JP2000107903A - 旋 盤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ｙ軸機能を有しながら、設置に必要な奥行き
寸法を短縮できる旋盤を提供する。 【解決手段】 基台１と、この基台１上に設置された主
軸台２と、傾斜送り台３と、タレット６の設置された工
具支持台４とを備える。傾斜送り台３は、上面に傾斜案
内３ａを有し、基台１上を主軸台２に対して進退する。
工具支持台４は、傾斜送り台３の傾斜案内３ａに進退自
在に設置され、工具７の切り込み方向Ｘの進退動作を行
う。工具７のＹ軸方向の移動は、傾斜送り台３の進退と
工具支持台４の進退との合成運動とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、いわゆるＹ軸機
能を備えた旋盤に関し、例えばタレット旋盤において、
Ｙ軸機能を備えたものに関する。

【０００２】

【従来の技術】タレット旋盤等にように、刃物台に多数
の工具が装着される旋盤では、一部の工具をミーリング
工具やドリル工具等の回転工具とする場合がある。この
ような回転工具を備えた旋盤において、ワークの偏心位
置に加工を施したい場合がある。その場合、刃物台と主
軸との相対位置を、主軸の半径方向に変更可能とする機
能が必要となる。この変更方向は、刃物台の切り込み方
向（Ｘ軸方向）に対して垂直となる方向（Ｙ軸方向）と
される。そのため、上記機能はＹ軸機能等と呼ばれてい
る。このＹ軸機能を与える場合、刃物台をコラム等に設
置して垂直に上下移動させるようにしても良いが、その
場合、刃物台の重量を支えることが必要で、刃物台を支
持する機構が大型化することになる。この課題に対応す
るものとして、従来、図５に示す例や、図６に示す例な
どのように、傾斜した案内面を利用するものが提案され
ている。

【０００３】図５の例は、ベッド５１に傾斜案内５１ａ
を設けて送り台５２を設置し、この送り台５２を、上面
が傾斜案内５２ａとなった傾斜送り台として、その上に
工具支持台５３を設置し、工具支持台５３に、工具５５
の取付けられるタレット５４を設置したものである。同
図の旋盤において、主軸５６に対する工具５５の切り込
み方向（Ｘ軸方向）の移動は、傾斜送り台５２の進退で
行われる。また、切り込み方向（Ｘ軸方向）に垂直なＹ
軸方向の移動は、工具支持台５３の移動と、傾斜送り台
５２の移動との合成動作で行われる。すなわち、工具支
持台５３の移動により、工具支持台５３をＹ軸方向に移
動させる場合、工具支持台５３はＸ軸方向にも移動する
ため、Ｘ軸方向位置を一定に保つために、工具支持台５
３も移動させる。

【０００４】図６の例は、ベッド６１の案内６１ａを水
平案内とし、その上に傾斜送り台６２を設置して、傾斜
送り台６２の傾斜案内６２ａ上に工具支持台６３を設置
したものである。工具支持台６３に、工具６５の取付け
られるタレット６４が設置される。同図の旋盤では、主
軸６６に対する切り込み方向（Ｘ軸方向）の工具６５の
移動は、傾斜送り台６２の水平移動により行われ、Ｙ軸
方向の移動は、傾斜送り台６２の移動と工具５３の移動
との組み合わせ動作で行われる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】これらの旋盤におい
て、工具５５，６５をタレット５４，６４の旋回等によ
って交換する場合、主軸５６，６６に保持されたワーク
等に工具５５，６５が不測に干渉しないように、工具支
持台５３，６３が主軸５６，６６から切り込み方向（Ｘ
軸方向）に遠く離れた退避位置（原点位置）で工具交換
が行われる。そのため、切り込み方向（Ｘ軸方向）のス
トロークは大きく必要とされる。工具支持台５３，６３
の切り込み方向の移動は、図５および図６の例とも、こ
れら工具支持台５３，６３を搭載した傾斜送り台５２，
６２の移動により行われる。

