JP2000007309A - 多孔質酸化物粉末の製造方法 - Google Patents

多孔質酸化物粉末の製造方法

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JP2000007309A
JP2000007309A JP10172795A JP17279598A JP2000007309A JP 2000007309 A JP2000007309 A JP 2000007309A JP 10172795 A JP10172795 A JP 10172795A JP 17279598 A JP17279598 A JP 17279598A JP 2000007309 A JP2000007309 A JP 2000007309A
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Takao Tani
孝夫 谷
Kazumasa Takatori
一雅 鷹取
Nobuo Kamiya
信雄 神谷
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  • Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単なプロセスで比表面積が大きい多孔質酸
化物粉末を得る。 【解決手段】 金属塩が溶解した水溶液を有機溶媒およ
び分散剤と混合しw/o型エマルジョンを形成する工程
と、前記w/o型エマルジョンを噴霧、燃焼させ酸化物
粉末を合成する工程において、エマルジョンの噴霧、燃
焼条件を適宜に選択することにより、酸化反応の進行が
不十分な状態の酸化物粒子が得られる。この工程で合成
された酸化物粒子に水を含有する溶液と接触させる工程
により、この合成粒子の結晶子表面に残留する水酸基、
未分解金属塩の結合が切れ、粉末表面に多孔質構造が出
現するため、比表面積が飛躍的に向上する。また、燃焼
条件、水溶液の種類等によって、比表面積が制御可能で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルミナあるいはシ
リカ等の多孔質酸化物粉末の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多孔質のアルミナは、各種の担体、吸着
剤、塗料、添加剤として有用である。また、シリカ、ア
ルミナ等のセラミックス原料粉末中には、ボールミル混
合では容易に粉砕されない凝集体が含まれることがあ
る。そのため、アルミナあるいはシリカ等の多孔質酸化
物粉末の製造方法が、従来から数多く提案されている。
【0003】例えば、特開平1−32196号公報の低
嵩密度アルミナの製造方法の発明(以下第1の従来技術
という。)においては、pH6〜11、50℃以上の条
件で形成されたアルミナヒドロゲルに、アルミナヒドロ
ゲル形成物質を、温度50℃以上及びpH6〜11の条
件下及び硫酸根の共存下で添加し、結晶成長し、疎凝集
体を形成する擬ベーマイトゲルを得ると共に、このベー
マイトゲルを水洗後、噴霧乾燥し、焼成することによ
り、低嵩密度のアルミナを製造している。
【0004】また、特公平1−16773号公報のアル
ミナの製造方法(以下第2の従来技術という。)におい
ては、種子水酸化アルミニウムを含有スラリーを50℃
以上の温度に保持し、沈殿イオンを実質的に含有しない
酸又はアルカリを加えて該水溶液のpHを5以下あるい
は11以下にしたのち、アルミニウムを含有する中和剤
を加えてpH6〜11に調節することを複数回繰り返す
ことを要旨とする。
【0005】さらに、特開平6−285358号公報の
除放性金属酸化物中空微粒子およびその製造方法(以下
第3の従来技術という。)は、一種類又は複数種類の金
属塩を含む溶液を平均液滴が0.1〜500μmの液滴
とし、該液滴をキャリアガスを用いて気液混相の状態で
高温反応炉に送り、該反応炉内部で液滴に含まれる金属
塩を熱分解して多孔質かつ中空構造を有する金属酸化物
