JP2000140041A

JP2000140041A - 移動型リフト

Info

Publication number: JP2000140041A
Application number: JP10313812A
Authority: JP
Inventors: Sueoki Tsuga; 末興津賀
Original assignee: MEKATEKKU KK
Current assignee: MEKATEKKU KK
Priority date: 1998-11-04
Filing date: 1998-11-04
Publication date: 2000-05-23
Also published as: US6260218B1

Abstract

(57)【要約】【課題】弱い力でも被介護者を容易に吊り上げたり降
ろしたりすることができるとともに、全体を小さく、軽
く、簡単に折り畳み可能に形成して、運搬をも容易にし
た移動型リフトを提供すること。【解決手段】各々先端付近に自在キャスター11,21,31
を備えた２本の短い左右横脚１,２と１本の長い前脚３
とからなる略Ｔ字形の脚部４と、該脚部４に立設された
筒状の支柱５と、該支柱５に内挿されかつ前部に吊りア
ーム７を備えた内柱６とから構成した移動型リフトであ
って、前記吊りアーム７を前記前脚３上にほぼ平行に位
置するように配置して、駆動手段により前記内柱６を前
記支柱５内で上下方向に移動可能にした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、身体不自由者や重
量物を移動する際に使用される、小型で、移動可能なリ
フトの改良に関するものであり、とくに乗用自動車の乗
り降りないし荷物の積み降ろしに好適に使用されるリフ
トに関する。

【０００２】

【従来の技術】疾病や傷害、老齢など様々な理由によっ
て介護を必要とする身体不自由者を移動させるには相当
の力を必要とするので、介護者を補助するべく、従来よ
り種々の方式・形状からなる介護用リフトが提案されて
いる。

【０００３】代表的なものとしては、ベットのフレーム
に装着してベットから車椅子への移動に使用するもの、
天井や固定支柱に装着して入浴介護に使用するもの等が
挙げられるが、こうした固定型の介護用リフトは、例え
ば戸外において車椅子から乗用自動車への乗り降りには
使用することができなかった。そこで、近年では小型で
移動可能なリフトが提案されるようになってきた。

【０００４】例えば、特開平5-137757号では、底面に車
輪を備えた略コ字形のベース体上に平行リンク機構を設
けて、該平行リンク機構の上段側に位置する水平部に装
着した吊下げ部材を用いて被介護者を乗用車内に吊り下
げて乗降させる車両用介護リフトが提案されている。こ
のリフトでは、車椅子に座っている被介護者の臀部に吊
下用のベルト部を備えたシート状の吊下げ部材を挿入し
ておき、リフトの水平部で吊下げ部材を吊り上げながら
ベース体を乗用車の車体下に入れることにより、吊下げ
部材に乗せたままの状態で被介護者を乗用車のシート上
に直接乗せることを可能としている。

【０００５】また、特開平9-580号では、底面にキャス
ターを備えたベースフレーム上に取り外し可能な支柱を
立設し、該支柱上端においてギヤケースを介して水平方
向の筒状アームを連結して、筒状アーム内の軸によって
被介護者を載せた保持シートにおける吊り下げ用の紐状
体を巻き取ることで被介護者の吊り上げを可能とする一
方、ベースフレームや支柱を分解・組立可能に形成した
リフトが提案されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平5-137757号に係るリフトは、リフト全体が大型にな
るために運搬が困難であり、せっかくリフトを用いて被
介護者を自動車に乗せても、移動した先々において別途
降車用のリフトが必要になるという欠点があった。ま
た、略コ字形のベースフレームでは、被介護者を安定に
吊り下げるには相当程度広い横幅を必要とするので、小
回りがきかないという欠点もあった。

【０００７】他方、前記特開平9-580号に係るリフトで
は、筒状アーム内の軸に紐状体を巻き取りながら被介護
者を吊り下げるには相当な力が必要となり、また、リフ
ト自体の運搬は可能であっても、運搬時の分解・組立作
業が煩雑であるという欠点があった。

【０００８】そこで、本発明では、弱い力でも被介護者
を容易に吊り上げたり降ろしたりすることができるとと
もに、全体を小さく、軽く、簡単に折り畳み可能に形成
して、運搬をも容易にした移動型リフトについて検討す
ることにした。

