JP2000129456A - 溶接性に優れた亜鉛系複合めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

溶接性に優れた亜鉛系複合めっき鋼板およびその製造方法

Info

Publication number
JP2000129456A
JP2000129456A JP10305750A JP30575098A JP2000129456A JP 2000129456 A JP2000129456 A JP 2000129456A JP 10305750 A JP10305750 A JP 10305750A JP 30575098 A JP30575098 A JP 30575098A JP 2000129456 A JP2000129456 A JP 2000129456A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
zinc
steel sheet
phosphoric acid
plating layer
coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10305750A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukihiro Yoshikawa
幸宏 吉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP10305750A priority Critical patent/JP2000129456A/ja
Publication of JP2000129456A publication Critical patent/JP2000129456A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroplating And Plating Baths Therefor (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐食性、成形性、および連続打点性に優れ、
さらに、スポット溶接性における溶接可能電流限界を低
めた亜鉛系合金めっき鋼板およびその低コストの製造方
法を提供する。 【解決手段】 Coを0.5〜5%、でんぷん分解生成
物からなる高分子有機物を0.5〜5%含有する亜鉛系
複合めっき層と、リン酸と亜鉛との非晶質の反応物生成
物をリンとして10〜300mg/m2 有する亜鉛系複
合めっき鋼板。本発明の鋼板は、Coを0.5〜5重量
%、でんぷん分解生成物からなる高分子有機物を0.5
〜5重量%含有する亜鉛系電気めっき浴を用いて母材の
少なくとも片面に電気めっきし、次いでその表面に、リ
ン酸濃度が1〜20重量%であるリン酸水溶液を、めっ
き層表面のリン酸と亜鉛との反応生成物の乾燥後の付着
量がリンとして10〜300mg/m2 となる量塗布
し、水洗することなく乾燥することで容易に製造でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電製
品、建材などの用途に好適な、耐食性、成形性および、
スポット溶接性に優れた表面処理鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車、家電製品、建材などの用途に
は、表面処理鋼板が大量に使用されている。これらの用
途に使用される表面処理鋼板には、経済性とともに、耐
食性、成形性、スポット溶接性等の性能が総合的に優れ
ていることが求められてきた。
【0003】特開平7−70796号公報において本出
願人は、特に自動車車体用途に好適な複合亜鉛合金めっ
き金属板を開示した。これは、Fe、CoおよびNiの
内の1種以上と高分子有機物とを含有する亜鉛系電気め
っき層を備える金属板で、耐食性、成形性、および塗装
後の塗膜の耐低温衝撃剥離性が優れており、スポット溶
接時の連続打点性も改善されているものである。
【0004】スポット溶接をおこなう場合には、溶接が
良好におこなわれたか否かを判断する方法として、散り
の発生状況を目視観察するのが一般的である。散りは、
接合部に形成される溶融金属が外部に飛散する現象であ
り、散りが発生しはじめる電流(以下、単に「散り限
界」と記す)近傍の溶接条件であれば、ほぼ安定した大
きさの溶融部が形成される。
【0005】散りが発生して溶融金属が鋼板表面に付着
すると外観が損なわれる。このため、溶接作業は、散り
が発生しない範囲で散り限界に近い条件で溶接するのが
理想的である。しかしながら量産現場では、溶接条件の
変動を考慮して、散り限界をわずかに超えた散り発生領
域に条件設定して溶接作業をおこなうのが一般的であ
