JP2000066246A - 液晶素子 - Google Patents

液晶素子

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JP2000066246A
JP2000066246A JP15341899A JP15341899A JP2000066246A JP 2000066246 A JP2000066246 A JP 2000066246A JP 15341899 A JP15341899 A JP 15341899A JP 15341899 A JP15341899 A JP 15341899A JP 2000066246 A JP2000066246 A JP 2000066246A
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Shinjiro Okada
伸二郎 岡田
Akira Tsuboyama
明 坪山
Hirohide Munakata
博英 棟方
Koichi Sato
公一 佐藤
Hidemasa Mizutani
英正 水谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ネマチック液晶のベンド配向を利用して表示
を行なう液晶素子において、電圧無印加状態において安
定したベンド配向を得、高速駆動を可能にする。 【解決手段】 液晶として体積抵抗値が3×1013Ωc
m以上のフッ素系ネマチック液晶を用い、所定の電圧値
を印加した際のリタデーションRの、液晶の屈折率異方
性Δnとセル厚dとの積Δndに対する比、R/Δnd
が0.3以下で、ベンド配向を取るように素子を構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パーソナルコンピ
ュータ等のディスプレイに用いられる液晶素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、表示装置として液晶素子が用いら
れるようになってきたが、一般に広く用いられているの
は、液晶セルの上下基板の配向膜のラビング方向を90
°回転させ、ネマチック液晶を挟持したTN(Twis
ted Nematic)モードの液晶素子であるが、
上下基板の配向膜のラビング方向を同一としてネマチッ
ク液晶をスプレイ配向させた液晶素子も知られている。
また、上記スプレイ配向した液晶に電圧を印加してベン
ド配向に配向変化させることによって、応答速度を改善
した方式が1983年にP.J.ボス(Bos)等によ
って発表されている(πセル)。さらに、このようなベ
ンド配向セルに位相補償を行なうことで視野角特性を改
善した技術が1992年に内田等によって発表されてい
る(OCBセル)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなベンド配
向型のネマチック液晶素子は、液晶の応答におけるバッ
クフロー現象を抑制することによって応答性を改善、高
速化したものであるが、液晶素子として実用化するには
いくつかの問題点があった。
【0004】その一つには、上記したようにスプレイ配
向をベンド配向に転移させるには、電界処理が必要なこ
とであった。スプレイ−ベンド間の配向転移は連続的で
はなく、その二つの配向状態間にはディスクリネーショ
ンラインが存在するために、核発生(nucleati
on)及びその成長(growth)というプロセスが
必要である。このようなプロセスは全ての領域で核発生
させることが困難であると同時に、核発生閾値の制御が
難しく、上記電界処理には高電圧をかける必要があっ
た。また、上記核発生によって形成されたベンド領域が
成長する速度も印加電圧が高いほど速いが、低電圧では
数秒〜数分かかる。さらに、実際のマトリクス構造セル
では、画素電極間を経由してベンド領域が成長しにくい
という問題もあった。TFT(薄膜トランジスタ)を用
いたアクティブマトリクス型のセルにおける電圧の印加
法に関してもいくつかの検討がなされている(例えば、
IMB、IDW1996,p133”Initiali
zation of Optically Compe
nsated Bend−mode LCDs”,や特
開平9−185032号公報)。さらに、上記ベンド化
のために印加した電圧を切ると、ベンド配向もスプレイ
配向に復帰してしまうために、使用時には再度ベンド化
処理が必要であるという問題もあった。
【0005】使用時のベンド化処理を不要とした例とし
ては、1998年のSIDにおいて、P.J.ボス等が
プレチルト角が50°〜51°のπ−セルを発表してい
るが、プレチルト角の大きいセル形成初期からのベンド
配向セルは1979年の日本第5回液晶討論会の工学院
大学の発表においてもなされている(予稿集第166頁
〜)。また、特開昭55−142316号公報にも開示
されている。
【0006】しかしながら、上記のような高プレチルト
角を得る手段は斜方蒸着を除き非常に不安定であったた
め、実現できなかった。また、液晶セルへの液晶注入
後、一度は電圧印加が必要であった。
【0007】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
であり、その目的は、上記したようなベンド配向を用い
