JP2000067908A - 電 池 - Google Patents

電 池

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JP2000067908A
JP2000067908A JP10238899A JP23889998A JP2000067908A JP 2000067908 A JP2000067908 A JP 2000067908A JP 10238899 A JP10238899 A JP 10238899A JP 23889998 A JP23889998 A JP 23889998A JP 2000067908 A JP2000067908 A JP 2000067908A
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Japan
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battery
silver
positive electrode
discharge
nickel composite
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JP10238899A
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English (en)
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Kenta Yamamoto
賢太 山本
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ガス発生を抑えて耐漏液性を向上
させるととともに、充放電特性に優れた電池を供給する
ことを目的とする。 【解決手段】 本発明の電池は、二酸化マンガンと、酸
化銀と、銀−ニッケル複合酸化物とを含有する正極と、
亜鉛を含有する負極とを有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二酸化マンガンを
含有する正極と、亜鉛を含有する負極とを有する電池に
関する。
【0002】
【従来の技術】二酸化マンガンを含有する正極と、亜鉛
を含有する負極とを有するアルカリ電池は、亜鉛が安価
であり、また、単位重量当たりのエネルギー密度が高い
ことから、一次電池だけではなく二次電池としての実用
化が図られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現状で
は、この種のアルカリ電池を二次電池として用いるには
不十分な部分が多い。主な課題としては、充放電サイク
ルによる容量劣化が大きい点や、保存中あるいは充放電
の繰り返し等において起こる、正極からの炭酸ガス発生
又は負極からの水素ガス発生が挙げられる。特に、ガス
発生については、発生したガスによる電池内圧の上昇に
伴う電解液の漏液等が問題となる。
【0004】上述した課題のうち、充放電サイクルによ
る容量劣化ついては、亜鉛をアルカリ土類金属との合金
とすることにより、充放電によって生成したアルカリ亜
鉛イオンZn(OH)4 -2が電解液へ溶出するのを抑制
して亜鉛負極の劣化を防止している。また、正極と負極
との間に配されるセパレータを改良することによって、
亜鉛のデンドライトショートを防止すること等が提案さ
れている。
【0005】また、水素ガスの発生に関しては、水素過
電圧の高い元素を用いて亜鉛を合金化することによって
亜鉛の耐食性を向上させたり、負極活物質への有機系又
は無機系の添加剤を添加することによって、水素ガスの
発生を抑制する工夫が数多くなされている。
【0006】負極からの水素ガス発生に対して優れた抑
制効果をもつ物質としては、水銀、鉛、カドミウム等が
挙げられる。しかし、これらの物質は環境に与える影響
が大きいため、近年の環境保護の動向から、これらの物
質の使用は好ましくない。従って、合金添加剤としては
これ以外のインジウム、ビスマスなどが用いられてい
る。
【0007】しかしながら、これらの物質は、水銀など
に比べてガス抑制効果が弱く、また負極活物質への添加
剤についても同様、水素ガス抑制に対して十分な効果が
得られておらず、水素ガス発生に関して決定的解決手段
が見出されていない。充放電サイクル容量劣化ついて
も、従来の技術では十分な効果が得られていないのが現
状である。
【0008】また、正極からの炭酸ガスの発生について