る。
【0006】亜鉛系めっき鋼板の溶接性を向上させるた
めに、めっき層表面に厚い酸化皮膜を形成する方法が知
られている。
【0007】特開平1−149996号公報には、アル
カリ溶液中で陽極酸化することによりめっき層表面に
0.03〜3.0g/m2 の酸化皮膜を形成させた、ス
ポット溶接において電極を交換することなく長時間溶接
可能なめっき鋼板の製造方法が開示されている。
【0008】しかしながら、前記公報に開示されている
方法は、電極の寿命を長くすることを目的としたもので
あり、散り限界電流の低減については言及されていな
い。また、前記公報に開示されている方法をおこなうに
は、陽極酸化用の処理槽を必要とするうえ、その処理費
用も高価であるという問題がある。
【0009】特開昭64−299号公報には、Al、S
i等の酸化物、窒化物、炭化物等からなる分散剤を含有
したZnめっき層表面に、前記分散剤を含有しないZn
めっき層を備えた抵抗溶接性が優れた2層めっき鋼板が
開示されている。しかしながらここに開示されている鋼
板では、分散剤をめっき層内に均一に分散させるのが困
難なために性能的に安定しためっき層を得るのが容易で
ないという問題がある。
【0010】また、分散剤を含有させることにより他の
性能が犠牲になる場合が多く、それらの選択は容易では
ない。例えば、厚い無機、有機皮膜を形成すると、めっ
き層の抵抗が過大になり、溶接性や電着塗装性が阻害さ
れる。また、その製造に際しては特定の処理槽などの設
備対応が必要になるという問題もある。
【0011】以上述べたように、耐食性や成形性が優れ
た表面処理鋼板において、スポット溶接性時の散り限界
電流を効率よく低くする方法はこれまで開示されていな
い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような問題点を解決し、耐食性、成形性に優れ、さら
に加圧力が低いスポット溶接条件においても散り限界電
流が低い亜鉛系複合めっき鋼板およびその製造方法を提
供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】スポット溶接時の加圧力
は、対象とする被溶接物の厚さ、強度、電極形状、ある
いは溶接機の能力などにより種々の範囲でおこなわれる
が、例えば、150〜250kgfの範囲から選ばれる
とされている。
【0014】本発明者等のその後の研究結果によれば、
前記特開平7−70796号公報で開示された複合亜鉛
合金めっき鋼板をスポット溶接する際に、電極の加圧力
を低くして溶接すると、散り限界電流が高くなる場合が
あることが判明した。特に合金元素の含有量が少ないめ
っき層の場合に散り限界電流が高くなりやすい。
【0015】このような場合には、溶接電流を高める
か、許容電流が小さい溶接機を使用する際には通電時間
を長くするなど、条件を変更すれば溶接できるが、溶接
作業中に溶接条件を変更するのは、作業性が損なわれる
ので好ましくない。このため、加圧力が低い場合でも散
り限界電流が高くならない鋼板が求められていた。
【0016】本発明者は、低い加圧力でスポット溶接す
る際の散り限界電流を低めるには、めっき層表面の電気
抵抗を高めるのが有効であることに着目し、その方法に
ついて鋭意研究を進めた。その結果、めっき層表面に、
リン酸と亜鉛との非晶質の反応生成物を形成させること
により上述の課題が効率的に解決できることを知見し
た。
【0017】一般に塗装下地処理として用いられている
リン酸化合物皮膜は結晶質であり加工性に乏しいため、
加工した際に前記皮膜が粉化し、鋼板表面と金型との間
の摺動性を損なう。このため、結晶質のリン酸化合物皮
膜をめっき表面に備えためっき鋼板は、高速連続プレス
に供する材料としては好ましくない。これに対し、上述
の反応生成物は非晶質であるため、加工に際してもめっ
き層表面から剥離することが無く、良好な加工性が得ら
れるので好都合である。
【0018】本発明はこれらの知見を基にして完成され
たものであり、その要旨は下記(1)に記載の溶接性に
優れた亜鉛系複合めっき鋼板および(2)に記載のその
製造方法にある。
【0019】(1)母材の少なくとも片面に、Coを
0.5〜5重量%、でんぷん分解生成物からなる高分子
有機物を0.5〜5重量%含有する亜鉛系複合めっき層
と、その上の、リン酸と亜鉛との非晶質の反応物生成物
をリンとして10〜300mg/m2 有する皮膜とを備
えたことを特徴とする溶接性に優れた亜鉛系複合めっき
鋼板。
【0020】(2)Coを0.5〜5重量%、でんぷん
分解生成物からなる高分子有機物を0.5〜5重量%含
有する亜鉛系電気めっき浴を用いて母材の少なくとも片
面に電気めっきし、次いでその表面に、リン酸濃度が1
