JP2000038342A - 褥瘡・損傷皮膚修復用製剤 - Google Patents

褥瘡・損傷皮膚修復用製剤

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JP2000038342A
JP2000038342A JP13625599A JP13625599A JP2000038342A JP 2000038342 A JP2000038342 A JP 2000038342A JP 13625599 A JP13625599 A JP 13625599A JP 13625599 A JP13625599 A JP 13625599A JP 2000038342 A JP2000038342 A JP 2000038342A
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salts
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JP13625599A
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Kenji Hirata
健二 平田
Yutaka Kato
裕 加藤
Aki Nishimura
亜希 西村
Junya Yamashita
順也 山下
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Kyowa Pharmaceutical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kyowa Pharmaceutical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保形剤や緩衝剤を用いることなく、白糖及び
ポビドンヨードという有効成分が長期間の安定性を有
し、しかも伸展性があって使用感に優れる軟膏状の褥瘡
・損傷皮膚修復用製剤を提供する。 【解決手段】 糖50〜90重量%、ポビドンヨード0.5〜1
0重量%、水1〜20重量%を含有する褥瘡・損傷皮膚修
復用製剤において、安定化剤として、アルギン酸又は下
式で表される多糖類誘導体のリチウム塩、ナトリウム
塩、マグネシウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛
塩及びアンモニウム塩よりなる群から選択される少なく
とも1種を0.5〜5.0重量%含有する。 【化1】 (式中、R1、R2、R3は同一又は異なっていてもよ
く、少なくとも1種がカルボキシメチル基であり、残り
は水素原子、メチル基又はエチル基であり、ピラノース
同士の結合はα−1,4結合でも、β−1,4結合でもよい)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、褥瘡や損傷皮膚の
修復に使用される安定な外用医薬製剤に関するもので、
更に詳しくは、糖とポビドンヨードを有効成分として含
有する軟膏状の褥瘡・損傷皮膚修復用製剤に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、ショ糖類は創傷治癒作用を有すること、ポビドンヨ
ードは、殺菌作用を有することが一般に知られており、
イソジンゲル(明治製菓株式会社の商品名)などのポビ
ドンヨード薬剤にグラニュー糖を混合して種々の損傷皮
膚に塗布したときには、優れた皮膚修復効果が得られた
ことが報告されている〔病院薬学、第10巻、第5号3
15〜322(1984)〕。しかし、白糖は酸性で加
水分解して次第に転化糖(ブドウ糖1分子と果糖1分
子)に変化し、ポビドンヨードは転化糖の還元作用で分
解するために、白糖及びポビドンヨードの有効性を長期
間維持できる製剤が求められていた。
【0003】長期間安定に保存できるポビドンヨード製
剤として、特公平1−32210号公報に、糖50〜9
0重量%、ポビドンヨード0.5〜10重量%、水1〜
20重量%、及び製剤のpHを3.5〜6に調整する緩
衝剤を含有するもの、更にこれらに多糖類又はその誘導
体から選ばれる保形剤を0.1〜5重量%含有する損傷
皮膚修復用製剤も報告されている。しかし、当該公報に
記載された製剤は、日常の治療に使用する際、ガーゼ等
への伸展性が十分でなく、またそれを損傷皮膚面に押し
当てられた患者にとっては接触患部に異物感を覚えるの
が現状である。従って、治療の現場においては、より容
易にガーゼ等に伸展することができ、これを患者の患部
に押し当てても異物感のない使いやすい製剤が望まれて
いる。
【0004】一方、伸展性の問題を回避し得る解決策と
して、ポビドンヨード製剤の粉末化を図った技術、即ち
