JP2000002300A - 動力伝動用vベルト - Google Patents

動力伝動用vベルト

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JP2000002300A
JP2000002300A JP17025398A JP17025398A JP2000002300A JP 2000002300 A JP2000002300 A JP 2000002300A JP 17025398 A JP17025398 A JP 17025398A JP 17025398 A JP17025398 A JP 17025398A JP 2000002300 A JP2000002300 A JP 2000002300A
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rubber
belt
cog
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short fibers
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JP17025398A
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Takehiko Ito
武彦 伊東
Hiroshi Jonen
博志 常念
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Mitsuboshi Belting Ltd
Original Assignee
Mitsuboshi Belting Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性・耐摩耗性に富み、コグ谷において亀
裂が発生しても短繊維で亀裂の進行を止めることができ
ベルトを長寿命化できる。 【解決手段】 心線3を埋設した抗張体層4と、伸張ゴ
ム層5と、コグ部7を有する圧縮ゴム層6からなる動力
伝動用Vベルト1において、少なくとも圧縮ゴム層6は
水素添加ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩と有機
過酸化物を配合して架橋したゴム組成物からなり、コグ
谷7aに短繊維をベルト長手方向に配向した亀裂防止ゴ
ムを配置した

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Vプーリに掛架し
て用いる動力伝動用Vベルトに係り、特に優れた耐屈曲
疲労性を有するとともに耐側圧性、耐熱性、耐摩耗性に
も優れた動力伝動用Vベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジンの高出力化、高回転化に
ともない動力伝動用Vベルトの使用環境温度も高くなっ
てくるとともに動力伝動用Vベルトに対するVプーリか
ら受ける側圧も高くなってきた。そして、このようなベ
ルトに対して要求される品質は、ベルト駆動時の耐側圧
性が大きく、耐摩耗性が良く、耐屈曲疲労性に優れるこ
とが挙げられる。
【0003】従来の動力伝動用Vベルトは、主としてク
ロロプレンゴムを素材としていたが、この材料では高温
雰囲気下で硬化しやすく早期に硬化によるクラックを生
じたり、また高温雰囲気下での側圧剛性不足によりベル
トがプーリ内に落ち込むように変形しディッシングと呼
ばれる座屈変形を起こしてしまい動力の伝達ができなか
ったり、心線と接着ゴムとの剥離が発生することによっ
てポップアウトなどの故障を引き起こしベルト寿命に至
っていた。
【0004】この問題を解決するために、クロロプレン
ゴムに代わって水素添加ニトリルゴムあるいは水素添加
ニトリルゴムにメタクリル酸亜鉛などの不飽和カルボン
酸金属塩および有機過酸化物を混合したゴム組成物が使
用されており、例えば、特開平1−311158号公報
に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】水素添加ニトリルゴム
にメタクリル酸亜鉛および有機過酸化物を混合したゴム
組成物は、メタクリル酸亜鉛による化学的反応による補
強であり、このためカーボンブラック、短繊維などの補
強材は添加料によってかえってゴム強度を低下させるた
め不要といわれてきた。このため、カーボンブラック、
短繊維などの補強材を添加しないゴム組成物をVベルト
