JP2000017395A - Fe系形状記憶合金及びその製造方法 - Google Patents
Fe系形状記憶合金及びその製造方法Info
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- JP2000017395A JP2000017395A JP10187903A JP18790398A JP2000017395A JP 2000017395 A JP2000017395 A JP 2000017395A JP 10187903 A JP10187903 A JP 10187903A JP 18790398 A JP18790398 A JP 18790398A JP 2000017395 A JP2000017395 A JP 2000017395A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】優れた加工性、耐食性を持ち、かつ低廉な形状
記憶合金及びその製造方法を提供する。 【解決手段】15〜35重量%のNiと1.5〜10重
量%のSiと、残部Fe及び不可避不純物とからなる合
金を800℃以上の温度で液体化処理し、さらに200
〜600℃で時効処理したことを特徴とした記憶合金で
ある。
記憶合金及びその製造方法を提供する。 【解決手段】15〜35重量%のNiと1.5〜10重
量%のSiと、残部Fe及び不可避不純物とからなる合
金を800℃以上の温度で液体化処理し、さらに200
〜600℃で時効処理したことを特徴とした記憶合金で
ある。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鉄系形状記憶合金及
びその製造方法に関する。
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】形状記憶合金はその特異的な機能によ
り、工業、エネルギー及び医療の各分野での実用化が進
められている。形状記憶現象及び超弾性現象(擬弾性現
象ともいう)は熱弾性マルテンサイト変態を起こす合金
に現れるものである。このような合金として、Ni−T
i、Ni−Al、Cu−Zn−Al、Cu−Al−Ni
等の非鉄系合金と、Fe−Ni−Co−Ti、Fe−M
n−Si、Fe−Ni−C、Fe−Ni−Cr等の鉄系
合金が開示されている。
り、工業、エネルギー及び医療の各分野での実用化が進
められている。形状記憶現象及び超弾性現象(擬弾性現
象ともいう)は熱弾性マルテンサイト変態を起こす合金
に現れるものである。このような合金として、Ni−T
i、Ni−Al、Cu−Zn−Al、Cu−Al−Ni
等の非鉄系合金と、Fe−Ni−Co−Ti、Fe−M
n−Si、Fe−Ni−C、Fe−Ni−Cr等の鉄系
合金が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、現実に実用化
されているのは主に非鉄系合金であり、鉄系形状記憶合
金にはまだ解決されていないさまざまな問題がある。例
えば、Fe−Ni−Co−Ti系では、応力誘起変態に
よる形状記憶効果が生じるが、Ms点が200K以下と
低く、実用化しにくい。また、Fe−Ni−C系では、
逆変態中に炭化物が生成し、形状記憶特性が低下してし
まうので、実用化には問題がある。Fe−Mn−Si系
は比較的良好な形状記憶特性を示しているが、冷間加工
性が悪く、加工にコストがかかる問題と、耐食性が不充
分であるという問題があるため、実用できる分野が限ら
れている。
されているのは主に非鉄系合金であり、鉄系形状記憶合
金にはまだ解決されていないさまざまな問題がある。例
えば、Fe−Ni−Co−Ti系では、応力誘起変態に
よる形状記憶効果が生じるが、Ms点が200K以下と
低く、実用化しにくい。また、Fe−Ni−C系では、
逆変態中に炭化物が生成し、形状記憶特性が低下してし
まうので、実用化には問題がある。Fe−Mn−Si系
は比較的良好な形状記憶特性を示しているが、冷間加工
性が悪く、加工にコストがかかる問題と、耐食性が不充
分であるという問題があるため、実用できる分野が限ら
れている。
【0004】一方、鉄系形状記憶合金には共通的な特徴
として、コストが低く、磁性を示す等の利点があるた
め、より実用的な鉄系形状記憶合金の開発が望まれてい
る。
として、コストが低く、磁性を示す等の利点があるた
め、より実用的な鉄系形状記憶合金の開発が望まれてい
る。
【0005】従って、本発明の目的は、これらの問題を
解決し、優れた加工性、耐食性を持ち、かつ低廉な形状
記憶合金及びその製造方法を提供することである。
解決し、優れた加工性、耐食性を持ち、かつ低廉な形状
