WO2022009862A1

WO2022009862A1 - サーマルプロテクタ

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Publication number: WO2022009862A1
Application number: PCT/JP2021/025402
Authority: WO
Inventors: 秀昭武田
Original assignee: ウチヤ・サーモスタット株式会社
Priority date: 2020-07-06
Filing date: 2021-07-06
Publication date: 2022-01-13
Also published as: CN115812242A; US20230223225A1; US11881368B2; DE112021003598T5; JPWO2022009862A1

Abstract

部品加工の複雑度を抑えたサーマルプロテクタを提供する。サーマルプロテクタ１００は、長手方向両端に設けられ、外部回路に接続される第１端子部１１０及び第２端子部１２０と、前記第１端子部及び前記第２端子部を保持する絶縁ブロック部３と、互いに接触可能な固定接点１１３及び可動接点４１と、先端部に前記可動接点が設けられた可動板４と、前記可動板に係合されたバイメタル５とを備え、前記第１端子部及び前記第２端子部の各々が本体部と延長部とスリットＳとを有し、前記第１端子部の本体部１１１と前記第２端子部の本体部１２１とが第１平面上にあり、延長部１１２の固定接点支持部と延長部１２２の可動板支持部とが第２平面上にあり、第１平面と第２平面とのなす角が鋭角である。

Description

サーマルプロテクタ

　本発明は、電気製品の過熱を防ぐために電気回路を開閉するサーマルプロテクタに関する。

　へアードライヤー、ファンヒーターといった、熱風を発生させる電気製品において、吹き出し口又は吸い込み口の閉塞やモーターの速度低下などによる過熱を防ぐために、サーマルプロテクタが使用されている。サーマルプロテクタの例として、特許文献１にバイメタル式のサーマルプロテクタが記載されている。

特許第６６１２２４５号公報

　特許文献１に記載のサーマルプロテクタは、２つの絶縁ブロック部に挟まれた領域に外力が影響しない様、折り曲げ部を備えている。この折り曲げ部は、樹脂成形後に、金属板のプレス加工における２段階の曲げ加工により形成される。そのため、この２段階の曲げ加工は、部品加工の複雑度が比較的高い状態であった。

　本発明は、このような状況に鑑み、部品加工の複雑度を抑えたサーマルプロテクタを提供することを目的とする。

　本発明に係るサーマルプロテクタは、長手方向両端に設けられ、外部回路に接続される第１端子部及び第２端子部と、前記第１端子部及び前記第２端子部を保持する絶縁ブロック部と、互いに接触可能な固定接点及び可動接点と、先端部に前記可動接点が設けられた可動板と、前記可動板に係合されたバイメタルとを備える。前記第１端子部及び前記第２端子部の各々が、本体部と、延長部と、前記本体部と前記延長部との間において前記サーマルプロテクタの幅方向に延びるスリットとを有し、前記第１端子部の延長部の固定接点支持部に前記固定接点が設けられ、前記第２端子部の延長部の可動板支持部に前記可動板の基端部が固着され、前記第１端子部の本体部と前記第２端子部の本体部とが、第１平面上にあり、前記固定接点支持部と前記可動板支持部とが、第２平面上にあり、前記第１平面と前記第２平面とのなす角が鋭角である。

第１実施形態におけるサーマルプロテクタの斜視図である。第１実施形態におけるサーマルプロテクタの、バイメタルを搭載した可動板を固着する前の斜視図である。サーマルプロテクタの取付例を示す説明図である。サーマルプロテクタの取付例を示す別の説明図である。第２実施形態におけるサーマルプロテクタの斜視図である。第２実施形態におけるサーマルプロテクタの、バイメタルを搭載した可動板を固着する前の斜視図である。第２実施形態におけるサーマルプロテクタの第１端子部及び第２端子部を示す斜視図である。第３実施形態におけるサーマルプロテクタの斜視図である。第４実施形態におけるサーマルプロテクタの斜視図である。第５実施形態におけるサーマルプロテクタの斜視図である。サーマルプロテクタの製造過程を示す説明図である。

