WO2018105457A1 - 経路案内システム、看板データベース作成システム、経路案内プログラムおよび看板データベース作成プログラム - Google Patents

Abstract

【課題】できるだけ多くの看板について何らかの情報を用いて移動予定経路を案内できる技術の提供。 【解決手段】経路案内システムは、道路上または建造物に設置されている看板の情報を目印として移動予定経路の案内を行う経路案内システムであって、地点に対して、看板名称と前記看板の形態の特徴情報の少なくとも一方が対応付けられている看板データベースにおいて、前記移動予定経路の案内を行う地点に前記看板名称が対応付けられている場合には、前記看板名称を用いて前記移動予定経路の案内を行い、前記移動予定経路の案内を行う地点に前記看板名称が対応付けられていない場合には、前記特徴情報を用いて前記移動予定経路の案内を行う案内制御部、を備える。

Description

経路案内システム、看板データベース作成システム、経路案内プログラムおよび看板データベース作成プログラム

　本発明は、経路案内システム、看板データベース作成システム、経路案内プログラムおよび看板データベース作成プログラムに関する。

　車両の前方を撮像した画像に含まれる看板の画像を画像認識し、認識された看板が示す施設の看板名称を案内する技術が知られている（特許文献１、参照）。

特開２００２－２１３９７１号公報

　この技術を利用して、看板が表している名称を用いて、看板を目印とした経路案内を行うことが考えられる。しかしながら、施設の看板名称が案内されるためには、看板の画像と施設の看板名称との対応関係を示すデータが用意されていなければならず、当該対応関係が用意されていない看板については、看板が示す看板名称を案内することは不可能であるという問題があった。
　本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、できるだけ多くの看板について何らかの情報を用いて移動予定経路を案内できる技術を提供することを目的とする。

　前記目的を達成するため、本発明の経路案内システムは、道路上または建造物に設置されている看板の情報を目印として移動予定経路の案内を行う経路案内システムであって、地点に対して、看板名称と看板の形態の特徴情報の少なくとも一方が対応付けられている看板データベースにおいて、移動予定経路の案内を行う地点に看板名称が対応付けられている場合には、看板名称を用いて移動予定経路の案内を行い、移動予定経路の案内を行う地点に看板名称が対応付けられていない場合には、特徴情報を用いて移動予定経路の案内を行う案内制御部、を備える。

　前記の構成において、看板データベースにおいて、看板画像に看板名称が対応付けられてない場合でも、看板の形態の特徴情報を用いて移動予定経路を案内できる。従って、できるだけ多くの看板について何らかの情報を用いて移動予定経路を案内できる。

　前記の目的を達成するため、本発明の経路案内システムは、道路上または建造物に設置されている看板の情報を目印として移動予定経路の案内を行う経路案内システムであって、看板を示す画像である看板画像が、テンプレート画像とマッチングするものである場合に、当該テンプレート画像に対応付けられた看板名称を用いて移動予定経路の案内を行い、看板画像が、テンプレート画像とマッチングしないものである場合に、看板画像の形態の特徴情報を用いて移動予定経路の案内を行う案内制御部、を備える。

　前記の目的を達成するため、本発明の経路案内プログラムは、コンピュータを、道路上または建造物に設置されている看板の情報を目印として移動予定経路の案内を行う経路案内システムであって、看板を示す画像である看板画像が、テンプレート画像とマッチングするものである場合に、当該テンプレート画像に対応付けられた看板名称を用いて移動予定経路の案内を行い、看板画像が、テンプレート画像とマッチングしないものである場合に、看板画像の形態の特徴情報を用いて移動予定経路の案内を行う案内制御部、として機能させる。

　前記の構成において、看板画像がテンプレート画像とマッチングするものである場合にはテンプレート画像に対応付けられた看板名称を案内でき、看板画像がテンプレート画像とマッチングするものでない場合でも看板画像の形態の特徴情報を用いて移動予定経路を案内できる。従って、できるだけ多くの看板について何らかの情報を案内できる。

　前記の目的を達成するため、本発明の看板データベース作成システムは、道路上または建造物に設置されている看板を撮像した画像である看板画像を収集する看板画像収集部と、看板画像と予め用意されたテンプレート画像とがマッチングする場合に、当該看板画像の撮像地点と、テンプレート画像に対応付けられた看板名称とを対応付けて記録し、看板画像とテンプレート画像とがマッチングしない場合に、当該看板画像の撮像地点と、看板画像の形態の特徴情報とを対応付けて記録した看板データベースを作成する看板データベース作成部と、を備える。

　前記の目的を達成するため、本発明の看板データベース作成プログラムは、コンピュータを、道路上または建造物に設置されている看板を撮像した画像である看板画像を収集する看板画像収集部と、看板画像と予め用意されたテンプレート画像とがマッチングする場合に、当該看板画像の撮像地点と、テンプレート画像に対応付けられた看板名称とを対応付けて記録し、看板画像とテンプレート画像とがマッチングしない場合に、当該看板画像の撮像地点と、看板画像の形態の特徴情報とを対応付けて記録した看板データベースを作成する看板データベース作成部として機能させる。

　前記の構成において、看板画像がテンプレート画像とマッチングするものである場合にはテンプレート画像に対応付けられた看板名称を用いることができ、看板画像がテンプレート画像とマッチングするものでない場合でも看板画像の形態の特徴情報を用いることができる看板データベースを作成することができる。

看板データベース作成システムと経路案内システムのブロック図である。 図２Ａ～図２Ｃは地図の例である。 図３Ａは看板画像収集処理のフローチャート、図３Ｂは看板データベース作成処理のフローチャートである。 図４Ａは経路案内情報配信処理のフローチャート、図４Ｂは経路案内処理のフローチャートである。

　ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
（１）看板データベース作成システムの構成：
（２）経路案内システムの構成：
（３）看板画像収集処理：
（４）看板データベース作成処理：
（５）経路案内情報配信処理：
（６）経路案内処理：
（７）他の実施形態：

（１）看板データベース作成システムの構成：
　図１は、本発明の一実施形態にかかる看板データベース作成システム１０の構成を示すブロック図である。看板データベース作成システム１０は、経路案内システム１１０と撮像車両２１０と通信可能なサーバである。なお、本実施形態において、看板データベース作成システム１０は、看板データベース作成するシステムと、経路案内情報を配信するシステムとを兼ねるが、これらのシステムが別々のサーバによって実現されてもよい。

　経路案内システム１１０は車両内に持ち込まれたスマートフォン等の携帯端末であってもよいが、本実施形態では車両に搭載された車載器であることとする。撮像車両２１０は走行中に進行方向前方の風景画像である看板画像を撮像する車両であり、経路案内システム１１０が搭載された車両と同一の車両であってもよい。図示しないが、経路案内システム１１０と撮像車両２１０とはそれぞれ複数存在する。

