JP2000012213A - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法

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JP2000012213A
JP2000012213A JP10171673A JP17167398A JP2000012213A JP 2000012213 A JP2000012213 A JP 2000012213A JP 10171673 A JP10171673 A JP 10171673A JP 17167398 A JP17167398 A JP 17167398A JP 2000012213 A JP2000012213 A JP 2000012213A
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organic
film
polymer film
layer
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JP10171673A
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Koichi Katayama
康一 片山
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い発光効率を有し、発光安定性に優れ、素
子寿命も長いフレキシブルな有機EL素子を得る製造方
法を提供する。 【解決手段】 高分子フィルムの一面上に、必要に応じ
中間層、第一電極層、少なくとも一層の発光材料を含有
する有機層、第二電極層を順次設けてなり、第一電極層
および第二電極層の少なくとも一方が透明または半透明
であり、JISB 0601に基づいて測定される中心
線平均粗さRaが0.1〜20μmである研磨ロールを
用いて、高分子フィルムの表面を研磨して平坦化し、高
分子フィルムと第一電極層との界面、または第一電極層
と有機層との界面における0.5μm以上の異物または
突起物による欠陥の合計数が、前記素子1m2当たり1
00個以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、表示素子や発光
素子などとして利用される有機エレクトロルミネッセン
ス素子(以下、有機EL素子という)に関する。
【0002】
【従来の技術】 EL素子は、自己発光性であるため視
認性が高く、また完全固体素子であるため、耐衝撃性に
優れているなどの特徴を有することから、発光材料とし
て無機および有機化合物を用いた種々のEL素子が研
究、開発されている。
【0003】ところでEL素子の用途として、薄膜パネ
ル、ベルト状、円筒状などの種々の形状の例えば線、図
面、画像などの表示用途があり、このような用途に使用
するEL素子を作製するには、基板として、薄くかつフ
レキシブルな高分子フィルムを基板として用いるのが好
都合である。例えば特開平2−251429号公報に
は、基板である高分子フィルム上に透明導電性膜からな
る電極を形成し、この電極を一方の電極とし、対向する
もう1つの電極との間に有機化合物からなる発光層を含
む単一または複数層を設けることにより得られたフレキ
シブルな有機EL素子が開示されている。また特開平6
−124785号公報には高分子フィルム原料の純度向
上、フィルム作製環境の向上、成膜装置の改良、洗浄に
よる洗浄化などにより高分子フィルム表面における1μ
m以上の異物、突起物、穴、空孔などの欠陥数の合計が
1m2当たり100個以下とし、高い発光効率を有し、
その結果、発光安定性に優れ、素子寿命も長いフレキシ
ブルな有機EL素子が開示されている。
【0004】しかし上記の技術文献に記載の有機EL素
子は、高分子フィルム上の突起や異物などに関して、そ
れ自身に積極的に対処しておらず、また高分子フィルム
表面における1μm以上の異物、突起物、穴、空孔など
の欠陥数の合計が1m2当たり100個以下としても、
高分子フィルム上に設ける有機層が薄いため、表示素子
を作成した時、表示欠陥が生じ、未だ実用面で問題があ
った。また第一電極の表面抵抗が高いため表示素子を作
成した時、発光効率を低くする原因となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 従って本発明の目的
は、高い発光効率を有し、発光安定性に優れ、素子寿命
も長いフレキシブルな有機EL素子を得る製造方法を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するた
めに鋭意検討をした結果、高分子フィルム上に設けた電
極とからなる有機EL素子用支持基板において、上記電
極に面する高分子フィルムまたは積層フィルムの表面を
研磨することにより、高分子フィルムと電極との界面ま
たは積層フィルムと電極の界面および上記電極表面にお
ける0.5μm以上の異物、突起物などの欠陥の合計数
を1m 2当たり100個以下とすることにより、高い発
光効率を有し、発光安定性に優れ、素子寿命も長いフレ
キシブルな有機EL素子が得られることを見い出し、本
発明を完成した。
【0007】すなわち本発明に係る有機エレクトロルミ
ネッセンス素子(以下、有機EL素子(I)という)の
製造方法は、高分子フィルムの一面上に、第一電極層、
少なくとも一層の発光材料を含有する有機層、第二電極
層を順次設けてなり、第一電極層および第二電極層の少
なくとも一方が透明または半透明であり、JIS B0
601に基づいて測定される中心線平均粗さRaが0.
