WO2021201136A1

WO2021201136A1 - 水中油型乳化化粧料

Info

Publication number: WO2021201136A1
Application number: PCT/JP2021/013938
Authority: WO
Inventors: 冴恵田口; 英美嶋田
Original assignee: 株式会社コーセー
Priority date: 2020-03-31
Filing date: 2021-03-31
Publication date: 2021-10-07
Also published as: CN115335033A; JPWO2021201136A1; KR20220161334A; TW202203894A

Abstract

次の成分（Ａ）～（Ｄ）；（Ａ）ナイアシンアミド及び／又はトラネキサム酸　１～１０質量％、（Ｂ）シリコーン油、（Ｃ）一般式（１）で表される成分（ｃ１）及び一般式（２）で表される成分（ｃ２）から選ばれる１種又は２種以上のグリセリン誘導体、（Ｄ）両親媒性高分子を含有する水中油型乳化化粧料。

Description

水中油型乳化化粧料

　本発明は、水中油型乳化化粧料に関する。

　皮膚は、加齢やストレスなどの内的要因や、紫外線や空気の乾燥などの外的要因により、シワやたるみ、しみやそばかすといった色素沈着等を生じる。中でもシワ、たるみなどの形態的変化や、色素沈着などの視覚的変化は、外観の印象を大きく左右するため、改善を望む人が多く、様々な製品が提供されている。

　シワ、たるみ、色素沈着を予防・改善するために多くの有効成分が提案されている。その中でも、シワ、たるみの有効成分であるナイアシンアミドは、安全性が高く、皮膚老化防止効果を有することが知られている。また、色素沈着を改善又は抑制する美白剤としては、トラネキサム酸を用いることが提案されている。しかし、ナイアシンアミドやトラネキサム酸を多量に含有するとべたつきなど、望ましくない使用感触があることが知られている。

　これに対して、ナイアシンアミド、２５℃における粘度が２５ｍＰａ・s以下のシリコーン油、ポリエーテル変性シリコーン、及びカルボキシメチルセルロースを配合することで、シワ改善効果を有し、べたつきを抑制する技術が開示されている（例えば、特許文献１参照）。
　さらに、２種のアルキレンオキシド誘導体、２－メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体及び多価アルコールを組み合せることによって、シワ改善効果を有し、使用時の浸透感を有する化粧水の技術が開示されている（例えば、特許文献２参照）。

特開２０１９－７７６７５号公報特開２０１５－７４６２０号公報

　しかしながら、特許文献１及び特許文献２に開示された技術においても、浸透感と保湿感の持続が十分でない場合があった。

　そこで本発明は、ナイアシンアミド及び／又はトラネキサム酸、シリコーン油、特定の式で表されるポリオキシアルキレン付加グリセリン誘導体から選ばれる１種又は２種以上、及び両親媒性高分子を用いた水中油型乳化化粧料において、浸透感に優れながら、保湿感の持続にも優れる水中油型乳化化粧料を提供することを目的とする。

　かかる実情に鑑み、本発明者は鋭意検討した結果、有効成分であるナイアシンアミド及び／又はトラネキサム酸を含有する水中油型乳化化粧料において、シリコーン油、特定の式で表されるポリオキシアルキレン付加グリセリン誘導体から選ばれる１種又は２種以上、及び両親媒性高分子を含有することで、上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。

　すなわち、本発明は、シワやたるみ、美白の有効成分を含有する水中油型乳化化粧料において、塗布直後の保湿感のみならず、保湿感の持続及び浸透感にも優れる水中油型乳化化粧料を提供するために、次の成分（Ａ）～（Ｄ）を含有することを特徴とする水中油型乳化化粧料である。
［１］
　次の成分（Ａ）～（Ｄ）；
（Ａ）ナイアシンアミド及び／又はトラネキサム酸　１～１０質量％
（Ｂ）シリコーン油
（Ｃ）下記一般式で表される成分（ｃ１）及び成分（ｃ２）から選ばれる１種又は２種以上のグリセリン誘導体
　成分（ｃ１）一般式（１）

・・・（１）
（式（１）中、Ｇｌｙはグリセリンから水酸基を除いた残基、ＰＯはオキシプロピレン基、ＥＯはオキシエチレン基であり、ｌ及びｍはそれぞれＰＯ及びＥＯの平均付加モル数であり、（ｌ＋ｍ）は１～６０の値であり、質量比（ＰＯ／ＥＯ）は１／５～５／１であって、ＢＯは炭素数４のオキシアルキレン基であり、ｎはＢＯの平均付加モル数であって、０～５の値である。）
　成分（ｃ２）一般式（２）

・・・（２）
（式（２）中、Ｒは、－[ＣＨ２ＣＨ（ＣＨ３）Ｏ]－を示し、ｐ、ｑ、ｒ、ｓはそれぞれ０～２０の整数を示し、ｐ＋ｑ＋ｒ＋ｓは、４～２０の整数を示す。）
（Ｄ）両親媒性高分子
を含有する水中油型乳化化粧料である。
［２］
　前記成分（Ｄ）が、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム／ビニルピロリドン共重合体、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウムメタクリル酸べへネス－２５共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル／アクリロイルジメチルタウリンＮａ共重合体、アクリル酸Ｎａ／アクリロイルジメチルタウリン酸Ｎａ共重合体、ＰＥＧ－２４０／デシルテトラデセス－２０／ヘキサメチルジイソシアネート共重合体、疎水化ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸から選ばれる少なくとも１種である、［１］に記載の水中油型乳化化粧料である。
［３］
　前記成分（Ｂ）の含有量が、水中油型乳化化粧料に含まれる油剤全量に対して６０質量％以上である、［１］又は［２］に記載の水中油型乳化化粧料である。
［４］
　前記成分（Ｃ）の含有量が、水中油型乳化化粧料中に１～２０質量％である、［１］～［３］のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料である。
［５］
　前記成分（Ｄ）の含有量が、水中油型乳化化粧料中に０．０１～０．４質量％である、［１］～［４］のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料である。
［６］
　前記(Ａ)成分として、ナイアシンアミド及びトラネキサム酸を併用する、［１］～［５］のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料である。
［７］
　前記成分（Ａ）～（Ｃ）の含有質量比（Ａ）／［（Ｂ）＋（Ｃ）］が０．０５以上７未満である、［１］～［６］のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料である。
［８］
　前記成分（Ａ）～（Ｄ）の含有質量比［（Ｂ）＋（Ｃ）＋（Ｄ）］／（Ａ）は０．１以上２０以下である、［１］～［７］のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
［９］
　さらに成分（Ｅ）ポリグリセリンを含む、［１］～［８］のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。