　以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。

　［第１実施形態］
　図１～図４に、細長の回路部品であるサーマルプロテクタ１００を示す。サーマルプロテクタ１００は、熱風を発生させる電気製品の一つであるヘアードライヤー等に搭載される。サーマルプロテクタ１００は、長手方向の両端部に設けられた第１端子部１１０及び第２端子部１２０を備えている。両端子部は、ヘアードライヤー等の電気回路（サーマルプロテクタ１００から見て外部の回路）に接続される。一例として、サーマルプロテクタ１００の長手方向の寸法は３ｃｍから４ｃｍ程度である。

　ヘアードライヤーの筒状のケースＣＳ内には、絶縁板９が設けられている。この絶縁板９は、２枚のマイカ板９ａ及び９ｂの幅方向中央部に長さ方向に沿って互いに反対方向に形成された切込み部どうしを係合させてなり、全体として十字状である。絶縁板９は、２枚のマイカ板９ａ及び９ｂの交差部９ｃがケースＣＳの軸方向と平行になるように、ケースＣＳ内に配置されている。絶縁板９の外周には、ニクロム線９ｄが螺旋状に巻き付けられている。この螺旋の軸はケースＣＳの軸と平行である。ケースＣＳの内部において熱風の流れる方向を矢印Ｈにより示す。

　サーマルプロテクタ１００は、絶縁板９の交差部９ｃ付近において、第１端子部１１０が熱風の風下側、第２端子部１２０が熱風の風上側となるよう、ケースＣＳの軸方向と平行に配置されている。なお、絶縁板９の交差部９ｃ付近の部分を、絶縁板９のコーナー部とも呼ぶ。

　第１端子部１１０と第２端子部１２０とは、サーマルプロテクタ１００の中心を通り、サーマルプロテクタ１００の長手方向と直交する線を対称軸としてほぼ対称な構造を有している。まず、第２端子部１２０について説明する。

　第２端子部１２０は、金属平板を加工して作られている。第２端子部１２０は、長手方向外側にある本体部１２１と、長手方向内側にある延長部１２２と、スリットＳとを備えている。スリットＳは、本体部１２１と延長部１２２との間において、第２端子部１２０の幅方向両端部のうち、絶縁板９のコーナー部側の端部から幅方向に延びるように形成されている。

　第１端子部１１０も第２端子部１２０と同様である。すなわち、第１端子部１１０も、金属平板を加工して作られている。第１端子部１１０は、長手方向外側にある本体部１１１と、長手方向内側にある延長部１１２と、スリットＳとを備えている。スリットＳは、本体部１１１と延長部１１２との間において、第１端子部１１０の幅方向両端部のうち、絶縁板９のコーナー部側の端部から幅方向に延びるように形成されている。

　第１端子部１１０において、スリットＳの先端部Ｓａを通りサーマルプロテクタ１００の長手方向と平行な線を基準として、本体部１１１は、延長部１１２に対して下方に曲げられている。また、第２端子部１２０において、スリットＳの先端部Ｓａを通りサーマルプロテクタ１００の長手方向と平行な線を基準として、本体部１２１は、延長部１２２に対して下方に曲げられている。このように、第１端子部１１０及び第２端子部１２０には、プレス機械による切り曲げ加工が施されている。

　第１端子部１１０の本体部１１１と第２端子部１２０の本体部１２１とは、第１平面上にある。他方、第１端子部１１０の延長部１１２と第２端子部１２０の延長部１２２とは、第２平面上にある。第１平面と第２平面とがなす角は、鋭角である。この角の角度は、３０度から６０度の範囲内であることが好ましく、４５度であることがより好ましい。また、第１平面と第２平面との交線は、サーマルプロテクタ１００の長手方向と平行である。