やVリブドベルトに使用することが提案されてきたが、
この種の動力伝動用Vベルト、とりわけVプーリから大
きな側圧を受ける変速用Vベルトに使用した時には、耐
側圧性や耐屈曲疲労性を満足しないといった問題が発生
した。
【0006】本発明は、このような問題点を改善するも
のであり、耐側圧性や耐屈曲疲労性に優れるとともに耐
熱性、耐摩耗性を十分満足する動力伝動用Vベルトを提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記のような課
題を達成するために、請求項1では接着ゴム内にベルト
長手方向に沿ってスパイラル状に心線を埋設した抗張体
層と、該抗張体層の上面に積層した伸張ゴム層と、前記
抗張体層の下面に積層したコグ部を有する圧縮ゴム層か
らなる動力伝動用Vベルトにおいて、少なくとも圧縮ゴ
ム層は水素添加ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩
と有機過酸化物を配合して架橋したゴム組成物からな
り、しかも圧縮ゴム層の少なくともコグ谷に短繊維をベ
ルト長手方向に配向した亀裂防止ゴムを配置したことを
特徴とする。
【0008】以上のように少なくとも圧縮ゴム層が水素
化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩、そして有機
過酸化物を配合して架橋したゴム組成物を使用すること
によって、耐側圧性、耐熱性、耐摩耗性に優れ、更には
少なくともコグ谷に短繊維をベルト長手方向に配向した
亀裂防止用ゴムを配置していることから、亀裂の発生し
やすいコグ谷において、仮に亀裂が発生したとしてもベ
ルト長手方向に配置した短繊維によって亀裂の進行を食
い止めることができるので、今までコグ谷の亀裂により
寿命になることの多かった水素添加ニトリルゴムを用い
たベルトの延命が可能になる。
【0009】また、請求項2では亀裂防止用ゴムは、水
素添加ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩、そして
有機過酸化物で架橋したゴム組成物であるとしている。
【0010】亀裂防止用ゴムにも水素添加ニトリルゴム
に不飽和カルボン酸金属塩を混入したゴム組成物を用い
ることによって、耐熱性に関して万全を期すことができ
る。
【0011】次に請求項3では、亀裂防止用ゴムを、ベ
ルト全周に渡ってコグ部の形状に沿って積層している
が、このような構成を採ることによって、コグ山におい
ても亀裂を防止するという効果はもちろん生じるが、コ
グ山において亀裂が発生することはあまりなく、むしろ
製造上コグ谷のみに亀裂防止用ゴムを配置するよりも全
周に渡って配置するほうが工数的には少なく済ませるこ
とができるという優位点を持っている。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は本発明の動力伝動用Vベル
ト1の一例であるローエッジコグベルトの要部斜視図で
ある。
【0013】本発明の動力伝動用Vベルト1は、接着ゴ
ム2内にベルト長手方向に沿ってスパイラル状に心線3
を埋設した抗張体層4と、該抗張体層4の上側(ベルト
外周側)に積層した伸張ゴム層5と、前記抗張体層4の
下側(ベルト内周側)に積層した圧縮ゴム層6とからな
り、圧縮ゴム層6はコグ部7を有している。また、伸張
ゴム層5の背面、及び圧縮ゴム層6のコグ部7の表面に
は補強布8を設けている。
【0014】心線3としては、低伸度で高強力のロープ
が用いられ、具体的にはアラミド繊維、ポリアミド繊
維、ポリエステル繊維などの有機繊維や、ガラス繊維な
どの無機繊維や金属繊維からなる撚成したロープが挙げ
られる。この心線3は一般にレゾルシン−ホルマリン−
ラテックス処理をすることによって接着ゴム2と強く接
合する。また、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス処
理した表面に更にゴム糊などを付着したもの用いること
ができる。
【0015】次に、圧縮ゴム層6を形成するゴム組成物
は、不飽和カルボン酸金属塩、短繊維、そして有機過酸
化物を配合して架橋したものである。耐熱性の良い水素
添加ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を配合する
ことによって耐熱性に優れるとともにこう強度、耐摩耗
性にも優れたゴム組成物とすることができる。