る液晶素子において、(1)スプレイ配向状態をベンド
配向状態に転移させるための電界処理を不要とする、
(2)使用時の再度ベンド化処理を不要とする、或い
は、ベンド配向のための保持電圧を不要にする、ことに
ある。即ち、安定したベンド配向が得られるセル構成を
実現し、液晶注入後の初期状態においてベンド配向を実
現し、スプレイ配向からのベンド化処理を不要とするこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、液晶に電圧を
印加する電極と、液晶との界面に配向膜を有する一対の
基板と、該基板間に挟持された液晶とを有する液晶素子
であって、上記液晶がネマチック液晶であり、電圧無印
加状態において液晶分子がベンド配向を呈し、所定の電
圧値を印加した際のリタデーション値をR(nm)、上
記ネマチック液晶の屈折率異方性をΔn、セル厚をd
(nm)とした時にR/Δndで表わされるリタデーシ
ョン比が0.3以下であることを特徴とする液晶素子で
ある。
【0009】本発明の液晶素子は、液晶セルに液晶を注
入した直後の初期状態において、安定してベンド配向が
得られ、従来のようなベンド化のための電界処理及び保
持電圧の印加が不要である。
【0010】
【発明の実施の形態】先ず、本発明の液晶素子に係る配
向状態を図1を用いて説明する。図1(a)はスプレイ
配向、(b)はベンド配向、(c)は(b)のベンド配
向に駆動電圧Vonを印加した垂直配向状態を示し、いず
れも基板法線方向の断面模式図である。また、図中、1
a、1bは基板、2は液晶分子、3a、3bはラビング
方向を示す。
【0011】図1に示したような(b)−(c)間の応
答速度は(a)−(c)間での応答速度よりも大幅に速
い。従って、(b)−(c)間で駆動することが望まし
いが、従来は、初期状態では(a)のスプレイ配向とな
り、(b)のベンド配向にするためにはベンド化電圧を
印加する必要があった。また、一旦ベンド配向した液晶
に印加している電圧を切った場合には、再び(a)のス
プレイ配向に戻ってしまうため、駆動時にはベンド配向
を維持するために保持電圧を印加する必要があり、液晶
素子を再使用する際には再びベンド化処理が必要であっ
た。
【0012】本発明では初期状態、即ち電圧無印加の状
態で(b)のベンド配向が得られる。従って、ベンド化
処理を行なわずにそのまま駆動を行なうことができ、保
持電圧や再ベンド化処理も不要である。
【0013】本発明の液晶素子においては、図1(b)
−(c)間で中間調を含めた階調表示を行なう。尚、ベ
ンド配向においては、液晶分子2の長軸が上下基板のラ
ビング方向3a、3b(ラビング方向3a、3bが交差
する場合にはその平均ラビング方向)及び基板法線を含
む面に平行に配置した非ツイストベンド(non−tw
isted−bend、以下、「NT−ベンド」と記
す)と、該NT−ベンド配向から各液晶分子2の長軸が
上記面に対してわずかに角度を有してねじれたツイスト
ベンド(twsited−bend、以下、「T−ベン
ド」と記す)が含まれる。
【0014】次に、本発明にかかるリタデーション比に
ついて説明する。
【0015】従来、ネマチック液晶の配向はプレチルト
角が7°以下のプレーナー配向とプレチルト角が90°
近傍のホメオトロピック配向が一般的である。一酸化ケ
イ素の斜方蒸着法によると、一酸化ケイ素の柱状カラム
が傾斜角度として40°位で基板面に形成されることか
ら、液晶分子が30°〜40°の角度で配向する例があ
ることは報告されている。しかしながら、大面積を効果
的に処理できる有機膜による配向手法では、液晶分子を
実質的に高プレチルトにして配向させることはできなか
った。ベンド配向の安定性は液晶自身の性質にもよる
が、プレチルト角を高くすることでスプレイ配向よりも
ベンド配向の弾性エネルギーを下げることができると考
えられるが、その実現手段がなかった。また、プレチル
ト角以外のパラメータを制御する手段でベンド配向を安
定化する手段もなかった。
【0016】本発明においては、高プレチルト角のセル
を構成することにより初期状態で安定なベンド配向を実
現したものである。プレチルト角は、測定しようとする
液晶素子とは上下基板でラビング方向を反平行にした以
外同じ構成の液晶素子を作製し、該液晶素子のリタデー
ションをベレック型のコンペンセーターで測定すること
により求めることができる。
【0017】一方、プレチルト角を測定しようとする液
晶素子のリタデーションを直接測定し、その値から得ら
れるリタデーション比によって、プレチルト角及びベン
ド配向か否かを判断することができることから、本発明
においては当該リタデーション比を用いて液晶素子の構
成を限定した。リタデーション比は、本発明の液晶素子
に所定の電圧を印加した状態(電圧無印加を含む)での
配向状態におけるリタデーション値をR(nm)(ベレ
ック型のコンペンセーターで測定した値)、用いた液晶
材料固有の屈折率異方性をΔn(nm)、液晶素子のセ
ル厚をd(nm)とすると、R/Δndで表わされる。
本発明に用いるフッ素系ネマチック液晶を用いた液晶素
子においてベンド配向状態をとった場合のリタデーショ
ン比とプレチルト角との関係の一例を図7に示す。ベン
ド配向状態の液晶素子のリタデーション比は、液晶材料
により多少の幅はあるものの、ほぼ図7の曲線近傍に位
