JP2000087025A - 蛍光体層、蛍光体ペースト、および該蛍光体ペーストの製造方法 - Google Patents

蛍光体層、蛍光体ペースト、および該蛍光体ペーストの製造方法

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JP2000087025A
JP2000087025A JP25689998A JP25689998A JP2000087025A JP 2000087025 A JP2000087025 A JP 2000087025A JP 25689998 A JP25689998 A JP 25689998A JP 25689998 A JP25689998 A JP 25689998A JP 2000087025 A JP2000087025 A JP 2000087025A
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Sumuto Sago
澄人 左合
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Noritake Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】反射型構造の発光装置に設けられる接着強度の
高い蛍光体層、その接着強度を高めることができる蛍光
体ペースト、およびその製造方法を提供する。 【解決手段】蛍光体層30は、平均粒径が 5〜6(μm)程
度の蛍光体粉体56を 100重量部と、平均粒径がその蛍
光体粉体56の1/10程度のピロ燐酸カルシウム粉体58
を 3重量部とを含んで構成される。そのため、蛍光体層
30には、平均粒径が蛍光体粉体56のそれの1/10程度
と相対的に十分に小さい無機粉体が、蛍光体粉体56を
100重量部に対して 3重量部の十分に多い割合で蛍光体
粉体56相互の空隙に含まれることから、蛍光体粉体5
6および無機粉体の粉体相互および粉体と隔壁等の表面
との接触面積が十分に高められる。したがって、粉体相
互および気密空間内面との付着力延いては蛍光体層30
の接着強度が十分に高められる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光体層、蛍光体
ペースト、およびその製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックス、ガラスや琺瑯等から成る
電気絶縁性基板の気密空間内に位置する一面に蛍光体層
が備えられ、紫外線や電子線等で励起されたその蛍光体
層の発光をその表面側から観察する形式の所謂『反射
型』の発光装置が知られている。例えば、蛍光表示管
(Vacuum Fluorescent Display:VFD)、プラズマ・
ディスプレイ・パネル(Plasma Display Panel:PD
P)、電界放射ディスプレイ(Field Emission Displa
y:FED)、或いは表示用蛍光ランプ等の自発光型の
平面型画像表示装置や、一般照明用の平面型蛍光灯或い
は液晶用バック・ライト等の平板型光源等がそれであ
る。このような反射型の発光装置では、蛍光体層の発光
を直接観察することから、その裏面側から蛍光体層を透
過した光を観察する所謂『透過型』の発光装置、例えば
蛍光灯や陰極線管(Cathode Ray Tube:CRT)等のよ
うな蛍光体層自身による遮光がないため、高輝度を容易
に得ることができるという利点がある。しかも、透過型
のような光を透過させるために生ずる蛍光体層の厚さの
制限がないことから、蛍光体層を厚くして輝度を一層高
めることも可能である。むしろ、反射型の場合には、裏
面側に向かう光を蛍光体自身で反射して表面側へ向かう
光を多くする必要があるため、下層部分が反射層として
機能するように蛍光体層を厚くすることが要求される。
例えば、透過型においては5〜 10(μm)程度の厚さが適
切であるのに対し、反射型では 30(μm)以上、好ましく
は100(μm)以上の厚さが適切であり、150(μm)程度の厚
さになっても輝度の飽和傾向は見られない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の反射型の発光装
置に設けられている蛍光体層は、例えば、基板の一面に
10〜300(Pa・s)程度の比較的高い粘度の蛍光体ペースト
をスクリーン印刷法等を用いて塗布し、焼成処理を施し
てペースト中の有機成分を除去することで形成される。
焼成処理温度は、基板ガラスの変形や基板表面に設けら
れたガラス膜の変化を避けるべくその軟化点よりも十分
に低い温度に設定され、例えば蛍光体粉体の融点よりも
遙かに低い600(℃) 程度以下の温度である。そのため、
蛍光体粉体が焼結させられないことから、形成された蛍
光体層は蛍光体が粒子単位で相互に接触させられている
だけとなり、ファン・デル・ワールス力等の分子間力に
基づく付着力だけで基板に接着される。この分子間力延
いては付着力は、蛍光体粉体の平均粒径が例えば 3〜 1
0(μm)程度と比較的大きいことから粉体相互および基板
との接触面積が小さいため、比較的小さい値に留まる。
しかも、反射型の発光装置では前述のように蛍光体層が
厚く設けられるが、蛍光体層を厚くするほど個々の粉体
粒子に作用する重力が大きくなり、相対的に付着力が小