は、導電剤として正極中に含有される黒鉛が原因であ
り、これに関しての具体的な解決方法も見出されていな
い。
【0009】本発明は、このような従来の実情に鑑みて
提案されたものであり、ガス発生を抑えて耐漏液性を向
上させるとともに、充放電特性に優れた電池を供給する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の電池は、二酸化
マンガンと、酸化銀と、銀−ニッケル複合酸化物とを含
有する正極と、亜鉛を含有する負極とを有することを特
徴とする。
【0011】上述したような本発明に係る電池は、正極
に酸化銀を含有しているので、充放電によって発生した
水素ガスが上記酸化銀と反応して、水素ガスによる内圧
上昇を防止する。また、上述したような本発明に係る電
池は、正極に、導電性の高い銀−ニッケル複合酸化物を
含有しているので、導電剤として黒鉛を添加する必要が
なくなり、炭酸ガスの発生が抑えられる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0013】図1は本発明に係る電池の一構成例を示す
縦断面図である。この電池1は、電池缶2と、正極部3
と、セパレータ4と、負極合剤5と、封口部材6と、ス
プリング7と、負極端子板8と、集電ピン9とを備え
る。
【0014】電池缶2は、例えば鉄にニッケルめっきが
施されてなり、電池1の外部正極端子となる。
【0015】正極部3は、中空円筒状をしており、二酸
化マンガンと、酸化銀と、銀−ニッケル複合酸化物と、
電解液である水酸化カリウム水溶液とからなる正極合剤
が中空円筒状に成形された正極ペレット3a,3b,3
cが電池缶2の内部に積層されてなる。
【0016】この電池1においては、長期間の保存時
や、充放電を繰り返す際の電池反応により水素等のガス
が発生する。発生したガスにより電池内圧が上昇する
と、電解液等が漏れ出してしまう場合がある。上述した
ように、電解液は水酸化カリウムを含有し強アルカリ性
であるため、電解液が外部に漏れ出すと、周囲に影響を
与えるおそれがある。
【0017】そこで、この電池1では、正極部3に酸化
銀を含有する。酸化銀は、式(1)に示すように、水素
と反応して銀と水とになる。
【0018】Ag2O+H2 → Ag+H2O (1) このように、正極部3に酸化銀を含有させることで、水
素ガスを水に変え、水素ガスによる電池内圧の上昇を防
ぎ、電池1の耐漏液性を向上させることができる。
【0019】ところで、正極部3に酸化銀を含有する本
実施の形態にかかる電池1では、式(2)に示すような
電池反応が起こる。
【0020】 Ag2O+Zn←→2Ag+ZnO (2) 一方、正極部3に二酸化マンガンを用いた従来の電池で
は、以下に示すような電池反応が起こる。
【0021】 Zn+2MnO2+H2O←→2MnOOH+ZnO (3) ここで、上記式(2)及び式(3)においては、左辺か
ら右辺へ向かう反応が、放電時の反応を示し、また、右
辺から左辺へ向かう反応が、充電時の反応を示す。
【0022】正極に二酸化マンガンを含有する従来の電
池では、式(3)に示すように、放電反応によってH2
Oが消費されてしまう。そのため、従来の電池では、充
放電を繰り返すに従って次第に電池内のH2Oが減少
し、放電容量の劣化が大きくなってしまう。
【0023】一方、正極部3に酸化銀を含有する本実施
の形態にかかる電池1では、式(2)に示すように、充
放電反応全体におけるH2Oの出入りはみられない。従
って、この電池1では、充放電を繰り返しても電池内の
2Oはほとんど減少せず、放電容量の劣化が軽減され
る。
【0024】さらに、この電池1では、式(2)に示す
ように、放電反応によってAgが発生する。このAgは
良導体であるため、充電時には、このAgは正極部3中
の導電剤としてはたらく。すなわち、充電時には、この
Agが正極部3の全体としての電気抵抗を下げるため、
迅速かつ効率よく電池1が充電され、結果として電池1
の充放電サイクル特性を向上させることができる。
【0025】このような酸化銀の含有量は、正極部3の
20重量%〜50重量%程度とすることが好ましい。酸
化銀の含有量が正極部3の20重量%よりも少ないと、
水素ガスと反応して内圧の上昇を抑制する効果や、電池
1の充放電サイクル特性を向上させる効果が十分ではな
い。酸化銀が電池内の水素ガスと反応して内圧の上昇を
抑制する効果や、電池1の充放電サイクル特性を向上さ
せる効果は、酸化銀の含有量が多いほど大きくなる。
