WO2020213734A1 - ネフロン前駆細胞の製造方法 - Google Patents

ネフロン前駆細胞の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
WO2020213734A1
WO2020213734A1 PCT/JP2020/016969 JP2020016969W WO2020213734A1 WO 2020213734 A1 WO2020213734 A1 WO 2020213734A1 JP 2020016969 W JP2020016969 W JP 2020016969W WO 2020213734 A1 WO2020213734 A1 WO 2020213734A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
cells
inhibitor
medium
culturing
activin
Prior art date
Application number
PCT/JP2020/016969
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
健二 長船
伸一 前
Original Assignee
国立大学法人京都大学
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 国立大学法人京都大学 filed Critical 国立大学法人京都大学
Priority to JP2021514249A priority Critical patent/JP7471558B2/ja
Publication of WO2020213734A1 publication Critical patent/WO2020213734A1/ja

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/10Cells modified by introduction of foreign genetic material

Definitions

  • the 4th stage is a step of inducing posterior intermediate mesoderm cells from late pre-somites mesoderm cells.
  • the late presomites mesoderm cells may be cells obtained in the third stage, or cells obtained by another known method may be used.
  • the fifth stage is a step of inducing the posterior intermediate mesoderm cells obtained in the fourth stage into nephron progenitor cells.
  • posterior intermediate mesoderm cells are suspended-cultured in a medium containing a fibroblast growth factor, a GSK3 ⁇ inhibitor, a BMP inhibitor, and a ROCK inhibitor.
  • the culture period is not particularly limited, but is, for example, 3 days or more, preferably 5 days or more, more preferably 6 days or more, and further preferably 7 days or more.
  • the upper limit of the culture period is not particularly limited, but is, for example, about 3 weeks.
  • Undifferentiated human iPS cells were cultured in 6-well plates until the cell density reached 15-20 ⁇ 10 4 cells / cm 2 , and 1 mL of warm 0.5 mM EDTA / PBS ( Washed twice with-). 2 mL of warm 0.5 mM EDTA / PBS (-) was added and incubated at 37 ° C. under 5% CO 2 for 5 minutes. After incubation, EDTA / PBS (-) was removed with an ejector, and 1 mL of undifferentiated maintenance medium added so that Y-27632 was 10 ⁇ M was added.
  • the obtained cells expressed both WT1 (green), which is a posterior intermediate mesoderm marker, and HOXD11 (red), which indicates that they can differentiate into the posterior kidney (Fig. 2). In each figure, the light-colored part indicates the stained part.
  • the culture period of the first stage in which the proportion of cells that became the posterior intermediate mesoderm was the highest was about 27 hours and about 32 hours for the 1383D2 strain and the 1231A3 strain, respectively. ..

Abstract

前体節中胚葉細胞を線維芽細胞増殖因子、アクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤、BMP阻害剤、およびGSK3β阻害剤を含む培地で培養する工程を含む後期前体節中胚葉細胞の製造方法を提供する。また、後期前体節中胚葉細胞を線維芽細胞増殖因子、レチノイン酸受容体アゴニスト、およびアクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤を含む培地で培養する工程を含む後方中間中胚葉細胞の製造方法を提供する。これらの方法を特徴とする多能性幹細胞からネフロンオルガノイドを段階的に製造する方法を提供する。

