JP2000136420A - ヘルメットの内装構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 衝撃吸収ライナに装着する内装パットの構成
部品を削減し、内装パットの組付け作業性を高める。 【解決手段】 内装パット10の後端部に折返し部21を形
成し、この折返し部21によって装着者の首部と当接する
ネックパット22を形成する。これにより、内装パット10
とネックパット22とを一体形成し、内装パット10の構成
部品を削減できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、衝撃吸収ライナの
内面に取り付けられるヘルメットの内装構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ヘルメットは、例えば特公平５−
１９２９３号公報などで提案されているように、シェル
の内面に発泡スチロールなどからなる衝撃吸収ライナを
装着し、さらにこの衝撃吸収ライナの内側にはスポンジ
などからなるクッション部を通気性、伸縮性に優れた布
地で被覆した内装パットが装着されている。このヘルメ
ットの内面に装着する内装パットは、衝撃吸収ライナの
内面の天井部分を覆うようにして装着者の頭頂部と当接
する帯状のヘッドパットと装着者の頭側部と当接するサ
イドパットと一体化し、装着者の耳を覆う左右一対の耳
パットをヘッドパットとサイドパットから切り離した別
構成とし、耳パットのみ単体で前記シェルに対して着脱
自在に取り付けるようにしている。

【０００３】ところで、シェルの内面に取り付けられる
内装パットは、ホールド感を高めるために、前記ヘッド
パットとサイドパットの後端部に装着者の首部に当接す
るネックパットを形成する場合がある。従来、このよう
なネックパットを形成する一手段として、例えば図１４
に示すように、ヘッドパットａの後端部とシェルｂとの
間に別部材のクッション材ｃを介在させ、このクッショ
ン材ｃによってヘッドパットａの後端部を部分的に厚く
形成している。しかし、このように別部材のクッション
材ｃをヘッドパットａとシェルｂとの間に介在させる場
合、内装パットの構成部品が増えるとともに、クッショ
ン材ｃをヘッドパットａあるいはシェルｃのいずれか一
方に接着又は溶着などの適宜手段で一体的に接合する必
要があり、内装パットの取り付けに手間がかかる。ま
た、シェルｃにクッション材ｃを接着したネックパット
を形成する場合、ネックパットを取り外すことが困難と
なり、ネックパットが汚れても簡単に洗うことができな
い。さらに、ヘルメットの着脱を繰り返すうちにクッシ
ョン材ｃがずれ、ヘルメットのホールド感にも悪影響を
与える懸念もある。

【０００４】本発明は、このような問題点を解決しよう
とするもので、内装パットの構成部品を削減して内装パ
ットの組付け作業の簡略化を図ることができるヘルメッ
トの内装構造を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１のヘルメットの
内装構造は、シェルの内面に衝撃吸収ライナを接合する
とともに、この衝撃吸収ライナの内面にクッション部を
布地で覆った内装パットを装着したヘルメットにおい
て、前記内装パットの一端部を折返してシェルの内面側
に突出する折返し部を形成したものである。

【０００６】これにより、内装パットの一端部を折返す
だけで内装パットの一部がシェルの内面側に突出して内
装パットのホールド感を高めることができる。

【０００７】請求項２のヘルメットの内装構造は、請求
項１記載のヘルメットの内装構造において、前記内装パ
ットは、装着者の頭頂部に当接するヘッドパットと、装
着者の側頭部に当接するサイドパットとを有し、このヘ
ッドパットとサイドパットとの後端部に前記折返し部を
形成して装着者の首部と当接可能なネックパットを形成
したことにより、内装パットの構成部品を増やすことな
く、内装パットにネックパットを形成することができ
る。

【０００８】請求項３のヘルメットの内装構造は、請求
項２記載のヘルメットの内装構造において、前記ネット
パットの両端部を前記ヘッドパットとサイドパットと一
体的に逢着したことにより、ネックパットの位置がずれ
ることなく、確実にヘッドパットとサイドパットとの後
端部にネックパットを形成することができる。

【０００９】

【発明の実施形態】以下、本発明の実施例を添付図面を
参照して説明する。図１〜図１３は、本発明の一実施例
を示し、同図において１は前面側に開口した窓部１Ａを
有する所謂ジェット型ヘルメットであり、例えばポリプ
ロピレンあるいはＡＢＳ樹脂などの合成樹脂によって一
体成形したシェル２と、このシェル２の内面に嵌装され
た発泡スチロールなどからなる衝撃吸収ライナ３によっ
て構成されている。このヘルメット１の窓部１Ａは開閉
自在なシールド４によって覆われている。

