WO2023058249A1

WO2023058249A1 - スーパーオキサイドイオン発生用水質改良器とそれを用いた水質改良法

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Publication number: WO2023058249A1
Application number: PCT/JP2021/037495
Authority: WO
Inventors: 賢赤倉
Original assignee: 賢赤倉
Priority date: 2021-10-05
Filing date: 2021-10-05
Publication date: 2023-04-13

Abstract

本発明は、このような生活用水の水質管理を、構造が簡単且つコンパクトなうえ保守が容易な水質改良器を提供すると共に、それを用いた水質改良法に関する。水中を浮遊することのできる浮力体の外周に、網状体又は多数の透水孔を有する透水材にて、より径が大きい長楕円体の透水性外周壁を形成するとともに、前記浮力体と透水性外周壁との間に水質改良材収納室を区画形成して、当該区画された水質改良材収納室内に機能セラミックボールを収納した長楕円体の処理容器と、その処理容器に取付けた連結用ープ体とから成ることを特徴とするスーパーオキサイドイオン発生用水質改良器と、当該水質改良器を利用した水質改良法である。

Description

スーパーオキサイドイオン発生用水質改良器とそれを用いた水質改良法

　近年の人口集中と都市化、施設の大型化の進む中で、安全で快適な社会生活のための上下水道だけでなく雑用水（中水）の需要が大幅に増大しており、そのため生活用水の水質管理が大きな社会的課題になっている。本発明は、このような生活用水の浄化等の水質改良のできる構造が簡単且つコンパクトなうえ保守が容易な水質改良器を提供すると共に、それを用いた水質改良法に関する。
　近年増加しているビル、マンション、ホテルなどの生活用建物、事務所や工場など産業用建物、催物会場や商店街などの商業用建物等においては、その活用の維持管理に必要な水の需要をまかなう為に、受水槽や給水槽や冷却塔や貯水槽などを設けて、循環する方式で水を供給したり排水したりしている。しかし、これらの建築物の集中や増加により、当該水回り施設で使用する水の容量が増えて必要な生活用水の供給や確保が従来の上水道や下水道だけでは容量が不足するようになってきた。そのため近年は一度使用した水を再利用する雑用水（中水）の施設も多く設けられるようになってきている。そのため、水道水や水道施設の維持管理だけでなく（水道法）、建築物における冷却塔及び冷却水の維持管理、飲料水や給湯設備の維持管理、雑用水及び雑用水設備の維持管理、排水及び排水設備の維持管理などについては、環境衛生を良好な状態を維持するのに必要な基準に従って、その建築物を維持管理しなければならないこととされている（建築物における衛生的環境の確保に関する法律）。
　本発明は、上記のような生活用水の管理と水道施設や建築物の水処理施設の維持管理を、小型簡単で且つ保守が容易な水質改良器の使用によって設備投資やランニングコスト等の経済的な負担が少なく実現できるスーパーオキサイドイオン発生用水質改良器と、それを利用した水質改質法を提供せんとするものである。

　従来より、水の浄化等の水質改善するための技術方式としては、オゾン接触法、光触媒法、活性炭吸着法などが知られている。
　オゾン接触法は、オゾンガスによる酸化分解作用による浄化方式であるが、これはオゾン反応槽以外に接触塔の追加が必要なうえ、有害なオゾン処理も必要となり、更に電力や薬品などが必要となるなどコスト負担が大きくなる難点がある。
　また、光触媒法は、光が照射された光触媒表面上の活性酸素による酸化分解作用によるものであるが、これは触媒表面でのみ反応するため、処理水量が少ないうえ、光発生用の広い反応槽の追加が必要になる。
　更に、活性炭吸着法は、活性炭素の微粒子が持つ物質的吸着作用により悪臭成分を選択的に除去するものであるため活性炭素の交換が必要となりランニングコストの負担が大きいうえ、悪臭のある下水浄化向であるが、それ以外の水浄化向きではないためその利用範囲が限られている。
　本発明者は、研究当初、トルマリンや酸化チタンを代表とする光酸化触媒の触媒機構である光エネルギーを用いて、強力な酸化剤となり、活性酸素を発生させることにより触媒機能を発揮して有機物を分解除去し水質を浄化改善されることに注目して、特許第４８８２８５９号の水質改良法と水質改良器を開発し、実用化してきた。しかし、この方式は、触媒はエネルギーとして光が必要となるため、光発生装置が必要になるうえ、電力費用がかかるなどランニングコストがかかる難点があった。そこで、新たな原理による酸化・還元作用のある物質や方式の研究を進めてきた。
　その結果、ある種の金属酸化物でＯＨラジカル酸化還元電位である２．８０Ｖより低い荷電子帯の上端を持ち、また、酸素をスーパーオキシドイオンに電離するエネルギーであり０．１６Ｖより低い伝導体の下端を有するものであれば、ヒドロキシラジカルのエネルギーを用いて金属酸化物の荷電子帯から伝導体に電子を励起できるし、電子の抜け殻である正孔では酸化反応が起こって、ヒドロキシラジカルを発生することが出来る。また励起された電子は酸素を酸化してスーパーオキシドラジカルを生じ、このイオンは水中で過酸化水素を経てヒドロキシラジカルを生成する。
　もし、このような金属酸化物が存在すれば、光が存在しない状態でも活性酸素を発生し、酸化チタンの様な触媒機能を発揮する作用について確認された。即ち、特殊な機能セラミックの開発と使用によってヒドロキシラジカルが発生することが解ったのである。
　他方、塩素を水に溶かしたとき、または、次亜塩素酸ナトリウムを水に溶かしたときは次亜塩素酸（ＨＯＣＬ）が生じ、ｐＨが２．５−７．５位の範囲でこの分子種が主となって、強力な酸化機能を発揮することが知られている。即ち、塩素を用いることによりヒドロキシラジカルが水中に存在しているのである。
　従って、前記特殊な機能セラミックと塩素又は次亜塩素酸ナトリウムを組合せることにより、水中に少量の塩素が存在すれば、それがエネルギー源となって活性酸素が連鎖的に発生することが解った。
　先行技術文献
　特許文献
　そこで、塩素又は次亜塩素酸ナトリウムを少量添加した水に接触させることにより、スーパーオキサイドイオンを発生させ、水中における酸化、還元作用を促進させ水質改善する機能セラミックを求めて先行技術を調査したところ、特許第３５３７０８５号「スーパーオキサイドイオン発生法」、特許第３４６１４７０号「機能セラミックの触媒水を用いた廃液処理システム」、特許第３６８６０６０号「汚染混合水の処理方法及びシステム」が既に開発されていることを確認した。
特許第４８８２８５９号特許第３５３７０８５号特許第３４６１４７０号特許第３６８６０６０号