〜20重量%であるリン酸水溶液を、めっき層表面のリ
ン酸と亜鉛との反応生成物の乾燥後の付着量がリンとし
て10〜300mg/m2 となる量塗布し、水洗するこ
となく乾燥することを特徴とする溶接性に優れた亜鉛系
複合めっき鋼板の製造方法。
【0021】なお、本発明者等は、特開平9−1700
84号公報において、めっき層表面に、リン酸と亜鉛と
の非晶質の反応生成物、または、非晶質のリン酸化合物
にアルミナが分散した混合物からなる皮膜を有するプレ
ス成形性に優れた亜鉛系めっき鋼板及びその製造方法を
開示した。
【0022】前記公報には、めっき鋼板表面に塗油して
プレス成形すると、前記反応生成物、または、非晶質の
リン酸化合物にアルミナが分散した混合物からなる皮膜
が境界潤滑効果をもたらし、それにより鋼板のプレス成
形性が改善されることが記載されている。
【0023】前記公報には、合金化溶融亜鉛めっき鋼板
の連続打点性が改善されることが記載されているが、本
発明が目的とする高分子有機物を含有する亜鉛系合金め
っき鋼板に関するスポット溶接性時の散り限界電流につ
いては全く言及されていない。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
細に説明する。なお、以下の化学組成を表す%表示は重
量%を意味する。
【0025】本発明の亜鉛系複合めっき鋼板は、その母
材の少なくとも片面に、Coを0.5〜5%と、でんぷ
ん分解生成物からなる高分子有機物を0.5〜5%含有
する亜鉛系複合めっき層を備えるものである。
【0026】本発明のめっき鋼板の母材は、極低炭素
鋼、低炭素鋼、あるいは、強度を高めるために合金元素
を添加した低合金鋼などの冷間圧延鋼板が経済性と成形
性に優れるので好ましい。しかしながら、これらに限定
する必要はなく、上記の鋼種の熱間圧延鋼板なども母材
として使用することができる。めっき層を備える面は片
面のみでもよいし両面でも良い。
【0027】合金の種類をCoに限定した理由は、Zn
にCoを少量含有させることでめっき層の耐食性が大幅
に向上するからである。Co含有量は少量でよいことか
ら経済性にも優れる。
【0028】Coの含有量が0.5%に満たない場合に
は、無塗装での耐食性の改善効果が不十分である。この
ため、Co含有量は0.5%以上とする。好ましくは1
%以上である。
【0029】Co含有量が5%を超えると母材に対する
めっき層の電位が貴となりすぎ、犠牲防食能が低下して
塗装後端面耐食性が低下することがある。また、高価な
合金を大量に含有させるのはコストが高くなるという問
題も生じる。このため、その上限は5%とする。好まし
くは3%以下である。
【0030】めっき層の耐食性改善効果を得るためにで
んぷん分解生成物からなる高分子有機物をめっき層の重
量に対して0.5%以上含有させる。より好ましくは1
%以上である。その含有量が5%を超えると耐食性改善
効果が飽和するうえ、高分子有機物を5%を超えてめっ
き層中に含有させるのは困難である。また、スポット溶
接に際して散りの発生量が増加し鋼板表面の外観を損な
う。このため、高分子有機物の含有量は5%以下とす
る。好ましくは3%以下である。
【0031】めっき層の高分子有機物は、電気めっき浴
に分散させた高分子有機物が電気めっき時に金属ととも
に共析されたものである。
【0032】高分子有機物の種類は特に限定するもので
はないが、めっきの容易さや、耐食性に対する効果など
から、でんぷんを分解して得られるデキストリン、デキ
ストラン、およびアミロペクチンなどがよい。
【0033】でんぷんを分解して得られるこれらの高分
子有機物は、低分子量から高分子量まで分子量範囲が広
い有機物の混合体であるが、その平均分子量が103
満たない場合には、めっき層の無塗装での耐食性が改善
されない場合がある。従って、その平均分子量は103
以上とするのがよい。さらに好ましくは104 以上であ
る。耐食性に対しては、分子量が大きいほど好ましい
が、分子量が大きくなるにつれてめっき浴に分散しにく
くなり、平均分子量が107 を超えるものはめっきが困
難である。
【0034】めっき層中に共析された高分子有機物の含
有量は、硫酸等でめっき層を溶解し、溶解液中の高分子
有機物をグルコースに分解した後フェノール硫酸法によ
りグルコース量を定量することで測定できる。高分子有
機物の分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
法で測定することができる。
【0035】めっきの付着量は、片面あたりで5〜10
0g/m2 とするのがよい。付着量が5g/m2 に満た
ない場合には耐食性が不足して好ましくないことがあ
る。めっき付着量が多い程耐食性が優れるが、付着量が