糖50〜90重量%、ポビドンヨード0.5〜10重量
%、並びにポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、ポリアクリル酸、又はその塩、プルラン、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース及びカルボキメチルセルロース又はその塩から選ば
れる水溶性高分子担体よりなる損傷皮膚修復用粉末製剤
が提案されている(特開平8−12582号公報)。
【0005】粉末製剤は、散布投与できるので伸展性の
問題が回避でき、また患部に直接塗布せずに用いること
ができるので、患部の傷み感が少なくて済むという効果
がある。しかし、このような粉末製剤の安定性及び治療
効果の確実性は確認されていない。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、白糖及びポビ
ドンヨードという有効成分が長期間の安定性を有し、し
かも伸展性があって使用感に優れる軟膏状の褥瘡・損傷
皮膚修復用製剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、保形剤や
緩衝剤を用いることなく、白糖及びポビドンヨードとい
う有効成分を長期間安定に保持できる安定化剤を鋭意検
討した結果、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明の褥瘡・損傷皮膚修復用
製剤は、糖50〜90重量%、ポビドンヨード0.5〜
10重量%、水1〜20重量%を含有する褥瘡・損傷皮
膚修復用製剤において、安定化剤として、アルギン酸の
リチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カリウム
塩、カルシウム塩、亜鉛塩及びアンモニウム塩よりなる
群から選択される少なくとも1種、好ましくはアルギン
酸の1価の塩を0.5〜5.0重量%含有することを特
徴とする。あるいは、安定化剤として、下式で表される
多糖類誘導体のリチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウ
ム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、及びアンモ
ニウム塩よりなる群から選択される少なくとも1種、好
ましくは当該多糖類誘導体の1価の塩を0.5〜5.0
重量%含有することを特徴とする。
【0009】
【化3】
【0010】(式中、R1、R2、R3は同一又は異なっ
ていてもよく、少なくとも1種がカルボキシメチル基で
あり、残りは水素原子、メチル基、又はエチル基であ
り、ピラノース同士の結合はα−1,4結合でも、β−
1,4結合でもよく、nは自然数である) 本発明の褥瘡・損傷皮膚修復用製剤は、金属の水酸化物
を含有しないことが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に使用される糖は、非還元
糖であり、例えば、スクロース、グルコース、蜂蜜、糖
蜜等が挙げられ、その中でも日本薬局方記載の白糖、精
製白糖が好ましく、特に精製白糖が好ましい。製剤にお
ける糖の含有率は、50〜90重量%、好ましくは60
〜80重量%である。
【0012】ポビドンヨードとは、1−ビニル−2−ピ
ロリドンの重合物とヨウ素の複合体であり、日本薬局方
に記載されたものを用いればよい。製剤全体に対するポ
ビドンヨードの含有率は、殺菌力を発現できる最低量の
0.5重量%から10重量%である。
【0013】水は、1〜20重量%配合される。水をこ
の程度の量を含有させることにより軟膏状の製剤とする
ことができる。
【0014】本発明に用いられる安定化剤とは、少量の
添加量で製剤全体を至適pHである3.5〜6.0とす
ることができるように、pH5.5以上の条件を満足す
る安定化剤のうち、白糖及び有効ヨウ素の安定性が従来
の製剤と同程度又はそれ以上発揮できるものである。
【0015】このような条件を満足できる安定化剤は、
アルギン酸の塩、又は下式で表される多糖類誘導体の塩
である。
【0016】
【化4】
【0017】(式中、R1、R2、R3は、の少なくとも
1種が−CH2COOHであり、残りは水素原子、メチ
ル基、又はエチル基であり、ピラノースの結合はα−
1,4結合でもβ−1,4結合でもよく、nは自然数で
ある) ここでアルギン酸とは、主として、β−1,4−D−マ
ンヌロン酸、α−1,4−L−グルロン酸の2種類のウ
ロン酸からなる直鎖状多糖で、マンヌロン酸のみが1,
4−グリコシド結合してなるブロック(Mブロック)、
グルロン酸のみがが1,4−グリコシド結合してなるブ
