WO2017006525A1

WO2017006525A1 - 薬剤手撒き装置

Info

Publication number: WO2017006525A1
Application number: PCT/JP2016/002953
Authority: WO
Inventors: 義人大村
Original assignee: 株式会社トーショー
Priority date: 2015-07-06
Filing date: 2016-06-20
Publication date: 2017-01-12

Abstract

固定的な撒き分け方に限らず他の撒き分け方でも薬剤を撒けるようにする。薬剤排出時の薬剤移載回数を減らす。区画室からの薬剤放出をより円滑かつ確実にする。多列コンベア４０の各列４４，４４…毎に駆動機構（４５＋４６）を設け、設定プログラムにて各コンベア４４が独立して縦面内のコンベア送りを行えるようにするとともに、一列完了後次列進行と一行完了後次行進行とを選択的に実行する。また、多列コンベア４０の各列４４，４４…の薬剤排出先に全列共用の薬剤収集機構を設置して、単列コンベアを省く。さらに、区画室をコンベア４４進行方向に分割も合体も可能な前方分割体と後方分割体とで構成し、薬剤排出位置では分割体が割れ、薬剤受取位置に来るまでに分割体が合わさるようにする。

Description

薬剤手撒き装置

　この発明は、自動の薬剤排出に備えて予め予備撒きカセットのマスに薬剤を撒いておく薬剤手撒き装置に関する。

　処方箋データや派生した調剤データに基づいて自動で錠剤等の薬剤を分包する錠剤分包機などの薬剤分包機が実用に供されており、その多くに薬剤手撒き装置が組み込まれている。ここでは、そのような薬剤分包機と薬剤手撒き装置を掻い摘んで説明する。
　薬剤手撒き装置は一般に、自動の薬剤排出に備えて予め薬剤を撒いておく予備撒きカセットを備えている。予備撒きカセットは、多数のマスが縦横に即ち多行多列に並んで形成されている。薬剤手撒き装置は、そのような予備撒きカセットの各マスに薬剤を撒き分けることができるようになっていれば良い。薬剤手撒き装置のタイプとしては、次の２つのタイプが知られている。１つは、予備撒きカセットから一括して薬剤を受け取って薬剤を区分排出する作動部（作動部材）を具えた謂わば薬剤分包機組込タイプの薬剤手撒き装置（以下、組込型薬剤手撒き装置という）である。もう１つは、そのような作動部を具えておらず薬剤排出は上記の作動部を具備した他装置に委ねる謂わば薬剤撒き分け専用タイプの薬剤手撒き装置（以下、据置型薬剤手撒き装置という）である。

　作動部は多列コンベアを具えており、多列コンベアは多行多列の区画室を具えており、薬剤手撒き装置は、それら多数の区画室に予備撒きカセットの多数のマスから区分状態を維持したまま薬剤を移し替える。「マス」と「区画室」は、何れも薬剤を区分収容するものであり、ほぼ同義語・類義語と言えるが、本願では、予備撒きカセットの区分収容体をマスと呼び、作動部のコンベアの区分収容体を区画室と呼んで、呼び分ける。
　また、「薬剤を撒くときのマスへの振り分け方」を短く言うときには「薬剤の撒き分け方」あるいは「薬剤撒き分け方」という。

　図２４、図２５に示す薬剤分包機１０は、筐体１１の上段部の引出体の棚に着脱自在に設置された多数の錠剤フィーダから排出された薬剤をホッパ１３にて収集し筐体１１の下段部の包装機１２にて分包する即ち分包紙に区分包装する。
　薬剤分包機１０は、筐体１１の中段部に薬剤手撒き装置１４を内装する。薬剤手撒き装置１４は、予備撒き時には筐体１１の前面から必要部分を引き出され、予備撒き終了後には押し戻し操作やスイッチ操作で筐体１１の中に収納される。薬剤手撒き装置１４は、筐体１１の中に収納された状態で薬剤分包機１０の分包動作に連動して薬剤をホッパ１３へ逐次排出する。

　薬剤分包機に組み込まれる薬剤手撒き装置（例えば特許文献１～６参照）として、次の構成の薬剤手撒き装置が知られている。多行多列に並んだ多数のマスを具備した予備撒きカセットと、予備撒きカセットから一括して薬剤を受け取る多列コンベアと、一列に並んだ多数の区画室を備え多列コンベアから薬剤を受け取る単列コンベアとを備えた薬剤手撒き装置である。多列コンベアは、予備撒きカセットより列数の多い多行多列に並んだ多数の区画室を備え予備撒きカセットから一括して薬剤を受け取る。単列コンベアは、多列コンベアの行数より個数の多い一列に並んだ多数の区画室を備え多列コンベアから一列分ずつ薬剤を受け取る。
　このような多列コンベアと単列コンベアとが、各区画室単位ひいては各マス単位で薬剤を逐次排出する作動部を成しており、その駆動が制御装置によって制御される。