記憶合金及びその製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは特定成分範囲のFe−Si−Ni
系合金が形状記憶特性を示すことを発見し、本発明を完
成した。
の結果、本発明者らは特定成分範囲のFe−Si−Ni
系合金が形状記憶特性を示すことを発見し、本発明を完
成した。
【0007】すなわち、本発明の形状記憶合金は、15
〜35重量%のNiと、1.5〜10重量%のSiと、
残部Fe及び不可避不純物とからなることを特徴とす
る。
〜35重量%のNiと、1.5〜10重量%のSiと、
残部Fe及び不可避不純物とからなることを特徴とす
る。
【0008】本発明の形状記憶合金はさらにCo、B
e、Cu、V、Mo、W、Nb、Ti、Al、Zr、
C、B、Cr、Mnからなる群より選ばれた一種又は二
種以上を含有することができる。
e、Cu、V、Mo、W、Nb、Ti、Al、Zr、
C、B、Cr、Mnからなる群より選ばれた一種又は二
種以上を含有することができる。
【0009】また、上記形状記憶合金を製造する本発明
の方法は、上記組成の鉄合金を800℃以上の温度で保
持した後急冷することを特徴とする。
の方法は、上記組成の鉄合金を800℃以上の温度で保
持した後急冷することを特徴とする。
【0010】さらに、上記形状記憶合金を製造する本発
明の方法は、上記組成の鉄合金を800℃以上の温度で
保持した後急冷し、さらに200〜600℃で時効処理
することを特徴とする。
明の方法は、上記組成の鉄合金を800℃以上の温度で
保持した後急冷し、さらに200〜600℃で時効処理
することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】[1] 形状記憶合金の組成 本発明の形状記憶合金は、Ni15〜35重量%と、S
i1.5〜10重量%とを含み、残部Feと不可避的不
純物からなる。この合金は800℃以上の温度で焼入れ
を行うと、板状マルテンサイト組織が生成され、安定か
つ良好な形状記憶特性が得られる。
i1.5〜10重量%とを含み、残部Feと不可避的不
純物からなる。この合金は800℃以上の温度で焼入れ
を行うと、板状マルテンサイト組織が生成され、安定か
つ良好な形状記憶特性が得られる。
【0012】Ni元素を含有することにより、マルテン
サイト変態温度を下げて、母相(fcc相)を安定化さ
せることができる。Ni元素の添加量が15重量%未満
では板状マルテンサイト組織が生成されず、35重量%
を超えると、マルテンサイト変態温度が低下し、変態が
現れなくなるため、形状記憶特性が得られない。好まし
いNi元素の含有量は20〜32重量%である。
サイト変態温度を下げて、母相(fcc相)を安定化さ
せることができる。Ni元素の添加量が15重量%未満
では板状マルテンサイト組織が生成されず、35重量%
を超えると、マルテンサイト変態温度が低下し、変態が
現れなくなるため、形状記憶特性が得られない。好まし
いNi元素の含有量は20〜32重量%である。
【0013】Si元素は母相の積層欠陥エネルギーを低
下させ、板状マルテンサイト組織を生成しやすくする。
またNi3 Si相の析出により母相を強化する作用があ
る。Si元素の含有量はNi元素の組成によって変化す
るが、好ましいSi元素の含有量は4〜9重量%であ
る。
下させ、板状マルテンサイト組織を生成しやすくする。
またNi3 Si相の析出により母相を強化する作用があ
る。Si元素の含有量はNi元素の組成によって変化す
るが、好ましいSi元素の含有量は4〜9重量%であ
る。
【0014】本発明の形状記憶合金において、さらにC
o元素を30重量%以下含有することが好ましい。Co
元素を含有することにより、母相の剛性率を低下させる
とともに、変態歪みを減少させ、形状記憶特性を向上さ
せることができる。しかし、Co元素の含有量が30重
量%を超えると、冷間加工性が低下するので好ましくな
い。特に好ましいCo元素の含有量は0.01〜15重
量%である。
o元素を30重量%以下含有することが好ましい。Co
元素を含有することにより、母相の剛性率を低下させる
とともに、変態歪みを減少させ、形状記憶特性を向上さ
せることができる。しかし、Co元素の含有量が30重
量%を超えると、冷間加工性が低下するので好ましくな
い。特に好ましいCo元素の含有量は0.01〜15重
量%である。
【0015】上記成分以外に、本発明の形状記憶合金は
さらにBe、Cu、V、Mo、W、Nb、Ti、Al、
Zr、C、B、Cr及びMnからなる群より選ばれた一
種又は二種以上を含有することができる。これらの元素
の含有量は総計で0. 001〜15重量%であるのが好
ましく、0.001〜12重量%がより好ましく、0.