【０００９】

【課題を解決するための手段】検討の結果開発したもの
が、２本の短い横脚と１本の長い前脚とからなる各先端
付近に自在キャスターを備えた略Ｔ字形の脚部と、該脚
部に立設された筒状の支柱と、該支柱に内挿されかつ前
部に吊りアームを備えた内柱とから構成されており、前
記吊りアームは前記前脚上にほぼ平行に位置するように
配置されているものであって、駆動手段により前記内柱
を前記支柱内で上下方向に移動可能に構成されてなる移
動型リフトである。

【００１０】この移動型リフトでは、従来の移動型リフ
トに見られなかった２本の短い横脚と１本の長い前脚と
からなる略Ｔ字形の脚部を採用したことで、被介護者の
吊り下げ移動時にリフトが占有する横幅や、回転半径を
小さく抑えることができる。

【００１１】また、第２の発明では、前記移動型リフト
において、２本の横脚と１本の前脚をそれぞれ根元付近
で折り畳み可能に形成するとともに、吊りアームを内柱
と折り畳み可能に形成した。

【００１２】このように、突出している部分をそれぞれ
折り畳み可能に形成したことで、運搬時や収納時にはリ
フト全体をコンパクトにすることができる。

【００１３】また、第３の発明では、前記第１の発明に
係る移動式リフトにおける吊りアームを上昇・下降させ
る駆動手段として、支柱の前脚側上端付近において内柱
の前方側面を転動支持する上部ガイドローラを設ける一
方、内柱下端付近において支柱の後方内壁を転動支持す
る下部ガイドローラを設けて、内柱の後方側面に形成し
たラックギヤと、ハンドルを備えたウオームギヤに伝動
するピニオンギヤとを用いた。

【００１４】したがって、吊りアームの先端に被介護者
を吊り下げて下向きの荷重がかかると、筒状の支柱内に
おいて前方に傾斜した内柱が上部ガイドローラと下部ガ
イドローラによって転動支持されつつ、その後方側面に
形成されたラックギヤとピニオンギヤの噛み合わせによ
ってのみ係止された状態となる。そして、荷重がかかれ
ばかかるほど、内柱は上部ガイドローラに押し付けられ
る方向に傾斜する一方、内柱の後方側面のラックギヤが
ピニオンギヤから離れるようになるので、両ギヤが押し
付けられてその噛み合わせに不必要な負荷がかからない
結果、軽い力で内柱を上下動させることが可能となるの
である。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明に
係る移動型リフトについて詳細に説明する。図１は本発
明に係る移動型リフトの一例を示す一部切欠斜視図であ
る。この図に示されるように、本発明に係る移動型リフ
トは、左右２本の短い横脚１,２と１本の長い前脚３と
からなる略Ｔ字形の脚部４と、該脚部に立設された筒状
の支柱５と、該支柱に内挿された内柱６、および該内柱
６の上部に装着された吊りアーム７とから構成されてい
る。リフト全体の強度を確保しながら重量を軽くするた
めに、これら各部材は可能な限りアルミ等の軽量金属か
らなる中空材料や強化プラスチック等を用いて形成する
のが望ましい。

【００１６】この例の移動型リフトでは、左横脚１およ
び右横脚２並びに前脚３をそれぞれ折り畳み可能にする
ため、これらを略Ｔ字形のベースフレーム41に連設する
ことにより脚部４を形成しているが、ベースフレーム41
を用いることなく、左横脚１および右横脚２並びに前脚
３のすべてを直接固着することにより固定式の脚部４を
形成してもよい。折り畳み式、固定式、いずれの場合に
も、リフト全体の移動を可能にするべく、左右横脚１,
２と前脚３の各先端付近に自在キャスター11,21,31が装
着される。

【００１７】後述のように、被介護者や荷物が吊り下げ
られる吊りアーム７は、前脚３上にほぼ平行に位置する
ように配置されるので、リフト全体からみれば、荷重は
主に前脚３にかかることになる。したがって、左右横脚
１,２は、主として左右方向への転倒を防止ために機能
するので、各々を前脚３よりも短く形成しても差し支え
ない。むしろ、転倒防止が図れる範囲内であれば、これ
ら左右横脚１,２を前脚３よりも可能な限り短く形成
し、脚部４全体として前後方向に長く形成することで、
リフトの横幅を抑え、狭い場所でも小回りのきく移動型
リフトとすることができる。