【0016】本発明で用いる水素添加ニトリルゴムとし
ては、特に限定されるものではないがムーニー粘度(M
L1+4(100℃))が70〜85℃のものであるこ
とが、機械的強度や側圧剛性を良好にすること、また、
屈曲性や加工性を良好にする上で好ましい。
【0017】不飽和カルボン酸金属塩はカルボキシル基
を有する不飽和カルボン酸と金属とがイオン結合したも
のであり、不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタ
クリル酸などのモノカルボン酸、マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸などのジカルボン酸が好ましく、金属と
してはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチ
ウム、バリウム、チタン、クロム、モリブデン、マンガ
ン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、カドミウ
ム、アルミニウム、錫、鉛、アンチモンなどを用いるこ
とができる。
【0018】水素添加ニトリルゴムと不飽和カルボン酸
金属塩の組成比は、98:2〜55:45とする。水素
添加ニトリルゴムが98を超えると、耐摩耗性が不足す
ることになり、55未満であると耐摩耗性はよいが、ベ
ルトの屈曲性が悪くなるので好ましくない。
【0019】有機過酸化物は架橋剤として用いられるも
のであって、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミル
パーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、
1.1−t−ブチルペロキシ−3.3.5−トリメチル
シクロヘキサン、2.5−ジ−メチル−2.5−ジ(t
−ブチルペロキシ)ヘキサン、2.5−ジ−メチル−
2.5−ジ(t−ブチルペロキシ)ヘキサン−3、ビス
(t−ブチルペロキシジ−イソプロピル))ベンゼン、
2.5−ジ−メチル−2.5−ジ(ベンゾイルペロキ
シ)ヘキサン、t−ブチルペロキシベンゾアート、t−
ブチルペロキシ−2−エチル−ヘキシルカーボネートな
どが用いられる。そして、その配合量としてはゴム組成
物100重量部に対して0.2〜10重量部とする。
0.2重量部未満であると架橋が十分に行われず、10
重量部を超えると十分な弾性が得られなくなるからであ
る。
【0020】また、本発明では予め水素添加ニトリルゴ
ムに不飽和カルボン酸金属塩を分散させたマスターバッ
チに水素添加ニトリルゴム単体をブレンドし、短繊維そ
して有機過酸化物を添加して架橋したものを用いること
も可能である。その場合、不飽和カルボン酸金属塩は水
素添加ニトリルゴム単体とを20:80〜90:10の
割合でブレンドしたものを用いる。
【0021】不飽和カルボン酸金属塩の量が10重量部
未満の場合には、化学反応による補強効果が小さくなっ
て耐摩耗性が不足し、100重量部を超えると耐摩耗性
がよくなるが、屈曲疲労性が悪くなるので好ましくな
い。
【0022】また、水素添加ニトリルゴムに不飽和カル
ボン酸金属塩を微分散させたものと水素添加ニトリルゴ
ム単体とを上記割合でブレンドする場合に、水素添加ニ
トリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を分散させたもの
が20重量部未満になると、期待した耐摩耗性や側圧剛
性が得られなくなる。また、90重量部を超えると、屈
曲性が低下する。
【0023】圧縮ゴム層7に使用する短繊維7はベルト
幅方向へ配向させることによって、耐側圧性を高めて摩
擦係数を低減することができる。短繊維として用いられ
るのは綿、ポリエステル短繊維、ポリアミド短繊維、ア
ラミド短繊維などであり、その混入量としてはゴム組成
物100重量部に対して5〜40重量部とする。5重量
部未満であると耐側圧性および摩擦係数の低減の効果が
不十分であり、40重量部を超えるとゴムの混練が困難
になることと、ベルトとしての耐屈曲疲労性、耐熱走行
寿命が低下してしまうという問題が顕著になり好ましく
ない。
【0024】又、短繊維には予め接着処理することによ
ってゴムと強固に接着することができ、より寿命の長い
ベルトを得ることができる。本発明でベルトの圧縮ゴム
層6に持ちいられる不飽和カルボン酸金属塩を含んだ水
素添加ニトリルゴムと接着するためには次のような接着
処理を施すことが好ましい。
