JP2000120086A - 土木建築構造物の被覆用の木質片成形体とその製造方法 - Google Patents

土木建築構造物の被覆用の木質片成形体とその製造方法

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JP2000120086A
JP2000120086A JP10295228A JP29522898A JP2000120086A JP 2000120086 A JP2000120086 A JP 2000120086A JP 10295228 A JP10295228 A JP 10295228A JP 29522898 A JP29522898 A JP 29522898A JP 2000120086 A JP2000120086 A JP 2000120086A
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piece
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binder
wooden
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JP10295228A
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English (en)
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Kenji Muratake
賢治 村武
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TOUDEN TOSHIAKI
Takashima Sangyo KK
Chugai Shoko Co Ltd
Original Assignee
TOUDEN TOSHIAKI
Takashima Sangyo KK
Chugai Shoko Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 建築構造体の屋外表面に取着されて使用す
るための木質片成形体に関し、コンクリート露出面によ
る環境に及ぼす弊害を防止し、木材の多量に発生する廃
材の有効利用を図る。 【解決手段】 建築構造体の表面に貼り付けて使用せら
れる成形体は、多数の木質片と木片同士を接合する有機
高分子バインダーと木質片相互の間の連通する多数の間
隙とを有して構成される。この成形体は、多数の木質片
と自己硬化性を有する透光性で液状の合成高分子バイン
ダーとの混練物を調製し、混練物を型枠内へ敷き均して
圧締し、次いで、バインダーをそのまま硬化させて後に
型枠を分離して、多隙性組織を有する成形体となす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築構造体の屋外
表面に取着されて使用するための木質片成形体とその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】森林資源に恵まれた我が国では、従来か
ら土木・建築を主軸とした分野に需要が多く、木材は長
い間、人々の日常生活と極めて深い係わりを持ち続けて
きた。そして、近年に至り安価な輸入材に木材資源を依
存するようになり、木材の需要量は増加するが、材木な
いし木工製品の生産と消費に伴って副生する廃材量も増
大している。このような廃材には、製材所で発生する多
量の不用木材、山林の間伐材であって利用価値の少ない
木材、更に、木造家屋の取り壊しによる廃材などがあ
る。廃材の多量発生に伴い、その処分や再利用が問題と
なっている。
【0003】他方、傾斜地のコンクリート擁壁やダム堰
堤、高架道路の外壁などの現代のコンクリート構造物の
外面は、塗装されたり、タイルやレンガの外装を形成
し、或いはコンクリート表面に浮き彫りを施すなどの提
案がなされているが、多くの場合は、コンクリートの外
面が露出したまま使用されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】木材の廃材は、費用を
かけて焼却するのが普通であるが、資源のリサイクリン
グの要求に伴って、昨今では、コンポスト化材又はマル
チング材といった極く限られた分野で再利用が行われて
いた。然し、莫大な廃材は、焼却され、埋め立てられて
おり、量的にも且つ効率的に有用な資源として再利用さ
れていない。
【0005】また、上記の如く、コンクリート構造物の
コンクリート露出面は、外観上見苦しく、自然景観との
調和や景観を害する観点から好ましくない。さらに、コ
ンクリートの露出面は、音響の良好な反射体となって騒
音の悪化を生じたり、また、日照による蓄熱や熱の反射
による照り返しなどで、特に夏場において都市空間の高
温化をもたらし、消費電力の増大や、居住環境に及ぼす
影響も無視できなくなっている。
【0006】本発明は、このようなコンクリート露出面
による上記環境に及ぼす弊害を、廃材となるような木質
材料を用いて解決せんとするものである。本発明は、木
材加工の過程などで必然的に副生する廃材片を広く有効
に再活用する方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、副生廃材など
の多数の木質片を透明で液状の合成樹脂バインダーで固
めて多数の大きな隙間を有する成形体にし、これを土木
・建築構造物の表面被覆材として提供する。即ち、本発