Description

ネフロン前駆細胞の製造方法
 本願はネフロン前駆細胞またはネフロンオルガノイドを製造する方法に関する。より詳細には、多能性幹細胞、特にヒト多能性幹細胞からネフロン前駆細胞またはネフロンオルガノイドを製造する方法に関する。
 現在本邦において慢性腎臓病(CKD)の患者数は約1,300万人と推計されており、新たな国民病と呼ばれている。慢性腎臓病に対する根治的治療法は少なく、その進行によって透析療法を必要とする末期慢性腎不全患者は33万人以上であり、医学的のみならず医療経済的にも大きな問題となっている。末期慢性腎不全を含む慢性腎臓病の根治療法として腎移植が挙げられるが、深刻なドナー臓器不足のため需要に対し供給が全く追いついていない状態である。
 慢性腎臓病に対する新規の細胞療法の開発および腎移植におけるドナー臓器不足の解決のために、iPS細胞から腎細胞および腎組織を高効率で製造する方法の確立が必要とされている。
 腎臓は胎生初期の組織である中間中胚葉に由来する。脊椎動物では中間中胚葉から前腎、中腎、後腎の3つの腎臓が形成され、哺乳類では後腎が成体の腎臓となる。後腎は間葉と尿管芽という2つの組織の相互作用によって発生する。間葉は成体腎のネフロンおよび間質に将来分化する組織であり、尿管芽は成体腎の集合管から下部の腎盂、尿管、膀胱の一部に将来分化する組織である。さらに、後腎間葉の中にはネフロンを構成する糸球体および数種類の尿細管上皮細胞に分化するネフロン前駆細胞が存在することが示されている(非特許文献1および2)。
 ヒトiPS細胞やヒトES細胞からネフロン前駆細胞を高効率に製造する方法が確立されれば、糸球体および尿細管の供給源として製造されたネフロン前駆細胞を細胞療法に使用できると考えられる。また、将来的には三次元の腎臓の再構築によって腎移植のドナー不足を解決できると期待される。後腎ネフロン前駆細胞、糸球体および尿細管に発生する腎疾患は多いため、腎疾患モデル作製にも有用である。さらに、糸球体、尿細管またはそれらを含む腎組織を用いた薬剤腎毒性評価系や治療薬開発などの研究への発展が期待される。
 ヒトiPS細胞やヒトES細胞からネフロン前駆細胞を分化誘導する方法が数報報告されているが(非特許文献3~6)、胚様体を用いているため分化誘導効率が低く(非特許文献3)、また発生の各段階を正確に再現しているか否かが不明であることが問題であった(非特許文献4~6)。また、本発明者らのグループは中間中胚葉細胞からネフロン前駆細胞を製造する方法を開示しているが(特許文献1、2)、より効率よく安定にネフロン前駆細胞を製造する方法が求められている。
WO2014/200115 WO2018/216743
Osafune K., et al., Development 2006; 133: 151-161. Kobayashi A., et al., Cell Stem Cell 2008; 3: 169-181. Taguchi A., et al., Cell Stem Cell. 2014; 14: 53-67. Takasato M., et al., Nat Cell Biol, 2014; 16: 118-126. Takasato M., et al., Nature, 2015; 526: 564-568. Morizane R., et al., Nat Biotechnol, 2015; 33: 1193-1200.
 本願は、多能性幹細胞、特にiPS細胞やES細胞からネフロン前駆細胞またはネフロンオルガノイドを製造する方法を提供することを目的とする。本願の別の目的は、多能性幹細胞からネフロン前駆細胞への各分化段階、前方原始線条細胞、前体節中胚葉細胞、後期前体節中胚葉細胞、後方中間中胚葉細胞を経てネフロン前駆細胞を製造する系を提供することである。本願のさらに別の目的は、多能性幹細胞からネフロンオルガノイドへの各分化段階、前方原始線条細胞、前体節中胚葉細胞、後期前体節中胚葉細胞、後方中間中胚葉細胞、ネフロン前駆細胞を経て、ネフロンオルガノイドを製造する系を提供することである。
 本願は、
 (3)前体節中胚葉細胞を、線維芽細胞増殖因子、アクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤、BMP阻害剤、およびGSK3β阻害剤を含む培地で培養する工程を含む、後期前体節中胚葉細胞の製造方法を提供する。
 本態様において、前記前体節中胚葉細胞は以下の工程(1)および(2)を含む方法で多能性幹細胞から製造された細胞であってもよい:
 (1)多能性幹細胞を、アクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤、およびGSK3β阻害剤を含む培地で培養して、前方原始線条細胞培養物を得る工程、および
 (2)前方原始線条細胞培養物を、線維芽細胞増殖因子、TGFβ阻害剤、BMP阻害剤、およびGSK3β阻害剤を含む培地で培養する工程。また、前体節中胚葉細胞は他の公知の方法で得られたものであってもよい。本態様において、多能性幹細胞はiPS細胞であってもよく、ヒトiPS細胞であってもよい。すなわち本態様によって、多能性幹細胞から後期前体節中胚葉細胞を製造する方法が提供される。
 本願はまた、
 (4)後期前体節中胚葉細胞を、線維芽細胞増殖因子、およびアクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤を含む培地で培養する工程を含む、後方中間中胚葉細胞の製造方法を提供する。本態様において、後期前体節中胚葉細胞は本願の方法により製造されたものであっても、他の公知の方法で得られたものであってもよい。すなわち本態様によって、多能性幹細胞から後方中間中胚葉細胞を製造する方法が提供される。
 本願はまた、本願の方法によって後方中間中胚葉細胞を得、さらに
 (5)後方中間中胚葉細胞を、線維芽細胞増殖因子、GSK3β阻害剤、BMP阻害剤、およびROCK阻害剤を含む培地で培養する工程を含む、ネフロン前駆細胞の製造方法を提供する。すなわち本態様によって、多能性幹細胞からネフロン前駆細胞を製造する方法が提供される。
 本願はまた、本願の方法によってネフロン前駆細胞を得、さらに
 (6)ネフロン前駆細胞を気相液相界面培養する工程を含む、ネフロンオルガノイドの製造方法を提供する。すなわち本態様によって、多能性幹細胞からネフロンオルガノイドを製造する方法が提供される。
 本願はまた、本願の方法によってネフロン前駆細胞を得、さらに
 (6’)ネフロン前駆細胞を浮遊培養する工程を含む、ネフロンオルガノイドの製造方法を提供する。
 本願は特許請求の範囲に記載した方法を提供する。本願の方法によって、比較的高効率かつ安定にネフロン前駆細胞またはネフロンオルガノイドを製造することが可能となる。
ヒト多能性幹細胞からネフロンオルガノイドへの分化誘導プロトコールの一例(実施例1)。 図1に記載の方法で得られた後方中間中胚葉細胞について、WT1(緑色)およびHOXD11(赤色)に対する抗体を用いた免疫染色像。スケールバーは100μmである。 図1に記載の方法で得られたネフロンオルガノイドに対し、PODOCALYXIN(糸球体足細胞マーカー;白色、最左パネル)、LTL (Lotus tetragonolobus lectin)(近位尿細管マーカー;赤色、左から2番目のパネル)、またはE-カドヘリン(遠位尿細管マーカー、CDH1;緑色、右から2番目のパネル)に対する各抗体を用いた免疫染色イメージ、および、前記3種類の抗体による免疫染色シグナルと核染色(青色)シグナルをマージしたイメージ(最右図)を表す。 ヒト多能性幹細胞から中腎管細胞への分化誘導プロトコールの一例。 第1ステージの分化誘導時間を16または24時間としてヒトiPS細胞から誘導した中腎管細胞の、GATA3(緑色)およびRET(赤色)についての免疫染色像。スケールバーは100μmである。 第1ステージの処理時間を27時間とした場合の、ヒト多能性幹細胞から後方中間中胚葉細胞への分化誘導プロトコールの一例(実施例2)。 第1ステージの分化誘導時間を27時間としてヒトiPS細胞1383D2株から誘導した後方中間中胚葉細胞の、WT1(緑色)についての免疫染色像。 第6ステージを浮遊培養とした、ヒト多能性幹細胞からネフロンオルガノイドへの分化誘導プロトコールの一例(実施例3)。 図8に記載の方法により得られたネフロンオルガノイドの顕微鏡画像。 第4ステージの分化誘導因子からTTNPBを除いた、ヒト多能性幹細胞からネフロンオルガノイドへの分化誘導プロトコールの一例(実施例4)。 図10に記載の方法により得られたネフロンオルガノイドの顕微鏡画像。
 本願明細書および請求の範囲において、数値に付随して「約」という場合、数値の±30%、または±20%、もしくは±10%の値まで含むものとする。
 本願明細書および請求の範囲において、「ある特定種類の細胞」の表現は、特に断りがなければ当該種類の細胞が含まれている細胞群を意味し、当該細胞群には特定された種類の細胞以外の種類の細胞が含まれていてもよい。例えば「ある特定種類の細胞の培養物」は、当該種類の細胞が含まれる細胞群の培養物を意味し、特定された種類の細胞以外の細胞が含まれていても良い。同様に、「ある特定種類の細胞凝集体」の表現は、特に断りがなければ当該種類の細胞が含まれている細胞凝集体を意味し、当該細胞凝集体には特定された種類の細胞以外の細胞が含まれていても良い。