さくなる。そのため、蛍光体層と基板との接着力が不十
分となって、蛍光体層が剥離し易いという問題があっ
た。
【0004】ところで、蛍光灯や陰極線管等の蛍光体層
が比較的薄い透過型の発光装置に設けられる蛍光体層に
おいても、製造過程や使用中に与えられる衝撃や曲げ応
力(例えば、環状の蛍光灯の製造過程において蛍光体層
の形成後にガラス管を円形に変形させる際に作用する応
力)等による剥離を抑制するため、その接着強度を高く
することが望まれており、例えば、微細な無機化合物粉
体を結着剤として用いて接着強度を高めることが提案さ
れている。例えば特開平4−332457号公報や特開
平8−96752号公報等に記載されている蛍光ランプ
がそれである。これらの技術によれば、蛍光体粉体およ
びそれよりも微細な無機粉体を有機溶剤中に分散させた
スラリをガラス内面に流し込んで塗布し、乾燥および焼
成することで蛍光体層が設けられる。そのため、無機粉
体が蛍光体粉体間の空隙に入って粉体相互および基板と
の接触面積を大きくすることから、粉体の付着力延いて
は蛍光体層の接着強度が高められるのである。なお、上
記の無機粉体は、前者では1〜2.5(μm)程度の平均粒径
のピロ燐酸カルシウムと0.02〜 0.03(μm)程度の平均粒
径のγアルミナ等とが併用され、後者では1(μm)以下の
平均粒径の硼酸マグネシウムが単独で用いられている。
【0005】上述した無機粉体を結着剤として用いて接
着強度を高める技術は、スラリから蛍光体層を形成する
場合だけでなく、反射型の発光装置のようにそれよりも
高粘度のペーストから蛍光体層を形成する場合にも同様
に適用できると考えられる。しかしながら、本発明者が
上記公報に従って蛍光体ペーストに結着剤を添加して研
究したところ、単に上記のような微細な無機粉体を用い
るだけでは、必ずしも十分な接着強度を得られないこと
が明らかとなった。反射型のように蛍光体層が厚くされ
る場合には、前述したように重力の作用力が大きくなる
ことから、透過型の場合に比較して一層高い付着力が要
求されるのである。本発明者は、結着剤の添加条件を種
々変更して研究を重ねた結果、蛍光体粉体の平均粒径と
の相対的な関係に基づいて結着剤の平均粒径を定めるこ
とにより安定して高い接着強度が得られることを見出し
た。
【0006】本発明は、斯かる知見に基づいて為された
ものであって、その目的は、反射型構造の発光装置に設
けられる接着強度の高い蛍光体層、その接着強度を高め
ることができる蛍光体ペースト、およびその製造方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための第1の手段】上記目的を達成す
るための第一発明の蛍光体層の要旨とするところは、気
密空間の内面に備えられてその発光が表面側から観察さ
れる蛍光体層であって、(a)平均粒径が 3乃至 10(μm)
の蛍光体粉体と、(b) その蛍光体粉体の平均粒径の 1/3
以下の平均粒径を備えてその蛍光体粉体 100重量部に対
して 1乃至10重量部の割合でその蛍光体粉体間の空隙に
位置させられた無機粉体とを、含むことにある。
【0008】
【第1発明の効果】このようにすれば、蛍光体層は、平
均粒径が 3〜 10(μm)の蛍光体粉体と、その蛍光体粉体
の平均粒径の 1/3以下の平均粒径を備えて蛍光体粉体 1
00重量部に対して 1〜10重量部の割合でその蛍光体粉体
間の空隙に位置させられた無機粉体と、を含んで構成さ
れる。そのため、蛍光体層には、平均粒径が蛍光体粉体
のそれの 1/3以下と相対的に十分に小さい無機粉体が、
蛍光体粉体 100重量部に対して 1〜10重量部の十分に多
い割合で蛍光体粉体相互の空隙に含まれることから、蛍
光体粉体および無機粉体の粉体相互および粉体と気密空
間内面との接触面積が十分に高められる。したがって、
粉体相互および気密空間内面との付着力延いては蛍光体
層の接着強度が十分に高められる。
【0009】
【課題を解決するための第2の手段】また、前記目的を
達成するための第2発明の蛍光体ペーストの要旨とする
ところは、気密空間の内面に備えられてその発光が表面
側から観察される蛍光体層を形成するための蛍光体ペー
ストであって、(c) 平均粒径が 3乃至 10(μm)の蛍光体
粉体を 100重量部と、(d) 平均粒径がその蛍光体粉体の
平均粒径の 1/3以下の無機粉体を 1乃至10重量部と、
(e) 前記蛍光体粉体および前記無機粉体を結合させるた
めの有機結合剤と、(f) 前記蛍光体粉体、前記無機粉
体、および前記有機結合剤を分散させるための有機溶剤
とを、含むことにある。
【0010】
【第2発明の効果】このようにすれば、平均粒径が 3〜
10(μm)の蛍光体粉体を 100重量部と、平均粒径がその
蛍光体粉体の平均粒径の 1/3以下の無機粉体を 1〜10重
量部と、蛍光体粉体および無機粉体を結合させるための
有機結合剤と、蛍光体粉体、無機粉体、および有機結合
剤を分散させるための有機溶剤と、を含んで蛍光体ペー
ストが構成される。そのため、蛍光体ペーストには、平
均粒径が蛍光体粉体のそれの1/3以下と相対的に十分に
小さい無機粉体が、蛍光体粉体 100重量部に対して 1〜
10重量部と十分に多く含まれていることから、その蛍光
体ペーストから形成される蛍光体層には、蛍光体粉体相
互の空隙にその微細な無機粉体が十分に存在することと
なる。したがって、粉体相互および気密空間内面との接