明の成形体は、多数の木質片と、木質片を結合させる硬
化性の透明合成高分子バインダーと、多数の隙間と、か
ら成る多隙性の木質片成形体である。
【0008】この木質片成形体は、コンクリートを覆う
表面を被覆する手段として利用され、これにより、木質
固有のテクスチュアーをそのままコンクリート外面に活
かすことができる。そこで、本発明の木質片成形体は、
木質片を従来のコンクリート技術と木材技術には全く存
在し得なかった機能性を備えたコンクリートなどの構造
物外面材料として活用される。これにより、木材の利用
の観点からは、木質片資源として効果的な再利用がで
き、コンクリート構造物の環境の視点からは、少なくと
もその構造物の表面を木質調にして周辺環境に調和する
ように図り、自然景観を保持することができる。
【0009】本発明の木質片成形体の製造方法は、木質
片を透明で液状の合成高分子バインダーと混練し、これ
を木質固有の質感を損なうことなく、そのまま保持させ
つつ意図的に多隙性の組織とした所定形状に成形して、
成形体とする。
【0010】詳しくは、本発明による木質片成形体は、
その製造過程で過度に圧締処理されることなく、これが
多数の隙間を確保した組織構造となるよう適度に板状に
加圧され、成形体は、板状とされる。
【0011】このようにして得られた成形体、特に板状
の成形体が、土木・建築構造物の表面を被覆する。例え
ば、コンクリート材から成る山地・傾斜地の擁壁面や法
面に、河川・ダム堰堤、ビル等構築物などの土木・建築
構造物の表面に取着されて、コンクリート面が被覆され
る。
【0012】土木建築用構造物のこのような木質片成形
体に被覆は、(1)木片間の多数の間隙の吸音作用に基づ
く音響や騒音の低減、(2) 木片間の多数の間隙の断熱作
用に基づく環境温度の上昇抑制、(3)木質的な外観によ
る自然的景観性の保持・醸成、及び、(4)多隙性に基づ
く小雑草木類の繁茂・緑化、などの効果を発現すること
ができる。
【0013】この効果の中で、(3)自然的景観性の効果
は、天然木質材片という素材によって、従来から広く使
用されてきたコンクリート、鋼材類など景観感覚上で全
く乾燥無味な風合いの材料構成を、周辺の自然景観に調
和させる効果を発揮するものである。
【0014】また、(4)の植物繁茂・緑化の効果は、成
形体を多隙性組織としたことで、これが自然生態系を極
めて合理的に受け容れ得るのである。即ち、多隙性空間
は、飛来した土粒子や粉塵や雨水とともに、雑草木類の
種子を内部へ容易に取り込んで定着させ、雑草木類の発
芽、成長を促し、自然に対象領域一帯の緑化を可能にす
る効果を生じる。
【0015】本発明の木質片成形体は、構造物の屋外表
面に固定され、自然環境下に暴露され、条件次第では数
年間で自然的に腐朽してしまい、必要により新しい成形
体を取り付けて更新される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の木質片成形体は、多数の
木質片と、木質片を結合させる硬化性の透明合成高分子
バインダーと、多数の隙間と、から成り、多隙性の成形
体であるが、木質片には、特に樹木の種類は問わず、そ
の形状寸法は、成形体に多数の隙間を形成するに必要な
粗いものがよく、例えば、直方形状、扁平状などが利用
でき、切削したチップが好ましく利用される。木質片の
その大きさは、たとえば、一辺が5ないし50mm程度
で、厚みが、1ないし15mm程度のものがよい。木質
片は、主に、製材用の原木や間伐材などを製材する工程
で生じる木片や、材木として価値のない間伐材や家屋廃
材を機械的に多量にチップ切削して形成された木片(チ
ップ)が広く利用できる。木質片には、竹材の砕片も含
まれる。
【0017】高分子バインダーは、木質片同士を接合す
るものであるが、熱硬化性樹脂や反応硬化性樹脂が利用
される。バインダーには、エポキシ系樹脂、ウレタン系
樹脂、アクリルウレタン系、アクリレート系、ビニルエ
ステル系、ポリエステル系等の公知の自己硬化性樹脂が
挙げられる。本発明の成形体に適用される液状の合成高
分子バインダーとしては、水溶性又は非水性のモノマー
からのポリマーいずれも使用可能であるが、本発明の成
形体が、屋外で降雨条件で使用されることを考慮すれ
ば、耐水性の高い非水性のポリマーを使用するのが好ま
しい。
【0018】成形体中の高分子バインダーは、木質片同
士の表面を接合するために必要であるが、他方では、隙
間を狭めたり充填しない程度に制限される。木質片に対
するバインダーの量は、木質片100重量部に対して、
固形分40〜80重量部とするのがよい。この下限値よ
り少ないと木質片同士の接合不良となり、上限より多い
と、樹脂相が増加し、隙間を充填するので好ましくな
い。バインダーの量は、特に好ましくは、固形分50〜
70重量部とする。
【0019】他方、成形体には、多数の隙間が形成され
るが、この隙間は、断熱性と吸音性とを付加し、且つ、
植物の根毛をはびこらせて支持して育成させるものであ
り、この観点から、間隙は相互に連通するものが好まし
い。
【0020】本発明の成形体の製造法は、建築構造体の
表面に貼り付けて使用せられる成形体について、多数の
木質片と自己硬化性を有する透光性で液状の合成高分子
バインダーとの混練物を調製し、混練物を型枠内へ敷き
均して圧締し、次いで、バインダーを常態雰囲気下でそ
のまま硬化させて後に型枠を分離して、多隙性組織を有
する成形体とするものである。
【0021】この製造方法においては、上述した木質片
