JP2000063782A

JP2000063782A - 水性接着剤組成物

Info

Publication number: JP2000063782A
Application number: JP10232001A
Authority: JP
Inventors: Kenji Idemoto; 憲二井手本; Yuji Yamashita; 祐司山下
Original assignee: Konishi Co Ltd
Current assignee: Konishi Co Ltd
Priority date: 1998-08-18
Filing date: 1998-08-18
Publication date: 2000-02-29

Abstract

(57)【要約】【課題】紙材料に用いても、紙材料に皺ができず、作
業性を損なわずに使用することが可能な水性接着剤組成
物を提供する。【解決手段】澱粉類、カルボン酸含有ポリマー若しく
はその中和物及び多価アルコールを配合し、水含有量を
４０重量％未満とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、水性接着剤組成物
に関し、より詳細には水性でありながら紙材料に皺を生
じさせない水性接着剤組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、紙用の水性接着剤には、主成分と
して水溶性ポリマーであるポリビニルアルコール、澱
粉、アラビアゴム等が多く用いられており、水分が５０
重量％以上含まれているものが普通である。そのため、
紙に貼り合わせる場合、水分による紙皺を発生し、乾燥
しても紙に皺が残り、仕上がりが悪くなるものばかりで
あった。皺を生じないようにするには、水分含有量を減
少させれば良いとも考えられるが、水分含有量を減少さ
せることによって、作業性の悪化、その他の弊害が生じ
ることが予想される。

【０００３】水含有量を少なくするために、不揮発分を
高くすると、粘度が上昇し、塗布作業性の悪化はまぬが
れない。低分子量である澱粉類を使用すれば、高不揮発
分にもかかわらず、粘度が高くならずに良好な塗布作業
性を得られることは知られている。しかし、澱粉類を使
用すると、乾燥皮膜が硬くかつ脆くなる。そのため次の
ような問題が発生する。接着し難い材料（トレーシン
グペーパー等）は接着できない。一度接着できても、
時間が経過すると剥がれてしまう。貼り合わせても接
着速度（ハイセッティング性）が遅い。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、紙材料に用
いても、紙材料に皺が発生せず（以下、皺レス性とい
う）、作業性を損なわずに使用することが可能な水性接
着剤組成物を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々の水
溶性ポリマーにつき、そのポリマー濃度と水含有量との
関係を精査した結果、接着剤の水含有量が４０重量％未
満にすれば接着剤による紙皺が減少し、水含有量が３５
重量％では紙皺は殆ど見られなくなり、水含有量が３０
重量％以下では、紙に接着剤を塗布した直後においても
紙皺が発生しなくなることを発見した。本発明者らは、
鋭意研究を行った結果、澱粉類にそれと相溶できるカル
ボン酸含有ポリマーを配合すると、澱粉類を単独で使用
する場合に発生する上記の問題点、特に上記及びが
解決できることを見出だした。更に、一般的に保湿剤と
して使用されている多価アルコールを配合すると、皺レ
ス性、ハイセッティング性を損なうことなく接着剤の粘
度を下げることができることを見出だした。

【０００６】すなわち、本発明は、澱粉類、カルボン酸
含有ポリマー若しくはその中和物及び多価アルコールを
含有し、水含有量が４０重量％未満であることを特徴と
する水性接着剤組成物を要旨とする。又、本発明の水性
接着剤組成物は、上記澱粉類が３０〜８０重量％であ
り、上記カルボン酸含有ポリマー若しくはその中和物が
１〜５０重量％であり、上記多価アルコールが０．１〜
３０重量％であり、水含有量が１５〜４０重量％未満で
あることを特徴とする。又、本発明の水性接着剤組成物
は、上記澱粉類がデキストリンであることを特徴とす
る。又、本発明の水性接着剤組成物は、上記カルボン酸
含有ポリマーがポリアクリル酸であることを特徴とす
る。又、本発明の水性接着剤組成物は、上記多価アルコ
ールが糖類であることを特徴とする。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明の水性接着剤組成物を構成
する澱粉類としては、澱粉類接着剤の糊料として通常使
用される、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、
タピオカ澱粉等の澱粉質糊料、澱粉を稀薄な有機酸や無
機酸で処理した可溶性澱粉、澱粉を酵素で変性、加熱下
での酸若しくはアルカリで処理、焙焼等をしたデキスト
リンが使用可能であるが、特にデキストリンが好まし
い。