　看板データベース作成システム１０は、制御部２０と記録媒体３０と通信部４０とを備えている。制御部２０は、ＣＰＵとＲＡＭとＲＯＭ等を備え、記録媒体３０やＲＯＭに記憶された看板データベース作成プログラム２１を実行する。通信部４０は、経路案内システム１１０や撮像車両２１０との通信を可能とする通信回路である。

　記録媒体３０は、地図情報３０ａと看板画像群３０ｂと看板データベース３０ｃとテンプレート画像群３０ｄとを記録している。地図情報３０ａは、ノードデータとリンクデータとを含む。ノードデータは、おもに交差点に対応するノードついての情報を示す。具体的に、ノードデータは、ノードの座標や交差点の形状を示す。リンクデータは、道路区間に対応するリンクについてレーン数や幅員や探索コスト等の各種情報を示す。道路区間は、長さ方向に連続する交差点で区切った道路の単位であり、リンクの両端にはノードが存在する。なお、３個以上のリンクが接続しているノードが交差点に対応する。リンクデータは、形状補間点データを含む。形状補間点データは、道路区間の幅方向の中央に設定された形状補間点の座標を示すデータである。制御部２０は、ノードの座標と形状補間点の座標とを取得し、これらの座標を接続する折れ線、または、これらの座標の近似曲線を道路区間の形状として取得する。探索コストとは、誘導経路の探索に使用する指標値であり、誘導経路上の道路区間として採用されにくさを示す指標値である。

　看板画像群３０ｂは、撮像車両２１０が撮像した看板画像を蓄積したデータベースである。撮像車両２１０は、図示しないカメラと、当該カメラを制御するコンピュータと、測位部とを備えており、予め決められた時間周期または走行距離周期ごとに車両の前方の風景を撮像することにより看板画像を生成する。撮像車両２１０は、看板画像に、当該看板画像の撮像地点と撮像時刻と撮像方向とを対応付けるとともに、当該看板画像を看板データベース作成システム１０に送信する。なお、撮像地点は、撮像時刻において撮像車両２１０が走行していた道路区間と、当該道路区間の長さ方向の位置とによって特定されている。カメラは、光軸方向が撮像車両２１０の前方となるように設置されており、撮像方向は撮像車両２１０の進行方向を意味する。

　図２Ａは、看板画像の撮像地点Ｐ１～Ｐ８を説明する地図である。図２Ａにおいて、予め決められた走行距離周期ごとに撮像地点Ｐ１～Ｐ８が存在しており、撮像地点Ｐ１～Ｐ８のそれぞれにおいて撮像方向Ｄ１で看板画像が撮像されたこととする。看板画像を撮像する際の画角Ａは、人間の視野角（例えば運転時の視野角）とほぼ同等の角度とされている。なお、看板画像は、周辺における看板Ｓ１，Ｓ２の有無に拘わらず撮像されるものであり、当然、看板画像に看板Ｓ１，Ｓ２像が含まれない場合も有り得る。

　看板データベース３０ｃは、看板Ｓ１，Ｓ２のそれぞれについて案内内容を規定したデータベースである。

　表１は、看板データベース３０ｃの例を示す。同図において、看板Ｓ１について案内内容として、看板Ｓ１を掲げる店舗の看板名称『ａｂストア』が対応付けられている。一方、看板Ｓ２については案内内容として、看板Ｓ２の特徴情報『黄色い四角』が対応付けられている。看板Ｓ１，Ｓ２について、当該看板Ｓ１，Ｓ２の像が認識された看板画像の撮像地点と撮像時刻と撮像方向とが対応付けて記録されている。また、看板Ｓ１，Ｓ２について、看板画像の画像認識処理によって特定された看板Ｓ１，Ｓ２の位置が対応付けて記録されている。看板Ｓ１の位置は、交差点Ｂ１～Ｂ２の間の道路区間の右側となっている。一方、看板Ｓ２の位置は、交差点Ｂ１～Ｂ２の間の道路区間の左側となっている。むろん、看板Ｓ１，Ｓ２の位置は座標で特定されてもよい。さらに、ステレオカメラによって撮像された看板画像によって看板Ｓ１，Ｓ２の位置が高精度に特定されてもよい。

　テンプレート画像群３０ｄは、多数のテンプレート画像を蓄積したデータベースであり、各テンプレート画像には当該テンプレート画像が示す看板を掲げる店舗の看板名称が対応付けて記録されている。テンプレート画像は、例えば看板を予め決められた撮像条件で明瞭に撮像した画像であってもよいし、コンピュータが生成した看板の画像であってもよい。本実施形態のテンプレート画像は、チェーン店の看板の画像である。具体的に、テンプレート画像は、店舗数が閾値（例えば１００）以上の大規模チェーン店の看板の画像である。

　表１の看板データベース３０ｃにおいて、各撮像地点ごとに看板画像の認識結果が示されており、看板画像にて認識された看板の像がテンプレート画像とマッチングした場合には、マッチングができた旨（○印）が記録される。看板画像にて認識された看板の像がテンプレート画像のいずれともマッチングしなかった場合には、マッチングができなかった旨（×印）が記録される。看板Ｓ１はチェーン店の看板であり、テンプレート画像が用意されている。従って、ある程度、看板Ｓ１に接近した撮像地点Ｐ２～Ｐ５の看板画像についてのテンプレート画像とのマッチングができた旨が対応付けて記録されている。一方、看板Ｓ２は個人商店の看板であり、テンプレート画像が用意されていない。従って、ある程度、看板Ｓ２に接近した撮像地点Ｐ３～Ｐ５の看板画像において何らかの看板の像は認識されているが、いずれのテンプレート画像ともマッチングができなかった旨が対応付けて記録されている。

　看板データベース作成プログラム２１は、看板画像収集モジュール２１ａと看板データベース作成モジュール２１ｂと経路案内情報配信モジュール２１ｃとを含む。看板画像収集モジュール２１ａと看板データベース作成モジュール２１ｂとは、それぞれコンピュータとしての制御部２０を看板画像収集部と看板データベース作成部として機能させるプログラムモジュールである。

　看板画像収集モジュール２１ａの機能により制御部２０は、道路上または建造物に設置されている看板を撮像した画像である看板画像を収集する。すなわち、制御部２０は、撮像車両２１０から送信された看板画像を取得し、看板画像を看板画像群３０ｂに蓄積することで、看板画像を収集する。なお、看板画像群３０ｂは、必ずしも撮像車両２１０から送信されたものを蓄積されたものでなくてもよく、看板画像を収集する業者や機関から購入したものであってもよい。

