JP2000034679A - 清涼感を有する繊維構造体 - Google Patents

清涼感を有する繊維構造体

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JP2000034679A
JP2000034679A JP20330598A JP20330598A JP2000034679A JP 2000034679 A JP2000034679 A JP 2000034679A JP 20330598 A JP20330598 A JP 20330598A JP 20330598 A JP20330598 A JP 20330598A JP 2000034679 A JP2000034679 A JP 2000034679A
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JP
Japan
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water
hollow
absorbing polymer
fibers
hollow fiber
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JP20330598A
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English (en)
Inventor
Yuichi Onozawa
雄一 小野澤
Sadamitsu Murayama
定光 村山
Yukikage Matsui
亨景 松井
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、清涼機能を有する繊維構造体を提
案するものであり、インナー分野のように直接肌に接触
して用いた場合でもべとつき感がなく、夏季の高温・高
湿下においても清涼感に優れた繊維構造体を提供せんと
するものである。 【解決手段】 繊維構造体を構成する中空繊維が繊維表
面から中空部への連通孔を有しており、且つ、該中空部
にはメントール類成分を含む吸水性ポリマーの徐放性ゲ
ルを存在せしめた繊維構造体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、清涼感を有する繊
維構造体に関し、さらに詳しくは、べとつき感がなく、
清涼感に優れ、肌着、ファンデーション、ブラウス、ス
ポーツウエアーなどの衣料用途に好適に用いることがで
きる繊維構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から保冷性、清涼性を有する繊維に
ついての提案は少ないが、その中でも特開平5−279
938号公報には、太陽光線の入射による温度上昇を防
ぐことにより清涼感を付与しようとするものが提案され
ている。ここに提案されているものは、チタン酸アルカ
リ金属、または、チタン酸アルカリ土類金属からなるセ
ラミック微粒子を含有する繊維と太陽光反射層を用いる
ことにより、太陽光を遮光し、反射させるものであって
繊維自身が積極的に保冷性能や効果を奏するものではな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、清涼機能を
有する繊維構造体を提案するものであり、インナー分野
のように直接肌に接触して用いた場合でもべとつき感が
なく、夏季の高温・高湿下においても清涼感に優れた繊
維構造体を提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、繊維表面から中
空部に至る連通孔が散在する中空繊維を用い、該中空部
内にメントール類成分を存在せしめることにより清涼感
が得られることに着目し、本発明を完成したものであ
る。
【0005】すなわち、本発明は、中空繊維を含む繊維
構造体において、該中空繊維の少なくとも1部が繊維表
面から中空部への連通孔を有しており、且つ、該中空部
にはメントール類成分を含む吸水性ポリマーの徐放性ゲ
ルが存在することを特徴とする繊維構造体にある。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の繊維構造体は、中空繊維を含む繊維により構成
されており、該中空繊維の少なくとも1部は、その繊維
表面から中空部への連通孔を有するものである。したが
って、該繊維構造体は中空繊維とは異なる他の繊維(中
実繊維などであって特に限定されない)と混合されて構
成されていてもよい。
【0007】本発明に用いる中空繊維としては、レーヨ
ン、アセテートなどの化学繊維、ポリエステル、ポリア
ミドなどの合成繊維からなるものを挙げることができ、