 本願明細書および請求の範囲において「多能性幹細胞」とは、生体に存在する全ての細胞に分化可能である多能性と増殖能を併せもつ幹細胞であり、例えば胚性幹(ES)細胞(J.A. Thomson et al. (1998), Science 282:1145-1147; J.A. Thomson et al. (1995), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:7844-7848;J.A. Thomson et al. (1996), Biol. Reprod., 55:254-259; J.A. Thomson and V.S. Marshall (1998), Curr. Top. Dev. Biol., 38:133-165)、核移植により得られるクローン胚由来の胚性幹(ntES)細胞(T. Wakayama et al. (2001), Science, 292:740-743; S. Wakayama et al. (2005), Biol. Reprod., 72:932-936; J. Byrne et al. (2007), Nature, 450:497-502)、***幹細胞(「GS細胞」)(M. Kanatsu-Shinohara et al. (2003) Biol. Reprod., 69:612-616; K. Shinohara et al. (2004), Cell, 119:1001-1012)、胚性生殖細胞(「EG細胞」)(Y. Matsui et al. (1992), Cell, 70:841-847; J.L. Resnick et al. (1992), Nature, 359:550-551)、人工多能性幹(iPS)細胞(K. Takahashi and S. Yamanaka (2006) Cell, 126:663-676; K. Takahashi et al. (2007), Cell, 131:861-872; J. Yu et al. (2007), Science, 318:1917-1920; Nakagawa, M.ら、Nat. Biotechnol. 26:101-106 (2008);WO2007/069666)、および培養線維芽細胞または骨髄幹細胞由来の多能性細胞(Muse細胞)(WO2011/007900)などが含まれる。特にマウスまたはヒトの多能性幹細胞、特にES細胞およびiPS細胞が好適に用いられる。
 「ROCK阻害剤」はRho-キナーゼ(ROCK)の機能を抑制できるものである限り特に限定されず、例えばY-27632(Ishizaki et al., Mol. Pharmacol. 57, 976-983 (2000); Narumiya et al., Methods Enzymol. 325,273-284 (2000))、Fasudil/HA1077(Uenata et al., Nature 389: 990-994 (1997))、SR3677(Feng Y et al., J Med Chem. 51: 6642-6645(2008))、GSK269962(Stavenger RA et al., J Med Chem. 50: 2-5 (2007); WO2005/037197)、H-1152(Sasaki et al., Pharmacol. Ther. 93: 225-232 (2002))、Wf-536(Nakajima et al., Cancer Chemother Pharmacol. 52(4): 319-324 (2003))およびそれらの誘導体、ならびにROCKに対するアンチセンス核酸、RNA干渉誘導性核酸(例えばsiRNA)、ドミナントネガティブ変異体、およびそれらの発現ベクターが挙げられる。また、ROCK阻害剤としては他の公知の低分子化合物も使用できる(米国特許出願公開第2005/0209261号、同第2005/0192304号、同第2004/0014755号、同第2004/0002508号、同第2004/0002507号、同第2003/0125344号、同第2003/0087919号、および国際公開第2003/062227号、同第2003/059913号、同第2003/062225号、同第2002/076976号、同第2004/039796号)。本願でROCK阻害剤という場合、1種または2種以上のROCK阻害剤が使用され得る。本願で使用されるROCK阻害剤は、好ましくはY-27632であり得る。
 「アクチビン受容体様キナーゼ-4,7の活性化剤」はALK-4および/またはALK-7に対して活性化作用を有する物質であり、例えばアクチビン、Nodal、Myostatinが挙げられる。好ましくはアクチビン、特にアクチビンAが用いられる。
 「GSK3β阻害剤」とは、GSK3βタンパク質のキナーゼ活性(例えば、βカテニンに対するリン酸化能)を阻害する物質として定義され、既に多数のものが知られているが、例えばインジルビン誘導体であるBIO(別名、GSK-3β阻害剤IX;6-ブロモインジルビン3'-オキシム)、マレイミド誘導体であるSB216763(3-(2,4-ジクロロフェニル)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)-1H-ピロール-2,5-ジオン)、SB415286(3-[(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)アミノ]-4-(2-ニトロフェニル)-1H-ピロール-2,5-ジオン)、フェニルαブロモメチルケトン化合物であるGSK-3β阻害剤VII(4-ジブロモアセトフェノン)、細胞膜透過型のリン酸化ペプチドであるL803-mts(別名、GSK3βペプチド阻害剤;Myr-N-GKEAPPAPPQSpP-NH2)および高い選択性を有するCHIR99021(6-[2-[4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(4-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)ピリミジン-2-イルアミノ]エチルアミノ]ピリジン-3-カルボニトリル)が挙げられる。これらの化合物は、例えばCalbiochem社やBiomol社等から市販されており容易に利用することが可能である。本願で使用されるGSK3β阻害剤は、好ましくはCHIR99021であり得る。
 「線維芽細胞増殖因子」としてはFGF1からFGF23までが知られており、これら公知のものから適宜選択すればよい。以下に述べる第2~第4ステージではFGF8が、第5ステージではFGF9が好適に用いられる。
 「TGFβ阻害剤」はTGFβの受容体への結合からSMADへと続くシグナル伝達を阻害する物質であり、受容体であるALKファミリーへの結合を阻害する物質、またはALKファミリーによるSMADのリン酸化を阻害する物質である限り特に限定されず、例えばLefty-1(NCBI Accession No.として、マウス:NM_010094、ヒト:NM_020997が例示される)、SB431542、SB202190(以上、R.K.Lindemann et al., Mol. Cancer, 2003, 2:20)、SB505124 (GlaxoSmithKline)、NPC30345、SD093、SD908、SD208 (Scios)、LY2109761、LY364947、LY580276 (Lilly Research Laboratories)、A83-01(3-(6-メチル-2-ピリジニル)-N-フェニル-4-(4-キノリニル)-1H-ピラゾール-1-カルボチオアミド、WO2009146408)、ALK5阻害剤II(2-[3-[6-メチルピリジン-2-イル]-1H-ピラゾル-4-イル]-1,5-ナフチリジン)、TGFβRIキナーゼ阻害剤VIII(6-[2-tert-ブチル-5-[6-メチル-ピリジン-2-イル]-1H-イミダゾル-4-イル]-キノキサリン)およびこれらの誘導体などが例示される。好ましくはA83-01であり得る。
 「BMP阻害剤」は、Chordin、Noggin、Follistatinなどのタンパク質性阻害剤、Dorsomorphin 6-[4-(2-piperidin-1-yl-ethoxy)phenyl]-3-pyridin-4-yl-pyrazolo[1,5-a]pyrimidine、その誘導体(P. B. Yu et al. (2007), Circulation, 116:II_60; P.B. Yu et al. (2008), Nat. Chem. Biol., 4:33-41; J. Hao et al. (2008), PLoS ONE, 3(8):e2904)およびLDN193189(4-(6-(4-(piperazin-1-yl)phenyl)pyrazolo[1,5-a]pyrimidin-3-yl)quinoline)が例示される。好ましくはLDN193189であり得る。
 「レチノイン酸受容体(RAR)アゴニスト」は天然に存在するレチノイド、化学的に合成されたレチノイド、レチノイド骨格を持たないレチノイン酸受容体アゴニスト化合物、またはレチノイン酸受容体アゴニスト活性を有する天然物であってよい。RARアゴニストとしての活性をもつ天然レチノイドの例としては、レチノイン酸(立体異性体の全トランス-レチノイン酸(全トランスRA)と9-シス-レチノイン酸(9-シスRA)が知られている)が挙げられる。化学的に合成されたレチノイドは当技術分野で公知である(米国特許第5,234,926号、米国特許第4,326,055号など)。レチノイド骨格を持たないレチノイン酸受容体アゴニスト化合物の例としては、Am80、AM580(4-[[5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル]カルボキシアミド]ベンゾイックアシッド)、TTNPB(4-[[E]-2-[5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル]-1-プロペニル]ベンゾイックアシッド)、AC55649(4’-オクチル-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキシリックアシッド)が挙げられる。レチノイン酸受容体アゴニスト活性を有する天然物の例としては、ホノキオール、マグノロールが挙げられる(生物機能開発研究所紀要9:55-61、2009年)。本願で使用されるRARアゴニストは、例えばレチノイン酸、AM580、TTNPB、AC55649であり得、好ましくはTTNPBであり得る。
