WO2021054222A1

WO2021054222A1 - 表示装置

Info

Publication number: WO2021054222A1
Application number: PCT/JP2020/034116
Authority: WO
Inventors: 伸雄横井; 信輔久次; 雅史野原
Original assignee: 株式会社デンソー
Priority date: 2019-09-17
Filing date: 2020-09-09
Publication date: 2021-03-25
Also published as: US20220197582A1

Abstract

表示装置（１，１０１，２０１，３０１）は、複数の表示部（１１，１２，１３，１４，１５，１０６，２１５，３１９）と、反射部（３，１０４，２１７，３１７）とを備える。複数の表示部は、表示する画像を表す表示光を表示画面から照射する。反射部は、複数の表示部の各々における表示表面に対面するように配置され、複数の表示部から照射される表示光を反射する。

Description

表示装置

関連出願の相互参照

　本国際出願は、２０１９年１１月８日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第２０１９－２０３２７４号と、２０１９年９月１７日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第２０１９－１６７９９１号と、２０２０年５月１８日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第２０２０－８６７５８号と、２０２０年１月３１日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第２０２０－１５１５３号とに基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第２０１９－２０３２７４号の全内容と、日本国特許出願第２０１９－１６７９９１の全内容と、日本国特許出願第２０２０－８６７５８の全内容と、日本国特許出願第２０２０－１５１５３の全内容とを参照により本国際出願に援用する。

　本開示は、車両に搭載される表示装置に関する。

　特許文献１には、車両に搭載された表示装置が記載されている。

国際公開第２０１７／０７２８４１号

　近年、車載用表示装置の大型化が進んでいる。車載用表示装置の大型化を、一枚の大型表示パネルで実現する場合には、車載用表示装置を搭載する車両のサイズに応じて大型表示パネルをカスタマイズ（すなわち、新規開発および新規製造）する必要があり、高コストとなる。

　また、発明者の詳細な検討の結果、車載用表示装置の大型化を、複数の表示部を並べることにより実現する場合には、表示部と表示部との間に隙間が空いているため、車載用表示装置により表示される画像において繋ぎ目が生じシームレスでなくなってしまうという課題が見出された。

　本開示は、表示部と表示部との間の繋ぎ目を見え難くする。

　本開示の一態様は、車両に搭載される表示装置であって、複数の表示部と、反射部とを備える。複数の表示部は、表示する画像を表す表示光を表示画面から照射するように構成される。反射部は、複数の表示部の各々における表示表面に対面するように配置され、複数の表示部から照射される表示光を反射するように構成される。

　このように構成された本開示の表示装置は、複数の表示部から照射された表示光を反射部で反射して車室内へ照射する。これにより、反射部に虚像が投影され、車室内の乗員は、この虚像を視認することができる。このようにして、本開示の表示装置は、表示部と表示部との間に段差がある状態で配置されている複数の表示部を車室内の乗員に直接視認させない。すなわち、本開示の表示装置は、反射部の反射面上で表示光を反射することにより、複数の表示部による複数の表示画像を、表示画像と表示画像との間で段差がない状態で表示することができる。このため、本開示の表示装置は、乗員が視認する虚像において互いに隣接する２つの表示部間の繋ぎ目を見え難くすることができる。

車室内における表示装置の配置を示す断面図である。メータフードおよび反射鏡の配置を示す斜視図である。メータフードに固定されている複数の表示器の配置を示す平面図である。表示器が表示する表示画像と、乗員により視認される虚像とを示す図である。虚像および補正表示画像を示す図である。補正された虚像を示す図である。第２実施形態の反射鏡を示す斜視図である。表示装置の構成要素の配置態様を示す説明図である。表示装置の電気的構成をブロック図である。表面側から見た表示部の説明図である。隣接する２つの表示部の、車幅方向に沿った断面を示す説明図である。隣接する２つの表示部の、車幅方向に沿った断面を示す説明図である。複数の表示部の配置態様を示す説明図である。メータフードに設けられた複数の表示部を表面側から見た説明図である。メータフードに設けられた複数の表示部、車幅方向に沿った断面を示す説明図である。表示装置により映し出された全体画像の一部の説明図である。第４実施形態の表示装置を備えた車両の内部を側方から見たように示す説明図。第４実施形態の表示装置の表示部を運転者側から見た状態を示す斜視図。第４実施形態の表示装置等の電気的構成を示すブロック図。第４実施形態の表示制御装置による制御処理を示すフローチャート。第５実施形態において、車両外の照明灯の光の入射状態を示す説明図。第５実施形態の表示制御装置による制御処理を示すフローチャート。第６実施形態の表示制御装置による制御処理を示すフローチャート。第７実施形態の表示制御装置による制御処理を示すフローチャート。第８実施形態の表示制御装置による制御処理を示すフローチャート。第９実施形態の（９ａ）の場合の表示制御装置による制御処理を示すフローチャート。第９実施形態の（９ｂ）の場合の表示制御装置による制御処理を示すフローチャート。第９実施形態の（９ｃ）の場合の表示制御装置による制御処理を示すフローチャート。第９実施形態の（９ｄ）の場合の表示制御装置による制御処理を示すフローチャート。第１０実施形態の表示装置を備えた車両の内部を側方から見たように示す説明図。第１０実施形態の表示装置を運転者側から見た状態を示す説明図。第１０実施形態の表示装置における虚像の形成状態を示す説明図。本開示の複数の表示装置及び比較例を運転者側から見た状態を示す説明図。本開示の表示装置及び比較例を運転者側から見た状態を示す説明図。透過反射部を厚み方向に破断して示す断面図。第１１実施形態の表示装置の一例を運転者側から見た状態を示す説明図。第１１実施形態の表示装置の他の例を運転者側から見た状態を示す説明図。第１１実施形態の表示装置の更に他の例を運転者側から見た状態を示す説明図。第１２実施形態の表示装置について透過反射部を厚み方向に破断して示す説明図。第１３実施形態の表示装置及び比較例を運転者側から見た状態を示す説明図。第１４実施形態の表示装置について透過反射部を厚み方向に破断して示す説明図。

　［第１実施形態］
　以下に本開示の第１実施形態を図面とともに説明する。

　本実施形態の表示装置１は、例えば、自動運転および手動運転の両方が可能な自動運転車両に搭載され、図１に示すように、照射部２と、反射鏡３とを備える。

　照射部２は、表示する画像を表す表示光ＤＬを表示画面から照射する。照射部２は、車両のウインドシールドＷＳの下方に設置されて車両の後方へ向けて張り出すように形成されたメータフードＭＦの下面ＬＳに、表示画面が下方へ向くようにして取り付けられる。

　反射鏡３は、照射部２よりも下方に設置され、照射部２の表示画面から照射された表示光ＤＬを車両の後方へ向けて反射する。これにより、車両の乗員は、表示装置１により表示される画像を視認することができる。破線で示す矩形ＶＩは、車両の乗員により視認される虚像の位置を示す。

　メータフードＭＦは、図２に示すように、車両における左側のＡピラーＰＬ１と、車両における右側のＡピラーＰＬ２との間に架け渡されるようにして取り付けられている。

　反射鏡３は、メータフードＭＦの下方において、ＡピラーＰＬ１とＡピラーＰＬ２との間に架け渡されるようにして車両の幅方向Ｄ１に沿って延びている。反射鏡３の表面は、平面ではなく曲面となるように形成されている。なお、図１は、図２におけるＩ－Ｉ線での断面図である。

　照射部２は、図３に示すように、有機ＥＬディスプレイ１１，１２，１３，１４，１５を備える。

　有機ＥＬディスプレイ１１，１２，１３，１４，１５はそれぞれ、表示器２１，２２，２３，２４，２５と、回路基板３１，３２，３３，３４，３５とを備える。

　表示器２１，２２，２３，２４，２５は、複数の有機ＥＬ素子が行列状に配置されて薄い板状に形成されている。回路基板３１，３２，３３，３４，３５はそれぞれ、表示器２１，２２，２３，２４，２５を制御するための各種電子部品を搭載した配線基板である。表示器２１，２２，２３，２４，２５はそれぞれ、フレキシブルフラットケーブルにより回路基板３１，３２，３３，３４，３５に接続される。

　表示器２１，２２，２３，２４，２５は、その表示画面とは反対側の面をメータフードＭＦの下面ＬＳに接触させた状態で、メータフードＭＦの下面ＬＳに固定される。そして、左側のＡピラーＰＬ１から近い順に、表示器２１、表示器２２、表示器２３、表示器２４および表示器２５が、左側のＡピラーＰＬ１から右側のＡピラーＰＬ２へ向かってメータフードＭＦが延びる延伸方向Ｄ２に沿って配列される。

　表示器２２は、表示器２１における右側の端部と、表示器２３における左側の端部とを覆うように設置される。表示器２４は、表示器２３における右側の端部と、表示器２５における左側の端部とを覆うように設置される。これにより、表示器２１と表示器２２との間、表示器２２と表示器２３との間、表示器２３と表示器２４との間、および、表示器２４と表示器２５との間との間に隙間が存在しないように、表示器２１，２２，２３，２４，２５が設置される。

　表示器２１は、車両の左後方の状況を撮影する左後方カメラにより撮影された画像を表示する。すなわち、表示器２１は、左側のサイドミラーとして機能する電子ミラーの画像を表示する。また表示器２１は、車両の左後方から他車両が接近している場合に、その旨を示す左後方接近画像を表示する。

　表示器２２は、車両の各種走行情報（例えば、走行速度、走行モード、走行距離およびバッテリ残量等）を表示する。

　表示器２３は、ナビゲーション装置から出力される画像を表示する。例えば、表示器２３は、車両の現在地を示す画像、および、現在地から目的地までの経路を案内する画像等を表示する。

　表示器２４は、エンタメ映像（例えば、動画再生装置またはテレビチューナから出力される動画）を表示したり、車載エアコンディショナを制御するエアコンコントローラに関する情報（例えば、現在の設定温度等）を表示したりする。

　表示器２５は、車両の右後方の状況を撮影する右後方カメラにより撮影された画像を表示する。すなわち、表示器２５は、右側のサイドミラーとして機能する電子ミラーの画像を表示する。また表示器２５は、車両の右後方から他車両が接近している場合に、その旨を示す右後方接近画像を表示する。

　上述のように、反射鏡３の表面は、曲面となるように形成されている。このため、図４に示すように、有機ＥＬディスプレイ１１，１２，１３，１４，１５が表示する表示画像ＤＧ１，ＤＧ２，ＤＧ３，ＤＧ４，ＤＧ５を形成する表示光ＤＬを反射鏡３が反射することにより車両の乗員により視認される虚像ＶＩ１，ＶＩ２，ＶＩ３，ＶＩ４，ＶＩ５はそれぞれ、表示画像ＤＧ１，ＤＧ２，ＤＧ３，ＤＧ４，ＤＧ５に対して歪む。

　このため、表示器２１，２２，２３，２４，２５はそれぞれ、図５に示すように、虚像ＶＩ１，ＶＩ２，ＶＩ３，ＶＩ４，ＶＩ５の歪みを打ち消すように補正した補正表示画像ＣＧ１，ＣＧ２，ＣＧ３，ＣＧ４，ＣＧ５を形成する表示光ＤＬを照射する。

　このため、表示器２１，２２，２３，２４，２５が表示する補正表示画像ＣＧ１，ＣＧ２，ＣＧ３，ＣＧ４，ＣＧ５を形成する表示光ＤＬを反射鏡３が反射することにより、図６に示すように、歪んでいない虚像ＶＩ１１，ＶＩ１２，ＶＩ１３，ＶＩ１４，ＶＩ１５が車両の乗員により視認される。

　このように構成された表示装置１は、有機ＥＬディスプレイ１１，１２，１３，１４，１５と、反射鏡３とを備える。有機ＥＬディスプレイ１１～１５は、表示する画像を表す表示光ＤＬを表示画面から照射する。反射鏡３は、有機ＥＬディスプレイ１１～１５から照射される表示光ＤＬを反射する。

　そして有機ＥＬディスプレイ１１～１５は、車両の車室内に設置されて車両の前方から後方へ向かって張り出すメータフードＭＦの下面ＬＳに、有機ＥＬディスプレイ１１～１５の表示画面が下方を向くようにして設置される。反射鏡３は、有機ＥＬディスプレイ１１～１５の下方において、表示光ＤＬを反射する反射面を表示光ＤＬの照射方向に対して斜めに傾けた状態で配置される。

　このように表示装置１は、有機ＥＬディスプレイ１１～１５から照射された表示光ＤＬを反射鏡３で反射して車室内へ照射する。これにより、反射鏡３に虚像が投影され、車室内の乗員は、この虚像を視認することができる。このようにして、表示装置１は、有機ＥＬディスプレイと有機ＥＬディスプレイとの間に段差がある状態で配置されている有機ＥＬディスプレイ１１～１５を車室内の乗員に直接視認させない。すなわち、表示装置１は、反射鏡３の反射面上で表示光ＤＬを反射することにより、有機ＥＬディスプレイ１１～１５による複数の表示画像を、表示画像と表示画像との間で段差がない状態で表示することができる。このため、表示装置１は、乗員が視認する虚像において互いに隣接する２つの有機ＥＬディスプレイ間の繋ぎ目を見え難くすることができる。

　また表示装置１は、上述のように有機ＥＬディスプレイ間の繋ぎ目を見え難くすることができるため、オプティカルボンディングを不要とすることができる。さらに表示装置１は、上述のように有機ＥＬディスプレイ１１～１５を車室内の乗員に直接視認させないため、アンチグレア処理およびアンチリフレクション処理を不要とすることができる。

　有機ＥＬディスプレイ１１～１５は、有機ＥＬ素子自体を発光させるため、液晶ディスプレイと異なりバックライトを必要としない。このため、有機ＥＬディスプレイ１１～１５は、有機ＥＬ素子による発光を停止することによって、深い黒色の画像を表示することができる。一方、液晶ディスプレイでは、表示画像の黒い箇所からバックライトの光が僅かに漏れてしまうため、画像の黒い箇所が白っぽく見えてしまう。

　したがって、表示装置１は、有機ＥＬディスプレイ１１～１５の表示画面のうち、少なくとも、隣接する２つの有機ＥＬディスプレイ間の繋ぎ目の周辺の箇所を、黒色で表示させることにより、２つの有機ＥＬディスプレイ間の繋ぎ目を更に見え難くすることができる。

　以上説明した実施形態において、有機ＥＬディスプレイ１１～１５は表示部に相当し、反射鏡３は反射部に相当する。

　［第２実施形態］
　以下に本開示の第２実施形態を図面とともに説明する。なお第２実施形態では、第１実施形態と異なる部分を説明する。共通する構成については同一の符号を付す。