置する。スプレイ配向状態の場合のリタデーション比
は、図7のリタデーション比よりも大幅に増加する。従
って、液晶素子のリタデーション比が大きい場合にはス
プレイ配向の場合もありうるが、リタデーション比が
0.3以下ではベンド配向していると言える。また、リ
タデーション比が大きい場合にはベンド配向であっても
プレチルト角は小さく、電圧無印加の状態ではベンド配
向を取ることができない。リタデーション比が0.3以
下の場合には、フッ素系ネマチック液晶において25°
以上の高プレチルト角が得られ、初期状態でベンド配向
が得られる。
【0018】よって、本発明においては、リタデーショ
ン比を0.3以下と限定したことにより、初期状態で安
定なベンド配向の液晶素子を実現することができたので
ある。本発明において、リタデーション比は好ましくは
0.12以上である。この場合、プレチルト角としては
50°以下となる。また、望ましくはリタデーション比
を0.17〜0.27とすることにより、30°〜45
°のプレチルト角が得られ、より安定にベンド配向を得
ることができる。
【0019】本発明の液晶素子においては、上記高プレ
チルト角は、例えば、液晶を垂直配向させる配向膜成分
と、液晶を水平配向させる配向膜成分を含有する配向膜
を用いることにより良好に実現することができる。この
ような2種の配向膜成分を含有する配向膜は、例えば、
液晶を垂直配向させる配向膜材料と、液晶を水平配向さ
せる配向膜材料との混合物によって形成することができ
る。以下、当該配向膜を混合配向膜と言う。
【0020】本発明に用いる混合配向膜の垂直配向膜材
料としては、フルオロアルキル鎖を持つ分子構造を有す
る化合物を含むものが好ましく用いられる。その理由と
しては、このような化合物を含む材料の方が、単なる疎
水基としてアルキル基を有する材料よりも表面状態の調
整が容易であるためと考えられる。混合系の場合には、
疎水基が炭化水素で構成されていない方が、水平配向膜
材料のポリマーとの相溶性の観点から優れていると考え
られる。特に、本発明に好ましく用いられる垂直配向膜
材料としては、下記式(I)或いは(II)で示される
繰り返し単位構造を有する高分子化合物を含むものが挙
げられる。
【0021】
【化2】
【0022】上記繰り返し単位構造の好ましい具体例を
以下に挙げるが、本発明がこれらに限定されるものでは
ない。
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】本発明において上記垂直配向膜材料と混合
して用いられる水平配向膜材料としては、従来ネマチッ
ク液晶の水平配向に用いられていた配向膜材料が用いら
れ、例えば、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリ
アミドイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ
ビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、
ポリアミド、ポリスチレン、セルロース樹脂、メラミン
樹脂、ユリア樹脂、アクリル樹脂などの樹脂類、或いは
感光性ポリイミド、感光性ポリアミド、環状ゴム系フォ
トレジスト、フェノールノボラック系フォトレジスト或
いは電子線フォトレジスト(ポリメチルメタクリレー
ト、エポキシ化−1,4−ポリブタジエンなど)などか
ら選択して用いられる。本発明では、上記垂直配向膜材
料と水平配向膜材料を安定して高プレチルト角が得られ
る範囲で適宜混合して用いる。
【0027】本発明においては、上記混合配向膜など高
プレチルト角が得られる配向膜にラビング処理を施し、
上下基板においてラビング方向が略平行になるように基
板を貼りあわせて液晶素子を構成する。
【0028】本発明の液晶素子においては、配向膜の表
面エネルギーを42.1dyne/cm以下にすること
により、望ましくは37.4〜40.9dyne/cm
とすることにより、より安定なベンド配向を得ることが
できる。このような表面エネルギーの膜は、本発明にお
いて用いるフッ素系ネマチック液晶において高プレチル
ト角を得るために有効であり、シアノ系やピリミジン系
などのネマチック液晶に関してはあまり効果がなく、高
プレチルト角を示すとしても極めて狭い表面エネルギー
の範囲においてのみとなる。
【0029】尚、本発明の液晶素子にかかる表面エネル
ギーは、協和界面化学社製の接触角測定装置、形式CA
−DTを用い、以下の方法により求める。
【0030】先ず、測定する層(膜)が形成されたガラ
ス基板を用意し、その上にα−ブロモナフタレン、ヨウ
化メチレン、純水を垂らし、各々と配向膜界面の接触角
θ1、θ2 、θ3 を測定する。次に、θ1 、θ2 、θ3
をそれぞれ以下の数式に代入することにより、膜の表面
エネルギーの分散項γs d、極性項γs p、水素結合項γs h
を算出する。
【0031】
【数1】
【0032】上記式中、 44.6はα−ブロモナフタレンの表面エネルギー 46.8はヨウ化メチレンの表面エネルギーの分散項 4.0はヨウ化メチレンの表面エネルギーの極性項 29.1は純水の表面エネルギーの分散項 1.3は純水の表面エネルギーの極性項 42.4は純水の表面エネルギーの水素結合項 である。
【0033】次いで、γ=γs d+γs p+γs hより、表面