【００１８】図２は、図１の例の移動型リフトの右横脚
２付近の部分斜視図、図３は、図２において右横脚２を
折り畳んだ状態を示す部分斜視図である。これらの図に
示されるように、自在キャスター21が装着される先端部
分を除いて中空のボックスフレーム状に形成された右横
脚２は、その後端部がベースフレーム41の左右方向に配
されたチャンネル材42端部内に収容されるように、横脚
装着軸22によって回動可能に軸着されている。リフトの
使用時においては、右横脚２はチャンネル材42端部の延
長線上に位置しており、チャンネル材42端部上縁に装着
されたストッパ23によって固定されているが、横脚スト
ッパ23を上方に回動させてロックを解除することによ
り、右横脚２が前方へと折り畳まれる。なお、横脚スト
ッパ23の後端は引張バネ24を介してチャンネル材42と接
続されており、引張バネ24の張力を利用して、横脚スト
ッパ23が不用意に解除されてしまうことを防止し、リフ
ト使用時の安全確保を図っている。

【００１９】図４は、図１の例の移動型リフトの前脚３
付近の一部切欠側面図、図５は、図４の状態から前脚３
を折り畳んでいく状態を示す一部切欠側面図である。こ
れらの図に示されるように、自在キャスター31が装着さ
れる先端部分を除いて中空のボックスフレーム状に形成
された前脚３は、前脚支持軸32によって、ベースフレー
ム41における２枚の支持板43間で回動可能に軸着されて
いる。これら２枚の支持板43間には、さらに板状体を略
Ｌ字形に屈曲させてなる前脚ストッパ33が回動軸34によ
って軸着されており、上方へ折り曲げた前脚ストッパ33
の下端と、下方へ屈曲させた前脚３の後端とが係合する
ことによって、前脚３が支柱５と直角位置に支持され
て、リフトの使用が可能になる。

【００２０】一方、前脚ストッパ33の下端付近は、圧縮
バネ35によって支柱５から支持されているので、常に支
柱５に密着した状態にある前脚ストッパ33の上部を前方
へ強制的に引っ張りながら、前脚３の後端を上方に、す
なわち前脚支持軸32を中心として前脚３の先端を下方に
回動させることによってのみ、前脚ストッパ33と前脚３
の係合が解除される。つまり、リフトの使用が可能な図
４の状態から図５に示されるように前脚３を折り畳み可
能な状態にするには、一旦、リフト使用時の荷重負荷方
向とは逆に、前脚３の先端を下方に下げながら前脚スト
ッパ33の上部を前方へ引っ張る必要があるのである。こ
うして、不用意に前脚ストッパ33が解除されて前脚３が
折り畳まれてしまうことが防止され、リフト使用時の安
全確保の一助となる。

【００２１】以上のように、ベースフレーム41に対して
各々折り畳み可能に軸着された左右横脚１,２と前脚３
からなる略Ｔ字形の脚部４には、筒状の支柱５が立設さ
れる。図１の例では、支柱５は断面四角形の筒状体を用
いて形成されており、その下端は前記前脚３が軸着され
ているベースフレーム41の支持板43間に固着され、さら
に前脚側上端部に上部ガイドローラ51が固着されてい
る。

【００２２】支柱５には内柱６が内挿される。図１の例
の内柱６は、角柱状の内柱本体61の下端に下部ガイドロ
ーラ62を備え、その後方側面にはラックギヤ63が形成さ
れている。ラックギヤ63には、支柱５の左側面に設けら
れたギヤボックス81から突出して設けられたピニオンギ
ヤ82が噛み合っており、このピニオンギヤ82と前記上部
ガイドローラ51とによって内柱本体61が挟持されてい
る。したがって、ピニオンギヤ82を正逆回転させると、
その回転がラックギヤ63に伝動して、内柱本体61が支柱
５内を上下方向に移動するわけである。また、内柱６の
前部には、内柱カバー64に固着された２枚の吊りアーム
支持板65を介して吊りアーム７が前脚３上にほぼ平行に
位置するように軸着されている。