増すにつれて、成形加工する際のめっき層の剥離が生じ
易くなるうえ、スポット溶接性時にはスパッタや散り発
生が好ましくなく、コストも高くなる。このため、めっ
き付着量は100g/m2 以下とするのが好ましい。よ
り好ましくは50g/m2 以下である。
【0036】上記のめっき層の表面には、その表面に塗
布したリン酸水溶液に含まれるリン酸とめっき層を構成
する金属元素および高分子有機物とが反応して生じた非
晶質の反応物生成物(主としてリン酸と亜鉛の化合物)
を備える。
【0037】この反応生成物がめっき層の表面に存在す
ることにより、めっき鋼板をスポット溶接する際に、め
っき層表面での電気抵抗が増して良好な発熱作用が生
じ、散り限界電流が低くなる効果が得られる。
【0038】反応生成物が結晶質であると、プレス加工
などに際してこれらが粉化して加工性を損なうおそれが
あるうえ、塗装前処理時の化成皮膜の形成が不均一にな
る場合があるので好ましくない。非晶質であることは走
査型電子顕微鏡で確認できる。
【0039】非晶質の反応生成物の付着量は、反応生成
物中のリンの量として、10mg/m2 以上が必要であ
る。リンの量が10mg/m2 に満たない場合には、め
っき層表面での電気抵抗を高める作用が弱く、散り限界
電流を低めることができない。好ましくは30mg/m
2 以上である。
【0040】非晶質の反応生成物の付着量がリンの量と
して、300mg/m2 を超えると、めっき層表面での
電気抵抗が高くなりすぎてスポット溶接時の連続打点性
が低下する。プレス加工時のパウダリングや化成処理皮
膜の不均一化などの好ましくない現象も生じることがあ
る。このため、非晶質の反応生成物の付着量は、リンと
して300mg/m2 以下とする。好ましくは200m
g/m2 以下である。
【0041】非晶質の反応生成物に含有されているリン
の量は蛍光X線分析法、または、付着している反応生成
物皮膜のみをクロム酸アンモニュウム水溶液に溶解する
か、または、めっき層と共に酸溶液に溶解し、これらを
溶液分析することにより求めることができる。
【0042】本発明の亜鉛系複合めっき鋼板は、Co
源、および高分子有機物を含有させた亜鉛系電気めっき
浴を用いて母材鋼板に電気めっきし、次いで、これをリ
ン酸水溶液中に浸漬するか、スプレー法やロールコータ
ー法などでめっき表面にリン酸水溶液を適量塗布し、水
洗することなく乾燥させることで容易に製造できる。
【0043】電気めっき浴は、酸性浴(例、硫酸塩浴、
塩化物浴)およびアルカリ性浴(例、シアン化物浴)の
何れでも可能であるが、酸性浴、特に硫酸塩浴の使用が
望ましい。めっき浴には、亜鉛源およびCo源を、これ
らの金属を含む硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、次亜リン酸
塩、有機金属塩の内のいずれかの塩として、目標の組成
となる量だけ含有させる。
【0044】電気めっき浴には、でんぷんを分解して得
られるデキストリン、デキストラン、アミロペクチン等
の内の1種以上を含有させる。これらの高分子有機物
は、その分子量が増すにつれてめっき浴への分散性が損
なわれるため、平均分子量が107 以下、さらに好まし
くは106 以下のものを用いるのがよい。
【0045】また、分子量が過度に小さいものをめっき
層中に共析させても無塗装耐食性が改善されない場合が
あるので、平均分子量が103 以上、さらに好ましくは
104 以上の高分子有機物を含有させるのがよい。めっ
き液に含有させる高分子有機物の量は、めっき液の重量
に対して0.5〜5重量%の範囲とするのがよい。
【0046】電気めっきを施した表面に、リン酸濃度が
1〜20重量%であるリン酸水溶液を、乾燥後のリン含
有量が10〜300mg/m2 の範囲となる量だけ塗布
し、水洗することなく乾燥させる。リン酸水溶液には反
応性を向上させる目的で過酸化水素水を含有させてもよ
い。
【0047】リン酸濃度が1重量%に満たない場合には
めっき層との反応性が乏しいために反応生成物の密着性
が良くない。また、濃度が20重量%を超えると乾燥時
間が長くなるので生産性が良くない。
【0048】塗布方法は任意であるが、浸漬塗布後ロー
ル絞り、スプレー塗布後ロール絞り、ロールコーター法
などの常用の方法が好ましい。
【0049】塗布後には水洗すると非晶質皮膜が形成さ
れにくい。このため、塗布後は水洗しないで直ちに乾燥
させるのがよい。乾燥条件は、鋼板の最高到達温度で4
0℃以上、200℃以下とするのがよい。40℃未満で
は乾燥に時間を要し、200℃を超えると皮膜にひび割
れが発生するおそれがあるのでよくない。乾燥方法は通
常使用されている熱風型オーブン、赤外線加熱式のオー
ブンなどでおこなえばよい。