　第２実施形態の表示装置１は、反射鏡３の形状が変更された点が第１実施形態と異なる。

　第２実施形態の反射鏡３は、図７に示すように、第１反射部４１と、第２反射部４２と、第３反射部４３とを備える。第１反射部４１、第２反射部４２および第３反射部４３の表面４１ａ，４２ａ，４３ａは曲面である。

　第１反射部４１は、表示器２１からの表示光ＤＬを反射する部位である。第２反射部４２は、表示器２５からの表示光ＤＬを反射する部位である。第３反射部４３は、表示器２２，２３，２４からの表示光ＤＬを反射する部位である。したがって、第１反射部４１の表面４１ａは、表示器２１からの表示光ＤＬを反射することができる面積を有している。第２反射部４２の表面４２ａは、表示器２５からの表示光ＤＬを反射することができる面積を有している。第３反射部４３の表面４３ａは、表示器２２，２３，２４からの表示光ＤＬを反射することができる面積を有している。

　第１反射部４１、第２反射部４２および第３反射部４３は長方形状に形成されている。そして、第１反射部４１と第３反射部４３とは、第１反射部４１の第１短辺と第３反射部４３の第１短辺とが一致するようにして連結されている。第３反射部４３と第２反射部４２とは、第３反射部４３の第２短辺と第２反射部４２の第１短辺とが一致するようにして連結されている。

　そして、第１反射部４１と第３反射部４３との連結部分は、第１反射部４１の表面４１ａと第３反射部４３の表面４３ａとによって鈍角を形成するように屈曲している。また、第３反射部４３と第２反射部４２との連結部分は、第３反射部４３の表面４３ａと第２反射部４２の表面４２ａとによって鈍角を形成するように屈曲している。

　このように構成された表示装置１では、メータフードＭＦは、車両における左側に設置されたＡピラーＰＬ１の付近と、車両における右側に設置されたＡピラーＰＬ２の付近との間に架け渡されるようにして形成される。反射鏡３は、ＡピラーＰＬ１の付近とＡピラーＰＬ２の付近との間に架け渡されるようにして形成される。そして、反射鏡３におけるＡピラーＰＬ１の付近の表面４１ａと、反射鏡３におけるＡピラーＰＬ２の付近の表面４２ａとは、反射鏡３における表面４１ａ，４２ａ以外の表面４３ａとによって鈍角を形成するように配置されている。

　これにより、表示装置１は、ＡピラーＰＬ１の付近に配置されている第１反射部４１と、ＡピラーＰＬ２の付近に配置されている第２反射部４２とを、運転席または助手席に座っている乗員に向けることができる。これにより、表示装置１は、第１反射部４１および第２反射部４２に表示されている画像を、運転席または助手席に座っている乗員に見え易くすることができる。

　そして第１反射部４１は、左側のサイドミラーとして機能する電子ミラーの画像を表示し、左後方接近画像を表示する。このため、表示装置１は、運転席または助手席に座っている乗員に、車両の左後方に関する情報を認識し易くすることができる。同様に第２反射部４２は、右側のサイドミラーとして機能する電子ミラーの画像を表示し、右後方接近画像を表示する。このため、表示装置１は、運転席または助手席に座っている乗員に、車両の右後方に関する情報を認識し易くすることができる。

　以上説明した実施形態において、ＡピラーＰＬ１は第１Ａピラーに相当し、ＡピラーＰＬ２は第２Ａピラーに相当し、表面４１ａは第１反射面に相当し、表面４２ａは第２反射面に相当し、表面４３ａは第３反射面に相当する。

　［第３実施形態］
　以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。

　［１．全体の構成］
　本実施形態の表示装置１０１は、車両に搭載され、制御部１０２と、照射部１０３と、反射部１０４と、検出部１２３とを備える（図８、図９参照）。

　制御部１０２は、表示装置１０１を統括制御する部位であり、ＣＰＵ１２０と、ＲＡＭ、ＲＯＭ、フラッシュメモリ等の半導体メモリ（以後、メモリ１２１とする）とを有するマイクロコンピュータを備える。

　ＣＰＵ１２０は、メモリ１２１に保存されているプログラムを実行する。ＣＰＵ１２０が非遷移的実体的記憶媒体に格納されたプログラムを実行することにより、表示装置１０１の各機能が実現される。本実施形態では、メモリ１２１が、該プログラムを格納した非遷移的実体的記憶媒体に該当する。また、該プログラムが実行されることで、該プログラムに対応する方法が実行される。なお、表示装置１０１は、１つのマイクロコンピュータを備えても良いし、複数のマイクロコンピュータを備えても良い。また、表示装置１０１の機能を実現する手法はソフトウェアに限るものではなく、その一部又は全部の機能は、電子回路を用いて実現されても良い。この場合、電子回路は、デジタル回路、又は、アナログ回路、あるいはこれらの組み合わせとして構成されていても良い。

　照射部１０３は、メータフード１５０の下側の部分に設けられる複数（一例として、５個）の表示部１０６を有する。以後、これらの表示部１０６を、第１～第５表示部１０６Ａ～１０６Ｅとも記載する。照射部１０３は、複数の表示部１０６により、上述した反射部１０４に向けて表示光を照射する。なお、メータフード１５０とは、フロントウインドシールド１５１の下方に位置し、ダッシュボードにおける右端から左端にわたって延び、車両の後方に向かって突出する壁状の部位である。メータフード１５０の下方には反射部１０４が設けられており、複数の表示部１０６は、反射部１０４と対面するように下方を向いている。

　反射部１０４は、メータフード１５０の下方に位置する板状の部位であり、メータフード１５０と対面するように設けられ、複数の表示部１０６から照射された表示光を、車両の後方へ向けて反射する。これにより、反射部４の奥の暗い空間に虚像である全体画像１０７が投影され、車両に乗車している者（以後、乗員）により全体画像１０７が視認可能となる。

　検出部１２２は、表示装置１０１の外部から、複数の表示部１０６及び反射部１０４へと入射する外光の明るさを検出するセンサを有する。該センサは、例えば、メータフード１５０の下方に設けられていても良い。また、検出部１２２は、複数の表示部１０６及び反射部１０４の一方に入射する外光の明るさを検出しても良い。そして、検出部１２２は、外光の明るさの検出結果を示す信号を制御部１０２に出力する。

　［２．照射部の構成］
　照射部１０３は、各表示部１０６に対応する複数の回路基板３５を備える（図１０参照）。各回路基板１３５は、当該回路基板１３５に対応する表示部１０６の表示素子に対し、フレキシブルフラットケーブル１３４により接続されており、表示素子を制御するための複数の電子部品が搭載されている。また、各表示部１０６の回路基板３５は制御部１０２に接続されており、制御部１０２は、これらの回路基板１３５を介して各表示部１０６における表示光の照射を制御する。

　また、各表示部１０６は、一例として、矩形の薄板状に形成されており、表面１６０と裏面１６１とを有する（図１１、図１２参照）。そして、表面１６０には、表示エリア１６３と非表示エリア１６４とが設けられている。表示エリア１６３は、矩形であり、表面１６０の縁から離間して設けられる。一方、非表示エリア１６４は、表面１６０の縁と表示エリア１６３との間に位置し、表面１６０の縁に沿って延びる細長いエリアである。

　また、各表示部１０６の内部には、図示しない複数の表示素子が行列状に配置されており、複数の表示素子は、表面１６０の表示エリア１６３を介して表示光を照射するよう構成される。なお、本実施形態では、一例として、各表示部１０６は有機ＥＬディスプレイとして構成されており、各表示部１０６の内部には、表示素子として有機ＥＬ素子が配置される。無論、各表示部１０６は、例えば、液晶ディスプレイ等のように、有機ＥＬディスプレイ以外の表示装置として構成されていても良い。一方、各表示部１０６における非表示エリア１６４の内側には、複数の表示素子への配線等が設けられており、非表示エリア１６４からは表示光は照射されない。

　［３．複数の表示部の構成］
　第１～第５表示部１０６Ａ～１０６Ｅは、裏面１６１がメータフード１５０の下面に当接又は近接すると共に、表面１６０が反射部１０４に対面し、且つ、車両のダッシュボードの右端から左端にわたって、車幅方向に一列に並んで設けられる（図１３～図１５参照）。なお、一例として、第１～第５表示部１０６Ａ～１０６Ｅは、左端から右端へと順番に配置される。また、最も左側に位置する第１表示部１０６Ａ、及び／又は、最も右側に位置する第５表示部１０６Ｅは、ダッシュボードの端から離間した位置に配置されても良い。

　ここで、第１～第５表示部１０６Ａ～１０６Ｅのうち、運転手及び助手席の乗員の乗車位置の正面に位置するものを、特定表示部とする（図１３～図１６参照）。具体的には、車両のハンドル１５２に対面する第２表示部１０６Ｂと、第４表示部１０６Ｄとが、特定表示部１０６Ａとなる。また、特定表示部に隣接する第１、第３、第５表示部１０６を、隣接表示部とする。

　特定表示部１０６Ｂ、１０６Ｄと、特定表示部１０６Ｂ、１０６Ｄの両側に隣接する２つの隣接表示部１０６Ａ、１０６Ｃ、１０６Ｅとは、特定表示部１０６Ｂ、１０６Ｄがこれらの隣接表示部１０６Ａ、１０６Ｃ、１０６Ｅよりも反射部４側に位置し、且つ、縁部が重なるように配置される（図１４、図１５参照）。すなわち、特定表示部１０６Ｂ、１０６Ｄと隣接表示部１０６Ａ、１０６Ｃ、１０６Ｅとは、表示エリア１６３同士が重なるように配置されても良い（図１１、図１２参照）。この他にも、例えば、特定表示部１０６Ｂ、１０６Ｄと隣接表示部１０６Ａ、１０６Ｃ、１０６Ｅとは、非表示エリア１６４同士のみが重なるように配置されても良いし、表示エリア１６３同士は重ならず、且つ、表示エリア１６３と非表示エリア１６４とが重なるように配置されても良い。

　なお、例えば、第２表示部１０６Ｂ又は第４表示部１０６Ｄのみを特定表示部としても良い。この場合、特定表示部に隣接しない２つの表示部１０６の各々は、他の表示部１０６と縁部が重ならない状態で配置されても良い。

　［４．偏光板について］
　各表示部１０６には、表面１６０に当接する偏光板１６６が設けられる（図１１、１２参照）。偏光板１６６は、少なくとも表示エリア１６３の全域を覆う。なお、偏光板１６６として、円偏光板が用いられても良い。以後、各表示部１０６の縁をなす面を、端面１６２とする。端面１６２は、表面１６０の縁から裏面１６１の縁にわたって広がる。

　また、各表示部１０６のうち、該表示部１０６に隣接する他の表示部１０６と重なっている部分を、重複部分１６９と記載する（図１４、図１５参照）。つまり、第１、第５表示部１０６Ａ、１０６Ｅには、それぞれ、隣接する１つの表示部１０６に対応する１つの重複部分１６９が形成される。一方、第２～第４表示部１０６Ｂ～１０６Ｄには、それぞれ、隣接する２つの表示部１０６の各々に対応する２つの重複部分１６９が形成される。

　また、各表示部１０６における表示エリア１６３と非表示エリア１６４との境界線のうち、隣接する他の表示部１０６に近接する区間を、近接区間１６５とする。近接区間１６５とは、該境界線における該他の表示部１０６に最も近接する区間を含む。また、近接区間１６５は、例えば、該他の表示部１０６との重複部分１６９に沿って延びる区間、及び／又は、境界線における該重複部分１６９に位置する区間を含んでいても良い。つまり、第１、第５表示部１０６Ａ、１０６Ｅには、それぞれ、隣接する１つの表示部１０６に対応する１つの近接区間１６５が形成される。一方、第２～第４表示部１０６Ｂ～１０６Ｄには、それぞれ、隣接する２つの表示部１０６の各々に対応する２つの近接区間１６５が形成される。

　そして、各表示部１０６では、偏光板１６６は、１つ又は２つの近接区間１６５の全域を跨ぎ、非表示エリア１６４における近接区間１６５に沿って延びる部分を覆うように配置される。本実施形態では、一例として、各表示部１０６では、偏光板１６６は、表示エリア１６３の全域と非表示エリア１６４の全域とを覆う。

　なお、全ての表示部１０６に、上記態様で偏光板１６６が設けられていなくても良い。すなわち、例えば、隣接する（換言すれば、連続的に並ぶ）２以上の表示部１０６の各々において、これらの表示部１０６のうちのいずれかに対応する近接区間１６５を上記態様で跨ぐように、偏光板１６６が設けられていても良い。また、例えば、第１～第５表示部１０６Ａ～１０６Ｅのうちの少なくとも１つにおいて、少なくとも１つの近接区間１６５を上記態様で跨ぐように、偏光板１６６が設けられていても良い。また、各表示部１０６には、上記態様で偏光板１６６が設けられていなくても良い。

　［５．反射抑制処理について］
　第１～第５表示部１０６Ａ～１０６Ｅにおける各重複部分１６９には、光の反射を抑制するための反射抑制処理１６８が施される（図１１、図１２参照）。具体的には、例えば、暗色（例えば、黒色）の塗料を塗布することで、反射抑制処理１６８が施されても良い。

　ここで、各表示部１０６における表面１６０及び裏面１６１において、縁を含むエリア（換言すれば、端面１６２に接するエリア）を、縁部エリア１６７とする（図１０参照）。より詳しくは、縁部エリア１６７は、非表示エリア１６４の全部又は一部を含み得る。

　また、各表示部１０６の端面１６２のうち、隣接する他の表示部１０６に近接するエリアを、第１エリア１６２Ａとする。第１エリア１６２Ａは、例えば、端面１６２における他の表示部１０６との重複部分１６９に位置するエリアを含んでいても良い。また、各表示部１０６における表面１６０の縁部エリア１６７うち、第１エリア１６２Ａに接する部分を、第２エリア１６７Ａとする。第２エリア１６７Ａは、例えば、重複部分１６９に位置しても良い。また、各表示部１０６における裏面１６１の縁部エリア１６７うち、第１エリア１６２Ａに接する部分を、第３エリア１６７Ｂとする。第３エリア１６７Ｂは、例えば、重複部分１６９に位置しても良い。

　つまり、第１～第５表示部１０６Ａ～１０６Ｅにおける各重複部分１６９には、第１～第３エリア１６２Ａ、１６７Ａ、１６７Ｂが設けられる。そして、各重複部分１６９では、第１～第３エリア１６２Ａ、１６７Ａ、１６７Ｂのうちの少なくとも２つに、光の反射を抑制するための反射抑制処理１６８が施される。具体的には、例えば、第１及び第２エリア１６２Ａ、１６７Ａに、反射抑制処理１６８が施されていても良いし（図１１参照）、第１～第３エリア１６２Ａ、１６７Ａ、１６７Ｂに、反射抑制処理１６８が施されていても良い（図１２参照）。