1〜20μmである研磨ロールを用いて、高分子フィル
ムの表面を研磨して平坦化し、高分子フィルムと第一電
極層との界面、または第一電極層の表面における0.5
μm以上の異物または突起物による欠陥の合計数が、前
記素子1m2当たり100個以下とすることを特徴とす
るものである。
【0008】また本発明に係る有機エレクトロルミネッ
センス素子(以下、有機EL素子(II)という)の製造
方法は、高分子フィルムの一面上に、中間層、第一電極
層、少なくとも一層の発光材料を含有する有機層、第二
電極層を順次設けてなり、第一電極層および第二電極層
の少なくとも一方が透明または半透明であり、JISB
0601に基づいて測定される中心線平均粗さRaが
0.1〜20μmである研磨ロールを用いて、高分子フ
ィルムの表面を研磨して平坦化し、高分子フィルムと第
一電極層との界面、または第一電極層の表面における
0.5μm以上の異物または突起物による欠陥の合計数
が、前記素子1m2当たり100個以下とすることを特
徴とするものである。
【0009】前記高分子フィルムが、ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルム(以
下、PENフィルムという)であることが好ましく、ま
た前記中間層が、エポキシ樹脂、ポリエステル、ウレタ
ン樹脂、メラミン樹脂、ポリアクリレートから選ばれた
有機樹脂、SiO2、Al23、SiN4から選ばれた無
機材料の少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0010】さらに前記第一電極層が、圧力勾配型放電
方式によるイオンプレーティング法により形成され、か
つ第一電極層が酸化インジウム−錫の焼結体からなり、
その表面抵抗が20Ω/□以下であることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の態様】 本発明の有機EL素子(I)お
よび(II)で使用する高分子フィルムとしては、延伸
法、溶融押し出し法、キャスト法等で製造される。高分
子フィルムの材質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリカーボネー
ト、セルロースアセテート、飽和ポリエステル、ポリア
ミド樹脂、ポリイミド、変性ポリフェニレンエーテル、
ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホ
ン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリパラキシレン、ポリエチレン−2,6−ナフタ
レンジカルボキシレート等を挙げることができるが、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが
好ましい。本発明で使用する高分子フィルムの厚さは、
10〜300μmである。
【0012】本発明で好ましく用いられるPENフィル
ムは、耐熱性が高いので、PENフィルム上に電極を蒸
着したとき、寸法安定性が非常に良く、表示素子を作製
する際の基盤の歪みによる欠陥を防ぐことができる。ま
たPENフィルムは耐熱性の高い方が良いので、二軸延
伸フィルムであることが望ましい。本発明で使用するP
ENフィルムの厚さは、10〜300μmである。
【0013】次に本発明の有機EL素子(I)に使用す
るPENフィルムの研磨方法は、研磨テープ、研磨布、
研磨ロールなどによる方法がある。そのうち好ましく
は、研磨ロールが使われる。この研磨ロールは、サンド
ブラスト法で作製し、JISB 0601に基づいて測
定される中心点粗さRaが0.1〜20μm、好ましく
は0.5〜10μmになるように作製する。
【0014】Raが0.1μmより小さい場合には、高
分子フィルム上の微細突起を研磨する能力が著しく低下
する。Raが20μmより大きい場合には、高分子フィ
ルムの表面の微細突起のみならず、他の平坦な部分も着
傷し易くなる。この研磨ロールの材質は、鉄、ステンレ
ス、黄銅、アルミニウム、セラミックなどを挙げること
ができるが、もちろんこれらに限定されるものではな
い。研磨ロールの直径は特に限定されることはないが、
好ましくは直径10〜1000mmである。直径10m
mより小さい場合には、研磨ロールが長手方向でたわみ
易くなることがあり、直径1000mmより大きい場合
には、研磨ロールの作製コストが高くなる。ただし、直
径10mmより小さくしても、たわみ防止の方法を用い
れば、使用することも可能である。
【0015】本発明の高分子フィルム上の突起、異物な
どを研磨ロールで研磨平坦化する方法は、回転した研磨
ロール上に高分子フィルムを搬送すれば良い。具体的に
は、塗工機のアプリケーターロールを前記研磨ロールに
交換した装置の使用が可能である。また高分子フィルム
上の微細突起の平坦化作業において、通常の塗料塗工時
に使用する塗料パンに洗浄溶媒を注入し、研磨ロールが
洗浄溶媒で濡れた状態で微細突起を研磨し、平坦化を行
うこともできる。このような洗浄溶媒を用いて微細突起