【0050】以上述べたように、本発明の鋼板は、特別
の手段や設備を使用することなく、安価にかつ簡便に製
造することができる。
【0051】
【実施例】(実施例1)めっき母材として厚さ0.8m
mの冷間圧延鋼板を使用した。その表面を脱脂した後、
下記の組成のめっき浴を用いて、片面あたり付着量20
g/m2 または30g/m2 の電気めっきを施した。
【0052】めっき浴に分散させたデキストリンは、重
量平均分子量が1×104 のものと4×104 のものを
使用した。めっき条件は、めっき浴温度:40〜65
℃、電流密度:20〜150A/dm2 、めっき液の流
速:0.5〜4m/秒であった。
【0053】電気めっき浴の組成;ZnSO4 ・7H2
O:20〜40重量%、CoSO4 ・7H2 O:10〜
40重量%、Na2 SO4 : 5〜10重量%、デ
キストリン : 0.001〜10重量%、pH
: 1〜4。
【0054】さらに、比較例として、純亜鉛めっき、Z
n−NiめっきおよびZn−Feめっきもおこなった。
【0055】その後、その表面に、濃度2、4、8、ま
たは16重量%のリン酸水溶液を所定の量、スプレー方
式またはロールコータ方式にて塗布し、熱風炉で80℃
に加熱して乾燥させた。
【0056】鋼板のめっき層と表面の反応生成物の化学
組成、および、鋼板の性能を以下の方法で評価した。
【0057】めっき層の化学組成:Co含有量は、めっ
き層を10重量%塩酸水溶液に溶解し、その組成を誘導
結合プラズマ発光法で分析して求めた。めっき層の高分
子有機物の含有量は、5%硫酸でめっき層を溶解し、溶
解液中のデキストリンをグルコースに分解した後フェノ
ール硫酸法によりグルコース量を定量して測定した。そ
の分子量は上述のGPC法で測定した。
【0058】反応生成物の化学組成:めっき層表面の非
晶質の反応生成物に含有されているリンの量は、付着し
ている反応生成物をめっき皮膜とともに酸溶液に溶解
し、これを溶液分析することにより求めた。
【0059】無塗装の耐食性:無塗装の試験片の四周端
面および裏面に粘着テープを張りつけてシールし、下記
の腐食サイクル試験を30サイクル実施した後、腐食生
成物を除去して最大腐食深さを測定し、下記の段階に区
分して評価した。
【0060】腐食サイクル:[塩水噴霧(5%−NaC
l、35℃、7時間)→乾燥(50℃、2時間)→湿潤
(RH85%、50℃、15時間)]。
【0061】 ◎:0.1mm未満、 ○:0.1mm以上、0.2mm未満、 △:0.2mm以上、0.6mm以下、 ×:0.6mm超。
【0062】塗装後の耐食性:試験片を脱脂し表面調整
した後、市販のトリカチオン系のリン酸亜鉛処理液を用
いて化成処理を施した。その後、乾燥膜厚が20μmと
なるようにカチオン電着塗装を施し、170℃で20分
の条件で乾燥させた。その後、塗膜に母材に達する疵を
カッターナイフで入れ、無塗装の耐食性と同一の腐食サ
イクルによる耐食性試験を60サイクル施した。その後
疵部からの塗膜の最大ふくれ幅を測定し、以下の基準で
評価した。
【0063】 ◎:0.5mm未満、 ○:0.5mm以上、1.0mm未満、 △:1.0mm以上、2.0mm以下、 ×:2.0mm超。
【0064】散り限界電流:試験片を2枚重ねにし、先
端がドーム状の直径5mmの電極棒を用いて、加圧力:
190kgf、通電時間:12サイクル/60Hzと
し、溶接電流を種々変更してスポット溶接し、散り限界
電流を求め、9600A以下の場合を良好と判断した。
【0065】 ○:9600A以下、 △:9600A超、10000A以下、 ×:10000A超。
【0066】連続打点性:試験片を2枚重ねにし、前記
と同様の形状、寸法の電極棒を使用し、加圧力:190
kgf、散り限界電流よりも100A低い散りが発生し
ない電流で通電時間を12サイクル/60Hzとするス
ポット溶接を、2秒間隔で20点連続打点する毎に40
秒休止する条件で連続しておこなった。100打点毎に
3個の溶接試験片を採取し、試験片の2枚の鋼板を板面
に平行な方向に引張試験し、破断した溶接部のナゲット
の直径を測定し、ナゲット径が急落するまでの打点回数
を求め、連続打点性を以下の基準で評価した。
【0067】 ◎:3000打点以上、 ○:3000打点未満、2000打点以上、 △:2000打点未満、1000打点以上、 ×:1000打点未満。 表1に、めっき層の組成と鋼板の性能評価結果をまとめ
て示した。
【0068】
【表1】
【0069】表1に示すように、本発明の規定する条件
を満たす試験番号1〜7の鋼板は、いずれの評価項目と
も良好な性能を有していた。これに対し、リン酸処理し
なかった試験番号8や、反応生成物中のリンの付着量が
本発明の規定する範囲に満たなかった試験番号9では散