【０００６】この場合に、図６の例では、傾斜送り台６
２はベッド６１上を水平に移動するため、工具交換等の
ために大きく必要とされる切り込み方向のストローク長
さを、そのまま旋盤の奥行き方向に確保する必要があ
り、旋盤の占有面積が奥行き方向に広く必要となる。近
年、工作機械全般に、占有面積の縮小化が要求されてお
り、図６の例は、占有面積の観点で好ましくない。図５
の例の場合は、傾斜送り台５２がベッド５１の傾斜した
案内５１ａ上を移動するため、切り込み方向（Ｘ軸方
向）の必要ストロークｍを確保するために必要な旋盤の
奥行き方向（Ｘ′方向）の長さｎは、その必要ストロー
クｍに対して案内５１ａの傾斜角度θ₅₁の余弦を乗じた
長さ（ｎ＝ｍ・coc θ₅₁）で済む。そのため、旋盤の占
有床面積が奥行き方向に小さくできる。しかし、傾斜し
た案内５１ａの上に、さらに傾斜案内５２ａを有する傾
斜送り台５２ａを設置し、その２段目の傾斜案内５２ａ
に工具支持台５３を設置するため、工具支持台５３の支
持荷重が増大することを防止するために、傾斜案内５２
ａが急角度になり過ぎることを避ける必要がある。その
ため、ベッド５１の案内５１ａの傾斜角度θ₅₁をあまり
大きくすることができず、したがって、ベッド５１の案
内５１ａの傾斜による占有床面積の低減効果を十分に得
ることが難しい。

【０００７】この発明の目的は、主軸の半径方向に工具
を変位させる機能を有しながら、設置に必要な奥行き寸
法を短縮できる旋盤を提供することである。この発明の
他の目的は、タレット旋盤において、上記の目的を達成
することである。この発明のさらに他の目的は、奥行き
寸法の短縮と、傾斜案内上の工具支持台の重量支持との
両方につき、均整のとれた旋盤とすることである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明の旋盤は、基台
と、この基台上に設置された主軸台と、上面に傾斜案内
を有し前記基台上を主軸台に対して進退する傾斜送り台
と、この傾斜送り台の前記傾斜案内に進退自在に設置さ
れ前記傾斜案内に沿う方向の移動により主軸の軸心に対
し切り込み方向の進退動作を行う工具支持台とを備えた
ものである。この構成の旋盤によると、工具支持台に取
付けられた工具の切り込み方向の移動は、傾斜送り台が
停止したまま、傾斜送り台の傾斜案内に沿って工具支持
台が進退することにより行われる。工具支持台に取付け
られた工具の主軸半径方向の移動は、基台上での傾斜送
り台の進退移動と、傾斜送り台の傾斜案内上での工具支
持台の進退移動との合成運動で行われる。すなわち、傾
斜送り台が進退することで、工具支持台は主軸の半径方
向に移動することになるが、この移動に伴い工具支持台
は主軸に対して切り込み方向にも移動することになるの
で、傾斜送り台の移動方向と逆方向に工具支持台を傾斜
送り台上で移動させることにより、切り込み方向位置を
変えることなく、工具支持台の主軸半径方向の移動が行
える。この構成の旋盤では、工具の切り込み方向の移動
を、傾斜送り台の傾斜案内上で工具支持台の移動により
行うため、工具交換等のために長いストローク長が要求
される切り込み方向のストローク長に対して、床面上の
必要幅は、傾斜案内の傾斜角度の余弦を乗じた長さで済
む。また、前記傾斜角度は、傾斜案内の積み重ねがな
く、ある程度大きな角度とできるため、余弦分の長さと
なることによる床面幅の縮小効果が大きく得られる。な
お、傾斜送り台は、工具を主軸半径方向に移動させるた
めに進退させるが、工具の主軸半径方向の移動に必要な
長さは僅かであり、最大でワーク直径程度であるため、
傾斜送り台の移動範囲は小さく済む。これらのため、各
台の必要な移動範囲を考慮した旋盤の設置に必要な切り
込み方向の床面幅（つまり奥行き寸法）を十分に狭める
ことができる。