 本願の方法の各工程において、培養温度は以下に限定されないが、約30から40℃、好ましくは約37℃であり、CO2含有空気の雰囲気下で培養が行われ、CO2濃度は好ましくは約2から5%である。
 多能性幹細胞は本願の方法に提供される前に、好適には多能性幹細胞培養用コーティング、例えばラミニンコーティング、市販品では例えばiMatrix silk(株式会社ニッピ)のコーティングを施した培養容器内、ROCK阻害剤を添加した多能性幹細胞用維持培地中で12時間から48時間、例えば約24時間培養する。多能性幹細胞用維持培地としては市販のものを適宜用いることができ、例えばStemFit(登録商標) AK02N培地(味の素(株))が例示される。ROCK阻害剤としてY-27632を用いる場合、その培地中の濃度は、通常0.1μMから1mM、好ましくは1μMから100μM、さらに好ましくは5μMから20μM、例えば約10μMである。
 次いで、本願の方法により多能性幹細胞の分化誘導を行う。培地は、動物細胞の培養に用いられる基礎培地に各ステージに必要な因子を適宜添加して調製できる。基礎培地としては、例えばMEM Zinc Option培地、IMEM Zinc Option培地、IMDM培地、Medium 199培地、Eagle's Minimum Essential Medium(EMEM)培地、αMEM培地、Dulbecco's modified Eagle's Medium(DMEM)培地、DMEM/F12培地、Ham's F12培地、RPMI 1640培地、Fischer's培地、およびこれらの混合培地などが包含される。基礎培地には、血清(例えば、ウシ胎児血清(FBS))が含有されていてもよいし、または無血清でもよい。必要に応じて、例えばアルブミン、トランスフェリン、KnockOut Serum Replacement(KSR)(ES細胞培養時の血清代替物)(Thermo Fisher Scientific)、N2サプリメント(Thermo Fisher Scientific)、B27サプリメント(Thermo Fisher Scientific)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2-メルカプトエタノール、3’-チオールグリセロールなどの1つ以上の血清代替物を含んでもよいし、脂質、アミノ酸、L-グルタミン、GlutaMAX(Thermo Fisher Scientific)、非必須アミノ酸(NEAA)、ビタミン、増殖因子、抗生物質、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類およびこれらの同等物などの1つ以上の物質、あるいはその他の通常動物培養用培地に添加される1つ以上の物質を含有しうる。
 1つの実施形態において、基礎培地としてDMEM/F12培地にL-ascorbic acid-2-phosphate magnesium、sodium selenium、insulin、NaHCO3およびトランスフェリンが添加された無血清培地であるEssential 6(商標)培地(Thermo Fisher Scientific)を用いて本願の方法を実施することが例示される。
 以下、本願の方法の各ステージを説明する。各ステージにおいて、目的とする細胞が誘導されていることは細胞上のマーカーの発現により確認できる。マーカーの発現は免疫染色法やFACSなど公知の方法で確認できる。各ステージで得られる細胞培養物は、目的とする細胞を、例えばFACSなど公知の方法にて単離して次のステージに用いてもよいし、得られた目的とする細胞の細胞培養物をそのまま次のステージへ供してもよい。
第1ステージ
 本願の第1ステージは、多能性幹細胞から前方原始線条細胞を誘導する工程である。本工程では、多能性幹細胞を、アクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤およびGSK3阻害剤を含む培地で培養する。さらに培地中にBMP4を含んでもよい。ある態様において、本工程では、多能性幹細胞を平面培養する。
 アクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤としてアクチビンAを用いる場合、その培地中の濃度は通常1ng/mlから10μg/ml、好ましくは10ng/mlから1μg/ml、より好ましくは50ng/mlから200ng/ml、例えば約100ng/mlである。
 GSK3β阻害剤としてCHIR99021を用いる場合、その培地中の濃度は通常0.03μMから300μM、好ましくは0.3μMから30μM、より好ましくは1μMから5μM、例えば約3μMである。
 さらにBMP4を含む場合、BMP4の培地中の濃度は、通常0.1ng/mlから1μg/ml、好ましくは1ng/mlから100ng/ml、より好ましくは5ng/mlから20ng/ml、例えば約10ng/mlである。
 本願の第1ステージは、好適には多能性幹細胞培養用のプレートにて培地のみ交換して培養を行えば良い。培養期間は、例えば、本願実施例2の培養条件で前方中間中胚葉に優先的に分化誘導される培養時間よりも約10~12時間長い期間が好ましく、目安として、12~48時間、好ましくは17~40時間、より好ましくは20~38時間、さらに好ましくは24~36時間、27~32時間とすることができる。前方原始線条細胞の生成は、例えばLHX1、FOXA2、GSC、および/またはBRACHYURYの発現によって確認できる。
第2ステージ
 本願の第2ステージは、前方原始線条細胞から前体節中胚葉細胞を誘導する工程である。前方原始線条細胞は第1ステージで得られた細胞でも良いし、公知の別の方法によって得られた細胞を用いてもよい。
 本工程では、前方原始線条細胞を、線維芽細胞増殖因子、TGFβ阻害剤、BMP阻害剤およびGSK3β阻害剤を含む培地で培養する。ある態様において、本工程では、前方原始線条細胞を平面培養する。
 線維芽細胞増殖因子としてFGF8を用いる場合、その培地中の濃度は通常2ng/mlから20μg/ml、好ましくは20ng/mlから2μg/ml、より好ましく100ng/mlから400ng/ml、例えば約200ng/mlである。
 TGFβ阻害剤としてA83-01を用いる場合、その培地中の濃度は通常0.01μMから100μM、好ましくは0.1μMから10μM、より好ましくは0.5μMから2μM、例えば約1μMである。
 BMP阻害剤としてLDN193189を用いる場合、その培地中の濃度は通常0.001μMから10μM、好ましくは0.01μMから1μM、より好ましくは0.05μMから0.2μM、例えば約0.1μMである。
 GSK3β阻害剤としてCHIR99021を用いる場合、その培地中の濃度は通常0.03μMから300μM、好ましくは0.3μMから30μM、より好ましくは1μMから5μM、例えば約3μMである。
 第2ステージでは、合計で例えば2~6日間、好ましくは約3日間培養を行う。第2ステージの前半、例えば約2日間は第1ステージまたは他の方法で得られた前方原始線条細胞培養物の培地を第2ステージ用培地に交換して培養すればよい。第2ステージの後半、例えば約1日間は、培養プレートを細胞外マトリックスタンパク質、例えばラミニンでコーティングされた細胞培養用プレート、例えば市販品ではiMatrix silkに移して培養する。細胞培養用プレートを交換した後は、好ましくは培地中に更にROCK阻害剤、例えばY-27632を添加して培養を続ける。Y-27632の培地中の濃度は、第1ステージ開始前に多能性幹細胞を培養する際の濃度と同じでよい。前体節中胚葉細胞の生成は、例えばTBX6および/またはCDX2の発現によって確認できる。
第3ステージ
 本願の第3ステージは、前体節中胚葉細胞から後期前体節中胚葉細胞を誘導する工程である。前体節中胚葉細胞は第2ステージで得られた細胞でも良いし、公知の別の方法によって得られた細胞を用いてもよい。
 本工程では、前体節中胚葉細胞を、線維芽細胞増殖因子、アクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤、BMP阻害剤およびGSK3β阻害剤を含む培地で培養する。ある態様において、本工程では、前体節中胚葉細胞を平面培養する。
 線維芽細胞増殖因子としてFGF8を用いる場合、その培地中の濃度は通常2ng/mlから20μg/ml、好ましくは20ng/mlから2μg/ml、より好ましくは100ng/mlから400ng/ml、例えば約200ng/mlである。
 アクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤としてアクチビンAを用いる場合、その培地中の濃度は通常0.1ng/mlから1μg/ml、好ましくは1ng/mlから100ng/ml、より好ましくは5ng/mlから20ng/ml、例えば約10ng/mlである。
 BMP阻害剤としてLDN193189を用いる場合、その培地中の濃度は通常0.001μMから10μM、好ましくは0.01μMから1μM、より好ましくは0.05μMから0.2μM、例えば約0.1μMである。
 GSK3β阻害剤としてCHIR99021を用いる場合、その培地中の濃度は通常0.03μMから300μM、好ましくは0.3μMから30μM、より好ましくは1μMから5μM、例えば約3μMである。
