JP2000048929A - サージアブソーバ及びその製造方法 - Google Patents

サージアブソーバ及びその製造方法

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JP2000048929A
JP2000048929A JP10212190A JP21219098A JP2000048929A JP 2000048929 A JP2000048929 A JP 2000048929A JP 10212190 A JP10212190 A JP 10212190A JP 21219098 A JP21219098 A JP 21219098A JP 2000048929 A JP2000048929 A JP 2000048929A
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film
conductive
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insulating spacer
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JP10212190A
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Takehiro Takojima
武広 蛸島
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 応答速度が速く、続流を生じず、動作開始電
圧が低く、大電流を吸収する。部品点数が少なく、多く
の工程を要せず安価に製造できる。 【解決手段】 一対の端子電極となる2つの導電性素体
11,12がこれらの導電性素体の全周囲に配置された
絶縁スペーサ14を間に挟んで密閉空間15を有するよ
うに接着される。この密閉空間15に臨む一方の導電性
素体11の表面に複数のシリコンナノチューブ16cや
カーボンナノチューブ17cのような導電性線状体が立
設される。これらの導電性線状体の先端と密閉空間15
に臨む他方の導電性素体12の表面との間にマイクロギ
ャップgが形成され、密閉空間15が真空である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は誘導雷や誘導サージ
に起因した電流やノイズを吸収して電気機器、電子機器
又はこれらの回路を保護するサージアブソーバ及びその
製造方法に関する。更に詳しくはマイクロギャップ式の
サージアブソーバ及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、サージアブソーバとして、バリス
タ、シリコンダイオード、放電型のガスチューブアレス
タ、マイクロギャップ式サージアブソーバなどが知られ
ている。バリスタはZnO等の粒界にBi23等を析出
させることにより形成され、この構造により電圧−電流
特性に非直線性を作り出してサージを吸収する。シリコ
ンダイオードはpn接合で形成されるダイオード特性を
利用して小さな電流を吸収する。放電型のガスチューブ
アレスタはガラス管、セラミック管等の中に間隔をあけ
て一対の電極を不活性ガスとともにを封入し、アーク電
流により大きな電流を吸収する。更に放電型のマイクロ
ギャップ式サージアブソーバは導電性皮膜で被包した円
柱状のセラミック素体に周方向に数10μmのマイクロ
ギャップを形成し、このセラミック素体の両端にキャッ
プ電極を冠着し、これらのキャップ電極をそれぞれ一端
にリード線を溶接した一対のスラグで挟持し、セラミッ
ク素体を不活性ガスとともにガラス管に封入して形成さ
れる(例えば、特開昭55−128283)。このマイ
クロギャップ式サージアブソーバでは電圧が印加される
と導電性皮膜を通じて強い電界集中をマイクロギャップ
に生じることにより初期放電を発生する。この初期放電
時に内部の不活性ガスが電離されて電子と陽イオンを発