【0026】しかしながら、酸化銀の含有量が多すぎる
と、銀イオンの一部がアルカリ性の電解液に溶解してし
まう。そして、電解液中に溶解した銀イオンは、負極の
亜鉛と反応して自己放電を起こし、ガス発生及び容量低
下の原因となる。酸化銀の含有量が、正極部3の50重
量%を越えると、上述したような銀イオンの自己放電に
よるガス発生や容量低下の問題が生じる。
【0027】従って、酸化銀の含有量を上述のようにす
ることで、水素ガスによる電池1の内圧上昇を抑制する
ことができるとともに、電解液中に溶け出した銀イオン
の自己放電による特性劣化を防止することができる。
【0028】さらに、この正極部3は銀−ニッケル複合
酸化物を含有している。銀−ニッケル複合酸化物は導電
性に優れているので、黒鉛の代わりに、正極部3の導電
剤として銀−ニッケル複合酸化物を用いることができ
る。正極部3が黒鉛を含有していないので、電池内での
炭酸ガスの発生をなくすことができる。また、銀−ニッ
ケル複合酸化物は、酸化銀と同様に、水素ガスとの反応
性にも優れているので、水素ガスと反応して水素ガスを
水に変えることにより、水素ガスによる電池内圧の上昇
を抑制することができる。
【0029】このような銀−ニッケル複合酸化物として
具体的には、AgNiO2等が挙げられる。
【0030】そして、正極部3に添加される銀−ニッケ
ル複合酸化物の量は、正極部3に対して15重量%〜2
0重量%程度であることが好ましい。銀−ニッケル複合
酸化物の量が正極部3重量に対して15%よりも少ない
と、正極部3の導電性が十分得られないほか、電池反応
で発生する水素ガスを十分に吸収することができない。
また、銀−ニッケル複合酸化物の量が正極部3重量に対
して20%よりも多いと、上述した銀イオンの自己放電
により、かえって電池1のガス特性、保存特性に悪影響
を与えてしまう。従って、正極部3に添加される銀−ニ
ッケル複合酸化物の量を、正極部3に対して15重量%
〜20重量%程度とすることで、電池反応で発生する水
素ガスを十分に吸収して、電池1のガス特性、保存特性
を向上することができる。
【0031】セパレータ4は、中空有底円筒状をしてお
り、正極部3の内側に配される。このセパレータ4は、
不織布とセロファンとが張り合わせられてなる。セパレ
ータ4が不織布のみからなる場合は、充電時に生成する
亜鉛デンドライドによってセパレータ4が破断して内部
短絡を起こすおそれがある。セロファンはバリヤー性に
優れているので、セパレータ4として不織布とセロファ
ンとを張り合わせたものを用いることによって、亜鉛デ
ンドライドが発生してもセパレータ4が破断することな
く、電池1の内部短絡を防止することができる。そし
て、このセパレータ4の内部には、ゲル状の負極合剤5
が充填されている。
【0032】負極合剤5は、負極活物質となる粒状亜鉛
と、水酸化カリウム水溶液を使用した電解液と、負極合
剤5をゲル状として液漏れを防ぐためのゲル化剤とから
なる。
【0033】そして、正極部3と、負極合剤5が充填さ
れたセパレータ4とが内部に収納された電池缶2の開口
部は、封口部材6がこの開口部を封口するために嵌合さ
れている。封口部材6はプラスチック材からなり、更に
封口部材6を覆うようにスプリング7と負極端子板8と
が取り付けられている。更に、上記スプリング7が取り
付けられた封口部材6の貫通孔には上方から黄銅製の集
電ピン9が圧入されている。
【0034】これにより、負極の集電は、負極端子板8
に溶接された釘状の集電ピン9が封口部材6の中央部に
形成された貫通孔に圧入されて負極合剤5に達すること
で確保されている。また、正極の集電は、正極部3と電
池缶2とが接続されることで確保される。そして、電池
缶2の外周面は図示しない外装ラベルによって覆われて
おり、電池缶2の下部に正極端子が位置している。
【0035】上述したような本実施の形態に係る電池1
では、正極部3に酸化銀と銀−ニッケル複合酸化物とが
添加されているので、充放電の繰り返し等において電池
内で発生した水素ガスは、酸化銀及び銀−ニッケル複合
酸化物によって吸収される。また、この電池1では、炭
酸ガス発生源となる黒鉛を使用していない。従って、こ
の電池1では、内圧の上昇を抑制して、耐漏液特性を向
上させることができる。
【0036】さらに、この電池1では、正極部3に酸化
銀を含有しているので、電池1の放電電位が上昇する。
さらに、酸化銀の放電反応で生成した銀が、充電時にお
いて導電剤としてはたらくため、迅速かつ効率的に電池
1が充電され、結果として電池1の充放電サイクル特性