ロック(Gブロック)、マンヌロン酸とグルロン酸がラ
ンダムに配列してなるブロック(ランダムブロック)の
いずれが共存していてもよいブロックヘテロポリマー
で、MブロックとGブロックの割合、ランダムブロック
におけるマンヌロン酸とグルロン酸の割合は、特に限定
しない。従って、種々の褐藻類から抽出されるアルギン
酸が該当する。また、アルギン酸の重合度、分子量も特
に限定しないが、分子量が5万〜20万のアルギン酸が
一般的である。
【0018】本発明に用いられるアルギン酸塩は、この
ようなアルギン酸の塩で、マンヌロン酸及びグルロン酸
の分子中のカルボキシル基が塩となったもので、アルギ
ン酸リチウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリ
ウム等の一価の金属塩;アルギン酸カルシウム、アルギ
ン酸マグネシウム、アルギン酸亜鉛等の2価の金属塩;
アルギン酸アンモニウムなどが挙げられ、これらのう
ち、アルギン酸の1価の塩であるアルギン酸リチウム、
アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン
酸アンモニウムが好ましく用いられ、より好ましくはア
ルギン酸ナトリウムが用いられる。1価の塩の方が、安
定化剤としての安定化効果が高いからである。
【0019】多糖類誘導体は、グルコピラノースのβ1
→4グルコシド結合による鎖状高分子としてのセルロー
ス誘導体、又はグルコピラノースのα1→4グルコシド
結合による鎖状高分子としてのデンプン誘導体の水酸基
の水素の少なくとも1つがカルボキシメチル基であり、
残りは水素原子(水酸基が置換されないままの状態に該
当)又はメチル基、エチル基のものをいう。カルボキシ
メチル基の置換度、メチル基又はエチル基の置換度は特
に限定ない。このような多糖類誘導体としては、具体的
には、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチル
エチルセルロース等のセルロース誘導体;カルボキメチ
ルスターチ等のデンプン誘導体が挙げられる。これらの
多糖類誘導体の重合度(n)、分子量は特に限定しない
が、一般に重合度100〜2000程度、好ましくは1
00〜1000程度、より好ましくは300〜700程
度である。
【0020】このような多糖類誘導体の塩とは、カルボ
キシメチル基におけるカルボキシル部分がリチウム塩、
ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウ
ム塩、亜鉛塩、及びアンモニウム塩となったもので、具
体的には、カルボキシメチルセルロースナトリウム(C
MC−Na)、カルボキシメチルセルロースカリウム
(CMC−K)、カルボキシメチルセルロースカルシウ
ム(CMC−Ca)、カルボキシメチルセルロースアン
モニウム、カルボキシメチルエチルセルロースナトリウ
ム、カルボキシメチルエチルセルロースカリウム、カル
ボキシメチルエチルセルロースカルシウム、カルボキシ
メチルスターチナトリウム(CMS−Na)、カルボキ
シメチルスターチカリウム、カルボキシメチルスターチ
アンモニウム、カルボキシメチルスターチカルシウムな
どが挙げられる。これらのうち、1価の塩であるリチウ
ム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が好
ましく、より好ましくはナトリウム塩である。1価の
塩、特にナトリウム塩が安定化剤としての安定化効果が
高いからである。
【0021】これらの安定化剤は、1種又は2種以上混
合して用いてもよいが、1種類だけ単独で用いることが
好ましい。これらのアルギン酸塩は、それ自体止血効果
を有し、肉芽再形成作用を有しているので、かかる意味
からも褥瘡・損傷皮膚修復用製剤としての損傷皮膚修復
効果を期待することができ、さらにこれらのアルギン酸
塩は吸水性を有しているので、褥瘡からの滲出液を吸水
して、白糖及びポビドンヨードによる皮膚修復効果の促
進を期待できるからである。
【0022】以上のような安定化剤は、製剤中、0.5
重量%以上、好ましくは1.0重量%以上、より好まし
くは1.5重量%以上で、5.0重量%以下、好ましく
は2.5重量%以下含有される。0.5重量%未満では
安定化剤としての効果が十分ではないために、製剤にお
ける有効ヨウ素又は白糖の安定性が得られないからであ
る。一方、5重量%を超えると、製剤が硬くなって、伸
展性が低下するからである。
【0023】本発明の製剤には、上記必須成分のほか
に、必要に応じて、通常使用されている賦形剤、ポビド
ンヨードの可溶化剤を配合することができる。
【0024】賦形剤としては、例えば、ポリエチレング