【0025】接着処理としては、まず短繊維にエポキシ
系処理液に浸積して加熱乾燥し、次いでレゾルシンとホ
ルマリンとゴムラテックスとの混合液(RFL処理液)
に浸積し、熱処理する。
【0026】エポキシ系処理液としては、水溶性エポキ
シ樹脂系の処理液であり、具体的にはデュポン社のNB
R010Aなどが挙げられる。
【0027】RFL処理液は、レゾルシンとホルマリン
のモル比が1:2〜2:1の範囲にあるものを用い、ゴ
ムラテックス固形分とレゾルシンとホルマリンの固形分
の比は1:1〜1:10の範囲のものが用いられる。ま
た、ゴムラテックスとしては、アクリロニトリル−ブタ
ジエン共重合体ゴムラテックス、カルボキシル化アクリ
ロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムラテックス、スチ
レン−ブタジエン共重合体ゴムラテックス、ビニルピリ
ジンゴムラテックス、クロロスルホン化ポリエチレンゴ
ムラテックス等が用いられるが、特にアクリロニトリル
−ブタジエン共重合体ゴムラテックスの使用が好まし
い。
【0028】なお、圧縮ゴム層6のゴムには、他にもカ
ーボンブラック、シリカなどの補強剤、炭酸カルシウ
ム、タルクなどの耐摩耗性を向上させる充填剤、架橋補
助剤、加硫促進剤、可塑剤、安定剤、加工補助剤、老化
防止剤、着色剤等の通常使用される種々の添加剤が使用
用途に応じて配合されても構わない。
【0029】また、ゴムや各種添加剤を混合する方法は
通常用いられている、例えば、バンバリーミキサーやニ
ーダーを用いて混練する方法が挙げられる。
【0030】接着ゴム2として用いられるものとしては
不飽和カルボン酸金属塩を分散した水素添加ニトリルゴ
ム、水素添加ニトリルゴム、クロロスルフォン化ポリエ
チレン、天然ゴム、クロロプレンゴム、スチレン、ブタ
ジエン・ゴム、ブタジエンゴムなどの単一材もしくはこ
れらのブレンド物が挙げられる。
【0031】また、抗張体層4の上面に積層接着する伸
張ゴム層5に使用するゴムの例としても接着ゴム2と同
様の種類のゴムが挙げられる。
【0032】接着ゴム2と伸長ゴム層5に用いるゴムの
例のみを挙げたが、もちろんベルトの完成品を構成する
のは加硫または架橋したゴムであり、通常用いられるカ
ーボンブラック、シリカなどの補強剤や炭酸カルシウ
ム、タルクなどの充填剤、架橋補助剤、加硫促進剤、可
塑剤、安定剤、加工補助剤、老化防止剤、着色剤などの
種々の添加剤を配合している。
【0033】本発明では、圧縮ゴム層6に不飽和カルボ
ン酸金属塩を配合した水素添加ニトリルゴムを有機過酸
化物で架橋したものを用いることによって強度が高く寿
命の長いベルトを得るものであるが、圧縮ゴム層6のみ
ならず接着ゴム2の場合、心線3との十分な接着力がな
いとゴムと心線3が剥離しやすくポップアウトなどの問
題が発生してしまう、水素添加ニトリルゴムに不飽和カ
ルボン酸金属塩を微分散させたゴムは心線との接着力に
乏しいので、そのままではポップアウト現象を起こしや
すい。
【0034】そこで、シリカを加えることによってゴム
と心線との接着力が十分なベルトを得ることができる。
適度な接着力を付与するためには、水素添加ニトリルゴ
ムと不飽和カルボン酸金属塩からなるゴム組成物100
重量部に対してシリカを5〜50重量部の範囲で配合す
る。5重量部未満であると十分な接着力が得られず、5
0重量部を超えると未架橋状態では粘度が高く加工性を
悪くし、また架橋後の硬度も必要以上に高くなるのでク
ラックが発生しやすくなり好ましくない。
【0035】ゴムの架橋に用いる有機過酸化物はpHの
影響を受けやすく、酸性雰囲気中ではイオン分解を起こ
しやすいので、pH調整のために酸化マグネシウム、取
りエタノールアミン、ジフェニルグアニジン、ヘキサメ
チレンテトラミンなどの塩基性物質を添加してもよい。
添加量は、ものによって異なるが、水素添加ニトリルゴ
ムと不飽和カルボン酸金属塩からなるゴム組成物100
重量部に対して0.5〜10重量部程度である。0.5
重量部未満出るとpH調整の効果がうすく、10重量部
を超えるとシリカの場合と同様未架橋状態では粘度が高
く加工性を悪くし、また架橋後も硬度が必要以上に高く
なり過ぎてクラックが発生しやすくなり好ましくない。
【0036】前記の酸化マグネシウムや酸化亜鉛などの
金属酸化物はゴムの硬度を上げる目的で配合することも
可能であり、ゴム組成物100重量部に対して0.5〜
10重量部添加される。