　第１端子部１１０の延長部１１２における長手方向内側の端部と、第２端子部１２０の延長部１２２における長手方向内側の端部とは、樹脂製の絶縁ブロック部３により保持されている。第１端子部１１０の延長部１１２の上面（絶縁板９への取付面と正反対の面）には、固定接点１１３が設けられている。すなわち、延長部１１２は、固定接点支持部でもある。

　サーマルプロテクタ１００はさらに、導電性を有するとともに弾性変形可能な可動板４を備えている。可動板４は、その基端部が第２端子部１２０の延長部１２２に固着される。すなわち、延長部１２２は、可動板支持部でもある。可動板４の先端部には、ヘアードライヤーに異常が発生していない通常時に固定接点１１３と接触する可動接点４１が設けられている。

　可動板４において、基端部と先端部との間の中央部の上面には、バイメタル５が配置されている。バイメタル５は、可動板４の中央部の長手方向両端及び幅方向両端に設けられた計４箇所の爪部４ａ～４ｄにより可動板４に係合されている。サーマルプロテクタ１００の周辺温度が所定の温度以下の場合、バイメタル５は上に凸状に反っており、弾性変形可能な可動板４の弾性力により可動接点４１は固定接点１１３に接触している。

　バイメタル５は、過負荷等による上記ヘアードライヤーの異常発熱によって周辺温度が上記所定の温度を超えた場合、下に凸状となるように反転作動する。バイメタル５が反転作動すると、バイメタル５の反り返り力によって可動板４の先端部が上方に持ち上げられる。その結果、可動接点４１が固定接点１１３から離れ、上記ヘアードライヤーへの通電が停止する。

　サーマルプロテクタ１００の製造工程の一例を以下に説明する。
　第１工程において、金属平板材料の打抜き加工を行う。
　第２工程において、固定接点１１３を取り付ける。このとき、第１端子部１１０の元になる部分と、第２端子部１２０の元になる部分との間の中央部は、キャリヤ部で保持されるフレームにより保持される。
　第３工程において、第１端子部１１０の元になる部分と第２端子部１２０の元になる部分とに、切り曲げ加工を施す。このとき、切り曲げ部もフレームで保持される。曲げ加工のラインは同じ直線上にあることが好ましいが、これについては後述する。金型で順次、加工がなされる。なお、第１工程から第３工程はプレス工程である。
　第４工程（成形工程）において、第１端子部１１０と第２端子部１２０とを一体化すべく、絶縁ブロック部３を射出成形する。成形部は、フレームにより保持される。
　第５工程において、絶縁ブロック部３を固定していたフレームによる保持部を切断する。
　第６工程において、バイメタル５を搭載した可動板４を溶接により固定する。
　第７工程において、キャリヤー部からサーマルプロテクタ本体を切り離す。なお、第５工程から第７工程は組み立て工程である。

　固定接点１１３は、抵抗溶接または加締めによって所定の位置に固着される。可動板４は、絶縁ブロック部３の成形後、第２端子部１２０の延長部１２２に固着される。このときの固着方法は、固定接点１１３と同様、抵抗溶接または加締め、或いはこれらを併用しても良い。バイメタル５は可動板４に搭載されるが、固着前の可動板４にバイメタル５を搭載しても良い。

　可動板４の基端部と先端部との間の中央部の長手方向両端に、バイメタル５が可動板４を駆動させる際の作用点になる爪部（符号４ａ及び４ｂ）が設けられている。一方の爪部においてはバイメタル５が固定されていない。他方の爪部においては、バイメタル５が反り返り方向を反転した瞬間にバイメタルが当該爪部の裏面に当接し、可動板４を駆動させる。そして、片持ちの可動板４が持ち上がることで、接点が開放状態となり、電流の遮断が行われる。