り限界電流がいずれも高かった。めっき層の化学組成が
純亜鉛であった試験番号10は耐食性が劣り、めっき層
が軟質であったために低加圧力の場合の散り限界電流が
高かった。めっき層のデキストリン等の含有量が少なす
ぎた試験番号11は無塗装での耐食性が不十分であっ
た。Co含有量が高すぎた試験番号12では犠牲防食性
が損なわれて塗装後耐食性が不十分であった。試験番号
13はめっき層の電位が貴であるために塗装後耐食性が
好ましくなく、試験番号14ではCoおよびデキストリ
ンを含有しないために無塗装耐食性と連続打点性が不十
分であった。試験番号15では、デキストリンが過剰で
あり、スポット溶接時に電極にカーボンが付着したため
連続打点性が良くなかった。試験番号16は、反応生成
物が付着しすぎたために通電不良となり、連続打点性が
良くなく、また、化成処理も不均一になった。Co含有
量が低すぎた試験番号17では耐食性が良くなかったう
え、散り限界電流も低くならなかった。
【0070】また、比較のために、加圧力を250kg
fとした以外は上記と同一の条件で散り限界電流を求め
た。その結果を、加圧力が190kgfの場合と同様の
基準で評価し、いずれも◎と判断された。
【0071】
【発明の効果】本発明の溶接性に優れた亜鉛系複合めっ
き鋼板は、無塗装での耐食性および塗装後の耐食性が共
に良好であり、スポット溶接時の連続打点性にも優れて
いるうえ、溶接電流が低電流であっても良好な接合がで
きる。従って、自動車用の防錆金属板として極めて有用
であるうえ、スポット溶接性組立作業が従来以上に容易
になり、大幅な設備改造などをすることなく、組立作業
ができるので極めて経済性に優れる鋼板である。また本
発明の鋼板は、特別の手段や設備を使用することなく、
安価にかつ簡便に製造することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4K023 AA15 AB29 BA06 BA08 BA11 BA19 BA21 CB42 4K026 AA02 AA12 AA22 BA04 BB08 BB10 CA26 DA02 DA03 DA06 DA11 EA06 EA15 4K044 AA02 AB02 BA10 BA17 BA21 BB03 BB17 BC02 BC08 CA16 CA18

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材の少なくとも片面に、Coを0.5
    〜5重量%、でんぷん分解生成物からなる高分子有機物
    を0.5〜5重量%含有する亜鉛系複合めっき層と、そ
    の上の、リン酸と亜鉛との非晶質の反応物生成物をリン
    として10〜300mg/m2 有する皮膜とを備えたこ
    とを特徴とする溶接性に優れた亜鉛系複合めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 Coを0.5〜5重量%、でんぷん分解
    生成物からなる高分子有機物を0.5〜5重量%含有す
    る亜鉛系電気めっき浴を用いて母材の少なくとも片面に
    電気めっきし、次いでその表面に、リン酸濃度が1〜2
    0重量%であるリン酸水溶液を、めっき層表面のリン酸
    と亜鉛との反応生成物の乾燥後の付着量がリンとして1
    0〜300mg/m2 となる量塗布し、水洗することな
    く乾燥することを特徴とする溶接性に優れた亜鉛系複合
    めっき鋼板の製造方法。
JP10305750A 1998-10-27 1998-10-27 溶接性に優れた亜鉛系複合めっき鋼板およびその製造方法 Withdrawn JP2000129456A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10305750A JP2000129456A (ja) 1998-10-27 1998-10-27 溶接性に優れた亜鉛系複合めっき鋼板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10305750A JP2000129456A (ja) 1998-10-27 1998-10-27 溶接性に優れた亜鉛系複合めっき鋼板およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000129456A true JP2000129456A (ja) 2000-05-09

Family

ID=17948905