特に、ポリエステル中空繊維が好ましく例示される。
【0008】ここでいうポリエステルとは、テレフタル
酸を主たるジカルボン酸成分とし、少なくとも1種のグ
リコール、好ましくは、エチレングリコール、トリメチ
レングリコール、テトラメチレングリコールなどから選
ばれた少なくとも1種のアルキレングリコールを主たる
グリコール成分とするポリエステルなどであり、なかで
もポリエチレンテレフタレートが特に好ましく例示され
る。
【0009】該ポリエステルには、必要に応じて、安定
剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、触
媒、着色防止剤、耐熱剤、着色剤、無機粒子等を含有さ
せても良い。
【0010】本発明に用いる中空繊維は、公知の方法に
よって製造することができ、例えば、実公平2―438
79号公報に記載されているように、少なくとも1個所
を不連続にした円弧状スリット孔を有し、該スリット孔
の端部近辺でその内縁部に半円状の突部を設けた中空糸
用紡糸口金を用いて溶融紡糸する方法などを任意に採用
して製造される。
【0011】このような中空繊維の中空率は、繊維の機
械的特性を維持すると同時に、該中空部に充分な量の吸
水性ポリマーを充填することができるように、5〜40
%の範囲にあるものが好ましく用いられ、さらに好まし
くは20〜40%の範囲にあるものが用いられる。
【0012】また、該中空繊維の繊維表面から中空部へ
の連通孔を多数形成する方法としては、特開平1−20
319号公報に開示されているように、例えば、ポリエ
ステル繊維の場合、有機スルホン酸化合物を共重合した
ポリエステルを混合して溶融紡糸して中空繊維となし、
該中空繊維をアルカリ減量処理することにより連通孔を
形成する方法が用いられる。
【0013】また、中空率が20%以上である中空繊維
を用いれば、これをアルカリ処理するだけで、前記のよ
うに有機スルホン酸化合物を使用しなくても、繊維の長
手方向に沿った低配向部及び/又は変形歪集中部の除去
痕として、多数の連通孔を形成することができる。
【0014】さらに、特開平7−26466号公報に開
示されているように、芯鞘型複合繊維の芯部ポリマーを
溶解又は分解せしめ、鞘部に連通孔を有する中空繊維と
する方法を用いることもできる。
【0015】このようにして形成された連通孔は、幅が
0.2〜10μm、長さが5〜20μmの範囲にあるも
のが好ましい。該連通孔の幅と長さがこの範囲を外れる
場合は、中空繊維への吸水性ポリマーの徐放性ゲルの導
入が不十分になったり、若しくは、中空繊維内に充填し
た吸水性ポリマーの徐放性ゲルが脱落し易くなる場合が
あるので好ましくない。
【0016】次に、本発明で使用する吸水性ポリマーの
徐放性ゲルとしては、例えば、ゼラチンゲルなどの天然
系の吸水性ポリマーゲルや、合成系の吸水性ポリマーゲ
ルが挙げられるが、モノマー段階での取り扱いが容易で
あることから合成系の吸水性ポリマーゲルを用いるもの
が好ましい。
【0017】合成系の吸水性ポリマーゲルとしては、例
えば、(a)カルボン酸基、カルボン酸塩基、スルホン
酸基及びスルホン酸塩基よりなる群から選ばれた少なく
とも1種の基を有する水溶性モノマーであって、例え
ば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮
酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン
酸、イタコン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホ
ン酸及びこれらのNa塩、K塩、Li塩等が例示され、
(b)加水分解により水溶性となるモノマーであって、
少なくとも1個の加水分解性基(エステル基、ニトリル
基など)を有するモノマーが例示され、(c)澱粉及び
/又はセルロース基、並びに、(d)架橋剤のうちで、
(a)及び/又は(b)と(d)とを必須成分として重
合させ、必要に応じて加水分解することにより得られる
吸水性ポリマーのゲルなどを挙げることができる。
【0018】かかる吸水性ポリマーのゲルとしては、具
体的には、架橋されたポリ(メタ)アクリル酸中和塩、
架橋されたポリ(メタ)アクリルアミドの部分加水分解
物、架橋された(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル
アミド共重合体、架橋されたスルホン化ポリスチレン、
ビニルエステル−不飽和カルボン酸共重合体ケン化物、
架橋された(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エ
ステル共重合体、架橋されたイソブチレン−無水マレイ