　本発明の水中油型乳化化粧料は、浸透感に優れながらも、塗布直後の保湿感及び保湿感の持続にも優れるものである。さらに、本発明の水中油型乳化化粧料は、使用後のべたつきがなく、良好な使用感を与えることができる。

　以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。本明細書において、範囲を示す「Ｘ～Ｙ」は、ＸおよびＹを含み、「Ｘ以上Ｙ以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温（２５℃）／相対湿度４０％ＲＨの条件で行う。

　（成分（Ａ）ナイアシンアミド及び／又はトラネキサム酸）

　本発明に用いられる成分（Ａ）ナイアシンアミドは、ニコチン酸（ビタミンＢ３／ナイアシン）のアミド化合物である。ナイアシンアミドは水溶性ビタミンで、ビタミンＢ群の一つである公知の物質であり、天然物（米ぬかなど）から抽出されたり、あるいは公知の方法によって合成することができる。具体的には、第１７改正日本薬局方に収載されているものを用いることが出来る。

　本発明に用いる成分（Ａ）トラネキサム酸は、化学名：トランス－４－（アミノメチル）シクロヘキサン－１－カルボン酸、で示されるアミノ酸の一種であり、前述のように皮膚に対し美白効果や抗炎症効果を有する成分として知られているほか、止血剤としても用いられることがある。

　　本発明における成分（Ａ）の含有量は、有効成分の効果等の観点から、水中油型乳化化粧料中に１質量％（以下、単に「質量％」を「％」と略す）以上であることが好ましく、２％以上であることがより好ましく、５％以上であることがさらにより好ましい。また、成分（Ａ）の含有量は、１０％以下であることが好ましく、８％以下であることがより好ましく、７％以下であることがさらにより好ましい。成分（Ａ）の含有量が、１％未満であると有効成分の効果として満足のいくものが得られない場合があり、１０％を超えると、塗布時のべたつきが強く、使用感が悪い場合がある。
　　本発明において、成分（Ａ）ナイアシンアミド及びトラネキサム酸は、単独又は併用することができ、皮膚老化防止効果や美白効果等の有効成分としての作用等に優れるという観点から、２種併用することが好ましい。成分（Ａ）において、ナイアシンアミド及びトラネキサム酸を２種併用する場合、それぞれの含有量において、好ましい範囲が存在する。本発明において、成分（Ａ）ナイアシンアミドの含有量は、有効成分としての作用等の観点から、水中油型乳化化粧料中に１％以上であることが好ましく、２％以上であることがより好ましく、３％以上であることがさらにより好ましく、４％以上であることが特に好ましい。また、１０％未満が好ましく、７％以下であることがより好ましく、べたつきのなさ等の使用感の観点から、５％以下であることがさらにより好ましい。また、成分（Ａ）トラネキサム酸の含有量は、有効成分としての作用等の観点から、水中油型乳化化粧料中に１％以上であることが好ましく、１．５％以上であることがより好ましく、２％以上であることがさらにより好ましい。また、１０％未満であることが好ましく、５％以下であることがより好ましく、べたつきのなさ等の使用感の観点から、３％以下であることがさらにより好ましい。

　（成分（Ｂ）シリコーン油）

　本発明に用いられる成分（Ｂ）のシリコーン油は、通常化粧料に使用されるものであれば特に限定されず用いることができる。シリコーン油の性状としては、特に限定されるものではないが、使用感に優れるという観点から、２５℃で液状であることがより好ましい。これらシリコーン油としては、ジメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルトリメチコン、ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、カプルリルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチコノール等が挙げられ、これらを１種又は２種以上を適宜選択して用いることができる。本発明においては、メチルフェニルポリシロキサン及び／又はジメチコンを用いることが好ましく、ジメチコンを用いることが浸透感及び保湿感の持続が顕著に発揮されるためより好ましい。

　本発明に用いられるジメチコンの粘度は特に限定されないが、浸透感の観点から２５℃における粘度が１～２００ｍＰａ・ｓであることが好ましく、２～１００ｍＰａ・ｓであることがより好ましい。なお、成分（Ｂ）の粘度は、ブルックフィールド型粘度計を用いた化粧品原料基準・粘度測定法第二法に従って測定される。

　本発明の水中油型乳化化粧料において、成分（Ｂ）を水中油型乳化化粧料に含まれる油剤全量に対して６０％以上含有しても、べたつきのなさ、浸透感及び保湿感に優れた水中油型乳化化粧料を得ることができる。また、本実施形態の系においては、成分（Ｂ）を水中油型乳化化粧料に含まれる油剤全量中に６０％以上とすることが好ましい。ゆえに、成分（Ｂ）の水中油型乳化化粧料に含まれる油剤全量中の含有量は、好ましい順に６０％以上、７０％以上、８０％以上、８５％以上、９０％以上である。なお、成分（Ｂ）の水中油型乳化化粧料に含まれる油剤全量中の含有量の上限は１００％である。

　成分（Ｂ）以外の油剤としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、α－オレフィンオリゴマー、ポリブテン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブテン等の炭化水素油；オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸類；オレイルアルコール、２－オクチルドデカノール、２－デシルテトラデカノール、イソステアリルアルコール、２－ヘキシルデカノール等の高級アルコール類；パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類；酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類；トリ２－エチルヘキサン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ジグリセリル、デカイソステアリン酸ポリグリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、テトラ２－エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、２－エチルヘキサン酸セチル、オレイン酸オクチルドデシル、トリ（カプリル／カプリン酸）グリセリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸イソセチル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸ジ２－エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸２－エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル等の２５℃で液状のエステル油類；オリーブ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、ホホバ油、アボカド油、ヒマシ油、紅花油、ヒマワリ油、キャノーラ油、キョウニン油、米胚芽油、米糠油等の２５℃で液状の植物油；カカオ脂、シアバター、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、硬化ヤシ油、ワセリン、モノステアリン酸硬化ヒマシ油、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、Ｎ－ラウロイル－Ｌ－グルタミン酸－ジ（オクチルドデシル／コレステリル／ベヘニル）、Ｎ－ラウロイル－Ｌ－グルタミン酸－ジ（オクチルドデシル／フィトステリル／ベヘニル）、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸（フィトステリル／イソステアリル／セチル／ステアリル／ベヘニル）等のペースト状の油剤；パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ステアリン酸、ベヘン酸、パルミチン酸セチル、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、トリベヘン酸グリセリル、コレステロール、フィトステロール、ステアリル変性ポリシロキサン、硬化油、ワセリン、パーム油等の２５℃で固形の固形状の油剤が挙げられる。これらのうち１種又は２種以上を使用することができる。