【０００９】この発明において、前記工具支持台にタレ
ットを設置し、このタレットに工具を取付けても良い。
タレットを設置した場合、タレットの旋回動作のために
工具支持台の切り込み方向のストローク長さが長くな
る。そのため、傾斜送り台上で工具支持台の切り込み方
向の移動をさせる構成としたことによる奥行き寸法の低
減効果が効果的である。

【００１０】また、この発明において、前記傾斜送り台
の前記傾斜案内は、水平面に対して略４５°の傾き角度
を有するものとしても良い。このように４５°の角度と
すると、傾斜送り台上の案内を傾斜させたことによる奥
行き寸法の短縮と、傾斜案内の角度増加に伴う工具支持
台の支持重量の増加を防止することとの両方につき、均
整のとれた旋盤となる。

【００１１】

【発明の実施の形態】この発明の一実施形態を図１ない
し図４と共に説明する。図１に示すように、この旋盤
は、基台１と、この基台１上に設置された主軸台２と、
上面に傾斜案内３ａを有し基台１上を主軸台２に対して
進退する傾斜送り台３と、この傾斜送り台３の傾斜案内
３ａに進退自在に設置された工具支持台４とを備える。
工具支持台４には、主軸台２に設置された主軸５と平行
な水平軸心回りに旋回可能にタレット６が設置されてい
る。主軸５は、長尺の棒状ワークを内部に挿通可能なも
のとしてある。タレット６の外周に複数の工具７が設置
され、その一部の工具７が、ミーリング工具やドリル工
具等の回転工具とされる。

【００１２】基台１はベッド８で主に構成される。主軸
台２は、ベッド８上に設置されている。この場合に、主
軸台２は、ベッド８上に設けられた案内１４に沿って主
軸軸方向（Ｚ軸方向）に進退自在に設置され、主軸台進
退駆動装置１５により進退駆動される。主軸台進退駆動
装置１５は、ボールねじおよびサーボモータ等からな
る。基台１の上面に、すなわちベッド８の上面に、傾斜
送り台３を主軸５と直行する水平方向に案内する案内９
ａが設けられている。また、ベッド８に、傾斜送り台３
を進退させるボールねじおよびサーボモータ等からなる
傾斜送り台進退駆動装置１２が設置されている。

【００１３】傾斜送り台３は、いわゆるＹ軸機能を与え
るものであり、上面に前記傾斜案内３ａを設け、かつ工
具支持台進退駆動装置１３が設置してある。傾斜案内３
ａは、工具支持台４を主軸５の軸心に対して切り込み方
向（Ｘ軸方向）に進退自在に案内するものであり、水平
面に対して所定角度傾斜している。この傾斜角度θは、
４５°程度が好ましい。工具支持台進退駆動装置１３
は、ボールねじおよびサーボモータ等からなる。なお、
傾斜案内３ａや、前記各案内８ａ，９ａは、滑り案内で
あっても、転がり案内であっても良い。また、これらの
案内３ａ，８ａ，９ａは、必ずしもレール状に延びるも
のでなくても良く、例えば、相手側の部材がレール状の
部材であって、このレール状の部材に相対的に移動自在
に係合する部材で構成されたものであっても良い。

【００１４】工具支持台４は、工具７を直接的に、また
は刃物台を介して支持する送り台である。この例では、
工具支持台４は、刃物台であるタレット６を旋回自在に
支持しており、かつタレット６の外周面の希望の工具ス
テーションＳを主軸５と対応する角度に割り出し可能な
ように、タレット６を旋回させるタレット旋回機構（図
示せず）が設置されている。工具支持台４に設置される
刃物台は、タレット６の他に、例えば複数の工具が設置
されて希望の工具をスライド移動により割出すものであ
っても良い。また、工具支持台５は、それ自体に複数の
工具が装着されたものであっても良い。