【００２３】すなわち、例えば吊りアーム７を上下動さ
せた際に、上部ガイドローラ51と内柱本体61との間、あ
るいは支柱５の上端と内柱本体61との間に指等を巻き込
む事故を防止するとともに、内柱本体61上部に直接吊り
アーム７を装着した場合に比して、より下方へ吊りアー
ム７を降下させることを可能にするべく、内柱本体61に
は内柱カバー64を装着することが望ましい。図１の例の
内柱カバー64は、長尺のチャンネル材からなり、その上
端が内柱本体61の上端に固着されて、内柱本体61の前面
と右側面をほぼ覆いつつ、上部ガイドローラ51を収納し
ている。そのため、この例の上部ガイドローラ51は、内
柱本体61の前方側面を転動支持するとともに、内柱カバ
ー64の前面内壁をも転動支持することになる。

【００２４】図６は、内柱カバー64における吊りアーム
７の装着付近を示す一部切欠側面図である。この例で
は、吊りアーム７は内柱カバー64より前方に立設された
２枚の吊りアーム支持板65間において、吊りアーム支持
軸71によって軸着されている。同じく２枚の吊りアーム
支持板65間には、さらに板状材を略Ｌ字形に屈曲させて
なる吊りアームストッパ72が回動軸73によって軸着され
ており、この吊りアームストッパ72の下端と、上方へ屈
曲させた吊りアーム７の後端とが係合することによっ
て、吊りアーム７が内柱カバー64すなわち内柱６と直角
位置に支持されている。

【００２５】一方、吊りアームストッパ72の下端付近
は、圧縮バネ74によって内柱カバー64から支持されてい
るので、常に内柱カバー64に密着した状態にある吊りア
ームストッパ72の上部を前方に強制的に引っ張りなが
ら、吊りアーム７の後端を下方に、すなわち吊りアーム
支持軸71を中心として吊りアーム７の先端を上方に回動
させることによってのみ、吊りアームストッパ72と吊り
アーム７との係合が解除される。つまり、リフトの使用
が可能な図６の状態から図７に示されるように吊りアー
ム７を折り畳み可能な状態にするには、一旦、リフト使
用時の荷重負荷方向とは逆に、吊りアーム７の先端を上
方に持ち上げながら吊りアームストッパ72の上部を前方
へ引っ張る必要があるのである。こうして、不用意に吊
りアームストッパ72が解除されて吊りアーム７が折り畳
まれてしまうことが防止され、リフト使用時の安全確保
の一助となる。

【００２６】図１の例の移動型リフトでは、被介護者等
を吊り下げるための吊具を支持するべく、吊りアーム７
の先端にハンガー75が装着されている。この例のハンガ
ー75は棒状体からなり、中央部をハンガー支持軸76によ
って吊りアーム７の先端に軸着されて水平方向に回動自
在に形成されている。そしてハンガー75には、被介護者
に装着した吊具における吊金具等を掛止すべく、左右端
部に端フック77,78、中央下部に中フック79、計３個の
フックが設けられている。なお、これらハンガー75に設
けるフックの数や装着場所は、使用する吊具の形状等に
応じて適宜決定すればよい。

【００２７】前述のように、図１の例の移動型リフトで
は、駆動手段として内柱本体61の後方側面に形成したラ
ックギヤ63とピニオンギヤ82の組合せを用いているが、
この駆動手段を手動式とする場合は、ギヤボックス81内
にピニオンギヤ82に伝動するウオームギヤ（図示されて
いない）を設け、このウオームギヤの入力軸にハンドル
83を装着する。したがって、ギヤボックス81内のウオー
ムギヤに代えて電動モータを用いれば駆動手段を電動式
とすることが可能であるし、また、例えば内柱本体61の
下端部に油圧シリンダを装着して駆動手段を油圧式とす
ることも可能である。

【００２８】ハンドル83を装着して手動式とする場合、
ハンドル83自体も折り畳み可能に形成することが望まし
い。図８(a)(b)(c)は、折り畳み可能に形成したハンド
ル83の一例を示す側面図である。この例のハンドル83
は、ギヤボックス81内のウオームギヤに対してハンドル
アーム84および折り畳みストッパ85を介して接続されて
いる。そして、ハンドル83にはハンドル軸86が内挿され
ており、該ハンドル軸86の先端には握りレバー87が、後
端には圧縮バネ88が、それぞれ装着されている。

