JP2000053854A - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリカーボネート樹脂組成物

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JP2000053854A
JP2000053854A JP10227733A JP22773398A JP2000053854A JP 2000053854 A JP2000053854 A JP 2000053854A JP 10227733 A JP10227733 A JP 10227733A JP 22773398 A JP22773398 A JP 22773398A JP 2000053854 A JP2000053854 A JP 2000053854A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械的強度、遮光性、耐熱性、難燃性、不滴
下性、溶融時熱安定性などに優れ、かつ、表面外観、遮
光性、光反射率に優れた成形品が得られる難燃性ポリカ
ーボネート樹脂組成物を提供すること。 【構成】ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対
し、酸化チタン(B)0.1〜50重量部、リン系難燃
剤(C)0.5〜40重量部、アルキル(メタ)アクリ
レート系重合体からなる多層構造弾性体(D)0.1〜
10重量部、および、フィブリル形成性ポリテトラフル
オロエチレン(E)0.01〜1重量部がそれぞれ配合
されてなる、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。 【効果】 上記課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性ポリカーボ
ネート樹脂組成物に関する。詳しくは、機械的強度、耐
光性、耐熱性に優れると共に、表面外観、難燃性、不滴
下性、溶融時の熱安定性、遮光性、光線反射率などの諸
特性が優れていることから、照明装置、液晶バックライ
ト、電気部品などの幅広い用途に好適に使用できる難燃
性ポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリカーボネート樹脂に酸化チタ
ンを配合して着色したり、遮光性を付与することは広く
行われている。しかし、酸化チタンの表面には、化学的
活性点が存在し、これが溶融混練および溶融成形時に、
ポリカーボネート樹脂の劣化を促進するため、ポリカー
ボネート樹脂本来の優れた機械的性質が損なわれたり、
成形品が変色するという問題があった。
【0003】酸化チタンによるポリカーボネート樹脂の
変色を抑制する方法としては、ポリオルガノ水素シロキ
サンを混合する方法(特公昭63−26140号公報参
照)、ポリ炭化水素オキシシロキサンを混合する方法
(特公昭63−31513号公報参照)、アミノ基また
はエポキシ基を有するシラン素カップリング剤を混合す
る方法(特公平3−2189号公報参照)、などが提案
されている。
【0004】また、近年、火災に対する安全性の面か
ら、電気部品などに使用される合成樹脂の難燃化が強く
要請されており、特に、電気部品に使用する場合には、
UL規格で規定されているような高度の難燃性を発揮
し、また燃焼物の滴下を生じないことなどが要求されて
いる。ポリカーボネート樹脂は、電気部品などに幅広く
利用されており、難燃化技術も種々提案されている。こ
れまでポリカーボネート樹脂を難燃化するには、主にハ
ロゲン化合物を添加する方法が採用されてきた。しか
し、近年、ハロゲン化合物による環境汚染などの問題、
および、ハロゲン化合物を添加した樹脂組成物の熱安定
性を向上させるため、非ハロゲン化合物を添加して難燃
化する技術が研究されている。
【0005】ポリカーボネート樹脂を難燃化する際に、
ハロゲン化合物の代りにリン酸エステル系化合物を添加
する技術が提案されている(特開平10−1600号公
報参照)。ここで提案されている技術は、基体樹脂の着
色や、得られる成形品の遮光性付与を目的として酸化チ
タンを配合し、リン酸エステル系難燃剤を配合し難燃化
するものであるが、ポリカーボネート樹脂の優れた特性
である機械的強度を低下させてしまうという欠点があっ
た。また、液晶バックライトなどの反射板は、蛍光灯な
ど各種光源から、長時間に亘る光や熱の放射を受けるの
で、長期間の使用によって変退色してしまい、徐々に反
射率などの光学特性が低下してしまうという欠点もあっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ポリカーボネート樹脂
の優れた機械的強度、耐光性、耐熱性を犠牲にすること
なしに、難燃性、不滴下性、溶融時の熱安定性などに優
れ、表面外観、遮光性、光線反射率に優れた成形品が得