　本発明において、上記成分（Ｂ）と上記成分（Ｂ）以外の油剤とからなる油剤全量の含有量は、特に制限されるものではないが、べたつきのなさ及び保湿感の持続等の観点から、水中油型乳化化粧料中に０．２％以上であることが好ましく、０．５％以上であることがより好ましく、１％以上であることがさらに好ましい。また、上記成分（Ｂ）と上記成分（Ｂ）以外の油剤とからなる油剤全量の含有量は、浸透感及び塗布直後の保湿感等の観点から、水中油型乳化化粧料中に２０％以下であることが好ましく、１０％以下であることがより好ましく、７％以下であることがさらに好ましい。

　また、浸透感及び保湿感の持続等を考慮すると、炭化水素油の含有量は極力少ないほうが好ましく、例えば、炭化水素油の含有量は、水中油型乳化化粧料中に１％未満であることが好ましく、０．５％以下であることがより好ましく、含まない（０％である）ことが好ましい。

　本発明における成分（Ｂ）シリコーン油の含有量は、特に制限されるものではないが、保湿感の持続等の観点から、水中油型乳化化粧料中に０．１％以上であることが好ましく、０．５％以上であることがより好ましい。また、成分（Ｂ）の含有量は、べたつきの低減及び浸透感の観点から、水中油型乳化化粧料中に１０％以下であることが好ましく、５％以下であることがより好ましい。

　（成分（Ｃ）下記一般式で表される（ｃ１）及び（ｃ２）から選ばれる１種又は２種以上のグリセリン誘導体）

　本発明に用いられる成分（Ｃ）は、下記一般式で表される成分（ｃ１）及び成分（ｃ２）から選ばれる１種又は２種以上のグリセリン誘導体である。
　成分（ｃ１）一般式（１）

・・・（２）
（式（２）中、Ｒは、－[ＣＨ_２ＣＨ（ＣＨ_３）Ｏ]－を示し、ｐ、ｑ、ｒ、ｓはそれぞれ０～２０の整数を示し、ｐ＋ｑ＋ｒ＋ｓは、４～２０の整数を示す。）

　すなわち、成分（ｃ１）はグリセリンにプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドを合計でグリセリンに対して３～１８０モル当量の割合で付加させたもの、又はさらに炭素数４のアルキレンオキシドをグリセリンに対して０～１５モル当量の割合で付加させたものである。成分（ｃ１）のグリセリン誘導体は、一度ＰＯとＥＯとの付加物を合成した後、炭素数４のアルキレンオキシドをブロック状で付加することにより得ることが可能である。

　前記成分（ｃ１）のプロピレンオキシド（ＰＯ）およびエチレンオキシド（ＥＯ）の質量比（ＰＯ／ＥＯ）は１／５～５／１であり、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの付加形態は、ランダム状でもブロック状でもよい。プロピレンオキシド（ＰＯ）およびエチレンオキシド（ＥＯ）の質量比（ＰＯ／ＥＯ）が１／５未満の場合、浸透感、塗布直後の保湿感及び保湿感の持続性が低下し、５／１を超える場合は、べたつきの無さや浸透感が低下する。

　前記成分（ｃ１）のプロピレンオキシド（ＰＯ）およびエチレンオキシド（ＥＯ）の平均付加モル数は、合計３～１８０モル、すなわちｌ＋ｍが１～６０の範囲にあることが好ましく、浸透感及び保湿感等の観点から、ＰＯおよびＥＯの平均付加モル数が合計３～１５０モル、すなわちｌ＋ｍが１～５０範囲にあることがより好ましく、ＰＯおよびＥＯの平均付加モル数が合計３～９０モル、すなわちｌ＋ｍが１～３０範囲にあることがさらに好ましい。ＰＯおよびＥＯの平均付加モル数が合計で３モル未満、すなわちｌ＋ｍが１未満であれば、べたつきのなさ及び浸透感に優れない場合がある。平均付加モル数が合計で１８０モル、すなわちｌ＋ｍが６０を超えると、直後の保湿感及び保湿感の持続に優れない場合がある。

　また、前記成分（ｃ１）のプロピレンオキシド（ＰＯ）の平均付加モル数は、３～９０モル、すなわちｌが１～３０の範囲にあることが好ましく、ＰＯの平均付加モル数が３～６０、すなわちｌが１～２０の範囲にあることがより好ましい。この範囲とすることでべたつきのなさや浸透感、塗布直後の保湿感及び保湿感の持続といった本発明の効果がより好適に発揮されるため好ましい。

　前記成分（ｃ１）の炭素数４のアルキレンオキシド（ＢＯ）の平均付加モル数は、０～１５モル、すなわちｎが０～５の範囲にあることが好ましく、ＢＯの平均付加モル数が３～１５モル、すなわちｎが１～５の範囲にあることがより好ましい。ＢＯの平均付加モル数が１５モル、すなわちｎが５を超えると、べたつきのなさ及び浸透感に優れない場合がある。

　本発明においては、炭素数４のアルキレンオキシド（ＢＯ）の平均付加モル数が０モル、すなわちｎが０のとき、プロピレンオキシド（ＰＯ）およびエチレンオキシド（ＥＯ）の平均付加モル数が合計９０～１８０モル、すなわちｌ＋ｍが３０～６０の範囲であることが好ましく、ＰＯおよびＥＯの平均付加モル数が合計９０～１５０モル、すなわちｌ＋ｍが３０～５０範囲にあることがより好ましい。また、ＢＯの平均付加モル数が１～５モル、すなわちｎが１～５の範囲にあるとき、ＰＯおよびＥＯの平均付加モル数が合計３～９０モル、すなわちｌ＋ｍが１～３０範囲にあることが好ましく、ＰＯおよびＥＯの平均付加モル数が合計３～６０モル、すなわちｌ＋ｍが１～２０範囲にあることがより好ましい。上記範囲とすることでべたつきのなさや浸透感、塗布直後の保湿感及び保湿感の持続といった本発明の効果がより好適に発揮されるため好ましい。

　前記成分（ｃ１）の炭素数４のアルキレンオキシドとしては、１，２－ブチレンオキシド、２，３－ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシド（テトラヒドロフラン）などが挙げられる。これらの中で、入手の容易さ、反応制御の容易さなどの点から、１，２－ブチレンオキシドが好ましい。

　成分（ｃ１）としては、具体的には、（ＥＯ）の平均付加モル数が８、（ＰＯ）の平均付加モル数が５、（ＢＯ）の平均付加モル数が３であるポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル（３ＢＯ）（８ＥＯ）（５ＰＯ）、及び（ＥＯ）の平均付加モル数が２４、（ＰＯ）の平均付加モル数が２４であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル（２４ＥＯ）（２４ＰＯ）が、浸透感、塗布直後の保湿感及び保湿感の持続が向上するため好ましい。これら市販品としては、ポリオキシエチレン（２４）ポリオキシプロピレン（２４）グリセリルエーテル（販売名：ＮＩＫＫＯＬ　ＳＧ－Ｇ２４２４、日光ケミカルズ株式会社製)）、ポリオキシブチレン（３）ポリオキシエチレン（８）ポリオキシプロピレン（５）グリセリルエーテル（販売名：ウィルブライドＳ－７５３、日油株式会社製）などが挙げられる。これらのうち１種又は２種以上を使用することができる。