【０００８】カルボン酸含有ポリマーとしては、ポリア
クリル酸、ポリメタクリル酸やアクリル酸、メタクリル
酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸と他のビニル
モノマーとの共重合体等が挙げられるが、特にポリアク
リル酸が好ましい。又、カルボン酸含有ポリマーの中和
物としては、上記カルボン酸含有ポリマーのカルボキシ
基の末端水素をナトリウム、カリウム等のアルカリ金
属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属等
で置換したものである。上記金属の中でも特にナトリウ
ムが望ましい。

【０００９】本発明の水性接着剤組成物の１成分として
用いられる多価アルコールとしては、ジオ−ル、トリオ
ール、テトラオール、糖類が使用できる。それらを例示
すると、ジオ−ルとしてはエチレングリコール、プロピ
レングリコール、１，４−ブタンジオール、１，６−ヘ
キサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレン
グリコール、ネオペンチルグリコール等、トリオールと
してはトリメチロールプロパン、グリセリン等、テトラ
オールとしてはペンタエリトリトール等が挙げられる。
又、糖類としては、糖と糖アルコールがあり、糖として
は、ヘキソース、テトロース、ペントースが挙げられる
が、ヘキソースに含まれるグルコース、フルクトース、
マンノース、イドース、ソルボース、グロース、ガラク
トース、プシコース、アルトロース等が挙げられる。代
表的な糖はブドウ糖、庶糖である。又、糖アルコールと
しては、ヘキシット、テトリット、ペンチットがあり、
ヘキシットではソルビット、マンニット、イジット、タ
リット、ガラクチット、アルトリット等が挙げられる。
上記多価アルコールの中でも糖類が望ましく、糖類の中
でも、特にソルビットが好ましい。

【００１０】本発明の水性接着剤組成物は、澱粉類、カ
ルボン酸含有ポリマー若しくはその中和物及び多価アル
コールを含有し、水含有量が４０重量％未満であるもの
であるが、特に上記澱粉類が３０〜８０重量％であり、
上記カルボン酸含有ポリマー若しくはその中和物が１〜
５０重量％であり、上記多価アルコールが０．１〜３０
重量％であり、水含有量が１５重量％以上４０重量％未
満であることが好ましい。

【００１１】上記組成物において水含有量が４０重量％
以上では、紙皺の発生を抑制できないが、上記澱粉類が
１重量％未満では、凝集力がなく、接着剤になりにく
く、８０重量％を超えると高粘度すぎてゲル状となる傾
向がある。上記カルボン酸含有ポリマー若しくはその中
和物が、１重量％未満では、澱粉類を単独で使用する際
に発生する諸問題を改善しにくく、５０重量％を超える
と粘度を上昇させて塗布作業性を悪化させる傾向があ
る。上記多価アルコールが０．１重量％未満では、粘度
を下げる効果が得られにくく、５０重量％を超えるとハ
イセッティング性を損なう傾向がある。

【００１２】この他、粘度調整剤として、エタノールや
イソプロパノール等のアルコール類を配合することも可
能であるが、多量に用いると引火性の問題を派生させ
る。上記構成からなる本発明の水性接着剤組成物は、必
要に応じて更に防腐剤、防黴剤、着色剤、香料等の通常
使用される添加剤を配合することができることはいうま
でもない。