【００１０】６は前記シェル２の内面両側に取り付ける
左右一対の顎紐であり、前記シェル２を貫通するリベッ
ト７によって前記シェル２と一体的に固定されている。
また、前記シェル２の下端周縁及び前記窓部１Ａの内面
には硬質ゴムなどからなるロアモール８が嵌め込まれて
いる。

【００１１】10は前記衝撃吸収ライナ３の内側に着脱自
在に装着する内装パットであり、衝撃吸収ライナ３の内
面の天井部分を覆うようにして装着者Ｓの頭頂部と当接
する帯状のヘッドパット11と装着者Ｓの頭側部と当接す
るサイドパット12と、装着者Ｓの耳を覆う左右一対の耳
パット13，13とで構成している。また、前記ヘッドパッ
ト11とサイドパット12は一体化して構成され、前記耳パ
ット13，13はヘッドパット11とサイドパット12から切り
離した別構成となっており、耳パット13，13のみ単体で
前記シェル２に対して着脱自在に取り付けられている。
また、これら各パット11,12,13は、それぞれウレタンフ
ォーム,スポンジなどの柔軟性に優れたクッション部15
と、このクッション部15の表面を覆う通気性,伸縮性に
優れた布地16とで構成されている。そして、前記サイド
パット12は、前記シェル２の下端縁に沿うように全体と
して環状に形成されるが、装着者の耳の部分とほぼ対応
する左右両側下端部に湾曲状の切欠部17，17が形成さ
れ、さらに、前記シェル２の内側に装着する衝撃吸収ラ
イナ３は、前記サイドパット12の切欠部17と対応する部
分に湾曲状の切欠部18,18が形成されており、この各切
欠部17,18に臨ませて前記耳パット13，13を取り付け
る。また、図１２の分解斜視図に示すように、前記サイ
ドパット12の下端縁には前記切欠部17を除いて前記衝撃
吸収ライナ３の縁部に這わせるひさし状の鍔部20が縫い
付けられており、この鍔部20に一体形成する差込突部20
Ａをシェル２と衝撃吸収ライナ３との間に挿入して衝撃
吸収ライナ3に内面に前記ヘッドパット11とサイドパッ
ト12を装着する。また、図４に示すように、ヘッドパッ
ト11とサイドパット12の後端部には、前記クッション部
15を内面側に折り返した折返し部21が形成されている。
この折返し部21は縫着部21Ａによってヘッドパット11と
サイドパット12の縁部と一体的に縫い合されて折り返
し、このようにしてヘッドパット11とサイドパット12の
後端部に折返し部21を形成して装着者Ｓの首部と当接可
能なネックパット22を形成している。すなわち、内装パ
ット10の後部はやや長く形成され、クッション部15及び
該クッション部15を被覆する布地16を内側に折返して内
装パット10にネックパット22を一体形成している。

【００１２】次に前記耳パット13，13の構成を主に図５
〜図８を参照して説明する。なお、左右の耳パット13，
13は形状的に左右対称に形成されている以外、構成は同
一であるため、図７において左側の耳パット13を図示し
て説明する。耳パット13のクッション部15は、外端縁15
Ｂが前記シェル２の下端縁とヘルメット１の窓部１Ａの
内縁に沿うようにほぼＶ字状に形成されるとともに、前
記クッション部15の内縁部15ＡはほぼＵ字状に形成され
ている。また、耳パット13のクッション部15は可撓性を
有する樹脂からなる平板状の取付プレート25に接着ある
いは溶着などによって貼り付けられ、この取付プレート
25にクッション部15を覆う布地16が縫い付けられてい
る。そして、耳パット13のクッション部15の内縁部15Ａ
と前記サイドパット12の切欠部17とで囲まれた開口部24
に装着者Ｓの耳が位置するとともに、この開口部24から
前記顎紐６を通して外部に引き出している。また、前記
取付プレート25の外縁側は、前記クッション部15の外端
縁15Ｂに沿ってほぼＶ字状に形成されているが取付プレ
ート25の上部が前記クッション部15の内縁部15Ａから突
出し、この突出部25Ａに前記顎紐６の挿通孔27を形成し
ている。

【００１３】30は前記シェル２の内面に前記耳パット13
を取り付けるためのベース基板であり、前記取付プレー
ト25と同様、可撓性を有する樹脂からなる平板状に形成
されている。このベース基板30は図９に示すように、前
記取付プレート25に形成する挿通孔27と対応する位置に
前記顎紐６を通す挿通孔31が形成されている。そして、
これら挿通孔27,31の下部に位置して前記ベース基板30
の外面側及び取付プレート25の内面側に係止部と係止受
け部となる雄型ホック33と雌型ホック34が固定されてい
る。