　以上の実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
　（１）サーマルプロテクタ１００の取付面に対する固定接点支持部及び可動板支持部の所定角度の傾きは、切り曲げ加工により実現される。従来のような２段階の折り曲げは、本実施形態においては不要である。つまり、部品加工の複雑度及び構造の複雑度を低減することができる。
　（２）従来、サーマルプロテクタの取付面に対してバイメタルを傾けて配置するにあたり、９０度の曲げ加工を２回行っていた。これに対し、本実施形態では、１回の切り曲げで済み、曲げ加工による影響を小さくすることができる。
　（３）サーマルプロテクタ取付面に対してバイメタルを傾けて配置することで、ヒーター線から最も遠い絶縁板のコーナー部（ヒーターユニットの径方向中心部）にサーマルプロテクタを設置することができる。ヒーターユニットにおいては一般に、径方向中心部の風量はその外側の風量に比べて小さい。このことから、サーマルプロテクタが搭載された電気製品の通常使用時にはサーマルプロテクタがヒーターの熱を感知しにくくなる一方、風速低下の様な当該電気製品の異常時に迅速に異常を感知することができる。

　バイメタル式のサーマルプロテクタの多くは作動時に、可動接点が設けられた側のバイメタル先端部が反り上がる。そのため、ヘアードライヤーなどの胴径が比較的小さいヒーターユニットでは、作動時の可動接点とヒーター線との間の絶縁距離の確保が課題となる。この課題の解決の一つが、上記（３）で述べたように、サーマルプロテクタ取付面に対してバイメタルを傾けて配置し、ヒーター線から最も遠い絶縁板のコーナー部にサーマルプロテクタを設置するというものである。すなわち、ヒーターユニットのほぼ中心部にサーマルプロテクタが設置される。

　［第２実施形態］
　図５～図７にサーマルプロテクタ２００を示す。第１実施形態と同じ要素には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。

　第２端子部２２０は、本体部２２１と延長部２２２とを備えている。第２端子部２２０の延長部２２２は、起立部２２２ａと可動板支持部２２２ｂとを有する。起立部２２２ａは、上記第１平面と直交しサーマルプロテクタ２００の長手方向と平行な第３平面上にある。起立部２２２ａの基部がスリットＳの先端部Ｓａと接し、起立部２２２ａの頂部に可動板支持部２２２ｂが接続している。

　第１端子部２１０の延長部２１２についても同様である。すなわち、第１端子部２１０は、本体部２１１と延長部２１２とを備えている。第１端子部２１０の延長部２１２は、起立部２１２ａと固定接点支持部２１２ｂとを有する。起立部２１２ａは、上記第３平面上にある。起立部２１２ａの基部がスリットＳの先端部Ｓａと接し、起立部２１２ａの頂部に固定接点支持部２１２ｂが接続している。

　製造にあたっては、９０度の曲げ加工で起立部が形成され、その起立部の頂部で４５度の曲げ加工が行われる。結果として、各端子部の延長部が本体部に対して所定角度で傾斜している。この２箇所の曲げは、プレス加工工程では一度に行うことができる。つまり、１箇所の曲げと同程度の工数で２箇所の曲げを行うことができる。この加工によると、各端子部の幅方向中央部で９０度の曲げ加工を施すことができる。
　加えて、第１端子部２１０及び第２端子部２２０において、スリットＳよりも長手方向内側に第２スリットＳ２を設けてもよい。第２スリットＳ２は、本体部と延長部との間において、端子部の幅方向両端部のうち、絶縁板９のコーナー部側とは反対側の端部から幅方向に延びるように形成される。起立部２１２ａ及び２２２ａの頂部を通り、サーマルプロテクタ２００の長手方向に延びる線上に、第２スリットＳ２の先端部が位置するように、第２スリットＳ２が設けられている。このような第２スリットＳ２を設けることで、固定接点支持部２１２ｂ及び可動板支持部２２２ｂへの電流のための必要な幅を十分に確保することができる。

　［第３実施形態］
　図８に、サーマルプロテクタ３００を示す。第１実施形態と同じ要素には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。第１端子部１１０のスリットＳ近傍と第２端子部１２０のスリットＳ近傍とにそれぞれ、整風板３１０及び３２０が設けられている。両整風板は、サーマルプロテクタ３００の幅方向及び上下方向に広がりを有する樹脂製の板である。両整風板の間の領域に、固定接点（図８において不図示。図２の符号１１３）と可動接点４１と可動板４とバイメタル５とが配置されるように、両整風板の幅方向及び高さ方向の寸法が決められている。両整風板の厚さ（長手方向の寸法）は、特に制約はなく、１ｍｍ前後で十分である。両整風板は絶縁ブロック部（図８において不図示。図２の符号３）と一体で設けることができる。