　看板データベース作成モジュール２１ｂの機能により制御部２０は、看板画像と予め用意されたテンプレート画像とがマッチングする場合に、当該看板画像の撮像地点と、テンプレート画像に対応付けられた看板名称とを対応付けて記録し、看板画像とテンプレート画像とがマッチングしない場合に、当該看板画像の撮像地点と、看板画像の形態の特徴情報とを対応付けて記録した看板データベース３０ｃを作成する。すなわち、制御部２０は、撮像地点に看板名称または特徴情報が対応づけられた看板データベース３０ｃを作成する。なお、制御部２０は、看板画像と予め用意されたテンプレート画像とがマッチングする場合に、当該看板画像の撮像地点と、テンプレート画像に対応付けられた看板名称とともに、テンプレート画像の形態の特徴情報を対応付けて記録してもよい。このような撮像地点においては、看板名称と特徴情報のうち、ユーザが設定した方を用いて移動予定経路Ｒの案内が行われてもよい。

　まず、看板データベース作成モジュール２１ｂの機能により制御部２０は、公知の画像認識処理によって看板画像群３０ｂの看板画像から看板の像を認識する。例えば、制御部２０は、予め決められた輪郭形状（四角等の多角形，円等）を有し、予め決められた基準面積以上の面積を有している像を看板の像として認識してもよい。基準面積は、例えば人間が視認した場合に、看板であると認識できる下限の面積であってもよい。次に、看板データベース作成モジュール２１ｂの機能により制御部２０は、看板画像にて認識した看板の像と、テンプレート画像群３０ｄの各テンプレート画像とを、公知のテンプレートマッチングの手法により比較し、これらの類似度が閾値以上である場合に、看板画像がテンプレート画像とマッチングすると判定する。なお、看板画像がテンプレート画像とマッチングしない場合には、撮像された看板がチェーン店の看板でない場合だけでなく、撮像された看板がチェーン店の看板ではあるが障害物等によって遮蔽されマッチングができなかった場合等も含まれる。

　制御部２０は、看板画像とマッチングするテンプレート画像に対応付けられた看板名称を、当該看板画像が示す看板についての案内内容として看板データベース３０ｃに記録する。表１においては、看板Ｓ１について案内内容として、看板名称『ａｂストア』が対応付けて記録されている。

　看板データベース作成モジュール２１ｂの機能により制御部２０は、テンプレート画像群３０ｄのテンプレート画像のいずれも、看板画像にて認識した看板の像とマッチングしない場合に、当該看板の像から特徴情報を抽出する。本実施形態において、制御部２０は、看板の像の輪郭形状と色とを特徴情報として抽出する。例えば、制御部２０は、看板の像を構成する画素について色ごと（例えば色相角の区分ごと）のヒストグラムを作成し、当該ヒストグラムにおいて最頻値をとる色を看板の像の色として抽出してもよい。

　なお、図２Ａのように、同一の看板Ｓ１，Ｓ２が連続して通過した複数の撮像地点にて撮像されることとなるが、看板データベース作成モジュール２１ｂの機能により制御部２０は、看板Ｓ１，Ｓ２の像が認識できた撮像地点のうち、最も手前側の撮像地点にのみ案内内容を対応付けて記録する。看板Ｓ１については、看板Ｓ１の像が認識できた看板画像の撮像地点Ｐ２～Ｐ５のうち、最も手前側の撮像地点Ｐ２に対して案内内容としての看板名称『ａｂストア』が対応付けられている。一方、看板Ｓ２については、看板Ｓ２の像が認識できた看板画像の撮像地点Ｐ３～Ｐ５のうち、最も手前側の撮像地点Ｐ３に対して案内内容としての特徴情報『黄色い四角』が対応付けられている。すなわち、表１にて上向きの矢印で示すように、同一の看板Ｓ１，Ｓ２についての案内内容が、最も手前側の撮像地点に統合されることとなる。

　また、はじめは看板の像の認識のみでき、ある程度接近した時点でテンプレート画像とのマッチングが成功する場合も有り得る。例えば、表１の看板Ｓ１について、撮像地点Ｐ１の看板画像にて看板Ｓ１の像の認識はできるものの、テンプレート画像とのマッチングはできない場合も生じ得る。このような場合、撮像地点Ｐ１に対して看板Ｓ１の像の特徴情報が案内内容として対応付けられ得るが、撮像地点Ｐ２にて看板Ｓ１の像のマッチングが成功した段階で撮像地点Ｐ２に対して案内内容としての看板名称『ａｂストア』を優先して対応付けてもよい。つまり、制御部２０は、撮像地点Ｐ１に対して対応付けられた看板Ｓ１の像の特徴情報を削除した上で、撮像地点Ｐ２に対して案内内容としての看板名称『ａｂストア』を対応付けて記録してもよい。むろん、制御部２０は、撮像地点Ｐ１に対して対応付けられた看板Ｓ１の像の特徴情報を維持してもよい。

　なお、看板画像がテンプレート画像とマッチングしない場合には、撮像された看板がチェーン店の看板でない場合だけでなく、撮像された看板がチェーン店の看板ではあるが障害物等によって遮蔽されている場合等も含まれる。そのため、チェーン店の看板Ｓ１についても、特徴情報が抽出される場合も有り得る。

　看板データベース作成モジュール２１ｂの機能により制御部２０は、同一の撮像地点にて撮像された看板画像から看板の像が存在しなくなった場合に、当該撮像地点に対応付けられた看板名称または特徴情報を看板データベース３０ｃから削除する。撮像車両２１０は、同一の撮像地点を同一の撮像方向で何度も走行し得るため、異なる時刻において同一の撮像地点を同一の撮像方向で撮像された複数の看板画像が収集され得る。制御部２０は、同一の撮像地点にて撮像された最新の看板画像にて看板の像が認識できなくなった場合に、案内内容として対応付けられている看板名称または特徴情報を看板データベース３０ｃから削除する。

　表２は、表１の看板データベース３０ｃが更新された様子を示す。表１においては、時刻Ｔ３～Ｔ５において撮像地点Ｐ３～Ｐ５にて撮像された看板画像から看板Ｓ２の像が認識できていた。しかし、表２においては、時刻Ｔ１～Ｔ５よりも遅い時刻Ｔ１３～Ｔ１５において撮像地点Ｐ３～Ｐ５にて撮像された看板画像から看板Ｓ２の像が認識できなくなっている。このような場合、制御部２０は、看板Ｓ２の案内内容としての特徴情報『黄色い四角』を看板データベース３０ｃから削除する。なお、制御部２０は、看板Ｓ２の像が認識できなかったことが基準回数（例えば５回）だけ連続した場合に、案内内容を看板データベース３０ｃから削除してもよい。

　経路案内情報配信モジュール２１ｃの機能により制御部２０は、移動予定経路を探索し、当該移動予定経路を案内するための経路案内情報を経路案内システム１１０に配信する。制御部２０は、経路案内システム１１０から経路探索の要求を受け付けると、当該経路探索が示す出発地から目的地までの最適な移動予定経路をダイクストラ法等の公知の手法によって探索する。例えば、制御部２０は、探索コストの総和が最小となるような一連の道路区間で構成された移動予定経路を探索してもよい。