を向上させることができる。
【0037】上述した実施の形態では、二次電池を例に
挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものでは
なく、一次電池についても適用可能である。また、本発
明の電池は、円筒型、角型、コイン型、ボタン型等、そ
の形状については特に限定されることはなく、また、薄
型、大型等の種々の大きさにすることができる。
【0038】〈実験例〉正極部の組成を変えてアルカリ
電池を作製し、それらの電池について特性を評価した。
【0039】酸化銀の含有量に関する考察 まず、二酸化マンガンと、黒鉛と、水酸化カリウム水溶
液と、酸化銀とを、表1に示す組成でそれぞれ十分混合
して正極合剤とし、この正極合剤を中空円筒状に成形す
ることにより正極部を作製した。
【0040】そして、この正極部を電池缶の内側に挿入
した。次に、この正極部の内側に、不織布とセロファン
とからなるセパレータを挿入し、さらにその内部に亜鉛
とゲル化剤と電解液とを混合して作製されるゲル状の負
極合剤を充填した。最後に、電池缶の開口部を、スプリ
ングと集電ピンとが取り付けられた封口部材により封口
することにより、単3形のアルカリ電池を作製した。
【0041】正極部の二酸化マンガン、黒鉛、水酸化カ
リウム水溶液、酸化銀の組成を表1に示すようにそれぞ
れ変えてアルカリ電池を作製した。そして、それらの電
池をサンプル1〜サンプル10の電池とした。ここで、
表1においては、正極部を構成する各物質の組成を、電
池1本当たりの重量(g)で表している。
【0042】
【表1】
【0043】そして、以上のようにして作製されたサン
プル1〜サンプル10の電池について充放電試験を行っ
た。充放電試験としては、400mAの電流で電池電圧
が0.9Vになるまで放電させた後、100mAの電流
で上限電圧を1.7Vとして20時間充電し、これを1
サイクルとして、50サイクルまでの放電容量変化を調
べた。
【0044】このとき、サンプル1,2,3,6,10
の電池について、初回充電時における充電容量と充電時
間との関係、及び初回放電後の内部抵抗を測定した。ま
た、5サイクル後における電池内のガス量を測定した。
【0045】また、サンプル1〜サンプル10の電池を
60℃で20日間保存し、400mAの電流で電池電圧
が0.9Vになるまで放電させたときの放電容量を調べ
た。
【0046】サンプル1,2,3,6,10の電池につ
いて、充放電サイクル回数と放電容量との関係を図2に
示す。また、初回充電時における充電容量と充電時間と
の関係を図3に示す。ここで、図2及び図3において
は、サンプル1の結果を●で、サンプル2の結果を◆
で、サンプル3の結果を■で、サンプル6の結果を×
で、サンプル10の結果を△でそれぞれ示す。
【0047】また、サンプル1〜サンプル10の電池に
ついて、初回放電後の内部抵抗と、5サイクル後におけ
る電池内のガス量と、保存後の放電容量とを測定した結
果を表2にまとめて示す。
【0048】
【表2】
【0049】そして、サンプル1〜サンプル10の電池
について、正極部に含有される酸化銀の割合と初回放電
後の内部抵抗との関係を図4に示す。また、正極部に含
有される酸化銀の割合と5サイクル後における電池内の
ガス量との関係を図5に示す。さらに、正極部に含有さ
れる酸化銀の割合と保存後の放電容量との関係を図6に
示す。
【0050】図2より、酸化銀の配合比が高くなるほ
ど、放電容量が大きく、かつ充放電サイクルによる容量
劣化が小さくなる傾向にあることがわかった。
【0051】また、図3から、酸化銀の配合比が高くな
るにつれ、充電時間が短くなっていることがわかった。
これは、表2及び図4に示されるように、放電によって
生成したAgにより、正極活物質の全体としての電気抵
抗が下がったためであると考えられる。
【0052】また、表2及び図4より、正極部に酸化銀
を加えることにより、ガス発生を抑制する効果が確実に
表れているのがわかる。表2及び図5では、酸化銀の含
有量に応じてガス発生量が減少し、酸化銀の配合比が2
0重量%のところでほぼ一定となった。しかし、50重
量%を越えると逆にガス発生量が多くなってしまった。
【0053】また、保存後においては、表2及び図6に
示すように、酸化銀の含有量が多くなるに従い放電容量
が大きくなるが、酸化銀の混合量が50重量%を越える
と次第に放電容量が小さくなってしまうことがわかっ
た。
【0054】以上の結果から、酸化銀の含有量は、正極