【００１４】40は前記ベース基板30をねじ止めする合成
樹脂製の固定プレートであり、この固定プレート40は、
前記ロアモール８と連続するようにロアモール８と同じ
高さに形成され、かつ、前記シェル２と連続するように
緩やかな曲面状に形成されるとともに、固定プレート40
の下端部には前記ロアモール８を覆うＬ型に屈曲した折
曲部40Ａが一体形成されている。また、固定プレート40
の内面側にはねじ孔41を有する一対のボス部42,42が突
設され、これらボス部42,42の間を十字型の補強リブ43
を連結している。一方、前記シェル２の外面下部側と、
シェル２の下端周縁に嵌め入れるロアモール８には、前
記固定プレート40と嵌合する段差凹部44,45が形成さ
れ、シェル２の段差凹部44に前記ボス部42,42を貫通さ
せる貫通孔46が形成されている。そして、前記ベース基
板30には、前記雌型ホック33の下部に位置して前記ボス
部42,42と対応する孔47,47を形成し、この孔47,47に通
したねじ48を前記固定プレート40のボス部42,42にねじ
込んでシェル２の内面に固定プレート40を固定する。

【００１５】次に内装パット10と左右の耳パット13,13
の取付方法について説明する。まず、図１１に示すよう
に、固定プレート40をシェル２とロアモール８に形成す
る段差凹部44，45に嵌め入れて固定プレート40をシェル
２の外面に組み付ける。このとき、固定プレート40の内
面に突設するボス部42,42をシェル２の段差凹部44に形
成する貫通孔46に貫通させるようにして前記固定プレー
ト40を各段差凹部44，45に嵌め入れる。この後、ベース
基板30に形成する挿通孔31に顎紐６を通してシェル２の
内面側にベース基板30を重ね合わせる。そして、ベース
基板30に形成する孔47,47にねじ48を通し、このねじ48
を固定プレート40のボス部42,42に形成するねじ孔41に
ねじ込むことによって固定プレート40とベース基板30と
でシェル２を挟み付けた状態でベース基板30を固定する
ことができる。このようにしてシェル２の内面にベース
基板30を取り付けた後、図１２に示すように、内装パッ
ト10のヘッドパット11を衝撃吸収ライナ３の内面天井部
分に沿わせ、かつ、内装パット10のサイドパット12をシ
ェル２の下端周縁に沿わせる。そして、サイドパット12
の下端縁から張出した鍔部20を衝撃吸収ライナ３の縁部
に這わせた後、鍔部20に一体形成する差込突部20Ａをシ
ェル２と衝撃吸収ライナ３との間に挿入して衝撃吸収ラ
イナ3の内面に前記内装パット10のヘッドパット11とサ
イドパット12を固定する。このようにして衝撃吸収ライ
ナ３の内面にヘッドパット11とサイドパット12を装着す
ることによって、図２及び図３に示すようにヘッドパッ
ト11とサイドパット12の後端部に形成する折返し部21が
シェル２の下端周縁に臨み、折返し部21によって形成さ
れるネックパット22がシェル２の内面側に突出する。こ
のようにしてヘッドパット11とサイドパット12及びネッ
クパット22をシェル２に固定した後、シェル２の内面に
耳パット13，13を装着する。この耳パット13，13の装着
に際しては、図１３に示すように、取付プレート25の挿
通孔27に顎紐６を通して前記シェル２に固定された固定
プレート30の雌型ホック34に耳パット13,13の取付プレ
ート25に固定した雄型ホック33を嵌め合わせる。こうし
て装着者Ｓの耳と対応する位置に耳パット13,13が取り
付けられる。

【００１６】以上のよう構成される本実施例は、ヘッド
パット11とサイドパット12の後端部に位置するクッショ
ン部15を内面側に折り返してシェル２の内面側に突出す
る折返し部21を形成することによって、装着者Ｓの首部
と当接可能なネックパット22を形成し、このネックパッ
ト22によりヘルメット２のホールド感を高めることがで
きる。このように、本実施例では、ヘッドパット11とサ
イドパット12の後端部を折返してネックパット22を形成
することにより、従来のように別体のクッション材を貼
り合わせるといった手間もかからないため、内装パット
10の構成部品を削減して内装パット10の組付け作業の簡
略化を図ることができる。また、ネックパット22をヘッ
ドパット11とサイドパット12に一体形成することによ
り、ネックパット22をシェル２から取り外すことが可能
となり、ネックパット22を簡単に洗うことができる。さ
らに、折返し部21は縫着部21Ａによってヘッドパット11
とサイドパット12と一体的に縫い合わされているため、
ネックパット22がずれたりせず正確に位置決めすること
ができる。