　経路案内情報配信モジュール２１ｃの機能により制御部２０は、移動予定経路上の交差点のうち、右左折を行う予定の交差点である案内交差点を取得する。そして、制御部２０は、看板データベース３０ｃを参照することにより、案内交差点の案内に使用できる看板を取得する。案内交差点の案内に使用できる看板とは、案内交差点の周辺（例えば５０ｍ以内）の看板であってもよい。制御部２０は、案内交差点に使用できる看板に対応付けられている案内内容を取得し、当該案内内容に基づいて案内メッセージを生成する。案内メッセージとは、経路案内システム１１０のスピーカ等から出力する音声メッセージである。制御部２０は、案内に使用できる看板の位置を基準として案内交差点の位置を説明する案内メッセージであって、当該看板に対応付けられた案内内容によって当該看板が説明されている案内メッセージを生成する。

　図２Ｂ，図２Ｃは、案内メッセージを説明する地図である。図２Ｂ，図２Ｃにおいて、それぞれ案内交差点Ｂ２にて右折と左折を行う移動予定経路Ｒが探索されている。図２Ｂにおいて、案内交差点Ｂ２の案内に使用できる看板として、交差点Ｂ１～Ｂ２の間の道路区間に存在する看板Ｓ１，Ｓ２のうち、案内交差点Ｂ２にて移動予定経路Ｒが曲がる方向である右側の看板Ｓ１が取得され、当該看板Ｓ１についての案内内容である看板名称『ａｂストア』が取得される。制御部２０は、看板名称『ａｂストア』に基づいて、案内メッセージ『ａｂストアの看板の次を右です』を生成する。

　一方、図２Ｃにおいて、案内交差点Ｂ２の案内に使用できる看板として、交差点Ｂ１～Ｂ２の間の道路区間に存在する看板Ｓ１，Ｓ２のうち、案内交差点Ｂ２にて移動予定経路Ｒが曲がる方向である左側の看板Ｓ２が取得され、当該看板Ｓ２についての案内内容である特徴情報『黄色い四角』が取得される。制御部２０は、特徴情報『黄色い四角』に基づいて案内メッセージ『黄色い四角の看板の次を左です』を生成する。

　なお、移動予定経路Ｒが曲がる方向に看板が存在しない場合には、曲がる方向とは反対側の看板を使用すればよい。さらに、看板Ｓ１，Ｓ２のうち、案内交差点Ｂ２に近い方を優先して案内に使用してもよいし、看板名称が判明している看板Ｓ１を優先して案内に使用してもよいし、同一の撮像地点における看板の像が大きい方の看板を優先して案内に使用してもよい。

　さらに、経路案内情報配信モジュール２１ｃの機能により制御部２０は、案内メッセージをスピーカにて出力するための所要期間を算出し、当該所要期間の間に経路案内システム１１０を搭載した車両が走行すると予想される推定走行距離Ｑを取得する。例えば、制御部２０は、看板Ｓ１，Ｓ２についての案内内容が対応付けられた撮像地点Ｐ２，Ｐ３が存在する道路区間の制限車速に所要期間を乗算することにより、推定走行距離Ｑを取得してもよい。そして、制御部２０は、看板Ｓ１，Ｓ２についての案内内容が対応付けられた撮像地点Ｐ２，Ｐ３から推定走行距離Ｑだけ手前側の地点を案内開始地点Ｍとして設定する。そして、制御部２０は、案内交差点ごとに案内開始地点Ｍと案内メッセージとを示す経路案内情報を、経路探索の要求を行った経路案内システム１１０に送信する。この案内メッセージに基づいて、看板を掲げる施設の看板名称または当該看板の像の特徴情報が案内されることとなる。なお、経路案内情報において、案内に使用できる看板が存在しない案内交差点については、当該案内交差点までの残距離に基づく案内をする旨が対応付けられる。

　（２）経路案内システムの構成：
　経路案内システム１１０は、制御部１２０と記録媒体１３０と通信部１４０と測位部１４１とユーザＩ／Ｆ部１４２とを備えている。制御部１２０は、ＣＰＵとＲＡＭとＲＯＭ等を備え、記録媒体１３０やＲＯＭに記憶された経路案内プログラム１２１を実行する。通信部１４０は、看板データベース作成システム１０との通信を可能とする通信回路である。測位部１４１は、ＧＰＳ受信部を含み、車速センサやジャイロセンサや加速度センサ等を含んでもよい。制御部１２０は、測位部１４１における計測結果に基づいて車両の現在地を導出する。ユーザＩ／Ｆ部１４２は、ユーザの操作を受け付けるタッチパネル等の入力部と、少なくとも音声を出力するスピーカ等の出力部とを含む。

　記録媒体１３０は、地図情報１３０ａと経路案内情報１３０ｂとを記録している。地図情報１３０ａは、看板データベース作成システム１０の地図情報３０ａと同様である。
経路案内情報１３０ｂは、案内に看板を使用できる案内交差点について、案内開始地点Ｍと案内メッセージとを対応付けた情報である。また、経路案内情報１３０ｂは、案内に看板を使用できない案内交差点について、当該案内交差点までの残距離に基づく案内をする旨を対応付けた情報である。

　経路案内プログラム１２１は、案内制御モジュール１２１ａを含む。案内制御モジュール１２１ａは、コンピュータとしての制御部１２０を案内制御部として機能させるプログラムモジュールである。

　案内制御モジュール１２１ａの機能により制御部１２０は、道路上または建造物に設置されている看板の情報を目印として移動予定経路Ｒの案内を行う。具体的に、より具体的に、案内制御モジュール１２１ａの機能により制御部１２０は、看板を示す画像である看板画像が、テンプレート画像とマッチングするものである場合に、当該テンプレート画像に対応付けられた看板名称を用いて移動予定経路の案内を行い、看板画像が、テンプレート画像とマッチングしないものである場合に、看板画像の形態の特徴情報を用いて移動予定経路の案内を行う。

　具体的に、案内制御モジュール１２１ａの機能により制御部１２０は、ユーザによって指定された目的地までの経路探索の要求を看板データベース作成システム１０に送信し、当該経路探索の要求の応答として経路案内情報１３０ｂを受信する。そして、制御部１２０は、経路案内情報１３０ｂに基づいて移動予定経路Ｒの案内を行う。