　予備撒きカセットは、薬剤分包機への組み込みに際して分包機筐体から引出可能に及び／又は着脱可能に装備されるものであり、筐体から引き出した状態や抜き取った状態で各マスへの薬剤投入すなわち予備撒きが人手や代行装置によって行われる。
　予備撒き済みの予備撒きカセットは、使用時に薬剤分包機にセットされて多列コンベアの上方に位置し、その状態で開操作がなされると、各マスの底を一斉に開いて、各マス内の薬剤をそれぞれ直下の多列コンベアの区画室へ投下する。
　これにより、薬剤を撒くときのマスへの振り分け方で決まる区分状態（以下「撒き分け時の区分状態」という）を維持したまま薬剤が予備撒きカセットから作動部の多列コンベアへ移し替えられる。

　多列コンベアと単列コンベアは、列数と向きは異なるが、何れも、縦面内（鉛直面内）を循環する無端ベルトの外周面に多数の区画室（区画部材，区分収容体）を上記の縦面内で揺動しうる状態で列設したものであり、循環運動によってベルトの上側に来ている区画室に薬剤を受け入れ、その後の循環運動によってベルトの一端部で下向きになった区画室から薬剤を落下させ、その後の循環運動によってベルトの下側を移動させて区画室をベルトの他端部へ送り更にベルトの上側へ戻すようになっている。
このように縦面内でコンベア及び区画室列を循環移動させる作動部では、区画室は薬剤の受入と放出を同じ開口から行う。

　そして、多列コンベアを一区画分だけ循環運動させると、撒き分け時の区分状態を維持したまま、多列コンベアから一列分の薬剤が単列コンベアへ移し替えられる。さらに単列コンベアを一区画分だけ循環運動させると、やはり撒き分け時の区分状態を維持したまま、先ほど移された一列分の薬剤のうちから一区画室分の薬剤が順に落下排出される。
　このような動作が繰り返されることにより、薬剤が、作動部から一区画室分ずつ排出されるので、予備撒きカセットの各マス単位で且つ撒き分け時の区分状態を反映する形で、剤分包機での分包に供される。

　ところで、組込型薬剤手撒き装置１４では、全体が薬剤分包機に組み込まれているので、先行して手撒きできるのは、せいぜい次回の分までであり、それ以上は、作動部が動作を終えるまで、否応なしに待たされてしまう。そこで、そのような待ち時間を削減するために、据置型薬剤手撒き装置が開発されている（例えば特許文献２，３参照）。据置型薬剤手撒き装置は、予備撒きカセットへの薬剤予備撒き機能を担当する部分を組込型薬剤手撒き装置１４から独立させるとともに、カセット保持機構に予備撒きカセットを着脱可能に保持しうる。よって、据置型薬剤手撒き装置を用いれば、何回か先の分まで予め撒いておくことが可能となる。また、据置型薬剤手撒き装置は、比較的安価に提供可能である。

　図２６～図２８に示す据置型薬剤手撒き装置１６は、予備撒きカセット１５を着脱しうる本体部１６ａと、図示しないホストコンピュータと通信可能な制御部１６ｂと、画面表示部および操作部としてのタッチパネル１６ｃとを具えており、机上等に置けるようになっている。

　本体部１６ａは、多行多列に並んだ多数のマスを具備していて組込型薬剤手撒き装置１４にも共用される予備撒きカセット１５を上面より出し入れ可能な枠体を具えている。また本体部１６ａは、枠体の上面を開閉する板状体からなり予備撒きカセット１５のマス３３，３３…配置に対応した配置で多数の薬剤投入用開口１６ａａ，１６ａａ…が貫通形成されている蓋体を具えている。薬剤投入用開口１６ａａには、それぞれ、手撒き対象のマスを明示するための点灯部材が付設されている。タッチパネル１６ｃは、手撒き処方の薬品名を表示するための画面表示部と、その薬品名に係る選択操作を入力するための操作部とを具えたものである。制御部１６ｂは、ホストコンピュータ等から入力した調剤指示データに基づいて、タッチパネル１６ｃに手撒き処方の薬品名を表示させたり、その薬品名に係る選択をタッチパネル１６ｃから取得したり、点灯部材のうち選択薬剤の手撒き範囲に属するものを点灯させたりして、薬剤予備撒きの表示や案内を行う。

　この薬剤予備撒きの表示や案内の機能（提示手段）は、上記の組込型薬剤手撒き装置１４にも備わっており、薬剤手撒き装置が薬剤撒き分け専用タイプであれ薬剤分包機組込タイプであれ手撒き作業に役立つ。例えば、２桁の数値表示や行数と列数との組合せ表示などで手撒き対象のマス数を表示することにより、手撒きすべき包装数を間違いないようにする作業者の精神的な負担が軽減される。また、各々のマスに一個ずつ配置したＬＥＤの発光により手撒き対象のマスの位置を表示したり、区画室の周囲に配置したＬＥＤの発光により手撒き範囲を表示したりすることで、手撒きすべきマス位置を間違いないようにする作業者の精神的な負担が軽減される。