生するが、ギャップの間隔が極めて狭いため火花放電遅
れが少ない。電流が少ないときにはギャップと陰極側の
キャップ電極間の沿面放電(グロー放電)となり、電流
が大きくなるとキャップ電極とキャップ電極との間の主
放電(アーク放電)に移行して過電圧を吸収する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】サージアブソーバがバ
リスタである場合には、その容量値が大きいため、クロ
ック周波数の速い近年のコンピュータではその信号の伝
達を妨げる問題点があった。またシリコンサージアブソ
ーバの場合には、吸収できる電流値が小さいために使用
できる範囲が限定される不具合があった。また放電型の
ガスチューブアレスタの場合には、放電後の電圧−電流
特性によってインピーダンスがある値以下になると、サ
ージやノイズが除去された後でも放電が持続する、いわ
ゆる「続流」を起す欠点があった。更に放電型のマイク
ロギャップ式サージアブソーバの場合には、一対のキャ
ップ電極の間隔が大きいことから上記続流が起きにくい
利点があるが、部品点数が多い上、導電性皮膜の形成、
キャップ電極の冠着、マイクロギャップの形成、ガラス
管の封止などの多くの工程を要する不具合があった。本
発明の目的は、応答速度が速く、続流を生じず、動作開
始電圧が低く、大電流を吸収するサージアブソーバ及び
その製造方法を提供することにある。本発明の別の目的
は、部品点数が少なく、多くの工程を要せず、安価にサ
ージアブソーバを製造する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
図1に示すように一対の端子電極となる2つの導電性素
体11,12がこれらの導電性素体の全周囲に配置され
た絶縁スペーサ14を間に挟んで密閉空間15を有する
ように接着され、この密閉空間15に臨む一方の導電性
素体11の表面に複数の導電性線状体16cが立設さ
れ、これらの導電性線状体16cの先端と密閉空間15
に臨む他方の導電性素体12の表面との間にマイクロギ
ャップgが形成され、密閉空間15が真空であることを
特徴とするサージアブソーバ10である。このサージア
ブソーバ10は一方向しか電流を流さないダイオード構
造をなす。即ち、使用に際しては導電性素体11を保護
しようとする電子機器の前段の回路に接続し、導電性素
体12を接地側に接続する。導電性素体11,12の間
に異常電圧が印加されると、導電性線状体16cより導
電性素体12に向けて電界放出現象が起こる。この電界
放出は電子のトンネル現象を利用しているため少なくと
も1ナノ秒で応答する。異常電圧がこのサージアブソー
バ10の動作開始電圧未満に低下すると、電界放出は停
止し、続流は生じない。
【0005】請求項2に係る発明は、請求項1に係る発
明であって、一方の導電性素体11がシリコンからな
り、絶縁スペーサ14がSiO2、Si34又はAl2
3からなり、他方の導電性素体12がCu又はNiから
なるサージアブソーバである。上記材料を用いることに
より、容易に本発明のサージアブソーバを製造すること
ができる。
【0006】請求項3に係る発明は、請求項1又は2に
係る発明であって、導電性線状体がシリコンナノチュー
ブ16c又はカーボンナノチューブ17cにより構成さ
れたサージアブソーバである。導電性線状体を極く微細
なシリコンナノチューブ16c又はカーボンナノチュー
ブ17cで構成し、これを電子放出源とすることによ
り、極めて小さな電圧で放電し、動作開始電圧を数十V
以下にすることができる。
【0007】請求項4に係る発明は、請求項3に係る発
明であって、シリコンナノチューブ又はカーボンナノチ
ューブの先端表面にダイヤモンド成分を有する膜厚がナ
ノメートルオーダのカーボン膜が形成されたサージアブ
ソーバである。ダイヤモンドの仕事関数は物質の中で最
も小さいため、更に電子が飛出し易くなる。ナノメート
ルオーダのダイヤモンドはそれぞれ量子化されていて、