001〜10重量%が特に好ましい。これらの元素は、
結晶粒を微細化して形状記憶合金の強度を上げる効果を
発揮する。しかし、これら元素の含有量が15重量%を
超えると脆化するため好ましくない。
さらにBe、Cu、V、Mo、W、Nb、Ti、Al、
Zr、C、B、Cr及びMnからなる群より選ばれた一
種又は二種以上を含有することができる。これらの元素
の含有量は総計で0. 001〜15重量%であるのが好
ましく、0.001〜12重量%がより好ましく、0.
001〜10重量%が特に好ましい。これらの元素は、
結晶粒を微細化して形状記憶合金の強度を上げる効果を
発揮する。しかし、これら元素の含有量が15重量%を
超えると脆化するため好ましくない。
【0016】Be、Cuは固溶強化により母相の強度を
上げ、形状記憶特性を向上させる効果を有する元素であ
る。Be、Cuの好ましい含有量は1重量%以下であ
る。
上げ、形状記憶特性を向上させる効果を有する元素であ
る。Be、Cuの好ましい含有量は1重量%以下であ
る。
【0017】Ti、Al、Zr、V、Mo、W、Nbは
母相の積相欠陥エネルギーを低下させ、板状マルテンサ
イト組織を生成しやすくする。またNiとの金属間化合
物相の析出により母相を強化する作用がある。Ti、Z
r、V、Mo、W、Nbの好ましい含有量は10重量%
以下である。Alの好ましい含有量は5重量%以下であ
る。
母相の積相欠陥エネルギーを低下させ、板状マルテンサ
イト組織を生成しやすくする。またNiとの金属間化合
物相の析出により母相を強化する作用がある。Ti、Z
r、V、Mo、W、Nbの好ましい含有量は10重量%
以下である。Alの好ましい含有量は5重量%以下であ
る。
【0018】Bは通常Tiと複合添加し、結晶組織を微
細化する効果がある。Bの好ましい含有量は1重量%以
下である。
細化する効果がある。Bの好ましい含有量は1重量%以
下である。
【0019】Cはマルテンサイトの結晶構造を変化さ
せ、変態歪みを減少させ、形状記憶特性を向上させると
ともに、Ms点を低下させる効果を有し、高価なNiと
置換させる代替元素として有効である。Cの好ましい含
有量は1重量%である。Cは通常Tiと複合添加し、T
iCの形で結晶組織内に存在し、結晶粒を微細にする効
果を有する。
せ、変態歪みを減少させ、形状記憶特性を向上させると
ともに、Ms点を低下させる効果を有し、高価なNiと
置換させる代替元素として有効である。Cの好ましい含
有量は1重量%である。Cは通常Tiと複合添加し、T
iCの形で結晶組織内に存在し、結晶粒を微細にする効
果を有する。
【0020】Crは耐摩耗性及び耐食性を維持するのに
有効な元素である。Crの好ましい含有量は10重量%
以下である。
有効な元素である。Crの好ましい含有量は10重量%
以下である。
【0021】MnはMs点を低下させる効果を有し、高
価なNiと置換させる代替元素として有効である。Mn
の好ましい含有量は5重量%以下である。
価なNiと置換させる代替元素として有効である。Mn
の好ましい含有量は5重量%以下である。
【0022】[2] 形状記憶合金の製造方法 (a) 鉄合金の成形 上記組成の鉄合金を溶解鋳造し、熱間圧延、冷間圧延、
プレス等の加工で所望形状に成形する。本発明の組成を