多数に液状ないしペースト状の自己硬化性のバインダー
が、塗布される。混合の際には、木質片各片の表面の大
部分が液状合成高分子バインダーでまぶされた混合状態
とする。この混合物を型枠内に挿入して、上面がほぼ平
坦で、しかも内部に多くの空隙が形成する程度に軽く表
面圧締してそのまま硬化させる。硬化後には、多隙性
(高空隙性)に富む板状の成形体が形成される。
【0022】また、この方法で得られた板状体を脱型し
た成形体を、そのまま、土木・建築用の構造物の表面に
固定される。成形体は、例えば、コンクリート製のブロ
ック、L字形擁壁等の如きコンクリート2次製品の表面
や現場打設された既設コンクリート壁面、井桁擁壁面ほ
か一般建築物壁面等へ取着固定される。成形体は、脱型
後に、所望の形状寸法へ切断加工することもできる。構
造物に固定する方法には、接着による方法、釘止め方法
などを単独もしくは組み合わせて、簡単に定着される。
【0023】このようにして完成された構造物の被覆体
は、木質片そのものを有効に活用したものであり、且つ
自然景観へも極めて見事に融合、調和しうる景観意匠性
をも兼ね備えたものとなるのである。
【0024】多くのバインダー樹脂は、1液性の湿気硬
化型のウレタン系樹脂を除いて、主剤成分と硬化剤成分
とが各化学当量で混合されて用いられることを基本とし
ている。このために、硬化反応速度を調節するための触
媒(但し、1液型ウレタン系樹脂も含む)、重合開始剤
を含んでよい。
【0025】さらに、成形体に防蟻、防腐性能を付与す
ることが好ましく、このための防蟻・防腐剤が添加され
てもよい。また、成形体に難燃性能を付与するための難
燃化剤が添加されてもよい。更には、粘性を調整するた
めの増・減粘剤等々の専用添加剤類が、それぞれ単独も
しくは複合のうえ各液状合成高分子バインダーの種類に
対応させ適宜な濃度で併用してもよい。
【0026】本発明による木質片成形体を製造するに当
たっては、バインダーは、さらに、1)木質片との良好
な混練性を備えた適正な粘性を有すること、2)硬化過
程で加熱、加圧等の特別な処理を要することのない常
温、常圧下で硬化タイプであること、3)硬化物が天然
暴露環境下にあって、少なくとも数年間は耐えうる程度
の耐久性能を具備していることが好ましい。更に、製造
過程での付随的条件として、有機溶剤含有量が極力低
く、且つ有機溶剤類に起因する作業環境上での諸弊害
(臭気発生、呼吸器障害、引火危険性等)を伴わないこ
とが好ましい。
【0027】これらの特性について、いくつかのバイン
ダー用の樹脂について検討し、その結果を表1にまとめ
てある。表1中に、本発明の木質片成形体に使用できる
高分子バインダーには、1液型ウレタン系樹脂バインダ
ーが好ましいことが判る。
【0028】
【表1】
【0029】本発明の木質片成形体とその製造方法に
は、バインダーは、好ましくは、非水溶性であり、水ま
たは空中水分により硬化するものが利用される。この例
として、非水溶性で1液型の湿気硬化型ウレタンが使用
できる。ここに使用可能な1液型ウレタン系樹脂バイン
ダーは、過剰量のポリイソシアネート成分とポリオール
成分とを反応させて合成され、分子末端に活性イソシア
ネート基(−NCO)を有するプレポリマーであって、
湿気、水分をも含めて、活性水素化合物と常温、常圧下
で容易に反応を起こして自ら硬化しうる化合物群を言
う。
【0030】上記したイソシアネート成分としては、例
えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリ
レンジイソシアネート、異性体重量混合比が2,4−/
2,6−=65/35、または80/20のトリレンジ
イソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシア
ネート、フェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサ
メチレンジイソシアネート、2,2,4(2,4,4)
−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソフ
ォロンジイソシアネート、水添加トリレンジイソシアネ
ート、水添加4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等の単独
ないしは混合物が有用である。
【0031】一方のポリエステルポリオール成分として
は、その例として、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油、ソルビトー
ル、ペンタエリスリトール、庶糖等々の活性水素化合物
群がある。また、これら活性水素化合物とエチレンオキ
サイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイ
ド類の単独もしくは混合物を付加重合して得られる末端
水酸基の2個以上を有する活性水素含有ポリオール、上
記グリコール類とアジピン酸、フタル酸、マレイン酸な
どの多塩基性有機酸との反応性生成物であるポリエステ
ルポリオールやポリアミド、尿素樹脂等の活性水素含有
ポリマーも併用することができる。
【0032】これらのイソシアネートとポリオールと
は、分子末端に未だイソシアネート基が残存するような
割合で慣用のウレタン化反応を経てウレタンプレポリマ
ー化されるもので、イソシアネート基含有率5%以上、
平均官能基数1.5以上のものが好ましい。