【００２９】図８(a)は、ハンドル83の停止状態を示し
ている。この際、ハンドル軸86の最後端はストッパピン
として機能している。すなわち、握りレバー87を解放し
た状態のままでは、圧縮バネ88の作用によりハンドル軸
86の最後端が突出し、この突出部分がギヤボックス81か
ら下方に延設されたハンドルストッパ89に必ず当接する
のである。このため、被介護者の吊り下げ操作中に誤っ
てハンドル83から手を離しても、１回転以上ハンドル83
が回動してしまうことがなく、急な落下事故を防止する
安全確保の一助となるわけである。

【００３０】図８(b)は、ハンドル83の回動可能状態、
換言すれば、内柱本体61を支柱５内で上下方向に移動可
能な状態を示している。このように、握りレバー87をハ
ンドル83とともに握ると、ハンドル軸86の最後端がハン
ドル83側に引き寄せられ、ハンドルストッパ89との当接
が解除されるので、ハンドル83を自由に回動させること
が可能になる。

【００３１】図８(c)は、ハンドル83の折り畳み状態を
示している。先の図８(a)(b)においてハンドルアーム84
の先端に軸着され、かつ、係合した状態にある折り畳み
ストッパ85の係合を解除すると、図８(c)に示されるよ
うに折り畳みストッパ85の根元部分でギヤボックス81寄
りに回動し、ハンドル83はほぼ支柱５に添う位置にまで
折り畳まれることになる。

【００３２】さらに、図１の例の移動型リフトでは、リ
フト移動操作の便宜のため、ギヤボックス81上部におい
て運転ハンドル91,92が固着されている。この運転ハン
ドル91,92は、駆動手段にハンドル83を用いて手動式と
した場合には、例えば右手で運転ハンドル92を把持しな
がら左手でハンドル83を回動させるというように、ハン
ドル83回動時にリフトの安定を図るためにも有効に機能
する。

【００３３】図９は、図１に示した本発明に係る移動型
リフトを完全に折り畳んだ状態を示す斜視図である。こ
のように、内柱６を最下端まで降下させ、左右横脚１,
２、前脚３、吊りアーム７、ハンドル83の全てを折り畳
み、ハンガー75を吊りアーム７に添うように回動させれ
ば、移動型リフト全体がきわめてコンパクトになる。例
えば、吊り上げ能力を80kg程度とし、リフト使用時の高
さを950mm、横幅を800mm、奥行きを900mmに形成して
も、折り畳み時には長さ950mm、横幅340mm、縦幅400mm
と、きわめてコンパクトになる一方、各部材を形成する
材質によっては全重量を約16kg程度におさめることが十
分可能である。

【００３４】図10は、本発明に係る移動型リフトによっ
て車椅子に乗った被介護者を吊り上げた状態を示す斜視
図である。被介護者を吊り上げるには、図10に示される
ごときベルト状の吊具10を用いるとよく、吊具10の先端
金具を本発明に係る移動型リフトにおけるハンガー75の
端フック77,78ないし中フック79に対して掛止して、主
として被介護者の胸元付近で吊り上げるとよい。この状
態からハンドル83を回動させて、内柱６ひいては吊りア
ーム７を上昇させ、左右の運転ハンドル91,92を持って
リフトを後退させながら車椅子より離脱する。

【００３５】例えば、被介護者を車椅子から乗用車に移
乗させる場合は、吊り上げた被介護者の頭部が車内に入
ってから座席の高さまで吊りアーム７を上昇させ、座席
の中心にまで移動させた後にハンガー75を水平回動させ
て被介護者を進行方向に向ける。次いで吊りアーム７を
降下させ、吊具10を外して乗車完了となる。リフトは折
り畳んで車内に積載しておけばよい。

【００３６】前述のように、水平方向に回動自在な棒状
体を吊具のハンガー75として採用することによって、
(1)被介護者の胸元近くで吊り上げることができるの
で、被介護者の頭上で吊り上げた場合に比べて揺れ等が
極端に少なくなり、安定した吊り上げ移動が可能になる
ほか、低い位置での吊り上げ移動が可能になる、(2)ハ
ンガー75が水平方向に回動するので、被介護者の向きを
左右方向に楽に変更することができる、といった利点が
得られる。

【００３７】また、前述のようにハンガー75の両端部に
端フック77,78を設けると、介護者がこれらの端フック7
7,78上に掛止された吊具10の左右のベルトを前後にスラ
イドさせることによって、吊り上げられた被介護者の背
もたれ角度を変えることが可能となり、あたかもリクラ
イニング機構のように機能させることが可能となる。こ
のとき、吊具10の左右のベルトがバランスよくスライド
するように、ハンガー75内において端フック77,78をリ
ンクさせる機構を設けてもよい。