　本発明の成分（ｃ２）はジグリセリンにプロピレンオキシドを常法により付加させて得ることが可能である。ここでプロピレンオキサイドの付加モル数は、べたつきのなさ、浸透感及び保湿感等の観点から、ジグリセリン１分子に４～２０モルが好ましく、５～１５モルがより好ましく、８～１５モルがさらに好ましく、８～１０がよりさらに好ましい。

　成分（ｃ２）としては、具体的には、（ＰＯ）の平均付加モル数が９であるポリオキシプロピレンジグリセリル（９ＰＯ）が、浸透感、塗布直後の保湿感及び保湿感の持続が向上するため好ましい。これら市販品としては、ポリオキシプロピレン（９）ジグリセリル（販売名：ＳＹ－ＤＰ９、阪本薬品工業社製）などが挙げられる。これらのうち１種又は２種以上を使用することができる。

　前記した成分（ｃ１）及び（ｃ２）のこれらグリセリン誘導体としては、グリセリン又はジグリセリンにアルキレンオキシドを付加させる場合、アルカリ触媒、相関移動触媒、ルイス酸触媒などを用いて付加反応を行う。一般的には、水酸化カリウムなどのアルカリ触媒を用いることが好ましい。

　本発明において、成分（Ｃ）は成分（ｃ１）及び成分（ｃ２）から選ばれる１種又は２種以上を含有することができる。本発明においては、保湿感の持続等の効果がより好適に発揮されるという観点から、成分（Ｃ）が成分（ｃ１）であることがより好ましい。また、本発明において、成分（Ｃ）に関して２種含有するとは、成分（ｃ１）を２種、成分（ｃ２）を２種、成分（ｃ１）及び成分（ｃ２）の併用のいずれでもよい。

　本発明の成分（Ｃ）の含有量は、特に制限されるものではないが、べたつきのなさや浸透感等の観点から、水中油型乳化化粧料中に１％以上であることが好ましく、２％以上であることがより好ましく、３％以上であることがさらにより好ましい。また、成分（Ｃ）の含有量は、２０％以下であることがより好ましく、塗布直後の保湿感や保湿感の持続等の観点から、１５％以下であることが好ましく、１０％以下であることがさらにより好ましい。

　また、成分（Ａ）～（Ｃ）の含有質量比（Ａ）／［（Ｂ）＋（Ｃ）］は、特に制限されるものではないが、０．０５以上であることが好ましく、０．１以上であることがより好ましく、べたつきのなさや浸透感等の観点から、０．２以上であることがさらにより好ましく、０．３以上であることが特に好ましい。また、含有質量比（Ａ）／［（Ｂ）＋（Ｃ）］は、塗布直後の保湿感や保湿感の持続等の観点から、７未満であることが好ましく、５以下であることがより好ましく、３．５以下であることがさらにより好ましく、２．５以下であることが特に好ましい。

　（成分（Ｄ）両親媒性高分子）

　本発明に用いられる成分（Ｄ）両親媒性高分子とは、界面活性剤を併用せず単独で、あるいは、界面活性剤を併用するとしても少量の添加で、化粧料及び組成物において安定した水中油型乳化分散物となる得る高分子化合物のことである。例えば、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム／ビニルピロリドン共重合体、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウムメタクリル酸べへネス－２５共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル／アクリロイルジメチルタウリンＮａ共重合体、アクリル酸Ｎａ／アクリロイルジメチルタウリン酸Ｎａ共重合体、ＰＥＧ－２４０／デシルテトラデセス－２０／ヘキサメチルジイソシアネート共重合体、疎水化ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、２－メタクリロイルオキシホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体が挙げられ、これらの成分の少なくとも１種を用いることができる。

　これらの中でも、成分（Ｄ）は、浸透感と保湿感の持続等の観点から、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム／ビニルピロリドン共重合体、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウムメタクリル酸べへネス－２５共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル／アクリロイルジメチルタウリンＮａ共重合体、アクリル酸Ｎａ／アクリロイルジメチルタウリン酸Ｎａ共重合体を用いることが好ましく、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウムメタクリル酸べへネス－２５共重合体、アクリル酸Ｎａ／アクリロイルジメチルタウリン酸Ｎａ共重合体を用いることがより好ましく、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウムメタクリル酸べへネス－２５共重合体を用いることがさらにより好ましい。市販品としては、Ａｒｉｓｔｏｆｌｅｘ　ＨＭＢ（クラリアントジャパン株式会社製）、ＰＥＭＵＬＥＮ　ＴＲ－１（Ｌｕｂｉｚｏｌ　Ａｄｖａｎｃｅｄ　Ｍａｔｅｒｉａｌｓ社製）等が使用可能であり、これらのうち１種又は２種以上を使用することができる。

　本発明の成分（Ｄ）の含有量は、特に制限されるものではないが、水中油型乳化化粧料中に０．０１％以上であることが好ましく、保湿感の持続等の観点から、０．０５％以上であることがより好ましい。また、成分（Ｄ）の含有量は、０．６％以下であることが好ましく、浸透感等の観点から、０．４％以下であることがより好ましく、０．２％以下であることがさらにより好ましい。

　また、本発明の成分（Ａ）を含有する水中油型乳化化粧料において、本発明の効果を好適に発揮するという観点から、成分（Ｂ）～（Ｄ）と組み合わせることは重要である。本発明において、成分（Ａ）～（Ｄ）の含有質量比［（Ｂ）＋（Ｃ）＋（Ｄ）］／（Ａ）は、特に制限されるものではないが、０．１以上であることが好ましく、塗布直後の保湿感や保湿感の持続等の観点から、０．２以上であることがより好ましく、０．３以上であることがさらにより好ましく、０．４以上であることが特に好ましい。また、含有質量比［（Ｂ）＋（Ｃ）＋（Ｄ）］／（Ａ）は、べたつきのなさや浸透感等の観点から、２０以下であることが好ましく、１０以下であることがより好ましく、塗布直後の保湿感や保湿感の持続等の観点から、５以下であることがさらにより好ましく、３以下であることが特に好ましい。