の平坦化作業を行うと、微細突起の研磨クズ等の高分子
フィルムへの付着を防止することができる。このため洗
浄溶媒を用いて平坦化を行うことが好ましい。洗浄溶媒
を用いて平坦化処理を行わない場合には、平坦化処理後
に洗浄溶媒による洗浄工程を設けることが好ましい。も
ちろん洗浄溶媒とともに平坦化処理を行った場合でも、
洗浄工程を設けることがさらに好ましい。
【0016】ここで用いる洗浄溶媒としては、水、超純
水、二酸化炭素水等の水系溶媒や、切削油、メタノー
ル、イソプロピルアルコール、トルエン、メチルイソブ
チルケトン、酢酸エチル、ヘキサン等の有機溶媒を挙げ
ることができるが、もちろんこれらに限定されることは
ない。洗浄溶媒に、洗浄効果を高めるため、界面活性剤
のような薬剤を洗浄溶媒に加えて使用することもでき
る。
【0017】研磨ロールの回転方向は正転でも逆転でも
良い。また高分子フィルムの搬送速度と研磨ロールの周
速は特に限定されることはないが、研磨ロールの周速R
r(分/m)と高分子フィルムの搬送速度Rf(分/
m)の比がRr/Rfが1以上であれば、より好まし
い。
【0018】このような平坦化処理の回数は、1回以上
行えば良く、回数が多いほど微細突起の平坦化の効果は
大きい。1回の平坦化処理において、レーザー顕微鏡で
測定される平均突起高さが0.5μmより大きい場合
は、複数回行えば目的とする高平坦性高分子フィルムを
製造することができる。
【0019】上記研磨した高分子フィルムを使用して、
有機EL素子を作製するが、先ず本発明の有機EL素子
(I)について説明する。
【0020】本発明の有機EL素子(I)においては、
前記のPENフィルム上に第一電極と、有機化合物から
なる発光材料を有する有機単層部または有機多層部の有
機層と、第二電極とを順次設けたものである。
【0021】すなわち、本発明の有機EL素子(I)に
おいては、PENフィルム上に設けた第一電極と、この
第一電極と対向する第二電極との間に有機化合物からな
る発光材料を有する有機単層部または有機多層部の有機
層が介在されている。そして上記二つの電極のうち、一
方が陽極を、他方が陰極を構成し、前者の陽極の材料と
しては、例えば、4eV以上と仕事関数の大きい金属、
合金、電気伝導性化合物またはこれらの混合物が好まし
く用いられる。具体例としてはAuのような金属、Cu
I、ITO、SnO2、ZnOなどの誘電性透明材料を
挙げることができる。これらは生産性、制御性の点から
圧力勾配型放電方式によるイオンプレーティング法によ
り形成されることが好ましい。
【0022】また陰極の材料としては、例えば、4eV
以下と仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物
またはこれらの混合物が好ましく用いられる。具体例と
しては、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、銅、イ
ンジウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム−
銅混合物、Al/Al23などである。
【0023】特にPENフィルム上に設けられる第一電
極の材料としてITOからなる導電性膜を用い、第一電
極を陽極として用いるのが望ましい。
【0024】本発明の有機EL素子(I)において、上
記二つの電極のうち少なくとも一方の電極は、透光性を
得るために、透明であることを必須とする。上記ITO
からなる導電性膜は透明であるので、この点でもPEN
フィルム上にITOからなる導電性膜を陽極として設け
るのが好ましい。陽極の厚さは、光透過率を高める観点
から100〜1500nmとするのが好ましい。また発
光効率をよくするため、陽極の表面抵抗は、20Ω/□
以下が好ましい。
【0025】本発明の有機EL素子(I)において、上
記二つの電極間に介在される有機単層部または有機多層
部の有機層は、少なくとも有機化合物からなる発光層を
有し、有機多層部の有機層の構成としては、発光層のみ
からなるもの、発光層と正孔注入層とからなるもの、電
子注入層と発光層とからなるもの、電子注入層と発光層
と正孔注入層とからなるもの、これらの機能を有する材
料を混合したもの、あるいは高分子に分散したものなど
を挙げることができる。なお、多層構成の場合、この有
機多層部の構成順序は電極の極性により逆となっても良
い。
【0026】発光層、正孔注入層、電子注入層の材料は
従来公知の材料が用いられる。例えば、発光層の材料と
して使用可能な有機化合物としては、ベンゾチアゾール
系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系など
の蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物、ス
チリルベンゼン系化合物、ジスチリルピラジン誘導体、
芳香族ジメチリジン化合物などが挙げられる。
【0027】正孔注入層の材料としては、例えばトリア
ゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール
誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導
体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、ア
リールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキ
サゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオ
レン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シ
ラザン誘導体、ポリシラン系化合物、アニリン系共重合
体、チオフェンオリゴマーなどの特定の導電性高分子オ
リゴマーなどを挙げることができる。
【0028】電子注入層の材料としては、ニトロ置換フ
ルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフ
ェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナ
フタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水
物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、
アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、オキ
サジアゾール誘導体、8−キノリノール誘導体その他特
定の電子伝達性化合物などを挙げることができる。
【0029】有機単層部または有機多層部の有機層の作
成方法としては、特に制限はなく、各種物理的または化
学的な薄膜形成法を用いることができる。具体的には真
空蒸着法、昇華法、塗布法、キャスト法、スピンコート
法、LB法などがある。
【0030】上記構成からなる本発明の有機EL素子
(I)において、PENフィルムと第一電極との界面お
よび第一電極の表面における0.5μm以上の異物、突
起物などの欠陥の合計数は1m2当たり100個以下と
する。これは、上記各種欠陥の合計数が、1m2当たり
100個より多くなると、発光効率が低く、発光安定性
が劣るだけではなく、曲面などに変形すると、短絡など
の問題が生じることがある。一方、1m2当たり100
個以下であると、発光効率、発光安定性ともに優れ、ま
た曲面などに変形しても性能が変化しない。各種欠陥の
合計数は1m2当たり80個以下であることが特に好ま
しい。
【0031】なお、上記0.5μm以上の異物、突起物
などの欠陥の合計数の測定法としては、顕微鏡下での観
察、電子顕微鏡による観察、走査型トンネル顕微鏡によ
る観察、触針式膜厚計もしくは表面粗さ計による測定、
光干渉計による評価などがある。評価法としては、これ
らのうち一つを用いればよいが、より精度を上げるため
には二種類以上の方法で行うことが好ましい。
【0032】本発明の有機EL素子(I)は、上述のよ
うにPENフィルムと、その一面上に設けた電極とから
なる支持基板における0.5μm以上の異物、突起など
の欠陥の合計数を1m2当たり100個以下に限定する
ことにより、高い発光効率を有し、その結果、発光安定
性に優れ、素子寿命も長いという顕著な効果が得られ
る。
【0033】次に本発明の有機EL素子(II)について
説明する。この有機EL素子(II)が、上述の有機EL
素子(I)と異なる点は、PENフィルムを単独で基盤
として用いる替わりに、PENフィルム上に有機または
無機材料膜を積層した積層フィルムを用いて、この積層
フィルムを研磨している点だけであり、他の要件は同一
である。従って上記積層フィルムについてのみ説明す
る。
【0034】本発明の有機EL素子(II)において、積
層フィルムはPENフィルム上に、中間層として有機ま
たは無機材料膜を積層したものである。このPENフィ
ルム上に積層される中間層用の有機または無機材料膜用
の材料としては、PENフィルム上に数μmで薄く積層
できる材料であれば、いかなる材料でも使用可能であ
る。具体例としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ウ
レタン樹脂、メラミン樹脂、ポリアクリレートなどの有
機樹脂、SiO2、Al23などの無機酸化物、SiN4
などの無機窒化物などが挙げられる。これら有機または
無機材料のPENフィルムへの積層は、塗布法、蒸着
法、スパッタ法などの任意の方法で行うことが出来る。
【0035】本発明の有機EL素子(II)における積層
フィルムの膜厚は、積層フィルムのフレキシブル性を十
分に活用するため、前記有機EL素子(I)におけるP
ENフィルムの膜厚と同様に10〜300μmであるこ
とが好ましい。
【0036】有機EL素子(II)においても、有機EL
素子(I)の製造と同様に基板を研磨することにより、
積層フィルムと第一電極との界面および第一電極の表面
における0.5μm以上の異物、突起物などの欠陥の合
計数が1m2当たり100個以下とするので、有機EL