シリコンナノチューブ又はカーボンナノチューブの先端
表面にこれらが存在するため、一種の共鳴状態になり、
見掛け上非常に低い仕事関数となる。数値として0.1
〜0.3eVが得られる。
【0008】請求項5に係る発明は、一方の導電性素体
であるシリコン基板11の表面の全周囲にSiO2から
なる絶縁スペーサ14を設ける工程と、このシリコン基
板11の表面にSiO2膜13を形成する工程と、この
SiO2膜13をエッチングにより局部的に除去してシ
リコン基板11が露出した複数の孔13aを形成する工
程と、孔内で露出したシリコン基板11にAu粒子16
aを蒸着する工程と、シリコン基板11の表面に化学気
相成長法でシリコンを含む化合物ガスを供給して孔内の
基板表面にAu−Si合金球16bを形成する工程と、
化学気相成長法で更にシリコンを含む化合物ガスを供給
することによりAu−Si合金球16bから絶縁スペー
サ14の高さより短いシリコンナノチューブ16cを成
長させる工程と、シリコンナノチューブ16cの先端表
面にダイヤモンド成分を有するカーボン膜を形成する工
程と、真空中で絶縁スペーサ14上に他方の導電性素体
であるCu又はNiからなる金属板12を接着してシリ
コンナノチューブ16cを絶縁スペーサ14内に封止す
る工程とを備えたサージアブソーバの製造方法である。
【0009】請求項6に係る発明は、一方の導電性素体
であるシリコン基板11の表面の全周囲にSiO2から
なる絶縁スペーサ14を設ける工程と、このシリコン基
板11の表面に複数の島状のNi膜17a、Co膜又は
Fe膜を形成する工程と、これらの島状のNi膜17
a、Co膜又はFe膜をエッチングによりその周囲を除
去して基板表面に複数のNi凸部17b、Co凸部又は
Fe凸部を形成する工程と、化学気相成長法で有機化合
物を供給することによりNi凸部17b、Co凸部又は
Fe凸部から絶縁スペーサ14の高さより短いカーボン
ナノチューブ17cを成長させる工程と、このカーボン
ナノチューブ17cの先端表面にダイヤモンド成分を有
するカーボン膜を形成する工程と、真空中で絶縁スペー
サ14上に他方の導電性素体であるCu又はNiからな
る金属板12を接着してカーボンナノチューブ17cを
絶縁スペーサ14内に封止する工程とを備えたサージア
ブソーバの製造方法である。請求項4及び5に係る発明
では、部品点数を少なくして、低コストでサージアブソ
ーバを製造することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】次に本発明の第1の実施の形態を
図面に基づいて詳しく説明する。この実施の形態では、
導電性線状体としてシリコンナノチューブを用いてい
る。図1及び図3に示すように、一対の端子電極となる
2つの導電性素体11,12としては、抵抗値が0.0
1〜0.1Ω・cmのシリコン基板、或いはCu又はN
i等の電気伝導と熱伝導が良好な金属板が挙げられる。
2つの導電性素体をともにシリコンウェーハにより形成
してもよいし、金属板により形成してもよい。加工のし
易さから導電性線状体が立設する一方の導電性素体には
シリコン基板を、他方の導電性素体には金属板又はシリ
コン基板を用いることができる。シリコン基板の方が金
属板より平坦度に優れる。これらの導電性素体11,1
2は厚さ10〜1000μmの範囲から選ばれる。一対
の端子電極の間に介装される絶縁スペーサ14として
は、一方の導電性素体11がシリコン基板であれば絶縁
耐圧が高いSiO2が最適である。このSiO2はシリコ
ン基板を陽極酸化又は熱酸化したり、或いは化学気相成
長(以下、CVDという)法により形成することができ
る。絶縁スペーサの材質はこのSiO2に限らず絶縁耐
圧が高いSi34、Al23でもよい。Si34は誘電
率が小さいためSiO2に次いで好ましい。SiO2をC
VD法で形成する場合には、例えばSiH2Cl2又はS
iH4とO2又はNOガスを用い、Si34をCVD法で
形成する場合には、例えばSiH2Cl2又はSiH4