ン酸共重合体、架橋されたカルボン酸変性ポリビニルア
ルコール等のゲルを挙げることができる。
【0019】また、前記に例示した以外の合成系吸水性
ポリマーゲルとしては、例えば、(a)及び/又は
(b)と(c)と(d)とを必須成分として重合させ、
必要により加水分解をすることにより得られる吸水性ポ
リマーのゲルであって、例えば、特開昭52−2588
6号公報、特公昭53−46199号公報、特公昭53
−46200号公報、特公昭55−21041号公報な
どに記載された吸水性ポリマーゲルなど、さらに、
(a)及び/又は(b)と(c)とを重合させることに
より得られる吸水性ポリマーゲルであって、例えば、澱
粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、セ
ルロース−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解
物など、また、(c)の架橋物であって、例えば、カル
ボキシメチルセルロースの架橋物などや、自己架橋を有
する(a)及び/又は(b)の重合物であって、例え
ば、自己架橋型ポリ(メタ)アクリル酸塩などが挙げら
れる。
【0020】かかる吸水性ポリマーの徐放性ゲルは、1
種類を単独で使用してもよいが、2種以上を併用しても
構わない。また、前記の吸水性ポリマーの徐放性ゲル
は、純水に対する吸水性能が少なくとも1ミリリットル
/gであるものが好ましく、なかでも5〜1000ミリ
リットル/gの範囲にあるものが特に好ましい。
【0021】前記吸水性ポリマーゲルの中空繊維への充
填量は、清涼効果発現の点で、絶乾、非膨潤状態で1重
量%以上(気体中空繊維基準)であることが好ましく、
さらに5重量%以上であることが特に好ましい。この充
填量があまりに多いと該ゲルの吸水膨潤時に中空繊維の
割裂等が発生する傾向があるので、該充填量は80重量
%以下であるものが好ましい。
【0022】本発明に使用するこのような吸水性ポリマ
ーは、メントール類成分を含むものである。該メントー
ル類成分は、吸水性ポリマーの徐放性ゲルが人体から発
生する水分や衣服の外側からの水分を吸収、放出する過
程で、連通孔を経て中空繊維の表面に徐々に放出され、
それにより優れた清涼感を奏するものであり、吸水性ポ
リマーのゲルに対して、5〜30重量%の範囲内で配合
するものが好ましい。なお、本発明における吸水性ポリ
マーのゲルは、前記メントール類成分以外に、必要に応
じて香料、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加
剤を含んでいても構わない。
【0023】次に、該メントール類成分を含む吸水性ポ
リマーの徐放性ゲルを前記中空繊維の中空部内に充填さ
せる方法として以下の方法が例示される。
【0024】(1)前記中空繊維を、吸水性ポリマーの
未架橋物及び/又は該吸水性ポリマーの構成モノマー、
メントール類成分、架橋剤並びに好ましくは重合開始剤
乃至触媒を含有するする溶液中に浸漬し、該中空繊維の
中空部内の空気と溶液とを置換し、次いで加熱すること
によって未架橋吸水性ポリマーの架橋反応乃至前記モノ
マーの重合・架橋反応を生起せしめて、中空繊維の中空
部内に吸水性ポリマーのゲルを形成する方法。
【0025】(2)前記中空繊維を、吸水性ポリマーの
未架橋物及び/又は該吸水性ポリマーの構成モノマー、
メントール類成分、架橋剤並びに好ましくは重合開始剤
乃至触媒を含有するする溶液中に浸漬し、次いでマング
ルなどで圧絞して該中空繊維の中空部内の空気と溶液と
を置換し、次いで加熱することによって未架橋吸水性ポ
リマーの架橋反応乃至前記モノマーの重合・架橋反応を
生起せしめて、中空繊維の中空部内に吸水性ポリマーの
ゲルを形成する方法。
【0026】(3)前記中空繊維を密閉容器中に入れて
減圧し、該中空繊維内の空気を抜いた後、吸水性ポリマ
ーの未架橋物及び/又は該吸水性ポリマーの構成モノマ
ー、メントール類成分、架橋剤並びに好ましくは重合開
始剤乃至触媒を含有するする溶液を該容器に注入して中
空繊維の中空部内に充填させ、次いで加熱することによ
って未架橋吸水性ポリマーの架橋反応乃至前記モノマー
の重合・架橋反応を生起せしめて、中空繊維の中空部内
に吸水性ポリマーのゲルを形成する方法などを例示する
ことができる。
【0027】このような吸水性ポリマーゲルの中空繊維
の中空部内への充填の際、該中空繊維は、糸、紡績糸、
織物、編物、不織布などの任意の形態で処理に供するこ
とができるが、通常は、織物、編物などの布帛の形態で
処理するのが作業性の面から考慮して適当である。
【0028】ここで前記溶液の溶剤としては、前記の成
分を溶解できるものであればよく、例えば、水及び/又