リコール400、1500、4000、6000、ポリ
オキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリ
プロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン、
ポリグリセリン等のグリセリン類;ポリオキシエチレン
硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレ
ンブロックポリマー等が挙げられる。
【0025】可溶化剤としては、例えば、ヨウ化カリウ
ム、ヨウ化ナトリウム、グリセリン等が挙げられる。
【0026】本発明の製剤は、上記成分以外の配合を排
除するものではないが、上記成分だけで白糖、有効ヨウ
素の安定性を満足することができる。従って、緩衝剤や
製剤の調製時のpHを3.5以上とするためのアルカリ
性化合物(具体的には、NaOH、KOH等のアルカリ
金属の水酸化物)を含有する必要がない。また、保形剤
を添加しなくても、相分離を起こしたりせず、長期間保
存できる安定な製剤を得ることができる。さらに、理由
は明らかではないが、緩衝剤や保形剤を含有することな
く、安定化剤で安定性を満足させた本発明の製剤は、塗
布時の伸び(伸展性)、製剤の滑らかさをはじめとする
使用感が、従来品よりも若干優れていた。さらにまた、
安定化剤としてアルギン酸の金属塩、特にアルギン酸ナ
トリウム又はアルギン酸カルシウムを用いる場合には、
安定化剤自体が有する止血効果、肉芽再形成効果、吸水
効果により、より優れた褥瘡・損傷皮膚の修復効果を期
待できる。
【0027】本発明製剤の製造方法は、特に限定しない
が、例えば、精製水にポビドンヨード及び安定化剤を混
合してポビドンヨード水溶液を調製し、この水溶液に白
糖を投入して均一に混合する方法が挙げられる。可溶化
剤や賦型剤を混合する場合には、ポビドンヨード水溶液
を調製する際に添加混合してもよいし、調製した水溶液
に添加混合してもよい。
【0028】
【実施例】〔測定方法〕 pHの測定 試料1gに精製水を加え、全量を10mlとした水溶液
について、pHメータ(HORIBA社製)を使用し、
日本薬局方一般試験法のpH測定法に基づいて測定し
た。
【0029】有効ヨウ素 試料5gを精密に量り、精製水40mlを加えて溶解
後、Scotts StandardMethodsに準じて、デンプン試液
2mlを指示薬として0.01Nチオ硫酸ナトリウム液
で酸化還元滴定を行ない、溶液中の有効ヨウ素量を定量
した。ブランクとして、ヨウ素を含まない溶液について
も同様に滴定を行ない、ブランク中のヨウ素量を補正し
て、試料中の有効ヨウ素量を求めた。尚、0.01mo
l/lのチオ硫酸ナトリウム液1mlは、1.2690
mgのヨウ素に該当するとした。
【0030】調製直後のヨウ素量を100%として、サ
ンプリング時の残存率(%)で表す。
【0031】白糖 精製白糖0.245gとなる量の試料を量り、精製水に
溶かした後、さらに内標準液を加え、さらに水を加えて
全体を50mlにした後、メンブランフィルターで濾過
して得られた濾液を試料溶液とし、液体クロマトグラフ
試験を行なって、ピークの高さ比(QT)を求めた。別
に、精製白糖0.245gを量り、精製水に溶かした
後、さらに内標準液を加え、さらに水を加えて全体を5
0mlにした液を標準溶液とし、同様に液体クロマトグ
ラフ試験を行なってピークの高さ比(QS)を求め、下
式により白糖量を求めた。 白糖量=0.245g×QT/QS 調製直後の白糖量を100%として、サンプリング時の
残存率(%)で表す。
【0032】〔安定化剤の選択〕pH5.5以上の安定
化剤として、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチル
セルロースナトリウム(CMC−Na)、DL−アラニ
ン、カゼインナトリウム、尿素、塩化マグネシウムを用
いた製剤a〜fのpH安定性、白糖の安定性、有効ヨウ
素の安定性を調べた。比較のために、特公平1−322
10号公報に記載されている製剤のpH安定性、白糖の
安定性、有効ヨウ素の安定性を調べた。
【0033】各製剤の配合組成は、表1に示す通りであ
り、以下の様にして調製した。
【0034】
【表1】
【0035】すなわち、精製水に、ポビドンヨード、ヨ
ウ化カリウム、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレ
ングリコール(POEPOPG)、安定化剤、さらに従
来例の場合には緩衝液(0.05Mクエン酸緩衝液)を
加えて十分攪拌し、さらにポリエチレングリコール40
0(PEG)及びグリセリンを加えて、攪拌した。練合