中空微粒子を生成した後、該微粒子内部が外側より低い
圧力となる条件下で、一種類または複数種類の液状物質
と該微粒子を接触させることにより、該微粒子の多孔内
部および/または中空部内に液状物質を含有させること
を特徴とする。
【0006】また、特開平9−294929号公報の多
孔性中空粒子及びその製造方法の発明(以下第4の従来
技術という。)では、固形成分を含有する第一の連続相
内に第一の分散相が分散したプライマリーエマルジョン
であって、該第一の連続相中に気体が加圧溶解されるて
いるプライマリーエマルジョンを第2の分散相としこれ
を更に第二の連続相内に分散させることによってセカン
ダリーエマルジョンを製造し、このセカンダリーエマル
ジョンを常圧状態にして中空粒子を形成した後、前記固
化成分を固化させてから前記プライマリーエマルジョン
の前記第一の分散相部分を除去することにより多孔性中
空粒子を製造する方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記第
1の従来技術においては、アルミナヒドロゲルを形成す
るために、pHを6〜11に規制する必要があり、また
疎凝集体を形成する擬ベーマイトゲルを得るため、pH
6〜11の条件で硫酸根共存下で結晶成長する必要があ
り、工程中でのpH制御を伴うと共に、工程自体が極め
て煩雑である。
【0008】また、第2の従来技術においても、種子水
酸化アルミニウムを含有する水性スラリーに、酸または
アルカリを加えてpHを5以下あるいは11以上にした
のち、アルミニウムを含有する中和剤を加えてpH6〜
11に調節することを繰り返すものであり、前記第1の
従来技術と同様に、複雑なpH制御を伴うという問題点
がある。さらに、いずれの従来技術も、元素種によって
沈殿pHが異なるため、一般的に複合酸化物粉末合成に
対しては適応しにくい。
【0009】噴霧熱分解法を用いる第3の従来技術にお
いては、サブミクロンの粉末を得るために噴霧液滴を小
さく(〜1μm)すると、金属酸化物中空微粒子の生成
効率が悪くなる。逆に効率的な噴霧条件(噴霧液滴〜1
0μm)で、サブミクロンの微細粉末を得ようとする
と、溶液中の金属塩濃度を薄くする必要があり、同様に
効率が悪い。
【0010】また、第4の従来技術も、工程が多く、プ
ロセスが煩雑であるという欠点がある。さらに、前記第
1〜第4の従来技術の他にも多孔質酸化物粉末の合成法
は多くあるが、いずれもプロセスが煩雑であったり、高
コストであるという問題点があった。
【0011】本発明は多孔質酸化物粉末の製造方法にお
ける従来技術の前記のごとき問題点を解決するためにな
されたものであって、簡単な方法でしかも低コストで、
高比表面積を有する多孔質酸化物粉末の製造方法を提供
することを目的とする。
【0012】発明者等は前記課題を解決するため、低コ
ストで簡単にサブミクロンの酸化物粉末を合成する方法
として、エマルジョン燃焼法に着目した。しかし、この
方法は非常に優れた酸化物粉末の合成方法であるが、高
比表面積な多孔質酸化物はこれまで合成できていなかっ
た。例えば、エマルジョン燃焼合成した中空状アルミナ
粉末においても、比表面積は50m2/g程度であり、
溶液法で合成したアルミナよりも小さかった。
【0013】そこで、発明者等はさらに研究を重ねた結
果、エマルジョン燃焼法により、酸化物粉末を製造する
場合、燃焼条件等の制御により、酸化物反応の進行を不
十分な状態にすると、個々の結晶粒子表面は完全には酸
化、結合せず、局所的には結晶粒子表面に水酸基、未分
解金属塩等が残留し、このような粉末を水を含有する溶
液と接触させる水処理のプロセスを施すと、残留水酸基
等によって弱く結合していた部分の結合が切れ、粉末表
面に多孔質構造が形成されることを新たに知見して本発
明を完成した。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の多孔質酸化物粉
末の製造方法は、金属塩が溶解した水溶液を有機溶媒お