　案内制御モジュール１２１ａの機能により制御部１２０は、車両の現在地に基づいて、車両が案内交差点に接近しているか否かを判定する。制御部１２０は、車両が案内交差点に接近している場合、経路案内情報１３０ｂに基づいて、接近中の案内交差点の案内に看板を使用できるか否かを判定する。制御部１２０は、案内交差点の案内に看板を使用できる場合、当該案内交差点について設定された案内開始地点Ｍと、当該案内開始地点Ｍにて出力を開始する音声メッセージとを取得する。そして、制御部１２０は、車両の現在地が案内開始地点Ｍに通過したタイミングで音声メッセージの出力を開始する。この音声メッセージは、看板画像とマッチングしたテンプレート画像に対応付けられた看板名称、または、看板画像から抽出した特徴情報を用いて移動予定経路Ｒを案内する音声メッセージである。その結果、案内制御モジュール１２１ａの機能により制御部１２０は、地点に対して、看板名称と看板の形態の特徴情報の少なくとも一方が対応付けられている看板データベース３０ｃにおいて、移動予定経路Ｒの案内を行う地点に看板名称が対応付けられている場合には、看板名称を用いて移動予定経路Ｒの案内を行い、移動予定経路Ｒの案内を行う地点に看板名称が対応付けられていない場合には、特徴情報を用いて移動予定経路Ｒの案内を行うこととなる。

　車両の現在地が案内開始地点Ｍに通過したタイミングで音声メッセージの出力を開始することにより、案内制御モジュール１２１ａの機能により制御部１２０は、テンプレート画像とマッチングする看板画像が撮像された撮像地点を車両が通過するタイミングで看板名称の案内を完了させることとなる。例えば、図２Ｂにおいて、撮像地点Ｐ２にて看板名称『ａｂストア』が対応付けられたテンプレート画像とマッチングする看板画像が撮像されており、当該撮像地点Ｐ２を車両が通過するタイミングで案内メッセージ『ａｂストアの看板の次を右です』の案内が完了する。

　同様に、制御部１２０は、特徴情報が抽出された看板画像が撮像された撮像地点を車両が通過するタイミングで当該特徴情報の案内を完了させることとなる。例えば、図２Ｃにおいて、撮像地点Ｐ３にて特徴情報『黄色い四角』が抽出された看板画像が撮像されており、当該撮像地点Ｐ３を車両が通過するタイミングで案内メッセージ『黄色い四角の看板の次を左です』の案内が完了する。

　以上説明した本実施形態おいて、看板データベース作成システム１０は、看板画像がテンプレート画像とマッチングするものである場合にはテンプレート画像に対応付けられた看板名称を用いることができ、看板画像がテンプレート画像とマッチングするものでない場合でも看板画像の形態の特徴情報を用いることができる看板データベース３０ｃを作成することができる。さらに、経路案内システム１１０は、看板データベース３０ｃに基づく経路案内情報１３０ｂに基づいて案内を行うため、看板データベース３０ｃにおいて、看板画像に看板名称が対応付けられてない場合でも、看板の形態の特徴情報を用いて移動予定経路を案内できる。従って、できるだけ多くの看板について何らかの情報を用いて移動予定経路を案内できる。具体的に、経路案内システム１１０は、看板を撮像した看板画像がテンプレート画像とマッチングするものである場合にはテンプレート画像に対応付けられた看板名称を用いて移動予定経路Ｒを案内でき、看板画像がテンプレート画像とマッチングするものでない場合でも看板画像の形態の特徴情報を用いて移動予定経路Ｒを案内できる。従って、できるだけ多くの看板について何らかの情報を用いて移動予定経路を案内できる。

　看板データベース作成システム１０は、同一の撮像地点にて撮像された看板画像から看板の像が存在しなくなった場合に、当該撮像地点に対応付けられた看板名称または特徴情報を看板データベース３０ｃから削除する（表１→表２）。これにより、撤去等によって実際には存在しなくなった看板について、看板名称や特徴情報が案内されないようにすることで、運転者が混乱する可能性を低減できる。

　さらに、制御部１２０は、テンプレート画像とマッチングする看板画像が撮像された撮像地点を車両が通過するタイミングで看板名称の案内を完了させる。同様に、制御部１２０は、特徴情報が抽出された看板画像が撮像された撮像地点を車両が通過するタイミングで当該特徴情報の案内を完了させる。これにより、案内が完了した段階で実際の看板を確認できる。

　さらに、テンプレート画像は、チェーン店の看板の画像であるため、チェーン店の看板Ｓ１については看板名称を用いて移動予定経路Ｒを案内できる。また、チェーン店は数が限られるためテンプレート画像を用意できる。

　（３）看板画像収集処理：
　次に、看板データベース作成システム１０が実行する看板画像収集処理について説明する。看板画像収集処理は看板データベース作成システム１０が常時実行する処理である。
図３Ａは、看板画像収集処理のフローチャートである。まず、看板データベース作成システム１０の制御部２０は、看板画像を受信したか否かを判定する（ステップＳ１００）。すなわち、制御部２０は、いずれかの撮像車両２１０から看板画像を受信したか否かを判定する。

　看板画像を受信したと判定しなかった場合（ステップＳ１００：Ｎ）、制御部２０は、ステップＳ１００に戻り、看板画像を受信するまで待機する。一方、看板画像を受信したと判定した場合（ステップＳ１００：Ｙ）、制御部２０は、看板画像を記録する（ステップＳ１１０）。すなわち、制御部２０は、受信した看板画像に撮像地点と撮像時刻と撮像方向とを対応付けて看板画像群３０ｂに記録する。以上の処理を行うことにより、看板画像群３０ｂに看板画像を蓄積できる。

　（４）看板データベース作成処理：
　次に、看板データベース作成システム１０が実行する看板データベース作成処理について説明する。図３Ｂは、看板データベース作成処理のフローチャートである。まず、看板データベース作成システム１０の制御部２０は、看板画像が蓄積されたか否かを判定する（ステップＳ２００）。具体的に、制御部２０は、看板画像群３０ｂにおける看板画像の蓄積個数が予め決められた閾値以上（例えば１０００個）となったか否かを判定する。なお、看板画像は、看板データベース作成処理が完了する際に看板画像群３０ｂから削除され、蓄積個数が０にリセットされる。

　看板画像が蓄積されたと判定しなかった場合（ステップＳ２００：Ｎ）、制御部２０は、ステップＳ１００に戻り、看板画像が蓄積されるまで待機する。一方、看板画像が蓄積されたと判定した場合（ステップＳ２００：Ｙ）、制御部２０は、看板画像を選択する（ステップＳ２１０）。すなわち、制御部２０は、看板画像群３０ｂに蓄積された看板画像のうち、後述するステップＳ２１０～Ｓ２８０の処理対象とする看板画像を順に選択していく。

　次に、制御部２０は、看板画像の画像認識処理を行う（ステップＳ２２０）。ここでは、看板画像のなかから看板の像を認識する処理と、当該看板の像とテンプレート画像とをテンプレートマッチングする処理とが行われる。例えば、制御部２０は、予め決められた輪郭形状（四角等の多角形，円等）を有し、予め決められた基準面積以上の面積を有している像を看板の像として認識してもよい。テンプレートマッチングマッチングは、公知の手法によって行うことができ、テンプレート画像と看板の像との類似度が閾値以上である場合に、テンプレート画像と看板画像とがマッチングすることとなる。例えば、類似度は、ＳＡＤ（Sum of Absolute Difference），ＳＳＤ（Sum of Squared Difference），（ＮＣＣ）Normalized Cross-Correlation，（ＺＮＣＣ）Zero-means Normalized Cross-Correlation等の指標値であってもよい。