　なお、全ての重複部分１６９に、反射抑制処理１６８が施されなくても良い。すなわち、例えば、隣接する２以上の表示部１０６の各々において、これらの表示部１０６のうちのいずれかに対応する重複部分１６９に、反射抑制処理１６８が施されていても良い。また、例えば、第１～第５表示部１０６Ａ～１０６Ｅのうちの少なくとも１つにおいて、少なくとも１つの重複部分１６９に対し、反射抑制処理１６８が施されていても良い。また、例えば、各表示部１０６では、反射抑制処理１６８が全周にわたって施されていても良い。また、例えば、各表示部１０６に対し、反射抑制処理１６８が施されていなくても良い。

　［６．外周枠の構成］
　照射部１０３は、第１～第５表示部１０６Ａ～１０６Ｅを囲む外周枠１３０を備える（図１４、図１５参照）。外周枠１３０は、メータフード１５０の下面から突出するように設けられた枠状の部位である。なお、外周枠１３０は、メータフード１５０の一部として構成されていても良い。すなわち、メータフード１５０の下面を部分的に突出させることで、外周枠１３０が形成されても良い。また、複数の表示部１０６を囲む外周枠１３０において、反射部１０４に対面する面を、頂面１３１とする。本実施形態では、一例として、頂面１３１は、各表示部１０６の表面１６０に対し略平行となっている。

　また、各表示部１０６は、同一の厚み（以後、Ｄとも記載）を有しており、各表示部１０６の表面１６０と頂面１３１との間の距離（以後、頂面距離１３２とも記載）は、Ｄ／２以下となっている。具体的には、本実施形態では、第２、第４表示部１０６Ｂ、１０６Ｄが特定表示部として構成されており、残りの表示部１０６Ａ、１０６Ｃ、１０６Ｅよりも反射部１０４側に位置する。このため、第２、第４表示部１０６Ｂ、１０６Ｄの表面１６０は、頂面１３１よりも反射部１０４側に位置し、該表面１６０の頂面距離１３２は、Ｄ／２となる。一方、頂面１３１は、第１、第３、第５表示部１０６Ａ、１０６Ｃ、１０６Ｅの表面１６０よりも反射部１０４側に位置し、該表面１６０の頂面段差１３２は、Ｄ／２となる。

　なお、頂面１３１に段差や傾斜を形成し、各表示部１０６と、頂面１３１における該表示部１０６に隣接する部分との頂面距離１３２がＤ／２以下となるように調整しても良い。また、例えば、複数の表示部１０６のうちの少なくとも１つで、頂面距離１３２がＤ／２以下となっていても良い。

　また、頂面１３１の外観と、表示光を照射していない複数の表示部１０６の表面１６０（以後、非表示時の表面１６０）の外観との差異を抑制するため、頂面１３１には、該表面１６０の外観に応じた表面処理１３３が施される。

　具体的には、例えば、頂面１３１にシボ加工により模様を形成しても良いし、頂面１３１に幾何学模様等を形成しても良い。また、例えば、頂面１３１と非表示時の表面１６０とにおける反射特性の差異を抑制するため、頂面１３１に、各表示部１０６に設けられたものと同様の偏光板を取り付けても良いし、塗装、メッキ、印刷、又は蒸着を行ったり、シート又はフィルムを貼り付けたりしても良い。なお、反射特性とは、例えば、反射率であっても良いし、グロス値であっても良い。また、例えば、頂面１３１と非表示時の表面１６０とにおける色及び／又は光沢の差異を抑制するため、頂面１３１に、塗装、メッキ、印刷、又は蒸着を行ったり、シート又はフィルムを貼り付けたりしても良い。

　なお、外周枠１３０における頂面距離１３２は、Ｄ／２よりも大きくても良い。また、頂面１３１には、表面処理１３３が施されなくても良い。また、表示装置１０１は、外周枠１３０を備えない構成であっても良い。

　［７．画像制御について］
　上述したように、制御部１０２は、第１～第５表示部１０５Ａ～１０５Ｅを制御し、反射部１０４に向けて表示光を照射することで、虚像である全体画像１０７を表示する（図１６参照）。以後、各表示部１０６の表示光により映し出される各画像を、個別画像１７０と記載する。なお、図１６は、全体画像１０７の一部分を示しており、該部分は２つの個別画像１７０から構成される。各表示部１０６の個別画像１７０は、車幅方向に隣接して一列に並ぶように表示される。そして、これらの個別画像１７０を組み合わせることで、全体画像１０７が形成される。また、本実施形態では、各表示部１０６は、縁部が重なるように配置される。このため、隣接する２つの表示部１０６の個別画像１７０の間の隙間が狭くなり、個別画像１７０の間に継ぎ目が生じるのが抑制される。

　ここで、全体画像１０７及び各個別画像１７０における背景を構成する部分を、背景画像１７１とする。また、各個別画像１７０において、他の個別画像１７０に隣接する部分を、隣接領域１７２とする。つまり、本実施形態では、端に位置する第１、第５表示部１０６Ａ、１０６Ｅにより映し出される個別画像１７０には、１つの隣接領域１７２が存在し、残りの表示部１０６Ｂ～１０６Ｄにより映し出される個別画像１７０には、２つの隣接領域１７２が存在する。なお、以後、各個別画像１７０が並ぶ方向（換言すれば、車幅方向）を横方向とし、横方向に直交する方向を、縦方向とする。

　制御部１０２は、各表示部１０６を制御し、全体画像１０７（換言すれば、各個別画像１７０）における背景画像１７１を暗色（例えば、黒色）とする。なお、これに限らず、制御部１０２は、隣接する（換言すれば、連続的に並ぶ）２以上の個別画像１７０における背景画像１７１を暗色とするよう、これらの個別画像１７０を映し出す表示部１０６を制御しても良い。

　また、制御部１０２は、各個別画像１７０における全隣接領域１７２に、不規則に配置された複数の画像要素１７３が表示されるよう、各表示部１０６を制御する。具体的には、複数の画像要素１７３は、各隣接領域１７２の全域に配置されており、各画像要素１７３は、横方向及び縦方向の位置が不規則に定められる。また、各画像要素１７３は、略同一の色及び形状ではあるが、横方向及び縦方向の長さが不規則に定められる。これにより、隣り合う２つの画像要素１７３における横間隔と縦間隔とが不規則に定められる。

　なお、例えば、各画像要素１７３は、横間隔と縦間隔とのうちの一方が、不規則に定められても良い。しかし、各画像要素１７３は、横間隔が不規則に定められるのが好適である。これにより、効果的に継ぎ目が目立つのを抑制できる。また、例えば、各画像要素１７３における横方向の長さと縦方向の長さとのうちの一方又は両方は、同一であっても良い。また、例えば、各画像要素１７３の色及び／又は形状は、不規則に定められても良い。また、例えば、各画像要素１７３の色、形状、及び大きさを同一とし、各画像要素１７３の位置及び間隔を、不規則に定めてもよい。

　また、制御部１０２は、全ての個別画像１７０の隣接領域１７２に、複数の画像要素１７３を表示しなくても良い。すなわち、制御部１０２は、隣接する２以上の個別画像１７０の各々において、これらに含まれる他の個別画像１７０との隣接領域１７２に、上述した態様で複数の画像要素１７３を表示しても良い。

　さらに、制御部１０２は、検出部１２３からの信号に基づき、複数の表示部１０６及び／又は反射部１０４に入射する外光の明るさを測定する。そして、制御部１０２は、外光の明るさに応じた画質の全体画像１０７が映し出されるよう、各表示部１０６を制御する。

　具体的には、制御部１０２は、測定結果に応じて、例えば、背景画像１７１の色、又は、全体画像１０７の輝度を調整しても良い。より詳しくは、例えば、夕日又は朝日が複数の表示部１０６及び／又は反射部１０４に入射し、外光の明るさの測定値が高い場合には、制御部１０２は、背景画像１７１の色の明度を向上させたり、全体画像１０７の輝度を向上させたりしても良い。

　なお、制御部１０２は、全体画像１０７の全域の画質を調整しなくても良い。すなわち、制御部１０２は、隣接する２以上の個別画像１７０が測定された外光の明るさに応じた画質となるよう、これらの個別画像１７０を映し出す表示部１０６を制御しても良い。

　また、複数の表示部１０６の一部として、異なる機種の表示部が用いられる場合が想定される。このような場合には、制御部１０２は、例えば、各機種の表面の外観、及び／又は、表示光の特性等に応じて、各表示部１０６により映し出される個別画像の画質を調整するのが好適である。

　また、背景画像１７１を暗色とする制御、隣接領域１７２への複数の画像要素１７３の表示、及び、検出部１２３により検出された入射光の明るさに応じた画質の調整のうちの全部又は一部は、省略されても良い。

　［８．効果］
　（１）上記実施形態によれば、特定表示部１０６Ｂ、１０６Ｄと、隣接表示部１０６Ａ、１０６Ｃ、１０６Ｅとにより映し出される個別画像１７０をより接近させることができる。このため、これらの個別画像１７０の境界に隙間が生じるのを抑制できる。

　また、隣接表示部１０６Ａ、１０６Ｃ、１０６Ｅの縁部は、特定表示部１０６Ｂ、１０６Ｄの縁部により隠される。このため、外光又は表示光が隣接表示部１０６Ａ、１０６Ｃ、１０６Ｅの縁部にて反射部１０４に向けて反射されるのを抑制でき、該縁部が反射部１０４に映るのを抑制できる。

　また、特定表示部である第２、第４表示部１０６Ｂ、１０６Ｄは、それぞれ、運転席、助手席の正面に位置する。このため、仮に、第２表示部１０６Ｂの端面１６２が反射部１０４に映ったとしても、端面１６２が広がる方向と運転手の視線方向とが類似しているため、該端面１６２は運転手に対して目立たない。また、第４表示部１０６Ｄの端面１６２についても、助手席の乗員との関係で同様の効果が生じる。

　したがって、全体画像１０７に継ぎ目が見えるのを抑制できる。

　（２）また、全体画像１０７は、メータフード１５０の下方（換言すれば、ダッシュボードの内部）の暗い空間に表示される。そして、全体画像１０７における背景画像１７１は、暗色により構成される。このため、例えば、個別画像１７０の境界に隙間が生じていたり、表示部１０６の縁部が反射部１０４に映し出されていたりしても、これらを目立たなくすることができる。したがって、全体画像１０７に継ぎ目が見えるのを抑制できる。

　（３）また、隣接する個別画像１７０の各々における隣接領域１７２には、不規則に配置された複数の画像要素１７３が表示されるため、これらの個別画像１７０の境界がわかり難くなる。これにより、例えば、個別画像１７０の境界に隙間が生じていたり、表示部１０６の縁部が映し出されていたりしても、乗員がこれらに気付き難くなる。したがって、全体画像１０７に継ぎ目が見えるのを抑制できる。

　（４）また、検出部１２２により検出された外光の明るさに応じて、全体画像１０７の画質が調整される。このため、例えば、明るい外光が複数の表示部１０６及び反射部１０４に入射し、全体画像１０７内に表示部１０６の縁部又はその周辺の画像が映し出されたとしても、これらを目立たなくすることができる。

　（５）また、表示部１０６の表面１６０には、表示エリア１６３と非表示エリア１６４との境界における近接区間１６５を跨ぐように偏光板１６６が配置される。このため、複数の表示部１０６から発せられる光及び外光が、近接区間１６５の周辺の非表示エリア１６４にて反射部１０４に向けて反射されるのを抑制できる。したがって、反射部１０４に該非表示エリア１６４が映るのを抑制でき、これにより、全体画像１０７に継ぎ目が見えるのを抑制できる。

　（６）また、表示部１０６の重複部分１６９では、第１～第３エリア１６２Ａ、１６７Ａ、１６７Ｂのうちの少なくとも２つに対し反射抑制処理１６８が施される。このため、複数の表示部１０６から発せられる光及び外光が、表示部１０６の重複部分１６９にて反射部１０４に向けて反射されるのを効果的に抑制できる。これにより、反射部１０４に重複部分１６９が映るのを抑制でき、これにより、全体画像１０７に継ぎ目が見えるのを抑制できる。

　（７）また、表示部１０６の表面１６０と外周枠１３０の頂面１３１との間の頂面距離１３２は、Ｄ／２以下である。つまり、表面１６０と頂面１３１との間の段差が大きくならないよう調整されている。このため、複数の表示部１０６から発せられる光及び外光が、表示部１０６の縁部及び外周枠１３０にて反射部１０４に向けて反射され、反射部１０４にて、これらが個別画像１７０の外周付近に映るのを抑制できる。

　（８）また、外周枠１３０の頂面１３１には、表示光を照射していない表示部１０６の表面１６０の外観に応じた表面処理１３３が施されている。これにより、頂面１３１と表面１６０との間の外観上の相違を抑制できる。したがって、仮に、反射部１０４に頂面１３１が映ったとしても、該頂面１３１が目立つのを抑制できる。

　（９）さらに、外周枠１３０を設けることにより、各表示部１０６をメータフード１５０の下面に取り付ける際に位置合わせを容易に行うことができると共に、照射部１０３の剛性を高めることができる。

　［第４実施形態］
　［１．全体構成］
　まず、本第４実施形態の表示装置の全体構成について説明する。

　図１７に示すように、本第４実施形態の表示装置２０１は、自動車である車両２０３に搭載されて、運転者（即ち、ドライバ）等の乗員に対して、文字や記号や映像等の各種の画像を表示する装置である。即ち、車載ディスプレイである。

　この表示装置２０１は、運転席や助手席の前方のダッシュボード２０５に配置されている。詳しくは、ウインドシールド（即ち、フロントウインド）２０７の下方にダッシュボード２０５が配置され、ダッシュボード２０５は、その上面側に、各種の計器類を装着するインストルメントパネル（即ち、ＩＰパネル）２０９を備えている。ＩＰパネル２０９の運転席及び助手席側（即ち、車両２０３の後方側）には、遮光板であるバイザー２１１が車両２０３の後方側に張り出している。

　上記表示装置２０１は、バイザー２１１の下側に配置され、この表示装置２０１にて表示された画像が、運転席や助手席に着座した乗員によって視認可能となっている。なお、表示される画像は、後述するように虚像（即ち、表示像）であるので、乗員は虚像を視認することになる。

　［２．表示装置の構成］
　次に、表示装置２０１の機械的な構成について詳細に説明する。

　図１７に示すように、表示装置２０１は、光を発する表示器２１５と、光を反射する反射鏡２１７と、後述する図１９に記載の表示制御装置（即ち、制御部）２１９とを備えている。

　この表示器２１５と反射鏡２１７とによって、光によって画像を表示する機械的な構成である表示部２２１が構成されており、この表示部２２１が、ダッシュボード２０５に配置されている。なお、表示制御装置２１９は、表示部２２１と離れた位置に配置されていてもよい。

　表示器２１５は、発生する光によって、文字や記号や映像等の各種の画像を表示することが可能な装置である。つまり、表示器２１５は、表示制御装置２１９からの制御信号に基づいて、文字や記号や映像等の各種の画像を表示することが可能な装置である。