エネルギーを求める。
【0034】尚、本発明において用いるフッ素系ネマチ
ック液晶とは、液晶分子の一部にフッ素原子を含むもの
を言い、ネマチック液晶の極性基としてコアまたはテイ
ルにフッ素原子を有する液晶化合物、及び該液晶化合物
を含む液晶組成物であり、体積抵抗値が3×1013Ωc
m以上のものを言う。
【0035】本発明においては、フッ素系ネマチック液
晶として、液晶のベンドにおける弾性定数K33とツイス
トにおける弾性定数K22との比K33/K22が4.12以
下の液晶を用いると、先に説明したNT−ベンド配向の
領域を多く形成することができるため好ましい。また、
33/K22が2.08以下ではNT−ベンド配向に全面
均一化することができるため、より好ましい。即ち、前
記T−ベンド配向とNT−ベンド配向を比較した場合、
基板法線と平均ラビング方向を含む面に平行なNT−ベ
ンド配向に対して、T−ベンド配向は上記面に対してわ
ずかでも角度を有する分、コントラストが低下するため
である。
【0036】本発明の液晶素子は、透過型の場合には、
図2に示すように、その外側に偏光子13a、13bを
配置して用いる。図中、11が本発明の液晶素子であ
る。この時、液晶素子11の配向膜のラビング方向(ラ
ビング方向が上下基板で交差する場合には平均ラビング
方向)14に対して、クロスニコルに配置した偏光子1
3a、13bの偏光軸が45°をなすように配置する。
液晶素子が反射型の場合には、偏光子13aは不要であ
る。
【0037】また、本発明の液晶素子には、リタデーシ
ョンが正の一軸性の位相補償板(複数の位相差フィルム
を重ね合わせたもの)12aを配置することにより、所
定の電圧値における液晶層を通過する光のリタデーショ
ンを相殺し、当該電圧値における黒表示の光学補償を行
なうことができるため、このような位相補償板12aを
用いることが好ましい。さらに、液晶層の中央部の液晶
分子は、電圧を印加した状態では基板法線方向の成分が
多く、視野角特性を悪くする原因となるため、図1
(b)に示したz方向の成分を相対的に小さくしたリタ
デーションが負の位相補償板12b(R<0)を用いる
ことにより、液晶層中の基板に垂直な方向と水平な方向
とのリタデーション差を補正して視野角特性を改善する
ことが好ましい。尚、位相補償板12a、12bの代わ
りに、両者の機能を有する2軸性の位相補償板を用いる
こともできる。
【0038】本発明においては、暗状態の液晶素子のリ
タデーションが50nm以下になるようにセルを構成す
ることにより、上記した位相補償板12aを省略するこ
とができる。
【0039】即ち、コントラストは液晶層のリタデーシ
ョのみで決定されるため、正面からの透過率は T(%)∝sin2 (Rπ/λ) 〔R:液晶層のリタデーション(nm)、λ:入射光波
長(nm)〕で表わされる。
【0040】簡便法として、人の視感度の最も高いλ=
550nmとして実用性能を知る上では問題ない。よっ
て、λ=550nmを上記式に代入すると、T(%)∝
sin2 (Rπ/550)となる。
【0041】明状態表示に対応する最大透過率は理想的
にはR=275nmの時に得られる。よってこの式か
ら、十分なコントラスト比を得る観点から、暗状態表示
のリタデーションは小さい方が望ましい。上記式より導
いた、明状態がR=275nmのリタデーションを持つ
場合の「コントラストの暗状態のリタデーション依存
性」を図6に示す。図6より、リタデーションが50n
m以下で急激にコントラストが上昇することがわかる。
暗状態のリタデーションが50nm以下であれば、位相
補償板12aを用いずとも実用可能なコントラスト10
以上が得られ、一般的なディスプレイとしては問題な
い。
【0042】次に、本発明の液晶素子の一実施形態の1
画素分の断面模式図を図3に、当該液晶素子を組み込ん
だディスプレイパネルの平面模式図を図4に示す。本液
晶素子は、スイッチング素子としてTFTを用いたアク
ティブマトリクス型の液晶素子であり、図4に示すよう
に、複数の画素電極31をマトリクス状に配置し、各画
素電極31毎に配置したTFT41のゲート電極を走査
信号線46に、ソース電極を情報信号線44にそれぞれ
マトリクス配線し、各走査信号線46には走査信号印加
回路43より順次走査選択信号(TFT41のオン信
号)を印加し、該走査選択信号と同期して情報信号印加
回路45より所定の階調表示情報を持った情報信号を印
加して選択されたラインの画素電極31に書き込み、所
定の電圧を液晶層に印加して表示を行なう。
【0043】図3において、21は基板、22はゲート
電極、23はゲート絶縁膜、24は半導体層、25はオ
ーミックコンタクト層、26は絶縁層、27はソース電
極、28はドレイン電極、29はパッシベーション膜、
30は保持容量電極、31は画素電極、33は配向膜、
35は基板、36は共通電極、37は絶縁層、38は配
向膜、41はTFT、39は液晶、42a、42bはラ
ビング方向である。
【0044】図3の液晶素子において、透過型の場合に
は基板21には通常ガラスやプラスチック等の透明性を
有する基板が用いられ、反射型の場合にはシリコン基板
など不透明な基板が用いられる場合もある。画素電極3
1及び共通電極36は、透過型の場合にはいずれもIT
O等透明導電材が用いられるが、反射型の場合には、画