素子(I)と同様に発光効率、発光安定性に優れ、また
曲面などに変形しても性能が変化しないという顕著な効
果が発現する。
【0037】
【実施例】 以下、本発明を実施例によりさらに具体的
に説明する。なお高分子フィルムとしてアイ・シー・ア
イ・ジャパン社製のPENフィルム(厚さ125μm)
を用いた。
【0038】実施例1 先ず、下記に示す要領で高平坦なPENフィルムを作成
した。 サンドブラスト法により直径100mm、長さ1mの
アルミニウムロッド表面に凹凸をつけた後、表面にチタ
ンメッキを施して研磨ロールを作成した。この研磨ロー
ルの表面粗さをJIS B 0601に基づいて測定し
た中心点平均粗さRaは0.67μmであった。 メイヤーバーコーターのアプケーターロールの代わり
にで作成した研磨ロールを取り付け、塗料パンに純水
を注入した。PENフィルムの搬送速度を1m/分、研
磨ロールは正転、周速を10m/分として研磨平坦化処
理を行った。処理したPENフィルムは研磨平坦化処理
前後でレーザー顕微鏡(キーエンス社製)にて突起の高
さを測定した。また中心点平均粗さも測定した。
【0039】次いで、研磨済みPENフィルム上に、I
TOを圧力勾配型放電方式によるイオンプレーティング
法により180nm成膜し、表面抵抗19Ω/□を得
た。こうして得たITO膜付きPENフィルムをサイズ
20mm×50mmとし、クリーンルーム内で次の要領
で洗浄した。
【0040】上記ITO膜付きPENを先ず汎用液体洗
剤中で10分間、次に純粋中で10分間、次いでイソプ
ロピルアルコール(以下、IPAという)で10分間、
最後にアセトンで10分間超音波洗浄した。キーエンス
社製レーザー顕微鏡VZ−7700を用いて、洗浄後の
ITO膜付きPENフィルム上の0.5μm以上の異
物、突起物などの欠陥数を測定すると、1m2当たり5
3個であった。
【0041】このITO膜付きPENフィルムを使用し
て、有機EL素子を作成した。上記PENフィルムを市
販の蒸着装置(日本真空技術社製)の基本ホルダーに固
定し、モリブデン製の抵抗加熱ボートに、N,N’−ビ
ス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル
(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(以下
TPDという)を100mg入れ、また別のモリブデン
製ボートに、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビ
ニル)ビフェニル(以下DPVBiという)を100m
gを入れて真空槽を1×10-4Paまで減圧した。その
後TPD入りの前記ボートを215〜220℃まで加熱
し、TPDを蒸着速度0.1〜0.3nm/秒でPEN
フィルム上に蒸着し、膜厚40nmの正孔注入層を成膜
させた。これを真空層より取り出すことなく、正孔注入
層の上に、もう一つのボートよりDPVBiを発光層と
して40nm積層蒸着した。蒸着条件はボートの温度が
240℃で蒸着速度は0.1〜0.3nm/秒であっ
た。これを真空槽から取り出し、上記発光層上にステン
レススチール製のマスクを設置し、再び基板ホルダーに
固定した。次にモリブデン製ボートに、トリス(8−キ
ノリノール)アルミニウム(以下、Alq3という)を
100mg入れて真空槽に装着した。さらに、モリブデ
ン製の抵抗加熱ボートにマグネシウムリボン500mg
を入れ装着した。その後、真空槽を1×10-4Paまで
減圧して、Alq3の入ったモリブデンボートを230
℃まで加熱し0.01〜0.03nm/秒の蒸着速度
で、20nm蒸着した。さらにタングステンバスケット
から銀を0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、同時に抵
抗加熱法によりもう一方のモリブデンボートからマグネ
シウムを1.4nm/秒の蒸着速度でそれぞれ蒸着し
た。上記条件でマグネシウムと銀の混合金属を150n
m積層蒸着し、対向電極とした。
【0042】この様にして、PENフィルム上に第一電
極層としてITO膜(透明導電性膜)、有機層としてT
PD膜(正孔注入層)、DPVBi(発光層)、Alq
3(電子輸送層)、および第二電極層としてマグネシウ
ムと銀の混合金属電極(陰極)を順次設けた有機EL素
子を得た。
【0043】得られた有機EL素子を乾燥空気中で発光
させたところ、5V、2.0mA/cm2で輝度300
cd/m2の均一な発光が得られた。
【0044】実施例2 PENフィルム上にITOを360nm成膜した以外
は、実施例1と同様に行った。表面抵抗は10Ω/□で
あった。研磨してITOを成膜したPENフィルム上の
0.5μm以上の異物、突起物などの欠陥数を測定する
と、1m2当たり70個であった。得られた有機EL素
子を乾燥空気中で発光させたところ、5V、0.8mA
/cm2で150cd/m2の均一な発光が得られた。
【0045】比較例1 PENフィルムの研磨を行わなかった以外は、実施例1
と同様に行った。研磨してITOを成膜したPENフィ