【００１３】

【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。実施例において、特に断りがない場合、部は重量部
を、％は重量％を示す。実施例及び比較例で用いた化合
物は下記の通りである。デキストリンアミコールＮｏ．１：日澱化学社製ポリアクリル酸ジェリマーＡＣ−１０Ｌ：日本純薬社製（４０％ポリア
クリル酸水溶液）ソルビットソルビット：協和発酵社製その他市販試薬

【００１４】なお、組成物の評価方法は下記に従った。紙皺接着剤を塗布した直後にコピー用紙を貼り合わせ、塗布
直後から乾燥時の紙皺の発生状態を次の基準で判定す
る。 ◎：塗布直後から皺が発生しない。 ○：塗布直後は皺が発生するが、乾燥時には皺は消え
る。 △：塗布直後は皺が発生するが、乾燥時には皺は少し残
るだけである。 ×：塗布直後に皺が発生し、乾燥時にも皺は残る。接着性紙を貼り合わせて一週間後に剥がし、その状態を次の基
準で判定する。 ○：充分に接着しており、剥がすと紙が破れる（紙
破）。 △：接着してはいるが、剥がすことが可能で紙破しな
い。 ×：簡単にパラリと剥がれてしまう。ハイセッティング性接着剤を塗布した直後に貼り合わせたコピー用紙の貼り
合わせ部を手で引っ張り、紙が破れる時の貼り合わせ後
の時間を見る。 ○：５分未満 △：５分〜１０分未満 ×：１０分以上塗布作業性接着剤用容器（コニシ社製、商品名；スポンジグルー）
に接着剤を入れ、紙に接着剤を塗布する際に、該容器か
ら出る接着剤の状態及び接着剤の塗布状態を次の基準で
判定する。 ○：容器からスムーズに出て、スムーズに塗布できる。 △：粘度が高く容器からスムーズに出にくいが、スムー
ズに塗布はできる。 ×：粘度が高く容器からスムーズに出にくく、塗布が困
難。

【００１５】（実施例１〜３）（比較例１〜３）表１に示すように、デキストリン、ポリアクリル酸、
水、ソルビットを表１に示す割合で配合し、接着剤組成
物を調製した。得られた接着剤組成物を上記の方法で評
価しそれらの結果を表１に示した。

【００１６】

【表１】表１から本発明の組成物は、水含有量を少なくすること
によって、紙皺が発生せず、ポリアクリル酸を含有する
ことで、接着性とハイセッティング性が改善され、ソル
ビットを含有することで、ハイセッティング性を損なう
ことなく、粘度を下げ、塗布作業性を改善できることが
明白である。

【００１７】

【発明の効果】本発明の水性接着剤組成物は、水性であ
るにもかかわらず、紙材に適用した場合に、紙材に皺を
発生させず、塗り易さ、収まりの良さ、接着の早さ、接
着の良さ等があり作業性に優れている。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続きＦターム(参考） 4J040 BA111 BA112 BA142 DF011 DF012 DG001 DG002 GA07 HB10 HB11 HB14 HD44 JA02 LA11 MA09

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】澱粉類、カルボン酸含有ポリマー若しく
はその中和物及び多価アルコールを含有し、水含有量が
４０重量％未満であることを特徴とする水性接着剤組成
物。
【請求項２】上記澱粉類が３０〜８０重量％であり、
上記カルボン酸含有ポリマー若しくはその中和物が１〜
５０重量％であり、上記多価アルコールが０．１〜３０
重量％であり、水含有量が１５〜４０重量％未満である
ことを特徴とする請求項１記載の水性接着剤組成物。
【請求項３】上記澱粉類がデキストリンであることを
特徴とする請求項１又は２記載の水性接着剤組成物。
【請求項４】上記カルボン酸含有ポリマーがポリアク
リル酸であることを特徴とする請求項１ないし３のいず
れかに記載の水性接着剤組成物。
【請求項５】上記多価アルコールが糖類であることを
特徴とする請求項１ないし４のいずれかに記載の水性接
着剤組成物。