　表示器２１５としては、例えば、有機ＬＥＤ等のＬＥＤを利用して画像の表示が可能な例えば平板形状の装置を採用できる。なお、ＬＥＤは、Light Emitting Diodeの略である。また、表示器２１５として、バックライトを備えた液晶ディスプレイを採用してもよい。

　この表示器２１５は、バイザー２１１の下面に取り付けられており、画像を表示する表面である表示面２２３を下方に向けて配置されている。つまり、表示器２１５は、自身の下方に配置された反射鏡２１７に向けて光を照射するように構成されている。

　反射鏡２１７は、表示器２１５から照射された光を反射する例えば平板状のミラーであり、例えば、水平方向に対して例えば４０度の角度で、運転者側（即ち、図１７の右側）ほど位置が低くなるように傾斜している。なお、反射鏡２１７の表示器２１５側の表面は光を反射する反射面２２５となっている。

　特に本第４実施形態では、反射鏡２１７として、光を反射する割合である反射率を調整可能なものを用いている。例えば、反射鏡２１７として、ガスクロミックミラー、エレクトロクロミックミラー、液晶シャッターを備えたミラー等を採用することができる。この反射鏡２１７は、後述するように、表示制御装置２１９からの制御信号によって、自身の反射率を調整することが可能である。

　この反射鏡２１７は、図１８に示すように、その平面形状は左右方向に長い台形であり、反射鏡２１７の表側の表面（即ち、反射面）２２５に、表示器２１５の画像が表示される表示領域２２７が設けられている。なお、表示領域２２７の表面形状は、表示器２１５の表面形状（例えば、長方形）と同じである。

　そして、上述した図１７に示すように、表示装置２０１、詳しくは表示部２２１では、表示器２１５は、反射鏡２１７の表側にて且つ上方にて、画像を表示する表示面２２３を下方に向けて配置されているので、自身が表示する画像が反射鏡２１７にて反射することにより、運転者が視認可能となっている。

　詳しくは、表示器２１５からの実像である画像の光が、反射鏡２１７の表側の反射面２２５で反射した場合には、その反射光を見た運転者は、あたかも反射鏡２１７の裏側の所定の位置に、その実像があるかのように認識する。つまり、運転者の視線方向の所定の位置に、実際には無い虚像を認識する。すなわち、反射鏡２１７にて見ることができる画像は、反射鏡２１７の裏側にて形成される虚像である。なお、図１７では、虚像をＫで示す。

　後に詳述するように、本第４実施形態では、表示器２１５から反射鏡２１７に照射された光は、反射鏡２１７の反射率に応じて、運転者側に反射するので、反射鏡２１７の裏側に形成される虚像の明るさ（即ち、輝度）は、反射率に応じて変化する。また、表示器２１５に表示される画像の明るさ（即ち、輝度）によっても、虚像の輝度は変化する。

　つまり、このような反射鏡２１７を用いた表示装置２０１では、表示器２１５の輝度や反射鏡２１７の反射率によって、反射鏡２１７にて結像される虚像の輝度を設定することができる。

　［３．表示装置の電気的構成］
　次に、表示装置２０１等の電気的構成について説明する。

　図１９に示すように、表示装置２０１は、表示装置２０１を制御する表示制御装置２１９を備えており、表示制御装置２１９には、車両２０３の走行等の動作を制御する車両制御装置２２９が接続されている。

　表示制御装置２１９は、ＣＰＵ２３１ａ、ＲＯＭ２３１ｂ、ＲＡＭ２３１ｃ、及びフラッシュメモリ等の半導体メモリ２３１ｄを備えた周知のマイクロコンピュータ（即ち、マイコン）２３１を備えている。表示制御装置２１９は、ＣＰＵ２３１ａが非遷移有形記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより各機能が実現されるよう構成されている。本第４実施形態では、半導体メモリ２３１ｄが、プログラムを格納した非遷移有形記録媒体に該当する。

　なお、表示制御装置２１９が備えるマイクロコンピュータ２３１の数は１つでも複数でもよい。また、表示制御装置２１９により実現される各種機能は、ＣＰＵ２３１ａがプログラムを実行することによって実現することに限るものではなく、その一部又は全部について、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現してもよい。

　表示制御装置２１９には、上述した表示部２２１として、表示器２１５と反射鏡２１７とが接続されている。また、表示制御装置２１９には、車両２０３の状態や周囲の状況等を検出するセンサ部２３３が接続されている。センサ部２３３としては、照度センサ２３５、温度センサ２３７、車外用カメラ２３９、車内用カメラ２４１等が挙げられる。

　照度センサ２３５は、車室内に配置されて車室内の明るさ（例えば、照度）を検出するセンサである。なお、照度センサ２３５以外に、公知の日射センサを用いることができる。これらのセンサにより、車外からの日射の影響や程度を検出することができる。

　温度センサ２３７は、例えば表示装置２０１の表示器２１５やその近傍に配置されて、表示器２１５の温度を直接又は間接的に検出するセンサである。なお、温度センサ２３７が、表示器２１５に配置されている場合には、表示器２１５の温度を直接に検出することができる。また、温度センサ２３７が、表示器２１５の近傍、例えば、表示部２２１内における表示器２１５の近傍、ＩＰパネル２０９、バイザー２１１、ダッシュボード２０５等に配置されている場合には、表示器２１５の温度を間接的に検知することができる。即ち、温度センサ２３７は、表示器２１５の温度を直接に検出したり、或いは、推定できる場所に配置されていればよい。

　車外用カメラ２３９としては、例えば周知のＣＣＤカメラ等を採用できる。この車外用カメラ２３９によって、車両２０３の周囲を撮影できるので、その撮影された画像に基づいて、車室内に光が差し込むようなランプ等の光源を検出することができる。

　車内用カメラ２４１としては、例えば周知のＣＣＤカメラ等を採用できる。この車内用カメラ２４１によって、車室内の乗員等を撮影できるので、その撮影された画像に基づいて、乗員の着座位置や、乗員がサングラスをかけていること等を検出することができる。また、上記画像に基づいて、車室内の明るさや各種の表示装置の点灯状態（例えば、輝度等を検出することが可能である。

　なお、上述した車両制御装置２２９により、車両２０３の走行状態を制御する公知の各種の制御、例えばエンジンやブレーキの制御等を行うことができる。また、自動運転を行う車両２０３においては、車両制御装置２２９にて、車両２０３の自動運転の制御を行うことができる。なお、自動運転としては、例えば運転者がステアリングホイール２４９（例えば、図１７参照）から手を離すことができるレベル以上の自動運転が挙げられる。

　そして、本第４実施形態では、表示制御装置２１９から表示器２１５に対して制御信号を送信することにより、表示器２１５の動作を制御することができる。つまり、表示器２１５にて、各種の文字や記号や映像等の画像を表示することができる。また、画像を表示する際の輝度を制御することができる。

　また、表示制御装置２１９から反射鏡２１７に対して制御信号を送信することにより、反射鏡２１７の動作を制御することができる。つまり、反射鏡２１７にて光を反射する程度を示す反射率を調整することができる。

　照度センサ２３５から表示制御装置２１９に対して、照度センサ２３５にて検出した明るさを示す信号が出力される。

　温度センサ２３７から表示制御装置２１９に対して、温度センサ２３７にて検出した温度を示す信号が出力される。

　車外用カメラ２３９から表示制御装置２１９に対して、車外用カメラ２３９にて撮影された車外の画像を示す信号が出力される。

　車内用カメラ２４１から表示制御装置２１９に対して、車内用カメラ２４１にて撮影された車内の画像を示す信号が出力される。

　なお、半導体メモリには、例えば、表示器２１５の明るさ（即ち、輝度）の制御や、反射鏡２１７の反射率の制御を行うための各種のデータが記憶されている。例えば、目的とする虚像の輝度を得るために、表示器２１５の輝度や反射鏡２１７の反射率をどのように制御するか等のデータが記憶されている。また、周囲の明るさに応じて、表示器２１５の輝度や反射鏡２１７の反射率をどのように制御するか等のデータが記憶されている。

　［４．表示制御装置の処理］
　次に、表示制御装置２１９の処理のうち、虚像の輝度を目的とする輝度に調節するための制御の処理について説明する。本処理は、車両２０３の走行中や停車中等において、即ちイグニッションスイッチがオンの場合に、所定期間毎に繰り返して実施される。

　図２０に示すように、マイコン２３１は、ステップ（即ち、図２０のＳ）１００にて、照度センサ２３５からの信号を取得する。そして、マイコン２３１は、照度センサ２３５からの信号に基づいて、照度センサ２３５の周囲（例えば、車室内）の明るさを検出する。なお、車両２０３の周囲の明るさ（即ち、周囲環境の明るさ）が、昼や夜等のように変化した場合には、通常、車室内の明るさも同様に変化するので、照度センサ２３５によって、車両２０３の周囲の明るさを検出するということもできる。

　続くＳ１１０では、マイコン２３１は、車両２０３の周囲又は車室内の明るさ、即ち、周囲の明るさが、それ以前より暗くなったか否かを、明るさを示す値（例えば、照度）に基づいて判定する。マイコン２３１は、ここで肯定判断されるとＳ１２０に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。

　マイコン２３１は、例えば車室内の明るさが、昼間の明るい状態から夜間のような暗い状態となったか否かを判定する。詳しくは、マイコン２３１は、明るさを示す値（例えば、照度）を用いて、車室内の明るさが、昼間の明るさを示す値から、夜間や照明の少ないトンネル等の暗所の明るさを示す値に変化しかた否かを判定する。なお、以下では、夜間や暗所を夜間等と称する。

　なお、車両２０３外の環境の明るさは、通常、徐々に変化するので、明るさの明暗を判断する判定値を決めておき、マイコン２３１は、その判定値以上か否かによって明暗を判定する。つまり、ここでは、例えば、上記判定値以上の明るさの場合には昼間とし、上記判定値未満の明るさの場合には夜間等としている。

　Ｓ１２０では、マイコン２３１は、虚像の輝度を低減するために、反射鏡２１７の反射率の制御や表示器２１５で表示する画像の輝度の制御を行う。つまり、周囲が暗くなった場合に、周囲が明るい場合と同様な高い輝度で虚像の表示を行うと、運転者等はその表示がまぶしく感じられるので、マイコン２３１は、虚像の輝度を低減する制御を行う。

　なお、マイコン２３１は、表示器２１５がＬＥＤの場合には、ＬＥＤ自体の輝度を制御し、表示器２１５が液晶ディスプレイの場合には、バックライトの輝度の制御を行う。なお、以下では、ＬＥＤ自体の輝度の制御やバックライトの輝度の制御を、単に、表示器２１５の輝度の制御と称する。

　ここで、明るさが昼間から夜間等の状態に変化した場合に、即ち、周囲が暗くなった場合に、虚像の輝度を低減するための（Ａ）～（Ｄ）の方法を、下記表１に記す。

　この表１に記載のように、（Ａ）の場合には、反射鏡２１７の反射率は昼間の反射率を維持し、表示器２１５の輝度は昼間よりも低減する。つまり、マイコン２３１は、表示器２１５の輝度の低減によって、虚像の輝度を低減する。なお、表示器２１５の輝度を低減する場合には、表示器２１５の消費電力を低減できる。

　（Ｂ）の場合には、反射鏡２１７の反射率は昼間の反射率より低減し、表示器２１５の輝度は昼間の輝度を維持する。つまり、マイコン２３１は、反射率の低減によって、虚像の輝度を低減する。

　（Ｃ）の場合には、反射鏡２１７の反射率は昼間の反射率より大幅に低減し、表示器２１５の輝度は昼間の輝度より増加させる。つまり、表示器２１５の輝度は増加するが、マイコン２３１は、反射率を大きく低減することによって、虚像の輝度を低減する。

　（Ｄ）の場合には、反射鏡２１７の反射率は昼間の反射率より増加させ、表示器２１５の輝度は昼間の輝度より大幅に低減する。つまり、反射率は増加するが、マイコン２３１は、表示器２１５の輝度を大幅に低減することにより、虚像の輝度を低減する。

　［５．効果］
　上記第４実施形態では、以下の効果を得ることができる。

　（４ａ）本第４実施形態は、表示器２１５及び反射鏡２１７を有する表示部２２１と、表示制御装置２１９とを備えている。

　このような構成により、第４実施形態では、反射鏡２１７の反射率が高く、上述したような不具合が発生し易いときには、そのような不具合が発生することを抑制するように反射率を調節することができる。

　つまり、第４実施形態では、反射鏡２１７を利用した表示の視認に影響を与える空間である周囲の明るさに応じて、反射鏡２１７の反射率を制御することができる。例えば、昼や夜等における車両２０３の周囲の明るさ、従って、車室内の明るさに応じて、反射鏡２１７の反射率を制御することができる。そのため、車両２０３の周辺の風景等の映り込みを抑制することができる。また、シームレス感を高めて表示器２１５等の外観や見栄えを良くすることができる。さらに、二重像や迷光の発生を抑制することができる。

　そのため、反射鏡２１７にて光を反射させて表示する部分の面積（即ち、表示面積）を大きくした場合、例えば一つの反射鏡２１７の表示面積を大きくしたり、複数の反射鏡２１７を用いて合計の表示面積を大きくした場合でも、反射鏡２１７の反射率を制御することによって、上述した不具合が目立ちにくくなるので、不具合を効果的に抑制することが可能である。

　（４ｂ）本第４実施形態では、表示制御装置２１９は、反射鏡２１７の反射率の制御と表示器２１５の輝度の制御とを行うことが可能である。

　従って、昼や夜等による車両２０３の周囲や車室内の明るさに応じて、例えば反射鏡２１７の周囲の明るさに応じて、反射鏡２１７の反射率の制御と表示器２１５の輝度の制御とを行うことができる。

　なお、反射率の制御としては、反射率を増加又は低減又は維持する制御が挙げられる。また、表示器２１５の輝度の制御としては、輝度を増加又は低減又は維持する制御が挙げられる。

　（４ｃ）本第４実施形態では、虚像（即ち、表示像）を目的とする明るさ（即ち、輝度）で表示するために、例えば、虚像の輝度を目的とする所定の低い輝度にするために、反射鏡２１７の反射率の制御と表示器２１５の輝度の制御とを組み合わせた制御を行うことができる。

　例えば、夜間等で車両２０３の周囲が暗くなった場合、従って表示器２１５の周囲の車室内が暗くなった場合には、虚像の輝度を低減するために、反射鏡２１７の反射率の制御と表示器２１５の輝度の制御とを組み合わせた制御を行うことができる。例えば、反射鏡２１７の反射率を増加させるとともに、表示器２１５の輝度を低減する制御を行うことができる。

　これによって、虚像のまぶしさを低減して、虚像の視認性を高めることができる。また、このように表示器２１５の輝度を低減する場合には、表示器２１５の消費電力を低減することができる。