　（成分（Ｅ）ポリグリセリン）

　本発明の水中油型乳化化粧料は、さらに成分（Ｅ）ポリグリセリンを用いることにより、浸透感、塗布直後の保湿感及び保湿感の持続に優れる水中油型乳化化粧料とすることができる。本発明において、ポリグリセリンとは、２量体以上のグリセリンのことであり、例えば、ジグリセリン、グリセリンの３量体であるトリグリセリン、グリセリンの４量体であるテトラグリセリン、グリセリンの６量体であるヘキサグリセリン、グリセリンの１０量体であるデカグリセリン、グリセリンの２０量体であるエイコサグリセリンなどが挙げられ、これらのうち１種又は２種以上を使用することができる。本発明においては、べたつきのなさ等の観点から、ジグリセリン、トリグリセリンから選ばれる１種又は２種以上であることが好ましく、浸透感、塗布直後の保湿感及び保湿感の持続等の観点から、トリグリセリンであることがより好ましい。これら市販品としては、ジグリセリン８０１、ＰＧＬ－Ｓ（以上、阪本薬品工業社製）等が挙がられる。

　本発明の成分（Ｅ）の含有量は、特に制限されるものではないが、水中油型乳化化粧料中に０．１％以上であることが好ましく、浸透感、塗布直後の保湿感及び保湿感の持続等の観点から、０．５％以上であることがより好ましく、１％以上であることがさらに好ましい。また、成分（Ｅ）の含有量は、５％以下であることが好ましく、べたつきのなさ及び浸透感等の観点から、３％以下であることがより好ましく、２％以下であることがさらにより好ましい。

　また、本発明において成分（Ｃ）、（Ｅ）の含有質量比（Ｃ）／（Ｅ）は、特に制限されるものではないが、塗布直後の保湿感や保湿感の持続等の観点から、１以上であることが好ましく、２以上であることがより好ましく、３以上であることがさらにより好ましい。また、含有質量比（Ｃ）／（Ｅ）は、べたつきのなさ及び浸透感等の観点から、１５以下であることが好ましく、１０以下であることがより好ましく、７以下であることがさらに好ましい。

　本発明は水中油型乳化化粧料であり、水を含むものである。ここで水は、油剤の分散媒体として用いられるものであり、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば精製水、蒸留水、イオン交換水、水道水、温泉水、海洋深層水等が挙げられる。水の含有量としては、特に限定されるものではないが、水中油型乳化化粧料中に１０～８０％が好ましく、２０～７０％がより好ましい。

　さらに、本発明の水中油型乳化化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で界面活性剤を含有することができる。界面活性剤は、水中油型乳化化粧料の安定性を向上させることができ、通常、化粧料、医薬部外品、医薬品等に使用されるものであれば、特に制限なく配合することができる。しかし、安定性を向上させる一方で、べたつき、浸透感等の使用性、及び保湿感の持続の観点から、３％以下であることが好ましく、１％以下であることがより好ましい。

　本発明の水中油型乳化化粧料には、上記した必須成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧料、医薬部外品、医薬品等に使用される成分を含有できる。すなわち、本発明の水中油型乳化化粧料には、例えば、界面活性剤、高級アルコール、成分（Ｄ）以外の水溶性高分子、低級アルコール、多価アルコール、皮膜形成剤、粉体、樹脂、香料、消臭剤、清涼剤、紫外線吸収剤、ｐＨ調整剤、防腐剤、キレート剤、植物抽出物、アミノ酸、ビタミン類、美容成分等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有することができる。

　本発明の水中油型乳化化粧料は、種々の用途の化粧料として利用できる。例えば、化粧水、乳液、クリーム、美容液、マッサージ化粧料、パック化粧料、ハンドクリーム、ボディローション、ボディクリーム、メイクアップ化粧料、化粧用下地化粧料、目元用クリーム、日焼け止め等の化粧料を例示することができる。中でも、化粧水、乳液、クリーム、美容液、マッサージ化粧料、パック化粧料、ハンドクリーム、ボディローション、ボディクリーム等のスキンケア化粧料が好ましい。その使用方法は、手や指、コットンで使用する方法、不織布等に含浸させて使用する方法等が挙げられる。

　本発明の水中油型乳化化粧料の性状としては、液状、ゲル状、乳液状、クリーム状、半固形状、固形状等の種々の形態にて実施することが可能であり、中でも液状～ゲル状とすることが本発明の効果を得る上で好ましい。ここで、液状～ゲル状とは、２５℃においてブルックフィールド型回転粘度計を用いて測定された粘度３０,０００ｍＰａ・ｓ以下の粘度を有するものであり、好ましくは２０,０００ｍＰａ・ｓ以下、さらに好ましくは１５,０００ｍＰａ・ｓ以下である。

（製造方法）
　本発明の水中油型乳化化粧料の製造方法は、特に限定されず通常公知の方法で製造可能であり、具体的には、分散乳化法、転相乳化法、転相温度乳化法等が挙げられる。製造機器としては、一般のディスパーションのような分散・乳化機器であればいずれでもよい。例えば、成分（Ｃ）～(Ｅ)と一部の精製水を混合溶解させた水相に、成分（Ｂ）を加熱溶解させた油相を添加し、ディスパーションにより乳化混合後、冷却し、精製水に溶解した成分（Ａ）を添加することにより水中油型乳化化粧料が得られる。

　本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、特記しない限り、各操作は、室温（２５℃）で行われる。
　実施例１～２４及び比較例１～９：水中油型乳化化粧料
　下記表１～３に示す処方の水中油型乳化化粧料を調製し、べたつきのなさ、浸透感、塗布直後の保湿感、保湿感の持続について下記の方法により評価した。その結果も併せて表１～３に示す。

　注１　ＣＡＲＮＡＴＩＯＮ（ＳＯＮＮＥＢＯＲＮ社製）
　注２　ウィルブライドＳ-７５３Ｄ（日油株式会社製)
　注３　ＮＩＫＫＯＬＳＧ-Ｇ２４２４（日光ケミカルズ株式会社製)
　注４　ＳＹ-ＤＰ９（坂本薬品工業株式会社製）
　注５　ＬＩＰＯＮＩＣＥＧ-１（ＬｉｐｏＣｈｅｍｉｃａｌｓ社製）
　注６　ＰＥＭＵＬＥＮＴＲ-１（ＬｕｂｒｉｚｏｌＡｄｖａｎｃｅｄＭａｔｅｒｉａｌｓ社製）
　注７　Ａｒｉｓｔｏｆｌｅｘ　ＨＭＢ（クラリアントジャパン株式会社製）
　注１６　ＰＧＬ－Ｓ（阪本薬品工業社製）

（製造方法）
　Ａ：成分（６）～（１９）、一部の成分（２０）を均一に混合溶解する。
　Ｂ：成分（３）～（５）を均一に混合溶解する。
　Ｃ：ＡにＢを添加することで乳化を行い、その後、残りの成分（２０）に溶解した成分（１）及び（２）を添加混合して水中油型乳化化粧料を得た。