 本願の第3ステージは、例えば第2ステージの後半または他の方法で得られた前体節中胚葉細胞培養物の培地を第3ステージ用培地に交換して培養すればよい。培養期間は12時間から48時間、例えば約24時間とすればよい。後期前体節中胚葉細胞の生成は、例えばTBX6、CDX2、および/またはHOX11の発現によって確認できる。
 第1ステージ~第3ステージにおいて、培地中のGSK3β阻害剤の濃度は1~5μM、例えば約3μMであってもよい。従来のネフロン前駆細胞の分化誘導法(Taguchi A. et al., Cell Stem Cell. 2014、Takasato M. et al., Nature. 2015、およびMorizane R. et al., Nat Biotechnol. 2015など)では高濃度(8~10μM)のGSK3β阻害剤を使用しているが、本願方法では比較的低濃度(1~5μM)のGSK3β阻害剤を用いてネフロン前駆細胞を分化誘導できる。したがって本願方法は従来法に比べて細胞毒性が低く、ヒトiPS/ES細胞株から安定してネフロン前駆細胞を製造できる。
第4ステージ
 第4ステージは、後期前体節中胚葉細胞から後方中間中胚葉細胞を誘導する工程である。後期前体節中胚葉細胞は第3ステージで得られた細胞でも良いし、公知の別の方法によって得られた細胞を用いてもよい。
 本工程では、後期前体節中胚葉細胞を、線維芽細胞増殖因子およびアクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤を含む培地で培養する。さらに培地中にレチノイン酸受容体アゴニストを含んでもよい。ある態様において、本工程では、後期前体節中胚葉細胞を平面培養する。
 線維芽細胞増殖因子としてFGF8を用いる場合、その培地中の濃度は通常2ng/mlから20μg/ml、好ましくは20ng/mlから2μg/ml、より好ましくは100ng/mlから400ng/ml、例えば約200ng/mlである。
 アクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤としてアクチビンAを用いる場合、その培地中の濃度は通常0.1ng/mlから1μg/ml、好ましくは1ng/mlから100ng/ml、より好ましくは5ng/mlから20ng/ml、例えば約10ng/mlである。
 さらにレチノイン酸受容体アゴニストとしてTTNPBを含む場合、その培地中の濃度は通常0.001μMから10μM、好ましくは0.01μMから1μM、より好ましくは0.05μMから0.2μM、例えば約0.1μMである。
 本願の第4ステージは、例えば第3ステージまたは他の方法で得られた後期前体節中胚葉細胞培養物の培地を第4ステージ用培地に交換して培養すればよい。培養期間は1から5日、例えば約3日とすればよい。後方中間中胚葉細胞の生成は、例えばPAX2、SIX1、EYA1、WT1、および/または後腎に分化し得ることを示すHOXD11の発現により確認できる。
第5ステージ
 第5ステージは、第4ステージで得られた後方中間中胚葉細胞をネフロン前駆細胞に誘導する工程である。本工程では、後方中間中胚葉細胞を、線維芽細胞増殖因子、GSK3β阻害剤、BMP阻害剤およびROCK阻害剤を含む培地で浮遊培養する。
 線維芽細胞増殖因子としてFGF9を用いる場合、その培地中の濃度は通常2ng/mlから20μg/ml、好ましくは20ng/mlから2μg/ml、より好ましくは100ng/mlから400ng/ml、例えば約200ng/mlである。
 GSK3β阻害剤としてCHIR99021を用いる場合、その培地中の濃度は通常0.01μMから100μM、好ましくは0.1μMから10μM、より好ましくは0.5μMから2μM、例えば約1μMである。
 BMP阻害剤としてLDN193189を用いる場合、その培地中の濃度は通常0.001μMから10μM、好ましくは0.01μMから1μM、より好ましくは0.05μMから0.2μM、例えば約0.1μMである。
 ROCK阻害剤としてY-27632を用いる場合、その培地中の濃度は通常0.1μMから1mM、好ましくは1μMから100μM、より好ましくは5μMから20μM、例えば約10μMである。
 ある態様において、第5ステージでは、第4ステージで得られた後方中間中胚葉細胞を浮遊培養する。浮遊培養とは細胞を培養皿に非接着の状態で培養することである。特に限定はされないが、細胞との接着性を向上させる目的で人工的に処理(例えば、細胞外マトリックスなどによるコーティング処理)されていないもの、または人工的に接着を抑制する処理(例えば、ポリヒドロキシエチルメタクリル酸(poly-HEMA)または2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの重合体(Lipidure)によるコーティング処理)がされているものを使用して行うことができる。培養期間は1~5日、例えば約3日とすればよい。ネフロン前駆細胞の生成は、例えばSIX2、SIX1、PAX2、および/またはWT1の発現によって確認できる。
第6ステージ
 第6ステージは、第5ステージで得られたネフロン前駆細胞をネフロンオルガノイドに誘導する工程である。本工程では、ネフロン前駆細胞を気相液相界面培養する。
 本工程で用いる培地は、好ましくは血清を含む。血清としてはウシ胎児血清(FBS)を使用してもよく、ヒト細胞の分化誘導の場合には例えばヒト血清を用いるなど、他動物種の血清を用いてもよい。FBSを用いる場合、その培地中の濃度は特に限定されず、当業者が適宜定めればよい。例えば約10%とすればよい。
 第6ステージでは、第5ステージで得られたネフロン前駆細胞を気相液相界面培養する。気相液相界面培養は、例えば気相と液相の界面に位置するフィルター上で細胞を培養することによって実施される。本願で使用されるフィルターは特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルター(例えば、ポア径8.0μm)であり得、市販品としては例えばThinCert細胞培養インサート(Greiner Bio-One社)が使用できる。培養期間は特に限定されないが、例えば5日以上、好ましくは7日以上である。培養期間の上限は特に限定されないが、例えば約3週間である。
 ネフロンオルガノイドの生成は、例えば糸球体足細胞マーカーであるPODOCALYXIN、近位尿細管マーカーであるLTL (Lotus tetragonolobus lectin)、および/または遠位尿細管マーカーであるCDH1の発現によって確認できる。ネフロンオルガノイドが形成されたことは、顕微鏡下で確認することができる。
第6’ステージ
 第6’ステージは、第5ステージで得られたネフロン前駆細胞をネフロンオルガノイドに誘導する工程である。本工程では、ネフロン前駆細胞を浮遊培養する。
 本工程で用いる培地は、好ましくはポリビニルアルコールを含む。培地中にポリビニルアルコールが含まれる場合、ネフロンオルガノイドの過度な凝集が抑制され、その結果、サイズがよく揃った複数のネフロンオルガノイドが取得できる。使用するポリビニルアルコールの平均分子量は、10,000~150,000であり得、好ましくは20,000~100,000、より好ましくは30,000~70,000である。ポリビニルアルコールの培地中の濃度は、通常0.005%~10%、好ましくは0.01%~5%、より好ましくは0.05%~2.5%、さらに好ましくは0.1%~1%である。
 本工程で用いる培地は、好ましくは血清および/または血清代替物を含む。血清としてはウシ胎児血清(FBS)を使用してもよく、ヒト細胞の分化誘導の場合には例えばヒト血清を用いるなど、他動物種の血清を用いてもよい。血清代替物としては、KnockOut Serum Replacement(KSR)(ES細胞培養時の血清代替物)(Thermo Fisher Scientific)が使用できる。血清代替物としてKSRを用いる場合、その培地中の濃度は特に限定されず、当業者が適宜定めればよい。例えば約10%とすればよい。
 本工程では、培養は、好ましくは攪拌しながら行われる。攪拌は、例えば市販の回転式振盪培養機などを用いて培養容器を円弧状に旋回させることにより実施され得る。攪拌速度は、通常5~300rpm、好ましくは10~150rpm、より好ましくは30~100rpmである。
 培養期間は特に限定されないが、例えば3日以上、好ましくは5日以上、より好ましくは6日以上、さらに好ましくは7日以上である。培養期間の上限は特に限定されないが、例えば約3週間である。
 以下に実施例を示してさらに詳細に説明するが、本願発明は実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]多能性幹細胞からネフロンオルガノイドの分化誘導(製造)
培地および分化誘導因子
 未分化維持培地としてStemFit(登録商標) AK02N培地(タカラバイオ株式会社)、分化誘導培地としてEssential 6培地(Thermo Fisher Scientific)を用いた。
 第1ステージの分化誘導因子として、100ng/ml アクチビンA(R&D Systems)および3μM CHIR99021(Stem RD)を用いた。
 第2ステージの分化誘導因子として、200ng/ml FGF8(Peprotech)、1μM A83-01(富士フイルム和光純薬株式会社)、0.1μM LDN193189(Axon Medchem)および3μM CHIR99021を用いた。
 第3ステージの分化誘導因子として、200ng/ml FGF8、10ng/ml アクチビンA、0.1μM LDN193189および3μM CHIR99021を用いた。
 第4ステージの分化誘導因子として、200ng/ml FGF8、0.1μM TTNPB(Santa Cruz Biotechnology)および10ng/ml アクチビンAを用いた。
 第5ステージの分化誘導因子として、200ng/ml FGF9(Peprotech)、1μM CHIR99021、0.1μM LDN193189および10μM Y-27632を用いた。