【0033】1液型ウレタン系樹脂バインダーは、前記
した通り、木質片と混練でき、これが少なくとも木質片
の各個表面の大部分を均等にまぶし得るに足りる粘性を
備えておればよい。このための粘度については、風乾状
態にある木質片の各個表面の大部分をほぼ均等に塗布す
るには、1液型ウレタン系樹脂バインダーの適正粘度
を、木質片の樹種とは無関係に、概ね500〜5000
cps(25℃)の範囲とするのがよい。
【0034】樹脂バインダー粘度が500cps以下で
は、樹脂バインダーがむしろ木質片側へ吸収される傾向
が高まるので、木質片に対する結合固着効果が必要以上
に増大する反面、樹脂バインダーの使用効率が却って低
下することから、実用上では生産コスト高となり不経済
的となる。他方、樹脂バインダー粘度が5000cps
を超過すると、もはや木質片との混練性が阻害されるた
め所期の目的が達成できない不都合が生じる。
【0035】そのため、樹脂バインダーが必要以上に低
粘の場合には、これへ適量の増粘剤が混合される。使用
する増粘剤は、樹脂バインダーに対して化学的不活性
で、しかも着色能を有しないものであることが好まし
い。これには、例えば、高純度無水シリカ超微粉、不飽
和ポリカルボン酸ポリマー、不飽和酸エステルなどが挙
げられる。
【0036】これに対して、樹脂バインダーが必要以上
に高粘性である場合は、これへ適宜量の有機溶媒類を添
加して希釈し、所望の粘性となるよう調整することがで
きる。しかしながら、有機溶媒類の併用は、前出の表1
でも記した如く製造環境における作業雰囲気の悪化へつ
ながるので、無溶剤型の樹脂バインダーを適用するのが
望ましい。使用可能な有機溶媒としては、対応する1液
型ウレタン系樹脂バインダーとの相溶性に優れ、しかも
樹脂バインダー中の活性イソシアネート基と反応を起こ
すことのないものを選択する。
【0037】適用可能な有機溶媒とは、公知の芳香族炭
化水素類、脂肪族炭化水素類、ケトン類、エステル類、
エーテル類などが挙げられ、具体例としてトルエン、キ
シレン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、
ミネラルターペン等々の単独もしくは混合物を例示する
ことができる。
【0038】透明で液状の1液型ウレタン系樹脂バイン
ダーは、大気中に存在する湿気(水分)との間で硬化反応
を起こすが、この硬化速度は、触媒を併用して調節する
こともできる。1液型ウレタン系樹脂バインダーにおい
て、湿気硬化反応促進の正触媒としては、有機金属化合
物類や第3級アミン類が有用である。有機金属化合物類
としては、例えばナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜
鉛、ジブチル錫ジラウリレート、オレイン酸第1錫、オ
クチル酸鉛などが例示でき、それぞれが主として前記し
た有機溶媒類に溶解した溶液状態で各単独ないしは混合
系として適用できる。他方、第3級アミン類の具体例と
しては、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N
−エチルモルホリン、N−ココモルホリン、ジメチルベ
ンジルアミン、トリエチルジアミン、N,N'−ジメチル
−2−メチルピペラジンなどが挙げられる。
【0039】本発明の成形体には防腐剤が使用されても
よい。木質片成形体は、永久的な防食機能を期待するも
のではく、いずれ自然環境下で朽ちてもよいのである
が、それでも少なくとも数年間は実用に耐えうる程度の
寿命は必要である。防腐剤はこのような目的で利用さ
れ、液状合成高分子バインダー中へ配合されるか、又
は、予め木質片に含浸されてもよい。防腐剤には、例え
ば、相対的に低毒性の有機沃素系化合物、ジクロフルア
ニド、デブコナゾール等公知の有機系防腐防黴剤が有用
である。
【0040】このようにして製造された木質片成形体
は、既製のコンクリート2次製品類とか石綿スレート
板、鉄板などの土木・建築構造物の所定面に対して、接
着剤による接着や機械的な固定を単独又は組み合わせて
簡便に接合固定される。
【0041】接着による場合の接着剤には、非水系また
は水系の有機高分子系接着剤、水硬性セメントモルタ
ル、更にはこれと高分子ディスパーションを配合したポ
リマーセメントモルタルなどが、利用できる。この場
合、例えば、前記したエポキシ樹脂系の接着剤を木質片
成形体の一面へ予め塗布しておき、その未硬化状態の段
階で生モルタルまたは生コンクリートを打ち継ぐように
することで相互間の接着性状を確実にすることができ
る。
【0042】他方、機械的な固定には、釘止め法、アン
カーピンニング法、ブラケット法などの固定手段が適用
できる。
【0043】本発明は、また、成形体に裏打ち材を固定
して、強化することもできる。このような裏打ち材に
は、木板、金属板、セメントモルタル若しくはポリマー
モルタルが利用可能である。このような成形体を構造物
に取り付け固定するには、裏打ち材を接着材などで直接
構造物表面に接着する。
【0044】より具体的に、裏打ち材は、型枠底部に、
予め裏打ち材を配置しておき、これに上記木質片とバイ
ンダーとの混合物を敷き均して、硬化させて、木質片成
形体に該裏打ち材が一体に接合された木質片成形体の製
造できる。
【0045】また、裏打ち材は、型枠内で硬化ないし半
硬化した成形体上に硬化性裏打ち材を塗着又は充填し
て、木質片成形体に、該裏打ち材を一体に接合して製造
することもできる。硬化した成形体に打ち材を固定する
