JP2000034704A - 滑り支承の構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 上部構造物と下部構造物との滑り部材におい
て固着的な現象を少なくし、滑りの機能を十分に発揮さ
せるようにした滑り支承の構造を提供する。 【解決手段】 橋脚または橋台等の下部構造物１上に、
沓座モルタル２を介して鋼板３とゴムシート４とを積層
させて構成して成るゴム支承体５を載置してある。ゴム
支承体５の上面には、予め表面にテフロン樹脂等のフッ
素系樹脂１０を焼き付け処理した金属板１１から成る下
部滑り部材１２を設けてある。ゴム支承体５と金属板１
１とは、一体的に加硫成形するものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、滑り支承の構造
に係わり、更に詳しくはコンクリート橋桁等の上部構造
物の下面に設けた上部滑り部材と、橋脚または橋台等の
下部構造物上にゴム支承体を介して設けた下部滑り部材
とが密着したり、固着することなく滑り機能を有効に発
揮させることが出来る滑り支承の構造に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、コンクリート橋桁等の上部構造物
と橋脚または橋台等の下部構造物との滑り支承の構造と
しては、例えば、図２に示すように、下部構造物１上
に、沓座モルタル２を介して鋼板３とゴムシート４とを
積層させて構成して成るゴム支承体５を載置し、ゴム支
承体５の上面には、鉄板６を介してテフロン板から成る
下部滑り部材７を接着固定していた。一方、上部構造物
８の下面には、前記テフロン板から成る滑り部材７上を
滑るステンレス板から成る上部滑り部材９を固定してい
た。

【０００３】上記のような滑り支承は、上部構造物８の
橋軸方向（図の矢印Ｘ）または橋軸直角方向の剪断変形
をゴム支承体５の上面で滑らせるものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】然しながら、上記のよ
うな滑り支承の構造の場合、コンクリート橋桁等の上部
構造物８のステンレス板等から成る上部滑り部材９が、
下部構造物１上のゴム支承体５の上面に設けたテフロン
板から成る下部滑り部材７に載置されて滑る構造である
が、上部構造物８の荷重がゴム支承体５に常時作用して
いる。

【０００５】このような状態において、桁の伸縮、或い
は地震等により上部構造物８が橋軸方向または橋軸直角
方向へ移動すると、本来下部滑り部材７と上部滑り部材
９との間で滑りを起こすはずであるが、沓座モルタル２
とゴム支承体５との接触部において滑りが生じてしま
い、滑り支承の機能を十分に発揮させることが出来ない
と言う問題があった。

【０００６】この原因としては、上部構造物８の荷重に
よりテフロン板から成る下部滑り部材７とステンレス板
から成る上部滑り部材９とが密着した状態で固着し、下
部滑り部材７と上部滑り部材９とは一体化され、上部構
造物８の水平移動で下部滑り部材７が剪断変形を受けた
後、沓座モルタル２とゴム支承体５との接触部において
滑りが生じてしまうのである。即ち、従来の下部滑り部
材７には耐荷重性に問題があった。

【０００７】また、テフロン板から成る下部滑り部材７
の接触面積を小さくして滑り易くする方法も考えられる
が、その場合、上記と同様に下部滑り部材７の耐荷重性
に問題が生じる。この発明の目的は、上部構造物と下部
構造物との滑り部材において固着的な現象を少なくし、
滑りの機能を十分に発揮させるようにした滑り支承の構
造を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明は上記目的を達
成するため、下部構造物上に設置するゴム支承体の上面
に、予め表面にフッ素系樹脂を焼き付け処理した金属板
から成る下部滑り部材を一体的に加硫成形したことを要
旨とするものである。この発明は、上記のように構成さ
れ、ゴム支承体の上面に、予め表面にフッ素系樹脂を焼
き付け処理した金属板から成る下部滑り部材を設けるこ
とで、上部構造物と下部構造物との滑り部材において固
着的な現象を少なくし、滑りの機能を十分に発揮させる
ことが出来るものである。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づき、この発
明の実施形態を説明する。なお、従来例と同一構成要素
は、同一符号を付して説明は省略する。図１は、この発
明を実施した構造物の滑り支承の構造の断面図を示し、
橋脚または橋台等の下部構造物１上に、沓座モルタル２
を介して鋼板３とゴムシート４とを積層させて構成して
成るゴム支承体５を載置してある。

【００１０】前記ゴム支承体５の上面には、予め表面に
テフロン樹脂等のフッ素系樹脂１０を焼き付け処理した
金属板１１から成る下部滑り部材１２を設けてある。ゴ
ム支承体５と金属板１１とは、一体的に加硫成形するも
のである。また、コンクリート橋桁等の上部構造物８の
下面には、前記テフロン板から成る滑り部材７上を滑る
ステンレス板から成る上部滑り部材９を固定していた。
また、図中Ｘは、上部構造物８の橋軸方向の移動方向を
示している。

【００１１】以上のように、ゴム支承体５の上面に、予
め表面にフッ素系樹脂１０を焼き付け処理した金属板１
１から成る下部滑り部材１２を設けることで、耐荷重性
に対しても問題はなく、上部構造物８と下部構造物１と
の滑り部材９，１２において固着的な現象を少なくし、
滑りの機能を十分に発揮させることが出来る。

【００１２】

【発明の効果】この発明は、上記のように下部構造物上
に設置するゴム支承体の上面に、予め表面にフッ素系樹
脂を焼き付け処理した金属板から成る下部滑り部材を一
体的に加硫成形したので、摩擦抵抗を下げて滑り易くす
ることが出来、また上部構造物に対する耐荷重性に対し
ても問題はなく、更にゴム支承体と表面にフッ素系樹脂
を焼き付け処理した金属板との一体成形加硫も容易に行
うことが出来る効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明を実施した構造物の滑り支承の構造の
断面図である。

【図２】従来の構造物の滑り支承の構造の断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 下部構造物 ２ 沓座モルタル ３ 鋼板 ４ ゴムシート ５ ゴム支承体 ７ テフロン板から
成る滑り部材 ８ 上部構造物 ９ 上部滑り部材 １０ フッ素系樹脂 １１ 金属板 １２ 下部滑り部材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 兼子 一弘 神奈川県平塚市追分２番１号 横浜ゴム株 式会社平塚製造所内 (72)発明者 小島 孝之 神奈川県平塚市追分２番１号 横浜ゴム株 式会社平塚製造所内 Ｆターム(参考） 2D059 AA37 GG02

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上部構造物の下面に上部滑り部材を設け
   ると共に、下部構造物上に、ゴム支承体を介して下部滑
   り部材を設けて成る滑り支承の構造において、 前記下部構造物上に設置するゴム支承体の上面に、予め
   表面にフッ素系樹脂を焼き付け処理した金属板から成る
   下部滑り部材を一体的に加硫成形したことを特徴とする
   滑り支承の構造。
2. 【請求項２】 前記フッ素系樹脂が、テフロン樹脂であ
   る請求項１に記載の滑り支承の構造。