未分化ヒトiPS細胞懸濁液の調製
 未分化ヒトiPS細胞を細胞密度が15~20×104細胞/cm2になるまで6ウェルプレート中で培養し、1mLの温めた0.5mM EDTA/PBS(-)で2回洗浄した。2mLの温めた0.5mM EDTA/PBS(-)を加え、37℃、5% CO2下で5分間インキュベートした。インキュベーション後、アスピレーターでEDTA/PBS(-)を除去し、Y-27632が10μMとなるように添加された未分化維持培地を1mL添加した。単一の細胞に解離するまでピペッティングし、前記培地をさらに2mL加えて細胞懸濁液を希釈した。細胞数を計測し、未分化維持培地を用いて8×104細胞/mLの細胞懸濁液を作製した。アポトーシス抑制のためにY-27632を10μMとなるように加え、細胞を接着させるためにiMatrix-silk(フナコシ株式会社)を必要量(24ウェルプレートの場合、0.5μL/ウェル)添加し、2×104細胞/cm2となるよう24ウェルプレートに播いて、37℃、5% CO2下で1日間培養した。なお、ヒトiPS細胞としては、1383D2株、1231A3株、および/または1383D6株を用いた。
(1)ヒトiPS細胞から前方原始線条細胞への分化誘導
 培地を全交換し、第1ステージの分化誘導因子を含む分化誘導培地(500μL/ウェル)に交換し、37℃、5% CO2下で1日間培養して前方原始線条細胞を得た。
(2)前方原始線条細胞から前体節中胚葉細胞への分化誘導
 培地を全交換し、第2ステージの分化誘導因子を含む分化誘導培地(1mL/ウェル)に交換した。37℃、5% CO2下で2日間培養後、培地を全交換し、温めたPBS(-)で1回洗浄した。温めたAccutase(フナコシ株式会社)を300μL/ウェル加え、37℃、5% CO2下で3分間インキュベートした。単一の細胞に解離するまでピペッティングし、5% FBSを含むDMEM/F12培地を5mL/ウェル加えてAccutaseの反応を止めた。細胞数を計測し、Essential 6培地を用いて6×105細胞/mLの細胞懸濁液を作製した。第2ステージの分化誘導因子およびY-27632(10μM)を各濃度が達成されるように加え、さらにiMatrix-silkを1μL/ウェル加え、1.5×105細胞/cm2(500μL/ウェル)となるように24ウェルプレートに播いた。37℃、5% CO2下で1日間培養し、前体節中胚葉細胞を得た。
(3)前体節中胚葉細胞から後期前体節中胚葉細胞への分化誘導
 培地を全交換し、第3ステージの分化誘導因子を含む分化誘導培地(1mL/ウェル)に交換し、37℃、5% CO2下で1日間培養して後期前体節中胚葉細胞を得た。
(4)後期前体節中胚葉細胞から後方中間中胚葉への分化誘導
 培地を全交換し、第4ステージの分化誘導因子を含む分化誘導培地(1mL/ウェル)に交換し、37℃、5% CO2下で3日間培養して後方中間中胚葉を得た。
 得られた細胞は、後方中間中胚葉マーカーであるWT1(緑色)と、後腎に分化し得ることを示すHOXD11(赤色)を共に発現していた(図2)。いずれの図も淡色部分が染色部位を示す。
(5)後方中間中胚葉細胞からネフロン前駆細胞への分化誘導
 培地を全交換し、温めたPBS(-)で1回洗浄した。温めたAccutaseを300μL/ウェル加え、37℃、5% CO2下で3分間インキュベートした。単一の細胞に解離するまでピペッティングし、5% FBSを含むDMEM/F12培地を5mL/ウェル加えてAccutaseの反応を止めた。細胞数を計測し、Essential 6培地を用いて1×105細胞/mLの細胞懸濁液を作製した。第5ステージの分化誘導因子を各濃度が達成されるように加え、V底またはU底の96ウェルプレート(非接着)に細胞懸濁液を100μLずつ播種した(細胞密度は1×104細胞/ウェルとなる)。細胞塊をできやすくするために遠心分離し(160g、2分間)、細胞を沈殿させた。37℃、5% CO2下で3日間培養し、ネフロン前駆細胞の細胞塊を得た。
(6)ネフロン前駆細胞からネフロンオルガノイドへの分化誘導
 前記細胞塊をフィルター上に載せ、気層液相界面で7日間以上培養し、ネフロンオルガノイドを得た。培地にはEssential 6に10% FBSを加えたものを使用した。
 得られたネフロンオルガノイドについて、PODOCALYXIN(糸球体足細胞マーカー;白色)、LTL (Lotus tetragonolobus lectin)(近位尿細管マーカー;赤色)、E-カドヘリン(遠位尿細管マーカー、CDH1;緑色)の各抗体を用いた免疫染色、および核染色(青色)を行い、得られた画像を図3に示す。オルガノイド内に、PODOCALYXIN陽性(白色)のドット状シグナルが多数認められ、当該シグナルと隣接する部位に、LTLのシグナル(白黒イメージ上では淡色)が多数観察された。さらに、E-カドヘリンのシグナル(白黒イメージ上では淡色)は、前記LTLシグナルと同じ部位だけでなく、オルガノイド中心部にも多数認められた。
 この結果より、オルガノイド表面から中心部にかけて、PODOCALYXIN陽性細胞群(糸球体足細胞)、LTL陽性構造(近位尿細管)、E-CADHERIN陽性構造(遠位尿細管)の順に連続した、一連のネフロン構造が生じていることが明らかになった。よって、本実施例で作製した後方中間中胚葉は、ネフロンへの分化能を有していることが示された。
[実施例2]第1ステージの分化誘導期間の検討
 多能性幹細胞を図4に記載した因子の存在下で順次培養すると、前方中間中胚葉へと優位に分化し、さらにウォルフ管へと分化することが知られている(Costantini F. & Kopan R., Dev Cell. 18(5). 2010)。通常、ネフロン前駆細胞は前方中間中胚葉からは生じないので、(多能性幹細胞から)前方中間中胚葉に向かう細胞の割合を減らすことができれば、後方中間中胚葉になる細胞の割合が相対的に多くなり、結果としてより多くのネフロン前駆細胞またはネフロンオルガノイドを得ることが期待できる。そこで、図4の培養条件において第1ステージの培養期間を変化させて、ヒトiPS細胞から前方中間中胚葉に向かう細胞の割合が減少する条件を検討した。第3ステージの終了後に、ウォルフ管(GATA)、ウォルフ管の先端部(RET)の各マーカータンパクの発現を免疫染色法にて解析した。
 その結果、図5に示されるように、第1ステージが16時間の場合にはGATA3陽性細胞数が非常に多くなるが(左図)、24時間ではGATA3陽性細胞数が激減することがわかった(右図)。よって、第1ステージの培養期間が長いと、前方中間中胚葉に分化する細胞が減少することが明らかとなった。
 この結果を踏まえて、より多くの多能性幹細胞を後方中間中胚葉へと分化誘導できる第1ステージの培養期間を検討した。ヒトiPS細胞を図6に記載した条件で培養し、第4ステージ終了後に抗WT-1抗体で免疫染色した。その結果、前方中間中胚葉に優先的に分化誘導される培養時間(約16時間)よりも約10~12時間長く培養すると、WT-1陽性細胞数が非常に多くなることが明らかになった(図7)。また、複数のヒトiPS細胞で調べた結果、後方中間中胚葉になる細胞の割合が最も多くなる第1ステージの培養期間は、1383D2株、1231A3株でそれぞれ約27時間、約32時間であった。
 よって、第1ステージの培養期間を17~40時間、より好ましくは20~38時間、さらに好ましくは24~36時間とすると、より多くのヒト多能性幹細胞を後方中間中胚葉へと分化誘導できることがわかった。
[実施例3]ネフロン前駆細胞からネフロンオルガノイドへの分化誘導条件の検討
 ネフロン前駆体からネフロンオルガノイドへの分化工程について、(気相液相界面培養だけでなく)より簡便な培養方法を試みた。ヒトiPS細胞を図8に記載した条件で培養し、培養開始から10日後にネフロンオルガノイドの有無を観察した。具体的には、工程(5)までは[実施例1]と同じ条件で培養し、工程(6)において、ネフロン前駆細胞塊を、0.5%ポリビニルアルコール(PVA)と10%KSRを含有するEssential 6中で浮遊培養(低接着35mmディッシュ上でシェーカーを用いて50rpmで振とう)した。PVAとしては、分子量が異なる2種類(MW:30,000-70,000と85,000-124,000)を用いた。
 図9に示されるように、いずれのPVAを用いた場合にも、ほぼサイズの揃ったネフロンオルガノイドが多数得られた。分子量の高いPVA(MW: 85,000-124,000、図9右イメージ)を用いた場合には、PVA繊維が糸状になってオルガノイドに絡まる傾向がみられたため、分子量が高すぎないPVA(例として、MW:30,000-70,000、図9左イメージ)の方が好ましいと思われる。
 よって、本発明に係る方法で得られたネフロン前駆細胞は、浮遊培養によってもネフロンオルガノイドへと分化誘導できることが明らかになった。さらに、その際、PVA含有培地を用いると、過度な凝集が抑制されて、ほぼサイズが揃った複数のネフロンオルガノイドが得られることも明らかになった。
[実施例4](4)後期前体節中胚葉細胞から後方中間中胚葉への分化誘導条件の検討
 ヒトiPS細胞を図10に記載の条件で培養して、ネフロンオルガノイドへと分化誘導した。当該条件は、[実施例1]の培養条件(図1)における工程(4)の培地から、レチノイン酸受容体アゴニストを除いたものである。
 図11に示されるように、図10の条件で培養した場合にも、ネフロンオルガノイドが得られた。
 よって、(4)後期前体節中胚葉細胞から後方中間中胚葉への分化誘導においてレチノイン酸受容体アゴニストは必須ではなく、線維芽細胞増殖因子とアクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤があれば分化誘導可能であることが示された。