には、未硬化状態の生モルタルや生コンクリートを、前
記した木質片成形体の一面側へ直接に打ち継ぎ、一体化
して所望の形状寸法を有する硬化体とされる。
【0046】このように完成された成形体を土木・建築
の表層材として利用すると、これが自然景観によく融和
し、雅趣ある極めて意匠価値に富むものとして映える。
表面へ露出した木質片成形体は、多隙性の構造組織とな
っているので、自然条件下にあっては、飛来する土粒子
粉塵や雑草類種子を取り込み易く、自然に発芽し、生育
を促すので、継続して自然緑化が可能となる。
【0047】同様に、完成した成形体は、例えば道路の
側壁とか縁石として利用することもでき、成形体は多孔
体で吸音効果があるので、交通騒音の吸収緩和に有用で
ある。成形体は多孔体であるので、衝撃に対する吸収性
があり、交通車両の衝突の際の緩衝性といった効果も期
待することができる。
【0048】
【実施例】[実施例1] 木質片成形体の製造 (1)木質片 木質片には、建築用の杉丸太柱材を製材加工する過程で
副生した巾5〜20mm×長さ10〜50mm×厚さ1〜5
mmの不規則であるが、扁平状の形状寸法を有する木片
を、風乾状態にして利用した。
【0049】(2)樹脂バインダー 樹脂バインダーには、以下の1液型ウレタン系樹脂を使
用した。 無色透明、無溶剤型、粘度2600cps(25
℃)、NCO基含有量約22%のウレタン系樹脂バイン
ダー
【0050】無色透明、芳香族系溶剤含有量12%、
粘度3000cps(25℃)、NCO基含有量約12
%のウレタン系樹脂バインダー これらは、いずれも無黄変、高耐候性タイプの湿気硬化
型イソシアネートプレポリマーに属する。
【0051】樹脂バインダー各100重量部に対して反
応促進触媒(ジブチル錫ジラウリレート10wt.%キシ
ロール溶液)が0重量部と0.2重量部の2水準に、防
腐剤(武田薬品工業K.K製、商品名「コートサイド12
3」、有機沃素系化合物を有効成分とする有機溶媒溶
液)が0重量部と0.4重量部の2水準となるようそれ
ぞれ濃度水準を変動させて調製した。
【0052】(3)成形体の製造 1)液状樹脂バインダーの最適混合割合の検討 木質片100重量部をポリエチレン製容器内へ投入し、
これへ、(2)で示したイソシアネートプレポリマー
およびの各100量重部へ反応触媒0.2重量部を添
加して予め調製しておいた樹脂バインダーの各40、4
5、50、55、60、65、70重量部を個別に加え
て混練し、得られた各混合物を離型紙面上へ厚みが20
〜30mm程度となるよう金鏝で圧締、整形して硬化させ
て成形体とし、それぞれの硬化状態を調べた。
【0053】その結果、木質片100重量部に対する液
状樹脂バインダー添加量が特に55〜65重量部の範囲
において木質片表面に対する塗布性(まぶし性)と成形
体の外観が良好となることが判明した。液状樹脂バイン
ダーの添加量がこの範囲より低いと、木質片との混練性
と木質片に対する液状樹脂バインダーのまぶし性とが次
第に悪くなり、結果として液状樹脂バインダーで被覆さ
れない木質片部分が多くなるので、もはや必要な均一な
混錬状態とはなり得ない。
【0054】一方、木質片に対する液状樹脂バインダー
量が前記の適量範囲を越えると、樹脂バインダー塗布性
(まぶし性)、成形作業性は改良されるが、成形体の裏
面では沈降した余剰の樹脂バインダーがそのまま層状と
なって分厚く硬化するようになり、もはや木質片本来の
固有なテクスチュアが損なわれるばかりか、必要な空隙
の形成割合まで低減するので、必要な空隙特性と樹脂バ
インダーの過剰使用による不経済性とから好ましくはな
い。
【0055】また、イソシアネートプレポリマーをベ
ースとした樹脂バインダーは、含有する有機溶剤による
臭気が感知され、無溶剤タイプのイソシアネートプレポ
リマーに比べて製造環境を害する懸念がある。
【0056】2)反応促進触媒併用効果の検討 (2)で示したイソシアネートプレポリマー100重
量部に対する反応促進触媒(ジブチル錫ジラウリレート
10wt.%キシロール溶液)の添加量をそれぞれ0重量
部(コントロール)及び0.2重量部として調整した樹
脂バインダーを木質片100重量部に対して各60重量
部加えて混練し、これを予め作製した縦10cm×横20
cm×高さ2cmの木製型枠内へ投入して金鏝で表面圧締し
て成形した。型枠の底面へは、予め離型紙を敷設してお
いた。
【0057】型枠を室温20±1℃、相対湿度30〜4
0%に保たれた恒温、恒湿室内に静置して硬化養生した
ところ、前者の無触媒系コントロールの場合では木質片
の完全硬化に約15時間を要したが、後者の触媒添加系
では約7時間で完全硬化状態となった。このことは、反
応促進触媒の併用によって、木質片成形体の製造時間が
短縮された。
【0058】3)木質片同士の付着性状の検討 液状合成高分子バインダーによる木質片間の付着(接
着)性状を確認する目的で、木質片を市販の木材合板で
代替して種々、検討した。
【0059】市販品のベニヤ合板(3プライ、厚さ3m
m)を、その繊維方向で巾10mm×長さ200mmに切
断、加工して短冊状となしたものを準備し、その2片を
1組とし、両者の一端の長さ20mm範囲に亘って予め調
整済みの液状合成高分子バインダーを刷毛塗りした。直
ちにバインダー塗付部同士を貼り合わせ(付着面積:2
cm2)、そのまま24時間、温度20±1℃、相対湿度
30〜40%に保たれた室内に静置して接着体を得た。
接着片の両端部をチャックした形で引張試験(島津製作