ルム上の0.5μm以上の異物、突起物などの欠陥数を
測定すると、1m2当たり240個であった。得られた
有機EL素子を乾燥空気中で発光させたところ、5V、
120mA/cm2で50cd/m2の不均一な発光であ
った。
【0046】比較例2 PENフィルムの替わりにアイ・シー・アイ・ジャパン
社製のポリエチレンテレフタレート(PETフィルム)
を使用した以外は、実施例1と同様に行った。研磨して
ITOを成膜したPETフィルム上の0.5μm以上の
異物、突起物などの欠陥数を測定すると、1m2当たり
125個であった。また基板はカールが発生した。得ら
れた有機EL素子を乾燥空気中で発光させたところ、5
V、24mA/cm2で70cd/m2の不均一な発光で
あった。
【0047】比較例3 PENフィルム上にITOを110nm成膜した以外
は、実施例1と同様に行った。表面抵抗は50Ω/□で
あった。研磨してITOを成膜したPENフィルム上の
0.5μm以上の異物、突起物などの欠陥数を測定する
と、1m2当たり70個であった。得られた有機EL素
子を乾燥空気中で発光させたところ、5V、8mA/c
2で120cd/m2の均一な発光であった。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】 本発明に係る製造方法により有機EL
素子を作製すると、高い発光効率を有し、発光安定性に
優れ、素子寿命も長いフレキシブルな有機EL素子が得
られ、その産業上極めて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 有機EL素子の断面構成図である。
【符号の説明】
1・・・PENフィルム 2・・・透明導電膜からなる電極層(第一電極層) 3・・・有機化合物薄膜層(有機層) 4・・・第二電極層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子フィルムの一面上に、第一電極
    層、少なくとも一層の発光材料を含有する有機層、第二
    電極層を順次設けてなり、第一電極層および第二電極層
    の少なくとも一方が透明または半透明である有機エレク
    トロルミネッセンス素子の製造方法において、JIS
    B 0601に基づいて測定される中心線平均粗さRa
    が0.1〜20μmである研磨ロールを用いて、高分子
    フィルムの表面を研磨して平坦化し、高分子フィルムと
    第一電極層との界面、または第一電極層の表面における
    0.5μm以上の異物または突起物による欠陥の合計数
    が、前記素子1m2当たり100個以下とすることを特
    徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 高分子フィルムの一面上に、中間層、第
    一電極層、少なくとも一層の発光材料を含有する有機
    層、第二電極層を順次設けてなり、第一電極層および第
    二電極層の少なくとも一方が透明または半透明である有
    機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
    JIS B 0601に基づいて測定される中心線平均
    粗さRaが0.1〜20μmである研磨ロールを用い
    て、高分子フィルムの表面を研磨して平坦化し、高分子
    フィルムと第一電極層との界面、または第一電極層の表
    面における0.5μm以上の異物または突起物による欠
    陥の合計数が、前記素子1m2当たり100個以下とす
    ることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記高分子フィルムが、ポリエチレン−
    2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムである
    請求項1または2記載の有機エレクトロルミネッセンス
    素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記中間層が、エポキシ樹脂、ポリエス
    テル、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリアクリレート
    から選ばれた有機樹脂、SiO2、Al23、SiN4
    ら選ばれた無機材料の少なくとも1種を含有する請求項
    2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記第一電極層が、圧力勾配型放電方式
    によるイオンプレーティング法により形成され、かつ第
    一電極層が酸化インジウム−錫の焼結体からなり、その
    表面抵抗が20Ω/□以下である請求項1から4記載の
    有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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