　予備撒きカセット１５の各マスに手撒きした薬剤を確認する等のため、予備撒きカセット１５には情報担体１５ａが付設されている。情報担体１５ａは、例えば、手撒き処方の識別番号を記したバーコードラベルや、手撒き処方の内容を記憶保持するデータキャリアなどであり、提示手段の選択した薬剤撒き分け方が分かるデータを外部に出力するデータ引渡手段と次に述べるデータ受取手段とを仲介するものとなっている。さらに、図示は割愛したが、組込型薬剤手撒き装置１４には、予備撒きカセット１５が組込型薬剤手撒き装置１４に一時装着されるとその情報担体１５ａにアクセスしてデータを読み取るデータ読取器（データ受取手段のハードウェア部分）が設けられている。

　そして、組込型薬剤手撒き装置１４の制御装置が、読取データやホストコンピュータからの補充データに基づいて予備撒きカセット１５の薬剤撒き分け方を取得し、取得した薬剤撒き分け方に対応した薬剤排出順で多列コンベアを動作させる。
　そのため、据置型薬剤手撒き装置１６を用いて予備撒きカセット１５に薬剤を撒き分けておき、その予備撒きカセット１５を組込型薬剤手撒き装置１４に移し替えて、組込型薬剤手撒き装置１４に薬剤排出を行わせても、適切な順序で、薬剤が分包に供される。

特開平６－８０１０３号公報特開２００７－２０９６００号公報特開２００７－２９７０６６号公報特開２０１０－００５２２５号公報特開２０１０－０１１９８６号公報特開２０１０－０１３１４５号公報

［第１課題］
　このような従来の薬剤手撒き装置では、既述のように多列コンベアが縦面内（鉛直面内）を循環運動するようになっており、各列に並ぶ区画室も縦面内を循環移動するようになっている。そのような縦面内の循環でなく横縦面内（水平面内）の循環運動を採用した場合、各列の移動方向が揃わないことから、薬剤の撒き分け方（薬剤を撒くときのマスへの振り分け方）が紛らわしくなる。そのうえ、多列コンベアにおける多数の区画室の配置ひいては予備撒きカセットにおけるマスの多行多列配置について稠密化を図るのが難しい。そのため、多くの薬剤手撒き装置が、既述のように、縦面内の循環を採用して、各列の区画室の移動方向を揃えるとともに多行多列のマスを稠密に配置している。

　しかしながら、作動部が多列コンベアと単列コンベアとをカスケード接続・従属接続した既述の構成を採っている場合、薬剤手撒き装置において、薬剤排出順を決定づける分包順序を服用順に一致させるという使用条件の下では、次のような制限があった。作動部における多数の区画室を順次移動させて薬剤を排出させる制御手順によって決まる薬剤排出順が一系統しかなかったため、予備撒きカセットにおける多行多列のマスへの薬剤撒き分け方も一系統しかなかったのである。
　例えば、６行・１１列のマス配置では、１行１列目から６行１列目，１行２列目から６行２列目，…，１行１１列目から６行１１列目という一つの順番が最長のものであり、それかその部分集合という一系統の順番に、薬剤撒き分け方の選択範囲が、限られていた。謂わば「一列完了後の次列進行」の撒き分け方でしか撒けなかった。

　薬剤撒き分け方が一系統に限定されることには、予備撒き作業がいつも同じ撒き分け方で繰り返されるので多くの場合に分かり易くなるという利点がある一方、次のような不満が生じうる。「一列完了後の次列進行」の撒き分け方で薬剤を撒くのでなく、例えば行と列を入れ替えた謂わば「一行完了後の次行進行」とでも呼ぶべき別の撒き分け方で薬剤を撒きたいときでも、「一行完了後の次行進行」が選択できないという不満である。

　例えば、従来多用されている６行・１１列のマス配置では、次のような選択の制限がある。１行１列目から１行１１列目，２行１列目から２行１１列目，…，６行１列目から６行１１列目という他の最長順や、その部分集合に該当する順番、さらには幾つかの部分行列に分割して分割領域毎に決めた順番などで、薬剤を撒きたくても、これら順番の選択は許されない。
　具体例を挙げると、やはり６行・１１列のマス配置の下で、朝・昼・夕・夜の服用薬を２週間分ほど撒く場合、薬剤排出順の固定的な「一列完了後の次列進行」の一系統だけで分かり易く撒くには、６行・１１列のうち４行・１１列のマスを用いることになる。例えば、図２９に示すように１１日分と３日分（図示せず）とにカセットを分けて、あるいは７日分（図示せず）ずつの２カセットを分けて、二度撒きすることになる。

　これに対し、薬剤排出順に柔軟性があれば、「一列完了後の次列進行」の撒き分け方だけでなく、「一行完了後の次行進行」の撒き分け方や、それらと「列分割」とを組み合わせた撒き分け方で撒くこともできる。例えば図３０に示すように、１～４列目の部分と５～８列目の部分を「一行完了後の次行進行」の撒き分け方で撒き、１０～１１列目の部分を「一列完了後の次列進行」の撒き分け方で撒くことで、一つの予備撒きカセットに総ての薬剤を撒くことができる。これは、一系統に限定したときより撒き分け方が複雑になるが、ＬＥＤ点灯や画面表示などによる案内を併用することにより（例えば特許文献２，３参照）、分かり易くすることができるので、選択可能にする価値はある。