Claims (17)

  1.  (3)前体節中胚葉細胞を、線維芽細胞増殖因子、アクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤、BMP阻害剤、およびGSK3β阻害剤を含む培地で培養する工程を含む、後期前体節中胚葉細胞の製造方法。
  2.  線維芽細胞増殖因子がFGF8であり、アクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤がアクチビンAであり、BMP阻害剤がLDN193189であり、GSK3β阻害剤がCHIR99021である、請求項1記載の方法。
  3.  前記前体節中胚葉細胞が、以下の工程(1)および(2)を含む方法で多能性幹細胞から製造された細胞である、請求項1または2に記載の方法:
     (1)多能性幹細胞を、アクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤、およびGSK3β阻害剤を含む培地で培養して、前方原始線条細胞培養物を得る工程、および
     (2)前方原始線条細胞培養物を、線維芽細胞増殖因子、TGFβ阻害剤、BMP阻害剤、およびGSK3β阻害剤を含む培地で培養する工程。
  4.  (1)および(2)の工程において、アクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤がアクチビンAであり、GSK3β阻害剤がCHIR99021であり、線維芽細胞増殖因子がFGF8であり、TGFβ阻害剤がA83-01であり、BMP阻害剤がLDN193189である、請求項3記載の方法。
  5.  工程(1)~(3)において、GSK3β阻害剤の濃度が1~5μMである、請求項3または4に記載の方法。
  6.  前記多能性幹細胞がiPS細胞である、請求項3~5のいずれかに記載の方法。
  7.  前記iPS細胞がヒトiPS細胞である、請求項6記載の方法。
  8.  請求項1~7のいずれかに記載の方法によって後期前体節中胚葉細胞を得、さらに(4)後期前体節中胚葉細胞を、線維芽細胞増殖因子、およびアクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤を含む培地で培養する工程を含む、後方中間中胚葉細胞の製造方法。
  9.  (4)後期前体節中胚葉細胞を、線維芽細胞増殖因子、およびアクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤を含む培地で培養する工程を含む、後方中間中胚葉細胞の製造方法。
  10.  (4)の工程において、線維芽細胞増殖因子がFGF8であり、アクチビン受容体キナーゼ4,7の活性化剤がアクチビンAである、請求項8または9に記載の方法。
  11.  (4)の工程において、培地がさらにレチノイン酸受容体アゴニストを含む、請求項8~10のいずれかに記載の方法。
  12.  (4)の工程において、レチノイン酸受容体アゴニストがTTNPBである、請求項11記載の方法。
  13.  請求項8~12のいずれかに記載の方法によって後方中間中胚葉細胞を得、さらに(5)後方中間中胚葉細胞を、線維芽細胞増殖因子、GSK3β阻害剤、BMP阻害剤、およびROCK阻害剤を含む培地で培養する工程を含む、ネフロン前駆細胞の製造方法。
  14.  (5)の工程において、線維芽細胞増殖因子がFGF9であり、GSK3β阻害剤がCHIR99021であり、BMP阻害剤がLDN193189であり、ROCK阻害剤がY-27632である、請求項13記載の方法。
  15.  請求項13または14のいずれかに記載の方法によってネフロン前駆細胞を得、さらに(6)ネフロン前駆細胞を気相液相界面培養する工程を含む、ネフロンオルガノイドの製造方法。
  16.  請求項13または14のいずれかに記載の方法によってネフロン前駆細胞を得、さらに(6’)ネフロン前駆細胞を浮遊培養する工程を含む、ネフロンオルガノイドの製造方法。
  17.  (6’)の工程が、ポリビニルアルコールを含む培地で浮遊培養する工程である、請求項16に記載の方法。
PCT/JP2020/016969 2019-04-19 2020-04-17 ネフロン前駆細胞の製造方法 WO2020213734A1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021514249A JP7471558B2 (ja) 2019-04-19 2020-04-17 ネフロン前駆細胞の製造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019-080272 2019-04-19
JP2019080272 2019-04-19

