JP2000099035A - 吸音材及びその製造方法 - Google Patents

吸音材及びその製造方法

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JP2000099035A JP10271867A JP27186798A JP2000099035A JP 2000099035 A JP2000099035 A JP 2000099035A JP 10271867 A JP10271867 A JP 10271867A JP 27186798 A JP27186798 A JP 27186798A JP 2000099035 A JP2000099035 A JP 2000099035A
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Isato Inada
勇人 稲田
Koichi Nogami
晃一 野上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な吸音特性を示し、粉体の脱落や偏り等
による吸音特性の性能劣化を生じず、さらに、軽量、薄
型で従来の多孔質材料と同等の加工性を備えた吸音材を
提供する。 【解決手段】 発泡ポリウレタンの樹脂マトリックス1
内に粉体2を分散させて吸音材を形成する。粉体2と発
泡ポリウレタンの気孔3の働きによって、低周波数域か
ら高周波数域に亘って良好な吸音特性を示す。また粉体
2は発泡ポリウレタンの樹脂マトリックス1内に保持さ
れて脱落することがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の騒音低減
を図るための吸音材、特に車室内やエンジンルーム内の
騒音を低減させるのに用いる吸音材、またリスニングル
ームや楽器練習室等の音響処理や、空調ダクト内を伝搬
する騒音の低減等のためや、ボールミル、ポットミル等
の粉砕機、エアコンや冷蔵庫等のコンプレッサーを内臓
する電気機器、コピー機やFAX、プリンター等のOA
機器等の機械装置の騒音低減、また壁・天井等の二重壁
構造の二重壁間に充填して遮音効果を高めるためなどに
使用される吸音材及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】吸音材は、自動車のエンジン騒音を低減
させるためのフードサイレンサー、エンジンアンダーカ
バー、ダッシュパネルサイレンサーや、室内の音響特性
が問題になるリスニングルームや楽器練習室等において
室内残響特性や反射特性等を制御する内装材や、遮音性
能が要求される部屋の二重壁構造に形成した壁や天井に
充填される充填材や、空調ダクトや吸音ダクトの内側に
貼って騒音の伝搬を防ぐ内張り材や、騒音を発生する機
器の防音カバーの内側に貼る内張り材等として使用され
ている。
【0003】このような用途に使用される吸音材として
は、グラスウール、ロックウール、発泡ポリウレタン、
フェルト、不織布等の多孔質吸音材が従来から主として
使用されている。これらの多孔質吸音材は内部に連通し
た複雑な形状の空隙を有するために、空隙内に音波が入
射すると、空隙内を伝播する途中でファイバーの表面や
ウレタン気泡壁面との間で粘性摩擦等が生じ、音波エネ
ルギーが熱エネルギーに変換される事で、多孔質材料内
に吸収されて吸音がなされるのである。
【0004】しかし、一般に多孔質材料の吸音率は、周
波数が高くなるほど吸音率も高くなるというように周波
数に対して右肩上がりの特性を示し、低周波数域では充
分な吸音率を得ることができない。多孔質吸音材自身の
厚みを大きくしたり、多孔質吸音材の音入射面の背後に
十分な厚みの空気層(背後空気層という)を確保する等
すれば、低周波数域の吸音率を高くすることが可能であ
るが、吸音材自体が非常に嵩高になり、また背後空気層
を合わせた吸音材の厚みが非常に厚くなり、例えば、自
動車のエンジンルーム内に使用する場合には非常にスペ
ースが限られているために使用できなくなったり、ま
た、部屋の内装材として使用する場合には部屋が狭くな
る等の問題が生じ、ダクトの内張りとして使用する場合
には空気の通路が狭くなる等の問題が生じる。
【0005】またこれらの多孔質吸音材を用いて、限ら
れた厚みの中で、その吸音特性の向上を図ることは難し
く、従来の方法では多孔質吸音材の密度アップ等によっ
て対応することが必要になり、特に発泡ポリウレタンの
場合には密度アップを図ろうとすると、内部の気孔が独
立気泡となってしまい、却って吸音率の低下につながる
ものであった。
【0006】さらに発泡ポリウレタン以外の多孔質吸音
材として一般に使用されているグラスウールやロックウ
ールは無機繊維で構成されるため、不燃性には非常に優