　本発明は、透水性外周壁で形成された浮力を有する、いわゆるラクビーボール形状の長楕円体処理容器の中に、特殊な機能セラミックボールを収納してあり、更に処理容器の長楕円体の透水性外周壁の一部には連結金具により連結用ロープが取付けられておりその先端には固定用取付具を設けるように構成した水質改良器となし、当該水質改良器の連結用ロープの先端に設けた固定用取付具を介して長楕円体を水槽の側壁または流水の底面に固定して、次亜塩素酸ナトリウム又は塩素の添加された水中に浮遊させると、当該長楕円体の処理容器は自由歳差運動と水流や水圧の変化による首振運動や回転運動や上下運動など姿勢変化により対象水中で不規則で複雑な動きを起こし、機能セラミックボールと対象水との接触効率を良くして、これにより対象となる生活用水をスーパーエキサイドイオンの発生したセラミック接触水となし、その活性酸素による酸化分解作用と還元反応によって生活用水を浄化することを特徴とする品質改良器と、当該水質改良器を対象水（原水）の中に浮遊するように設置するだけで、後は特別な操作や作業をすることなく、機能セラミックと次亜塩素酸ナトリウムとが接触して、スーパーオキサイドイオンを発生させその酸化還元作用によって対象水（原水）の水質を自然に改良させるという簡単な方法で実現できるため、経済的負担の少ない実用性の高い水質改良法である。
　発明が解決しようとする課題
　前記特許文献２の特許第３５３７０８５号は、特殊な機能セラミックと塩素又は次亜塩素酸ナトリウムを組合せることにより、スーパーオキシドイオンを発生させ、水中における酸化、還元作用を促進させる触媒水を生成することができることを明らかにしたものである。このように、この特許発明は当該触媒水の発生原理とその利用の仕方までは記載しているが、水道法や、建築物における衛生的環境の確保に関する法律（以下、「建築物衛生法」という。）が要請している具体的な生活用水や生活排水の水質改善するための具体的な器具や装置やシステムまでは開示されていない。
　前記特許文献３の特許第３４６１４７０号は、排水による大気や、河川、湖沼、海の汚染による環境汚染を防ぐために、機能セラミック粒体を処理タンクに収容し、当該処理タンクに次亜塩素酸ソーダを添加した水溶液を導入して前記セラミックの粒体に通過させることにより触媒作用を利用して触媒水を生成し、これを取り出すと共に底部より気泡を供給する水触媒処理部と、該水触媒処理部より触媒水を取り出して前記排液処理部の廃液に混合する触媒水混合手段とを備えて、当該触媒水混合手段により触媒水を排液に混合して廃液の質改善浄化処理を行うようにしたことを特徴とする機能セラミックの触媒水を用いた廃液処理システムである。このシステムは、水触媒処理部を設けて、触媒水を生成したうえ、これを取り出し触媒水混合手段で排液と触媒水を混合して排液の質改善浄化をするという間接的な方法で排水を浄化処理する排液処理システムである。即ち、水触媒処理部を設けて触媒水を生成する手段と、被処理対象用水と触媒水混合手段との２段階の手段が必要となるため、どうしても大規模な装置やシステムになる。そのため、大型の排水処理システムや大きな池や河川などの大量な汚染処理水の浄化処理システムとして向いているが、ビルやマンションや家屋に備えられている小規模な給水槽や貯留槽やクーリングタワーなどの水道水供給設備に用いる生活用水の浄化と水質改善には向いていない。もっと小型で簡単な水質改善用器具によって容易に且つ経済的負担も少なく生活用水の浄化と水質改善ができるような技術の開発が要請されている。
　前記特許文献４の特許第３６８６０６０号は、主に脱臭と固液混合汚染水を処理することを目的とする家畜糞尿処理装置である。被処理対象物の混合汚染度が重く相違する処理装置である。従って、飲料水（水道水）や雑用水といった生活用水の浄化・水質改善要請とはその目的において大きく異なっている。
　即ち、特許第３６８６０６０号の特許発明は、被処理対象物である家畜糞尿の混合物に生成した触媒水を供給して、該触媒水を含む被処理対象物の汚染混合水としたうえで、処理を行う汚染水の処理法である。そのため、遊離塩素を含んだ水溶液とセラミックを接触させて得られる触媒反応を利用した触媒水を生成する触媒水生成手段と、当該汚染混合水を吸引して移送する吸引移送手段と、汚染混合水を収納する複数段のタンクと、ミキシング拡販手段と、沈殿槽とを備え、前記沈殿槽から排水を行うように構成したことを特徴とする汚染混合水とする処理手段と、当該触媒水を含む汚染混合水の処理を行う汚染混合水のシステム処理装置である。そのため、必然的に大規模で複雑で構成の処理システムとなっている。そのため、本発明は、施設の設備投資においても経済的な維持管理費においてもその負担が大きいシステムとなっている。従って、当該特許発明の技術は、汚染度が比較的少ない生活用水の浄化と水質改良を出来るだけ経済的負担が少なく実現する目的の技術としては向いていない処理システムである。
　上記のように従来技術である特許第３５３７０８５号、特許第３４６１４７０号、特許第３６８６０６０号等の特許技術は、いずれも特殊な機能セラミックと塩素又は次亜塩素酸ナトリウムを組合せることにより、スーパーオキシドイオンを発生させ、水中における酸化、還元作用を促進させる触媒水を生成したうえで、その触媒水を処理用の汚染排液や汚染混合水を浄化処理する方法とシステムである。
　これらの従来技術は、いずれも特殊な機能セラミックと塩素又は次亜塩素酸ナトリウムを組合せることにより、スーパーオキシドイオンを発生させ、水中における強力な酸化、還元作用を促進させる触媒水を生成し、この触媒水を利用して事業所等で出る排水・生ごみ・廃油などを脱臭分解処理したり、畜産業界の下水の脱臭や家畜糞尿の分解処理するなど、これまで処理が困難とされていた比較的重度の環境汚染物質の分解・削減処理を行うのに向いた汚染水の浄化技術である。その基本的な技術思想は、触媒水の生成処理工程と、出来上がった触媒水を利用して対象処理水（限水）を浄化処理する工程という二重の処理工程を必要とする技術である。そのため、必要な触媒水生成装置と汚水処理設備の両方を必要とするため、処理システムとして大がかりな設備と多額の維持管理費がかかる難点がある。