有する鉄合金は熱間加工及び冷間加工性に富み、極細
線、箔等各種形状に容易に成形することができる。
プレス等の加工で所望形状に成形する。本発明の組成を
有する鉄合金は熱間加工及び冷間加工性に富み、極細
線、箔等各種形状に容易に成形することができる。
【0023】(b) 溶体化処理 次に、800℃以上、好ましくは900〜1200℃の
温度で加熱し、オーステナイト化を行う。加熱処理後、
50℃/秒以上の速度で急冷し、マルテンサイトの組織
を得る。冷却速度が50℃/秒未満であると、α相又は
σ相の析出が生じてしまい、形状記憶性が得られない。
好ましい冷却速度は200℃/秒以上である。
温度で加熱し、オーステナイト化を行う。加熱処理後、
50℃/秒以上の速度で急冷し、マルテンサイトの組織
を得る。冷却速度が50℃/秒未満であると、α相又は
σ相の析出が生じてしまい、形状記憶性が得られない。
好ましい冷却速度は200℃/秒以上である。
【0024】本発明の形状記憶合金において、溶体化処
理のみでも形状記憶特性が得られる。しかし、下記の時
効処理を行うことにより、Ni3 Si等の析出相が現
れ、母相が強化されるとともに、形状記憶特性が向上す
るので好ましい。
理のみでも形状記憶特性が得られる。しかし、下記の時
効処理を行うことにより、Ni3 Si等の析出相が現
れ、母相が強化されるとともに、形状記憶特性が向上す
るので好ましい。
【0025】(c) 時効処理 時効処理の温度は200〜600℃である。加熱温度は
200℃未満であると、Ni3 Si等の析出が不十分で
あり、時効処理の効果が得られない。逆に加熱温度が6
00℃以上であると、安定相であるα相又はσ相が析出
するので好ましくない。
200℃未満であると、Ni3 Si等の析出が不十分で
あり、時効処理の効果が得られない。逆に加熱温度が6
00℃以上であると、安定相であるα相又はσ相が析出
するので好ましくない。
【0026】時効処理時間は形状記憶合金の組成及び時
効処理温度により異なるが、1分間以上が好ましく、3
0分間〜100時間が特に好ましい。時効処理時間が1
分間未満では時効の効果が得られないが、時効処理時間
があまり長くてもα相が出現しやすくなり、形状記憶特
性が消失する。
効処理温度により異なるが、1分間以上が好ましく、3
0分間〜100時間が特に好ましい。時効処理時間が1
分間未満では時効の効果が得られないが、時効処理時間
があまり長くてもα相が出現しやすくなり、形状記憶特
性が消失する。
【0027】[3] 形状記憶合金の特性 本発明の形状記憶合金は、板状マルテンサイト組織を有
し、優れた形状記憶特性と超弾性を有する。本発明の形
状記憶合金の形状回復率は20%以上であり、特に時効
処理した場合、形状回復率は60%以上である。また、
降伏応力(0.2%耐力)は200MPa以上である。
し、優れた形状記憶特性と超弾性を有する。本発明の形
状記憶合金の形状回復率は20%以上であり、特に時効
処理した場合、形状回復率は60%以上である。また、
降伏応力(0.2%耐力)は200MPa以上である。
【0028】
【実施例】実施例1 表1に示す試料No. 1〜10の組成を有する鉄合金を溶
解し、平均140℃/分の冷却速度で凝固して鋳塊を得
た後、熱間圧延及び冷間圧延により直径0.2mm、長