【００１５】図２はこの旋盤の平面図である。この旋盤
は、対向２軸旋盤として構成され、図１と共に説明した
主軸台２や、基台部送り台９、傾斜送り台３、工具支持
台４、タレット６等で構成される単軸旋盤部分２０が、
ベッド１上に主軸軸方向Ｚに対向して一対設置されてい
る。ベッド１は両方の単独旋盤部分２０に共通に設けら
れたものであっても、また個別に設けられたものであっ
ても良い。ただし、詳しくは、図１に示した単軸旋盤部
分は、図２における右側の単軸旋盤部分２０であり、左
側の単軸旋盤部分２０は、次の構成部分で右側の単軸旋
盤部分２０と異なっている。左側の単軸旋盤部分２０で
は、図４に示すように、基台１は、ベッド８と、このベ
ッド８上に設けられた主軸軸方向（Ｚ軸方向）と平行な
案内８ａ上を進退可能な基台部送り台９とで構成され
る。主軸台２は、ベッド８上に固定設置されている。基
台部送り台９は、ボールねじおよびサーボモータ等から
なるＺ軸進退駆動装置１０により進退駆動される。基台
部送り台９の上面に、傾斜送り台３を主軸５と直行する
水平方向に案内する案内９ａが設けられている。また、
傾斜送り台３を進退させるボールねじおよびサーボモー
タ等からなる傾斜送り台進退駆動装置１２が設置されて
いる。また、主軸台２を固定とした方の主軸５は、長尺
の棒状ワークを挿通可能なものとせず、短尺のワークを
把持するものとしてある。その他の構成は、左右の単軸
旋盤部分２０，２０は互いに同じ構成（但し左右対称）
である。なお、左右の単軸旋盤部分２０は、互いに配置
を逆にしても良い。片方の単軸旋盤部分２０の主軸台２
を移動可能としたのは、突き切り加工を行うときなど
に、片側の単軸旋盤部分２０の主軸５で把持していたワ
ークＷを対向する両側の主軸５，５で同時に把持した
り、両側の主軸５，５間で直接にワークＷの持ち替えを
行う場合等のためである。

【００１６】上記構成の動作を説明する。この旋盤は、
タレット６に取付けられた工具７の切り込み方向（Ｘ軸
方向）の移動は、傾斜送り台３が停止したまま、傾斜送
り台３の傾斜案内３ａに沿って工具支持台４が進退する
ことにより行われる。この移動により、通常時、つまり
Ｙ軸機能を用いていないときは、工具７が主軸５の軸心
に対して切り込み方向に移動する。工具７の切り込み方
向（Ｘ軸方向）と直行する主軸半径方向（Ｙ軸方向）の
移動は、基台１上での傾斜送り台３の進退移動と、傾斜
送り台３の傾斜案内３ａ上での工具支持台４の進退移動
との合成運動で行われる。すなわち、傾斜送り台３が進
退することで、工具７は工具支持台４と共にＹ軸方向に
移動することになるが、この移動に伴い工具支持台４は
主軸５に対して切り込み方向Ｘにも移動することにな
る。そのため、傾斜送り台３の進退方向と逆方向に工具
支持台４を傾斜送り台３上で移動させることにより、切
り込み方向位置を変えることなく、工具７のＹ軸方向の
移動が行える。工具７の主軸軸方向（Ｚ軸方向）の移
動、つまり旋削における送り動作は、片方の単軸旋盤部
分２０では主軸台２の移動により行われ、もう片方の単
軸旋盤部分２０では基台部送り台９の移動により行われ
る。