　これに対し、本発明は、ビル、マンション、ホテルなどの小規模な受水槽や給水槽やクーリングタワーなどの水槽内の水を改質したり、上下水道等の汚れや水質改良をするための小型で操作の簡単なスーパーオキサイドの発生用水質改良器と、それを利用した水質改質法に関する技術を提供するものである。特に、本発明は、当該水質改良器を対象水（原水）の中に浮遊するように設置するだけで、後は特別な操作や作業をすることなく、機能セラミックと次亜塩素酸ナトリウムとが接触して、スーパーオキサイドイオンを発生させその酸化還元作用によって対象水（原水）の水質を自然に改良させるという簡単な方法で実現できるため、経済的負担の少ない実用性の高い水質改良法である。
　課題を解決するための手段
　特許を受けようとする第１発明は、水中を浮遊することのできる浮力を有する球形の浮力体の外周に、網状体又は多数の透水孔を有する透水材にて、より径が大きい長楕円体の透水性外周壁を形成して、前記浮力体の外周と透水性外周壁との間に水質改良材収納空間を形成し、当該水質改良材収納空間を区分して、複数の水質改良材収納室を区画形成するようにした長楕円体の処理容器とする。当該処理容器の区画された複数の水質改良材収納室内には、複数種の金属化合物と、価電子帯の上端の電位がヒドロキシラジカルの酸化還元電位より低く伝導帯の下端の電位が標準水素電極電位より高いエネルギー帯構造の金属酸化物、又は価電子帯の上端の電位がヒドロキシラジカルの酸化還元電位より低く伝導帯の下端の電位が標準水素電極電位より高いエネルギー帯構造の金属硫化物、又は価電子帯の上端の電位がヒドロキシラジカルの酸化還元電位より低く伝導帯の下端の電位が標準水素電極電位より高いエネルギー帯構造のセレン化合物を組合せて焼結した機能セラミックボールが収納されている。このように浮力体と機能セラミックボールの収納された長楕円体の処理容器の透水性外周壁の一部には連結金具により連結用ロープが取り付けてあり、そのロープの先端には固定用取付具を設けるように構成してある。このように構成されている処理容器を連結用ロープの固定用取付具により水槽の側壁又は流水の底面に固定し連結用ロープを介して処理水中に浮遊させると、当該長楕円体の処理容器は自由歳差運動と水流や水圧の変化による姿勢変化により複雑な運動を起こし、機能セラミックボールと次亜塩素酸ナトリウム又は塩素の添加された処理水との接触効率が良くなるようにしたことを特徴とするスーパーオキサイドイオン発生用水質改良器である。
　上記第１発明は、透水性外周壁で形成された浮力を有する、いわゆるラクビーボール形状の長楕円体処理容器の中に、特殊な機能セラミックボールを収納してあり、更に処理容器の長楕円体の透水性外周壁の一部には連結金具により連結用ロープが取付けられておりその先端には固定用取付具を設けるように構成した水質改良器である。このような水質改良器の連結用ロープの先端に設けた固定用取付具を介して長楕円体を水槽の側壁または流水の底面に固定して、次亜塩素酸ナトリウム又は塩素の添加された水中に浮遊させると、当該長楕円体の処理容器は自由歳差運動と水流や水圧の変化による首振運動や回転運動や上下運動など姿勢変化により対象水中で不規則で複雑な動きを起こし、機能セラミックボールと対象水との接触効率を良くするものである。これにより対象となる生活用水をスーパーエキサイドイオンの発生したセラミック接触水となし、その活性酸素による酸化分解作用と還元反応によって生活用水を浄化することを特徴とする品質改良器である。
　本発明において使用する、塩素又は次亜塩素酸ナトリウムの添加された対象水と接触することにより、スーパーエキサイドイオンを発生させることのできる特殊な機能セラミックは、複数種の金属化合物と、価電子帯の上端の電位がヒドロキシラジカルの酸化還元電位より低く伝導帯の下端の電位が標準水素電極電位より高いエネルギー帯構造の金属酸化物、又は価電子帯の上端の電位がヒドロキシラジカルの酸化還元電位より低く伝導帯の下端の電位が標準水素電極電位より高いエネルギー帯構造の金属硫化物、又は価電子帯の上端の電位がヒドロキシラジカルの酸化還元電位より低く伝導帯の下端の電位が標準水素電極電位より高いエネルギー帯構造のセレン化合物を組合せて焼結した機能セラミックボールである。
　具体的には、第１に、酸化第２鉄、モリブデン、コバルト、チタン、マグネシウム、アルミ二ウム、カリウム、ジルコニウム、珪素の金属酸化物を組合せて焼結した酸化鉄ベースの機能セラミックボール、第２に、酸化第２鉄、マンガン、コバルト、チタン、マグネシウム、アルミ二ウム、カリウム、ジルコニウム、珪素の金属酸化物を組合せて焼結した酸化チタンベースの機能セラミックボール、第３に、酸化アルミ二ウム、ジルコニア、珪藻土、チタン酸バリウムの金属酸化物を組合せて焼結したアルミナベースの機能セラミックボールのいずれであってもよい。前記第１の酸化鉄ベースの機能セラミックボールは、特に殺菌、脱臭作用に顕著な効果を有している。また前記第２の酸化チタンベースの機能セラミックボールは、油の分解、殺菌作用に顕著な効果を有している。更に、前記第３のアルミナベースの機能セラミックボールは油分解作用に顕著な効果を有している。
　従って、前記長楕円体の処理容器の中に収納する特殊な機能セラミックボールは、対象となる生活用水の劣化や汚れ等の状態に対応して、第１の酸化鉄ベースの機能セラミックボール、第２の酸化チタンベースの機能セラミックボール、第３のアルミナベースの機能セラミックボールのいずれかを単体で使用しても良いし、３種類を全部又はいずれか２種類を組合せて使用しても良いこと勿論である。