は水に可溶な有機溶剤を挙げることができる。水に可溶
な有機溶剤としては、イソプロピルアルコールのような
アルコール類、メチルエチルケトンのようなケトン類、
テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルフォキシド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。なか
でも、安価で取り扱いが容易であることから、水を用い
るものが特に好ましい。
【0029】また、前記架橋剤としては、吸水性ポリマ
ーを架橋して非水溶性の架橋物となし得るものであれば
よく、例えば、1分子中にビニル基及び/又はエポキシ
基を2個以上もつ化合物や多価金属化合物を例示するこ
とできる。なかでも、水溶性であるものが好ましい。
【0030】かかる架橋剤の具体的な例としては、ポリ
エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレング
リコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジグ
リシジルエーテル、グリセリンジ(又はトリ)メタクリ
レート、グリセリンジ(又はトリ)アクリレート、グリ
セリンジ(又はトリ)グリシジルエーテル、トリメチロ
ールプロパンジ(又はトリ)メタクリレート、トリメチ
ロールプロパンジ(又はトリ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパンジ(又はトリ)グリシジルエーテル等を
挙げることができる。
【0031】また、架橋剤として用いることができる多
価金属化合物としては、2価以上の金属の無機塩、有機
カルボン酸塩、錯塩等を挙げることができる。かかる2
価以上の金属としては、Ca、Mg,Zn,Mn,A
l,Ti,Sn,Cu,Fe,Cr,Ni,Zr等が好
ましく例示され、これらの塩化物、硫酸物、酢酸塩、コ
ハク酸塩、エチレンジアミン四酢酸錯体等が好ましく例
示される。
【0032】さらに具体的には、酢酸カルシウム、酢酸
マグネシウム、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸亜鉛、酢
酸マンガン、酢酸コバルト、硫酸アルミニウム、塩化カ
ルシウム、塩化マグネシウム硫酸第一スズ、EDTA−
Ca、EDTA−Mg等を挙げることができる。かかる
多価金属化合物は、1種のみを単独で用いるものでも、
2種以上を併用して用いるもののいずれでもよい。
【0033】また、前記の重合開始剤としては、例え
ば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水
素、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、硫酸第2セリウム
アンモニウム、硝酸第2セリウムアンモニウムなどのセ
リウムアンモニウム塩、或いはα、α′―アゾビスイソ
ブチロニトリルなどが挙げることができる。
【0034】また、前記の触媒としては、第三級アミ
ン、第四級アンモニウム塩、イミダゾール化合物、三フ
ッ化ホウ素、Zn(BF42、KOH、SnCl2等が
挙げられる。
【0035】本発明の繊維構造体においては、前記の吸
水性ポリマーの徐放性ゲルが中空繊維内のみに存在し、
中空繊維の外側表面や繊維間空隙には実質的に存在しな
いことが、最終的に得られる織編物等の布帛の風合いを
保持する点で好ましい。
【0036】そのためには、吸水性ポリマーの徐放性ゲ
ルを前記中空繊維の中空部内に充填する際に、該中空繊
維表面に付着した吸水性ポリマーの構成モノマーを溶解
除去することが好ましい。この溶解・除去の方法として
は、該吸水性ポリマーあるいは構成モノマーを溶解し得
る溶媒中に中空繊維を浸漬する方法や、該吸水性ポリマ
ーあるいは構成モノマーを溶解し得る溶剤を中空繊維表
面に塗布する方法などが例示される。
【0037】また、ここで使用する溶媒としては、中空
繊維内に導入した吸水性ポリマー又はモノマーを溶解し
得るものであり、中空繊維内に導入した吸水性ポリマー
の架橋、又は、モノマーの重合を阻害するものではな
く、しかも、中空繊維内に導入した吸水性ポリマー又は
モノマーを溶出してしまうほどの浸透性が高いものでな
い限り、任意のものを用いることができる。
【0038】かかる溶媒としては、水、アセトン、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、
トルエンなどが用いられる。特に、安価で取扱いが容易
であることから、水を用いるのが好ましい。
【0039】また、該中空繊維を前記の溶媒で処理する