素電極31を反射性の高い金属で形成して反射板を兼ね
る場合もある。半導体層24としては、一般にアモルフ
ァス(a−)Siが用いられ、例えば、水素希釈したモ
ノシラン(SiH4 )をグロー放電分解法(プラズマC
VD)によって約300℃のガラス基板上に約200n
mの厚みで堆積して用いる。その他、多結晶(p−)S
iも好ましく用いられる。さらに、オーミックコンタク
ト層25としては、例えば、n+a−Si層にリンをド
ーピングして用いる。ゲート絶縁膜23としては、窒化
シリコン(SiNx )等が用いられ、例えばグロー放電
分解法により形成される。さらに、ゲート電極22、ソ
ース電極27、ドレイン電極28、保持容量電極30、
配線等には一般にAl等の金属が用いられる。保持容量
電極30については、面積が広い場合には、ITO等の
透明導電材を用いる場合もある。絶縁層37にはTa2
5 などが用いられる。さらに、絶縁層26及びパッシ
ベーション膜29には窒化シリコン等の絶縁膜が好まし
く用いられる。
【0045】上記実施形態の液晶素子の駆動波形の一例
を図5に示す。図中(a)〜(c)は1ライン目、2ラ
イン目、及びnライン(最終ライン)目の走査信号線に
印加する走査信号波形、(d)は1列目の情報信号に印
加する情報信号波形、(e)は1ライン目で且つ1列目
の画素の液晶に印加される電圧波形を示す。
【0046】本発明の液晶素子において、駆動電圧の低
電圧側を0Vとして駆動することができるが、低電圧側
において適宜電圧を印加することにより、より応答速度
を速めることができる。
【0047】本発明の液晶素子においては、上記したよ
うにネマチック液晶を用い、所定のリタデーション比を
示して電圧無印加状態でベンド配向となるように構成す
れば、他の構成部材についてはその素材、形状、大き
さ、製法等については特に限定されず、従来の液晶素子
の技術を適用することが可能である。
【0048】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体
的に示す。尚、以下の実施例において、リタデーンショ
ン比は前記したベレック型のコンペンセーターにて測定
したリタデーション値より求めた。また、プレチルト角
については、前記した、ラビング方向を反平行とした液
晶素子を別途構成して、ベレック型のコンペンセーター
にてリタデーション値を測定して求めた。
【0049】(実施例1)図3の断面構造を有する液晶
素子を作製した。TFT41の半導体層24としてはa
−Si層を用い、従来のTFT作製技術によって作製し
た。
【0050】本例においては、配向膜33、38とし
て、先に示した垂直配向膜材料の例示化合物(20)
(樹脂A)と、下記に示す繰り返し単位構造を有するポ
リイミド系の水平配向膜材料(樹脂B)の混合配向膜を
用いた。混合比率は混合配向膜中に樹脂Aが1〜8重量
%となるように混合して用いた。
【0051】
【化6】
【0052】上記樹脂Aは液晶分子を垂直配向させ、樹
脂Bはフッ素系ネマチック液晶を水平配向させる。樹脂
Bのみでのプレチルト角は5°以下である。本発明で
は、上記比率で樹脂AとBを混合して用いることによ
り、例えば樹脂Aの混合比率が5重量%の時でリタデー
ション比は0.27、プレチルト角は30°であり、安
定なベンド配向を得ることができた。本例において樹脂
Aの混合比率が1重量%以下では液晶は全面的に水平配
向し、8重量%以上では全面が垂直配向してしまう。
【0053】本例において、樹脂Aと樹脂Bの具体的な
混合手段としては、それぞれの樹脂の形成素材の溶液を
混合した後、該混合溶液を基板に塗布し、焼成して両樹
脂の混合膜を形成した。樹脂Bの混合及び焼成前の溶液
の主溶媒としてはNMP(N−メチルピロリドン)を用
い、樹脂Aの混合及び焼成前の溶液の主溶媒としてはI
PA(イソプロピルアルコール)を用いた。樹脂A及び
樹脂Bの混合性が良くないため、塗布に際しては両溶液
を混合して良く撹拌した後、塗布基板を約100℃に加
熱後に塗布した。焼成は200℃で60分間行なった。
【0054】上記配向膜にはローラー径が80mmφで
コットン植毛布を巻き付けたラビングローラーを用い、
回転数1000rpm、基板表面への毛先の押し込み長
さを0.3mmとして、基板の送りスピードを50mm
/sと設定してラビング処理を施した。
【0055】このようにラビング処理を施した上下基板
を互いのラビング方向が平行になるように対向配置し、
6μmφのスペーサを介して貼りあわせることにより液
晶セルを構成し、コレステリック非含有フッ素系ネマチ
ック液晶(チッソ社製「KN−5030」、体積抵抗
値:1.2×1014Ωcm)を注入することによって液
晶素子を作製した。本例における液晶の配向状態を図8
に示す。図中、81はセル、82は液晶の注入方向、8
3はスプレイ配向領域、84はベンド配向領域を示す。
図8(a)に示すように、上記セル81への液晶の注入
過程においては、液晶の流れの影響により、注入された
液晶はスプレイ配向となるが、注入口に対して奥側の注
入終了部分及び注入口側注入終了部分からは、図8
(b)に示すようにベンド配向84が生成し、全面に及
んだ。また、この時に全面がベンド配向にならずにスプ
レイ配向が残ったとしても、本発明の液晶素子はスプレ
イ配向よりもベンド配向が安定であるように構成されて