　特許を受けようとする第２発明は、水中を浮遊することのできる浮力を有する球形の浮力体の外周に、網状体又は多数の透水孔を有する透水材にて、より径が大きい長楕円体の透水性外周壁を形成して、前記浮力体の外周と透水性外周壁との間に水質改良材収納空間を形成し、当該水質改良材収納空間を区分して、複数の水質改良材収納室を区画形成するようにした処理容器とし、当該処理容器の区画された複数の水質改良材収納室内に、酸化第２鉄、モリブデン、コバルト、チタン、マグネシウム、アルミ二ウム、カリウム、ジルコニウム、珪素の金属酸化物を組合せて焼結した酸化鉄ベースの機能セラミックボールを収納した長楕円体となしたことを特徴とする特許を受けようとする第１発明に記載するスーパーオキサイドイオン発生用水質改良器である。
　当該第２発明は、特に殺菌、脱臭作用に顕著な効果を有しているので、例えば、上水道の場合には、その水道水は常に塩素により殺菌されているので、そのまま本発明に係る固定したロープを介して前記長楕円体の処理容器を処理水中に浮遊させただけで、水道水の水質維持をすることができるとともに給水槽や貯水槽や送水管等への有機物や垢の付着を防ぐことが出来るため、施設のメンテナンス作業が容易となる。
　特許を受けようとする第３発明は、水中を浮遊することのできる浮力を有する球形の浮力体の外周に、網状体又は多数の透水孔を有する透水材にて、より径が大きい長楕円体の透水性外周壁を形成して、前記浮力体の外周と透水性外周壁との間に水質改良材収納空間を形成し、当該水質改良材収納空間を区分して、複数の水質改良材収納室を区画形成するようにした処理容器の区画された複数の水質改良材収納室内に、酸化第２鉄、マンガン、コバルト、チタン、マグネシウム、アルミ二ウム、カリウム、ジルコニウム、珪素の金属酸化物を組合せて焼結した酸化チタンベースの機能セラミックボールを収納した長楕円体となしたことを特徴とする特許を受けようとする第１発明に記載するスーパーオキサイドイオン発生用水質改良器である。
　当該第３発明は、特に油の分解、殺菌作用に顕著な効果を有しているので、一般家庭生活雑排水の浄化処理に適している。一般家庭生活雑排水の場合には、アンモニアや硫化水素、チッソ、リン等が多く、脱臭効果が要求されることが多くなるので、第２の酸化チタンベースの機能セラミックボールを主として第１の酸化鉄ベースの機能セラミックボールとを組合せて収納した長楕円体の処理容器を用いて処理対象となる雑用水中に浮遊させることにより、スーパーオキサイドイオンを発生させて、雑用水の浄化が容易となる。
　特許を受けようとする第４発明は、水中を浮遊することのできる浮力を有する球形の浮力体の外周に、網状体又は多数の透水孔を有する透水財にて、より径が大きい長楕円体の透水性外周壁を形成して、前記浮力体の外周と透水性外周壁との間に水質改良材収納空間を形成し、当該水質改良材収納空間を区分して、複数の水質改良材収納室を区画形成するようにした処理容器とし、当該処理容器の区画された複数の水質改良材収納室内に、酸化アルミ二ウム、ジルコニア、珪藻土、チタン酸バリウムの金属酸化物を組合せて焼結したアルミナベースの機能セラミックボールを収納した長楕円体の処理容器とそれに取付けた連結用ロープ体とから成ることを特徴とする特許を受けようとする第１発明に記載するスーパーオキサイドイオン発生用水質改良器である。
　この第４発明は、油分解作用に顕著な効果を有しているので、食品工場の排水や、食堂、レストランの排水を含む工場排水の浄化処理に適している。なぜなら食品工場の排水や、食堂、レストランの排水は、油、チッソ、リンが多く、油分解の効果が特に要求されるからである。これに対して第３のアルミナベースの機能セラミックボールが適当なのは、凝固作用が強く、分子をフロック状に形成し、油分を親油性にする作用があるからである。つまり、第３のアルミナベースの機能セラミックボールは、有機分解する働きが良くなり、水質の改善に寄与し、油の酸化臭を除去して脱臭効果を発揮するので排水の維持管理に有効である。
　特許を受けようとする第５発明は、特許を受けようとする第１発明、同第２発明、同第３発明、同第４発明に記載するスーパーオキサイドの発生用水質改良器を、次亜塩素酸ナトリウム又は塩素の添加された対象水中に入れて取付けられている連結用ロープを介して長楕円体の処理容器を対象水中に浮遊させ、当該長楕円体が起こす自由歳差運動と水流や水圧の変化による姿勢変化により処理容器が複雑な運動を起こすようにして、当該収納容器に収納されている機能セラミックボールと次亜塩素酸ナトリウム又は塩素の添加された水とを効率的に接触させ、スーパーオキサイドイオンを発生させることにより処理水中における酸化、還元作用を促進させるようにしたことを特徴とする水質改良法である。
　当該第５発明について具体的に説明すると、水中を浮遊することのできる浮力を有する球形の浮力体の外周に、網状体又は多数の透水孔を有する透水材にて、より径が大きい長楕円体の透水性外周壁を形成して、前記浮力体の外周と透水性外周壁との間に水質改良材収納空間を形成し、当該水質改良材収納空間を区分して、複数の水質改良材収納室を区画形成した処理容器となし、当該処理容器の区画された複数の水質改良材収納室内に、複数種の金属化合物と、価電子帯の上端の電位がヒドロキシラジカルの酸化還元電位より低く伝導帯の下端の電位が標準水素電極電位より高いエネルギー帯構造の金属酸化物、又は価電子帯の上端の電位がヒドロキシラジカルの酸化還元電位より低く伝導帯の下端の電位が標準水素電極電位より高いエネルギー帯構造の金属硫化物、又は価電子帯の上端の電位がヒドロキシラジカルの酸化還元電位より低く伝導帯の下端の電位が標準水素電極電位より高いエネルギー帯構造のセレン化合物を組合せて焼結した機能セラミックボールを収納してなる処理容器となし、更に当該処理容器の透水性外周壁の一部には回転式連結金具により連結用ロープが取り付けられており、更にそのロープの先端には固定用取付具を設けるように構成された水質改良器を用意し、この水質改良器を前記固定用取付具により水槽の側壁あるいは流水底面に固定したロープを介して前記処理容器を対象水中に浮遊させると、当該長楕円体である処理容器の自由歳差運動と水流や水圧の変化により不規則で且つ複雑な姿勢変化と動きを起こし、機能セラミックボールと次亜塩素酸ナトリウム又は塩素の添加された対象水との接触効率を良くして、スーパーオキサイドイオンを発生させることにより水中における酸化、還元作用を促進させるようにしたことを特徴とする水質改良法である。