【００１７】以上、本発明の一実施例を詳述したが、本
発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の
要旨の範囲内で種々変形実施が可能である。例えば、ヘ
ルメットの基本的構成や耳パットを構成する基板、布地
の材質及びその全体形状などは適宜選定すればよい。ま
た、耳パットを着脱自在に係止する手段としてホックを
用いた例を示したが面ファスナなどを用いてもよい。さ
らに、前記実施例ではヘッドパットとサイドパットの後
端部を折返して装着者の首部と当接可能なネックパット
を形成した例を示したが、ネックパット以外でも内装パ
ットにおいてホールド感を得たい任意の部分に折返し部
を形成すればよいものであって、折返し部の位置はヘッ
ドパットとサイドパットの後端部に限るものではない。
さらに、前記実施例では折返し部は一重に折返した例を
示したが、二重あるいは三重に折返すことも可能であ
り、このように二重、三重に折返せば、クッション部が
より肉厚となってホールド感も向上する。また、ヘッド
パットとサイドパットの形状も前記実施例に限定される
ものではなく適宜選定すればよいものである。

【００１８】

【発明の効果】請求項１のヘルメットの内装構造によれ
ば、シェルの内面に衝撃吸収ライナを接合するととも
に、この衝撃吸収ライナの内面にクッション部を布地で
覆った内装パットを装着したヘルメットにおいて、前記
内装パットの一端部を折返してシェルの内面側に突出す
る折返し部を形成したものであるから、内装パットの一
端部を折返すだけで内装パットを一部がシェルの内面側
に突出して内装パットのホールド感を高めることができ
る。

【００１９】請求項２のヘルメットの内装構造によれ
ば、請求項１記載のヘルメットの内装構造において、前
記内装パットは、装着者の頭頂部に当接するヘッドパッ
トと、装着者の側頭部に当接するサイドパットとを有
し、このヘッドパットとサイドパットとの後端部に前記
折返し部を形成して装着者の首部と当接可能なネックパ
ットを形成したものであるから、内装パットの構成部品
を増やすことなく、内装パットにネックパットを形成す
ることができる。また、ネックパットをヘッドパットと
サイドパットに一体形成することにより、ネックパット
をシェルから取り外すことが可能となり、ネックパット
を洗うことができる。

【００２０】請求項３のヘルメットの内装構造によれ
ば、請求項２記載のヘルメットの内装構造において、前
記ネットパットの両端部を前記ヘッドパットとサイドパ
ットと一体的に逢着したことにより、ネックパットのず
れを確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すヘルメットの側面図で
ある。

【図２】同上ヘルメットの全体断面図である。

【図３】同上ネックパット部分を拡大した断面図であ
る。

【図４】同上内装パットの一部を省略した斜視図であ
る。

【図５】同上図１のＡ−Ａ線拡大断面図である。

【図６】同上図１のＢ−Ｂ線拡大断面図である。

【図７】同上耳パットの背面図である。

【図８】同上図７のＣ−Ｃ線断面図である。

【図９】同上ベース基板の正面図である。

【図１０】同上固定プレートの背面図である

【図１１】同上固定プレートとベース基板及び耳パット
の分解斜視図である。

【図１２】同上内装パットの取り付け状態を示す分解斜
視図である。

【図１３】同上耳パットの取り付け状態を示す分解斜視
図である。

【図１４】従来のネックパットを示す要部の拡大断面図
である。

【符号の説明】

１ ヘルメット 2 シェル 3 衝撃吸収ライナ 10 内装パット 11 ヘッドパット 12 サイドパット 15 クッション部 16 布地 21 折返し部 22 ネックパット

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シェルの内面に衝撃吸収ライナを接合す
   るとともに、この衝撃吸収ライナの内面にクッション部
   を布地で覆った内装パットを装着したヘルメットにおい
   て、前記内装パットの一端部を折返してシェルの内面側
   に突出する折返し部を形成したことを特徴とするヘルメ
   ットの内装構造。
2. 【請求項２】 前記前記内装パットは、装着者の頭頂部
   に当接するヘッドパットと、装着者の側頭部に当接する
   サイドパットとを有し、このヘッドパットとサイドパッ
   トとの後端部に前記折返し部を形成して装着者の首部と
   当接可能なネックパットを形成したことを特徴とする請
   求項１記載のヘルメットの内装構造。
3. 【請求項３】 前記ネットパットの両端部を前記ヘッド
   パットとサイドパットと一体的に逢着したことを特徴と
   する請求項２記載のヘルメットの内装構造。