　次に、制御部２０は、看板の像が認識できたか否かを判定する（ステップＳ２３０）。看板の像が認識できたと判定した場合（ステップＳ２３０：Ｙ）、制御部２０は、当該看板の像がテンプレート画像とマッチングしたか否かを判定する（ステップＳ２４０）。

　看板の像がテンプレート画像とマッチングしたと判定した場合（ステップＳ２４０：Ｙ）、制御部２０は、テンプレート画像に対応付けられた看板名称を案内内容に設定する（ステップＳ２５０）。すなわち、制御部２０は、表１に示す看板データベース３０ｃにおいて、看板画像とマッチングするテンプレート画像に対応付けられた看板名称を、当該看板画像の撮像地点と撮像時刻と撮像方向とに対応付けて記録する。

　一方、看板の像が認識されたが、テンプレート画像のいずれかとマッチングしたと判定されなかった場合（ステップＳ２４０：Ｎ）、制御部２０は、特徴情報を案内内容に設定する（ステップＳ２６０）。すなわち、制御部２０は、看板の像から特徴情報を抽出するとともに、表１に示す看板データベース３０ｃにおいて、当該抽出した特徴情報を当該看板画像の撮像地点と撮像時刻と撮像方向とに対応付けて記録する。

　さらに、そもそも看板の像が認識できたと判定されなかった場合（ステップＳ２３０：Ｎ）、制御部２０は、案内内容を記録しない（ステップＳ２７０）。すなわち、制御部２０は、表１に示す看板データベース３０ｃにおいて、案内内容がない旨（－印）を、当該看板画像の撮像地点と撮像時刻と撮像方向とに対応付けて記録する。同一の撮像地点にて異なる時刻に撮像された複数の看板画像が収集され得る。従って、もともと案内内容が記録されていた撮像地点にて新たに撮像された看板画像において、看板の像が認識できなくなる場合も有り得る。この場合、制御部２０は、もともと記録されていた案内内容に、案内内容がない旨を上書きする。これにより、実質的にもとの案内内容が削除されることとなる。

　以上のようにして処理対象の看板画像について看板データベース３０ｃを記録すると、制御部２０は、すべての看板画像を選択したか否かを判定する（ステップＳ２８０）。すべての看板画像を選択したと判定しなかった場合（ステップＳ２８０：Ｎ）、制御部２０は、ステップＳ２１０に戻り、次の看板画像を処理対象として選択する。

　一方、すべての看板画像を選択したと判定した場合（ステップＳ２８０：Ｙ）、制御部２０は、重複を排除するとともに、看板画像を看板画像群３０ｂから削除する（ステップＳ２９０）。すなわち、制御部２０は、連続して通過した複数の撮像地点にて撮像された撮像画像にて同一の看板の像が認識された場合、これらの撮像地点のうち、最も手前側の撮像地点にのみ案内内容を対応付けて記録する（表１、上向きの矢印）。また、制御部２０は、看板画像を看板画像群３０ｂから削除することにより、看板画像の蓄積個数を０にリセットする。

　（５）経路案内情報配信処理：
　次に、看板データベース作成システム１０が実行する経路案内情報配信処理について説明する。経路案内情報配信処理は、経路探索の要求を経路案内システム１１０から受信した場合に実行される処理である。図４Ａは、経路案内情報配信処理のフローチャートである。まず、看板データベース作成システム１０の制御部２０は、経路探索を行う（ステップＳ３００）。すなわち、経路探索の要求が示す出発地から目的地までの最適な移動予定経路Ｒを探索する。当該移動予定経路Ｒには、案内交差点が含まれることとする。

　次に、制御部２０は、案内交差点を選択する（ステップＳ３１０）。すなわち、制御部２０は、移動予定経路Ｒ上の案内交差点のうち、後述するステップＳ３２０～３６０の処理対象とする案内交差点を順に選択していく。

　次に、制御部２０は、案内に使用できる看板があるか否かを判定する（ステップＳ３２０）。すなわち、制御部２０は、看板データベース３０ｃを参照することにより、案内交差点の周辺（例えば５０ｍ以内）の看板が存在するか否かを判定する。看板の位置は、看板画像の画像認識処理によって特定されている。

　案内に使用できる看板があると判定した場合（ステップＳ３２０：Ｙ）、制御部２０は、看板に対応付けられた案内内容で案内メッセージを生成する（ステップＳ３３０）。すなわち、制御部２０は、案内に使用できる看板の位置を基準として案内交差点の位置を説明する案内メッセージであって、当該看板に対応付けられた案内内容によって当該看板が説明されている案内メッセージを生成する。図２Ｂ，図２Ｃに示すように、案内メッセージにおいて看板Ｓ１，Ｓ２を説明する案内内容には、『ａｂストア』のような看板名称と、『黄色い四角』のような特徴情報とが該当し得る。

　次に、制御部２０は、案内開始地点Ｍを設定する（ステップＳ３４０）。すなわち、制御部２０は、案内メッセージをスピーカにて出力するための所要期間において、車両が走行すると予想される推定走行距離Ｑを取得し、案内内容が対応付けられた撮像地点から推定走行距離Ｑだけ手前側の地点を案内開始地点Ｍとして設定する。

　案内に使用できる看板があると判定しなかった場合（ステップＳ３２０：Ｎ）、制御部２０は、案内交差点までの残距離を案内するように設定する（ステップＳ３５０）。次に、制御部２０は、すべての案内交差点を選択したか否かを判定する（ステップＳ３６０）。すべての案内交差点を選択したと判定しなかった場合（ステップＳ３６０：Ｎ）、制御部２０は、ステップＳ３１０に戻り、次の案内交差点を処理対象として選択する。

　一方、すべての案内交差点を選択したと判定した場合（ステップＳ３６０：Ｙ）、制御部２０は、経路案内情報を経路案内システム１１０に配信する。すなわち、制御部２０は、案内交差点ごとに音声メッセージまたは残距離を案内する旨が対応付けられた経路案内情報１３０ｂを生成し、当該経路案内情報１３０ｂを経路探索の要求を行った経路案内システム１１０に応答する。

　（６）経路案内処理：
　次に、経路案内システム１１０が実行する経路案内処理について説明する。経路案内処理は、経路案内情報１３０ｂを看板データベース作成システム１０から受信した場合に実行される処理である。図４Ｂは、経路案内処理のフローチャートである。まず、経路案内システム１１０の制御部１２０は、案内交差点に接近したか否かを判定する（ステップＳ４１０）。例えば、制御部１２０は、移動予定経路Ｒ上において次に通過する予定の案内交差点までの残距離が予め決められた判定距離（例えば１ｋｍ）以内である場合に案内交差点に接近したと判定する。