触面積を高めて接着強度を高めることができる。
【0011】
【第1、第2発明の他の態様】ここで、前記の第1発明
および第2発明において、好適には、前記の無機粉体
は、白色を呈するものである。このようにすれば、蛍光
体層中に含まれる無機粉体が白色を呈することから、蛍
光体粉体の発光を殆ど吸収しないため、無機粉体を添加
することによる輝度の低下が抑制される。
【0012】また、好適には、前記の無機粉体は、その
平均粒径が蛍光体粉体のそれの1/5以下である。このよ
うにすれば、蛍光体粉体に比較して無機粉体が一層微細
であることから、粉体相互および気密空間内面との接触
面積が一層増大させられるため、蛍光体層の接着強度が
一層高められる。一層好適には、無機粉体の平均粒径は
蛍光体粉体のそれの1/10以下である。なお、無機粉体の
平均粒径は、蛍光体粉体のそれの1/20以上であることが
望ましい。1/20よりも小さくなると、粉体の表面積が大
きくなり過ぎるため、適正なペースト特性を得ることが
困難になる。
【0013】また、好適には、前記の無機粉体は、アル
カリ土類金属の硼酸塩および燐酸塩の少なくとも一方か
ら成るものである。このようにすれば、無機粉体が白色
であるため、蛍光体からの発光がそれによって殆ど吸収
されず、添加することによる輝度低下が抑制される。ま
た、減圧或いは真空下でガスを放出しないので、気密空
間内の雰囲気を汚染することもない。更に、蛍光体ペー
ストにおいては、脱バインダのために加熱されても蛍光
体と殆ど反応しないため、安定性に優れるという利点も
ある。
【0014】
【課題を解決するための第3の手段】また、前記の目的
を達成するための第3発明の蛍光体ペーストの製造方法
の要旨とするところは、前記第2発明の蛍光体ペースト
の製造方法であって、(g) 前記無機粉体、前記有機結合
剤、および前記有機溶剤を混合して三本ロール・ミルで
混練することにより、その無機粉体を解砕しつつその有
機結合剤と共にその有機溶剤中に分散させて添加剤ペー
ストを作製するペースト化工程と、(h) 前記添加剤ペー
ストに前記蛍光体粉体を混合することにより蛍光体ペー
ストを作製する蛍光体混合工程とを、含むことにある。
【0015】
【第3発明の効果】このようにすれば、ペースト化工程
において、無機粉体、有機結合剤、および有機溶剤を三
本ロール・ミルで混練することにより、その無機粉体が
解砕されつつ有機結合剤と共に有機溶剤中に分散させら
れることで添加剤ペーストが作製され、続く蛍光体混合
工程において、その添加剤ペーストに蛍光体粉体を混合
することにより、蛍光体ペーストが作製される。そのた
め、微細であることから比較的大きな二次粒子に凝集し
ている無機粉体が、三本ロール・ミルで混練されること
によってローラ間で剪断力で好適に解砕されて微細化さ
れることから、添加剤ペースト中にはその無機粉体が好
適に分散させられる。そして、その後、蛍光体粉体がそ
の添加剤ペーストに混合されることで蛍光体ペーストが
作製されるため、蛍光体粉体に過大な力を作用させるこ
となく微細な無機粉体を蛍光体ペースト中に好適に分散
させることができる。したがって、蛍光体層の接着強度
を高めるように機能する微細な無機粉体が、蛍光体粉体
の性能劣化を伴うことなく好適に微細化され且つ分散さ
せられるため、接着強度が高く且つ輝度が高い蛍光体層
を形成し得る蛍光体ペーストを得ることができる。
【0016】
【第3発明の他の態様】ここで、好適には、上記の第3
発明において、(h-2) 蛍光体混合工程は、所定の回転容
器内に前記添加剤ペーストおよび前記蛍光体粉体を入
れ、その回転容器を所定の公転軸回りに公転させつつそ
の公転軸に対して傾いた自転軸回りに自転させることに
よりそれら添加剤ペーストと蛍光体粉体とを混合するも
のである。このようにすれば、公転軸と自転軸との傾き
に応じて作用する遠心力に基づいて、回転容器内の添加
剤ペーストおよび蛍光体粉体が好適に攪拌されることか
ら、ペーストを攪拌するための攪拌羽等で蛍光体粉体に
衝撃力が作用するおそれがないため、蛍光体粉体の劣化
を一層抑制しつつ分散性の良好な蛍光体ペーストが得ら
れる。
【0017】また、好適には、前記の無機粉体はその平
均粒径が1(μm)以下である。このようにすれば、無機粉
体の平均粒径が十分に小さいことから、蛍光体粉体間の
空隙に入り込むことによる接触面積増大効果が一層得ら
れ、蛍光体層の接着強度が一層高められる。このとき、
粉体の平均粒径が1(μm)以下になって比表面積が大きく
なると、粉体に分子間力によって作用する付着力が重力
に比べて著しく大きくなって支配的となる。そのため、
平均粒径が1(μm)以下の無機粉体は、大きな付着力の作
用によって凝集し易いことから粗大な二次粒子を構成す
るが、ペースト化工程において三本ロール・ミルから圧
縮力および剪断力を作用させられて一次粒子に解砕され
るため、粉体相互間および気密空間内面との接触面積が
好適に増大させられるのである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
参照して詳細に説明する。
【0019】図1は、本発明の一実施例の蛍光体層を備
えた表示用蛍光ランプ10の構成を一部を切り欠いて示
す斜視図である。図において、表示用蛍光ランプ10
は、隔壁12によって区画形成された複数の発光室14
を内部に有して一面(上面)が開放された平箱状の気密