いるため、駆動電圧の印加によって速やかに全面がベン
ド配向となる。
【0056】上記樹脂Aの混合比率を5重量%とした配
向膜を有する液晶素子の外側に、図2に示したように、
ノーマリーホワイト表示における黒表示の光学補償を行
なうために、36nmのリタデーションを有する位相補
償板12aを配置し、さらにリタデーションが負の位相
補償板12bを配置して視野角特性を改善した。液晶素
子と位相補償板12aを通過した光の屈折率楕円体の基
板に垂直な方向の屈折率をnz 、それに直交する方向の
屈折率をnx (nx とnz に直交する方向の屈折率ny
=nx )とし、位相補償板12bの屈折率楕円体の基板
に垂直な方向の屈折率をnz'、それに直交する方向の屈
折率をnx'(nx'とnz'に直交する方向の屈折率ny'
x')とすると、nz'=nx 、nx'=nz となるように
位相補償板12bを設定した。
【0057】本例の液晶素子を図5の駆動波形で、V+g
を10V、V-gを−10V、ゲート選択期間ΔTを16
μsec、情報信号電圧を画像表示時に±1.9V〜±
6.6Vに設定し、±6.6Vで黒表示となるノーマリ
ーホワイト表示で1フレーム内直流電圧を印加した。
尚、本例においては、情報信号電圧を低電圧側を0Vと
しても駆動できるが、より応答速度を速めるために低電
圧側に±1.9Vの電圧を印加とした。共通電極は基準
電位に設定した。当該条件で本例の液晶素子の応答速
度、τonとτoff を測定した。尚、τonは電圧印加時、
即ち低電圧印加状態から高電圧を印加した場合に透過率
が90%変化するまでの時間、τoff は高電圧印加状態
から透過率が90%変化するまでの時間である。本例に
おいては、τon(±1.9V印加状態から±6.6V印
加した場合に透過率100%から10%に達するまでの
時間)が0.36ms、τoff (±6.6V印加状態か
ら±1.9V印加状態とした場合に透過率0%から90
%に達するまでの時間)が4.72msであった。
【0058】(実施例2)垂直配向膜材料として、下記
構造を有するモノマーからなる樹脂Cを用い、水平配向
膜材料としては実施例1で用いた樹脂Bを用いて混合配
向膜を形成する以外は実施例1と同様にして液晶素子を
作製した。 樹脂Cのモノマー構造 n−C817SO2 N(C37 )C36 Si(OC
33
【0059】尚、上記樹脂Cの代わりに、以下の構造の
モノマーからなる樹脂Dを用いても同様の効果が得られ
る。 樹脂Dのモノマー構造 [n−C817SO2 N(C25 )CH2 COO]C
rCl2 樹脂Cのみでの表面エネルギーはα−ブロモナフタレン
による液滴の接触角が73.7°、ヨウ化メチレンの接
触角が94.3°、水の接触角が107.4°であり、
表面エネルギーは35.6dyne/cmと低く、フッ
素系ネマチック液晶を垂直配向させることができる。
【0060】混合配向膜中に樹脂Cが1〜10重量%混
入するように、主溶媒としてNMPを用いた樹脂Cのモ
ノマー溶液と樹脂Bの形成素材(ポリアミック酸)溶液
を混合し、良く撹拌した後塗布基板を100℃に加熱し
て塗布した。焼成は200℃で60分間行なった。その
後、実施例1と同様にラビング処理を行なった。
【0061】本例においては、混合配向膜を上記混合比
率の範囲内とすることにより、初期状態で安定なベンド
配向が得られた。上記混合配向膜の樹脂Cの混合比率が
5重量%の場合に、リタデーション比は0.2、プレチ
ルト角は40°であった。
【0062】実施例1と同様にして上下基板を貼りあわ
せ、ネマチック液晶を注入して液晶素子を作製した。さ
らに、当該液晶素子の外側に、リタデーションが41n
mの位相補償板12aと実施例1と同様にリタデーショ
ンを負に設定した位相補償板12b、さらに偏光板を組
み合わせて配置した。本例においても、ベンド化電圧を
印加することなく、初期状態からベンド配向が得られ、
良好に駆動することができた。
【0063】(実施例3)垂直配向膜材料として日産化
学社製「SE−1211」(樹脂E)、水平配向膜材料
として日本合成ゴム社製「AL−0656」(ポリイミ
ド系配向膜、樹脂F)を用い、混合配向膜中における垂
直配向膜材料の混合比率を1〜10重量%とし、種々膜
厚を変えた以外は実施例1と同様にして液晶素子を得
た。その結果、図9に示すように、混合配向膜の膜厚に
よって適正な混合比率が異なり、膜厚が30nmの場合
には、樹脂Eの混合比率は2.5〜7.5重量%で安定
なベンド配向が得られ、80nmでは1〜5重量%で安
定なベンド配向が得られた。尚、30nmで樹脂Eを5
重量%とした場合のリタデーション比は0.22、プレ
チルト角は36°であった。また、30nmで樹脂Eを
7重量%とした場合のリタデーション比は0.17、プ
レチルト角は45°であった。
【0064】樹脂Eの混合比率を6重量%、膜厚を30
nmとした配向膜を有する液晶素子を用い、黒表示を光
学補償するためにリタデーションが50nmの位相補償
板12aと、実施例1と同様にしてリタデーションを負
に設定した位相補償板12b、さらに一対の偏光板を実
施例1と同様に液晶素子の外側に配置した。
【0065】上記位相補償板と偏光板を配置した液晶素
子に、図5の駆動波形で、V+gを10V、V-gを−10
V、ΔT=16μm、情報信号電圧を画像表示時に0.