際に、前記溶媒の温度をポリマーの架橋開始温度、及び
/又は、モノマーの重合開始温度以上の温度、例えば、
前記に例示したモノマーの場合には50〜100℃に加
熱しておくと、中空繊維表面に付着したポリマー又はモ
ノマーを溶解除去すると共に、中空繊維ないに導入した
ポリマー又はモノマーを同時に架橋又は重合させること
ができるので好都合である。
【0040】さらに、該中空繊維を前記の溶媒で処理す
る際に、前記溶媒中に重合禁止剤を添加しておくと、繊
維表面に残留したモノマーの重合が抑制され、モノマー
の除去が一層容易になるので好ましい。
【0041】ここに用いられる重合禁止剤としては、安
定ラジカルが生成可能なものであり、ジフェニルピクリ
ルヒドラジル、ガルビノキシル、フェルダジルなどの
他、生長ラジカルとの付加反応によって安定なラジカル
を生ずる酸素、硫黄、ベンゾキノン誘導体、ニトロ化合
物、あるいは生長ラジカルとの連鎖移動反応によって安
定なラジカルを生ずるジフェニルピクリルヒドラジン、
ジフェニルアミン、ヒドロキノン、第三ブチルカテコー
ルなどが例示される。
【0042】これら重合禁止剤を含有する溶媒で処理す
る場合、該溶媒中の重合禁止剤の量が多すぎると、重合
禁止剤が連通孔から繊維中空部内に侵入して、中空繊維
表面だけではなく、中空繊維内のモノマーの重合も抑制
し、その結果、中空繊維内に吸水性ポリマーゲルを形成
することができなくなる恐れがある。従って、溶剤中に
存在する重合禁止剤の量は、その重合禁止能にもよる
が、中空繊維表面に付着したモノマーから加熱によって
生成する反応性ラジカルを捕捉し得る最小限の量に止め
ることが好ましい。
【0043】さらに、前記の溶媒中にソーピング剤を添
加しておくと、中空繊維表面に付着したポリマーやモノ
マーの除去が促進されるので好ましい。該ソーピング剤
としては、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムを主剤と
したアルカリ性の洗浄液、繊維加工に一般に用いられる
イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤等を挙げる
ことができる。溶媒へのソーピング剤の添加量は、0.
1〜5.0重量%の範囲とするものが適当である。ま
た、このように溶媒による処理は、中空繊維表面に付着
したポリマーやモノマーを溶解、除去できれば任意の方
法により行うことができるが、中空繊維を溶媒中に浸漬
して攪拌する方法が特に好ましく用いられる。
【0044】このように必要に応じて溶媒を用いて処理
して、中空繊維表面に付着したモノマーを溶解、除去し
た後、加熱することにより中空繊維内のポリマーの架
橋、又は、モノマーの重合を行い、メントール類成分を
吸水性ポリマーの徐放性ゲル中に固定する。勿論、前記
のように、溶媒の温度をポリマーの架橋開始温度、又
は、モノマーの重合開始温度以上の温度に加熱してお
き、繊維表面に付着したポリマー又はモノマーを溶解除
去すると共に、中空繊維内に導入したポリマー又はモノ
マーを同時に架橋又は重合させることもできる。
【0045】
【発明の効果】このようにして得られる本発明の繊維構
造体は、それを構成する繊維が中空繊維を含むものであ
り、該中空繊維にはその繊維表面から中空部への連通孔
が形成され、該連通孔を介して導入したメントール類成
分を含む吸水性ポリマーの徐放性ゲルを該中空部に存在
せしめたものであり、該吸水性ポリマーの徐放性ゲルが
人体から発生する水分や衣服の外部からの水分を吸収、
放出する過程で、該メントール類成分は、該連通孔を経
て徐々に中空繊維の表面に放出され、優れた清涼感を奏
するものである。
【0046】このため本発明の繊維構造体による衣服
は、清涼感に優れ、しかも肌に触れてもべとつくことが
なく、サラッとした感触を与えるので、インナー、ナイ
ティー、ブラウス、スポーツウエアー等の春夏物を中心
とした衣料用途に極めて有用である。なかでも、ランジ
ェリー、スリップ、キャミソール、ショーツ等の肌着、
ガードル、ボディースーツ等のファンデイション、ブラ
ジャー等の直接肌に接触して着用する衣料用途において
優れた効果を発揮するものである。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。なお、実施例における吸湿率の測定、洗濯
耐久性の評価、実着用試験については以下の方法により
行った。
【0048】(1)吸湿率 試料を50℃の温度で2時間予備乾燥した後、105℃
の温度で2時間絶乾した(この時の重量をW0とする)。
次に、20℃×90%RHの恒温恒湿機中に3日間入れ
た後の平衡重量:W1を測定して下記式で吸湿率を算出
した。 吸湿率(%)=[(W1−W0)/W0]×100