容器本体16と、その気密容器本体16の開口を塞ぐ透
光性のガラス板18と、フィラメント状の陰極20を内
部に有して気密容器本体16のガラス板18とは反対側
の底壁24外面に固着された陰極収納部22とを備えて
いる。気密容器本体16の底壁24には、複数の発光室
14の各々毎に発光室14と陰極収納部22内とを連通
させる貫通穴26が設けられており、発光室14毎に備
えられた陽極28と共通の陰極20とはこの貫通穴26
を介して放電させられる。そして、放電室14の内壁面
を構成する底壁24の表面および隔壁12の表面には、
図2に断面を拡大して示すように、放電室14毎に塗り
分けられた複数種類、例えば赤、緑、青の三色の蛍光体
層30が、それぞれt=110(μm)程度の厚さで設けられ
ている。
【0020】そのため、共通の陰極20と所望の放電室
14内の陽極28との間で放電させられると、それによ
り発生させられた紫外線でその放電室14内に塗着され
ている蛍光体層30が励起発光させられ、ガラス板18
を通して射出されるその光によって種々の画像が表示さ
れる。すなわち、表示用蛍光ランプ10は、蛍光体層3
0の発光がその表面側から観察される反射型構造となっ
ている。このとき、蛍光体層30は、上記のように十分
に厚く設けられているため、屋外等の長い視認距離で好
適に用い得る高い輝度が得られる。なお、図において3
2、34は、それぞれ陰極20および複数本の陽極28
に電圧を印加するための端子である。また、本実施例に
おいては、放電室14の内壁面が気密空間の内面に相当
する。
【0021】上記の表示用蛍光ランプ10の蛍光体層3
0は、例えば、図3に示される各工程に従って蛍光体ペ
ーストを作製し、そのペーストを厚膜スクリーン印刷法
等で塗布することによって放電室14内に設けられる。
先ず、助剤混合工程S1においては、例えば、エチルセ
ルロース10重量部をテルピネオール90重量部に溶解して
有機バインダを作製し、この有機バインダと例えば平均
粒径が1(μm)以下、例えば0.5(μm)程度のピロ燐酸カル
シウム(Ca2P2O7 )粉体とを1:1の重量比で混合す
る。このとき、ピロ燐酸カルシウム粉体は、付着力が重
力に比較して極めて大きく支配的になる程度に微細であ
ることから、その微細な一次粒子が凝集することによっ
て一次粒子径の数倍〜数十倍程度、例えば 3〜 10(μm)
程度の大きさの粗大な二次粒子となっている。本実施例
においては、エチルセルロースが有機結合剤に、テルピ
ネオールが有機溶剤に、ピロ燐酸カルシウム粉体が無機
粉体にそれぞれ相当する。
【0022】次いで、解砕分散工程S2において、図4
に示されるように、上記の混合物36を例えばセラミッ
ク製三本ロール・ミル38で混練する。これにより、混
合物36が三本ロール・ミル38で混練される過程で、
ピロ燐酸カルシウム粉体の二次粒子が一次粒子程度に解
砕され且つ有機バインダ内に一様に分散させられて添加
剤ペースト40が得られる。ホッパ42内に投入された
混合物36は、速度V1で回転させられる第1ロール4
4aと速度V2(>V1)で回転させられる第2ロール
44bとの間、およびその第2ロール44bと速度V3
(>V2)で回転させられる第3ロール44cとの間で
圧縮力および剪断力を作用させられることから、凝集粒
が好適に解砕され且つ分散させられるのである。なお、
図において46は、第3ロール44cからペースト40
を掻き取るためのスクレーパである。本実施例において
は、上記の助剤混合工程S1および解砕分散工程S2が
ペースト化工程に対応する。
【0023】続く蛍光体混合工程S3においては、上記
の添加剤ペースト40を6 重量部と、蛍光体粉体を 100
重量部と、前記の有機バインダ(すなわち、エチルセル
ロースをテルピネオールに溶解したもの)を23重量部と
を混合する。蛍光体粉体は、蛍光体層30の色毎に異な
る組成のものが用意され、緑色蛍光体としては例えば平
均粒径5(μm)程度のLaPO4:Ce3+,Tb3+ が、赤色蛍光体と
しては例えば平均粒径6(μm)程度のY2O3:Eu3+ が、青色
蛍光体としては例えば平均粒径5(μm)程度のBaMg2Al16O
27:Eu2+ 等が用いられる。上記の混合は、例えば遠心力
の作用を利用した回転脱泡混練機を用いて行われる。
【0024】図5は、回転脱泡混練の実施状態を模式的
に示す図である。図において、回転脱泡混練機には蓋付
きの円筒状の回転容器50が備えられており、その回転
容器50内に添加剤ペースト40および蛍光体粉体が投
入されている。回転容器50は、鉛直方向に対してその
軸心方向が傾いて備えられており、図示しない回転駆動
機構によって鉛直方向に沿った公転軸A回りに公転させ
られると共に、容器の軸心に略一致してその公転軸Aに
対して傾斜させられた自転軸B回りに自転させられる。
このように、公転軸Aと自転軸Bとが交差する状態で同
時に回転駆動されることにより、例えば30秒程度の回転
時間で遠心力と重力との相互作用で添加剤ペースト40
内に速やかに蛍光体粉体が分散させられ、例えば粘度50
0(Pa・s)程度の蛍光体ペースト50が得られる。蛍光体
ペースト50中において、蛍光体粉体 100重量部に対す
るピロ燐酸カルシウム粉体の量は3 重量部である。な
お、回転容器48内には、混合のためのメディア等は一
切入れられておらず、攪拌羽等も備えられていない。ま