られるポリカーボネート樹脂組成物は、未だ得られてい
ないのが実情である。本発明の目的は、次のとおりであ
る。 1.機械的強度、耐光性、耐熱性に優れた難燃性ポリカ
ーボネート樹脂組成物を提供すること。 2.表面外観、遮光性、光線反射率に優れた成形品が得
られる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供するこ
と。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明では、ポリカーボネート樹脂(A)100重
量部に対し、酸化チタン(B)0.1〜50重量部、リ
ン系難燃剤(C)0.5〜40重量部、ガラス転移点
(Tg)が0℃以下である架橋されたアルキル(メタ)
アクリレートからなるゴム状重合体の内核と、アルキル
(メタ)アクリレートの最外殻層とをもつ多層構造弾性
体(D)0.1〜10重量部、および、フィブリル形成
性ポリテトラフルオロエチレン(E)0.01〜1重量
部、それぞれ配合されてなることを特徴とする、難燃性
ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【0008】
【発明の実施の態様】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物におけ
るポリカーボネート樹脂(A){以下(A)成分と言う
ことがある}は、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の
基体樹脂となるものであり、2価フェノールとカーボネ
ート前駆体とを溶液法または溶融法で反応させて製造さ
れたものである。2価フェノールの代表的なものとして
は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメ
チルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ3−メチルフェニル)プロパン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)スルホンなどが挙げられる。
【0009】好ましい2価フェノールは、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)アルカン系、特にビスフェノールA
を主原料とするものである。また、カーボネート前駆体
としては、カルボニルハライド、カルボニルエステルま
たはハロホルメートなどが挙げられ、具体的にはホスゲ
ン、ジフェニルカーボネート、2価のフェノールのジハ
ロホルメートおよびそれらの混合物である。ポリカーボ
ネート樹脂を製造する際の2価フェノールは、単独で
も、2種以上の混合物であってもよい。
【0010】成形用のポリカーボネート樹脂の粘度平均
分子量は、一般的には1万〜10万の範囲であるが、成
形性および成形品の物性の観点からは、1.5万〜6万
の範囲のものが好ましい。上記範囲の粘度平均分子量を
持つポリカーボネートを製造する際に、分子量調整剤、
加工性改善のための分岐剤、反応を促進するための触媒
などを適宜選択・組合せて使用するのが好ましい。
【0011】本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂
組成物における酸化チタン(B){以下(B)成分と言
うことがある}は、成形品の白色度、遮光性、光線反射
率などを向上させるものである。酸化チタンは、硫酸法
または塩素法によって製造されるが、硫酸法で製造され
た酸化チタンは、白色度の点で塩素法で製造された酸化
チタンに劣るので、塩素法で製造されたものが好適であ
る。酸化チタンの結晶形態にはルチル形とアナターゼ形
があり、白色度、光線反射率および耐光性の観点からは
ルチル形が優れているので、結晶形態はルチル形のもの
が好適である。
【0012】(B)成分としての酸化チタンは、表面処
理されていない場合には、樹脂組成物を高温で溶融混練
する際に、基体のポリカーボネート樹脂の分子量低下や
変色を引き起こすので、表面処理されているものが好ま
しい。酸化チタンの表面処理は、アルミナ水和物、ケイ
酸水和物から選ばれた1種以上の無機系表面処理剤によ
って行なわれる。
【0013】これら酸化チタンは、さらに、有機系表面
処理剤、特に、シリコン系化合物で処理されているもの
が好ましい。ここで言うシリコン系化合物としては、ポ
リオルガノ水素シロキサン(特公昭63−26140号
公報参照)、ポリ炭化水素シロキサン(特公平63−3
1513号公報参照)、シランカップリング剤(特公平
3−2189号公報参照)などが挙げられる。
【0014】(B)成分としての酸化チタンは、その平
均粒子径が0.05〜0.50μmの範囲で選ばれる。
平均粒子径が0.05未満でも、0.50μmを超えて
も、樹脂組成物から得られる成形品の遮光性および光線