　発明の効果
　本発明は、ラクビーボールのような透水性外周壁を有する長楕円体の処理容器の中に特殊な機能セラミックボールに次亜塩素酸ソーダ又は塩素を添加した水溶液を導入して接触させ、価電子帯に励起する電子の還元作用により、スーパーオキサイドイオンを発生させ、水中における酸化、還元作用を促進させる原理を利用して、小型で使い易い生活用水の浄化と水質改良のできる水質改良器を提供することができる。
　しかも本発明は、ラクビーボールのような小型でスマートな長楕円体の処理容器の内部に浮力体と機能セラミックボールを収納した水質改良器を、対象水（原水）の中に浮遊させるという簡単な操作で両者を接触させることができ、それによってスーパーオキサイドイオンを発生させて対象水（原水）を浄化し品質を改良させることが出来るのである。しかも、当該機能セラミックボールと対象水（原水）との接触効率を高めるため、機能セラミックボールと浮力体を収納する処理容器の形状を長楕円体とし、更にこれが対象水（原水）中を遊泳するようにして、長楕円体である処理容器の自由歳差運動と水流や水圧の変化により不規則で且つ複雑な姿勢変化と動きを起こし、機能セラミックボールと次亜塩素酸ナトリウム又は塩素の添加された水との接触効率を良くして、スーパーオキサイドイオンを発生させることにより水中における酸化、還元作用を促進させるようにして対象水（原水）を効率良く浄化し水質を改善することができるのである。
　本発明では水質を改良することが可能な対象水（原水）を生活用水と称しているが、これは飲料水（上水）、雑用水（中水）、排水（下水）を含む水溶液のことであり、その水質状態や汚染状態は実際には様々であります。
　例えば、人の飲用、炊事用、浴用その他人の生活の用に供する水を供給する場合、水道法の水質基準に適合した水を供給することとされている。特に中央式給湯設備等における湯は、一般に水道水を原水とするものであるが、湯の循環・加熱により、消毒副生成物、機器や配管材料から溶出する金属イオン等が増加して水質が悪化する傾向にあり、また、給湯温度が低いと一般細菌や従属栄養細菌やレジオネラ属菌が繁殖してレジオネラ感染症の原因となることが指摘されている。これら給湯水を含めた給水設備におけるレジオネラ汚染を防止するためには、建築物衛生法で定められた維持管理を確実に実施し、定期的な貯水槽・貯湯槽の清掃を行うほかに水質の管理、滞留水の防止、外部からのレジオネラ属菌の侵入防止を図ることが要請されている。
　このような要請に対して水道水を使用して飲料水の管理や上記のような水処理設備の浄化・水質改善などといった維持管理をするような場合、水道水には事前に塩素が添加され殺菌されているので、第１の酸化鉄ベースの機能セラミックボールを主に収納した水質改良器をそのままロープを介して処理水中に浮遊させるだけで、原水自体にスーパーオキサイドイオンが発生して、水道水の水質維持と水質改良をすることができると共に、給水設備である給水槽や給湯槽や貯水槽や送水管等に付着する有機物や垢を防ぐことが出来る。そのため水道水を使用する水回施設のメンテナンス作業が非常に簡単且つ容易となる。
　また、冷暖房用に使用されたり、洗濯に使用されたり、自動車や家屋や工場の洗浄に使用するいわゆる雑用水の管理と雑用水設備の維持管理のための浄水処理に際しては、アンモニアや硫化水素、チッソ、リン等が多く、脱臭効果が要求されることが多いので、第２の酸化チタンベースの機能セラミックボールと第１の酸化鉄ベースの機能セラミックボールとを組合せて収納した長楕円体の処理容器を用いと有効である。この処理容器を用いると処理対象となる雑用水中に浮遊させるだけで、雑用水自体にスーパーオキサイドイオンが発生して浄化と水質改善ができるので、雑用水の管理と雑用水設備の維持管理を簡単且つ容易に実現することが出来る。
　更に、食品工場の使用排水や、食堂、レストラン等の洗浄排水等の排水の管理と排水設備の維持管理では、排水による排水管の詰まり、汚損、悪臭の発生を防ぐことが要請されている。このような排水には油、チッソ、リンが多いため、排水の浄化処理には、油分解の効果が特に要求されている。本発明の実施態様では第３のアルミナベースの機能セラミックボールが主として収納された処理容器を用いるのが、排水の浄化処理をするのに適している。なぜなら第３のアルミナベースの機能セラミックボールは、凝固作用が強く、分子をフロック状に形成し、油分を親油性にする作用が顕著だからである。つまり、第３のアルミナベースの機能セラミックボールは、有機分解する働きが良くなり、水質の改善に寄与し、油の酸化臭を除去して脱臭効果を発揮するからである。
　以上のように、本発明は、飲料水や雑用水や排水といったいずれの生活用水であっても、これを処理水として本発明に係る処理容器に収納されている３種類の特殊な機能セラミックと接触させることにより、処理水自体にスーパーオキサイドイオンを発生させてその酸化・還元作用により浄化と水質改良をおこさせることができるので、これら生活用水の維持管理が簡単に行えるようになる。
　同時に、本発明の実施により浄化と水質改善された処理済みの生活用水を使用した水回り施設においては、水道管や各種設備の配管のサビやスケールの防止、冷却塔のシリカ解消、給湯設備や給水設備におけるレジオネラ汚染の防止、給水槽や給湯槽や貯水槽等へ付着する有機物や垢を防ぎ、省エネ、クリーンルーム化等に利用することが出来るようになる。即ち、本発明により浄化と水質改良された処理水により給水槽や給湯槽や貯水槽や送水管等の給水設備や給湯設備、冷却塔や加湿装置、雑用水設備、排水施設の維持管理を容易に且つ経済的負担が少なく行うことが出来るのである。