た、その内部における真空脱気等も行われていない。そ
のため、蛍光体粉体を添加剤ペースト40中に分散させ
る際に、その蛍光体粉体に衝撃力や剪断力等の物理的な
力が何ら作用しないことから、蛍光体の混合に伴うその
輝度低下等の性能劣化が生じない。
【0025】塗布工程S4においては、上記のようにし
て得られた蛍光体ペースト50にテルピネオールを添加
して粘度を100(Pa・s)程度に調整し、図6に示されるよ
うに、前記の隔壁12や底壁24の表面にスクリーン印
刷法で塗布する。なお、隔壁12や底壁24は426合
金等の金属材料から成るものであって、その表面には絶
縁のための図示しないガラス膜が設けられており、蛍光
体ペースト50はそのガラス膜上に印刷される。図にお
いて、隔壁12等を構成するための平板の上方に所定の
印刷パターンが形成された例えば 200メッシュ程度のス
クリーン52が配置され、その上に蛍光体ペースト50
が載置されている。この蛍光体ペースト50をスキージ
54によって図の矢印の方向に走査することで、スクリ
ーン52に形成されている印刷パターンに従って隔壁1
2等の表面に蛍光体ペースト50が塗布される。このと
き、前述のようにピロ燐酸カルシウムが一次粒子に解砕
されていることから、それによるスクリーン52の目詰
まり延いては塗布された蛍光体ペースト50の欠陥は何
ら生じていない。
【0026】そして、焼成工程S5において、上記の隔
壁12等に印刷された蛍光体ペースト50を、例えば大
気中、ピーク温度600(℃) 程度、保持時間 5分程度の条
件で焼成処理を施す。これにより、蛍光体ペースト50
内の有機成分すなわちエチルセルロースやテルピネオー
ルが分解除去され、前記の蛍光体層30が得られる。す
なわち、蛍光体層30は、蛍光体粉体56を 100重量部
と、ピロ燐酸カルシウム粉体58を 3重量部とから構成
されている。このようにして形成された蛍光体層30
は、膜厚が110(μm)程度と十分に厚くされているにも拘
わらず、十分に高い接着強度で隔壁12等の表面に接着
されていることが確かめられた。例えば、隔壁12を金
属容器内に固定して砂地へ容器毎落下させて蛍光体層3
0に衝撃を与える試験を行ったところ、100(G)の衝撃を
与えても剥離することはなかった。また、底壁24等は
蛍光体層30を形成した後に折り曲げ加工を施すことに
よって前記の図1に示されるような平箱状の気密容器本
体16に変形させられるが、その折り曲げ加工の際にも
蛍光体層30の剥離は生じなかった。
【0027】ここで、図7は、上記のようにして隔壁1
2上に生成された蛍光体層30の断面構造を模式的に示
す図である。前述のように蛍光体粉体56は5 〜6(μm)
程度と大径であることから、粉体相互間には比較的大き
な隙間が生じている。一方、ピロ燐酸カルシウム粉体5
8は0.5(μm)程度と蛍光体粉体56に比較して平均粒径
が1/10程度と微細であることから、蛍光体粉体56相互
間の隙間は、そこに入り込んだ多数のピロ燐酸カルシウ
ム粉体58で略埋め尽くされている。そのため、粉体5
6、58相互および粉体56、58と隔壁12との接触
面積は、図8に示されるように蛍光体粉体56だけから
構成された蛍光体層60に比較して飛躍的に増大させら
れている。したがって、接触面積に応じて大きさが決定
される粉体56、58相互間および隔壁12との間に作
用する分子間力は、図8の蛍光体層60の場合に比較し
て極めて大きくなるため、前述のように大きな衝撃を受
けても剥離し難いのである。これに対して、蛍光体層6
0は、接触面積が小さいことから接着強度が小さいた
め、例えば1(G)程度の衝撃で剥離して実用的な膜が得ら
れない。なお、ピロ燐酸カルシウム粉体58の添加量が
少な過ぎる場合には、蛍光体粉体56相互間の隙間がそ
れによって十分に埋められないため、添加効果は殆ど得
られない。例えば添加量が 1重量部に満たない 0.5重量
部程度の場合には、実質的な接着強度の向上は見られな
かった。
【0028】また、図9は、ピロ燐酸カルシウム粉体5
8の添加による蛍光体層30の輝度への影響を、添加量
を種々変更して試験した結果を示した図である。図から
明らかなように、蛍光体粉体56を 100重量部に対して
添加量が10重量部までの範囲では、ピロ燐酸カルシウム
粉体58を添加することによる蛍光体層30の輝度の低
下は5(%) 程度以下に留められるが、10重量部を越える
と輝度が急激に低下させられる。したがって、ピロ燐酸
カルシウム粉体58の添加量は10重量部以下が好まし
い。例えば、ピロ燐酸カルシウム粉体58が12重量部
(例えば、蛍光体混合工程S3において添加剤ペースト
40を24重量部と蛍光体粉体56を 100重量部とを混合
した場合)では、添加量が過剰であることから、無添加
の場合に比較して輝度が 15(%) 程度も低下するため、
接着強度は向上するが採用することはできない。なお、
実施例の蛍光体層30では、ピロ燐酸カルシウム粉体5
8が 3重量部含まれることから、表示用蛍光ランプ10
に必要な輝度が確保されており、ピロ燐酸カルシウム粉
体58を添加することによる特性低下は実質的に生じて
いない。
【0029】なお、上記の傾向は、ピロ燐酸カルシウム
粉体58の一部または全部を、下記の表1に示すように
例えば白色を呈する平均粒径0.7(μm)のメタ硼酸カルシ
ウム[Ca(BO2)2]粉体、或いは白色を呈する平均粒径0.