（評価方法１）
　２０代～４０代の女性で官能評価の訓練を受け、一定の基準で評価が可能な専門パネルを１０名選定した。該専門パネルは前腕に各試料２ｇを使用し、それぞれについて、使用時のべたつきのなさ、浸透感、及び塗布直後の保湿感を、下記絶対評価にて４段階に評価し評点を付けた。試料毎にパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記４段階判定基準により判定した。

（イ：べたつきのなさ）
　＜絶対評価基準＞
　（評点）：（評価）
　　　４点：べたつきを感じない
　　　３点：べたつきをあまり感じない
　　　２点：べたつきをやや感じる
　　　１点：べたつきを感じる
＜４段階判定基準＞
　（判定）：（評点の平均点）
　　　◎　：３.２５点を超える　　　　　　：非常に良好
　　　○　：２．５点を超える３.２５点以下：良好
　　　△　：１．７５点を超える２．５点以下：やや不良
　　　×　：１．７５点以下　　　　　　　　：不良

（ロ：浸透感）
　＜絶対評価基準＞
　（評点）：（評価）
　　　４点：肌への浸透感があると感じる
　　　３点：肌への浸透感があるとやや感じる
　　　２点：肌への浸透感があるとあまり感じない
　　　１点：肌への浸透感があると感じない
　＜４段階判定基準＞
　（判定）：（評点の平均点）
　　　◎　：３.２５点を超える　　　　　　：非常に良好
　　　○　：２．５点を超える３.２５点以下：良好
　　　△　：１．７５点を超える２．５点以下：やや不良
　　　×　：１．７５点以下　　　　　　　　：不良

（ハ：塗布直後の保湿感）
　＜絶対評価基準＞
　（評点）：（評価）
　　　４点：保湿感があると感じる
　　　３点：保湿感があるとやや感じる
　　　２点：保湿感があるとあまり感じない
　　　１点：保湿感があると感じない
　＜４段階判定基準＞
　（判定）：（評点の平均点）
　　　◎　：３.２５点を超える　　　　　　：非常に良好
　　　○　：２．５点を超える３.２５点以下：良好
　　　△　：１．７５点を超える２．５点以下：やや不良
　　　×　：１．７５点以下　　　　　　　　：不良

（評価方法２）
　２０代～４０代の女性で官能評価の訓練を受け、一定の基準で評価が可能な専門パネルを１０名選定した。該専門パネルが、前腕に各試料２ｇを塗布して馴染ませ、塗布５時間後の保湿感の持続について下記絶対評価にて４段階に評価し評点を付けた。試料毎にパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記４段階判定基準により判定した。

（ニ：保湿感の持続）
　＜絶対評価基準＞
　（評点）：（評価）
　　　４点：保湿感があると感じる
　　　３点：保湿感があるとやや感じる
　　　２点：保湿感があるとあまり感じない
　　　１点：保湿感があると感じない
　＜４段階判定基準＞
　（判定）：（評点の平均点）
　　　◎　：３.２５点を超える　　　　　　：非常に良好
　　　○　：２．５点を超える３.２５点以下：良好
　　　△　：１．７５点を超える２．５点以下：やや不良
　　　×　：１．７５点以下　　　　　　　　：不良

　表１～３の結果から明らかな如く、本発明の実施例１～２４の水中油型乳化化粧料は、比較例１～９の水中油型乳化化粧料に比べ、べたつきが軽減され、浸透感があり、塗布直後の保湿感及び保湿感の持続にも優れたものであった。

　これに対して、成分（Ｂ）のシリコーン油を含有しない、又は炭化水素油である流動パラフィンを用いた比較例１及び２では、べたつきのなさや保湿感の持続において劣っており、さらには浸透感や塗布直後の保湿感においても満足のいくものが得られなかった。そして、成分（Ｃ）の特定の式で表されるポリオキシアルキレン付加グリセリン誘導体を含有しない、又はポリオキシプロピレン骨格を含有しないポリオキシアルキレン付加グリセリン誘導体やグリセリン、グリセリン骨格を含有しないポロプロピレングリコールを用いた比較例３～６において、浸透感及び保湿感の持続等、すべての結果において満足のいくものが得られなかった。また、成分（Ｄ）の両親媒性高分子を含有しない、又は両親媒性を有しない水溶性高分子や水溶性多糖類を用いた比較例７～９においても、浸透感の持続に加え、べたつきのなさ、浸透感及び塗布直後の保湿感においても満足のいくものが得られなかった。

　実施例２５：美容液（水中油型）
（成分）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（質量％）
（１）ナイアシンアミド　（成分（Ａ））　　　　　　　　　３
（２）トラネキサム酸　（成分（Ａ））　　　　　　　　　　２
（３）（アクリル酸／アクリル酸アルキル（Ｃ１０－３０））コポリマー
　　　（成分（Ｄ））　注６　　　　　　　　　　　　　　　０．３
（４）アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム／メタクリル酸
　　　ベヘネス－２５クロスポリマー　（成分（Ｄ））　注７
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　０．０５
（５）１，３－ブチレングリコール　　　　　　　　　　　　８
（６）精製水　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　残量
（７）グリセリン　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　５
（８）ＥＤＴＡ－２Ｎａ　　　　　　　　　　　　　　　　　０．０１
（９）リン酸水素ナトリウム　　　　　　　　　　　　　　　０．３
（１０）リン酸二水素ナトリウム　　　　　　　　　　　　　０．６
（１１）ＰＥＧ／ＰＰＧ／ポリグチレングリコール
　　　／８／５／３グリセリン　（成分（Ｃ））　注２　　　３
（１２）ジグリセリン　　　　　　　　　　　　　　　　　　１
（１３）アウレオバシジウムプルランス培養物　　　　　　　５
（１４）精製水　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　５
（１５）水酸化ナトリウム　　　　　　　　　　　　　　　　０．０７
（１６）ジメチコン　（２５℃において１０ｍＰａ・ｓ）
　　　（成分（Ｂ））　　　　　　　　　　　　　　　　　　１．５
（１７）ジメチコン　（２５℃において２ｍＰａ・ｓ）
　　　（成分（Ｂ））　　　　　　　　　　　　　　　　　　１
（１８）トリエチルヘキサノイン　　　　　　　　　　　　　１
（１９）流動パラフィン　注１　　　　　　　　　　　　　　０．５
（２０）エタノール　　　　　　　　　　　　　　　　　　　５
（２１）香料　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　０．０５
（２２）フェノキシエタノール　　　　　　　　　　　　　　０．２
（２３）エチルヘキシルグリセリン　　　　　　　　　　　　０．０６
（２４）ＰＥＧ－１１メチルエーテルジメチコン　注８　　　０．５
（２５）ＰＥＧ－９ジメチコン　注９　　　　　　　　　　　０．１
（２６）ビタミンＥ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　０．０３
　注８　ＫＦ－６０１８（信越化学工業社製）
　注９　ＫＦ－６０１９（信越化学工業社製）