れるものの、その破片が短繊維となって飛び散り、人間
の皮膚等に刺激を与えて、場合によってはかぶれ等を引
き起こし、作業環境の点から望ましいものではない。
【0007】一方、厚みが薄くても低周波数域で優れた
吸音性能を有する吸音材として、シリカ粉体等の粉体層
から形成したものが提供されている。この吸音材では、
粉体層に音が入射すると粉体粒子が振動し、音波エネル
ギーがこの振動に変換されて吸音作用が発現するもので
ある。
【0008】しかし、この粉体を材料とする吸音材は、
粉体の振動、すなわち音エネルギーによる粉体の共振を
利用することから吸音できる周波数域が非常に狭くな
る。また、このような吸音材を実際に用いる場合、例え
ば箱状の容器中に粉体を充填して粉体層を形成し、音波
透過性が良好なフィルム等で蓋をすることによって形成
することができるが、使用の態様によっては、当初、容
器に均一に充填されていた粉体が、使用過程で徐々に移
動して偏ってしまい、吸音性能が変化するおそれがある
という問題がある。
【0009】そこで、グラスウールやロックウール等の
非常に目の粗い多孔質材料の空隙に粉体を充填して保持
させることによって吸音材を形成することが提案されて
いる。しかしこの場合も、当初は粉体を多孔質材料の空
隙に均一に充填してあっても、使用過程で粉体が徐々に
移動して偏り、吸音性能が変化するという問題を解消す
ることはできない。またこのものにあって、グラスウー
ルやロックウール等の繊維で形成される多孔質材料の空
隙に粉体を充填する作業は、多孔質材料に粉体を散布し
て加振し、繊維間の空隙に粉体を沈めるようにして行な
われているが、この方法では粉体が空気中に舞い上が
り、作業環境の悪化や作業効率の低下を招くという問題
がある。
【0010】さらに、このような多孔質材料の空隙に粉
体を充填した吸音材を加工する場合、例えば所望の寸法
にカットする場合、多孔質材料の切断面から粉体が漏れ
出ることになり、通常の吸音材を切断する方法、例えば
発泡ポリウレタン、グラスウール、ロックウール、不織
布、フェルト等を切断するときのような、カッターナイ
フやはさみ等を用いた簡単な切断を実施することはでき
ず、粉体の漏れ防止対策を施さなければならない。
【0011】さらに特開平5−323973号公報、特
開平6−110468号公報、特開平6−158748
号公報等に、粉体層と繊維シートを交互に積層した構造
の吸音材が提供されている。しかしこのものでも粉体層
の粉体はフリーな状態のままであり、粉体の移動による
問題は解決されていない。
【0012】これらに対して、特開平8−39596号
公報では、繊維の空隙に発泡性バインダー樹脂を介在さ
せ、この発泡性バインダー樹脂で粉体を保持するように
した吸音材が提供されている。しかしこのものでは、発
泡性バインダー樹脂が繊維中に均一に分散されなければ
粉体の保持効果を十分に得ることができず、繊維と粉体
と発泡バインダー樹脂の三者を同時に均一に分散させる
ことは製造上非常に煩雑になるものであり、また吸音材
中に占める粉体の割合が発泡性バインダー樹脂によって
小さくなって、粉体による低周波数域での吸音特性に悪
影響を及ぼすおそれがあるという問題もあった。
【0013】また、上記のような粉体を用いた吸音材で
は、低周波数域の吸音率の向上を図ることができるもの
の、逆に高周波数域での吸音率が低下してしまうことに
なり、特に人間の聴覚が敏感な1000〜2000Hz
前後の周波数での吸音率が低くなるという問題があっ
た。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑
みてなされたものであり、良好な吸音特性を示し、粉体
の脱落や偏り等による吸音特性の性能劣化を生じず、さ
らに、軽量、薄型で従来の多孔質材料と同等の加工性を
備えた吸音材を提供することを目的とするものであり、
また粉体が空気中に舞い上がり、作業環境の悪化や作業
効率の低下を招くことなく製造を行なうことができる吸
音材の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る吸音材は、
発泡ポリウレタンの樹脂マトリックス内に粉体が分散さ
れて成ることを特徴とするものである。
【0016】また請求項2の発明は、発泡ポリウレタン
の樹脂に対する粉体の分散量が、発泡ポリウレタンの樹
脂100重量部に対して粉体50〜100重量部である
ことを特徴とするものである。
【0017】また請求項3の発明は、粉体は、タルク、
炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムから選ばれる少な
くとも一つのものであることを特徴とするものである。