　図１は、本発明に係る長楕円体の処理容器の基本形状を示す正面図である。
　図２は、本発明に係るスーパーオキサイドイオン発生用水質改良器の構成を示す断面説明図である。
　図３は、本発明に係る水質改良器における連結用ロープの取り付け位置を示す実施例の説明図である。
　図４は、本発明に係る水質改良器と同じ長楕円体が水中を遊泳する際に見られる自由歳差運動の原理を示す説明図である。
　図５は、本発明に係る水質改良器を連結用ロープで水槽の側壁に取付けた際の動きの実施例を示す説明図である。
　図６は、本発明に係る水質改良器を連結用ロープで流水の底壁に取付けた際の動きの実施例を示す説明図である。

　図１は、本発明に係る長楕円体の処理容器の基本形状を示す正面図であり、１はラクビーボール状の長楕円体をした処理容器である。この処理容器１は、網状体又は多数の透水孔を有する透水性にて形成された長楕円体の透水性外周壁でできている。
　試作品として製造した処理容器１は、図１に示したように金網状又は多数の孔水孔のあいた金属製などの透水性外周壁で製造されたラクビーボール状の長楕円体をしているが、そのサイズは，縦７４~７７ｃｍ、横５８~６２ｃｍ、直径が２８~３０ｃｍに加工成型したものである。尚そのサイズについては、上記試作品に限定される必要はなく、水処理施設の大きさに応じて、例えば、縦６８~７０ｃｍ、横５１~５３ｃｍ、直径が２７~２９ｃｍ等としても良い。
　図２は、本発明に係るスーパーオキサイドイオン発生用水質改良器の構成を示す断面説明図である。当該図中１は、長楕円体の透水性外周壁で構成された処理容器、２は処理容器を水中で浮遊するための浮力体、３は処理容器１と浮力体２との間に形成された水質改良材収納空間、４は処理容器１内の水質改良材収納空間３に収納された機能セラミックボールであり、５は処理容器１に連結金具６により取付けられた連結用ロープであり、７は連結用ロープ５を水槽の側壁や流水底面に固定するための固定用取付具である。図３のＡ、Ｂ、Ｃは、長楕円体の処理容器１に連結用ロープ５を取り付ける位置のバリエーションを示す説明図である。
　前記浮力体２は、合成樹脂製等の非通気性材料により製造された球形体の中に空気等の気体を封入することにより構成されており、収納容器３内に収納構成されている。尚、当該浮力体２の浮力は、収納容器３内に浮力体２と必要な機能セラミックボール４を収納して水質改良器１を完成させた際の比重をほぼ１．０とし、水中を広く遊泳できるようにする。
　また、連結金具６や固定用取付具７は回転式や可動式にして、処理容器１が水中を遊泳したとき連結用ロープ５が絡まないようにすることが望ましい。
　図４は、長楕円体を水中に遊泳させた際に見られる自由歳差運動の原理を示す説明図である。本発明に係る水質改良器の処理容器１が長楕円体であるので、これを対象水中に入れて遊泳させると、自由歳差運動により首振り運動をおこすことになる。更に、本発明の場合、処理容器１は連結ロープ５を介して水槽８の側壁あるいは流水底面に固定したうえで水中を幅広く浮遊させるように装着して使用する。すると長楕円体である処理容器１は、自由歳差運動による首振りと水流や水圧の変化による回転や上下動などの不規則且つ複雑な姿勢変化と動きを起こし、機能セラミックボール４と対象水との接触効率を高め処理水自体にスーパーオキサイドイオンの発生を促進させることが出来るのである。
　図５は、本発明に係る水質改良器を水槽に装着して使用する実施例を示すものである。同図５のＡ、Ｂ、Ｃは、長楕円体の処理容器１に連結用ロープ５を取り付け位置の違いによって処理容器１の自由歳差運動による首振り運動と水流や水圧の変化により不規則で複雑な動きが大きく変わってくることを示すものである。従って、実際に使用する際には、水槽の形状、大きさ、深さの相違や、水流の強さや水圧の相違などを考慮して、連結用ロープ５の取り付け位置をＡ、Ｂ、Ｃのいずれの装着の仕方が良いのかを選定して実施する。
　図６は、本発明に係る水質改良器を水路や池等の水流の中で連結ロープにより浮遊させて使用する場合の実施例である。同図６のＡ、Ｂ、Ｃも長楕円体の処理容器１に連結用ロープ５を取り付け位置の違いによって処理容器１の自由歳差運動による首振り運動と水流や水圧の変化により不規則で複雑な動きが大きく変わってくることを示すものである。
　上記のように本発明に係る水質改良器を処理水（原水）の中を遊泳させて不規則で複雑な姿勢変化と動きをさせることにより機能セラミック４と水との接触効率を高めて、スーパーオキサイドイオンの発生を促進させることにより、いわゆる生活用水の浄化と水質改良が可能となるのである。そこで、本発明に係る水質改良器による具体的な生活用水の浄化と水質改良の実施例について説明する。
　まず、本発明に係る水質改良器内に収納する機能セラミックボール４は、バインダーとして樹脂やガラスを使用し、少なくともフェライト系に磁性体、鉄、コバルト、チタン等の複数の金属酸化物を含むものを所定の割合でミキシング混合し混錬したものを造粒し、８０℃で１２時間乾燥させた後、１１５０℃~１６００℃で２４時間かけて焼結してボール状に形成した。当該機能セラミックボール４として、第１に酸化鉄ベースの機能セラミックボール、第２に酸化チタンベースの機能セラミックボール、第３にアルミナベースの機能セラミックボールの３種類を作成した。