さ200mmの板材を得た。得られた板材を1100℃
で10分熱処理した後、氷水中へ焼き入れして溶体処理
を行い、そして400℃の温度で表1に示す時間の時効
処理を行い、形状記憶合金の板材を得た。
解し、平均140℃/分の冷却速度で凝固して鋳塊を得
た後、熱間圧延及び冷間圧延により直径0.2mm、長
さ200mmの板材を得た。得られた板材を1100℃
で10分熱処理した後、氷水中へ焼き入れして溶体処理
を行い、そして400℃の温度で表1に示す時間の時効
処理を行い、形状記憶合金の板材を得た。
【0029】 表1 形状記憶合金の組成(重量%)及び時効処理時間 試料No. Fe Ni Si その他 時効処理時間 1 残部 28 7.5 0 2 残部 25 7.5 3 時間 3 残部 27 7 30 分間 4 残部 28 6.5 Co:10 0 5 残部 28 6.5 Co:10 6 時間 6 残部 27 6.5 Co:10 70 時間 7 残部 27.5 6.2 Co:15 60 時間 8 残部 28 6.5 Co:10, Cr:0.5 69 時間 9 残部 28 6.4 B:0.01 15 時間 10 残部 27 6.8 Cr:10 6 時間
【0030】得られた板材に対してそれぞれ以下の試験
を行い、機能特性の測定を行った。
を行い、機能特性の測定を行った。
【0031】(1) 硬さ マイクロビッカーズ硬度計を用いて硬さをそれぞれ測定
した。測定結果を表2に示す。
した。測定結果を表2に示す。
【0032】(2) 形状回復率 得られた板材を液体窒素中において直径10mmの丸棒
に巻きつけ、液体窒素から取り出した後、曲がった曲率
半径R0 を測定した。次に曲がった板材を600℃に加
熱し、形状回復を起こさせた後、板材の曲率半径R1 を
測定し、次式: 形状回復率(%)=100×(R1 −R0 )/R1 により形状回復率を計算した。形状回復率を表2に示
す。
に巻きつけ、液体窒素から取り出した後、曲がった曲率
半径R0 を測定した。次に曲がった板材を600℃に加
熱し、形状回復を起こさせた後、板材の曲率半径R1 を
測定し、次式: 形状回復率(%)=100×(R1 −R0 )/R1 により形状回復率を計算した。形状回復率を表2に示
す。
【0033】(3) 引張試験 JIS Z 2241に従って線材の引張試験を行い、引張強さ、
破断伸び及び降伏応力(0.2%耐力)を求めた。測定
結果を表3に示す。
破断伸び及び降伏応力(0.2%耐力)を求めた。測定
結果を表3に示す。
【0034】表2 形状記憶合金の機能特性試料No. 硬さ(Hv) 形状回復率(%) 1 173 5 2 187 28 3 211 29 4 193 31 5 225 48 6 271 72 7 288 95 8 297 93 9 214 50 10 202 42
【0035】 表3 形状記憶合金の引張試験の結果試料No. 引張強さ(MPa) 破断伸び(%) 0.2 %耐力(MPa) 1 418 64 159 2 456 62 215 3 528 61 296 4 469 66 269 5 560 57 356 6 612 53 403 7 601 48 398 8 625 43 432 9 545 60 371 10 532 63 302
【0036】表2及び表3からわかるように、試料No.