（製造方法）
Ａ：成分（１）～（１５）を均一に混合する。
Ｂ：成分（１６）～（２６）を混合溶解させた後、室温で前記Ａに添加し、乳化する。
Ｃ：Ｂを容器に充填し、美容液を得た。

　以上のようにして得られた実施例２５の美容液は、べたつきのなさ、浸透感、塗布直後の保湿感さらに保湿感の持続に優れるものであった。
　なお、成分（Ａ）～（Ｃ）の含有質量比（Ａ）／［（Ｂ）＋（Ｃ）］は、０．９であった。

　実施例２６：乳液（水中油型）
（成分）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（質量％）
（１）ナイアシンアミド　（成分（Ａ））　　　　　　　　　３
（２）トラネキサム酸　（成分（Ａ））　　　　　　　　　　２
（３）（アクリル酸／アクリル酸アルキル（Ｃ１０－３０））コポリマー
　　　（成分（Ｄ））　注６　　　　　　　　　　　　　　　０．１５
（４）カルボマー　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　０．０６
（５）１，３－ブチレングリコール　　　　　　　　　　　　８
（６）精製水　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　残量
（７）グリセリン　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　５
（８）ＥＤＴＡ－２Ｎａ　　　　　　　　　　　　　　　　　０．０１
（９）ポリオキシプロピレン（９）ジグリセリル　（成分（Ｃ））
　　　注４　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２
（１０）ＰＥＧ／ＰＰＧ／ポリグチレングリコール
　　　／８／５／３グリセリン　（成分（Ｃ））　注２　　　３
（１１）ポリオキシエチレングリセリン（２６Ｅ．Ｏ．）
　　　注５　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１
（１２）ポリグリセリル―３　（成分（Ｅ））　注１６　　　０．５
（１３）アウレオバシジウムプルランス培養物　　　　　　　５
（１４）精製水　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　５
（１５）水酸化ナトリウム　　　　　　　　　　　　　　　　０．０８
（１６）ジメチコン　（２５℃において６ｍＰａ・ｓ）
　　　（成分（Ｂ））　　　　　　　　　　　　　　　　　　５
（１７）マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル
　　　注１０　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１
（１８）オレイン酸フィトステリル　注１１　　　　　　　　０．１
（１９）エタノール　　　　　　　　　　　　　　　　　　　３
（２０）香料　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　０．２
（２１）フェノキシエタノール　　　　　　　　　　　　　　０．２
（２２）エチルヘキシルグリセリン　　　　　　　　　　　　０．０６
（２３）ＰＥＧ－１１メチルエーテルジメチコン　注８　　　０．８
（２４）ＰＥＧ－９ジメチコン　注９　　　　　　　　　　　０．２
（２５）ビタミンＥ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　０．０３
　注１０　ＬＡＮＤＯＯＬ－ＭＡＳ（日本精化社製）
　注１１　ライステロールエステル（築野ライスファインケミカルズ社製）

（製造方法）
Ａ：成分（１）～（１５）を均一に混合する。
Ｂ：成分（１６）～（２５）を約７０℃に加熱し、均一に混合溶解させた後、前記Ａに添加し、乳化後、冷却する。
Ｃ：Ｂを容器に充填し、乳液を得た。

　以上のようにして得られた実施例２６の乳液（水中油型）は、べたつきのなさ、浸透感、塗布直後の保湿感さらに保湿感の持続に優れるものであった。
　なお、成分（Ａ）～（Ｃ）の含有質量比（Ａ）／［（Ｂ）＋（Ｃ）］は、０．５であった。

　実施例２７：日焼け止め料（水中油型）
（成分）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（質量％）
（１）１，３－ブチレングリコール　　　　　　　　　　　　５
（２）ジプロピレングリコール　　　　　　　　　　　　　　５
（３）ベヘントリモニウムクロリド　　　　　　　　　　　　０．１
（４）水添レシチン　注１２　　　　　　　　　　　　　　　０．５
（５）コレステロール　注１３　　　　　　　　　　　　　　０．６
（６）フィトステロール　　　　　　　　　　　　　　　　　０．１
（７）ＰＥＧ／ＰＰＧ／ポリグチレングリコール
　　　／８／５／３グリセリン　（成分（Ｃ））　注２　　　１
（８）精製水　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　残量
（９）ナイアシンアミド　（成分（Ａ））　　　　　　　　　３
（１０）トラネキサム酸　（成分（Ａ））　　　　　　　　　２
（１１）（アクリル酸／アクリル酸アルキル（Ｃ１０－３０））
　　　コポリマー　（成分（Ｄ））　注６　　　　　　　　　０．４
（１２）トリエタノールアミン　　　　　　　　　　　　　　０．４
（１３）ジメチコジエチルベンザルマロネート　　　　　　　１．２
（１４）４－ｔｅｒｔ－ブチル－４´－メトキシ－ジベンゾイルメタン
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２
（１５）パラメトキシケイ皮酸２－エチルへキシル　　　　　７
（１６）ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２．５
（１７）ジメチコン　（２５℃において１００ｍＰａ・ｓ）
　　　（成分（Ｂ））　　　　　　　　　　　　　　　　　　１
（１８）ステアリン酸硬化ヒマシ油　注１４　　　　　　　　０．５
（１９）ジカプリン酸プロピレングリコール　　　　　　　　５
（２０）オレイン酸エチル　　　　　　　　　　　　　　　　０．３
（２１）天然ビタミンＥ　　　　　　　　　　　　　　　　　０．１
（２２）ローズマリー油　　　　　　　　　　　　　　　　　０．０１
（２３）１，２－ペンタンジオール　　　　　　　　　　　　０．１
（２４）酸化亜鉛　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２
（２５）水溶性コラーゲン　　　　　　　　　　　　　　　　０．０１
（２６）カミツレ花エキス　　　　　　　　　　　　　　　　０．０５
（２７）トウキンセンカ花エキス　　　　　　　　　　　　　０．０５
（２８）グリセリン　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１
（２９）エタノール　　　　　　　　　　　　　　　　　　　７
（３０）香料　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　０．１
　注１２　ニッコール　レシノールＳ－１０（日光ケミカルズ社製）
　注１３　海麗マリンコレステロール（日本水産社製）
　注１４　キャストライドＭＳ（ナショナル美松社製）