【0018】また請求項4の発明は、発泡ポリウレタン
の樹脂マトリックス内への粉体の分散量を変化させるこ
とで、吸音特性を変化させることが可能であることを特
徴とするものである。
【0019】本発明に係る吸音材の製造方法は、ウレタ
ン原料に発泡剤と粉体を混合し、これを発泡成形するこ
とを特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0021】本発明において粉体としては、例えば金マ
イカ、シリカ、アクリル樹脂、タルク、珪酸カルシウ
ム、フッ素樹脂、パーライト、シラスバルーン、溶融シ
リカ、黒鉛、結晶セルロース、炭化ケイ素、珪藻土、ナ
イロン、ポリエステル、炭素繊維、二酸化チタン、炭酸
カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、ポリ塩化
ビニル、ポリメタクリル酸メチル、バリウムフェライ
ト、シリコーン樹脂等の無機材料や有機材料からなるも
のを用いることができるものである。
【0022】粉体としてはこれらの中から任意の一つ以
上のものを選択して使用することができるが、中でも、
タルクや炭酸カルシウムや水酸化アルミニウムの粉末を
用いるのが好ましい。タルク粉末や炭酸カルシウム粉末
は特に低周波数域の吸音特性を高める効果が高く、また
水酸化アルミニウムを用いることで、良好な吸音特性を
維持しながら難燃性も向上するものである。タルク粉末
や水酸化アルミニウム粉末は比較的安価であり、炭酸カ
ルシウムはさらに安価であり、コストダウンにも役立
つ。タルク粉末と炭酸カルシウム粉末と水酸化アルミニ
ウム粉末は、こられのうち一つのみを用いるようにして
も、二つ以上を併用してもいずれでもよい。
【0023】また、粉体としては、粒径が0.1〜10
00μmの範囲であって、嵩密度が0.1〜1.5g/
cm3の範囲であり、真比重が1を超えるものを用いる
のが、低周波数域での優れた吸音特性を有する粉体層を
形成するうえで好ましい。すなわち、粒径が0.1μm
未満の粉体は実用上使用が困難であり、逆に粒径が10
00μmを超えると、粉体による吸音効果が得られ難く
なる。また嵩密度が0.1g/cm3未満のものは、嵩
高くなるので発泡前のウレタン原料との混合撹拌が非常
に困難になり、逆に嵩密度が1.5g/cm3を超える
と、粉体による吸音効果が得られ難くなる。さらに真比
重が1以下であると、ポリウレタンのマトリックスの密
度と何ら変わらなくなり、吸音材の密度アップという面
からの吸音効果が小さくなってしまう。粉体の真比重の
上限は特に設定されないが、実用的には10程度が限界
である。
【0024】上記のような粉体を発泡ポリウレタンの骨
格となる樹脂マトリックス内に分散させることによっ
て、本発明に係る吸音材を得ることができるものであ
る。図1に吸音材の構造を示すものであり、1は発泡ポ
リウレタンの骨格となる樹脂マトリックス、2はこの樹
脂マトリックス1内に分散された粉体、3は連続気泡と
なった気孔である。この吸音材にあって発泡ポリウレタ
ンの樹脂マトリックス内に分散される粉体によって密度
をアップすることができるものであり、密度アップする
ために気孔が独立気泡となるようなことがなく、粉体の
働きによる低周波数域における良好な吸音特性を有する
吸音材を得ることができるものである。そしてこの吸音
材の吸音特性は、粉体そのものの吸音効果と、粉体とポ
リウレタンからなる複合材の制振材としての性質が持つ
吸音効果と、粉体と発泡ポリウレタンとからなる複合材
が形成する多孔質材としての性質が持つ吸音効果との相
乗効果によって得られているものである。そしてこの吸
音材の吸音率−周波数の関係は、粉体の種類及び量、ポ
リウレタンの樹脂量、発泡ポリウレタンの密度等の条件
によって変化するものであり、従って、特に吸音したい
音の周波数特性に合わせて条件を設定するチューニング
が可能である。
【0025】また、この吸音材において粉体は発泡ポリ
ウレタンの樹脂マトリックス内に分散されているため
に、粉体が脱落したり偏ったりすることがなく、吸音特
性の性能劣化を生じることがないものであり、さらに切
断しても粉体は発泡ポリウレタンの樹脂マトリックス内
に保持されており、従来の多孔質材料と同等の加工性を
備えているものである。
【0026】上記の吸音材を製造するにあたっては、ポ
リオールとイソシアネート及び必要に応じて配合される
反応触媒、整泡剤等からなるウレタン原料に、発泡剤と
上記の粉体を配合し、これを撹拌混合して発泡成形する
ことによって行なうことができる。このとき、粉体は液
状のウレタン原料に撹拌混合するために、粉体が空気中
に舞い上がるようなことがないものであって、作業環境
を悪化させたり作業効率を低下させたりすることなく、