5(μm)のピロ燐酸マグネシウム[Mg2P2O7 ]粉体に置き
換えても同様に見られ、添加量が蛍光体粉体56の 100
重量部に対して10重量部までの範囲で、同様に輝度を殆
ど低下させることなく蛍光体層30の接着強度を向上さ
せることができた。すなわち、蛍光体粉体58に対して
1/8 程度の平均粒径を有する無機粉体を添加する場合、
或いはアルカリ金属としてカルシウムに代えてマグネシ
ウムが用いられる場合にも、1/10程度の平均粒径のピロ
燐酸カルシウム粉体58を無機粉体として添加する場合
と同様に粉体相互および隔壁12等との接触面積が増大
させられて分子間力の作用が大きくなることから、十分
に接着強度を向上させることができる。なお、下記の表
1において合計添加量は蛍光体粉体58の 100重量部に
対して 3重量部、すなわち添加剤ペースト40の量でい
えば 6重量部である。
【0030】 [表1] N0. ピロ燐酸カルシウム メタ硼酸カルシウム ピロ燐酸マグネシウム 1 0 10 0 2 1 9 0 3 3 7 0 4 5 5 0 5 7 3 0 6 9 1 0 7 0 0 10
【0031】要するに、本実施例においては、表示用蛍
光ランプ10の蛍光体層30は、平均粒径が 5〜6(μm)
程度の蛍光体粉体56を 100重量部と、平均粒径がその
蛍光体粉体56の1/8 或いは1/10程度の無機粉体(ピロ
燐酸カルシウム粉体58、メタ硼酸カルシウム粉体、或
いはピロ燐酸マグネシウム粉体)を 3重量部と、蛍光体
粉体56および無機粉体を結合させるためのエチルセル
ロースと、蛍光体粉体56、無機粉体、およびエチルセ
ルロースを分散させるためのテルピネオールとを含む蛍
光体ペースト50をスクリーン印刷して形成することに
より、粗粒の蛍光体粉体56と、その蛍光体粉体56間
の空隙に位置させられた微粉の無機粉体とを含んで構成
される。そのため、蛍光体層30には、平均粒径が蛍光
体粉体56のそれの1/8 程度或いは1/10程度と相対的に
十分に小さい無機粉体が、蛍光体粉体56を 100重量部
に対して 3重量部の十分に多い割合で蛍光体粉体56相
互の空隙に含まれることから、蛍光体粉体56および無
機粉体の粉体相互および粉体と隔壁12等の表面との接
触面積が十分に高められる。したがって、粉体相互およ
び気密空間内面との付着力延いては蛍光体層30の接着
強度が十分に高められる。
【0032】また、ピロ燐酸カルシウム、メタ硼酸カル
シウム、およびピロ燐酸マグネシウムは白色を呈するこ
とから、蛍光体層30から発生した光を吸収しないた
め、光の吸収に起因する輝度低下も生じ得ず、添加しな
い場合と同等の輝度が維持される。しかも、これらは蛍
光体層30の励起源である紫外線を吸収しないため、放
電によって発生する紫外線も効率よく発光に利用され
る。更に、何れも蛍光体ペースト50の焼成温度である
600(℃) 程度では熔融せず、蛍光体や隔壁12等を覆う
ガラスとも反応しない化学的に高い安定性を有している
ため、蛍光体粉体56が化学的に変化させられることも
ない。
【0033】また、無機粉体として添加されるピロ燐酸
カルシウム粉体58、メタ硼酸カルシウム、或いはピロ
燐酸マグネシウムは、アルカリ土類金属の燐酸塩或いは
硼酸塩であることから、白色を呈するため、蛍光体から
の発光がそれによって殆ど吸収されず、添加することに
よる輝度低下が抑制される。また、減圧或いは真空下で
ガスを放出しないので、気密空間内の雰囲気を汚染する
こともない。更に、蛍光体ペースト50を脱バインダの
ために加熱しても蛍光体と殆ど反応しないため、安定性
に優れるという利点もある。
【0034】また、本実施例においては、蛍光体ペース
ト50を作製するに際して、解砕分散工程S2におい
て、ピロ燐酸カルシウム等の無機粉体58、エチルセル
ロース、およびテルピネオールを三本ロール・ミルで混
練することにより、その無機粉体58が解砕されつつエ
チルセルロースと共にテルピネオール中に分散させられ
ることで添加剤ペースト40が作製され、続く蛍光体混
合工程S3において、その添加剤ペースト40に蛍光体
粉体56を混合することにより、蛍光体ペースト50が
作製される。そのため、平均粒径が1(μm)以下と極めて
微細であることから比較的大きな二次粒子に凝集してい
る無機粉体58が、三本ロール・ミルで混練されること
によってローラ間で剪断力によって好適に解砕されて微
細化されることから、添加剤ペースト40中にはその無
機粉体58が好適に分散させられる。そして、その後、
蛍光体粉体56がその添加剤ペースト40に混合される
ことで蛍光体ペースト50が作製されるため、蛍光体粉
体56に過大な力を作用させることなく微細な無機粉体
を蛍光体ペースト50中に好適に分散させることができ
る。したがって、蛍光体層30の接着強度を高めるよう
に機能する微細な無機粉体が、蛍光体粉体56の性能劣
化を伴うことなく好適に微細化され且つ分散させられる
ため、接着強度が高く且つ輝度が高い蛍光体層30を形
成し得る蛍光体ペースト50を得ることができる。
【0035】これに対して、解砕混合工程S2において
無機粉体58と同時に蛍光体粉体56も三本ロール・ミ
ルで混練する場合には、ロール44間で蛍光体粉体56
が衝撃を受けることとなる。そのため、その特性が劣化
させられることから、無機粉体58を添加せず解砕混合
工程S2を実施しない場合に比較して、蛍光体層30の
輝度は 20(%) 程度も低下する。一方、無機粉体58を
添加するにも拘わらず解砕分散工程S2を実施せず、無
機粉体58を蛍光体粉体56と同時に回転脱泡混練する
場合には、その無機粉体58に作用する衝撃力が不十分
となることから、凝集粒が十分に解砕されない。そのた
め、スクリーン印刷を施す塗布工程S4においてスクリ
ーン52が無機粉体58で目詰まりさせられ、塗布形成