　なお、車室内の明るさが、それ以前より明るくなった場合には、虚像の輝度を増加させる制御を行ってもよい。例えば、反射鏡２１７の反射率を低減するとともに、表示器２１５の輝度を増加させる制御を行ってもよい。これによって、周囲が明るい場合に、虚像の視認性を高めることができる。

　［６．文言の対応関係］
　本第４実施形態と本開示との関係において、表示装置２０１が表示装置に対応し、表示器２１５が表示部に対応し、反射鏡２１７が反射部に対応し、表示制御装置２１９が制御部に対応する。

　［第５実施形態］
　第５実施形態は、基本的な構成は第４実施形態と同様であるため、以下では主として第４実施形態との相違点について説明する。なお、第４実施形態と同じ符号は、同一構成を示すものであって、先行する説明を参照する。

　本第５実施形態は、車両２０３の周囲に存在する人工のライト等の光源の有無、及び／又は、その光源の近接の状態に応じて、少なくとも、反射鏡１７の反射率の制御を行う。

　（５ａ）まず、制御の概要を説明する。

　例えば、車両２０３の走行中などには、車両２０３の側方や後方から、車室内に低い角度で入ってくるヘッドライトの光がある。また、図２１に示すように、トンネル内や高速道路で、車両２０３の周囲から、フロントウインド２０７やサイドウインド２５１を介して車室内に入ってくる照明灯２５３の光がある。

　このような光は、反射鏡２１７にて反射して、特に夜間等のように周囲が暗い場合には、表示装置２０１にて表示する画像（即ち、虚像である表示像）の視認性を低下させる。

　そこで、本第５実施形態では、運転者の視認性を高めるために、下記の図２２に示すように、反射鏡２１７の反射率等の制御を行う。

　（５ｂ）次に、本第５実施形態の制御処理を説明する。

　図２２に示すように、Ｓ２００では、マイコン２３１は、例えば車外用カメラ２３９から、その撮影された画像を取得する。

　続くＳ２１０では、マイコン２３１は、車外用カメラ２３９で撮影された画像から、車両２０３の周囲にヘッドライトの光や照明灯２５３の光（即ち、光源）があるか否かを判定する。つまり、マイコン２３１は、それらの光が車両２０３に当たっている状態か否かを判定する。マイコン２３１は、ここで肯定判断されるとＳ２２０に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。

　なお、ヘッドライトの光や照明灯２５３の光は、周囲の暗さに対して一部の箇所のみが明るくなっていることにより判別することができる。

　Ｓ２２０では、このままでは、ヘッドライトの光や照明灯２５３の光が反射鏡２１７で反射して表示像の視認性が低下するので、マイコン２３１は、反射鏡２１７の反射率を低減する制御を行う。

　続くＳ２３０では、表示像の視認性を高めるために、マイコン２３１は、表示器２１５の輝度を増加させる制御を行って、一旦本処理を終了する。

　なお、上記Ｓ２１０では、光源の有無を判定したが、上記Ｓ２１０とは別に又は上記Ｓ２１０に加えて、光源が接近しているか（即ち、近接の状態か）否かを判定してもよい。なお、近接の有無については、例えば、同じ光源について明るさが増加しているか否かによって判定することができる。

　上述した制御によって、本第５実施形態は、第４実施形態と同様な効果を奏する。

　また、本第５実施形態では、車両２０３の周囲の光源の光（即ち、外光）が車室内に入射するような場合、即ち、周囲の外光が反射鏡２１７に映り込んで、表示像の視認性が低下するような場合には、反射鏡２１７の反射率を低減するとともに、表示器２１５の輝度を増加させる制御を行う。

　これにより、周囲の外光の映り込みが軽減し、表示像を見る際の煩雑さが低減し、しかも、表示像の輝度が十分に保持されているので、表示像の視認性が向上するという顕著な効果を奏する。

　なお、周囲の光源が無くなった場合や光源が遠ざかる場合には、上記制御と逆の制御を行ってもよい。つまり、反射鏡２１７の反射率を増加させるとともに、表示器２１５の輝度を低減する制御を行ってもよい。

　（５ｃ）次に、本第５実施形態の効果を確認した実験例について説明する。

　ここでは、夜間の状態を想定した。つまり、太陽光が無い状態を想定した。そして、下記表２に記載のように、スポットライトによる外光光源の入射輝度を設定し、反射鏡２１７の反射率と表示器２１５の輝度とを調節した場合に、反射鏡２１７における表示像の輝度と外光映り込みの輝度とを測定した。その結果を、同じく下記表２に記す。

　この表２から明らかなように、表２の上段に示す比較例（即ち、調整無し）では、１００ｃｄ／ｍ^２の外光光源がある場合に、反射率を制御しないで５０％を維持し、且つ、表示器２１５の輝度も制御しないで３０ｃｄ／ｍ^２を維持した。この場合には、表示像の輝度は１５ｃｄ／ｍ^２であり、外光が映り込んだ部分の輝度は５０ｃｄ／ｍ^２であった。

　それに対して、表２の下段に示す本第５実施形態（即ち、調整あり）では、１００ｃｄ／ｍ^２の外光光源がある場合には、反射率を５０％から低減して１０％とし、且つ、表示器２１５の輝度を増加させて１５０ｃｄ／ｍ^２とした。この場合には、表示像の輝度は２１５ｃｄ／ｍ^２を確保でき、外光が映り込んだ部分の輝度は１０ｃｄ／ｍ^２と低減した。

　このように、本第５実施形態では、外光光源がある場合には、反射率を低減するとともに、表示器２１５の輝度を増加させるので、表示像の輝度を十分に確保でき、且つ、外光の映り込みを低減することができる。そのため、表示像の視認性が向上するという効果が得られることが分かる。

　［第６実施形態］
　第６実施形態は、基本的な構成は第４実施形態と同様であるため、以下では主として第４実施形態との相違点について説明する。なお、第４実施形態と同じ符号は、同一構成を示すものであって、先行する説明を参照する。

　本第６実施形態は、サンルーフやオープンカーのルーフ開閉に応じて、反射鏡２１７の反射率等を制御する形態である。以下、詳細に説明する。

　本第６実施形態の表示制御装置２１９では、図２３に例示するように、マイコン２３１は、Ｓ３００にて、車室内の明るさに影響する特定の機器が作動したか否かを判定する。マイコン２３１は、例えば、サンルーフやオープンカーのルーフを開くためのスイッチ等の操作がなされたか否かを判定する。マイコン２３１は、ここで肯定判断されるとＳ３１０に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。

　Ｓ３１０では、サンルーフやオープンカーのルーフが開かれて、車室外の明るい外光が車室内に入射し、車室内の明るさが増加すると考えられる。そのため、このままでは、外光が反射鏡２１７で反射して表示像の視認性が低下するので、マイコン２３１は、反射鏡２１７の反射率を低減する制御を行う。

　本第６実施形態は、第５実施形態と同様な効果を奏する。なお、上述した処理は、夜間等には実施しないようにしてもよい。

　なお、上記図２３では、サンルーフやオープンカーのルーフが開かれて、車室内の明るさが増加する場合を例に挙げたが、サンルーフやオープンカーのルーフが閉じられて、車室内の明るさが低減する場合には、上記制御とは逆に、反射鏡２１７の反射率を増加させる制御を行うとともに、表示器２１５の輝度を低減する制御を行ってもよい。

　［第７実施形態］
　第７実施形態は、基本的な構成は第４実施形態と同様であるため、以下では主として第４実施形態との相違点について説明する。なお、第４実施形態と同じ符号は、同一構成を示すものであって、先行する説明を参照する。

　本第７実施形態は、運転支援機能を有する車両において、自動運転状態や駐車状態等において、例えば、リラックスモードやエンターテイメント表示モードに設定された場合に、反射鏡２１７の反射率等の制御を行う形態である。

　なお、リラックスモードとは、例えば夜間等において、室内灯の光量を少なくして、乗員をリラックスさせるモードである。また、エンターテイメント表示モードとは、車載の表示装置２０１以外のディスプレイ（例えば、エンターテイメント用ディスプレイ）で、テレビや映画やゲーム等を表示するモードである。

　本第７実施形態では、例えば、ルーフディスプレイやエンターテイメント用ディスプレイや、その他の車室内の間接照明を用いる場合に、表示装置２０１にて画像の表示を行わないときには、反射鏡２１７の反射率を低減する制御を行う。

　なお、ルーフディスプレイとは、例えば後席の乗員用に、天井等に配置されたディスプレイである。また、エンターテイメント用ディスプレイとは、テレビや映画やゲーム等を表示する娯楽用のディスプレイである。

　以下、本第７実施形態の制御について説明する。

　本第７実施形態の表示制御装置２１９では、図２４に例示するように、マイコン２３１は、Ｓ４００にて、視覚に影響する特定の機器が作動したか否かを判定する。マイコン２３１は、例えば、ルーフディスプレイやエンターテイメント用ディスプレイ、その他の車室内の間接照明が使用されているか（即ち、オンの状態か）否かを判定する。マイコン２３１は、ここで肯定判断されるとＳ４１０に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。

　Ｓ４１０では、マイコン２３１は、表示器２１５による画像の表示があるか否かを判定する。マイコン２３１は、ここで否定判断されるとＳ４２０に進み、一方肯定判断されると一旦本処理を終了する。

　Ｓ４２０では、マイコン２３１は、反射鏡２１７の反射率を低減する制御を行い、一旦本処理を終了する。

　本第７実施形態は、第４実施形態と同様な効果を奏する。

　また、本第７実施形態では、ルーフディスプレイやエンターテイメント用ディスプレイが使用されている場合に、表示装置２０１の表示がされていないときには、反射鏡２１７の反射率を低減するので、各ディスプレイの視聴を妨げにくいという効果がある。また、他の間接照明が点灯されている場合にも、反射鏡２１７の反射率を低減するので、反射鏡２１７に間接照明の光が反射にくい。

　よって、車室内の雰囲気が損なわれにくいという利点がある。つまり、各ディスプレイや間接照明の反射鏡２１７への映り込みが低減するので、余分な光が見えることによる煩雑さが低減し、映像等に対する没入感が増加するという利点がある。

　また、リラックスモードに設定されている場合に、表示装置２０１の表示がされていないときには、反射鏡２１７の反射率を低減することにより、上記煩雑さを低減でき、リラックス効果を高めることができる。

　なお、上記図２４では、ルーフディスプレイやエンターテイメント用ディスプレイや間接照明が使用され、表示装置２０１の表示がされていないときには、反射鏡２１７の反射率を低減する制御を行う例を挙げたが、上記制御とは逆に、ルーフディスプレイやエンターテイメント用ディスプレイや間接照明が使用されていない場合には、反射鏡２１７の反射率を増加させて、通常の状態に戻す制御を行ってもよい。

　［第８実施形態］
　第８実施形態は、基本的な構成は第４実施形態と同様であるため、以下では主として第４実施形態との相違点について説明する。なお、第４実施形態と同じ符号は、同一構成を示すものであって、先行する説明を参照する。

　本第８実施形態は、表示器２１５及び／又は表示器２１５の近傍の温度、又は、その温度に対応した指標に応じて、少なくとも、反射鏡２１７の反射率の制御を行う形態である。

　（８ａ）まず、制御の概要を説明する。

　例えば、車両２０３のＩＰパネル２０９に配置される各種の機器の一部は、ある一定以上の温度となると、部品に損傷や変形が発生したり、機能不全を起こす恐れがある。なお、上記機器としては、表示器２１５に加え、例えば、メータ、ＣＩＤ、ヘッドアップディスプレイ等が挙げられる。なお、ＣＩＤは、Center Information Displayの略である。

　例えば、真夏の晴天下に長時間車両２０３が放置された場合には、日射の影響によって、車室内やＩＰパネル２０９の温度が上昇し、上述した各種の機器の不具合が発生する恐れがある。

　そこで、本第８実施形態では、そのような場合には、表示器２１５における自己発熱を抑制して、表示器２１５やその近傍の温度上昇を抑制するために、表示器２１５の輝度を低減する制御を行う。

　但し、単に表示器２１５の輝度を低減すると、表示像の視認性が低下することがあるので、必要に応じて反射鏡２１７の反射率を増加させる制御を行って、視認性を向上させる。

　なお、上記温度対策として、予め反射率を高めておく方法も考えられるが、この場合には、上述した周辺風景の映り込みの増加等の各種の問題があるので、本第８実施形態では、温度対策の必要性がある場合に、反射率を増加させる制御を行う。

　また、表示器２１５の近傍としては、例えば表示器２１５の輝度を制御した場合に、表示器２１５の近傍の機器の温度を所定の温度範囲よりも変化させることができる範囲が挙げられる。なお、当該近傍の機器については、温度変化を調べる実験等により判断することができる。

　温度センサ２３７は、表示器２１５自体の温度を検出するように、表示器２１５に配置することが考えられる。また、温度センサ２３７を、表示器２１５の近傍の位置、例えば、ダッシュボード２０５、ＩＰパネル２０９、バイザー２１１等の所定位置に配置して、表示器２１５の近傍の温度を検出してもよい。

　或いは、表示器２１５やその近傍の温度を直接に検出する方法以外に、表示器２１５やその近傍の温度と対応関係があると考えられる位置（例えば、天井等の他の位置）の温度を測定し、その測定した温度から、表示器２１５やその近傍の温度を推定してもよい。

　なお、温度に対応した指標としては、例えば日射量や日射時間などが挙げられる。例えば、日射時間が所定値以上の場合には、表示器２１５の温度が所定以上であると推定することができる。

　（８ｂ）次に、表示制御装置２１９にて実施される制御内容について説明する。

　図２５に示すように、Ｓ５００では、マイコン２３１は、温度センサ２３７からの信号に基づいて、表示器２１５又はその近傍の温度を取得する。

　続くＳ５１０では、マイコン２３１は、表示器２１５又はその近傍の温度が、上記機器に不具合が生じる恐れのある所定の温度以上に上昇したか否かを判定する。マイコン２３１は、ここで肯定判断されるとＳ５２０に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。

　Ｓ５２０では、表示器２１５又はその近傍の温度が過度に上昇したので、その温度上昇を抑制するために、マイコン２３１は、表示器２１５の輝度を低減する制御を行う。

　続くＳ５３０では、表示器２１５の輝度の低減によって視認性が低下するので、視認性を高めるために、マイコン２３１は、反射鏡２１７の反射率を増加させる制御を行って、一旦本処理を終了する。

　上述した制御によって、本第８実施形態は、第４実施形態と同様な効果を奏する。

　また、本第８実施形態では、表示器２１５やその近傍の温度が上昇した場合には、表示器２１５の輝度を低減する制御を行うとともに、反射鏡２１７の反射率を増加させる制御を行う。それによって、表示器２１５やその近傍の機器の温度上昇を抑制できるので、上記各種の機器の不具合の発生を抑制することができ、しかも、視認性も確保できる。