1〜10のいずれも形状記憶特性を示した。そのうち、
Co元素を含有する試料No. 4〜8はCoを含有しない
他の試料よりも高い形状回復率を示した。
1〜10のいずれも形状記憶特性を示した。そのうち、
Co元素を含有する試料No. 4〜8はCoを含有しない
他の試料よりも高い形状回復率を示した。
【0037】試料No.1で得られた板材のミクロ組織を光
学顕微鏡で観察した。図1は試料No.1のミクロ組織の光
学顕微鏡写真である。図1から板状マルテンサイト組織
が生成されていることがわかる。
学顕微鏡で観察した。図1は試料No.1のミクロ組織の光
学顕微鏡写真である。図1から板状マルテンサイト組織
が生成されていることがわかる。
【0038】実施例2 表1に示す試料No. 4及び6の組成を有する鉄合金を実
施例1と同じ方法で板材に成形し、実施例1と同じ条件
で焼入れした後、400℃の温度でそれぞれ0、5分
間、10分間、30分間、72時間の時効処理を行っ
た。得られた鉄合金の形状回復率を実施例1と同じ方法
で測定し、図2にプロットした。
施例1と同じ方法で板材に成形し、実施例1と同じ条件
で焼入れした後、400℃の温度でそれぞれ0、5分
間、10分間、30分間、72時間の時効処理を行っ
た。得られた鉄合金の形状回復率を実施例1と同じ方法
で測定し、図2にプロットした。
【0039】図2からわかるように、溶体化処理したま
までも両試料の形状回復率は20%又はそれ以上であ
り、形状記憶特性を示している。時効処理時間が長くな
るにつれて、形状回復率が著しく向上した。
までも両試料の形状回復率は20%又はそれ以上であ
り、形状記憶特性を示している。時効処理時間が長くな
るにつれて、形状回復率が著しく向上した。
【0040】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の形状記憶合
金はFe−Ni−Si基合金からなるため、材料のコス
トが低い上、加工性、耐食性に優れ、多様な形状に安価
に製造することができる。
金はFe−Ni−Si基合金からなるため、材料のコス
トが低い上、加工性、耐食性に優れ、多様な形状に安価
に製造することができる。
【図1】実施例1の試料No. 1で得られた形状記憶合金
線材の結晶組織を示す光学顕微鏡写真である。
線材の結晶組織を示す光学顕微鏡写真である。
【図2】実施例2における時効処理時間と形状回復率と
の関係を示すグラフである。
の関係を示すグラフである。
Claims (9)
- 【請求項1】 15〜35重量%のNiと、1.5〜1
0重量%のSiと、残部Fe及び不可避不純物とからな
ることを特徴とする形状記憶合金。 - 【請求項2】 請求項1に記載の形状記憶合金におい
て、さらに30重量%以下のCoを含有することを特徴
とする形状記憶合金。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の形状記憶合金に
おいて、さらにBe、Cu、V、Mo、W、Nb、T
i、Al、Zr、C、B、Cr、Mnからなる群より選
ばれた1種以上を合計で0. 001〜15重量%含有す
ることを特徴とする形状記憶合金。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の形状記
憶合金において、前記組成の鉄合金を800℃以上の温
度で溶体化処理してなることを特徴とする形状記憶合
金。 - 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の形状記
憶合金において、前記組成の鉄合金を800℃以上の温
度で溶体化処理し、さらに200〜600℃で時効処理
してなることを特徴とする形状記憶合金。 - 【請求項6】 15〜35重量%のNiと、1.5〜1
0重量%のSiと、残部Fe及び不可避不純物とからな
る鉄合金を800℃以上の温度で溶体化処理することを
特徴とする形状記憶合金の製造方法。 - 【請求項7】 15〜35重量%のNiと、1.5〜1
0重量%のSiと、残部Fe及び不可避不純物とからな
る鉄合金を800℃以上の温度で溶体化処理し、さらに
200〜600℃で時効処理することを特徴とする形状
記憶合金の製造方法。 - 【請求項8】 請求項6又は7に記載の形状記憶合金の
製造方法において、前記鉄合金はさらに30重量%以下
のCoを含有することを特徴とする形状記憶合金の製造
方法。 - 【請求項9】 請求項6〜8のいずれかに記載の形状記
憶合金の製造方法において、前記鉄合金はさらにBe、
Cu、V、Mo、W、Nb、Ti、Al、Zr、C、
B、Cr、Mnからなる群より選ばれた1種以上を合計
で0. 001〜15重量%含有することを特徴とする形
状記憶合金の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10187903A JP2000017395A (ja) | 1998-07-02 | 1998-07-02 | Fe系形状記憶合金及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10187903A JP2000017395A (ja) | 1998-07-02 | 1998-07-02 | Fe系形状記憶合金及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000017395A true JP2000017395A (ja) | 2000-01-18 |
Family
ID=16214226
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10187903A Pending JP2000017395A (ja) | 1998-07-02 | 1998-07-02 | Fe系形状記憶合金及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000017395A (ja) |
Cited By (11)
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