧空気を使用して液体を霧化する空気
   霧化型のノズルを使用して水を噴霧することにより室内
   を加湿し、気化熱による加湿冷房により室内を冷房する
   と共に、室内が過湿状態の場合に加湿空気を除湿器によ
   り除湿した後に前記ノズルから噴出するようにした園芸
   用温室に適した空気調節方法。
2. 【請求項２】 除湿に際し、水蒸気を透過し易い反面、
   空気を透過し難い高分子中空糸膜を使用したガス分離膜
   型式の除湿器を使用する請求項１に記載の空気調節方
   法。
3. 【請求項３】 空気霧化型のノズル（２）を設けてこの
   ノズル（２）に対して、加圧水供給源（３）から開閉弁
   （５）がある給水管路（６）を経て加圧水を適時的に供
   給することができるようにすると共に、加圧空気供給源
   （７）から開閉弁（８）がある給気管路（９）を経て加
   圧空気を適時的に供給することができるようにし、かつ
   給気管路（９）には加湿回路（１６）と除湿回路（１
   ８）とを開閉弁により選択的に切り換えることができる
   ように並列に介設し、更に加圧空気供給源（７）の吸気
   側に切換弁（１０）を設けると共に、この切換弁（１
   ０）には室内空気を取り込む吸気管路（１１）と大気吸
   気部（１２）とを接続したことを特徴とする空気調節装
   置。
4. 【請求項４】 除湿回路（１８）に設ける除湿器（１
   ７）として、水蒸気を透過し易い反面、空気を透過し難
   い高分子中空糸膜（２７）を使用したガス分離膜型式の
   除湿器を採択した請求項３に記載の空気調節装置。
5. 【請求項５】 加熱回路（２０）を開閉弁により選択的
   に切り換えることができるように加湿回路（１６）と除
   湿回路（１８）とに並列に設けた請求項３または請求項
   ４に記載の空気調節装置。
6. 【請求項６】 加熱回路（２０）に設ける熱温風発生器
   （１９）として、加圧空気を回転室（３２）内のジェネ
   レータにおいて高速回転させ、内外の圧力差に基づく空
   気の移動により生じる膨張時の温度差を利用する空気高
   速回転型熱温風発生器を採択した請求項５に記載の空気
   調節装置。
7. 【請求項７】 給水管路（６）に撹拌並びに混合機能が
   あるポンプ（４４）を設けて、その吸引側に添加用管
   （４５）を付設すると共に、この添加用管（４５）にガ
   ス切換弁（４６）を接続し、ガス切換弁（４６）にはガ
   ス供給用の複数の開閉弁を並設して、それぞれのガス供
   給源に接続した請求項３ないし請求項６のいずれか１項
   に記載の空気調節装置。