　その際、第１の前記酸化鉄ベースの機能セラミックボールは、酸化第２鉄、モリブデン、コバルト、チタン、マグネシウム、アルミ二ウム、カリウム、ジルコニウム、珪素の金属酸化物のバインダーを組合せて焼結したものである。第２の前記酸化チタンベースの機能セラミックボールは、酸化第２鉄、マンガン、コバルト、チタン、マグネシウム、アルミ二ウム、カリウム、ジルコニウム、珪素の金属酸化物をバインダーと組合せて焼結したものである。第３の前記アルミナベースの機能セラミックボールは、酸化アルミ二ウム、ジルコニア、珪藻土、チタン酸バリウムの金属酸化物にバインダーを組合せて焼結したものである。
　実施例では、これら成分濃度の異なる３種類の機能セラミックボール４を混合して収納するが、その混合比率は、第１の前記酸化鉄ベースの機能セラミックボールが７、酸化チタンベースの機能セラミックボールが３、第３の前記アルミナベースの機能セラミックボールが１の割合で混合したものを用いた。
　本発明を実施することにより水質浄化試験を複数おこなって、いずれも処理水の浄化と水質改良効果があることを確認しています。その一例として、熱処理工場用クーリングタワーによる青藻除去・水質浄化試験結果を記載する。
　（試験方法）
　熱処理工場用クーリングタワーにおいて、クーリングタワーに付着しているスケールと青藻が剥がれ易くすると共に、循環水の水質改善を目的とする。
　その試験方法は、事前に本試験を行う前に２ケ月間継続して月に１度（計２回）採水してクーリングタワーの貯水槽中の処理水の水質検査をして、主な検査項目について確認しておく。そのうえで、当該貯水槽の中の循環水の残留塩素濃度が１．０~１．５ｍｂ／リットルになるように次亜塩素酸ナトリウムを注入したうえ、本発明に係る機能セラミック（酸化チタンベースの機能セラミックと酸化鉄ベースの機能セラミック４の組合せ）を収納した長楕円体状の品質改良器をトラロープで連結して、水中を浮遊するように設置し、連結したトラロープの先端を柱に結び付けて移動しないように固定する。
　このような状態に本発明に係る水質検査器を貯水槽中に設置したうえで、水質検査器を設置後６ケ月間、月１回採水して水質検査をおこなった。尚、検査項目は、（１）ｐＨ、（２）濁度、（３）電気伝導率、（４）イオン状シリカ、（５）全硬度、カルシウム硬度、塩化物イオン、（６）全リン、全窒素、（７）▲７▼鉄である。
　（経時変化観察結果）
　クーリングタワーのルーパー等スケール及び青藻の剥がれ（分解）状況を把握するため定点を定めて観察した結果は、本水質検査器を貯水槽中に設置前は、ルーパーに青藻がビッシリ付着していたが、１ケ月経過時には、青藻は触媒効果により分解が進み、６ケ月後には殆ど分解されているのを確認した。
　（水質検査結果と考察）
　６ケ月間の水質検査の結果とその考察は以下の通りであった。
（イ）ｐＨ：　本水質検査器のｐＨは、８．１~８．２の弱アルカリ性域を推移している。従って水質管理基準値が６．５~８．２ですので機能上問題はありません。
（ロ）濁度：　本水質検査器前の１から当初一時期最大５まで上昇したが、６ケ月後には１に戻っている。濁度が上昇した原因は、ルーパーや配管内部に付着していたスケール（Ｃａ，Ｍｇ、Ｓｉ、Ｆｅ等）が触媒効果により水に可容になった結果であり、スケールを剥離、分解させるための過程での現象であり問題はありません。
（ハ）電気伝導率：　電気伝導率は、当初８．７ｍＳ／ｍから３７ｍＳ／ｍまで上昇したが、これも触媒効果により、スケールが水に可容になった結果であり、スケールを剥離、分解させるための過程での現象であり、問題はありません。尚、電気伝導率の基準は、８０ｍＳ／ｍ以下であり、基準値内にあり問題はありません。
（二）イオン状シリカ：　イオン状シリカは、当初、１７ｍｇ／リットルから最大３７ｍｇ／リットルまで上昇しましたが、６ケ月後には２７ｍｇ／リットルまで低下しています。現状はスケールの剥離、分解作用の進行状態にありますが、基準値は５０ｍｇ／リットル以下であるので問題ありません。
（ホ）全硬度、カルシウム硬度、塩化物イオン：　全高度、カルシウム硬度、塩化物イオンにおいては、当初より上昇し、６ケ月後には低下傾向にあり、基準値以下であり、懸念すべき点はありません。
（ヘ）全リン、全窒素：　全リン、全窒素は低い状況にあり、問題ありません。
（ト）鉄：　鉄は当初より若干上昇しているが、基準以下であり、問題ありません。
　上記の様に機能セラミックボール４を混合して処理容器１内に収納した水質改良器を用いて、次亜塩素酸ソーダ又は塩素を少量添加した対象水中に遊泳させると、長楕円体の処理容器１は、自由歳差運動などにより不規則で複雑な運動を起こし、機能セラミック４と次亜塩素酸ソーダ又は塩素を添加した対象水とが効率良く接触するようになった。それによって、対象水は、触媒反応によってスーパーオキサイドイオンが安定して発生し、その結果、処理水中に活性酸素が発生し、その活性酸素が有機物質を分解するとともに、当該処理水中には、水素イオンが発生して弱アルカリ還元反応がおこり、その酸化触媒還元作用により、脱臭、汚泥削減、油分分解、スケール分解、除菌・殺菌等の効果が生じ、上水、中水、下水などのいわゆる生活用水の浄化と水質改良を行うと共に、各種の水処理施設の維持管理が簡単に且つ経済的負担が少なく実現することができる。