よび分散剤と混合しw/o型エマルジョンを形成する工
程と、前記w/o型エマルジョンを噴霧、燃焼させ酸化
物粉末を合成する工程と、前記工程で合成された前記酸
化物粉末を水を含有する溶液と接触させる工程とからな
ることを特徴とする。
【0015】上記エマルジョンを噴霧焼成させ合成した
酸化物粉末は、中空状であることが望ましい。エマルジ
ョン燃焼合成した粉末を、水を含有する溶液と接触させ
るプロセス(以下水処理と称する。)による粒子の構造
変化は粒子表面で発生する。従って、粒子体積に対して
表面の占める割合が小さい中実粒子では、水処理による
効果は小さい。一方、エマルジョン燃焼合成した中空状
粒子は表面殻の厚さが非常に薄いため、粒子体積に対し
て表面の占める割合が非常に大きく、水処理による効果
が大きくなる。
【0016】合成する酸化物粉末の組成は、特に限定さ
れない。例えば、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコ
ニアのような単純酸化物であってもいいし、これらの元
素に1種類以上の元素を添加した例えばスピネルのよう
な複合酸化物でも良い。
【0017】原料として使用する金属塩の種類は限定さ
れない。金属硝酸塩、金属酢酸塩等の水溶性の金属塩で
あれば良い。また、金属塩水溶液の金属塩濃度は限定さ
れない。金属塩の溶解度に応じて、適切な濃度を設定す
れば良い。但し、濃度が極端に薄いと粉末の合成効率が
悪くなり、低コストという本プロセスのメリットが損な
われ、望ましくない。
【0018】使用する有機溶媒の種類は限定されない。
ヘキサン、オクタン、ケロシン、ガソリン等のように、
水溶液とw/o型エマルジョンを作製可能な有機溶媒で
あれば良い。使用する分散剤の種類及び添加量は限定さ
れない。カチオン性界面活性剤、アニオン系界面活性
剤、ノニオン系界面活性剤のいずれでも良く、水溶液、
有機溶媒の種類及び必要とする水滴径に応じて、分散剤
の種類および添加量を変化させればよい。
【0019】エマルジョン作製時に混合する水溶液成分
と有機溶媒成分との混合比は、特に限定されない。しか
しながら、混合する水の比率が70%を越えると、エマ
ルジョンの分散相と分散媒が転相する場合がある。w/
o型エマルジョンを安定に得るためには、水の比率は7
0%以下が望ましい。
【0020】エマルジョン中の水滴径は、分散剤の種類
および添加量によって任意に制御でき、特に限定されな
い。しかしながら、中空状粒子の方が望ましいことを考
慮すれば、水滴径は100nm以上が望ましい。一方、
水滴径が10μmより大きいと、反応場が大きすぎてエ
マルジョン燃焼時に温度分布ができやすく、また燃焼が
不安定となる。従って、水滴径は10μm以下が望まし
い。
【0021】燃焼温度は、エマルジョン中の有機溶媒の
種類および混合比、エマルジョン流量、供給酸素量等に
より制御できる。燃焼温度はとくに限定されないが、6
00〜1000℃が望ましい。600℃以下では燃焼温
度が低すぎて、有機溶媒が完全に燃焼しない恐れがあ
る。一方、1000℃を越えると、金属塩の酸化反応が
完全に進行してしまう場合があり、水処理の効果がなく
なる恐れがある。燃焼雰囲気は特に限定されないが、酸
素が十分でないと、不完全燃焼によって有機溶媒中の炭
素成分が残留するおそれがある。従って、エマルジョン
中の有機溶媒が完全燃焼できる程度の酸素(空気)を供
給することが望ましい。
【0022】金属塩の酸化反応は、エマルジョン燃焼合
成時の温度を変化させることにより制御可能である。一
方、必要とする粉末組成、粉末形状等の関係で反応温度
を変化させられない場合も、合成粉末を電気炉で熱処理
することにより、酸化反応の進行状態を制御することが
可能である。この場合の熱処理温度、熱処理時間、熱処
理雰囲気等は特に限定されない。
【0023】水処理に使用する溶液の種類は、水を含有
するという以外には、特に限定されない。中性の水であ
っても良いし、硝酸、塩酸等の酸性溶液、アンモニア