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10305750A Withdrawn JP2000129456A (ja) 1998-10-27 1998-10-27 溶接性に優れた亜鉛系複合めっき鋼板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000129456A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103866363A (zh) * 2012-12-17 2014-06-18 通用汽车环球科技运作有限责任公司 钢板以及由此制成的模制件
CN113227437A (zh) * 2018-12-19 2021-08-06 Posco公司 加工性和耐蚀性优异的异种镀覆钢板及其制造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103866363A (zh) * 2012-12-17 2014-06-18 通用汽车环球科技运作有限责任公司 钢板以及由此制成的模制件
CN113227437A (zh) * 2018-12-19 2021-08-06 Posco公司 加工性和耐蚀性优异的异种镀覆钢板及其制造方法
CN113227437B (zh) * 2018-12-19 2023-06-30 浦项股份有限公司 加工性和耐蚀性优异的异种镀覆钢板及其制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0446677B1 (en) Surface-treated steel sheet having improved weldability and plating properties, and method for producing the same
KR100234452B1 (ko) 아연계 도금 강판 및 그 제조방법
JP2000129456A (ja) 溶接性に優れた亜鉛系複合めっき鋼板およびその製造方法
JP3879268B2 (ja) 成形性と溶接性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法
WO2001015894A1 (fr) Tole d'acier traitee en surface
CN102164742A (zh) 防锈钢板及其制造方法
JP4088069B2 (ja) 加工性に優れたリン酸塩処理亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法
JP3591501B2 (ja) 熱間プレス成形用鋼材
JP3153098B2 (ja) 潤滑性、化成処理性、接着剤適合性、溶接性に優れた亜鉛系めっき鋼板
JP3132979B2 (ja) 潤滑性、化成処理性、接着剤適合性に優れた亜鉛系めっき鋼板
JP2005105321A (ja) 美麗な外観を有する表面処理鋼板の製造方法、表面処理鋼板および皮膜被覆表面処理鋼板
JP2952835B2 (ja) 溶接性、プレス性、化成処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法
JP3198742B2 (ja) プレス成形性、スポット溶接性および塗料密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3111904B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
KR100590406B1 (ko) 내식성 및 용접성이 우수한 표면처리강판 및 그 제조방법
JP3153097B2 (ja) 潤滑性、化成処理性、接着剤適合性、溶接性に優れた亜鉛系めっき鋼板
JP2000313967A (ja) 耐食性に優れた表面処理鋼板
JP2002146553A (ja) 燃料タンク用アルミニウム系めっき鋼板
JP3261377B1 (ja) 耐食性に優れた化成処理鋼板
JP3191648B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JP3191646B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JP3111888B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
JP2726872B2 (ja) 耐低温チッピング性及び耐穴あき耐食性に優れた亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3191660B2 (ja) 亜鉛系メッキ鋼板およびその製造方法
JPH05320951A (ja) アルミニウム板の表面改質方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060110