【0037】更に、以上の説明において圧縮ゴム層6に
用いている不飽和カルボン酸金属塩を分散させたゴム
は、必要に応じてベルトの伸張ゴム層5にも用いること
ができ、より耐摩耗性や側圧剛性に優れたベルトを得る
ことができる。
【0038】しかし、本発明では、図1に示すように圧
縮ゴム層6においては、少なくともコグ谷7a部分にお
けるコグ部7の表面に、亀裂防止用ゴム9を配置してい
る。コグ部7の中でもコグ谷7aは亀裂の発生しやすい
部分であり、ローエッジコグベルトに発生するほとんど
の亀裂がコグ谷7aで発生する。コグ谷7aにおいて亀
裂による故障防止の措置を施しておくことによって、ベ
ルトの寿命を延ばすことができる。
【0039】本発明で用いる亀裂防止用ゴム9はゴム中
に短繊維が配向埋設されており、短繊維の配向方向はベ
ルトの長手方向に揃えられている。短繊維をベルト長手
方向に配向することによって、コグ谷7aで亀裂が発生
して進行しても短繊維の部分で進行を止めることがで
き、すぐにベルトの故障を起こすような大きな亀裂が発
生することを防止することができる。
【0040】短繊維を一定方向に配向する手段は、例え
ばカレンダーロールで短繊維入り未加硫ゴムを圧延し、
シート厚を1.7mm以下にする方法が挙げられる。
【0041】短繊維を配向する手段によっても異なる
が、必ずしも全部の短繊維がベルト長手方向にぴったり
と配向されるものではなく、本発明においても例えば9
割以上でほとんどといえる短繊維がベルト長手方向に対
して30°以内の角度をもって配向しているのであれ
ば、十分に亀裂の進行を防止する効果を得られるので、
本発明で言うベルト長手方向に配向しているというの
は、そのような範囲内にあるものを含むものである。
【0042】亀裂防止用ゴム9に用いるゴムは、水素添
加ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を微分散した
ゴムであり、有機過酸化物で架橋したゴムを用いる。こ
のゴム組成物は、耐熱性、耐摩耗性に優れており、高温
雰囲気で用いても劣化しにくく亀裂も発生しにくいゴム
であるが、一旦亀裂が発生するとその進行は速い。そこ
で上記のように短繊維を配向したゴムとすることによっ
て発生した亀裂の進行を止めることができる。
【0043】亀裂防止用ゴム9に用いる短繊維として
は、圧縮ゴム層5に幅方向に配向埋設しているものと同
様、綿、ポリエステル短繊維、ポリアミド短繊維、アラ
ミド短繊維などであり、用いることのできる短繊維の適
当な長さは、3〜10mmであり、3mmよりも短いと
亀裂の進行を阻止しにくくなり、10mmより長いと分
散が悪くなって好ましくない。太さは、1〜10デニー
ルの範囲で用いることが好ましい。1デニール未満であ
ると短繊維の引張強さが低くなり十分な亀裂防止効果が
得られず、10デニールを超えるとゴム中で異物とな
り、亀裂防止用ゴム9がもろくなるので好ましくない。
【0044】また、混入量としてはゴム組成物100重
量部に対して1〜25重量部とする。1重量部未満であ
るとゴム中に短繊維の占める密度が低くなり、十分に亀
裂の進行を止めることができない。25重量部を超える
と短繊維が異物としてはたらき亀裂防止用ゴム9がベル
ト幅方向に裂け易くなるという問題がある。
【0045】また、短繊維の接着処理に関しても同様に
ゴムと強固に接着するために必要である。亀裂防止用ゴ
ム9に用いられる不飽和カルボン酸金属塩を含んだ水素
添加ニトリルゴムと接着するためには次のような接着処
理を施すことが好ましい。
【0046】これまでの説明では、コグ谷7aのみに亀
裂防止用ゴム9を配置した例を述べてきた。ゴム中に短
繊維を一方向に配向して埋設した場合、短繊維を配向し
た方向の屈曲性は多少なりとも阻害されることになるの
で、コグ谷7aのみの配置とすることによって、ベルト
全体の屈曲性を損なわないようにすることができる。
【0047】しかし、亀裂の発生しやすいコグ谷7aに
少なくとも亀裂防止の手段が施されていれば本発明に含
まれると言えるものであり、コグ山7b部分も含めて亀
裂防止用のゴムが配置されていてもよく、製造工程から
いうとコグ谷7a部分のみに複数の亀裂防止用ゴムを配
置するよりも、全周に一枚の亀裂防止用ゴムを配置する
構成のほうがより簡単になる。
【0048】以上で説明したベルトを使用するのに適し
た用途としてはスノーモービルやスクータなどの高温雰
囲気中で駆動用変速ベルトに用いられるローエッジコグ