　なお、表示器２１５やその近傍の温度が所定温度より下降した場合には、上記制御と逆の制御を行ってもよい。つまり、表示器２１５の輝度を増加させる制御を行うとともに、反射鏡２１７の反射率を低減する制御を行ってもよい。

　（８ｃ）次に、本第８実施形態の効果を確認した実験例ａ及び実験例ｂについて説明する。

　（実験例ａ）
　この実験例ａでは、昼間において、日射によるもらい熱が少なく、車室内の温度が上昇しにくい状態を想定した。

　そして、下記表３に記載のように、反射鏡２１７の反射率と表示器２１５の輝度とを設定した場合に、反射鏡２１７における表示像の輝度を測定した。その結果を、同じく下記表３に記す。

　なお、表３及び下記表４において、「環境温度（ΔＴ-ＳＵＮ）」とは、日射によって表示器２１５の温度が、所定の基準温度Ｔ１より上昇した温度を示している。また、「自己発熱（ΔＴ）」とは、表示器２１５にて表示を行った場合に、表示器２１５の温度が、所定の基準温度Ｔ２から上昇した温度を示している。

　この表３から明らかなように、日射によるもらい熱（即ち、環境影響）が少ない場合には、表示を十分に明るくするために、表示器２１５の輝度は初期値の６００ｃｄ／ｍ^２と高い値に設定されている。

　そして、反射鏡２１７の反射率を調整しない場合、即ち、５０％に維持する場合には、表示像の輝度は３００ｃｄ／ｍ^２と高く、視認性が良いことが分かる。

　なお、表示像の輝度は過度に高める必要はない。なお、環境影響が少ない場合には、反射鏡２１７の反射率を調整（即ち、変更）しなくともよい。

　この実験例ａの場合には、環境影響が少ないので、表示器２１５の輝度が高い場合でも、環境影響と自己発熱とを合計した全体の温度変化が２５℃と小さいことが分かる。

　（実験例ｂ）
　この実験例ｂでは、昼間において、日射によるもらい熱が多く、車室内の温度が上昇し易い状態を想定した。

　そして、下記表４に記載のように、反射鏡２１７の反射率と表示器２１５の輝度とを調節した場合に、反射鏡２１７における表示像の輝度を測定した。その結果を、同じく下記表４に記す。

　この表４から明らかなように、日射によるもらい熱（即ち、環境影響）が大きい場合には、反射鏡２１７の反射率を調整しなくても、即ち、反射率を５０％に維持しても、表示器２１５の輝度を２００ｃｄ／ｍ^２と低めに設定することにより、全体の温度変化を抑制できることが分かる。但し、この場合には、表示像の輝度は１００ｃｄ／ｍ^２と低いので、視認性も低い状態である。

　一方、反射鏡２１７の反射率を５０％から９０％に増加させた場合には、表示器２１５の輝度を２００ｃｄ／ｍ^２と低めに設定したときでも、表示像の輝度を１８０ｃｄ／ｍ^２と高めることができるので、視認性を向上できることが分かる。なお、この場合には、全体の温度変化を抑制できることも分かる。

　なお、ここでは、反射率の調整の有無にかかわらず、表示器２１５の輝度を維持したが、反射率を高める場合には、表示器２１５の輝度を低下させてもよい。

　このように、本第８実施形態では、日射によるもらい熱が大きい場合には、表示器２１５の輝度を低減するとともに、反射率を増加させるので、上述した機器の温度による不具合の発生を抑制できるとともに、表示像の視認性を確保できるという効果が得られることが分かる。

　［第９実施形態］
　第９実施形態は、基本的な構成は第４実施形態と同様であるため、以下では主として第４実施形態との相違点について説明する。なお、第４実施形態と同じ符号は、同一構成を示すものであって、先行する説明を参照する。

　第９実施形態では、（９ａ）運転者による手動運転や運転者によらない自動運転、（９ｂ）運転者の視線運動、（９ｃ）運転者のサングラスの有無、（９ｄ）助手席の乗員の有無、に応じて、反射鏡２１７の反射率を制御する。

　以下、具体的に説明する。

　（９ａ）まず、運転者による手動運転と運転者によらない自動運転とに応じて反射率を制御する例について説明する。

　図２６に示すように、表示制御装置２１９では、Ｓ６００にて、マイコン２３１は、例えば、車両制御装置２２９からの信号に基づいて、車両２０３が自動運転の状態であるか否かを判定する。マイコン２３１は、ここで肯定判断されるとＳ６１０に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。

　なお、自動運転のレベルとしては、運転者の手をステアリングホイール２４９から離すことができるレベル以上が考えられる。

　Ｓ６１０では、自動運転の状態であるので、マイコン２３１は、反射鏡２１７の反射率を低減する制御を行って、一旦本処理を終了する。

　このように、自動運転の場合には、表示装置２０１における運転に関する表示の必要性が低減するので、上述した制御を行うことによって、表示装置２０１から運転者の視野に過度の光が入射することによる煩雑さを低減することができる。

　なお、自動運転から手動運転に切り替わった場合には、低減した反射率を増加させて、手動運転に合わせた反射率に戻す制御を行うことができる。

　（９ｂ）次に、運転者の視線運動に応じて反射率を制御する例について説明する。

　図２７に示すように、マイコン２３１は、Ｓ７００にて、例えば、車内用カメラ２４１の画像を取得する。

　続くＳ７１０にて、マイコン２３１は、上記画像に基づいて、運転者の視線の方向を検出する。なお、視線の方向を検出する制御は周知であるので、その説明は省略する。

　続くＳ７２０にて、マイコン２３１は、上記検出した視線の方向に基づいて、運転者が、表示装置２０１の表示エリア、即ち、反射鏡２１７の反射面２２５の表示領域２２７を目視しているか否かを判定する。マイコン２３１は、ここで肯定判断されるとＳ７３０に進み、一方否定判断されるとＳ７４０に進む。

　Ｓ７３０では、運転者が表示エリアを目視しているので、マイコン２３１は、反射鏡２１７の反射率を増加させる制御を行い、一旦本処理を終了する。これにより、表示像の輝度が増加するので、視認性が向上する。

　一方、Ｓ７４０では、マイコン２３１は、運転者が車両２０３の前方を目視しているか否かを判定する。マイコン２３１は、ここで肯定判断されるとＳ７５０に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。

　Ｓ７５０では、運転者が車両２０３の前方を目視しているので、マイコン２３１は、反射鏡２１７の反射率を低減する制御を行い、一旦本処理を終了する。これにより、運転者の視野に反射鏡２１７からの光が入射することを抑制できるので、運転者の煩雑さを低減することができる。

　（９ｃ）次に、運転者のサングラスの有無に応じて反射率を制御する例について説明する。

　図２８に示すように、マイコン２３１は、Ｓ８００にて、例えば、車内用カメラ２４１の画像を取得する。

　続くＳ８１０にて、マイコン２３１は、上記画像に基づいて、運転者がサングラスを装着しているか否かを判定する。マイコン２３１は、ここで肯定判断されるとＳ８２０に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。なお、サングラスの装着の有無は周知の画像認識の処理により判定できる。

　Ｓ８２０では、運転者がサングラスを装着しているので、マイコン２３１は、反射鏡２１７の反射率を増加させる制御を行い、一旦本処理を終了する。これにより、表示像の輝度が増加するので、視認性が向上する。

　（９ｄ）次に、助手席の乗員の有無に応じて反射率を制御する例について説明する。

　図２９に示すように、マイコン２３１は、Ｓ９００にて、例えば、車内用カメラ２４１の画像を取得する。

　続くＳ９１０にて、マイコン２３１は、上記画像に基づいて、助手席に乗員が着座しているか否かを判定する。マイコン２３１は、ここで否定判断されるとＳ９１０に進み、一方肯定判断されると一旦本処理を終了する。なお、助手席の着座の有無は周知の画像認識の処理により判定できる。

　Ｓ９２０では、助手席に乗員が着座していないので、マイコン２３１は、助手席向けの表示装置２０１の反射鏡２１７の反射率を低減する制御を行い、一旦本処理を終了する。

　これにより、運転者の視野に助手席側の反射鏡２１７からの光が入射することを抑制できるので、運転者の煩雑さを低減することができる。

　［第１０実施形態］
　［１．全体構成］
　まず、本第１０実施形態の表示装置の全体構成について説明する。

　図３０に示すように、本第１０実施形態の表示装置３０１は、自動車である車両３０３に搭載されて、例えば運転者に対して各種の画像を表示する装置である。

　この表示装置３０１は、運転席の前方のダッシュボード３０５に配置されている。詳しくは、ウインドシールド３０７の下方にダッシュボード３０５が配置され、ダッシュボード３０５は、その上面側に、各種の計器類を装着するインストルメントパネル（即ち、ＩＰパネル）３０９を備えている。ＩＰパネル３０９の運転席側には、遮光板であるバイザー３１１が運転席側に張り出している。

　上記表示装置３０１は、バイザー３１１の下側に配置され、この表示装置３０１にて表示された画像が、運転席に着座した運転者によって視認可能となっている。なお、表示される画像は、後述するように虚像であるので、運転者は虚像を視認することになる。

　［２．表示装置の構成］
　次に、表示装置３０１の構成について詳細に説明する。

　図３０に示すように、表示装置３０１は、光照射部３１３と撮影部３１５と透過反射部３１７と表示部３１９とを備えている。

　光照射部３１３は、表示装置３０１を見る運転者の位置に対して、例えば赤外光を照射するように構成されている。この光照射部３１３としては、例えば赤外線ＬＥＤ（即ち、ＩＲーＬＥＤ）を採用できる。なお、ＩＲは、infraredの略であり、ＬＥＤは、Light Emitting Diodeの略である。

　図３０では、光照射部３１３から照射された赤外光の範囲（即ち、照射範囲）を、上下の実線で挟まれた所定角の範囲で示している。この照射範囲は、ステアリングホイール３２１の間の空間を通って、運転者の顔及び上半身を照射する範囲であり、例えば円錐形状の範囲である。

　なお、赤外光としては、例えば波長が０．７μｍ～１０００μｍの範囲内の赤外光を採用できる。例えば、波長０．７μｍ～２．５μｍの近赤外光を採用できる。

　撮影部３１５は、運転者を撮影するカメラ、ここでは、赤外線カメラである。この撮影部３１５は、光照射部３１３から照射された赤外線の反射光を受光するように配置されている。つまり、撮影部３１５は、運転者に照射された赤外線の反射光を受光し、その反射光を用いて運転者を撮影するように構成されている。

　図３０では、撮影部３１５の撮影可能な範囲（即ち、撮影範囲）を、上下の破線で挟まれた所定角の範囲で示している。この撮影範囲は、ステアリングホイール３２１の間の空間を通って、運転者の顔及び上半身を撮影する範囲であり、上記照射範囲とは若干異なっている。なお、撮影範囲は、例えば円錐形状の範囲である。

　透過反射部３１７は、平板状の部材であり、可視光を反射し赤外光を透過する光学特性を有する、いわゆるコールドミラーである。ここでは、透過反射部３１７は、例えば、波長３８０ｎｍ～７８０ｎｍの可視光を反射し、上記近赤外光を透過するように構成されている。

　上記透過反射部３１７は、運転者側である表側（即ち、図３０の右側）と、表側の反対側の裏側（即ち、図３０の左側）との間で、光照射部３１３から照射された赤外光が透過可能であり、且つ、その赤外光が運転者で反射した赤外光である反射光が透過可能である。しかも、透過反射部３１７では、表側から入射する光、即ち、透過反射部３１７の表側の表面３２３に当たる光（例えば、可視光）の少なくとも一部（例えば、全部）は、表面３２３にて運転者側に反射する。

　この透過反射部３１７は、表側を運転者側に向けて、運転者の位置と光照射部３１３及び撮影部３１５との間に配置されている。

　なお、透過反射部３１７は、水平方向に対して例えば４０度の角度で、運転者側ほど位置が低くなるように傾斜している。

　また、図３１に示すように、透過反射部３１７のほぼ中央の裏側に、１台の撮影部３１５が配置され、撮影部３１５の左右両側に、一対の光照射部３１３が配置されている。

　なお、透過反射部３１７の平面形状は左右方向に長い台形であり、透過反射部３１７の表側の表面３２３に、表示部３１９の画像が表示される表示領域３２５が設けられている。なお、表示領域３２５の表面形状は、表示部３１９の表面形状（例えば、長方形）と同じである。

　表示部３１９は、図示しない制御装置からの電気信号に基づいて、文字や記号や映像等の各種の画像を表示することが可能な平板形状のＬＥＤ表示器である。つまり、ＬＥＤにて画像の表示が可能な装置である。

　この表示部３１９は、バイザー３１１の下面に取り付けられており、画像を表示する表面である表示面３１９ａを下方に向けて配置されている。つまり、表示部３１９は、自身の下方に配置された透過反射部３１７に向けて画像を表示するように構成されている。なお、表示部３１９の表示面３１９ａは、水平方向に対して例えば５度の角度で、運転者側ほど位置が高くなるように傾斜している。

　このように、表示部３１９は、透過反射部３１７の表側にて且つ上方にて、画像を表示する表示面３１９ａを下方に向けて配置されているので、自身が表示する画像が透過反射部３１７にて反射することにより、運転者が視認可能となっている。言い換えると、表示部３１９と透過反射部３１７とは、表示される画像が運転者に視認可能な位置に配置されている。

　上述のように、本第１０実施形態では、透過反射部３１７の表側（即ち、運転者側）において、運転者が透過反射部３１７を視認する際の妨げとならないように、バイザー３１１の下側に表示部３１９が配置されている。同様に、運転者の画像の視認の妨げとならないように、透過反射部３１７の裏側（即ち、車両３０３の先頭側）に、光照射部３１３及び撮影部３１５が配置されている。

　なお、以下では、光照射部３１３及び撮影部３１５からなる構成を、撮影機構３２７と称することがあり、この撮影機構３２７が上述したＤＳＭの機能を有する。なお、光照射部３１３及び撮影部３１５は、例えば、支持基板３２７ａ上に一体配置されている。

　［３．表示装置の機能］
　次に、表示装置３０１の機能について詳細に説明する。

　図３０に示すように、光照射部３１３から透過反射部３１７に赤外光を照射すると、その赤外光は、透過反射部３１７を透過して運転者に当たる。

　この運転者に照射された赤外光は、運転者にて反射し、その反射光（即ち、赤外光）は、透過反射部３１７を透過して、撮影部３１５に入射する。よって、撮影部３１５は、この反射光を用いて運転者を撮影することができる。

　このように、光照射部３１３及び撮影部３１５の運転者側に、透過反射部３１７が配置されている場合でも、運転者を撮影した画像を取得することができる。

　また、透過反射部３１７の表側の上方の表示部３１９にて画像を表示した場合には、その画像を示す光（即ち、可視光）は、透過反射部３１７の表側の表面３２３にて、運転者側に反射する。これにより、運転者は、透過反射部３１７にて表示される画像を視認することができる。