　本実施形態によれば、サーマルプロテクタ３００を風向Ｈに沿って見たときに、スイッチ機構部（固定接点１１３、可動接点４１、可動板４、バイメタル５）が整風板により隠れることになる。そのため、スイッチ機構部に対して熱風が直接、当たることがないよう、熱風の流れが整風板により調整される。つまり、当該電気製品が通常状態のときにサーマルプロテクタ３００が誤作動する可能性が低減される。

　［第４実施形態］
　図９にサーマルプロテクタ４００を示す。このサーマルプロテクタ４００は、整風板４１０及び４２０を備えている。両整風板は、スリット（図９において不図示。図８の符号Ｓ）を内包するように設けられている。端子部の本体部と延長部が整風板により一体で拘束されるため、強度が向上する。

　［第５実施形態］
　図１０にサーマルプロテクタ５００を示す。第１端子部１１０に、スリットＳを内包するように整風板５１０が設けられている。この整風板５１０には切込み部５１１が形成されている。切込み部は複数あってもよい。切込み部は、好ましくは端子部の延長部の上面までの深さと、整風板５１０の厚さに等しい幅とを有する。

　本実施形態によれば、熱風が接点周囲から切込み部５１１に向かって矢印Ｈａに示すように流れる。電流が遮断されたときに固定接点（図１０において不図示。図２の符号１１３）と可動接点４１との間に発生するアークは、この熱風によって切込み部５１１に向けて誘導される。すなわち、アークによってサーマルプロテクタ５００周辺の部品が損傷する可能性を低減することができる。

　ところで、特にヘアードライヤーや温風式のへアーカーラーのように、ニクロム線を用いたヒーター部とモーターによる送風部を組み合わせた電気製品において、近年のヒーターの高出力化、風量・風圧の増大、デザイン性などの要求から、サーマルプロテクタの設定の難易度が上がりつつある。通常使用時にはサーマルプロテクタが動作せず、異常状態で即座に動作して電流を遮断する必要性が高まっている。またサーマルプロテクタは、スイッチ動作で電流を遮断することから、遮断時のアークの発生、遮断後の可動板の反り上がりによる絶縁距離の変化も、電気的な安全設計上、難易度の上昇に関わってくる。

　上記の各実施形態は、このような課題を解決するためのもので、サーマルプロテクタの取付面に対してスイッチ機構部を傾けることで、２枚のマイカ板が９０度に組み合わされてなる絶縁板のコーナー部にサーマルプロテクタを配置することができる。このため、筒状のヒーターユニットを軸方向に見たときに、ヒーター線から最も遠い位置にサーマルプロテクタを組み付けることができるようになる。この結果、スイッチ機構部の幅方向両側にマイカ板が位置することになる。また、モーターの回転による送風は、プロペラファンであれば中心部の風速は小さく、ヒーター線が取り付けられる外周部付近では風速が大きくなる。結果として通常動作時は、熱風はヒーター線の密集するヒーター外周部付近を流れ、サーマルプロテクタが配置されている中心部が熱の影響を受けることは少なくなる。

　電気製品の異常時には、熱風の吐出側が極端に対象物との距離が近くなるか、吸い込み口が埃により閉塞状態になるか、モーターの回転数が低下するかなどにより風量が低下すると、吐出温度が高くなるだけでなくヒーターユニット内部でも熱がこもり始める。限度を超えるとサーマルプロテクタが作動し、ヒーター電流が遮断される。この際、接点間にアークが発生する。近年の高出力化に伴い、１０アンペアを超えるような大きな電流が遮断されることから、アークの影響が大きくなり、サーマルプロテクタの取付け状態によっては、アークが強い風によって流され、付近のニクロム線に放電する事故が起きる場合がある。これにより、ニクロム線が溶断する、サーマルプロテクタの可動板が損傷するなどの不具合が生じうる。