ベルトが挙げられる。このローエッジコグベルトのタイ
プとして図1に示すようなベルト下面の圧縮ゴム層のみ
にコグを有するものと、更にベルトの屈曲性を良くする
ためにベルト上面の伸張ゴム層にもコグを有するダブル
コグベルトであってもよい。ダブルコグベルトである場
合、伸張ゴム層側に設けたコグ部のコグ谷にも亀裂防止
用ゴムを配置すればベルト背面からの亀裂発生によるベ
ルトの故障をも防止することができる。
【0049】
【実施例】以下、更に具体的な実施例により本発明の効
果を確認する。
【0050】実施例1〜2、比較例1〜2 表1に示す圧縮ゴム層、伸張ゴム層、接着ゴム、亀裂防
止用ゴムのゴム組成物を用いて図1に示すようなローエ
ッジコグベルトを作成した。
【0051】ローエッジコグベルトの作成方法は、心線
として1,100デニールのポリエチレンテレフタレー
ト繊維を上撚り数11.4回/10cm、下撚り数2
1.0回/10cmで上下逆方向に撚糸して2×3の撚
り構成とし、トータルデニール6,600の未処理コー
ドを準備した。
【0052】次いで、この未処理コードをイソシアネー
ト系接着剤でプレディップしたあと、約170〜180
℃で乾燥し、RFL液に浸積した後、200〜240℃
で延伸熱固定処理を行って処理コードとした。
【0053】また、補強布として、綿の紡績糸を使用し
平織帆布を用いた。これらの帆布をRFL液に浸積した
後。150℃で2分間熱処理して処理帆布とした。その
後、これらの処理帆布にゴム組成物をフリクション・コ
ーチングして、ゴム付帆布とした。
【0054】コグパットは亀裂防止用ゴム(厚さ約1.
5mm)の短繊維の配向を、歯部と溝部とを交互に配し
た平坦な金型の溝部に対して垂直方向に設置し、80℃
で加圧することによってコグ部を型付けした。次に圧縮
ゴム層未架橋ゴムシートの短繊維の配向を金型の溝部に
対して平行方向に設置し接着ゴムの未架橋ゴムシートを
順次積層し、80℃で加圧することによってコグ部を型
付けした。
【0055】上記2種類のシートの型付けした面同士を
交互に合わせてシート状にしてから、1枚の補強布と型
付けシートを積層し、亀裂防止用ゴムのボリュームのあ
る部分を金型の歯部に下図のように設置し、80℃で加
圧することによってコグ部を型付けし、コグパッドを形
成した。
【0056】亀裂防止用ゴムに配合する短繊維は、2デ
ニール以下で長さが2.5〜3.5mmのものを使用し
ており、ゴム100重量部に対して5重量部を配合し、
一方向に配向している。そして、短繊維の配向方向をベ
ルト長手方向にあわせている。
【0057】これらの材料を用意した後、凹状部付きの
モールドにコグパッドを巻き付け、更に心線、平坦な伸
張ゴム層、補強布を順次巻き付けて成形体を作成した。
続いて、ジャケットを被せて、モールドを加熱・加圧缶
に設置して架橋し、ベルトスリーブを得た。このスリー
ブをカッターによってV状に切断して個々のローエッジ
コグベルトに仕上げた。
【0058】得られたローエッジコグベルトは、上幅3
5.2mm、厚み14.5mm、長さ1120mm、コ
グ部の深さ6.8mmであり、これらのベルトの耐久試
験を行い、耐屈曲疲労性を評価した。その結果を表1に
併記する。
【0059】この試験はアップ/ダウン耐久試験と呼ば
れるものであり、駆動軸と従動軸にそれぞれ変速プーリ
を装着し、これらの変速プーリ間にローエッジコグベル
トを所定の張力で掛架し、駆動軸側の回転数を0〜6,
000rpmまで変動させ、同時に駆動軸にも0〜40
psの変動した負荷になるように設定した。駆動軸側を
ONにして数秒間で最高速6,000rpmまで、また
その後OFFにして数秒間で0rpmまで変動させ、こ
れを繰り返してベルトの耐久性を評価した。その結果を
表2に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】表2の結果からわかるように、本発明の動
力伝動用Vベルトは、少なくともコグ谷に亀裂防止用ゴ
ムを配置しており、そのようゴムを配置していない比較
例と比べると、小さな亀裂が発生したあとに亀裂が進行
しておらず、耐屈曲疲労性に優れており寿命の長いベル
トということができる。
【0063】
【発明の効果】本発明の請求項1では接着ゴム内にベル
ト長手方向に沿ってスパイラル状に心線を埋設した抗張
体層と、該抗張体層の上面に積層した伸張ゴム層と、前
記抗張体層の下面に積層したコグ部を有する圧縮ゴム層
からなる動力伝動用Vベルトにおいて、少なくとも圧縮