【0049】(2)洗濯耐久性 JIS L−1018−77 6.36、H法に準拠し
た方法で30回繰り返すことで行った。
【0050】(3)実着用試験 本発明の繊維構造体を用いて作成したTシャツを試験
者:4名(男性2名、女性2名)のパネラー(A〜D)
が着用し、25℃×60%RHの高温・高湿条件の部屋
に滞在し30分後に下記の3段階方式により体感保冷性
(清涼感)を官能評価した。 ○ 感じる △ やや感じる × 感じない
【0051】[実施例1]固有粘度が0.61のポリエ
チレンテレフタレートを溶融し、実公平2−43879
号公報に記載されてるような3個所で不連続にした円弧
状スリット孔を20個有する中空繊維紡糸口金を用い
て、中空率が40%の中空繊維の未延伸糸を得た。次い
で、該未延伸糸を延伸して、丸中空断面を有するポリエ
ステルマルチフィラメント糸(50デニール/20フィ
ラメント、酸化チタン量0.3重量%)を得た。
【0052】該マルチフィラメント糸を用いて編成した
トリコット編地に精練、プレセットを行い、50g/リ
ットルの水酸化ナトリウムを含む熱水(105℃)中で
約10分間処理して、減量率が20%になるようにアル
カリ減量処理した。
【0053】得られた布帛(トリコット)からマルチフ
ィラメント糸を取り出し、その表面を走査型電子顕微鏡
で観察したところ、繊維軸方向に、幅0.2〜2.0μ
m、長さ10〜150μmのマイクログルーブが、各フ
ィラメントについて100μm当たり少なくとも1個以
上観察された。
【0054】次に、該布帛を密閉容器内に入れ、ロータ
リーポンプを用いて容器内を0.004mmHgまで減
圧し、次いでこの容器内に、アクリル酸ナトリウム:2
0重量部、アクリル酸:5重量部、ポリエチレングリコ
ール(平均重合度:14)ジメタクリレート:10重量
部、過硫酸カリウム:0.5重量部、メントール類成
分:4.0重量部、水:60.5重量部からなるモノマ
ー液を注入した。
【0055】該モノマー液注入後、ロータリーポンプを
用い、さらに減圧状態を10分間維持した。このとき、
容器内の圧力は0.2mmHgであった。次に、該容器
内の圧力を定圧に戻し、前記のモノマー液を布帛に含浸
させた後、該布帛を100℃の熱湯中に攪拌しながら3
分間浸漬した後、該布帛を乾燥熱処理した。
【0056】得られた布帛は風合いがソフトであり、走
査型電子顕微鏡で観察した結果、吸水性ポリマーの徐放
性ゲルは中空繊維の中空部のみに存在し、繊維表面、繊
維間空隙、組織間には全く付着していなかった。該布帛
について、吸湿性を測定し、洗濯耐久性を求め、さらに
該布帛を用いてTシャツを作成し、4名のパネラーによ
る実着用試験を行った。その結果は、表1に示す通りで
あり、吸湿感が高く、サラッとした感触があり、高温高
湿度下でも清涼感を体感することができ、洗濯耐久性も
良好であった。
【0057】[比較例1]実施例1において、メントー
ル類成分は全く使用せず、その他の条件は実施例1と同
様にして処理を行い、得られた布帛を用いてTシャツを
作成し、実施例1と同様にして実着用試験を行った。そ
の結果は表1に併せて示す通りであり、高温高湿度下で
は清涼感に劣るものであった。
【0058】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 亨景 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内 Fターム(参考) 4L033 AB09 AC15 BA13 4L045 AA05 BA03 BA24 BA27 DA42

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空繊維を含む繊維構造体において、該
    中空繊維の少なくとも1部が繊維表面から中空部への連
    通孔を有しており、且つ、該中空部にはメントール類成
    分を含む吸水性ポリマーの徐放性ゲルが存在することを
    特徴とする清涼感を有する繊維構造体。
  2. 【請求項2】 メントール類成分がメントール誘導体で
    ある請求項1記載の清涼感を有する繊維構造体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002235278A (ja) * 2001-02-06 2002-08-23 Shikibo Ltd 接触冷感性繊維及び繊維製品並びにこれらの製造方法
JP2006132021A (ja) * 2004-11-04 2006-05-25 Teijin Fibers Ltd 蓄熱保温性衣料

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