機に精製白糖(従来例の場合には更に水酸化ナトリウ
ム)を投入し、先に調製したポビドンヨード液を加え、
保形剤(プルラン)を徐々に加えて均一に練合して、製
剤を得た。
【0036】得られた製剤のうち、安定化剤として尿
素、塩化マグネシウムを用いた製剤(e、f)は、水飴
状の著しい変質が認められた。他の製剤(従来例及びa
〜d)について、50℃、75%で54日間保存し、調
製直後、10日後、30日後、54日後のpH、白糖、
有効ヨウ素について測定した。
【0037】測定結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】表2からわかるように、a〜fの製剤は、
いずれも調製時のpHを3.5〜5.0とすることはで
きるが、有効ヨウ素及び白糖の安定性を満足できる安定
化剤は、アルギン酸ナトリウムとカルボキシメチルセル
ロースナトリウムを含有させた製剤(a、b)だけであ
った。
【0040】一方、DL−アラニン、カゼインナトリウ
ムを添加した製剤(c、d)は、調製直後のpHを白糖
及びポビドンヨードが安定な範囲とすることができて
も、長期間の安定性は得られなかった。
【0041】〔安定化剤の効果〕従来例の製剤組成にお
いて、水酸化ナトリウムを除いた製剤(比較例1)、緩
衝液を除いた製剤(比較例2)について、40℃、75
%RHで10日間保存し、調製直後及び10日後のp
H、有効ヨウ素、白糖の安定性を調べた。尚、水酸化ナ
トリウム、緩衝液を除いた場合は、代わりに精製水を加
えることにより、全量を100gとなるようにした。結
果及び配合組成を従来例、本発明製剤(実施例1)と併
せて表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】表3から、従来のポビドンヨード製剤で
は、水酸化ナトリウムと緩衝液の双方が含有されていな
いと白糖の安定性を満足できないが、本発明実施例の製
剤では、安定化剤の効果により、水酸化ナトリウム及び
緩衝剤のいずれを含有しなくても白糖及び有効ヨウ素の
安定性を満足できることがわかる。
【0044】〔アルギン酸ナトリウムの至適添加量〕表
4に示すように、製剤100g中のアルギン酸ナトリウ
ムの含有量以外の組成は同じである製剤実施例2〜5、
及びアルギン酸ナトリウムを含有しない製剤(比較例
3)を調製した。比較例3の製剤は、調製直後から水飴
状となった。
【0045】
【表4】
【0046】比較例3及び実施例2〜5の製剤を、50
℃、75%RHで54日間保存して、調製直後、10日
後、30日後、54日後のpH、白糖、有効ヨウ素の量
を測定した。
【0047】測定結果を従来例と併せて、表5に示す。
【0048】
【表5】
【0049】表5からわかるように、緩衝剤、水酸化ナ
トリウム、アルギン酸ナトリウムを含有しない製剤(比
較例3)は、調製直後のpHが3.5以下で、白糖、有
効ヨウ素のいずれの安定性も得られなかった。
【0050】アルギン酸ナトリウムの含有量が多くなる
ほど、製剤初期のpHは高くなる傾向にあり、アルギン
酸ナトリウムの含有率が1.0〜2.0重量%の製剤
(実施例3〜5)の白糖及び有効ヨウ素の安定性は同程
度で、従来例と比べても同程度であるといえる。
【0051】〔保形剤の必要性〕アルギン酸ナトリウム
を含有し、さらに保形剤としてプルランを含有させた製
剤(実施例7)と、含有しない製剤(実施例6)を調製
した。実施例6,7及び従来例(緩衝剤、NaOH、及
び保形剤を含有)を、40℃、75%RHで6ヵ月間放
置した場合、及び50℃で54日間保存した場合のp
H、白糖、有効ヨウ素の安定性を調べた。
【0052】配合組成及び測定結果を、夫々表6及び表
7に示す。
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】表7からわかるように、本発明製剤は、従
来例と比べて、有効ヨウ素については若干劣る場合も認
められたが、pH及び白糖の安定性については、保形剤
の有無に拘わらず、従来と同等以上の安定性を有してい
た。
【0056】〔塩の種類による安定化効果の差異〕アル
ギン酸の塩として、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛
塩、又はアンモニウム塩、あるいは多糖類誘導体の塩と
してCMC−Na、CMC−Ca、CMS−Na、又は
クロスカルメロース−Naを安定化剤として用いて、表
8又は表9のような組成を有する製剤(実施例8〜1
5)を調製した。調製した製剤について、40℃、75
%RHで3月間放置し、調製直後、放置1月後、3月後
のpH、白糖、有効ヨウ素の安定性を調べた。
【0057】配合組成及び測定結果を、表8(実施例8