NH3ガスを用いて形成する。
【0011】図4(a)〜(c)に示すように、この絶
縁スペーサ14はシリコン基板11のシリコンナノチュ
ーブを立設する部分をフォトレジストのようなレジスト
材料18で覆っておいて選択的に陽極酸化、熱酸化又は
CVD法でSiO2を堆積することにより、厚さ0.6
〜12μmの範囲で形成される。この絶縁スペーサ14
の厚さはシリコンナノチューブ16cの高さと、要求さ
れるマイクロギャップg(図1)の大きさにより決めら
れる。このマイクロギャップはサージアブソーバに要求
される特性に応じて0.1〜10μm程度の大きさを有
する。絶縁スペーサ14は封止空間を作り出すために、
素体単位でシリコン基板11の全周囲に設けられる。図
4(d)及び(e)に示すように、レジスト材料18を
除去して露出したシリコン基板11の表面には基板の熱
酸化又はCVD法により厚さ0.1〜1μmのSiO2
膜13を形成し、このSiO2膜13をパターニングし
た後、エッチャントとしてフッ化アンモニウムを用いて
ウエットエッチングし、図3に示すような直径0.1〜
2μmの複数の円孔13aを形成する。
【0012】次に導電性線状体であるシリコンナノチュ
ーブの成長機構について説明する。この成長機構は気相
(Vapor phase)−液相(Liquid phase)−固相(Solid
phase)が同時に関与するもので、VLS法とも言わ
れ、シリコンウイスカーにおいて発見された。図2
(a)〜(c)及び図4(f)に示すように、円孔13
a内で露出したシリコン基板11の表面にスパッタリン
グなどによりAuを2〜10nmの厚さで蒸着する。C
VD装置にシリコン基板11を入れ、基板温度を650
〜800℃程度に加熱すると、1つの孔13aに対して
1個のAu粒子16aが生成し、この粒子は溶けてシリ
コン基板11と反応してAu−Si合金球16bの液滴
となる。ここでSiH4、SiHCl3、SiH2Cl2
はSi26などのシリコンを含む化合物ガスを供給する
と、この液滴の中にシリコンを含む化合物ガスが溶け込
み、シリコンの過飽和な分だけシリコン成分を析出して
液滴の径に近い太さのチューブ16cを成長させる。円
孔の密度に比例して約2.5×109〜6.3×106
/cm2の密度でシリコンナノチューブがシリコン基板
上に立設する。SiO2膜13上にはシリコンナノチュ
ーブは成長せず、孔13a内のみチューブ16cが成長
する。ここでシリコンナノチューブ16cは絶縁スペー
サ14の高さより低くなるように短く成長させる。Au
の膜厚と孔13aの面積によってAu−Si合金球16
b(液滴)を形成するに必要なAuの量が決まり、この
液滴の大きさによりシリコンナノチューブ16cの太さ
(直径)が決まる。シリコンナノチューブ16cは直径
4〜400nmで長さ0.5〜2μmの範囲で形成され
る。具体的には、Auの膜厚が5nmで孔13aの直径
が2μmの場合には直径が約400nmで長さが約2μ
mのチューブが、またAuの膜厚が3nmで孔13aの
直径が0.1μmの場合には直径が約20nmで長さが
約1μmのチューブがそれぞれ成長する。
【0013】シリコンナノチューブ16cの成長が終了
した段階で、CVD装置の原料ガスをシリコンを含む化
合物ガスからベンゼン等の炭化水素系のガスに切換えて
シリコンナノチューブ16cの表面にカーボン膜(図示
せず)を形成する。このときSiO2膜13上にもカー
ボン膜は成長するが、このカーボンは炭素原子間でsp
2構造をなすため、DCバイアス値を適切に選ぶことで
エッチングにより除去することができる。シリコンナノ
チューブ16c上のカーボン膜は単分子層のSiCを介
してSiC膜になる。更に適切なDCバイアス値とH2
ラジカルの存在下ではこのSiC膜の上にダイヤモンド
成分であるsp3を選択的に成長させたカーボン膜を形
成する。このダイヤモンド成分を有するカーボン膜は上
記CVD法の代わりに、グラファイトターゲットをスパ