【００１７】この旋盤の寸法上の効果等を、図３と共に
説明する。この構成の旋盤では、工具７の切り込み方向
Ｘの移動を、傾斜送り台３の傾斜案内３ａ上で、工具支
持台４の移動により行う。そのため、工具交換等のため
に長いストローク長が要求される切り込み方向のストロ
ーク長ａ（図３（Ｂ））に対して、床面上の必要幅は、
傾斜案内３ａの傾斜角度θの余弦を乗じた長さｂ（＝ａ
・cos θ）で済む。傾斜送り台３は、工具７を主軸半径
方向Ｙに移動させるために進退させるが、工具７の主軸
半径方向Ｙの移動に必要な長さは僅かであり、最大でワ
ーク直径程度であるため、傾斜送り台３の移動範囲は小
さく済む。これらのため、各台３，４の必要な移動範囲
を考慮した旋盤の設置に必要な奥行き寸法（切り込み方
向の床面幅）を狭めることができる。この場合に、基台
１の傾斜送り台３を支持する案内９ａは略水平であるた
め、傾斜案内は一段で済み、図５の例のような傾斜案内
が２段重ねのものに比べて、水平面に対する傾斜角度θ
をある程度急角度に設定することができる。そのため、
傾斜による奥行き寸法の低減効果を大きく得ることがで
きる。また、基台１の案内９ａが水平であるため、図５
の例のような傾斜したベッド５１に比べて、剛性が確保
し易い。

【００１８】傾斜送り台３の傾斜案内３ａの傾斜角度θ
は、水平面に対して略４５°とすることが好ましい。こ
のように４５°の角度とすると、傾斜案内３ａを傾斜さ
せたことによる奥行き寸法の短縮効果と、傾斜案内３ａ
の急角度化に伴う工具支持台４の支持重量の増加を防止
することとの両方につき、均整のとれた旋盤となる。

【００１９】

【発明の効果】この発明の旋盤は、上面に傾斜案内を有
し基台上を主軸台に対して進退する傾斜送り台と、この
傾斜送り台の前記傾斜案内に進退自在に設置され前記傾
斜案内に沿う方向の移動により主軸の軸心に対し切り込
み方向の進退動作を行う工具支持台とを備えたものであ
るため、主軸の半径方向に工具を変位させる機能を有し
ながら、設置に必要な奥行き寸法を短縮することができ
る。工具支持台にタレットを設置し、このタレットに工
具を取付けた場合は、奥行き寸法の短縮効果がより一層
効果的となる。また、傾斜送り台の傾斜案内を、水平面
に対して略４５°の傾き角度を有するものとした場合
は、奥行き寸法の短縮と、傾斜案内上の工具支持台の重
量支持との両方につき、均整のとれた旋盤となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施形態にかかる２軸旋盤の右側
部分の左側面図である。

【図２】同旋盤の平面図である。

【図３】（Ａ）は同旋盤の模式側面図、（Ｂ）はその寸
法関係の説明図である。

【図４】同２軸旋盤の他の左側部分の右側面図である。

【図５】（Ａ）は従来例の側面図、（Ｂ）はその寸法関
係の説明図である。

【図６】他の従来例の側面図である。

【符号の説明】

１…基台 ２…主軸台 ３…傾斜送り台 ３ａ…傾斜案内 ４…工具支持台 ５…主軸 ６…タレット ７…工具 ８…ベッド ８ａ…案内 １２…傾斜送り台進退駆動装置 １３…工具支持台進退駆動装置 θ…傾斜角度

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基台と、この基台上に設置された主軸台
   と、上面に傾斜案内を有し前記基台上を主軸台に対して
   進退する傾斜送り台と、この傾斜送り台の前記傾斜案内
   に進退自在に設置され前記傾斜案内に沿う方向の移動に
   より主軸の軸心に対し切り込み方向の進退動作を行う工
   具支持台とを備えた旋盤。
2. 【請求項２】 前記工具支持台にタレットが設置され、
   このタレットに工具が取付けられる請求項１記載の旋
   盤。
3. 【請求項３】 前記傾斜送り台の前記傾斜案内は、水平
   面に対して略４５°の傾き角度を有する請求項１または
   請求項２記載の旋盤。