ゴム層は水素添加ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属
塩と有機過酸化物を配合して架橋したゴム組成物からな
り、しかも圧縮ゴム層の少なくともコグ谷に短繊維をベ
ルト長手方向に配向した亀裂防止ゴムを配置したことを
特徴とする。
【0064】以上のように少なくとも圧縮ゴム層が水素
化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩、そして有機
過酸化物を配合して架橋したゴム組成物を使用すること
によって、耐側圧性、耐熱性、耐摩耗性に優れ、更には
少なくともコグ谷に短繊維をベルト長手方向に配向した
亀裂防止用ゴムを配置していることから、亀裂の発生し
やすいコグ谷において、仮に亀裂が発生したとしてもベ
ルト長手方向に配置した短繊維によって亀裂の進行を食
い止めることができるので、今までコグ谷の亀裂により
寿命になることの多かった水素添加ニトリルゴムを用い
たベルトの延命が可能になる。
【0065】また、請求項2では亀裂防止用ゴムは、水
素添加ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩、そして
有機過酸化物で架橋したゴム組成物であるとしている。
【0066】亀裂防止用ゴムにも水素添加ニトリルゴム
に不飽和カルボン酸金属塩を混入したゴム組成物を用い
ることによって、耐熱性に関して万全を期すことができ
る。
【0067】次に請求項3では、亀裂防止用ゴムを、ベ
ルト全周に渡ってコグ部の形状に沿って積層している
が、このような構成を採ることによって、コグ山におい
ても亀裂を防止するという効果はもちろん生じるが、コ
グ山において亀裂が発生することはあまりなく、むしろ
製造上コグ谷のみに亀裂防止用ゴムを配置するよりも全
周に渡って配置するほうが工数的には少なく済ませるこ
とができるという優位点を持っている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動力伝動用Vベルトの要部斜視断面図
である。
【図2】本発明の他の実施例である動力伝動用Vベルト
の要部斜視断面図である。
【符号の説明】
1 動力伝動用Vベルト 2 接着ゴム 3 心線 4 抗張体層 5 伸張ゴム層 6 圧縮ゴム層 7 コグ部 7a コグ山 7b コグ谷 8 補強布 9 亀裂防止用ゴム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16G 5/06 F16G 5/06 C Fターム(参考) 4F100 AH02D AH02E AH08D AH08E AK27D AK27E AK27J AK28D AK28E AK28J AK42 AL01D AL06D AL06E AN00A AN00C AN00D AN00E AN02D AN02E AT00B BA05 BA07 BA10A BA10E DA11 DD01D DG03E EJ05D GB31 GB51 JJ03 JK01B JK04 JK08C JK09 JK14 4J002 AC111 EG016 EG056 EK007 FD147 FD206 GF00 GM01 GN00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接着ゴム内にベルト長手方向に沿ってス
    パイラル状に心線を埋設した抗張体層と、該抗張体層の
    上面に積層した伸張ゴム層と、前記抗張体層の下面に積
    層したコグ部を有する圧縮ゴム層からなる動力伝動用V
    ベルトにおいて、少なくとも圧縮ゴム層は水素添ニトリ
    ルゴムに不飽和カルボン酸金属塩と有機過酸化物を配合
    して架橋したゴム組成物からなり、しかも圧縮ゴム層の
    少なくともコグ谷に短繊維をベルト長手方向に配向した
    亀裂防止ゴムを配置したことを特徴とする動力伝動用V
    ベルト。
  2. 【請求項2】 亀裂防止用ゴムは、水素添加ニトリルゴ
    ムに不飽和カルボン酸金属塩、そして有機過酸化物で架
    橋したゴム組成物である請求項1記載の動力伝動用Vベ
    ルト。
  3. 【請求項3】 亀裂防止用ゴムを、ベルト全周に渡って
    コグ部の形状に沿って積層した請求項1または2記載の
    動力伝動用Vベルト。
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