ッタリングすることにより形成してもよい。導電性線状
体16をシリコン基板11に立設した後、真空の雰囲気
下で絶縁スペーサ14の上に他方の導電性素体12であ
るCu又はNiなどの金属板を載せ、プラズマ又は水素
イオンを用いて活性化すると、プラズマ活性接合又はイ
オン活性接合により絶縁スペーサ14と金属板が接着す
る。補助的に絶縁スペーサ14の上面に1〜2μmの厚
さで紫外線硬化接着剤を塗布しておき、金属板を載せた
後、紫外線を照射することにより金属板を接着すること
もできる。これによりシリコンナノチューブ16cは絶
縁スペーサ14内の真空中に封止される。図1、図3及
び図4では単一のサージアブソーバを示したが、実際に
はシリコン基板上に多数のサージアブソーバが作製され
るため、最終工程でシリコン基板及び金属板をサージア
ブソーバ毎にレーザなどを用いて切断する。本発明のサ
ージアブソーバは、たて1〜20mm、よこ1〜20m
m、高さ0.5〜2mm程度の寸法を有する。
【0014】次に本発明の第2の実施の形態を図5を参
照して説明する。この実施の形態では、導電性線状体と
してカーボンナノチューブを用いている。一方の導電性
素体11の上に絶縁スペーサ14を形成する方法は第1
の実施の形態と同様である。図5(a)〜(d)に示す
ように、露出したシリコン基板11の表面にはNi、C
o又はFeをスパッタリングなどにより3〜10nmの
厚さで蒸着した後、650〜800℃に保ちながら不活
性ガス雰囲気中で熱処理すると、島状のNi膜17a、
Co膜又はFe膜が形成される。次いで島状のNi膜1
7a、Co膜又はFe膜をドライエッチングによりその
周囲を除去して基板表面に複数のNi凸部17b、Co
凸部又はFe凸部を形成した後、CVD法でベンゼンの
ような有機化合物を供給することによりNi凸部17
b、Co凸部又はFe凸部からカーボンナノチューブ1
7cを成長させる。ここでNi凸部等に正確なエッジを
付けると、このエッジからナノチューブは基板に対して
垂直に成長する。凸部に形成しない場合には、ナノチュ
ーブの成長方向は基板に平行であってしかもランダムで
あり、基板に立設しない。このカーボンナノチューブの
長さは、前述したシリコンナノチューブの長さと同様に
決められる。Ni凸部の径が15〜60nmのとき、こ
のNi凸部の径と同じ直径約15〜60nmで長さが約
0.5〜1μmのカーボンナノチューブが基板に対して
垂直に成長する。Ni凸部等のの密度に比例して約1.
1×1011〜6.9×109本/cm2の密度でカーボン
ナノチューブがシリコン基板上に立設する。このカーボ
ンナノチューブのダイヤモンド化及び他方の導電性素体
による真空中の封止は第1の実施の形態と同様であるの
で、繰返しての説明を省略する。
【0015】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。 <実施例1>この例では導電性線状体がシリコンナノチ
ューブである。先ず結晶方位が(111)の厚さ350
μmのシリコンウェーハの表面を陽極酸化して厚さ2μ
mのSiO2からなる絶縁スペーサをウェーハ上に設け
た。次いで絶縁スペーサ内部のウェーハ表面に熱酸化に
より厚さ0.1μmのSiO2膜を形成した。このSi
2膜をエッチングして直径0.1μmの円形の孔を多
数形成した。次にウェーハ上にAuを3nmの厚さで蒸
着した後、700℃に保ちながら30分間熱処理を行っ
た。エッチングにより形成された1つの孔に対して1個
の液状のAu−Si合金球が形成された。このAu−S
i合金球にSiH4ガスを30分間吹付けると、シリコ
ンがAu−Si合金球に溶け込み、過飽和の分だけシリ
コンナノチューブとして成長した。この例では直径約2
0nmで長さ約1μmのシリコンナノチューブをシリコ
ンウェーハに対して垂直に約2.5×109本/cm2
密度で成長させた。SiH4ガスをベンゼンガスに切換
えることにより、シリコンナノチューブの先端表面にダ
イヤモンド成分を有する膜厚がナノメートルオーダのカ