反射率に劣り、0.50μmを超えると更に成形品表面
に肌荒れを起こしたり、衝撃強度の低下を招くので好ま
しくない。上記範囲では、0.10〜0.40μmが好
ましく、中でも0.15〜0.35μmが特に好まし
い。
【0015】本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂
組成物における酸化チタンの配合割合は、基体のポリカ
ーボネート樹脂100重量部に対して、酸化チタンが
0.1〜50重量部の範囲で選ばれる。酸化チタンの配
合割合が0.1重量部より少ないと、得られる成形品の
遮光性に劣り、50重量部を越えると衝撃強度の低下が
大きなり、いずれも好ましくない。
【0016】本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂
組成物におけるリン系難燃剤(C){以下(C)成分と
言うことがある}は、分子中にリン原子を有する化合物
であり、好ましくは、下記の一般式[I]または[II]
で表されるリン系化合物が挙げられる。
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】一般式[I]で表されるリン系難燃剤の具
体例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、
燐酸ジフェニル−2−エチルクリジル、燐酸トリ(イソ
プロピルフェニル)、メチルホスホン酸ジフェニルエス
テル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、燐酸ジフ
ェニルクレジル、燐酸トリブチルなどが挙げられる。一
般式[I]で表されるリン系化合物は、公知の方法で、
オキシ塩化燐などから製造することができる。
【0020】一般式[II]におけるアリーレン基のX
は、例えば、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフ
ェノールA等のジヒドロキシ化合物から誘導される基で
ある。一般式[II]で表されるリン系難燃剤としては、
mが1〜5の縮合燐酸エステルであり、mが単一の縮合
燐酸エステルであってもよく、または、mが異なる縮合
燐酸エステルの混合物であってもよい。混合物の場合に
は、混合物のmの平均値が1〜5であればよい。
【0021】一般式[II]で表されるリン系難燃剤の具
体例としては、ジヒドロキシ化合物がレゾルシノールで
ある場合は、フェニルレゾルシン・ポリホスフェート、
クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・
クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、キシリル・
レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル-P-t- ブチル
フェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・
イソプロピルフェニル・レゾルシンポリホスフェート、
クレジル・キシリル・レゾルシン・ポリホスフェートフ
ェニル・イソプロピルフェニル・ジイソプロピルフェニ
ル・レゾルシンポリホスフェートなどが挙げられる。
【0022】本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂
組成物における(C)成分としてのリン系難燃剤の配合
量は、基体のポリカーボネート樹脂100重量部に対
し、0.5〜40重量部である。リン系難燃剤の配合量
が0.5重量部未満であると樹脂組成物の難燃性が不十
分であり、40重量部を越えると樹脂組成物から得られ
る成形品の機械的物性が低下し易く、いずれも好ましく
ない。リン系難燃剤の配合量は、上記の範囲では0.8
〜30重量部が好ましく、中でも1〜25重量部が特に
好ましい。
【0023】本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂
組成物における多層構造弾性体(D){以下(D)成分
ということがある}は、衝撃向上剤として機能するもの
であり、ガラス転移点(Tg)が0℃以下である架橋さ
れたアルキル(メタ)アクリレートからなるゴム状重合
体の内核と、アルキル(メタ)アクリレートの最外殻層
とをもつ多層構造弾性体である。衝撃向上剤としては、
内核にブタジエンを成分として含有するものも知られて
いるが、これは光や熱に対して変退色してしまうので好
ましくない。外殻層がアルキル(メタ)アクリレートよ
り構成されていると、成形品は耐光性に優れたものとな
り、好ましい。
【0024】本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂
組成物における(D)成分の配合割合は、基体のポリカ