所製、オートグラフAGS−5KND使用、引張速度5
mm/min、チャック間距離180mm)に付し、各液状合
成高分子バインダーによる木質材料間の付着性状を調べ
た。
【0060】試験対象とした液状合成高分子バインダー
は、次の合計16種類である。 2液型ウレタン系樹脂では、 液状アクリルポリオールA(大日本インキ化学工業K.K
製、商品名「アクリディックA817」、不揮発分50
±1%、有機溶剤(トルエン、酢酸ブチル)含有率50
±1%、粘度1580cps(25℃)、水酸基価30
±3、官能基数2)、
【0061】アクリルポリオールB(大日本インキ化学
工業K.K製、商品名「アクリディックA837」、不揮
発分50±1%、有機溶剤(LAWS、ソルベッソ10
0)含有率50±1%、粘度760cps(25℃)、
水酸基価25±3、官能基数2)
【0062】ポリオールC(旭硝子K.K製、商品名「エ
クセノール3030」粘度500cps(25℃)、水
酸基価56、官能基数3)
【0063】および、ポリオールD(旭硝子K.K製、商
品名「エクセノール430」、粘度360cps(25
℃)、水酸基価420、官能基数3)
【0064】以上の4つのポリオールA〜Dの各単独な
いしは混合物を主剤とし、これへ実施例1、実施例2で
使用したウレタン系樹脂バインダーのポリイソシアネ
ートを各化学当量宛となるよう硬化剤成分として加えて
混合して得た表2に示す12種類。
【0065】
【表2】
【0066】1液型ウレタン系樹脂では、配合を表3
に示すように、実施例1と実施例2で使用したウレタン
系樹脂バインダー100重量部に対して、実施例1と
実施例2で示した有機錫系反応触媒0.2重量部を添加
したもの1種類同様にウレタン系樹脂バインダー10
0重量部に対して、同様に示した有機錫系反応触媒をそ
れぞれ0.1、0.4、0.5重量部を添加して得た3種
類のバインダーの計4種類を使用した。
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】以上の試験結果は、表4に示すが、木質片
個体に対する接着能は、樹脂バインダー間でかなりの差
異が認められ、とりわけポリオールAを主要成分とする
バインダーでは、その木質組織内への浸透効果があるた
めか付着強さが過度にまで高く、試片の破壊モードも木
質片自体の凝集破壊が支配的となっている。
【0070】約半量の有機溶剤を含有するポリオール
A、B、C、Dを主剤とし、これとポリイソシアネート
硬化剤とを組み合わせた2液型ウレタン系樹脂バインダ
ーでは、いずれも、程度の差こそあるものの各有機溶剤
類に起因する固有の異臭気を放ち、また、約15%の有
機溶剤を含有する1液型ウレタン樹脂バインダー試作品
についても同様な現象が認められた。無溶剤タイプ1
液型バインダーとしてウレタン系樹脂バインダーで
は、異臭は感知できず、しかも十分に実用に供しうる程
度の付着性状が、反応触媒の添加量とは無関係に確実に
発現することができた。
【0071】防腐剤併用効果の検討 実施例1と実施例2で示したイソシアネートプレポリマ
ー100重量部に対して、同実施例2で示した反応促
進触媒0.2重量部を添加したものをベース配合とし、
これへ同実施例2で示した防腐剤の添加割合をそれぞれ
0重量部(コントロール)、0.2重量部として予め調
製してなる樹脂バインダーを、木質片100重量部に対
して65重量部となるよう加えて混練し、実施例2同様
に木製型枠で成形した。当型枠を室温20〜25℃、相
対湿度60〜80%の雰囲気下の実験室内に静置して約
7時間後に板状の硬化成形体を得た。
【0072】成形体の中央部から各5×5cm大の切断片
を得、一面をエタノール(99.5V/V%)含浸脱脂綿で
拭いて殺菌処理し、風乾したものを検体として抗菌試験
を試みた。ペプトンを含む寒天培基上に菌株種がAsper
gillus Niger、Penicillium Citrinumの混合胞子懸
濁液とともに入れて28±1℃で5日間培養したとこ
ろ、防腐剤無添加のコントロールで検体一面にカビ発生
が確認されたのに対して、防腐剤添加割合0.2重量部
の検体ではそれが認められず、防黴、防腐効果ありと判
断された。
【0073】[実施例3] 木質片成形体のコンクリート下地への定着 (1)木質片成形体の準備 杉丸太の製材、加工過程で副生した巾5〜20mm×長さ
10〜50mm×厚さ1〜5mmクラスの不規則な形状寸法
の廃材片100重量部へ、実施例1と同2のウレタン系
樹脂バインダー(無溶剤型、粘度2600cps(2
5℃)、NCO基含有率約22%)100重量部に対し
て反応促進触媒(ジブチル錫ジラウリレート10wt.%
キシロール溶液)0.2重量部と、防腐剤(武田薬品工
業K.K製、商品名「コートサイド123」1重量部とを
加え、混合して予め調合しておいた樹脂バインダーの6
0重量部を添加、混練して廃材片混合物を得た。これを
底面へ離型紙を敷設した内寸法縦30×横30×高さ2
cmの木製型枠内へ投入して全面に拡げ、厚さ3cm程度と
なるよう金鏝で表面圧締し、そのまま24時間常態下の
実験室内へ静置して硬化させ成形体を得た。
【0074】(2)定着 コンクリート鋪道版(縦30×横30×厚さ6cm、JI
S5304に準拠)と、鋼板縦(30×横30×厚さ
0.2cm)の各2枚づつ用意し、これらの表面へ変性
アクリル樹脂エマルジョンを主要成分としてた水系接着
剤(K.Kイーテック製、商品名「ハイタック」外観:乳
白色、粘度2200cps、固形分50%、pH8.