　上記の各実施形態によれば、ニクロム線をコイル状に巻いたヒーターにおいて、ニクロム線から最も遠い位置にサーマルプロテクタを取り付けることができるようになり、さらに両側にマイカ板が壁として存在することになる。そのため、遮断時のアークは幅方向に飛びにくくなる。風もマイカ板に沿って流れているため、アークは風に沿って流れる傾向が生じる。サーマルプロテクタ５００のように、接点付近の整風板に切込み部を設けることで、アークの抜け道が設けられることになり、アークを安全に制御することが可能となる。

　上記の各実施形態におけるサーマルプロテクタは、ヘアードライヤー以外の電気製品に搭載することもできる。例えば、電子ファンヒーター、ポップコーンマシンに搭載してもよい。

　なお、可動板を組付ける際に、第２端子部１２０の延長部１２２に長円のガイド部１２２ａを設けることができる（図２）。このガイド部１２２ａと対応するように可動板４の基端部に穴部を設け、この穴部をガイド部に係合させる。そして、抵抗溶接を行ったのち、このガイドの上部を潰して可動板４の押さえとして使うこともできる。

　すなわち、第２端子部１２０の延長部１２２の可動板支持部に、可動板４の位置決めのための長円形のガイド部が設けられる。このガイド部は、サーマルプロテクタの長手方向と平行に設けることができる。ガイド部の長さは幅の３倍以上とすることができる。

　その他、サーマルプロテクタの製造時について説明する。部品を連結して生産する場合は、図１１に示すように各端子部の外側でキャリヤー部ＣＲにより連結して連続生産することになる。このキャリヤー部ＣＲの面は各端子部の延長部と同一面とすることが安定生産上好ましい。キャリヤーと各端子部との接続部にも所定角度の曲げ加工が必要となる。合計４か所の所定角度の切り曲げによる曲げ加工は、歪みを抑えるために、同一ラインＬ上で行うことが好ましい。

　これまでに説明した実施形態に関し、以下の付記を開示する。
　［付記１］
　長手方向両端に設けられ、外部回路に接続される第１端子部及び第２端子部と、
　前記第１端子部及び前記第２端子部を保持する絶縁ブロック部と、
　互いに接触可能な固定接点及び可動接点と、
　先端部に前記可動接点が設けられた可動板と、
　前記可動板に係合されたバイメタルと
　を備えたサーマルプロテクタであって、
　前記第１端子部及び前記第２端子部の各々が、本体部と、延長部と、前記本体部と前記延長部との間において前記サーマルプロテクタの幅方向に延びるスリットとを有し、
　前記第１端子部の延長部の固定接点支持部に前記固定接点が設けられ、
　前記第２端子部の延長部の可動板支持部に前記可動板の基端部が固着され、
　前記第１端子部の本体部と前記第２端子部の本体部とが、第１平面上にあり、
　前記固定接点支持部と前記可動板支持部とが、第２平面上にあり、
　前記第１平面と前記第２平面とのなす角が鋭角である、
　サーマルプロテクタ。

　［付記２］
　前記第１端子部の延長部及び前記第２端子部の延長部の各々がさらに起立部を有し、前記起立部は、前記第１平面と直交する第３平面上にあり、
　前記第１端子部の延長部において、前記起立部の基部が前記スリットの先端部と接し、前記起立部の頂部に前記固定接点支持部が接続しており、
　前記第２端子部の延長部において、前記起立部の基部が前記スリットの先端部と接し、前記起立部の頂部に前記可動板支持部が接続している、
　付記１に記載のサーマルプロテクタ。