【００３８】本発明に係る移動型リフトは、重量のある
荷物の移動にも利用することができる。図11は、本発明
に係る移動型リフトを用いて乗用車Ｃのトランクルーム
に対して荷物Ｐを積み込んでいる状態を示す斜視図であ
る。

【００３９】

【発明の効果】本発明に係る移動型リフトは、脚部を略
Ｔ字形に形成したので、狭い通路内であってもきわめて
容易に移動することができ、前脚が一本入るスペースさ
え確保できれば、車椅子から乗用車への乗り降りをはじ
め、ベット、バスタブ等様々な場所への介護移動が可能
である。また、全体をコンパクトに折り畳むことがで
き、軽量化が可能であるので、リフト自体の運搬や、不
使用時の収納等がきわめて容易である。

【００４０】さらに、被介護者をその胸元付近で吊り上
げることができるので、吊りアームに掛止する吊具が短
くてすむ結果、吊り上げ時の揺れが少なく、座ったまま
の姿勢で安定した吊り上げ移動が可能となる。

【００４１】また、駆動手段として上部ガイドローラお
よび下部ガイドローラ、並びにラックギヤおよびピニオ
ンギヤを組み合わせれば、吊りアームの上下動を軽くス
ムーズに行うことができる。さらにまた、本発明に係る
移動型リフトは、部材の不用意な折り畳みや、急落下に
よる事故の防止等にも配慮した安全なリフトである。

【００４２】そして、本発明に係る移動型リフトは、介
護用としてのみならず、荷物の運搬・積み降ろし用等と
しても応用することができ、利用範囲はきわめて広い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る移動型リフトの一例を示す一部切
欠斜視図である。

【図２】図１の例の移動型リフトの右横脚付近の部分斜
視図である。

【図３】図２において右横脚を折り畳んだ状態を示す部
分斜視図である。

【図４】図１の例の移動型リフトの前脚付け根付近の一
部切欠側面図である。

【図５】図４の状態から前脚を折り畳んでいく状態を示
す一部切欠側面図である。

【図６】内柱カバーにおける吊りアームの装着付近を示
す一部切欠側面図である。。

【図７】図６の状態から吊りアームを折り畳んでいく状
態を示す一部切欠側面図である。

【図８】折り畳み可能に形成したハンドルの一例を示す
側面図であり、(a)はハンドルの停止状態、(b)はハンド
ルの回動可能状態、(c)はハンドルの折り畳み状態をし
めす側面図である。

【図９】図１に示した本発明に係る移動型リフトを完全
に折り畳んだ状態を示す斜視図である。

【図１０】本発明に係る移動型リフトによって車椅子に
乗った被介護者を吊り下げた状態を示す斜視図である。

【図１１】本発明に係る移動型リフトを用いて乗用車の
トランクルームに荷物を積み込んでいる状態を示す斜視
図である。

【符号の説明】

１左横脚２右横脚３前脚４脚部５支柱６内柱７吊りアーム８駆動手段

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】２本の短い左右横脚と１本の長い前脚と
からなる各先端付近に自在キャスターを備えた略Ｔ字形
の脚部と、該脚部に立設された筒状の支柱と、該支柱に
内挿されかつ前部に吊りアームを備えた内柱とから構成
されており、前記吊りアームは前記前脚上にほぼ平行に
位置するように配置されているものであって、駆動手段
により前記内柱を前記支柱内で上下方向に移動可能に構
成してなる移動型リフト。
【請求項２】２本の横脚と１本の前脚がそれぞれ根元
付近で折り畳み可能に形成されており、かつ、吊りアー
ムが内柱と折り畳み可能に形成されてなる請求項１記載
の移動型リフト。
【請求項３】支柱の前脚側上端付近において内柱前方
側面を転動支持する上部ガイドローラを設ける一方、内
柱下端付近において支柱の後方内壁を転動支持する下部
ガイドローラを設けて、内柱の後方側面に形成したラッ
クギヤと、ハンドルを備えたウオームギヤから伝動する
ピニオンギヤとを駆動手段に用いたことを特徴とする請
求項１記載の移動型リフト。