吸音材を製造することができるものである。
【0027】ここで、発泡ポリウレタンの樹脂に対する
粉体の分散量は、発泡ポリウレタンの樹脂100重量部
に対して粉体50〜100重量部の範囲が好ましい。粉
体の分散量が50重量部未満であると、吸音性能を十分
に得ることができない。また粉体の分散量が100重量
部を超えると、粉体が発泡ポリウレタンの樹脂マトリッ
クスから脱落するおそれがあり、さらにウレタン原料に
粉体を混合した混合物の流動性が非常に悪くなって、取
り扱いが困難になると共に均一に発泡させることが難し
くなる。そして、発泡ポリウレタンの樹脂マトリックス
内への粉体の分散量を変化させることで、吸音特性を変
化させることが可能である。つまり、粉体の量を変える
ことによって吸音周波数域を変えることができるもので
あり、希望する周波数に応じた量で粉体を分散させるこ
とによって、吸音材に希望する周波数の音を吸音させる
ようにすることができるものである。
【0028】また、吸音材の表面性状が問題になる場合
などには、紙や樹脂フィルム、不織布等の表面材を吸音
材の表面に貼付することができる。表面材を貼付するに
あたっては、吸音材に接着剤等によって表面材を接着し
て貼り付けるようにすることもできる。このように吸音
材に表面材を貼付するにあたって、表面材の材料によっ
て吸音特性が影響を受けることを考慮する必要がある。
すなわち、表面材としてフィルムを用いた場合、その厚
みによって音が透過し難くなることによってフィルム自
身の膜振動が顕著に現れ、そのピーク周波数以外での吸
音率の低下を招く場合があり、特に高周波数域において
その影響が顕著に現れることがある。
【0029】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0030】(実施例1)ポリエーテルポリオール(三
洋化成工業社製「サンニックスKC−209」)、発泡
剤(水)、アミン触媒(ダブコ社製「DABCO33L
V」)、シリコーン系整泡剤、イソシアネート(ポリメ
リックMDI又はそのプレポリマー40〜90重量%、
残りTDI−80、クルードTDI及びそのそのプレポ
リマー化物とする有機ポリイソシアネート)、無機粉体
(タルク:粒径10μm、嵩密度0.4、真比重2.7
5)を表1に示す配合で撹拌混合し、これをフリーフォ
ームにて発泡、硬化させて発泡ポリウレタンを得た。得
られた発泡ポリウレタンは発泡倍率約30倍、密度48
kg/m3であり、これを厚さ30mmにスライスして
吸音材を得た。
【0031】(実施例2)表1の配合で各成分を撹拌混
合するようにした他は、実施例1と同様にして発泡ポリ
ウレタンを得た。得られた発泡ポリウレタンは発泡倍率
約30倍、密度114kg/m3であり、これを厚さ3
0mmにスライスして吸音材を得た。
【0032】(比較例1)連続気泡の気孔を有する多孔
質材料の発泡ポリウレタン(発泡倍率約60倍、密度1
6kg/m3、厚さ30mm)を吸音材として用いた。
【0033】(比較例2)独立気泡の気孔を有する多孔
質材料の発泡ポリウレタン(発泡倍率約20倍、密度5
0kg/m3、厚さ30mm)を吸音材として用いた。
【0034】
【表1】 上記の実施例及び比較例で得た吸音材について、吸音率
を測定して吸音特性を評価した。吸音率の測定は、厚さ
30mmの吸音材のサンプルについて、JISA 14
05「管内法による建築材料の垂直入射吸音率測定方
法」に準じて行なった。結果を図2に示す。
【0035】図2において実施例1,2と比較例1とを
比較すると、密度16kg/m3の比較例1の発泡ポリ
ウレタンに対して、実施例1,2の吸音材はいずれも吸
音率が高く、特に実施例2では低周波数域から高周波数
域まで比較例1のものより優れているものであった。ま
た実施例1と比較例2とを比較すると、密度50kg/
3の比較例2の発泡ポリウレタンは、800Hzあた
りまでは実施例1よりも吸音率が優れているが、高周波
域では実施例1のほうが吸音率が高い。これは、密度5
0kg/m3の発泡ポリウレタンでは発泡の際に全体が
連続気泡の気孔となりきれず、独立気泡のまま残ってし
まい、特に高周波数域の音の侵入が妨げられて吸音率が
低下するからである。一方、実施例2と比較例2とを比
較すると、実施例2の吸音材は密度が114kg/m3
であるにもかかわらず、連続気泡の気孔であるために、
低周波数域から高周波数域に至るまで、比較例2よりも
吸音率が高いものであった。
【0036】尚、吸音率測定のためのサンプルを作製す
るために、実施例1,2の吸音材を84mmφに切断し
たが、いずれの実施例のものも継続的な粉体の漏れは認
められなかった。このように各実施例のものは粉体の脱
落が発生せず、安定した状態を維持しているものであっ