〜11)及び表9(実施例12〜15)を示す。
【0058】
【表8】
【0059】
【表9】
【0060】表8からわかるように、アルギン酸の塩と
しては、カリウム塩及びアンモニウム塩が、カルシウム
塩及び亜鉛塩よりも、pHの変化が少なく、白糖、有効
ヨウ素の安定性に優れていた。また、表9からわかるよ
うに、多糖類の塩としては、ナトリウム塩がカルシウム
塩よりもpHの変化が少なく、白糖、有効ヨウ素の安定
性に優れていた。また、3月後に製剤の性状を観察した
ところ、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウ
ム、CMC−Na、CMS−Na、クロスカルメロース
−Naのいずれも直後から変化は認められなかったが、
アルギン酸カルシウム、アルギン酸亜鉛は黒色の水飴状
に変化しており、CMC−Caは一部水飴状に変化して
いた。
【0061】従って、安定化剤としては、1価の塩がよ
り安定化効果が高いことがわかる。
【0062】
【発明の効果】本発明の褥瘡・損傷皮膚修復用製剤は、
緩衝剤やアルカリ性化合物により製剤初期のpHを調整
しなくても、さらには保形剤を含有させなくても、白糖
及び有効ヨウ素が安定で長期間保存可能である。しか
も、本発明の製剤は、塗布時の伸展性に優れ、また滑ら
かで使用感に優れている。
【0063】さらにまた、安定化剤として、アルギン酸
塩を用いる場合には、アルギン酸塩の止血効果や肉芽再
形成効果、吸水効果による損傷皮膚の修復効果の促進も
有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/36 A61K 47/36 47/38 47/38 (72)発明者 西村 亜希 兵庫県三田市ゆりのき台6丁目7番2号 共和薬品工業株式会社リサーチセンター内 (72)発明者 山下 順也 兵庫県三田市ゆりのき台6丁目7番2号 共和薬品工業株式会社リサーチセンター内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糖50〜90重量%、ポビドンヨード
    0.5〜10重量%、水1〜20重量%を含有する褥瘡
    ・損傷皮膚修復用製剤において、 安定化剤として、アルギン酸のリチウム塩、ナトリウム
    塩、マグネシウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛
    塩及びアンモニウム塩よりなる群から選択される少なく
    とも1種を0.5〜5.0重量%含有することを特徴と
    する褥瘡・損傷皮膚修復用製剤。
  2. 【請求項2】 糖50〜90重量%、ポビドンヨード
    0.5〜10重量%、水1〜20重量%を含有する褥瘡
    ・損傷皮膚修復用製剤において、 安定化剤として、アルギン酸の1価の塩を0.5〜5.
    0重量%含有することを特徴とする褥瘡・損傷皮膚修復
    用製剤。
  3. 【請求項3】 糖50〜90重量%、ポビドンヨード
    0.5〜10重量%、水1〜20重量%を含有する褥瘡
    ・損傷皮膚修復用製剤において、 安定化剤として、下式で表される多糖類誘導体のリチウ
    ム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、カ
    ルシウム塩、亜鉛塩及びアンモニウム塩よりなる群から
    選択される少なくとも1種を0.5〜5.0重量%含有
    することを特徴とする褥瘡・損傷皮膚修復用製剤。 【化1】 (式中、R1、R2、R3は同一又は異なっていてもよ
    く、少なくとも1種がカルボキシメチル基であり、残り
    は水素原子、メチル基、又はエチル基であり、ピラノー
    ス同士の結合はα−1,4結合でも、β−1,4結合で
    もよく、nは自然数である)
  4. 【請求項4】 糖50〜90重量%、ポビドンヨード
    0.5〜10重量%、水1〜20重量%を含有する褥瘡
    ・損傷皮膚修復用製剤において、 安定化剤として、下式で表される多糖類誘導体の1価の
    塩を0.5〜5.0重量%含有することを特徴とする褥
    瘡・損傷皮膚修復用製剤。 【化2】 (式中、R1、R2、R3は同一又は異なっていてもよ
    く、少なくとも1種がカルボキシメチル基であり、残り
    は水素原子、メチル基、又はエチル基であり、ピラノー
    ス同士の結合はα−1,4結合でも、β−1,4結合で
    もよく、nは自然数である)
  5. 【請求項5】 金属の水酸化物を含有しない請求項1〜
    4に記載の褥瘡・損傷皮膚修復用製剤。
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