される膜すなわち蛍光体層30に欠陥が生じるという問
題がある。本実施例のように工程が二段階に分かれてい
れば、無機粉体58を解砕する際に蛍光体粉体56が損
傷させられないため、特性低下を抑制しつつその無機粉
体58の凝集粒を好適に解砕できるのである。
【0036】また、本実施例においては、蛍光体混合工
程S3が所謂回転脱泡混練で行われるため、公転軸と自
転軸との傾きに応じて作用する遠心力に基づいて、回転
容器48内の添加剤ペースト40および蛍光体粉体56
が好適に攪拌させられる。そのため、攪拌羽が蛍光体粉
体56に衝撃力を作用させる可能性を排除しつつ、分散
性の良好な蛍光体ペースト50が得られる。
【0037】なお、前述の解砕分散工程S2において
は、ピロ燐酸カルシウム等の無機粉体58を解砕および
分散させるために三本ロール・ミル38が用いられてい
たが、この工程は、必ずしも三本ロール・ミル38で行
われなくともよい。例えば、無機粉体58の解砕および
分散には、よく知られた分散剤も有効である。分散剤と
しては、例えば、味の素(株)製RE610等が好適に
用いられ、無機粉体58と有機バインダの混合物100(g)
に対して0.1(g)程度添加して前記の図5に示される回転
脱泡混練機で攪拌混合すれば、前述の何れの無機粉体5
8が用いられる場合にも、それが一次粒子に解砕され且
つ有機バインダ中に好適に分散させられた添加剤ペース
ト40を得ることができる。このようにして作製した添
加剤ペースト40に前述の実施例と同様にして蛍光体粉
体56を混合し、回転脱泡混練機で混練すれば、添加剤
ペースト40を作製する工程と、それに蛍光体粉体56
を混合して蛍光体ペースト50を作製する工程とが分離
されているため、蛍光体粉体56を劣化させることな
く、その蛍光体粉体56と無機粉体58とが好適に分散
させられた蛍光体ペースト50が得られる。
【0038】因みに、分散剤として用いられる添加剤の
作用は、分散質の種類に応じて異なり、一方に対して分
散剤として機能するものが他方に対する凝結剤として機
能する等の問題がある。そのため、無機粉体58および
蛍光体粉体56の両方に分散剤として好適に機能する添
加剤を用いることは困難であることから、それらを同時
に有機バインダ中に混合しようとする場合には、無機粉
体58を解砕し且つ分散させるために物理的な衝撃力等
を利用する必要があって、蛍光体粉体56の劣化を避け
ることができないのである。これに対して、前述のよう
に無機粉体58を混合する工程と蛍光体粉体56を混合
する工程とが分離されていれば、それぞれに対して適切
な分散剤を用いることができるのである。但し、このよ
うに分散剤で分散させる場合には、その焼成残分が蛍光
体層30内に存在して表示用蛍光ランプ10の完成後に
不純ガスとして蒸発、気化することによって特性に影響
を与えることのないように配慮する必要がある。
【0039】また、添加する無機粉体の平均粒径の蛍光
体粉体56のそれに対する比を種々変更して行った試験
結果の概要を以下に示す。この試験結果では無機粉体の
種類に拘わらず同様な結果を得ることができたため、そ
の種類を特に区別していない。下記の表2において、
「平均粒径」は無機粉体の平均粒径であって単位は「μ
m 」である。また、「比」は、蛍光体粉体56の平均粒
径6(μm)に対する無機粉体の平均粒径の割合である。な
お、無機粉体の添加量は、何れも蛍光体粉体56の100
重量部に対して3 重量部とした。表2から明らかなよう
に、蛍光体粉体56の平均粒径に対して1/20〜1/3 程度
の範囲であれば、蛍光体層30の膜形成も容易であり、
剥離強度が十分に高い膜を得ることができる。なお、
「結果」欄において「レベリング性」は、蛍光体ペース
ト印刷後におけるスクリーン52のメッシュ痕による表
面凹凸の平滑化の程度をいうものである。特に、1/4 程
度、一層好適には1/5 程度よりも小径の範囲では、前述
したような100(G)もの衝撃に耐える極めて高強度の膜を
形成できる。
【0040】
【0041】なお、上記の表には記載していないが、平
均粒径が何れの大きさの無機粉体を用いても、添加量が
1 重量部未満では10(G) 未満で蛍光体層30が剥離す
る。一方、10重量部を越えると輝度が5(%) 以上低下す
る傾向が見られた。したがって、平均粒径の如何に拘わ
らず、無機粉体の添加量は1 〜10重量部程度が好ましい
のである。
【0042】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は、更に別の態様でも実施さ
れる。
【0043】例えば、実施例においては、蛍光体層30
を構成する蛍光体粉体56の平均粒径は5 〜6(μm)程度
であったが、その平均粒径は蛍光体粉体56の種類や用
途等に応じて、3 〜 10(μm)程度の範囲で適宜変更され
る。
【0044】また、実施例においては、無機粉体58と
してアルカリ土類金属の硼酸塩および燐酸塩が用いられ
ている場合について説明したが、蛍光体ペースト50の
焼成温度までの温度範囲において蛍光体粉体56と反応
せず、蛍光体励起源である紫外線や電子線を吸収しない
無機材料が適宜選択される。また、その色調は、蛍光体
から発せられた光を吸収しないように白色であることが
望ましい。例えば、アルミナやジルコニア等のセラミッ
クスも好適に用いられる。なお、無機粉体58として
は、蛍光体粉体56と同様な発光色で平均粒径がその 1
/3以下の範囲にある微細な蛍光体粉体を用いてもよい。
また、VFD等のように蛍光体層30が導電性を有する
ことが望まれる場合には、酸化錫、酸化インジウム等の
導電性材料を無機粉体として用いてもよい。
【0045】また、実施例においては、蛍光体ペースト
50を製造するに際してペースト化工程中の解砕分散工