　しかしながら、上述したように、多列コンベアと単列コンベアとをカスケード接続・従属接続した作動部を持つ薬剤手撒き装置では、予備撒きカセットの多数のマスへの薬剤の撒き分け方に選択の余地が無かった。これは、多数の区画室からの薬剤排出順が機械的制約から固定的になっていて、一列完了後の次列進行と一行完了後の次行進行とのうち何れか一つだけという一系統の薬剤撒き分け方にしか薬剤排出順が対応しないため、他系統の撒き分け方では薬剤を撒くことができないためである。

　このような問題は、作動部が多列コンベアと単列コンベアとをカスケード接続・従属接続した既述の構成を採っている場合には、薬剤手撒き装置が作動部を備えているか否かによらず生じる。たとえば、作動部を持たない据置型薬剤手撒き装置においては、据置型薬剤手撒き装置で予備撒きを済ませた予備撒きカセットが組込型薬剤手撒き装置に移されるため作動部の制約を課される。つまり、一系統の薬剤撒き分け方でしか使用できないことから、予備撒きの時点で、当該一系統の薬剤撒き分け方にしか表示や案内の機能（提示手段）さらにはデータ処理を対応させざるを得ないので、やはり予備撒きカセットの多数のマスへの薬剤の撒き分け方に選択の余地が無い。
　そこで、固定的な撒き分け方に限らず他の撒き分け方も選択して薬剤を撒くことが可能な薬剤手撒き装置を実現することが第１技術課題となる。

［第２課題］
　既述したコンベア従属接続の作動部を持つ薬剤手撒き装置では、単列コンベアからの薬剤排出の合間に多列コンベアから単列コンベアへの薬剤移載が行われるため、薬剤排出の能率向上が難しい。
　例えば、上述した６行・１１列のマス配置では、６行のマスを使用すると多列コンベアから単列コンベアへの薬剤移載が６区画室ずつ行われる。そのため、単列コンベアから薬剤が６回排出される度に薬剤移載が１回行われて薬剤排出が１回休みになり、休みの分だけ能率が抑えられる。６行のマスのうち例えば４行分しか使用しない場合は、単列コンベアから薬剤が４回排出される度に薬剤移載が１回行われるため、更に能率が抑えられる。
　そこで、薬剤移載回数が少なくて薬剤排出の能率が良い薬剤手撒き装置を実現することが第２技術課題となる。

［第３課題］
　さらに、既述したようなコンベア従属接続の作動部に対応した薬剤手撒き装置では、次のように薬剤を開孔から放出する。すなわち作動部の区画室がコンベア端部でのベルト折り返しに伴って薬剤排出時に上向きから下向きへ傾動・揺動することで重力だけでなく遠心力や振動の作用も利用して薬剤を開口から放出する（例えば特許文献１，４～６参照）。
　また、そのような薬剤の放出を円滑かつ確実に行なわせるために、各区画室について、開口を内底より広くしたり、内側面に縦線状突起を形成したり、内底面に微小突起を形成するといった、更なる改良もなされている（例えば特許文献４～６参照）。

　しかしながら、一部の薬剤では、例えば錠剤を裁断した半錠の薬剤などでは、破断面の存在に起因して区画室の内面との当接態様が一様でなく多様なため、時には上述の対策でも効果が足りなくて円滑には放出されず、放出に時間を要することがある。
　区画室からの薬剤放出の時間が長くなるのは稀とは言え、その発現時期を予測できないので、薬剤排出を確実に行わせるには、最長排出時間に合わせて作動部全体の動作サイクルを常に長くしておくことが必要になるため、分包処理の能率が低下する。
　そこで、区画室から薬剤をより円滑かつ確実に放出する組込型薬剤手撒き装置を実現することが第３技術課題となる。

　本発明の薬剤手撒き装置は（解決手段１）、上述した第１技術課題を解決するために創案されたものであって特に機構部分（ハードウェア部分）に係り、多行多列に並んだ多数のマスを具備した予備撒きカセットより行数の多い多行多列に並んだ多数の区画室を具備していて前記予備撒きカセットから一括して薬剤を受け取る多列コンベアと、前記多列コンベアの各列毎に設けられていて、前記多列コンベアを各列毎に独立して駆動し前記区画室に係る縦面内のコンベア送りを行う駆動機構とを有する薬剤手撒き装置となっている。

　また、本発明の薬剤手撒き装置は（解決手段２）、上述した第１技術課題に加えて第２技術課題をも解決するために創案されたものであり、上記解決手段１の薬剤手撒き装置であって、前記多列コンベアの各列における前記区画室からの薬剤排出先に全列共用の薬剤収集機構が設置されている。