0、アニオン性)と、非水系エポキシ樹脂系接着剤
(コニシK.K製、商品名「ボンドEK370」、2液
型、主剤/硬化剤)=1/1(重量比)、混合比重1.5
5)の2つを櫛目ゴテで各1kg/m2割合となるよう全
面塗布した。約30分のオープンタイムの後、前記
(1)で作製した成形体を接着し、手で強く押さえ、温
度20±1℃、相対湿度30〜40%に維持した室内に
2日間静置した。その結果、接着体である成形体は、下
地のコンクリート面、鋼板面へ良好に接着していた。
【0075】変性アクリル樹脂エマルジョンを接着剤
とした場合の付着状態が、粘着状態であったのに対し
て、非水系エポキシ樹脂の場合は、極めて硬い接着層
を形成し、いずれの場合とも成形体へ縦、横、斜め方向
から剪断応力を加えてもズレを生じることなく、両下地
面へ堅固に定着していた。更に全試作体の全体をそのま
ま3ヶ月間、水中へ浸漬して引き上げ、同様に調査した
が、いずれとも水中浸漬前と全く変わることのない接着
性状であった。
【0076】[実施例4] 木質片成形体へのフレッシュモルタル打継ぎ 実施例3及び実施例1と同一の配合割合及び手順で製作
した杉廃材の木質片とウレタン系樹脂バインダー(反
応促進触媒と防腐剤を含有)とから成る成形体(縦30
×横30×厚さ2cm)であって、その成形時の裏面に、
セメント打継ぎ専用の水系エポキシプライマー(中外商
工K.K製、商品名「SEプライマー」、2液型、主剤/
硬化剤=1/2(重量比)、不揮発分59%、混合比重
1.5)、混合粘度1100cps(25℃)を100g
/m2の割合で刷毛塗りした。
【0077】プライマー塗布処理面が上面となるよう別
途に用意した縦30×横30×深さ4cmの木製型枠内へ
成形体をセットし、直ちにセメントモルタル(調合比は
普通ポルトランドセメント/川砂/水道水=100/2
50/55(重量比)を打設し、棒状バイブレーターで
振動締めして金鏝押さえし、そのまま、7日間養生し
た。
【0078】7日後、全体を型枠から取り出して観察し
たところ、木質片成形体とモルタル硬化物とが完全一体
化した複合体を形成していた。コーナー部をコンクリー
トカッターで切断して観察したところ、セメントモルタ
ルは、その打継ぎ界面近傍で木質片成形体の空隙部まで
食い込んだ、所謂、投錨状態となっており、物理的な接
合効果も両者の一体化に大きく寄与していると考えられ
る。
【0079】[実施例5] 木質片成形体のアンカーピンによる既製コンクリート面
への定着 打放しコンクリート擁壁面の一部をドリル穿孔して直径
5mm×深さ30mmの孔を穿設した。孔は、上下2段と
し、各段とも横方向10cm間隔で15箇所、縦方向10
cm間隔の等ピッチ計30箇所とし、すべてが擁壁面と下
向き80度の傾斜角を為すようにした。次に各孔の内部
に残存したコンクリート切削塵をブロワー除去し、内部
へグリースポンプを用いてエポキシ樹脂(コニシK.K
製、商品名「ボンドE209」、2液硬化タイプ、主剤
/硬化剤=2/1(重量比)、混合比重1.11、グリ
ース状)を穿孔口元から溢れ出ない程度に注入したの
ち、直ちにステンレス鋼製アンカーピン(直径3mm×長
さ70mm)を挿入してそのまま、硬化せしめ、アンカー
を定着した。
【0080】一方、実施例3と同1と同じの配合比率、
手順に従って、杉間伐材の木片(縦30×横30×厚さ
2cm)を利用した木質片成形体15枚を別途に作製して
おき、それぞれへは、先のコンクリート擁壁面へ穿孔し
たのと同一間隔で直径5mmのドリル孔を設けた。これら
のドリル孔へ先に擁壁へ定着したアンカーピンを通し
て、各成形体1体ずつを間隔が形成しないように丁寧に
擁壁面へ押し当て、後に成形体の表面へ突出したアンカ
ーピンの余剰長部分を上下へ折り曲げることによって全
成形体を擁壁面へしっかりと定着することができた。
【0081】この種の定着手法は、木質片成形体が、石
材等の建築外装材を固定するのに広く適用されている引
き金物、ダボ金物工法などの物理的な手段にも適用でき
る。
【0082】[実施例6] 木質片成形体からの植物種子発芽性 実施例3のように、下地のコンクリート及び鋼板に取り
付けた木質片成形体4枚について、各表側の間隙内に乾
燥したマサ土を振とうしながら充填した。次にマサ土面
に市販のパセリ種子とちりめん青じそ種子(いずれも千
葉県香取郡小見川町、アタリヤ農園産)の適当粒数を撒
いた後、更に乾燥マサ土で被覆し、静かに散水して戸外
日蔭に静置した。3日に1度の割合で、散水を続けたと
ころ、4〜5月時期で14〜18日後に両種とも全対象
苗床で発芽し、以後、高さ5〜8cmまでに成長した。
【0083】このことは、本発明の木質片成形体は、そ
の空隙部へ砂塵と雑草類種子、胞子が飛来して固定され
うればこれが発芽、成長し、木質片成形体による被覆域
で自然と繁茂、緑化が図られることを示すものである。
【0084】[実施例7] 木質片成形体の耐衝撃性能 実施例3のように下地をコンクリート及び鋼板として取
り付けた木質片成形体の4枚を試験体とし、落球試験法
((財)日本塗り床工業会が塗り床の耐衝撃強さ試験法
に準拠)により耐衝撃性能を調べた。
【0085】試験は、直径63.5mm、質量1kgの鋼球
を落下高さ1mの条件で砂床上へセットされた被検体の
同一地点へ落下させた場合の損傷具合を観察した。落球
回数50回までの範囲においては、試験体4枚とも鋼球
落下地点で凹み発生が目撃され、とくに鋼板下地の場合
では鋼板自体にも凹みが生じていたが、木質片各個に離
脱や破損といった損傷は認められなかった。このこと
は、木質片に対するバインダー接合効果が高いためであ
り、木質片成形体がかなりの緩衝性能を備えていること