（製造方法）
Ａ：成分（１）～（７）を７５℃で均一に溶解混合する。
Ｂ：成分（８）～（１２）を７０℃で均一に溶解混合する。
Ｃ：成分（１３）～（２２）を８０℃で均一に溶解混合する。
Ｄ：ＡにＢ及びＣを添加し７０℃で乳化する。
Ｅ：Ｄに成分（２３）～（３０）を添加混合した後、４０℃まで冷却して日焼け止め料（水中油型）を得た。

　以上のようにして得られた実施例２７の日焼け止め料（水中油型）は、べたつきのなさ、浸透感、塗布直後の保湿感さらに保湿感の持続に優れるものであった。
　なお、成分（Ａ）～（Ｃ）の含有質量比（Ａ）／［（Ｂ）＋（Ｃ）］は、２．５であった。

　実施例２８：化粧水（水中油型）
（成分）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（質量％）
（１）ＰＥＧ－２０水添ヒマシ油　　　　　　　　　　　　　０．５
（２）トリ（パーム油脂肪酸／パーム核油脂肪酸／オリーブ油脂肪酸
　　　／マカデミアナッツ油脂肪酸／アブラナ種子油脂肪酸）グリセリル
　　　注１５　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　０．０７
（３）オレイン酸フィトステリル　　　　　　　　　　　　　０．０１
（４）ジメチコン　（２５℃において６ｍＰａ・ｓ）　（成分（Ｂ））
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　０．１３
（５）ビタミンＥ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　０．０１
（６）ナイアシンアミド　（成分（Ａ））　　　　　　　　　３
（７）トラネキサム酸　（成分（Ａ））　　　　　　　　　　２
（８）アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム／メタクリル酸
　　　ベヘネス－２５クロスポリマー　注７　（成分（Ｄ））
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　０．０５
（９）１，３－ブチレングリコール　　　　　　　　　　　　８
（１０）グリセリン　　　　　　　　　　　　　　　　　　　５
（１１）ＥＤＴＡ－２Ｎａ　　　　　　　　　　　　　　　　０．０１
（１２）リン酸水素ナトリウム　　　　　　　　　　　　　　０．１
（１３）リン酸二水素ナトリウム　　　　　　　　　　　　　０．２
（１４）ＰＥＧ／ＰＰＧ／ポリグチレングリコール
　　　／８／５／３グリセリン　（成分（Ｃ））　注２　　　１
（１５）ジグリセリン　　　　　　　　　　　　　　　　　　０．５
（１６）メチルグルセス－１０　　　　　　　　　　　　　　０．５
（１７）アウレオバシジウムプルランス培養物　　　　　　　１
（１８）水酸化ナトリウム　　　　　　　　　　　　　　　　０．０２
（１９）エタノール　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２
（２０）イソステアリン酸ＰＥＧ－５０水添ヒマシ油　　　　０．１
（２１）香料　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　０．０２
（２２）フェノキシエタノール　　　　　　　　　　　　　　０．２
（２３）エチルヘキシルグリセリン　　　　　　　　　　　　０．０６
（２４）精製水　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　残量
　注１５　ＨＳオイル　Ｇ－ＡＰ（ナショナル美松社製）

（製造方法）
Ａ：成分（１）～（５）を７５℃で均一に溶解混合する。
Ｂ：Ａを７５℃に保持しながら成分（２４）の一部を添加し７０℃で乳化する。
Ｃ：Ｂを室温まで冷却後、マイクロフルイダイザーにて高圧処理（処理圧２００）する。
Ｄ：成分（６）～（２３）及び成分（２４）の残りを室温にて均一に溶解混合する。
Ｅ：ＤにＣを添加混合することで化粧水を得た。

　以上のようにして得られた実施例２８の化粧水（水中油型）は、べたつきのなさ、浸透感、塗布直後の保湿感さらに保湿感の持続に優れるものであった。
　なお、成分（Ａ）～（Ｃ）の含有質量比（Ａ）／［（Ｂ）＋（Ｃ）］は、４．４であった。

Claims

　次の成分（Ａ）～（Ｄ）；
（Ａ）ナイアシンアミド及び／又はトラネキサム酸　１～１０質量％
（Ｂ）シリコーン油
（Ｃ）下記一般式で表される成分（ｃ１）及び成分（ｃ２）から選ばれる１種又は２種以上のグリセリン誘導体
　成分（ｃ１）一般式（１）

・・・（１）
（式（１）中、Ｇｌｙはグリセリンから水酸基を除いた残基、ＰＯはオキシプロピレン基、ＥＯはオキシエチレン基であり、ｌ及びｍはそれぞれＰＯ及びＥＯの平均付加モル数であり、（ｌ＋ｍ）は１～６０の値であり、質量比（ＰＯ／ＥＯ）は１／５～５／１であって、ＢＯは炭素数４のオキシアルキレン基であり、ｎはＢＯの平均付加モル数であって、０～５の値である。）
　成分（ｃ２）一般式（２）

・・・（２）
（式（２）中、Ｒは、－［ＣＨ_２ＣＨ（ＣＨ_３）Ｏ］－を示し、ｐ、ｑ、ｒ、ｓはそれぞれ０～２０の整数を示し、ｐ＋ｑ＋ｒ＋ｓは、４～２０の整数を示す。）
（Ｄ）両親媒性高分子
を含有する水中油型乳化化粧料。
　前記成分（Ｄ）が、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム／ビニルピロリドン共重合体、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウムメタクリル酸べへネス－２５共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル／アクリロイルジメチルタウリンＮａ共重合体、アクリル酸Ｎａ／アクリロイルジメチルタウリン酸Ｎａ共重合体、ＰＥＧ－２４０／デシルテトラデセス－２０／ヘキサメチルジイソシアネート共重合体、疎水化ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸から選ばれる少なくとも１種である、請求項１に記載の水中油型乳化化粧料。
　前記成分（Ｂ）の含有量が、水中油型乳化化粧料に含まれる油剤全量に対して６０質量％以上である、請求項１又は２に記載の水中油型乳化化粧料。
　前記成分（Ｃ）の含有量が、水中油型乳化化粧料中に１～２０質量％である、請求項１～３のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
　前記成分（Ｄ）の含有量が、水中油型乳化化粧料中に０．０１～０．４質量％である、請求項１～４のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
　前記（Ａ）成分として、ナイアシンアミド及びトラネキサム酸を併用する、請求項１～５のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
　前記成分（Ａ）～（Ｃ）の含有質量比（Ａ）／［（Ｂ）＋（Ｃ）］が０．０５以上７未満である、請求項１～６のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
　前記成分（Ａ）～（Ｄ）の含有質量比［（Ｂ）＋（Ｃ）＋（Ｄ）］／（Ａ）は０．１以上２０以下である、請求項１～７のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。
　さらに成分（Ｅ）ポリグリセリンを含む、請求項１～８のいずれか一項に記載の水中油型乳化化粧料。