　また、本発明の薬剤手撒き装置は（解決手段３）、上述した第１技術課題を制御部分（ソフトウェア部分）まで含めて解決するために創案されたものであり、上記解決手段１、２の薬剤手撒き装置であって、前記駆動機構を制御して前記多列コンベアを各列毎に動作させる制御手段が、一列分のコンベア送りを該当する一列に係る区画室複数個分のコンベア送りにて行わせることにより何れか一列分のコンベア送りを完了させてから他の一列分のコンベア送りを行わせる一列完了後次列進行と、一行分のコンベア送りを該当する複数列に係る区画室一個分のコンベア送りにて行わせることにより何れか一行分のコンベア送りを完了させてから他の一行分のコンベア送りを行わせる一行完了後次行進行と、を実行可能であり、前記一列完了後次列進行を実行するか否か及び前記一行完了後次行進行を実行するか否かを選択する。

　また、本発明の薬剤手撒き装置は（解決手段４）、上述した第１技術課題を解決するために創案されたものであり、上記解決手段３の薬剤手撒き装置であって、前記予備撒きカセットへの薬剤撒き分け方を提示する提示手段を備え、前記提示手段が、前記多列コンベアに対して自装置装備又は他装置装備であり、前記一列完了後次列進行の薬剤排出順に対応した薬剤撒き分け方を提示するか否かを選択するとともに、前記一行完了後次行進行の薬剤排出順に対応した薬剤撒き分け方を提示するか否かを選択する。
　ここで、提示手段が、多列コンベアに対して自装置装備の薬剤手撒き装置は、組込型薬剤手撒き装置であり、提示手段が、多列コンベアに対して他装置装備の薬剤手撒き装置は、据置型薬剤手撒き装置である。

　また、本発明の薬剤手撒き装置は（解決手段５）、組込型薬剤手撒き装置に係り、上述した第１技術課題を解決するために創案されたものであり、上記解決手段４の薬剤手撒き装置であって、前記提示手段が前記多列コンベアに対して自装置装備であり、前記制御手段が、前記提示手段の選択した薬剤撒き分け方に対応した薬剤排出順で前記多列コンベアを動作させる。

　また、本発明の薬剤手撒き装置は（解決手段６）、上述した第３技術課題をも解決するために創案されたものであり、上記解決手段５の薬剤手撒き装置であって、前記区画室がコンベア進行方向に分割も合体も可能な前後の分割体を具備したものであり、縦面内のコンベア送りによって前記区画室が薬剤排出位置に来ると前記分割体が前後に割れ、縦面内のコンベア送りによって前記区画室が薬剤排出位置を過ぎてから薬剤受取位置に来るまでの間に前記分割体が前後に合わさる。

　また、本発明の薬剤手撒き装置は（解決手段７）、上記解決手段６の薬剤手撒き装置であって、前記分割体のうち前側のものである前方分割体よりも側方に出ている当接部が、前記分割体のうち後ろ側のものである後方分割体に形成されており、薬剤排出位置に来た前記区画室の後方分割体の当接部が当接する被当接部材が、コンベア送りの対象外の所に装備されている。

　また、本発明の薬剤手撒き装置は（解決手段８）、上記解決手段６、７の薬剤手撒き装置であって、縦面内のコンベア送りによって前記区画室が複数個直線状に並ぶと、前側の区画室の後方分割体が後ろ側の区画室によって前方へ押されて、前側の区画室における前後の分割体が合体する。

　また、本発明の薬剤手撒き装置は（解決手段９）、上記解決手段４～８の薬剤手撒き装置であって、前記提示手段の選択した薬剤撒き分け方が分かるデータを外部に出力するデータ引渡手段が設けられている。

　また、本発明の薬剤手撒き装置は（解決手段１０）、上記解決手段３～９の薬剤手撒き装置であって、薬剤撒き分け方の分かるデータを外部から入力するデータ受取手段が、設けられており、前記制御手段が、前記データ受取手段の入力したデータから分かる薬剤撒き分け方に対応した薬剤排出順で、前記多列コンベアを動作させる。

　また、本発明の薬剤手撒き装置は（解決手段１１）、上記解決手段１～１０の薬剤手撒き装置であって、前記マスの並びからなる行列の行数が７の整数倍になっており、前記行列の列数が４の整数倍であって８以上になっており、薬剤撒き分け時に前記マスが直に又は間接的に視認される部位に、前記行列を７行４列ずつに分けた複数の部分行列それぞれに対応付けて、視認用マークが付されている。

　このような本発明の薬剤手撒き装置にあっては（解決手段１）、多列コンベアについて、区画室の稠密配置のために必要な縦面内のコンベア送りは踏襲させたうえで、各列に個別の駆動機構を付設して、各列が独立して動作できるようにしている。よって、適切な制御手段を組み合わせれば、薬剤排出順を従来通りに維持することもでき、薬剤排出順を従来と異なるものにすることもできるので、薬剤排出順の自由度や選択性が高まる。ひいては予備撒きカセットへの薬剤の撒き分け方や撒き位置に係る制約が緩和される。