水、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性溶液を用い
ても良い。さらに、これらの溶液とエタノール等の水溶
性有機溶媒を任意の割合で混合した容液であっても良
い。また、水処理温度、水処理時間は特に限定されな
い。これら溶液の種類、水処理温度、水処理時間を変化
させることによって、表面構造の状態を制御することが
できる。水を含有する溶液と接触させる方法について
も、特に限定されない。例えば合成された酸化物粉末を
水を含有する溶液と混合しても良いし、あるいは噴霧さ
れた溶液と接触されても良い。
【0024】
【作用】エマルジョン燃焼法は、w/o型エマルジョン
中の有機溶媒燃焼によって、金属塩を含む水滴の加熱、
水蒸発、金属塩酸化が瞬時に発生する短時間プロセスで
ある。酸化物粒子は1)水滴表面での水蒸発、2)水滴
収縮と水滴表面での結晶子の核生成、3)核生成した結
晶子の成長と焼結、というメカニズムにより合成される
と考えられる。この際、水滴収縮と結晶子焼結の速度等
によって、合成粒子が中実粒子になる場合と、中空粒子
になる場合とがある。
【0025】合成粉末の組成、有機溶媒の種類、燃焼条
件にもよるが、酸化反応が十分に進行する条件では、水
滴表面で核生成、成長した数十nm以下の酸化物結晶子
同志が完全に結合し、一つの酸化物粒子が合成される。
一方、酸化反応が十分に進行しない場合には、個々の結
晶子表面は完全に酸化、結合しておらず、局所的には結
晶子表面に水酸基、未分解金属塩等が残留する場合があ
ると考えられる。後者の場合、水処理を行うと、残留水
酸基等によって弱く結合していた部分の結合が切れ、粒
子表面に多孔質構造ができると考えられる。
【0026】
【発明の実施の形態】(実施例1)市販硝酸アルミニウ
ムをイオン交換水に溶解させて作製した0.1〜2mo
l/Lの硝酸アルミニウム水溶液を水相とした。市販ケ
ロシンを有機溶媒とした。分散剤としては、太陽化学
(株)製サンソフトNo.818Hを用いた。添加量は
ケロシンに対して5〜10wt%とした。この分散剤入
りのケロシンを油相とした。水相と油相を、水相/油相
=50〜70/50〜30(vol%)となるように混
合した。混合溶液をホモジナイザを用いて1000〜2
0000rpmの回転数で5〜30分間攪拌し、w/o
型エマルジョンを得た。光学顕微鏡観察の結果から、エ
マルジョン中の水滴径は約1〜2μmであった。
【0027】作製した混合エマルジョンを、エマルジョ
ン燃焼反応装置を用いて噴霧、燃焼させ、酸化物粉末を
合成した。合成は噴霧したエマルジョンが完全燃焼し、
かつ火炎温度が600〜800℃の一定温度になるよう
に、エマルジョン流量、空気量(酸素量)等を制御した
状態で行った。得られた粉末を反応管後部に設置したバ
グフィルタで回収した。TEM観察の結果、この条件で
合成したアルミナ粉末は、表面殻厚さ10〜20nmの
中空状粒子であった。
【0028】合成粉末を1〜10gを、イオン交換水1
0〜1000ccと混合した。得られたサスペンション
をマグネチックスターラを用い、常温で1〜240分間
攪拌した。攪拌後のサスペンションを濾過し、更にイオ
ン交換水で数回洗浄した。濾紙に残留した粉末を乾燥、
解砕し、形状観察(SEM)および比表面測定(BE
T)を実施した。図1のSEM写真は本実施例1の水処
理後に得られた粒子構造を示す写真である。
【0029】(比較例1)水処理を行わなかったこと以
外は上記実施例1と同様にして、エマルジョン燃焼合成
した粉末を作製した。この比較例1の粉末につき、実施
例1と同様の評価を行った。図2のSEM写真は水処理
前のエマルジョン燃焼合成粉末の粒子構造を示す写真で
ある。
【0030】(試験結果)図2の写真から明らかなよう
に、粒子表面が非常に滑らかであることがわかる。ま
た、粉末の比表面積は46m2/gであった。この値
は、表面殻は滑らか、比表面積測定時に表面殻両側(内
側、外側)に窒素吸着発生、という仮定の基で、1水滴
中のアルミニウムイオン量、合成粉末粒径、表面殻厚