　［付記３］
　前記第１端子部のスリット近傍と前記第２端子部のスリット近傍とに設けられ、前記サーマルプロテクタの幅方向及び上下方向に広がりを有する樹脂製の整風板をさらに備え、
　２つの前記整風板に挟まれる領域に、前記固定接点と前記可動接点と前記可動板と前記バイメタルとが配置されている、
　付記１又は２に記載のサーマルプロテクタ。

　［付記４］
　前記整風板が前記スリットを内包するように設けられている、付記３に記載のサーマルプロテクタ。

　［付記５］
　２つの前記整風板の少なくとも一方に切込み部が形成されている、付記３又は４に記載のサーマルプロテクタ。

　［付記６］
　前記第１平面と前記第２平面とのなす角の角度が、３０度から６０度の範囲内にある、付記１～５のいずれか一項に記載のサーマルプロテクタ。

　［付記７］
　前記第２端子部の延長部の可動板支持部に、前記可動板の位置決めのための長円形のガイド部が設けられ、前記ガイド部の長さが幅の３倍以上である、付記１～６のいずれか一項に記載のサーマルプロテクタ。

　以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。

１００、２００、３００、４００、５００　サーマルプロテクタ
１１０　　第１端子部
１１１　　本体部
１１２　　延長部
１１３　　固定接点
１２０　　第２端子部
１２１　　本体部
１２２　　延長部
４　　　　可動板
４１　　　可動接点
５　　　　バイメタル
Ｓ　　　　スリット
Ｈ　　　　風向

Claims

　長手方向両端に設けられ、外部回路に接続される第１端子部及び第２端子部と、
　前記第１端子部及び前記第２端子部を保持する絶縁ブロック部と、
　互いに接触可能な固定接点及び可動接点と、
　先端部に前記可動接点が設けられた可動板と、
　前記可動板に係合されたバイメタルと
　を備えたサーマルプロテクタであって、
　前記第１端子部及び前記第２端子部の各々が、本体部と、延長部と、前記本体部と前記延長部との間において前記サーマルプロテクタの幅方向に延びるスリットとを有し、
　前記第１端子部の延長部の固定接点支持部に前記固定接点が設けられ、
　前記第２端子部の延長部の可動板支持部に前記可動板の基端部が固着され、
　前記第１端子部の本体部と前記第２端子部の本体部とが、第１平面上にあり、
　前記固定接点支持部と前記可動板支持部とが、第２平面上にあり、
　前記第１平面と前記第２平面とのなす角が鋭角である、
　サーマルプロテクタ。
　前記第１端子部の延長部及び前記第２端子部の延長部の各々がさらに起立部を有し、前記起立部は、前記第１平面と直交する第３平面上にあり、
　前記第１端子部の延長部において、前記起立部の基部が前記スリットの先端部と接し、
前記起立部の頂部に前記固定接点支持部が接続しており、
　前記第２端子部の延長部において、前記起立部の基部が前記スリットの先端部と接し、
前記起立部の頂部に前記可動板支持部が接続している、
　請求項１に記載のサーマルプロテクタ。
　前記第１端子部のスリット近傍と前記第２端子部のスリット近傍とに設けられ、前記サーマルプロテクタの幅方向及び上下方向に広がりを有する樹脂製の整風板をさらに備え、
　２つの前記整風板に挟まれる領域に、前記固定接点と前記可動接点と前記可動板と前記バイメタルとが配置されている、
　請求項１又は２に記載のサーマルプロテクタ。
　前記整風板が前記スリットを内包するように設けられている、請求項３に記載のサーマルプロテクタ。
　２つの前記整風板の少なくとも一方に切込み部が形成されている、請求項３又は４に記載のサーマルプロテクタ。
　前記第１平面と前記第２平面とのなす角の角度が、３０度から６０度の範囲内にある、請求項１～５のいずれか一項に記載のサーマルプロテクタ。
　前記第２端子部の延長部の可動板支持部に、前記可動板の位置決めのための長円形のガイド部が設けられ、前記ガイド部の長さが幅の３倍以上である、請求項１～６のいずれか一項に記載のサーマルプロテクタ。