部の20重量%〜50重量%程度とすることが好ましい
ことがわかった。
【0055】銀−ニッケル複合酸化物の含有量に関する
考察 上述したサンプル1〜サンプル10の電池について行っ
た充放電試験の結果、酸化銀の含有量は、正極部に対し
20重量%〜50重量%程度が適当であることがわかっ
た。ここでは、銀−ニッケル複合酸化物の含有量につい
て検討するのであるが、銀−ニッケル複合酸化物も酸化
銀と同様、銀の化合物であるため、電池内に必要以上に
存在すると、銀イオンの自己放電等により電池の諸特性
が劣化することが予想される。このことから、ここで
は、酸化銀の含有量として適当であると判断したサンプ
ル3〜サンプル6の電池のうち、最も酸化銀の配合比が
大きいサンプル6の電池を基準とし、銀−ニッケル複合
酸化物の含有量をそれぞれ変えて、サンプル11〜サン
プル17の電池を作製し、それらの電池についての特性
を評価した。
【0056】すなわち、まず、二酸化マンガンを4.6
5gと、酸化銀を6.2gと、酸化銀を6.2gと、水
酸化カリウム水溶液を0.6gと、銀−ニッケル複合酸
化物としてAgNiO2とを、表3に示す組成でそれぞ
れ十分混合して正極合剤とし、この正極合剤を中空円筒
状に成形することにより正極部を作製した。
【0057】そして、この正極部を電池缶の内側に挿入
した。次に、この正極部の内側に、不織布とセロファン
とからなるセパレータを挿入し、さらにその内部に亜鉛
とゲル化剤と電解液とを混合して作製されるゲル状の負
極合剤を充填した。最後に、電池缶の開口部を、スプリ
ングと集電ピンとが取り付けられた封口部材により封口
することにより、単3形のアルカリ電池を作製した。
【0058】正極部の二酸化マンガン、AgNiO2
水酸化カリウム水溶液、酸化銀の組成を表3に示すよう
にそれぞれ変えてアルカリ電池を作製した。そして、そ
れらの電池をサンプル11〜サンプル17の電池とし
た。ここで、表3においては、正極部を構成する各物質
の組成を、電池1本当たりの重量(g)で表している。
【0059】
【表3】
【0060】そして、以上のようにして作製されたサン
プル11〜サンプル17の電池について充放電試験を行
った。充放電試験としては、電池作成後に、400mA
の定電流で、終止電圧を0.9Vとして放電試験を行っ
た。
【0061】サンプル11〜サンプル17の電池につい
て、正極部に含有されるAgNiO2の割合と放電容量
との関係を表4及び図7に示す。
【0062】
【表4】
【0063】表4及び図7より、AgNiO2の割合
が、正極部総重量に対し15%以上であれば、サンプル
6、つまり、導電剤に黒鉛を使用した場合と同等以上の
放電容量を示すことが分かった。
【0064】次に、サンプル6と同等以上の放電容量を
示したサンプル15〜サンプル17の電池について、5
サイクル後の電池内のガス発生量を測定した。充放電の
条件としては、400mAの電流で電池電圧が0.9V
になるまで放電させた後、100mAの電流で上限電圧
を1.7Vとして20時間充電した。その結果を表5及
び図8に示す。
【0065】
【表5】
【0066】表5及び図8より、AgNiO2の配合比
がサンプル15とサンプル16、すなわち、正極部総重
量に対し15%〜20%程度であれば、正極活物質とし
て黒鉛のみを使用しているサンプル6とほぼ同量のガス
発生量であるという結果が出た。
【0067】また、サンプル15〜サンプル17の電池
を60℃で20日間保存し、400mAの電流で電池電
圧が0.9Vになるまで放電させて、そのときの放電容
量を測定した。その結果を表6及び図9に示す。
【0068】
【表6】
【0069】表6及び図9より、AgNiO2の配合比
が20%を超えると、サンプル6よりも放電容量が小さ
くなっているのが分かる。これは、銀−ニッケル複合酸
化物の過剰な存在は銀イオンのマイグレーションによ
り、かえって電池のガス特性、保存特性に悪影響を与え
てしまったためと思われる。
【0070】以上の結果から、銀−ニッケル複合酸化物
の含有量は、正極部の15重量%〜20重量%程度とす
ることが好ましいことがわかった。
【0071】セパレータについての考察 ここでは、電池のセパレータを不織布のみから構成した
場合と、不織布とセロファンとから構成した場合とで、
充放電特性に与える影響について検討する。
【0072】不織布のみからなるセパレータを用いた電
池を作製し、サンプル18の電池とした。また、不織布
とセロファンとが張り合わされてなるセパレータを用い