　案内交差点に接近したと判定しなかった場合（ステップＳ４１０：Ｎ）、制御部１２０は、ステップＳ４１０に戻り、案内交差点に接近するまで待機する。案内交差点に接近したと判定した場合（ステップＳ４１０：Ｙ）、制御部１２０は、案内メッセージがあるか否かを判定する（ステップＳ４２０）。すなわち、制御部１２０は、経路案内情報１３０ｂにおいて、接近中の案内交差点について案内メッセージが対応付けられているか否かを判定する。

　案内メッセージがあると判定した場合（ステップＳ４２０：Ｙ）、制御部１２０は、案内開始地点を通過したタイミングで案内メッセージの出力を開始する（ステップＳ４３０）。その結果、例えば、図２Ｂにおいて、撮像地点Ｐ２にて看板名称『ａｂストア』が対応付けられたテンプレート画像とマッチングする看板画像が撮像されており、当該撮像地点Ｐ２を車両が通過するタイミングで案内メッセージ『ａｂストアの看板の次を右です』の案内が完了する。また、図２Ｃにおいて、撮像地点Ｐ３にて特徴情報『黄色い四角』が抽出された看板画像が撮像されており、当該撮像地点Ｐ３を車両が通過するタイミングで案内メッセージ『黄色い四角の看板の次を左です』の案内が完了する。

　案内メッセージがあると判定しなかった場合（ステップＳ４２０：Ｎ）、制御部１２０は、案内交差点までの残距離を案内する（ステップＳ４４０）。すなわち、接近中の案内交差点について案内メッセージではなく残距離を案内する旨が対応付けられている場合、制御部２０は、案内交差点までの残距離が予め決められた案内残距離（例えば３００，１００，３０，５ｍ）となったタイミングで、当該案内残距離を音声案内する。

　（７）他の実施形態：
　経路案内システム１１０が撮像車両２１０に搭載されてもよく、看板データベース作成システム１０の画像認識手段が経路案内システム１１０に備えられてもよい。すなわち、経路案内システム１１０が、移動予定経路Ｒの案内中に看板画像を撮像するとともに、当該看板画像の画像認識処理をリアルタイムで行ってもよい。この場合も、看板画像がテンプレート画像とのマッチングする場合には、経路案内システム１１０は、テンプレート画像に対応付けられた看板名称によって案内交差点を案内すればよい。一方、看板画像がテンプレート画像とのマッチングしない場合には、経路案内システム１１０は、当該看板画像から抽出した特徴情報によって案内交差点を案内すればよい。このように画像認識処理をリアルタイムで行う場合、看板データベース３０ｃは作成されないこととなる。

　さらに、車両に搭載された経路案内システム１１０が移動予定経路Ｒを探索し、経路案内情報１３０ｂを生成してもよい。この場合、予め看板データベース作成システム１０が作成した看板データベース３０ｃを経路案内システム１１０に配信しておけば、看板を使用して案内交差点を案内するための経路案内情報１３０ｂを生成することができる。

　また、看板を使用して案内する地点は、必ずしも案内交差点でなくてもよく、例えば移動予定経路Ｒの目的地や経由地が看板を使用して案内されてもよい。さらに、看板を使用して案内する地点は目的地までの移動予定経路Ｒ上の地点でなくてもよく、例えばこのまま道なりに進んだ経路（右左折することなく進んだ経路）上の注意喚起地点であってもよい。例えば、看板の付近に存在する交通事故多発地点の位置を、看板を使用して案内してもよい。さらに、看板を使用した案内は、音声案内に限らず、例えばディスプレイ上に看板名称や特徴情報を示す文字を表示してもよい。

　さらに、必ずしも看板画像の撮像地点にて案内メッセージの出力が完了しなくてもよい。例えば、制御部１２０は、看板画像の撮像地点にて案内メッセージの出力を開始してもよい。さらに、制御部１２０は、認識した看板の像の大きさに基づいて、案内メッセージを出力するタイミングを設定してもよい。また、制御部１２０は、看板画像から抽出した特徴情報に基づいて、案内メッセージを出力するタイミングを設定してもよい。例えば、制御部１２０は、看板画像から抽出した特徴情報に基づいて目立つ看板であるか否かを判定し、目立つ看板である場合には、案内メッセージを出力するタイミングを早くしてもよい。また、看板名称の方が特徴情報よりも記憶に残りやすいため、制御部１２０は、看板名称を使用した案内メッセージを、特徴情報を使用した案内メッセージよりも早期に出力してもよい。

　道路上または建造物に設置されている看板とは、道路上から視認できる可能性がある看板であればよく、道路の周辺（例えば道路から予め決められた距離位以内）に設置された看板であってもよい。移動予定経路とは、看板を視認するユーザの意思で移動が可能な移動手段が移動する経路であればよく、当該移動手段は車両（四輪車，二輪車）であってもよいし、徒歩であってもよい。経路案内システムは、移動手段にて移動するユーザに案内（画像、音声）を出力する出力部を制御可能であればよく、必ずしも移動手段に備えられなくてもよい。例えば、経路案内システムは、移動手段に備えられた端末に対して、案内内容を送信するサーバであってもよい。むろん、経路案内システムは、移動手段に備えられてもよい。

　看板画像は、看板を撮像した画像であり、移動予定経路を移動する移動手段から看板を撮像した画像であってもよい。道路上から前方を見た人間の視野角と同等の画角となるように看板画像が用意されてもよい。看板画像は、より広角に撮像された画像や全球撮像された画像から一部の画角だけ切り出された画像であってもよい。テンプレート画像は、多様な既知の看板のそれぞれについて用意された見本となる画像であり、少なくとも看板名称が対応付けられている画像である。ここで、マッチングするとは、テンプレート画像と看板画像（画像内の一部）との類似度が閾値以上であることを意味し、当該類似度として公知の指標値を採用できる。

　テンプレート画像に対応付けられた看板名称とは、テンプレート画像が示す看板を掲げる施設（商業施設、公共施設等）の看板名称（正式看板名称）や略称や愛称であってもよいし、当該施設の主力商品名やマスコットキャラクター等の看板名称であってもよい。看板画像の形態の特徴情報とは、看板画像から抽出された看板の像の画像的な特徴を示す情報であればよく、当該看板の像の色の特徴を示してもよいし、当該看板の像の形状（外形形状、図形や模様の形状等）の特徴を示してもよいし、当該看板の像から文字認識された文字情報を示してもよい。