　本発明に係るスーパーオキサイドイオンが発生する水質改良器を使用すると、水処理分野では、飲料水の管理や水道供給施設である給水槽、貯水槽、送水管等の維持管理、冷却塔及び冷却水の維持管理、雑用水及び雑用水設備の維持管理、排水及び排水設備の維持管理が容易となる。その他、本水質改良器の使い方によっては、スイミングプール等の脱塩素臭、大衆浴場やスイミングプール等の水処理施設の防蝕、ホテルルーム、コンピュータールーム、食品加工室などの除塵・洗浄効果の向上などにも顕著な効果がある。しかも、本発明の水質改良器は小型で軽量な器具であり、それ以外に特別な設備投資を必要としないうえ、一度装着すると運転操作の必要もなく、ランニングコストもかからないので、経済的な負担の少ないものである。

　１　　処理容器
　２　　浮力体
　３　　水質改良材収納空間
　４　　機能セラミックボール、
　５　　連結用ロープ
　６　　連結用金具
　７　　固定用取付具
　８　　水槽

Claims

　水中を浮遊することのできる浮力を有する球形の浮力体の外周に、網状体又は多数の透水孔を有する透水材にて、より径が大きい長楕円体の透水性外周壁を形成して、前記浮力体の外周と透水性外周壁との間に水質改良材収納空間を形成し、当該水質改良材収納空間を区分して、複数の水質改良材収納室を区画形成するようにした処理容器とし、
当該処理容器の区画された複数の水質改良材収納室内に、複数種の金属化合物と、価電子帯の上端の電位がヒドロキシラジカルの酸化還元電位より低く伝導帯の下端の電位が標準水素電極電位より高いエネルギー帯構造の金属酸化物、又は価電子帯の上端の電位がヒドロキシラジカルの酸化還元電位より低く伝導帯の下端の電位が標準水素電極電位より高いエネルギー帯構造の金属硫化物、又は価電子帯の上端の電位がヒドロキシラジカルの酸化還元電位より低く伝導帯の下端の電位が標準水素電極電位より高いエネルギー帯構造のセレン化合物を組合せて焼結した機能セラミックボールを収納してなる長楕円体の処理容器となし、
更に当該処理容器の透水性外周壁の一部には連結金具により連結用ロープが取り付けられており、更にそのロープの先端には固定用取付具を設けるように構成されており、当該固定用取付具により水槽の側壁または流水底面に固定したロープを介して前記長楕円体を対象水中に浮遊させると、当該長楕円体の処理容器は自由歳差運動と水流や水圧の変化により複雑な姿勢変化と動きを起こし、機能セラミックボールと次亜塩素酸ナトリウム又は塩素の添加された対象水との接触効率が良くなるようにしたことを特徴とするスーパーオキサイドイオン発生用水質改良器。
　水中を浮遊することのできる浮力を有する球形の浮力体の外周に、網状体又は多数の透水孔を有する透水財にて、より径が大きい長楕円体の透水性外周壁を形成して、前記浮力体の外周と透水性外周壁との間に水質改良材収納空間を形成し、当該水質改良材収納空間を区分して、複数の水質改良材収納室を区画形成するようにした処理容器とし、
当該処理容器の区画された複数の水質改良材収納室内に、酸化第２鉄、モリブデン、コバルト、チタン、マグネシウム、アルミ二ウム、カリウム、ジルコニウム、珪素の金属酸化物を組合せて焼結した酸化鉄ベースの機能セラミックボールを収納した長楕円体の処理容器とそれに取付けた連結用ロープ体とから成ることを特徴とする請求項１に記載するスーパーオキサイドイオン発生用水質改良器。
　水中を浮遊することのできる浮力を有する球形の浮力体の外周に、網状体又は多数の透水孔を有する透水財にて、より径が大きい長楕円体の透水性外周壁を形成して、前記浮力体の外周と透水性外周壁との間に水質改良材収納空間を形成し、当該水質改良材収納空間を区分して、複数の水質改良材収納室を区画形成するようにした処理容器とし、
当該処理容器の区画された複数の水質改良材収納室内に、酸化第２鉄、マンガン、コバルト、チタン、マグネシウム、アルミ二ウム、カリウム、ジルコニウム、珪素の金属酸化物を組合せて焼結した酸化チタンベースの機能セラミックボールを収納した長楕円体の処理容器とそれに取付けた連結用ロープ体とから成ることを特徴とする請求項１に記載するスーパーオキサイドイオン発生用水質改良器。
　水中を浮遊することのできる浮力を有する球形の浮力体の外周に、網状体又は多数の透水孔を有する透水財にて、より径が大きい長楕円体の透水性外周壁を形成して、前記浮力体の外周と透水性外周壁との間に水質改良材収納空間を形成し、当該水質改良材収納空間を区分して、複数の水質改良材収納室を区画形成するようにした処理容器とし、
当該処理容器の区画された複数の水質改良材収納室内に、酸化アルミ二ウム、ジルコニア、珪藻土、チタン酸バリウムの金属酸化物を組合せて焼結したアルミナベースの機能セラミックボールを収納した長楕円体の処理容器とそれに取付けた連結用ロープ体とから成ることを特徴とする請求項１に記載するスーパーオキサイドイオン発生用水質改良器。
　請求項１、請求項２、請求項３又は請求項４に記載するスーパーオキサイドイオン発生用水質改良器を、次亜塩素酸ナトリウム又は塩素の添加された対象水中に取付具により固定した連結用ロープを介して前記長楕円体を対象水中に浮遊させ、当該長楕円体の処理容器による自由歳差運動と水流や水圧の変化による姿勢変化により複雑な運動を起こさせ、当該長楕円体に収納されている機能セラミックボールと次亜塩素酸ナトリウム又は塩素の添加された水とを接触させて、スーパーオキサイドイオンを発生させることにより対象水中における酸化、還元作用を促進させるようにしたことを特徴とする水質改良法。