ーボネート樹脂100重量部に対して、0.1〜20重
量部の範囲で選ばれる。(D)成分が0.1重量部より
少ないと、樹脂組成物から得られる成形品の物性、特に
衝撃強度の向上がみられず、他方10重量部より多いと
強度および耐熱性が低下し、いずれも好ましくない。
(D)成分の特に好ましい配合割合は、1〜10重量部
である。
【0025】本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂
組成物におけるフィブリル形成性ポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)(E){以下(E)成分と言うこと
がある}は、成形品燃焼時の不滴下性を向上させるよう
に機能する。(E)成分のポリテトラフルオロエチレン
は、フィブリル形成能を有するもので、具体的にはAS
TM規格でタイプ3に分類されるものである。フィブリ
ル形成能を有するPTFEは、例えば、テトラフルオロ
エチレンを水性溶媒中でナトリウム、カリウムまたはア
ンモニウム−オキシスルフィドの存在下に、1〜100
psiの圧力下、温度0〜200℃、好ましくは20〜
100℃で重合させることによって得られる。フィブリ
ル形成能を有しないPTFEは、本発明の目的は達成さ
れない。このようなフィブリル形成性PTFEとして
は、分子量100万以上、好ましくは200万以上のも
のが挙げられる。
【0026】(E)成分としてのフィブリル形成性PT
FEの配合割合は、基体のポリカーボネート樹脂100
重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲で選ばれ
る。(E)成分の配合割合が0.01重量部より少ない
と、成形品燃焼時の不滴下性を付与するのには不充分で
あり、また、1重量部を超えるとポリカーボネーと樹脂
組成物の機械的性質を損なうばかりではなく、成形品表
面の肌荒れ現象が見られ、いずれも好ましくない。
(E)成分の特に好ましい配合割合は、0.03〜0.
5重量部である。
【0027】本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂
組成物には、安定剤として、下記一般式[III]で表わさ
れるオルガノフォスファイト化合物(F){以下(F)
成分と言うことがある}を配合するのが好ましい。
【0028】
【化6】
【0029】(F)成分としてのオルガノフォスファイ
ト化合物の配合割合は、基体のポリカーボネート樹脂1
00重量部に対して、0.005〜1.0重量部の範囲
で選ぶのが好ましく、中でも特に好ましいのは0.01
〜0.5重量部である。
【0030】本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂
組成物は、基体樹脂の(A)成分に、(B)成分ないし
(E)成分を、好ましくはさらに(F)成分も加えて、
各所定量配合されたものであるが、本発明の目的を損な
わない種類および量の各種樹脂添加剤を配合することが
できる。配合できる樹脂添加剤としては、離型剤、蛍光
増白剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、染料、顔料などの着色剤、無機充填剤などが挙げら
れる。特に、紫外線吸収剤および蛍光増白剤などは、本
発明に係る難燃性ポリカーボネート組成物の特性である
反射特性の長期間安定に維持する目的を達成するために
は極めて有用である。さらに、リン酸エステル、酸化チ
タン、多層構造体が含まれているので、熱安定性の目的
から亜リン酸エステル類、および、フェノール系酸化防
止剤などが有用である。
【0031】本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂
組成物は、必須成分のほか、必要に応じて上記樹脂添加
剤を秤量し、タンブラー、V型ブレンダー、バンバリー
ミキサー、混練ロール、押出機などのような従来から知
られている混合機、混練機などにより混合して製造する
ことができる。難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を製
造する際、各成分の混合方法、混合の順序は特に限定さ
れるものではないが、最も好ましい方法は、全成分をあ
らかじめ夕ンブラー、V型ブレンダーなどで混合し、押
出機によって均一に溶融混合する方法である。しかし、
成分の形態に応じて、これらの成分の中の2種または3
種をあらかじめ混合した混合物とし、この混合物に残り
の成分を混合する方法によることもできる。
【0032】このようにして得られた難燃性ポリカーボ
ネート樹脂組成物は、押出成形法、射出成形法、圧縮成
形法、ブロー成形法、ガスインジェクション成形法など
の従来から知られている成形法によって、容易に目的の
製品、部品などの成形品とすることができる。押出成形