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2020213734A1 true WO2020213734A1 (ja) 2020-10-22

Family

ID=72837349

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2020/016969 WO2020213734A1 (ja) 2019-04-19 2020-04-17 ネフロン前駆細胞の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7471558B2 (ja)
WO (1) WO2020213734A1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022149616A1 (ja) * 2021-01-08 2022-07-14 国立大学法人京都大学 ネフロン前駆細胞を拡大培養するための培地、ネフロン前駆細胞を拡大培養する方法、腎臓オルガノイドの製造方法
WO2022149615A1 (ja) * 2021-01-08 2022-07-14 国立大学法人京都大学 ネフロン前駆細胞を拡大培養するための培地、ネフロン前駆細胞を拡大培養する方法、腎臓オルガノイドの製造方法
WO2023191099A1 (en) * 2022-04-01 2023-10-05 Kyoto University Axioloid: a stem cell-based model of human axial development

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015500630A (ja) * 2011-12-19 2015-01-08 国立大学法人京都大学 ヒト多能性幹細胞から中間中胚葉細胞への分化誘導方法
JP2017537655A (ja) * 2014-12-15 2017-12-21 ザ ユニバーシティー オブ クイーンズランド 腎オルガノイドを形成させるための多能性幹細胞の分化の方法
WO2019098349A1 (ja) * 2017-11-17 2019-05-23 国立大学法人京都大学 尿管芽様組織誘導方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015500630A (ja) * 2011-12-19 2015-01-08 国立大学法人京都大学 ヒト多能性幹細胞から中間中胚葉細胞への分化誘導方法
JP2017537655A (ja) * 2014-12-15 2017-12-21 ザ ユニバーシティー オブ クイーンズランド 腎オルガノイドを形成させるための多能性幹細胞の分化の方法
WO2019098349A1 (ja) * 2017-11-17 2019-05-23 国立大学法人京都大学 尿管芽様組織誘導方法

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
HITOMI, HIROFUMI ET AL.: "Challenge to human kidney regeneration", SEITAI NO KAGAKU, vol. 65, no. 3, 2014, pages 244 - 248 *
MAE, S.-I. ET AL.: "Monitoring and robust induction of nephrogenic intermediate mesoderm from human pluripotent stem cells", NAT. COMMUN., vol. 4, 2013, pages 1367, XP055184925, DOI: 10.1038/ncomms2378 *

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022149616A1 (ja) * 2021-01-08 2022-07-14 国立大学法人京都大学 ネフロン前駆細胞を拡大培養するための培地、ネフロン前駆細胞を拡大培養する方法、腎臓オルガノイドの製造方法
WO2022149615A1 (ja) * 2021-01-08 2022-07-14 国立大学法人京都大学 ネフロン前駆細胞を拡大培養するための培地、ネフロン前駆細胞を拡大培養する方法、腎臓オルガノイドの製造方法
WO2023191099A1 (en) * 2022-04-01 2023-10-05 Kyoto University Axioloid: a stem cell-based model of human axial development

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2020213734A1 (ja) 2020-10-22
JP7471558B2 (ja) 2024-04-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7161775B2 (ja) 中間中胚葉細胞から腎前駆細胞への分化誘導方法、および多能性幹細胞から腎前駆細胞への分化誘導方法
WO2020213734A1 (ja) ネフロン前駆細胞の製造方法
JP6979946B2 (ja) ヒト内耳感覚上皮および感覚ニューロンを生成する方法
JP7011856B2 (ja) 膵芽細胞の製造方法および膵芽細胞を含む膵疾患治療剤
WO2017164257A1 (ja) 血球分化能の高い中胚葉誘導方法
US20210332329A1 (en) Novel renal progenitor cell marker and method for concentrating renal progenitor cells using same
JP7162349B2 (ja) 尿管芽様組織誘導方法
WO2021125340A1 (ja) ネフロン前駆細胞を拡大培養するための培地、ネフロン前駆細胞を拡大培養する方法、腎臓オルガノイドの製造方法
JPWO2017188458A1 (ja) 骨格筋前駆細胞及び骨格筋細胞の製造方法
CN117551598A (zh) 肠神经前体细胞的制造方法
US20220313733A1 (en) Method for producing renal interstitial cell
JP2023165901A (ja) 多能性幹細胞から各種細胞への段階的製造方法
WO2020203532A1 (ja) 多能性幹細胞の製造方法
JP7410518B2 (ja) 脳オルガノイドの製造方法
WO2016009196A1 (en) In vitro mesodermal differentiation
WO2017047797A1 (ja) 膵芽細胞の製造方法
WO2021066076A1 (ja) 尿管芽先端部細胞の単離方法
WO2018021293A1 (ja) Ptf1a陽性細胞の製造方法
WO2022210968A1 (ja) 嚢胞構造を有する人工集合管オルガノイド
WO2022149616A1 (ja) ネフロン前駆細胞を拡大培養するための培地、ネフロン前駆細胞を拡大培養する方法、腎臓オルガノイドの製造方法
WO2023017848A1 (ja) 腎間質前駆細胞の製造方法並びにエリスロポエチン産生細胞、およびレニン産生細胞の製造方法
WO2024029617A1 (ja) 心筋の製造方法
JP2023071631A (ja) Alport症候群の予防又は治療薬のスクリーニング又は評価方法
Zhou et al. Comparing the differentiation potential of Brachyury+ mesodermal cells generated from 3-D and 2-D culture systems

Legal Events

Date Code Title Description
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 20791747

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1

ENP Entry into the national phase

Ref document number: 2021514249

Country of ref document: JP

Kind code of ref document: A

NENP Non-entry into the national phase

Ref country code: DE

122 Ep: pct application non-entry in european phase

Ref document number: 20791747

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1