0V〜±5.0V、共通電極電位を基準電位にそれぞれ
設定し、ノーマリーホワイト表示で1フレーム内直流電
圧を印加した。本例の液晶素子の応答速度はτon(0V
から±5.0Vを印加した場合に透過率100%から1
0%に達する時間)が0.76ms、τoff (±5.0
V印加状態から0Vにした場合に透過率0%から90%
に達する時間)が9.9msであった。
【0066】比較のために、混合配向膜の代わりに本例
で用いた樹脂Fを単独で用いて配向膜を形成した(プレ
チルト角=6°)以外は本例と同様にして液晶素子を作
製した。その結果、得られた液晶素子は初期状態でスプ
レイ配向状態であったため、7.0Vのベンド配向処理
を行なった。その後、図5の駆動波形で、V+gを10
V、V-gを−10V、ΔT=16μm,情報信号電圧を
画像表示時に±2.0V〜±5.2Vに、共通電極電位
を基準電位にそれぞれ設定してノーマリーホワイト表示
で1フレーム内直流電圧を印加した。本液晶素子の応答
速度は、τon(±2.0V印加状態から±5.2Vにし
た場合に透過率100%から10%に達する時間)が
1.36ms、τoff (±5.2V印加状態から±2.
0Vとした場合に透過率0%から90%に達する時間)
が15.08msであった。即ち、本実施例の液晶素子
においては応答速度が大幅に改善されていることがわか
る(データは他の例も含め全て室温)。
【0067】(実施例4)実施例3で用いた樹脂Eと樹
脂Fの混合比率を変えることにより、混合配向膜の表面
エネルギーを種々変化させた液晶素子を作製した。液晶
としては、実施例3と同じフッ素系ネマチック液晶と、
非フッ素系ネマチック液晶としてピリミジン系液晶(チ
ッソ社製「KN−5027」)を用いた。液晶と配向膜
以外の構成及び製法は実施例3と同じであり、配向膜3
3、38の膜厚は80nmとした。以下に各液晶素子の
初期配向状態を示す。
【0068】
【表1】
【0069】表1に示されるように、表面エネルギーが
37.3〜42.1dyne/cmにおいて安定してベ
ンド配向が得られ、特に、37.4〜40.9dyne
/cmにおいて全面をベンド配向させることができる。
尚、上記液晶素子において、樹脂Eの割合を3重量%と
した時のリタデーション比は0.22で、プレチルト角
は36°であった。
【0070】上記液晶素子のうち、混合配向膜として樹
脂Eの混合比率を3重量%、膜厚を80nmとしたもの
を用い、ノーマリーブラック表示で駆動した。リタデー
ションが正の位相補償板としては、0.0Vで黒表示す
るために145nmのリタデーションの位相補償板を用
いた。駆動には図5の駆動波形を用い、V+gは10V、
-gは−10V、ΔT=16μm、情報信号電圧は画像
表示時に0.0V〜±5.3V、共通電極電位を基準電
位に設定した。このように、電圧無印加時にベンド配向
が安定な液晶素子においては、画素電圧のフレーム時間
内の減衰がないため、ノーマリーブラックモードでフリ
ッカのない、高コントラストの表示を行なうことができ
た。また、液晶素子の応答速度はτon(0Vから±5.
3Vを印加した場合に透過率が0%から90%に達する
時間)が0.76ms、τoff (±5.3V印加状態か
ら0Vにした場合に透過率が100%から10%に達す
る時間)が9.9msであった。
【0071】印加電圧が0Vの時と±5.3Vを印加し
た時のリタデーション値の差が白表示の透過率に影響す
るため、該リタデーション値を最適化するためには、
セル厚を厚くする方法や、ピリミジン系などのΔnの
大きい液晶を添加することで実施することができる(例
えば、本例で用いた液晶のΔnは0.13であるが、ピ
リミジン系液晶ではΔn=0.16と大きくすることが
できる。)。
【0072】(実施例5)液晶として種々の弾性定数比
を有するものを用意し、初期状態での配向状態を比較し
た。本例で用いたフッ素系ネマチック液晶は、ロディッ
ク社製の「RDP−50892」(体積抵抗値:9×1
13Ωcm)、「RDP−30864」(体積抵抗値:
9×1013Ωcm)、チッソ社製の「KN−5028」
(体積抵抗値:1.1×1014Ωcm)、「KN−50
31」(体積抵抗値:1.3×1014Ωcm)を用い、
さらに、弾性定数比を調整したLC−1〜LC−3を用
意した。これらの液晶材料は、カイラル成分を持たず、
表2に示すような弾性定数及び弾性定数比を有する。
尚、弾性定数は、「液晶(基礎編)」(倍風館、昭和6
0年7月15日発行版)の第216頁以降に記載されて
いる方式を用いて測定した。k11はネマチック液晶のス
プレイの弾性定数である。
【0073】
【表2】
【0074】上記液晶を、実施例3の樹脂Eと樹脂Fか
らなる混合配向膜で樹脂Eの混合比率を5重量%、膜厚
を30nmとした混合配向膜と、樹脂Fのみからなる配
向膜で配向させた場合の液晶配向の様子を表3に示す。
尚、配向膜と液晶以外の構成については実施例3と同様
とした。混合配向膜を設けた液晶素子のリタデーション
比は0.22でプレチルト角は36°、樹脂Fのみから
なる配向膜についてはリタデーション比が1.0でプレ
チルト角は6°であった。
【0075】
【表3】
【0076】表3に示したように、樹脂Fのみからなる
配向膜を用いた液晶素子においては、いずれの液晶を用
いた場合でも電圧を印加しない状態ではベンド配向をと
ることはできず、スプレイ配向状態となっている。この
場合、スプレイ配向からベンド配向状態を生成するため
には5.0V以上の間欠電圧印加が必要であり、さら
に、ベンド配向状態を維持するためには2.0V程度の
電圧を印加する必要がある。
【0077】一方、混合配向膜を用いた液晶素子におい
ては、電圧を印加しない状態でも、スプレイ配向よりも
ベンド配向が安定となっている。但し、弾性定数比K33
/K22が4.12より大きい液晶を用いた場合には、T
−ベンド配向とNT−ベンド配向の混合状態となってい
るが、弾性定数比K33/K22が4.12以下のものにつ
いては、全面がよりコントラストの高いNT−ベンド配
向となっており、このような弾性定数比の液晶を用いる
ことにより、より高コントラストの液晶素子が得られる
ことがわかる。