　より具体的には、何れか一の駆動機構を専ら動作させて、該当する列に係る複数個分の区画室を連続的にコンベア送りすれば、一列分の区画室から次々に薬剤を排出させることができる。さらに、何れか一の駆動機構の動作を列順に繰り返えせば、上述した一列完了後の次列進行の薬剤撒き分け方に対応した一列完了後次列進行の薬剤排出順で、薬剤を排出することができる。
　また、複数の駆動機構を順次動作させるとともに、その際に各列でのコンベア送りを区画室一個分ずつにすれば、一行分の区画室から次々に薬剤を排出させることができる。さらに、この動作を行順に繰り返えせば、上述した一行完了後の次行進行の薬剤撒き分け方に対応した一行完了後次行進行の薬剤排出順で、薬剤を排出することができる。

　さらに、両薬剤排出順のうち何れの順序で薬剤を排出するのか或いは他の順序で薬剤を排出するのかに関しても自由度や選択性が高く、薬剤を受け入れた多数の区画室を含んだ全領域について一律に同じ順序で薬剤を排出させることができる。加えて、全領域を幾つかの部分領域に分割して部分領域毎に選択した順序で薬剤を排出させることもできる。
　したがって、この発明によれば、固定的な薬剤排出順に限らず他の薬剤排出順も選択して薬剤を排出しうる多列コンベアを具備した薬剤手撒き装置が実現される。従って、固定的な薬剤撒き分け方に限らず他の薬剤撒き分け方も選択して薬剤を撒くことが可能な薬剤手撒き装置の実現に機構面・ハードウェア面から寄与することができる。

　また、本発明の薬剤手撒き装置にあっては（解決手段２）、多列コンベアの薬剤排出先に設置される薬剤収集機構が多列コンベアの全列によって共用されるようにした。この共用により、多列コンベアから排出された薬剤はどの列から排出されてものであれ漏れなく後続処理の分包に供されるので、多列コンベアに単列コンベアが従属接続されていなくても予備撒き薬剤の逐次排出が不都合なく行われる。しかも、薬剤の移載が多列コンベアから単列コンベアを介さずに薬剤収集機構へ直に行われるため、薬剤移載回数が少なくなる。
　したがって、この発明によれば、固定的な薬剤排出順に限らず他の薬剤排出順も選択して薬剤を排出しうるばかりか薬剤移載回数が少なくて薬剤排出の能率が良い薬剤手撒き装置を実現することができる。

　さらに、本発明の薬剤手撒き装置にあっては（解決手段３）、上述した自由度や選択性の高い多列コンベアに、薬剤排出順を選択可能な制御手段を組み合わせた。この組み合わせにより、選択に応じて、薬剤排出が一列完了後次列進行の薬剤撒き分け方に対応した薬剤排出順で行われることもあれば、薬剤排出が一行完了後次行進行の薬剤撒き分け方に対応した薬剤排出順で行われることもある。分割領域毎の選択に応じて、一列完了後次列進行から一行完了後次行進行へ又はその逆へ順序を切り替えながら薬剤排出が行われることもある。その他の薬剤排出順も導入されていれば、その順で薬剤排出が行われることもある。
　したがって、この発明によれば、固定的な撒き分け方に限らず他の撒き分け方も選択して薬剤を撒くことが可能な薬剤手撒き装置を実現することができる。

　また、本発明の薬剤手撒き装置にあっては（解決手段４）、予備撒きカセットへの薬剤撒き分け方を手撒き作業者に提示する提示手段が、一列完了後次列進行の薬剤排出順に対応した一列完了後次列進行の薬剤撒き分け方ばかりか、一行完了後次行進行の薬剤排出順に対応した一行完了後次行進行の薬剤撒き分け方も、選択して提示する。これは、組込型薬剤手撒き装置であれば一列完了後次列進行の薬剤排出順でも一行完了後次行進行の薬剤排出順でもそれらを切り替えて併用する薬剤排出順でも薬剤を排出しうる高自由度の多列コンベアが自装置に装備されていることを踏まえている。また、据置型薬剤手撒き装置であれば高自由度の多列コンベアが自装置に装備されていなくても高自由度の多列コンベアを装備した他の組込型薬剤手撒き装置に予備撒き済み予備撒きカセットが移し替えられることを踏まえている。したがって、固定的な撒き分け方に限らず他の撒き分け方も選択して薬剤を撒くことが可能な薬剤手撒き装置を実現することができ、その結果、第１技術課題が解決される。

　また、本発明の薬剤手撒き装置にあっては（解決手段５）、多列コンベアを自装置に装備した組込型薬剤手撒き装置のその多列コンベアについて、各列に個別の駆動機構を付設して、各列が独立して動作できるようにした。よって、適切な制御手段を組み合わせれば、薬剤排出順を従来通りに維持することもでき、薬剤排出順を従来と異なるものにすることもできるので、薬剤排出順の自由度や選択性が高まり、ひいては予備撒きカセットへの薬剤の撒き分け方や撒き位置に係る制約が緩和される。