程S2において三本ロール・ミル38が用いられていた
が、無機粉体58に粒子の凝集を解く適当な衝撃力や剪
断力等を物理力を与える装置であれば、種々の混練装
置、攪拌装置等が用いられる。例えば、三本ロール・ミ
ル38に代えて石川式擂潰機等も好適に用いられる。
【0046】また、実施例においては、蛍光体混合工程
S3において回転脱泡混練機が用いられていたが、蛍光
体粉体56に過大な衝撃力を与えない混練機や攪拌機で
あれば、種々の装置がそれに代えて用いられ得る。例え
ば、攪拌容器内に攪拌羽を備えた攪拌装置等を用いても
よい。
【0047】また、実施例においては、本発明が表示用
蛍光ランプ10の蛍光体層30に適用された場合につい
て説明したが、蛍光体層30の表面側から発光を観察す
る形式の発光装置であれば、VFD、PDP、或いはF
ED等の平面型画像表示装置や、一般照明用の平面型蛍
光灯或いは液晶用バック・ライト等の平板型光源の蛍光
体層にも同様に適用される。
【0048】その他、一々例示はしないが、本発明は、
その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光体層が備えられた表示用蛍光ラン
プの構成を一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図2】図1の表示用蛍光ランプの発光室の断面構造を
説明する図である。
【図3】図1の表示用蛍光ランプに備えられた蛍光体層
の製造方法を説明する工程図である。
【図4】図3の製造工程の解砕分散工程を説明する図で
ある。
【図5】図3の製造工程の蛍光体混合工程を説明する図
である。
【図6】図3の製造工程の塗布工程を説明する図であ
る。
【図7】蛍光体層の断面を拡大して模式的に示す図であ
る。
【図8】従来の蛍光体層の断面構造を説明する図であ
る。
【図9】無機粉体の添加量と蛍光体層の輝度との関係を
説明する図である。
【符号の説明】
30:蛍光体層 56:蛍光体粉体 58:無機粉体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 9/22 H01J 9/22 E 5C040 9/227 9/227 E 5C043 11/02 11/02 B 17/04 17/04 31/15 31/15 E 61/46 61/46 61/94 61/94 Fターム(参考) 4H001 CA01 CC09 CC12 XA08 XA12 XA13 XA15 XA39 XA56 XA57 YA58 YA63 YA65 4J037 AA09 CC02 DD05 DD23 EE28 EE29 EE48 FF09 FF17 4J038 BA101 HA416 HA426 HA476 JA17 KA06 KA20 LA06 LA07 NA12 NA19 PB08 PB09 PC03 5C028 EE05 EE13 FF16 HH14 5C036 EE19 EF02 EH14 EH16 EH26 5C040 FA01 FA02 GG07 GG09 KB03 MA23 5C043 AA13 AA15 CC09 EB02 EB08 EC03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気密空間の内面に備えられてその発光が
    表面側から観察される蛍光体層であって、 平均粒径が 3乃至 10(μm)の蛍光体粉体と、 該蛍光体粉体の平均粒径の 1/3以下の平均粒径を備えて
    該蛍光体粉体 100重量部に対して 1乃至10重量部の割合
    で該蛍光体粉体間の空隙に位置させられた無機粉体と
    を、含むことを特徴とする蛍光体層。
  2. 【請求項2】 前記の無機粉体は、アルカリ土類金属の
    硼酸塩および燐酸塩の少なくとも一方から成るものであ
    る請求項1の蛍光体層。
  3. 【請求項3】 気密空間の内面に備えられてその発光が
    表面側から観察される蛍光体層を形成するための蛍光体
    ペーストであって、 平均粒径が 3乃至 10(μm)の蛍光体粉体を 100重量部
    と、 平均粒径が該蛍光体粉体の平均粒径の 1/3以下の無機粉
    体を 1乃至10重量部と、 前記蛍光体粉体および前記無機粉体を結合させるための
    有機結合剤と、 前記蛍光体粉体、前記無機粉体、および前記有機結合剤
    を分散させるための有機溶剤とを、含むことを特徴とす
    る蛍光体ペースト。
  4. 【請求項4】 前記の無機粉体は、アルカリ土類金属の
    硼酸塩および燐酸塩の少なくとも一方から成るものであ
    る請求項3の蛍光体ペースト。
  5. 【請求項5】 請求項3または4に記載された蛍光体ペ
    ーストの製造方法であって、 前記無機粉体、前記有機結合剤、および前記有機溶剤を
    混合して三本ロール・ミルで混練することにより、該無
    機粉体を解砕しつつ該有機結合剤と共に該有機溶剤中に
    分散させて添加剤ペーストを作製するペースト化工程
    と、 前記添加剤ペーストに前記蛍光体粉体を混合することに
    より蛍光体ペーストを作製する蛍光体混合工程とを、含
    むことを特徴とする蛍光体ペーストの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記の蛍光体混合工程は、所定の回転容
    器内に前記添加剤ペーストおよび前記蛍光体粉体を入
    れ、該回転容器を所定の公転軸回りに公転させつつ該公
    転軸に対して傾いた自転軸回りに自転させることにより
    該添加剤ペーストと該蛍光体粉体とを混合するものであ
    る請求項5の蛍光体ペーストの製造方法。
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