さ、密度から計算した比表面積とほぼ対応していた。従
って、比表面積の点からも粒子表面は滑らかと考えられ
た。それに対して、実施例1の水処理粉末では、図1の
ように滑らかな表面構造が崩れ、数十nmオーダの凹凸
構造が現れていることがわかる。
【0031】(実施例2〜4)実施例2として、実施例
1でエマルジョン燃焼合成した粉末を、水処理溶液をイ
オン交換水から1mol/Lの硝酸水溶液に変更する以
外は、実施例と同じプロセスで水処理および比表面積測
定を行った。実施例3として、実施例1でエマルジョン
燃焼合成した粉末を、水処理溶液をイオン交換水から1
mol/Lのアンモニア水溶液に変更する以外は、実施
例1と同じプロセスで水処理および比表面積測定を行っ
た。実施例4として、実施例1でエマルジョン燃焼合成
した粉末を、水処理溶液をイオン交換水からイオン交換
水、エタノールの混合溶液(体積比で1:1)に変更す
る以外は、実施例1と同じプロセスで水処理および比表
面積測定を行った。
【0032】(実施例5〜7、比較例2)実施例1で作
製するエマルジョン中の水相を、0.1〜2mol/L
硝酸アルミニウム水溶液から0.1〜2mol/Lの硝
酸アルミニウム、硝酸ナトリウム混合水溶液(混合比;
モル比でNa/Al=1/99)に変更し、Na含有ア
ルミナを実施例1と同じ条件で合成した。なお、合成粉
末は実施例1と同様に表面殻が非常に薄い中空状粒子で
あった。得られた合成粉末のうちその後の水処理を行わ
ない合成粉末を比較例2とし比表面積を測定し、実施例
5〜7として得られた合成粉末にそれぞれ下記の水処理
を施した後、比表面積を測定した。
【0033】実施例5として、この合成粉末を実施例1
と同じく、イオン交換水を用いて水処理し、比表面積測
定を行った。実施例6として、この合成粉末を実施例2
と同じく、1mol/Lの硝酸水溶液を用いて水処理
し、比表面積測定を行った。実施例7として、この合成
粉末を実施例3と同じく、1mol/Lのアンモニア水
溶液を用いて水処理し、比表面積測定を行った。
【0034】(実施例8〜10、比較例3)実施例1で
作製するエマルジョン中の水相を、0.1〜2mol/
Lの硝酸アルミニウム水溶液から0.1〜2mol/L
の硝酸アルミニウム、硝酸マグネシウム混合水溶液(混
合比:モル比でMg/Al=1/99)に変更し、Mg
含有アルミナを実施例1と同じ条件で合成した。なお、
合成粉末は実施例1と同様、表面殻が非常に薄い中空状
粒子であった。得られた合成粉末の一部を比較例3とし
比表面積を測定し、残余の合成粉末に対して、下記のご
とき水処理を施し、実施例8〜10として比表面積を測
定した。
【0035】すなわち、実施例8として、得られた合成
粉末を、実施例1と同じく、イオン交換水を用いて水処
理し、比表面積測定を行った。実施例9として、得られ
た合成粉末を実施例2と同じく、1mol/Lの硝酸水
溶液を用いて水処理し、比表面積測定を行った。実施例
10として、得られた合成粉末を、実施例3と同じく、
1mol/Lのアンモニア水溶液を用いて水処理し、比
表面積測定を行った。以上の実施例1〜10および比較
例1〜3で測定された比表面積を表1にまとめて示し
た。
【0036】
【表1】
【0037】表1に示したように、本発明の実施例であ
る実施例1〜10の水処理後粉末の比表面積は、比較例
である比較例1〜3の水処理前粉末の比表面積と比較し
て飛躍的に向上していることがわかる。実施例2〜10
の粉末をSEM観察したところ、粉末組成、水処理条件
によって程度に差はあるが、実施例1と同様、表面構造
の崩れが観察された。また、実施例4のように、水、ア
ルコールの混合溶液では、粉末と水との接触の機会が少
ないために、表面構造の崩れが小さく、水のみで処理す
る場合と比較して比表面積増加が小さいことがわかる。
これは、水、アルコールの混合比変更によって表面構造
を制御し、未処理品と水処理品の間で任意の比表面積が
得られることを意味する。更に、原因は明らかでない