　より具体的には、一列完了後次列進行の制御によって、何れか一の駆動機構を専ら動作させて、該当する列に係る複数個分の区画室を連続的にコンベア送りすれば、一列分の区画室から次々に薬剤を排出させることができる。一列分の区画室からの薬剤の排出を列順に繰り返えせば、上述した一列完了後の次列進行の薬剤撒き分け方に対応した一列完了後次列進行の薬剤排出順で、薬剤を排出することができる。
　また、一行完了後次行進行の制御によって、複数の駆動機構を順次動作させるとともに、その際に各列でのコンベア送りを区画室一個分ずつにすれば、一行分の区画室から次々に薬剤を排出させることができる。一行分の区画室からの薬剤の排出を行順に繰り返えせば、上述した一行完了後の次行進行の薬剤撒き分け方に対応した一行完了後次行進行の薬剤排出順で、薬剤を排出することができる。

　さらに、両薬剤排出順のうち何れの順序で薬剤を排出するのか或いは他の順序で薬剤を排出するのかに関しても自由度や選択性が高い。よって、薬剤を受け入れた多数の区画室を含んだ全領域について一律に同じ順序で薬剤を排出させることができるのはもちろん、全領域を幾つかの部分領域に分割して部分領域毎に選択した順序で薬剤を排出させることもできる。そして、そのような自由度の向上を踏まえて、薬剤排出順の異なる一列完了後次列進行と一行完了後次行進行とを制御手段に実行させ、提示手段の選択した薬剤撒き分け方に対応した薬剤排出順で多列コンベアを動作させるようにしている。よって、固定的な薬剤排出順に限らず他の薬剤排出順も選択して薬剤を排出しうる多列コンベアを具備した薬剤手撒き装置が実現される。
　したがって、この発明によれば、固定的な薬剤撒き分け方に限らず他の薬剤撒き分け方も選択して薬剤を撒くことが可能なばかりかその薬剤を適切に排出して分包に供することができるので、第１技術課題が提示段階から薬剤排出段階まで解決される。

　また、本発明の薬剤手撒き装置にあっては（解決手段６）、区画室が既述したように薬剤の受入口と放出口を兼ねる開口を有するものであって縦面内でのコンベア送りによって縦面内で循環移動するものである。この条件下、区画室を、コンベア送りされて循環移動する区画室をコンベア進行方向における前後に分割するとともに、その前後の分割体を分割も合体も可能なように構成している。この構成に加え、コンベア送りによって区画室が薬剤排出位置に来ると分割体が前後に割れ、コンベア送りによって区画室が薬剤排出位置を過ぎてから薬剤受取位置に来るまでの間に分割体が合わさる。よって、区画室が、薬剤受取位置では従来通り上面開口の箱体となって不都合なく予備撒きカセットのマスから落下薬剤を受け取る。しかも、区画室は、薬剤排出位置では、前後の分割体の割れによって開口を大きく広げるとともに付随的に軽い衝撃や振動も生じる。そのため、区画室の開口が一定だったときよりも円滑かつ確実に、薬剤が区画室の開口から放出されることとなる。
　したがって、この発明によれば、区画室から薬剤をより円滑かつ確実に放出する薬剤手撒き装置を実現することができる。

　また、本発明の薬剤手撒き装置にあっては（解決手段７）、コンベア送りされる区画室のうち後方分割体に当接部を形成しておくとともに、コンベア送りされない支持部材などに被当接部材を装備させいる。しかも、コンベア送りにより区画室が薬剤排出位置に来るとその前方分割体は被当接部材に当接せず後方分割体の当接部が被当接部材に当接するようにしたことにより、前方分割体がコンベア送りで前進するときに後方分割体が当接にて一時停止する。そのため、区画室の前後分割がコンベア送りに随伴して行われるので、区画室の前後分割のために駆動機構や制御手段を設けるまでもなく簡便に、薬剤排出位置に来た区画室の分割体を前後に割ることができる。
　したがって、この発明によれば、区画室から薬剤をより円滑かつ確実に放出する薬剤手撒き装置を簡便に実現することができる。

　また、本発明の薬剤手撒き装置にあっては（解決手段８）、縦面内のコンベア送りによって区画室が複数個直線状に並ぶと前側の区画室の後方分割体が後ろ側の区画室によって前方へ押されて前側の区画室における前後の分割体が合体する。そのため、区画室の前後の分割体の合体がコンベア送りに随伴して行われるので、区画室の合体のために駆動機構や制御手段を設けるまでもなく簡便に、割れた区画室を合わせることができる。しかも、それは、多数の区画室をコンベアに列設する際にコンベアの直線部分で前後の区画室が押し合う程度に密に区画室を並べるといったことで簡便に具現化される。
　したがって、この発明によれば、区画室から薬剤をより円滑かつ確実に放出する薬剤手撒き装置を簡便に実現することができる。

　また、本発明の薬剤手撒き装置にあっては（解決手段９，１０）、予備撒きカセットを組込型薬剤手撒き装置に移し替えて、組込型薬剤手撒き装置に薬剤排出を行わせるときに、薬剤撒き分け方の分かるデータが受け渡される。この受け渡しは、据置型薬剤手撒き装置を用いて予備撒きカセットに薬剤を撒く際に一列完了後次列進行の薬剤撒き分け方を選択しても一行完了後次行進行の薬剤撒き分け方を選択しても更にはそれらを切り替えて併用する薬剤撒き分け方を選択しても、同様に行われる。そのため、改めて薬剤撒き分け方の選択を遣り直す必要が無く、受け渡しデータに基づき適切な順序で薬剤が分包に供される。