法によって製造したシートについては、さらに真空成形
法によって目的の成形品とすることができる。得られた
成形品は、機械的強度、耐光性、耐熱性に優れると共
に、表面外観、難燃性、不滴下性、溶融時の熱安定性、
遮光性、光線反射率などの諸特性が優れていることか
ら、照明装置、液晶バックライト、電気部品などの幅広
い用途に好適に使用できる。
【0033】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に
説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の
記載例に制限されるものではない。
【0034】なお、以下の実施例と比較例において使用
した各成分は、次のとおりである。 (A)成分のポリカーボネート樹脂:ビスフェノールA
を原料としたポリカーボネート(以下「PC」と略記す
る)であって、粘度平均分子量22,000のもの(三
菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユー
ピロン)である。 (B)成分の酸化チタン:塩素法で製造され、平均粒子
径0.28μmで、無機系表面処理剤のアルミナ水和物
とケイ酸水和物で表面処理された後、有機系表面処理剤
のオルガノ水素シロキサンで表面処理されたルチル形酸
化チタン{石原産業社製、商品名:タイペークPC3
(以下PC3と略記する)}を使用した。
【0035】(C)成分のリン系難燃剤:縮合リン酸エ
ステル{旭電化工業社製、商品名:アデカスタブFP−
500(以下「FP500」と略記する)}、リン酸エ
ステル{大八化学社製、商品名:TPP(以下「TP
P」と略記する)}を使用した。なお、比較例で使用し
たものは、ハロゲン系難燃剤に、テトラブロモビスフェ
ノールAのポリカーボネートオリゴマー(ハロゲン含量
59重量%){三菱エンジニアリングプラスチックス社
製、商品名:ユーピロンFR−53(以下「FR53」
と略記する)を使用した。
【0036】(D)成分の多層構造弾性体:ポリアルキ
ルアルキレートコア/ポリメチルメタクリレートシェル
系共重合体{呉羽化学社製、商品名:EXL2315
(以下「T1」と略記)}である。比較例で使用したも
のは、コアがブタジエン重合体であり、シェルがメチル
メタクリレートからなる多層構造弾性体{呉羽化学社
製、商品名:EXL2603(以下「T2」と略記す
る)}である。 (E)成分のフィブリル形成性ポリテトラフルオロエチ
レン:ポリテトラフルオロエチレン{ダイキン化学工業
社製、商品名:ポリフロンF−201(以下「PTF
E」と略記する)}である。 (F)成分のオルガノフォスファイト化合物:ビス
(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペン
タエリスリトール−ジ−フォスファイト{旭電化社製、
商品名:アデガスタブPEP−36(以下PEPと略記
する)を使用した。
【0037】以下の実施例と比較例において得られた成
形品は、次に記載の方法によってアイゾット衝撃強度、
難燃性、光学特性(色相、光線反射率、全光線透過
率)、耐熱性、シルバー発生状況などの評価試験を行っ
た。 (a)アイゾット衝撃試験:厚さが3.2mmのノッチ付き
試験片について、ASTM D−256に準拠して測定
した。単位はKg・cm/cmである。 (b)燃焼試験:厚さが0.8mmの試験片について、UL
94規格の垂直燃焼試験を実施した。 (c)色相:射出成形法によって製造した90mm×60mm
×2mmの角型平板について、日本電色工業社製の色差計
(型式:SE−2000)によって、L値、a値および
b値を測定した。
【0038】(d)光線反射率:上記の角型平板につい
て、日立製作所製の分光光度計(積分球付属、型式:U
−3400)により、波長550nmにおける光線反射率
を測定した。単位は%である。 (e)全光線透過率:上記の角型平板について、日本電色
工業社製の色差計(型式:SE−2000)により、全
光線透過率を測定した。単位は%である。 (f)耐熱性:100℃のオーブンで500時間熱処理
し、日本電色工業社製の色差計(型式:SE−200
0)により、熱処理による△Eを測定した。 (g)シルバー発生観察:上記の角型平板について、表面
を目視観察してシルバーの発生の有無を判定した。
【0039】[実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例
4]上記(A)成分ないし(F)成分を、表−1に記載
の割合(重量部)で秤量して混合機で混合し、得られた
混合物を、30mmφの二軸押出機(日本製鋼所社製、型
式:TEX30)を使用し、バレル温度270℃として
混練押出してペレット化した。得られたペレットを12
0℃の温度で5時間乾燥した後、射出成形機(日本製鋼