【0078】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれば
初期状態で安定なベンド配向が得られるため、従来の電
圧印加等ベンド配向処理及び液晶素子再使用時の再ベン
ド配向処理が不要で、且つ、駆動時に印加されていたベ
ンド配向を維持するための保持電圧が不要である。よっ
て、常に安定なベンド配向によって安定した高速駆動が
可能であり、優れた表示特性を有する信頼性の高い液晶
素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる液晶の配向状態を模式的に示し
た図である。
【図2】本発明の液晶素子と他の部材との組み合わせを
模式的に示した図である。
【図3】本発明の液晶素子の一実施形態の1画素の断面
模式図である。
【図4】本発明の液晶素子の一実施形態を周辺駆動回路
を組み込んだディスプレイパネルの平面模式図である。
【図5】図3の液晶素子の駆動波形の一例を示す図であ
る。
【図6】液晶素子のリタデーションとコントラストとの
関係を示す図である。
【図7】本発明にかかるプレチルト角とリタデーション
比との関係の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施例1における液晶の配向状態を示
す模式図である。
【図9】本発明の実施例3における、混合配向膜の適正
混合比率と配向膜厚との関係を示す図である。
【符号の説明】
1a、1b 基板 2 液晶分子 3a、3b ラビング方向 11 液晶素子 12a、12b 位相補償板 13a、13b 偏光子 14 (平均)ラビング方向 21、35 ガラス基板 22 ゲート電極 23 ゲート絶縁膜 24 半導体層 25 オーミックコンタクト層 26 絶縁層 27 ソース電極 28 ドレイン電極 29 パッシベーション膜 30 保持容量電極 31 画素電極 33、38 配向膜 36 共通電極 37 絶縁層 39 液晶 41 TFT 42a、42b ラビング方向 43 走査信号印加回路 44 情報信号線 45 情報信号印加回路 46 走査信号線 81 セル 82 液晶注入方向 83 スプレイ配向領域 84 ベンド配向領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 棟方 博英 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 佐藤 公一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 水谷 英正 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶に電圧を印加する電極と、液晶との
    界面に配向膜を有する一対の基板と、該基板間に挟持さ
    れた液晶とを有する液晶素子であって、上記液晶がネマ
    チック液晶であり、電圧無印加状態において液晶分子が
    ベンド配向を呈し、所定の電圧値を印加した際のリタデ
    ーション値をR(nm)、上記ネマチック液晶の屈折率
    異方性をΔn、セル厚をd(nm)とした時にR/Δn
    dで表わされるリタデーション比が0.3以下であるこ
    とを特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】 上記配向膜が、液晶を垂直配向させる配
    向膜成分と、液晶を水平配向させる配向膜成分とを含有
    する請求項1記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】 上記配向膜が、液晶を垂直配向させる配
    向膜材料と、液晶を水平配向させる配向膜材料との混合
    物からなる請求項2記載の液晶素子。
  4. 【請求項4】 上記液晶を垂直配向させる配向膜材料
    が、フルオロアルキル鎖を有する分子構造を有する化合
    物を含む請求項3記載の液晶素子。
  5. 【請求項5】 上記液晶を垂直配向させる配向膜材料
    が、下記式(I)或いは(II)で示される繰り返し単
    位構造を有する高分子化合物を含む請求項4記載の液晶
    素子。 【化1】
  6. 【請求項6】 上記配向膜の表面エネルギーが42.1
    dyne/cm以下である請求項1〜5記載の液晶素
    子。
  7. 【請求項7】 上記配向膜の表面エネルギーが37.4
    〜40.9dyne/cmである請求項1〜5記載の液
    晶素子。
  8. 【請求項8】 上記液晶が、ベンドにおける弾性定数K
    33とツイストにおける弾性定数K22との比(K33
    22)が4.12以下のフッ素系ネマチックである請求
    項1〜5記載の液晶素子。
  9. 【請求項9】 上記液晶が、ベンドにおける弾性定数K
    33とツイストにおける弾性定数K22との比(K33
    22)が2.08以下のフッ素系ネマチックである請求
    項1〜5記載の液晶素子。
  10. 【請求項10】 上記液晶素子において暗状態のリタデ
    ーション値が50nm以下である請求項1記載の液晶素
    子。
  11. 【請求項11】 上記リタデーション比が0.12以上
    である請求項1記載の液晶素子。
  12. 【請求項12】 上記リタデーション比が0.17〜
    0.27である請求項1記載の液晶素子。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007192850A (ja) * 2006-01-17 2007-08-02 Jsr Corp 液晶配向剤、液晶配向膜および液晶表示素子
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JP2007272136A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Fujifilm Corp 液晶表示装置
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