た電池を作製し、サンプル19の電池とした。なお、サ
ンプル18の電池と、サンプル19の電池とは、セパレ
ータの構成が異なるのみで、その他の構成は同様であ
る。
【0073】そして、サンプル18、19の電池につい
て、充放電試験を行った。充放電試験としては、400
mAの定電流で電池電圧が0.9Vになるまで放電させ
た後、100mAの電流で上限電圧を1.7Vとして2
0時間充電し、これを1サイクルとして、10サイクル
までの放電容量変化を調べた。
【0074】サンプル18,19の電池について、充放
電サイクル回数と放電容量との関係を表7及び図10に
示す。ここで、図10では、サンプル18の結果を△で
示し、サンプル19の結果を○で示す。
【0075】
【表7】
【0076】表7及び図10より、充放電の繰り返しに
よって次第に放電容量が低下していくが、セパレータが
不織布のみからなるサンプル18の電池では、充電時に
生成する亜鉛デンドライドによってセパレータが破断し
て内部短絡を起こし、5サイクル以降の充放電において
放電容量が急激に減少し、放電不可となってしまった。
【0077】これに対し、セパレータが不織布とセロフ
ァンとからなるサンプル19の電池では、セロファンが
存在するためセパレータが破断することなく、5サイク
ル以降の充放電においても内部短絡を起こすことなく、
充放電が可能であった。
【0078】以上のことから、電池のセパレータには、
バリヤー性に優れたセロファンを用いることが好ましい
ことがわかった。
【0079】
【発明の効果】本発明に係る電池では、正極部に酸化銀
と銀−ニッケル複合酸化物とが添加されているので、充
放電の繰り返し等において電池内で発生した水素ガス
は、酸化銀及び銀−ニッケル複合酸化物によって吸収さ
れる。また、この電池では、炭酸ガス発生源となる黒鉛
を使用していない。従って、この電池では、内圧の上昇
を抑制して、耐漏液特性を向上させることができる。
【0080】さらに、本発明に係る電池では、正極部に
酸化銀を含有しているので、電池の放電電位が上昇す
る。さらに、酸化銀の放電反応で生成した銀が、充電時
において導電剤としてはたらくため、迅速かつ効率的に
電池が充電され、結果として電池の充放電サイクル特性
を向上させることができる。
【0081】従って、本発明では、二酸化マンガンを含
有する正極と、亜鉛を含有する負極とを有する電池にお
いて、ガス発生を抑えて耐漏液性及び充放電特性に優れ
た電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電池の一構成例を示す縦断面図で
ある。
【図2】充放電回数と放電容量との関係を示す図であ
る。
【図3】充電時間と放電容量との関係を示す図である。
【図4】酸化銀の含有量と内部抵抗との関係を示す図で
ある。
【図5】酸化銀の含有量とガス発生量との関係を示す図
である。
【図6】保存後における酸化銀の含有量と放電容量との
関係を示す図である。
【図7】AgNiO2の含有量と内部抵抗との関係を示
す図である。
【図8】AgNiO2の含有量とガス発生量との関係を
示す図である。
【図9】AgNiO2の含有量と放電容量との関係を示
す図である。
【図10】充放電回数と放電容量との関係を示す図であ
る。
【符号の簡単な説明】
1 電池、 2 電池缶、 3 正極部、 4 セパレ
ータ、 5 負極合剤、6 封口部材、 7 スプリン
グ、 8 負極端子板、 9 集電ピン、

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二酸化マンガンと、酸化銀と、銀−ニッ
    ケル複合酸化物とを含有する正極と、 亜鉛を含有する負極とを有することを特徴とする電池。
  2. 【請求項2】 上記銀−ニッケル複合酸化物は、AgN
    iO2であることを特徴とする請求項1記載の電池。
  3. 【請求項3】 上記正極は、上記酸化銀を20重量%〜
    50重量%の割合で含有することを特徴とする請求項1
    記載の電池。
  4. 【請求項4】 上記正極は、上記銀−ニッケル複合酸化
    物を15重量%〜20重量%の割合で含有することを特
    徴とする請求項1記載の電池。
  5. 【請求項5】 上記正極と上記負極との間にはセパレー
    タが配されており、上記セパレータはセロファンを有す
    ることを特徴とする請求項1記載の電池。
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