所社製、型式:J−50ED)を使用し、シリンダー温
度280℃、金型温度70℃として、ASTM−D25
6規定の厚さが3.2mmのアイゾット衝撃試験片、UL
94規格の127×12.7×0.8mmの燃焼試験片、
および、90mm×60mm×2mmの角型平板を成形した。
【0040】各例で得られた試験片につき、上記の評価
方法によってアイゾット衝撃強度、難燃性、光学特性
(色相、光線反射率、全光線透過率)、耐熱性、シルバ
ー発生状況など評価試験を行った。評価試験の結果を、
表−1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】表−1より、次のことが明らかとなる。 (1)本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物
は、溶融時の熱安定性に優れ、難燃性、不滴下性に優れ
ている。 (2)本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物か
ら得られる成形品は、耐衝撃性に優れた成形品が得られ
る。 (3)本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物か
ら得られる成形品は、遮光性、光線反射率などの光学特
性に優れている。 (4)これに対し、(C)成分の代りにハロゲン系難燃剤
を配合した比較例1は、シルバーが発生し表面外観が劣
る。 (5)また(D)成分を含まない比較例3は、耐衝撃性が
大幅に劣り、(D)成分とは異なる多層構造弾性体を配
合した比較例2は耐熱性が劣る。 (6)さらに(E)成分を含まない比較例4は、難燃性、
不滴下性に劣る。
【0043】
【発明の効果】本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組
成物は、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業
上の利用価値は極めて大である。 1.本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物
は、溶融時の熱安定性に優れ、難燃性、不滴下性に優れ
ている。 2.本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物か
ら得られる成形品は、機械的強度、耐光性、耐熱性に優
れると共に、表面外観にも優れている。 3.本発明に係る難燃性ポリカーボネート樹脂組成物か
ら得られる成形品は、遮光性、光線反射率などの光学特
性に優れていることから、難燃性ポリカーボネート樹脂
組成物は照明装置、液晶バックライト、電気部品などの
製造用材料として好適に使用できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 51/06 C08L 51/06 (72)発明者 石井 一彦 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 Fターム(参考) 4J002 BD153 BG042 BG052 BN122 CG011 CG021 CG031 DE136 EW047 EW088 FB096 FD016 FD038 FD137 FD203 GP00 GQ00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカーボネート樹脂(A)100重量
    部に対し、酸化チタン(B)0.1〜50重量部、リン
    系難燃剤(C)0.5〜40重量部、ガラス転移点(T
    g)が0℃以下である架橋されたアルキル(メタ)アク
    リレートからなるゴム状重合体の内核と、アルキル(メ
    タ)アクリレートの最外殻層とをもつ多層構造弾性体
    (D)0.1〜10重量部、および、フィブリル形成性
    ポリテトラフルオロエチレン(E)0.01〜1重量
    部、それぞれ配合されてなることを特徴とする、難燃性
    ポリカーボネート樹脂組成物
  2. 【請求項2】 リン系難燃剤(D)が、下記一般式
    [I]または一般式[II]で表わされるものである、請
    求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。 【化1】 【化2】
  3. 【請求項3】 ポリカーボネート樹脂(A)100重量
    部に対し、下記一般式[III]で表わされるオルガノフォ
    スファイト化合物を0.005〜1.0重量部が配合さ
    れてなることを特徴とする、請求項1または請求項2に
    記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。 【化3】
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