　詳しくは、図３２に示すように、表示部３１９からの実像である画像の光が、透過反射部３１７の表側の表面３２３で反射した場合には、その反射光を見た運転者は、あたかも透過反射部３１７の裏側の所定の位置に、その実像があるかのように認識する。つまり、運転者の視線方向の所定の位置に、実際には無い虚像を認識する。

　つまり、本第１０実施形態では、透過反射部３１７にて見ることができる画像は、透過反射部３１７の裏側にて形成される虚像である。

　なお、透過反射部３１７の表面３２３に対する実像と虚像とがなす角度は同じθであり、透過反射部３１７の表面３２３と実像との距離と透過反射部３１７の表面３２３と虚像との距離は同じである。

　なお、本第１０実施形態では、図３０にてＫで示す虚像の形成位置と透過反射部３１７との間に、光照射部３１３及び撮影部３１５が配置されている。

　［４．効果］
　上記第１０実施形態では、以下の効果を得ることができる。

　（１０ａ）本第１０実施形態の表示装置３０１では、表示部３１９は透過反射部３１７より運転者側に配置されており、表示部３１９で表示した画像は透過反射部３１７にて運転者側に反射する。従って、透過反射部３１７を見ている運転者は、表示部３１９の画像が、あたかも透過反射部３１７の後方、即ち運転者の位置と反対側にあるように見える。即ち、運転者の視線の先である透過反射部３１７の裏側に、虚像として表示部３１９の画像が見える。

　さらに、この表示装置３０１では、光照射部３１３と撮影部３１５とは、透過反射部３１７の後方（即ち，裏側）に配置されているので、透過反射部３１７にて虚像によって画像を表示する際に、光照射部３１３及び撮影部３１５の存在によって、透過反射部３１７における画像の表示領域３２５が制限されにくい。

　例えば、図３３の上欄に並べて示すように、本開示の構成は、各種の形状の表示部３１９や透過反射部３１７や表示領域３２５を有する様々な形状の表示装置３０１に適用できる。つまり、透過反射部３１７の裏側に光照射部３１３及び撮影部３１５が配置されているので、表示領域３２５を少なくすることなく、最大限の表示領域３２５を確保できる。なお、上欄の右端が本第１０実施形態の表示装置３０１であり、中央や左端の表示装置３０１はその変形例である。

　それに対して、比較例の表示装置を図３３の下欄に並べて示すが、光照射部３１３や撮影部３１５は表示領域３２５の手前（即ち、運転席側）に配置されているので、視認できる表示領域３２５が小さくなっており、好ましくない。なお、図３３の上欄と下欄とでは、ほぼ同様な形状の表示装置を上下に並べて対比している。

　しかも、本第１０実施形態の表示装置３０１では、透過反射部３１７の周囲を切り欠いて光照射部３１３及び撮影部３１５を配置したり、透過反射部３１７自体に光照射部３１３及び撮影部３１５を埋め込んで配置する必要がないので、装置構成を簡易化できる。

　例えば、図３４の上欄に示すように、本第１０実施形態では、透過反射部３１７の裏側に光照射部３１３及び撮影部３１５が配置されているので、透過反射部３１７に特別な加工を施す必要がなく、表示装置３０１の構成を簡易化できる。

　それに対して、比較例の表示装置を図３４の下欄に示すが、表示領域３２５を構成する部材の一部を切り欠いて光照射部３１３を配置したり、表示領域３２５を構成する部材に撮影部３１５を埋め込んで配置するので、構成が複雑になり好ましくない。

　このように、本第１０実施形態の構成によれば、表示装置３０１の表示の隠れが発生しにくく、しかも、表示装置３０１の構成を簡易化できるという効果がある。

　（１０ｂ）本第１０実施形態では、光照射部３１３から照射される光は赤外光であり、透過反射部３１７の表側の表面３２３にて反射する光は可視光である。

　従って、赤外光を運転者に照射しても、運転者の運転等に殆ど影響を与えることなく、運転者を撮影できる。また、赤外光を利用して撮影することにより、周囲が暗い場合でも、好適に運転者の状態を把握できる。

　なお、表示部３１９にて可視光にて表示された画像は、透過反射部３１７の表側の表面３２３にて反射するので、運転者によって容易に画像を認識することができる。

　（１０ｃ）本第１０実施形態では、虚像の形成位置と透過反射部３１７との間に、光照射部３１３及び撮影部３１５を配置している。このような構成の場合には、運転者が虚像を見る場合には、虚像に焦点を合わせるので、光照射部３１３及び撮影部３１５がぼやけたように見え、光照射部３１３及び撮影部３１５が見えにくくなるという利点がある。

　なお、虚像の形成位置と透過反射部３１７との間に、光照射部３１３及び撮影部３１５の一方のみを配置してもよい。

　［５．変形例等］
　次に、第１０実施形態の変形例などについて説明する。

　（１）上記第１０実施形態では、光照射部３１３として赤外線ＬＥＤを例に挙げ、撮影部３１５として赤外線カメラを例に挙げたが、赤外線ではなく可視光を採用してもよい。

　例えば、光照射部３１３として、可視光を照射するランプを採用し、撮影部３１５として、通常の可視光を用いて撮影するカメラ（例えば、ＣＣＤカメラ）を採用してもよい。

　（２）上記第１０実施形態では、透過反射部３１７として、赤外光を透過し可視光を反射するコールドミラーを採用したが、他の構成を採用してもよい。

　なお、コールドミラーの構成としては、図３５に示すように、可視光や赤外光が透過する透光性の基板３１７ａの表面に、赤外光を透過し可視光を反射する性質を有する材料をコーティングしたり、その性質を有する光学フィルムを貼り付けてもよい。つまり、基板３１７ａの表面に、上述した性質を有する層３１７ｂを設けてもよい。なお、透過反射部３１７全体を、上記性質を有する材料で構成してもよい。

　また、透過反射部３１７として、例えば、可視光の透過と反射が可能なハーフミラーを採用できる。この場合は、可視光を用いて撮影するランプやカメラの構成を採用する。

　さらに、透過反射部３１７として、例えば、光を偏向方向に応じて選択的に透過可能且つ選択的に反射可能な部材を採用できる。つまり、ある偏光方向の光を透過し、他の偏光方向の光を反射する構成を採用できる。なお、各種の偏向方向の光としては、例えば、Ｐ波、Ｓ波、円偏光が挙げられる。

　（３）また、図３５に示すように、透過反射部３１７の表側や裏側の表面に、光学特性を変更可能な層３１８を設けてもよい。例えば、光の透過性を変更できる液晶シャッターを設けてもよい。

　［６．文言の対応関係］
　本第１０実施形態と本開示との関係において、光照射部３１３が光照射部に対応し、撮影部３１５が撮影部に対応し、透過反射部３１７が反射部に対応し、表示部３１９が表示部に対応し、撮影機構３２７が撮影機構に対応し、擬装表示部３２９が擬装表示部に対応し、規制部３３１が規制部に対応する。

　［第１１実施形態］
　第１１実施形態は、基本的な構成は第１０実施形態と同様であるため、以下では主として第１０実施形態との相違点について説明する。なお、第１０実施形態と同じ符号は、同一構成を示すものであって、先行する説明を参照する。

　本第１１実施形態では、図３６～図３８に示すように、透過反射部３１７は、光照射部３１３及び撮影部３１５の視認を抑制する擬装表示部３２９を備えている。以下、具体的に説明する。

　例えば、図３６に示すように、透過反射部３１７の表側の表面３２３の表示領域３２５において、運転者から見た場合に、光照射部３１３及び撮影部３１５が見える範囲を覆うように、擬装表示部３２９を設ける。

　具体的には、光照射部３１３及び撮影部３１５を目立たなくするように、透過反射部３１７に、周囲より色の明るい表示内容（即ち、コンテンツ）を表示する擬装表示部３２９を設ける。つまり、表示領域３２５において表示部３１９による虚像を表示する際に、擬装表示部３２９の範囲の虚像の色を明るくすることにより、光照射部３１３及び撮影部３１５を目立たなくする。即ち、色によって、光照射部３１３及び撮影部３１５を擬装する。

　また、光照射部３１３として赤外線ＬＥＤを用いる場合には、赤外線ＬＥＤが赤く光るものがある。そのような場合には、図３７に示すように、透過反射部３１７の表側の表面３２３の表示領域３２５において、運転者から見た場合に、光照射部３１３が見える範囲を覆うように、赤系の色のコンテンツからなる擬装表示部３２９を設ける。

　或いは、図３８に示すように、透過反射部３１７の表側の表面３２３の表示領域３２５において、運転者から見た場合に、光照射部３１３が見える範囲を覆うように、幾何学模様のコンテンツからなる擬装表示部３２９を設ける。

　なお、上記以外に、グラデーションや多色模様のコンテンツからなる擬装表示部３２９を設けてもよい。

　本第１１実施形態は、第１０実施形態と同様な効果を奏する。また、本第１１実施形態では、光照射部３１３及び撮影部３１５が見えにくくなるので、運転者が表示装置３０１の表示を見る際の違和感が低減するという効果がある。

　［第１２実施形態］
　第１２実施形態は、基本的な構成は第１０実施形態と同様であるため、以下では主として第１０実施形態との相違点について説明する。なお、第１０実施形態と同じ符号は、同一構成を示すものであって、先行する説明を参照する。

　本第１２実施形態では、図３９に示すように、透過反射部３１７の裏側に、光照射部３１３から照射される光の照射範囲と撮影部３１５の撮影範囲とを規制する規制部３３１を備えている。以下、具体的に説明する。

　図３９に示すように、透過反射部３１７の裏側には、光照射部３１３の照射範囲Ｌ１、即ち、２本の実線で挟まれた所定角の範囲Ｌ１と、撮影部３１５の撮影範囲Ｌ２、即ち、２本の破線で挟まれた所定角の範囲Ｌ２と、を覆うように、光の進む向き等を調節する例えばフレネルレンズ等からなる光調整部３３１ａが設けられている。なお、ここで照射範囲Ｌ１及び撮影範囲Ｌ２を覆う範囲とは、運転者側からみた場合に、照射範囲Ｌ１及び撮影範囲Ｌ２を覆う範囲である。

　つまり、透過反射部３１７の裏側の表面には、照射範囲Ｌ１や撮影範囲Ｌ２を調整する光学形状を有する光調整部３３１ａが設けられている。なお、透過反射部３１７は、平板や曲板のような一定の厚みの部材でなくてもよく、光調整部３３１ａ等により、裏側に凹凸が形成されていてもよい。

　同様に、透過反射部３１７の裏側には、運転者側から見た場合に、光照射部３１３の照射範囲Ｌ１及び撮影部３１５の撮影範囲Ｌ２の周囲を囲むように、光の透過を遮断する光遮断層３３１ｂが設けられている。

　つまり、光調整部３３１ａの周囲に光遮断層３３１ｂが設けられており、この光調整部３３１ａ及び光遮断層３３１ｂにより、規制部３３１が構成されている。

　なお、規制部３３１として、光調整部３３１ａ及び光遮断層３３１ｂの一方を採用してもよい。また、光照射部３１３及び撮影部３１５の一方のみに規制部３３１を設けてもよい。

　本第１２実施形態は、第１０実施形態と同様な効果を奏する。また、本第１２実施形態では、透過反射部３１７の裏側に規制部３３１を備えているので、必要な範囲だけ光（例えば、赤外光）を照射できるとともに、必要な範囲の撮影を行うことができる。

　［第１３実施形態］
　第１３実施形態は、基本的な構成は第１０実施形態と同様であるため、以下では主として第１０実施形態との相違点について説明する。なお、第１０実施形態と同じ符号は、同一構成を示すものであって、先行する説明を参照する。

　本第１３実施形態では、図４０の上欄に示すように、透過反射部３１７の裏側に、光照射部３１３及び撮影部３１５からなる撮影機構３２７を複数備えるとともに、各撮影機構３２７を撮影対象の撮影位置及び／又は撮影の向きに応じて配置している。

　例えば、図４０の上欄の表示装置３０１においては、左側の撮影機構３２７は、助手席の同乗者を撮影するように、透過反射部３１７の左側に配置され、且つ、撮影部３１５の撮影の向き、従って撮影範囲は、助手席の同乗者の顔を撮影するように設定されている。なお、撮影範囲は、実線で囲まれた所定の角度（即ち、撮影画角）の範囲である。

　また、図４０の中央側の撮影機構３２７は、後部座席の同乗者を撮影するように、透過反射部３１７の中央側に配置され、且つ、撮影部３１５の撮影の向き、従って撮影範囲は、後部座席の同乗者の顔を撮影するように設定されている。

　さらに、図４０の右側の撮影機構３２７は、運転者を撮影するように、透過反射部３１７の右側に配置され、且つ、撮影部３１５の撮影の向き、従って撮影範囲は、運転者の顔を撮影するように設定されている。

　本第１３実施形態は、第１０実施形態と同様な効果を奏する。また、本第１３実施形態では、撮影対象が複数の場合に、各撮影対象の位置等に応じて、最も撮影に適した位置に各撮影機構３２７を配置できるという利点がある。

　また、大きさや形状や性能が異なる撮影機構３２７を、自由に配置できるという利点もある。例えば、撮影対象に応じて、望遠用や広角用の各種のサイズのレンズ、異なる種類のカメラモジュールなどを、適宜採用できるという利点がある。

　一方、図４０の下欄に比較例を示すが、比較例では、撮影機構３２７を複数配置する場合には、画像の表示領域３２５の表側に複数の撮影機構３２７を配置する必要がある。そのため、表示領域３２５が制限されるという短所や、撮影機構３２７の配置が制限されるという短所や、撮影機構３２７が目立つ等の短所があり、好ましくない。

　［第１４実施形態］
　第１４実施形態は、基本的な構成は第１０実施形態と同様であるため、以下では主として第１０実施形態との相違点について説明する。なお、第１０実施形態と同じ符号は、同一構成を示すものであって、先行する説明を参照する。

　本第１４実施形態では、図４１に示すように、透過反射部３１７の裏側に、光照射部３１３から照射される光の状態を調整する第１光学素子３３３と、撮影部３１５に入射する光の状態を調整する第２光学素子３３５と、を備えている。なお、光の状態としては、光の向きや集光状態等が挙げられる。

　この第１光学素子３３３や第２光学素子３３５としては、ミラー、レンズ、ＭＥＭＳモジュールなどが挙げられる。これにより、撮影画角や焦点や光軸方向を調整してもよい。また、第１光学素子３３３及び第２光学素子３３５の一方のみを備えていてもよい。なお、ＭＥＭＳは、Micro Electro Mechanical Systemの略である。