　ここで、テンプレート画像は、チェーン店の看板の画像であってもよい。この構成において、チェーン店の看板については看板名称を用いて移動予定経路Ｒを案内できる。また、チェーン店は数が限られるためテンプレート画像を用意できる。一方、チェーン店でない店舗の看板については、特徴情報が案内されることとなる。チェーン店とは、規模（店舗数、従業員数、認知度、売上等）が閾値以上の店舗群であってもよい。ただし、テンプレート画像は、チェーン店の看板の画像でなくてもよく、例えば規模（従業員数、認知度、売上等）が閾値以上の企業が掲げる看板の画像であってもよい。また、看板は、必ずしも平面でなくてもよく、立体の構造物であってもよい。

　さらに、案内制御部は、テンプレート画像とマッチングする看板画像が撮像された地点を車両が通過するタイミングで看板名称の案内を完了させてもよい。これにより、案内が完了した段階で実際の看板を確認できる。

　同様に、案内制御部は、特徴情報が抽出された看板画像が撮像された地点を車両が通過するタイミングで当該特徴情報の案内を完了させてもよい。これにより、案内が完了した段階で実際の看板を確認できる。なお、看板名称を用いる場合と、特徴情報を用いる場合とで、ユーザが看板を認識するのに要する期間が異なり得るため、案内制御部とは、案内を完了させるタイミングを異ならせてもよい。

　さらに、テンプレート画像とマッチングするか否かに応じて看板画像に看板名称または特徴情報を対応付けて記録した看板データベースを作成する看板データベース作成システムにおいて、看板データベース作成部は、同一の撮像地点にて撮像された看板画像から看板の像が存在しなくなった場合に、当該撮像地点に対応付けられた看板名称または特徴情報を看板データベースから削除してもよい。これにより、撤去等によって実際には存在しなくなった看板について、看板名称や特徴情報が案内されないようにすることで、運転者が混乱する可能性を低減できる。

　さらに、本発明のように、看板名称と看板の形態の特徴情報の一方を用いて移動予定経路の案内を行う手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えたナビゲーションシステム、経路案内システムや方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。

１０…看板データベース作成システム、２０…制御部、２１…看板データベース作成プログラム、２１ａ…看板画像収集モジュール、２１ｂ…看板データベース作成モジュール、２１ｃ…経路案内情報配信モジュール、３０…記録媒体、３０ａ…地図情報、３０ｂ…看板画像群、３０ｃ…看板データベース、３０ｄ…テンプレート画像群、４０…通信部、１１０…経路案内システム、１２０…制御部、１２１…経路案内プログラム、１２１ａ…案内制御モジュール、１３０…記録媒体、１３０ａ…地図情報、１３０ｂ…経路案内情報、１４０…通信部、１４１…測位部、１４２…ユーザＩ／Ｆ部、２１０…撮像車両、Ａ…画角、Ｂ１…交差点、Ｂ２…案内交差点、Ｄ１…撮像方向、ＤＢ３０ｂ…看板画像群、Ｍ…案内開始地点、Ｐ１～Ｐ８…撮像地点、Ｑ…推定走行距離、Ｒ…移動予定経路、Ｓ１，Ｓ２…看板

Claims (10)

1. 　道路上または建造物に設置されている看板の情報を目印として移動予定経路の案内を行う経路案内システムであって、
   　地点に対して、看板名称と前記看板の形態の特徴情報の少なくとも一方が対応付けられている看板データベースにおいて、
   　前記移動予定経路の案内を行う地点に前記看板名称が対応付けられている場合には、前記看板名称を用いて前記移動予定経路の案内を行い、
   　前記移動予定経路の案内を行う地点に前記看板名称が対応付けられていない場合には、前記特徴情報を用いて前記移動予定経路の案内を行う案内制御部、
   を備える経路案内システム。
2. 　道路上または建造物に設置されている看板の情報を目印として移動予定経路の案内を行う経路案内システムであって、
   　前記看板を示す画像である看板画像が、看板データベースのテンプレート画像とマッチングするものである場合に、当該テンプレート画像に対応付けられた看板名称を用いて前記移動予定経路の案内を行い、
   　前記看板画像が、前記テンプレート画像とマッチングしないものである場合に、前記看板画像の形態の特徴情報を用いて前記移動予定経路の案内を行う案内制御部、
   を備える経路案内システム。
3. 　前記テンプレート画像は、チェーン店の前記看板の画像である、
   請求項２に記載の経路案内システム。
4. 　前記案内制御部は、前記テンプレート画像とマッチングする前記看板画像が撮像された地点を車両が通過するタイミングで前記看板名称の案内を完了させる、
   請求項２または請求項３のいずれか一項に記載の経路案内システム。
5. 　前記案内制御部は、前記特徴情報が抽出された前記看板画像が撮像された地点を車両が通過するタイミングで当該特徴情報の案内を完了させる、
   請求項２から請求項４のいずれか一項に記載の経路案内システム。
6. 　道路上または建造物に設置されている看板を撮像した画像である看板画像を収集する看板画像収集部と、
   　前記看板画像と予め用意されたテンプレート画像とがマッチングする場合に、当該看板画像の撮像地点と、前記テンプレート画像に対応付けられた看板名称とを対応付けて記録し、
   　前記看板画像と前記テンプレート画像とがマッチングしない場合に、当該看板画像の撮像地点と、前記看板画像の形態の特徴情報とを対応付けて記録した看板データベースを作成する看板データベース作成部と、
   を備える看板データベース作成システム。
7. 　前記テンプレート画像は、チェーン店の前記看板の画像である、
   請求項６に記載の看板データベース作成システム。
8. 　前記看板データベース作成部は、同一の前記撮像地点にて撮像された前記看板画像から前記看板の像が存在しなくなった場合に、当該撮像地点に対応付けられた前記看板名称または前記特徴情報を前記看板データベースから削除する、
   請求項６または請求項７のいずれかに記載の看板データベース作成システム。
9. 　道路上または建造物に設置されている看板の情報を目印として移動予定経路の案内を行う経路案内システムとしてコンピュータを機能させる経路案内プログラムであって、
   　前記コンピュータを、
   　前記看板を示す画像である看板画像が、看板データベースのテンプレート画像とマッチングするものである場合に、当該テンプレート画像に対応付けられた看板名称を用いて前記移動予定経路の案内を行い、
   　前記看板画像が、前記テンプレート画像とマッチングしないものである場合に、前記看板画像の形態の特徴情報を用いて前記移動予定経路の案内を行う案内制御部、
   として機能させる経路案内プログラム。
10. 　コンピュータを、
    　道路上または建造物に設置されている看板を撮像した画像である看板画像を収集する看板画像収集部、
    　前記看板画像と予め用意されたテンプレート画像とがマッチングする場合に、当該看板画像の撮像地点と、前記テンプレート画像に対応付けられた看板名称とを対応付けて記録し、
    　前記看板画像と前記テンプレート画像とがマッチングしない場合に、当該看板画像の撮像地点と、前記看板画像の形態の特徴情報とを対応付けて記録した看板データベースを作成する看板データベース作成部、
    として機能させる看板データベース作成プログラム。

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