ーボン膜を形成した。シリコンナノチューブが立設した
シリコンウェーハを真空の雰囲気下におき、絶縁スペー
サの上に厚さ500μmのCu板を載せ、プラズマ活性
接合により絶縁スペーサにCu板を接着した。これによ
りシリコンナノチューブを絶縁スペーサ内の真空中に封
止した。この接合体を封止単位毎にレーザにより切断し
てたて3mm、よこ3mm、高さ1mmのサージアブソ
ーバを得た。またこのサージアブソーバのマイクロギャ
ップは1μmであった。
【0016】<実施例2>この例では導電性線状体がカ
ーボンナノチューブである。実施例1と同じシリコンウ
ェーハ上に実施例1と同じ絶縁スペーサを設けた後、絶
縁スペーサ内部のウェーハ表面にスパッタリングにより
厚さ5nmのNi膜を蒸着した。このNi膜を形成した
シリコンウェーハを700℃に保ちながらHe雰囲気中
で30分間熱処理すると、膜状のNiが多数の島状にな
った。この島状のNiを周囲をドライエッチングで選択
的に削って、Ni凸部を形成した。CVD装置にこのシ
リコンウェーハを入れ、原料ガスとしてベンゼンガスを
1時間供給することによりカーボンナノチューブを約
1.1×1011本/cm2の密度で成長させた。この例
では直径約15nmで長さ約1μmのカーボンナノチュ
ーブがシリコンウェーハに対して垂直に成長した。以
下、実施例1と同様にCu板を絶縁スペーサに接着し、
カーボンナノチューブを絶縁スペーサ内の真空中に封止
した。このウェーハとCu板の接合体を封止単位毎にレ
ーザにより切断してたて3mm、よこ3mm、高さ1m
mのサージアブソーバを得た。またこのサージアブソー
バのマイクロギャップは1μmであった。
【0017】<評価>実施例1と実施例2のサージアブ
ソーバについて、10kVで500pFのコンデンサに
蓄えられた電荷を500Ωの抵抗を介して印加した時の
応答速度、続流の有無、動作開始電圧、及び吸収できる
電流値(電流密度)を測定した。その結果を表1に示
す。
【0018】
【表1】
【0019】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のサージアブ
ソーバは、電界放出でサージを吸収することにより、シ
リコンダイオードと同等かそれ以上の高速で応答する。
また電界放出の原理上、しきい値となる電圧以上になら
なければ電界放出は起こらず、サージが吸収されて電圧
がしきい値未満になれば、電界放出は停止し、従来の放
電型のガスチューブアレスタと異なり、続流は生じな
い。シリコンナノチューブやカーボンナノチューブなど
の極微細の導電性線状体を電子放出源とするため、10
V程度の極めて低い電圧を動作開始電圧とすることがで
きる。本発明のサージアブソーバの吸収できる電流値
は、電界放出素子の密度に比例するので、自己組織化の
手法を用いて電界放出素子を109〜1012本/cm2
密度で形成すれば、従来の放電型のサージアブソーバと
同等の104〜106A/cm2の電流密度が得られる。
更に本発明のサージアブソーバは、部品点数が少なく、
安価に製造できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るサージアブソーバの断
面構成図。
【図2】シリコンナノチューブの成長機構を示す断面
図。
【図3】第1の実施の形態に係るサージアブソーバの斜
視図。
【図4】第1の実施の形態に係るサージアブソーバを製
造するまでの断面図。
【図5】第2の実施の形態に係るサージアブソーバを製
造するまでの断面図。
【符号の説明】
10 サージアブソーバ 11 一方の導電性素体(シリコン基板) 12 他方の導電性素体(金属板) 13 SiO2膜 13a 孔 14 絶縁スペーサ 15 密閉空間 16c シリコンナノチューブ 17c カーボンナノチューブ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の端子電極となる2つの導電性素体