　また、本第１４実施形態では、透過反射部３１７の裏側に、光照射部３１３を機械的に駆動する第１駆動部３３７と、撮影部３１５を機械的に駆動する第２駆動部３３９と、を備えている。

　この第１駆動部３３７や第２駆動部３３９としては、モータ等のアクチュエータや、撮影時のブレを抑制する振動抑制機構などが挙げられる。なお、第１駆動部３３７及び第２駆動部３３９の一方のみを備えていてもよい。

　本第１４実施形態では、第１０実施形態と同様な効果を奏する。また、本第１４実施形態では、第１光学素子３３３、第２光学素子３３５、第１駆動部３３７、第２駆動部３３９を、透過反射部３１７の裏側に配置するので、その配置に制限が少ないという利点がある。

　以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。

　［変形例１］
　例えば上記実施形態では、有機ＥＬディスプレイが表示光を照射する形態を示したが、有機ＥＬディスプレイに限定されるものではなく、画像を表示するための表示光を照射することができる表示器（例えば、液晶ディスプレイ）であればよい。

　［変形例２］
　上記実施形態では、複数の表示部１０６は、車幅方向に沿って一列に並んで配置される。しかし、複数の表示部１０６が並ぶ向きは、適宜定められる。また、複数の表示部１０６は、複数列を形成するように並べられても良い。つまり、複数の表示部１０６は、行列を形成するように配置されても良い。そして、行方向に並ぶ複数の表示部１０６と、列方向に並ぶ複数の表示部１０６とに対し、上記実施形態と同様の構成が適用されていても良い。このような構成を有する場合であっても、同様の効果が得られる。

　［変形例３］
　上記実施形態の表示装置１０１は、メータフード１５０の下方の反射部１０４ではなく、例えば、フロントウインドシールド、又は、ダッシュボードに突出するように設けられたコンバイナ等に虚像を投影する構成であっても良い。このような構成を有する場合であっても、同様の効果が得られる。

　［変形例４］
　（ａ）本開示は、上述した車載ディスプレイに限らず、各種のメータ、エアコンパネル、ナビディスプレイなどの各種の表示装置に適用できる。

　（ｂ）本開示は、車載ディスプレイ等の反射鏡以外に、光の反射を利用して表示ができる各種の装置に適用できる。例えばヘッドアップディスプレイの表示部材であるコンバイナ等に適用することができる。

　（ｃ）本開示では、反射鏡の反射率、即ち、反射鏡の反射面の反射率は、反射面全体で一様である必要はなく、機能や環境、例えば、車両の周辺の外光光源、日射、温度、乗員等に応じて、適宜設定してもよい。

　例えば、反射面を複数のエリアに区分し、各エリアに任意の反射率を設定してもよい。つまり、各エリア間に反射率差を設けるように設定してもよい。

　また、反射面の左右、上下、中央と外周などにおいて、特定の方向に段階的に反射率が変化するように設定してもよい。例えば、反射率が徐々に増加又は減少するように設定してもよい。例えば、特定方向に、反射率差が生じるように設定してもよい。

　（ｄ）周囲の明るさとしては、反射鏡の表示の視認に影響を与える範囲（即ち、空間）である周囲の明るさが挙げられる。例えば、車両の周囲の明るさ、室内の明るさ、反射鏡の反射面側の周囲の明るさが挙げられる。例えば、運転者等のように、反射鏡にて表示される画像を視認する人（例えば、乗員）がいる空間の明るさが挙げられる。

　（ｅ）本開示に記載の表示装置の制御部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。

　あるいは、本開示に記載の表示装置の制御部およびその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。

　もしくは、本開示に記載の表示装置の制御部およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。

　また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。表示装置の制御部に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。

　（ｆ）上述した表示装置の制御部の他、当該制御部を構成要素とするシステム、当該制御部としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移有形記録媒体、制御方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。

　［変形例５］
　（ａ）本開示は、車両の搭乗者を撮影する構成（即ち、撮影機構）を備えた表示装置に限らず、人がジェスチャーにて装置を操作する場合に、操作する人を撮影して認識する装置にも適用できる。また、本開示は、人の認識、監視、撮影等を行うセキュリティの用途に適用できる。

　（ｂ）車両の搭乗者としては、運転者、助手席の搭乗者、後部座席の搭乗者が挙げられる。

　（ｃ）擬装表示部としては、光照射部や撮影部を目立たなくできればよく、上記実施形態に限定されるものではない。

　上記実施形態における１つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、１つの構成要素が有する１つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、１つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される１つの機能を、１つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換してもよい。

Claims

　車両に搭載される表示装置（１，１０１，２０１，３０１）であって、
　表示する画像を表す表示光を表示画面から照射するように構成された複数の表示部（１１，１２，１３，１４，１５，１０６，２１５，３１９）と、
　前記複数の表示部の各々における前記表示画面に対面するように配置され、前記複数の表示部から照射される前記表示光を反射するように構成された反射部（３，１０４，２１７，３１７）と、
　を備える表示装置。
　請求項１に記載の表示装置（１）であって、
　前記複数の表示部はそれぞれ、有機ＥＬディスプレイである表示装置。
　請求項１または請求項２に記載の表示装置であって、
　前記反射部は、前記車両における左側に設置された第１Ａピラー（ＰＬ１）の付近と、前記車両における右側に設置された第２Ａピラー（ＰＬ２）の付近との間に架け渡されるようにして形成され、
　前記反射部における前記第１Ａピラーの付近の第１反射面（４１ａ）と、前記反射部における前記第２Ａピラーの付近の第２反射面（４２ａ）とは、前記反射部における前記第１反射面および前記第２反射面以外の第３反射面（４３ａ）とによって鈍角を形成するように配置されている表示装置。
　請求項１に記載の表示装置（１０１）であって、
　前記車両における特定の乗員（１１０）の乗車位置の正面に前記画像を映し出す前記表示光を照射する前記表示部を、特定表示部（１０６Ｂ，１０６Ｄ）とし、
　前記特定表示部と隣接する前記表示部を、隣接表示部（１０６Ａ，１０６Ｃ，１０６Ｅ）とし、
　前記特定表示部及び前記隣接表示部は、前記特定表示部が前記隣接表示部よりも前記反射部側に位置し、且つ、縁部が重なるように配置される
　表示装置。
　請求項４に記載の表示装置であって、
　前記複数の表示部を制御するよう構成される制御部（１０２）をさらに備え、
　前記画像における背景を構成する部分を、背景画像（１７１）とし、
　前記制御部は、隣接する２つの前記表示部から、暗色により構成される前記背景画像を映し出す前記表示光を照射させるよう構成されている
　表示装置。
　請求項４又は請求項５に記載の表示装置であって、
　前記複数の表示部を制御するよう構成される制御部（１０２）をさらに備え、
　前記複数の表示部の各々からの前記表示光により映し出されるそれぞれの前記画像において、隣接する他の前記表示部により映し出される前記画像に隣接する部分を、隣接領域（１７２）とし、
　前記制御部は、隣接する２つの前記表示部から、前記隣接領域に不規則に配置された複数の画像要素（１７３）を映し出す前記表示光を照射させるよう構成されている
　表示装置。
　請求項４から請求項６までのいずれか１項に記載の表示装置であって、
　前記表示装置の外部から前記複数の表示部及び／又は前記反射部へと入射する光の強度を検出するよう構成される検出部（１２２）と、
　前記複数の表示部を制御するよう構成される制御部（１０２）と、をさらに備え、
　前記制御部は、隣接する２つの前記表示部から、前記検出部による検出結果に応じた画質の前記画像を映し出す前記表示光を照射させるよう構成されている
　表示装置。
　請求項４から請求項７までのいずれか１項に記載の表示装置であって、
　前記複数の表示部の各々における前記表示画面には、前記表示光を照射するように構成された表示エリア（１６３）と、前記表示画面の縁に沿って延びるエリアであって、前記表示光を照射しないエリアである非表示エリア（１６４）とが設けられており、
　前記複数の表示部の各々における前記表示エリアと前記非表示エリアとの境界線のうち、隣接する他の前記表示部に近接する区間を、近接区間（１６５）とし、
　前記複数の表示部のうちの少なくとも１つにおける前記表示画面に、前記近接区間を跨ぎながら前記表示エリアと前記非表示エリアとを覆う偏光板（１６６）が設けられている
　表示装置。
　請求項４から請求項８までのいずれか１項に記載の表示装置であって、
　前記複数の表示部の各々における縁を形成する面を端面（１６２）とすると共に、前記表示画面の反対側の面を裏面（１６１）とし、
　前記複数の表示部の各々における前記表示画面及び前記裏面において、縁を含むエリアを、縁部エリア（１６７）とし、
　前記複数の表示部の各々における前記端面のうち、隣接する他の前記表示部に近接するエリアを、第１エリア（１６２Ａ）とし、
　前記複数の表示部の各々における前記表示画面の前記縁部エリアのうち、前記第１エリアに接するエリアを、第２エリア（１６７Ａ）とし、
　前記複数の表示部の各々における前記裏面の前記縁部エリアのうち、前記第１エリアに接するエリアを、第３エリア（１６７Ｂ）とし、
　前記複数の表示部のうちの少なくとも１つは、前記第１～第３エリアのうちの少なくとも２つに、光の反射を抑制するための反射抑制処理（１６８）が施されている
　表示装置。
　請求項４から請求項９までのいずれか１項に記載の表示装置であって、
　前記複数の表示部を囲むように配置される外周枠（１３０）をさらに備え、
　前記外周枠における前記反射部に対面する面を、頂面（１３１）とし、
　前記複数の表示部のうちの少なくとも１つは、前記表示画面と、前記外周枠の前記頂面における該表示画面に隣接する部分との距離（１３２）が、その厚さの１／２以下である
　表示装置。
　請求項４から請求項１０までのいずれか１項に記載の表示装置であって、
　前記複数の表示部を囲むように配置される外周枠（１３０）をさらに備え、
　前記外周枠における前記反射部に対面する面を、頂面（１３１）とし、
　前記頂面には、前記表示光を照射していない場合における前記複数の表示部の前記表示画面の外観に応じた表面処理（１３３）が施されている
　表示装置。
　請求項１に記載の表示装置（２０１）であって、
　前記反射部は、光の反射率が調整可能なように構成されており、
　更に、前記反射部の反射率を制御するように構成された制御部（２１９，Ｓ１２０）を備えた、表示装置。
　請求項１２に記載の表示装置であって、
　前記制御部は、前記表示の視認に影響を与える空間である周囲の明るさに応じて、前記反射部の反射率を制御するように構成された、表示装置。
　請求項１２または請求項１３に記載の表示装置であって、
　前記制御部は、前記反射部の反射率の制御と、前記表示部にて発生する光の輝度の制御と、を行うことが可能なように構成された、表示装置。
　請求項１４に記載の表示装置であって、
　前記制御部は、虚像を目的とする明るさで表示するために、前記反射部の反射率の制御と、前記表示部にて発生する光の輝度の制御と、を組み合わせた制御を行うように構成された、表示装置。
　請求項１５に記載の表示装置であって、
　前記制御部は、前記虚像の明るさを低減する場合には、前記反射部の反射率を増加させる制御と、前記表示部にて発生する光の輝度を低減する制御と、を行うように構成された、表示装置。
　請求項１２から請求項１６までのいずれか１項に記載の表示装置であって、
　前記表示装置が搭載された車両の周囲に存在する光源の有無、及び／又は、前記光源の近接の状態に応じて、少なくとも、前記反射部の反射率の制御を行うように構成された、表示装置。
　請求項１２から請求項１７までのいずれか１項に記載の表示装置であって、
　前記表示部及び／又は前記表示部の近傍の温度、又は、前記温度に対応した指標に応じて、少なくとも、前記反射部の反射率の制御を行うように構成された、表示装置。
　請求項１に記載の表示装置（３０１）であって、
　前記表示装置を見る人の位置に対して光を照射するように構成された光照射部（３１３）と、
　前記光照射部から照射された光の反射光を受光するように配置され、前記反射光を利用して前記人を撮影するように構成された撮影部（３１５）とを備え、
　前記反射部（３１７）は、表側と該表側の反対側の裏側との間で、前記照射された光と前記反射光とが透過可能であり、且つ、前記表側から入射した光の少なくとも一部が、前記表側の表面にて前記人の位置側に反射するように構成され、
　前記反射部は、前記表側を前記人の位置側に向けて、前記人の位置と前記光照射部及び前記撮影部との間に配置され、
　前記表示部（３１９）は、前記反射部の表側に配置され、自身が表示する前記画像が前記反射部にて反射することにより前記人が視認可能なように配置され、
　前記光照射部及び前記撮影部は、前記反射部の裏側に配置された、
　表示装置。
　請求項１９に記載の表示装置であって、
　前記光照射部から照射される光は赤外光であり、前記反射部の表側の表面にて反射する光は可視光である、
　表示装置。
　請求項１９または請求項２０に記載の表示装置であって、
　前記反射部は、前記光照射部及び／又は前記撮影部の視認を抑制する擬装表示部（３２９）を備えた、
　表示装置。
　請求項１９から請求項２１までのいずれか１項に記載の表示装置であって、
　前記反射部の表側の表面にて反射した光によって、前記反射部の裏側に前記表示部の虚像が形成される場合に、前記虚像の形成位置と前記反射部との間に、前記光照射部及び／又は前記撮影部を配置した、
　表示装置。
　請求項１９から請求項２２までのいずれか１項に記載の表示装置であって、
　前記反射部の裏側に、前記光照射部から照射される光の照射範囲及び／又は前記撮影部の撮影範囲を規制する規制部（３３１）を備えた、
　表示装置。
　請求項１９から請求項２３までのいずれか１項に記載の表示装置であって、
　前記反射部の前記裏側に、前記光照射部及び前記撮影部からなる撮影機構（３２７）を複数備えるとともに、前記各撮影機構を撮影対象の撮影位置及び／又は撮影の向きに応じて配置した、
　表示装置。
　請求項１９から請求項２４までのいずれか１項に記載の表示装置であって、
　前記反射部を構成する部材として、ハーフミラー、光を波長に応じて選択的に透過可能且つ選択的に反射可能な部材、光を偏向方向に応じて選択的に透過可能且つ選択的に反射可能な部材、及び、前記表側に配置されて光学特性を変更可能な層（３１８）のうち、少なくとも１種を備えた、
　表示装置。
　請求項１９から請求項２５までのいずれか１項に記載の表示装置であって、
　前記反射部の裏側に、前記光照射部から照射される光の状態を調整する第１光学素子（３３３）及び／又は前記撮影部に入射する光の状態を調整する第２光学素子（３３５）を備えた、
　表示装置。
　請求項１９から請求項２６までのいずれか１項に記載の表示装置であって、
　前記反射部の裏側に、前記光照射部を機械的に駆動する第１駆動部（３３７）及び／又は前記撮影部を機械的に駆動する第２駆動部（３２９）を備えた、
　表示装置。