が判る。
【0086】
【発明の効果】本発明の木質片成形体は、多数の木質片
と、木質片を結合させる硬化性の透明合成高分子バイン
ダーと、多数の隙間と、から成る多隙性の木質片成形体
であり、建築構造体の屋外表面に取着されて使用できる
ので、従来焼却埋立てに使用されていた廃棄木材などの
木質材料の有効利用をはかることができ、しかも原料と
して多量に安価に入手できる。
【0087】本発明の天然木質片成形体は、これを山地
斜面や道路法面、一般構築物外壁面など人々が目視する
対象となる土木・建築構造物の被覆に適用することがで
き、そのような被覆面は、木質材が備えている固有の色
調、風合い、テクスチュアーを発現させて、そのままで
も自然景観へうまく調和させることができる。
【0088】構造物の表面は、成形体が木質片の集合体
であり、適度の隙間を多数有するので、コンクリート構
造物であっても、上記の木質的な外観による自然的景観
性の保持・醸成とともに、(1)吸音作用に基づく騒音な
どの音響低減、(2)断熱作用による周辺温度の上昇抑
制、(4)多隙性に基づく小雑草木類の繁茂・緑化を図る
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 591167278 中外商工株式会社 大阪府大阪市西区靱本町1丁目5番14号 (72)発明者 村武 賢治 福岡県春日市上白水705番2−303号 Fターム(参考) 2D044 DB52 2D048 AA71

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土木建築構造体の屋外表面に取着されて
    使用せられる木質片成形体であって、成形体が、多数の
    木質片と、木質片を結合させる硬化性の透明合成高分子
    バインダーと、多数の隙間と、から成る多隙性の木質片
    成形体。
  2. 【請求項2】 成形体が、板状である請求項1に記載の
    木質片成形体。
  3. 【請求項3】 上記のバインダーが、ポリウレタン系樹
    脂である請求項1又は2に記載の木質片成形体。
  4. 【請求項4】 上記バインダーが、1液硬化型の非水溶
    性イソシアネート系樹脂であることを特徴とする請求項
    1ないし2いずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記木質片が、一辺5〜60mmの切削
    チップである請求項1ないし3いずれかに記載の木質片
    成形体。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5にいずれかに記載の木
    質片成形体が、土木建築構造体の表面に被着して構造体
    を被覆してなる土木建築構造体の表面構造物。
  7. 【請求項7】 上記の木質片成形体が、裏打ち材に一体
    に接合されてなる請求項1ないし5いずれかに記載の木
    質片成形体。
  8. 【請求項8】 裏打ち材が、木板、金属板、セメントモ
    ルタル若しくはポリマモルタルである請求項7に記載の
    木質片成形体。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の木質片成形体が、土木
    建築用構造体の表面に該裏打ち材を取着して、構造体を
    被覆してなる土木建築用構造物。
  10. 【請求項10】 建築構造体の表面に取着して使用せら
    れる成形体の製造方法であって、 多数の木質片と自己硬化性を有する透光性で液状の合成
    高分子バインダーとの混練物を調製し、混練物を型枠内
    へ敷き均して圧締し、次いで、バインダーを常態雰囲気
    下でそのまま硬化させて後に型枠を分離して、多隙性組
    織を有する成形体となす木質片成形体の製造方法。
  11. 【請求項11】 成形体が、板状である請求項10記載
    の木質片成形体の製造方法。
  12. 【請求項12】 上記のバインダーが、ポリウレタン系
    樹脂である請求項10又は11記載の木質片成形体の製
    造方法。
  13. 【請求項13】 上記バインダーが、1液硬化型の非水
    溶性イソシアネート系樹脂であることを特徴とする請求
    項10又は11に記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 上記木質片が、一辺10〜60mmの
    切削チップである請求項10ないし13いずれかに記載
    の木質片成形体の製造方法。
  15. 【請求項15】 上記バインダーには、適宜分量の防腐
    剤を混合されて成る請求項10ないし14いずれかに記
    載の木質片成形体の製造方法。
  16. 【請求項16】 型枠底部には、予め裏打ち材が配置さ
    れ、上記の木質片成形体が、該裏打ち材に一体に接合さ
    れてなる請求項10ないし15に記載の木質片成形体の
    製造方法。
  17. 【請求項17】 型枠内で硬化ないし半硬化した成形体
    上に硬化性裏打ち材を塗着又は充填して、木質片成形体
    が、該裏打ち材に一体に接合されてなる請求項10ない
    し15記載の木質片成形体の製造方法。
  18. 【請求項18】 上記の裏打ち材が、木板、金属板、セ
    メントモルタル若しくはポリマーモルタルである請求項
    16又は17に記載の木質片成形体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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