    (11,12)が前記導電性素体(11,12)の全周囲に配置された
    絶縁スペーサ(14)を間に挟んで密閉空間(15)を有するよ
    うに接着され、 前記密閉空間(15)に臨む一方の導電性素体(11)の表面に
    複数の電界放出用の導電性線状体(16c,17c)が立設さ
    れ、 前記導電性線状体(16)の先端と前記密閉空間(15)に臨む
    他方の導電性素体(12)の表面との間にマイクロギャップ
    (g)が形成され、 前記密閉空間(15)が真空であることを特徴とするサージ
    アブソーバ。
  2. 【請求項2】 一方の導電性素体(11)がシリコンからな
    り、絶縁スペーサ(14)がSiO2、Si34又はAl2
    3からなり、他方の導電性素体(12)がCu又はNiから
    なる請求項1記載のサージアブソーバ。
  3. 【請求項3】 導電性線状体がシリコンナノチューブ(1
    6c)又はカーボンナノチューブ(17c)により構成された請
    求項1又は2記載のサージアブソーバ。
  4. 【請求項4】 シリコンナノチューブ(16c)又はカーボ
    ンナノチューブ(17c)の先端表面にダイヤモンド成分を
    有する膜厚がナノメートルオーダのカーボン膜が形成さ
    れた請求項3記載のサージアブソーバ。
  5. 【請求項5】 一方の導電性素体であるシリコン基板(1
    1)の表面の全周囲にSiO2からなる絶縁スペーサ(14)
    を設ける工程と、 前記シリコン基板(11)の表面にSiO2膜(13)を形成す
    る工程と、 前記SiO2膜(13)をエッチングにより局部的に除去し
    てシリコン基板(11)が露出した複数の孔(13a)を形成す
    る工程と、 前記孔内で露出したシリコン基板(11)にAu粒子(16a)
    を蒸着する工程と、 前記シリコン基板(11)の表面に化学気相成長法でシリコ
    ンを含む化合物ガスを供給して前記孔内の基板表面に液
    状のAu−Si合金球(16b)を形成する工程と、 化学気相成長法で更にシリコンを含む化合物ガスを供給
    することにより前記Au−Si合金球(16b)から前記絶
    縁スペーサ(14)の高さより短いシリコンナノチューブ(1
    6c)を成長させる工程と、 前記シリコンナノチューブ(16c)の先端表面にダイヤモ
    ンド成分を有するカーボン膜を形成する工程と、 真空中で前記絶縁スペーサ(14)上に他方の導電性素体で
    あるCu又はNiからなる金属板(12)を接着して前記シ
    リコンナノチューブ(16c)を前記絶縁スペーサ(14)内に
    封止する工程とを備えたサージアブソーバの製造方法。
  6. 【請求項6】 一方の導電性素体であるシリコン基板(1
    1)の表面の全周囲にSiO2からなる絶縁スペーサ(14)
    を設ける工程と、 前記シリコン基板(11)の表面に複数の島状のNi膜(17
    a)、Co膜又はFe膜を形成する工程と、 前記島状のNi膜(17a)、Co膜又はFe膜をエッチン
    グによりその周囲を除去して基板表面に複数のNi凸部
    (17b)、Co凸部又はFe凸部を形成する工程と、 化学気相成長法で有機化合物を供給することにより前記
    Ni凸部(17b)、Co凸部又はFe凸部から前記絶縁ス
    ペーサ(14)の高さより短いカーボンナノチューブ(17c)
    を成長させる工程と、 前記カーボンナノチューブ(17c)の先端表面にダイヤモ
    ンド成分を有するカーボン膜を形成する工程と、 真空中で前記絶縁スペーサ(14)上に他方の導電性素体で
    あるCu又はNiからなる金属板(12)を接着して前記カ
    ーボンナノチューブ(17c)を前記絶縁スペーサ(14)内に
    封止する工程とを備えたサージアブソーバの製造方法。
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