が、実施例の範囲ではアンモニア水溶液処理品>イオン
交換水処理品>硝酸水溶液処理品の順に比表面積は大き
かった。これは、水処理に用いる溶液pHによっても比
表面積が制御可能であることを意味する。
【0038】(実施例11〜14)実施例1で合成した
アルミナ粉末を、電気炉を用いて700〜1000℃の
温度で大気中4時間の熱処理を実施した。熱処理後の粉
末に対して、実施例と同じく、イオン交換水を用いて水
処理し、比表面積測定を行った。表2に測定した比表面
積を示す。なお、各実施例での熱処理温度は、実施例1
1では700℃、実施例12では800℃、実施例13
では900℃、実施例14では1000℃であった。
【0039】
【表2】
【0040】表2のように、いずれの熱処理後粉末でも
水処理によって比表面積が向上することがわかる。ま
た、熱処理温度上昇と共に水処理後粉末の比表面積が低
下している。実施例11〜14の粉末をSEM観察した
ところ、熱処理条件によって程度に差はあるが、実施例
1と同様、表面構造の崩れが観察された。但し、熱処理
温度の上昇と共に、表面構造の崩れは小さくなり、比較
例1の状態(図2)に近ずく傾向にあった。これは、熱
処理によって酸化反応が一部進行し、結晶子表面に残留
した水酸基、未分解金属塩等が減少し、表面構造が崩れ
にくくなるためと考えられた。この結果は、合成後の熱
処理によっても表面構造の制御が可能であり、未処理品
と水処理品の間であれば任意の任意の比表面積が得られ
ることを意味する。
【0041】
【発明の効果】本発明の多孔質酸化物粉末の製造方法
は、金属塩が溶解した水溶液を有機溶媒および分散剤と
混合しw/o型エマルジョンを形成する工程と、前記w
/o型エマルジョンを噴霧、燃焼させ酸化物粉末を合成
する工程において、エマルジョンの噴霧、燃焼条件を適
宜に選択することにより、酸化反応の進行が不十分な状
態の酸化物粒子が得られる。この工程で合成された酸化
物粒子を水を含有する溶液と接触させる工程により、こ
の合成粒子の結晶子表面に残留する水酸基、未分解金属
塩の結合が切れ、粉末表面に多孔質構造が出現するた
め、比表面積が飛躍的に向上する。また、燃焼条件、水
溶液の種類等によって、比表面積が制御可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法で得られた多孔質酸化物粒子の粒子
構造を表すSEM写真である。
【図2】本発明方法の水処理前を実施しない酸化物粒子
の粒子構造を表すSEM写真である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年8月18日(1998.8.1
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神谷 信雄 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4G042 DA01 DB09 DC03 DE14 4G065 AA01 AA06 AA07 AB03X AB32X BA07 BB03 BB06 CA04 CA21 DA04 FA01 4G076 AA02 AB07 BA06 CA12 DA01 DA23 DA25

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属塩が溶解した水溶液を有機溶媒およ
    び分散剤と混合しw/o型エマルジョンを形成する工程
    と、前記w/o型エマルジョンを噴霧、燃焼させ酸化物
    粉末を合成する工程と、前記工程で合成された前記酸化
    物粉末を水を含有する溶液と接触させる工程とからなる
    ことを特徴とする多孔質酸化物粉末の製造方法。
JP10172795A 1997-10-06 1998-06-19 多孔質酸化物粉末の製造方法 Pending JP2000007309A (ja)

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