た。また実施例1,2の吸音材の各サンプルを吸音率測
定後にカッターナイフで切断したところ、切断面からの
粉落ちは殆どなく、切断方法も通常の発泡ポリウレタン
やグラスウールを切断する場合と同じ要領で行なうこと
ができるものであった。
【0037】以上のように、実施例1,2の吸音材は、
従来の吸音材に対して、厚さや容量を増すことなく、低
周波数域において良好な吸音特性を示すと共に、中高音
域でも高い吸音率を維持する吸音特性が得られており、
また粉体のこぼれや偏りによる性能劣化が生じず、さら
に通常の発泡ポリウレタンと同等の加工性を有するもの
であった。
【0038】
【発明の効果】上記のように本発明に係る吸音材は、発
泡ポリウレタンの樹脂マトリックス内に粉体が分散され
たものであるので、粉体と発泡ポリウレタンの気孔の働
きによって、低周波数域から高周波数域に亘って良好な
吸音特性を示すものであり、しかも粉体は発泡ポリウレ
タンの樹脂マトリックス内に保持されており、粉体の脱
落や偏り等による吸音特性の性能劣化を生じず、さら
に、軽量、薄型で従来の多孔質材料と同等の加工性を備
えるものである。
【0039】また請求項2の発明は、発泡ポリウレタン
の樹脂に対する粉体の分散量が、発泡ポリウレタンの樹
脂100重量部に対して粉体50〜100重量部である
ので、粉体の脱落や取り扱いが困難になることなく、粉
体による吸音性能を高く得ることができるものである。
【0040】また請求項3の発明は、粉体として、タル
ク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムから選ばれる
少なくとも一つのものを用いるようにしたので、タルク
を用いることによってより低い周波数域で良好な吸音特
性を有する吸音材を形成することができ、炭酸カルシウ
ムを用いることによって中間の吸音特性を有する吸音材
を形成することができ、水酸化アルミニウムを用いるこ
とによって発泡ポリウレタンの難燃性を高めることがで
きるものである。
【0041】また請求項4の発明は、発泡ポリウレタン
の樹脂マトリックス内への粉体の分散量を変化させるこ
とで、吸音特性を変化させることが可能であるので、用
途に応じた吸音特性を吸音材に付与することが可能にな
るものである。
【0042】本発明に係る吸音材の製造方法は、ウレタ
ン原料に発泡剤と粉体を混合し、これを発泡成形するよ
うにしたので、粉体は液状のウレタン原料に撹拌混合さ
れるものであって、粉体が空気中に舞い上がるようなこ
とがなく、作業環境を悪化させたり作業効率を低下させ
たりすることなく吸音材を製造することができるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の形態の一例における吸音材の
構造を示す断面図である。
【図2】実施例及び比較例の吸音材の垂直入射吸音特性
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 発泡ポリウレタンの樹脂マトリックス 2 粉体 3 気孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2E001 DF04 FA41 GA03 GA23 GA28 HC07 HD03 HD11 JA04 JA06 JA12 JA14 JA29 JB01 JD02 5D061 AA06 AA26 AA29 DD11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発泡ポリウレタンの樹脂マトリックス内
    に粉体が分散されて成ることを特徴とする吸音材。
  2. 【請求項2】 発泡ポリウレタンの樹脂に対する粉体の
    分散量が、発泡ポリウレタンの樹脂100重量部に対し
    て粉体50〜100重量部であることを特徴とする請求
    項1に記載の吸音材。
  3. 【請求項3】 粉体は、タルク、炭酸カルシウム、水酸
    化アルミニウムから選ばれる少なくとも一つのものであ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸音材。
  4. 【請求項4】 発泡ポリウレタンの樹脂マトリックス内
    への粉体の分散量を変化させることで、吸音特性を変化
    させることが可能であることを特徴とする請求項1乃至
    3のいずれかに記載の吸音材。
  5. 【請求項5】 ウレタン原料に発泡剤と粉体を混合し、
    これを発泡成形することを特徴とする請求項1乃至4の
    いずれかに記載の吸音材の製造方法。
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