　また、本発明の薬剤手撒き装置にあっては（解決手段１１）、７行８列や７行１２列などのマス領域全体を７行４列の部分行列に分けて、それらの部分行列が見分け易くなるよう部分行列それぞれに対して視認用マークを付したことにより、一日の用量を朝昼夕夜に４分してそれを週単位で繰り返す慣用的な処方を手撒きで調剤するのに好適なものとなる。

本発明の実施例１に係る組込型薬剤手撒き装置（薬剤分包機組込タイプの薬剤手撒き装置）の要部の左側面図（Ａ矢視）である。本発明の実施例１に係る組込型薬剤手撒き装置（薬剤分包機組込タイプの薬剤手撒き装置）の要部の平面図である。本発明の実施例１に係る組込型薬剤手撒き装置（薬剤分包機組込タイプの薬剤手撒き装置）の制御装置の機能ブロック図である。図１に示した、合体している状態の区画室の斜視図である。図１に示した、前後に割れている状態の区画室の斜視図である。組込型薬剤手撒き装置の動作状態を時系列で示した、多列コンベアの一コンベアのうち薬剤排出位置近傍部分の第１の状態の模式図である。組込型薬剤手撒き装置の動作状態を時系列で示した、多列コンベアの一コンベアのうち薬剤排出位置近傍部分の第２の状態の模式図である。組込型薬剤手撒き装置の動作状態を時系列で示した、多列コンベアの一コンベアのうち薬剤排出位置近傍部分の第３の状態の模式図である。組込型薬剤手撒き装置の動作状態を時系列で示した、多列コンベアの一コンベアのうち薬剤排出位置近傍部分の第４の状態の模式図である。組込型薬剤手撒き装置の動作状態を時系列で示した、多列コンベアの一コンベアのうち薬剤排出位置近傍部分の第５の状態の模式図である。組込型薬剤手撒き装置の動作状態を時系列で示した、多列コンベアの一コンベアのうち薬剤排出位置近傍部分の第６の状態の模式図である。一列完了後次列進行の薬剤撒き分け方を選択して分４（４回／日）×７日の薬剤を撒くときの一例を示した予備撒きカセットのマス配置図である。一列完了後次列進行の薬剤撒き分け方を選択して分３（３回／日）×１４日の薬剤を撒くときの一例を示した予備撒きカセットのマス配置図である。一行完了後次行進行の薬剤撒き分け方を選択して分４（４回／日）×１４日の薬剤を撒くときの一例を示した予備撒きカセットのマス配置図である。一行完了後次行進行の薬剤撒き分け方を選択して分３（３回／日）×１４日の薬剤を撒くときの一例を示した予備撒きカセットのマス配置図である。分３（３回／日）×１８日の薬剤を撒くときに１４日分は一列完了後次列進行の薬剤撒き分け方を選択し残りの４日分は一行完了後次行進行の薬剤撒き分け方を選択した例を示した予備撒きカセットのマス配置図である。分３（３回／日）×１８日の薬剤を撒くときに１４日分は一行完了後次行進行の薬剤撒き分け方を選択し残りの４日分は一列完了後次列進行の薬剤撒き分け方を選択した例を示した予備撒きカセットのマス配置図である。本発明の実施例２に係る据置型薬剤手撒き装置（薬剤撒き分け専用タイプの薬剤手撒き装置）の構造等を示した斜視図である。本発明の実施例２に係る据置型薬剤手撒き装置（薬剤撒き分け専用タイプの薬剤手撒き装置）の制御装置の機能ブロック図である。本発明の実施例３に係る、７行４列毎に視認用マークを付した予備撒きカセットのマス配置図である。本発明の実施例３に係る、多列コンベアとホッパとの関係を示す部分の模式図である。本発明の実施例４に係る薬剤手撒き装置の要部の正面図（Ａ矢視）である。本発明の実施例４に係る薬剤手撒き装置の単列コンベアの要部の左側面図（矢印Ｂの逆向き視）である。本発明に係る薬剤手撒き装置を適用可能な薬剤分包機の正面図（Ｂ矢視）である。図２４に示した薬剤分包機の右側面図（矢印Ａの逆向き視）である。従来の据置型薬剤手撒き装置の設置状況図である。図２６に示した薬剤手撒き装置の第１の斜視図である。図２６に示した薬剤手撒き装置の第２の斜視図である。従来の薬剤撒き分け方を示した、予備撒きカセットのマス配置図である。課題の薬剤撒き分け方を示した、予備撒きカセットのマス配置図である。

　本発明に係る薬剤手撒き装置は、図２４、図２５に示してすでに説明した薬剤手撒き装置１４に代えて、同図に示した薬剤分包機１０に適用可能である。薬剤分包機１０についてはすでに説明したとおりであるためここでの説明は省略する。
　以下、本発明に係る薬剤手撒き装置の一例としての薬剤手撒き装置２０を図を参照しながら説明する。

　薬剤手撒き装置２０、薬剤手撒き装置２０を適用した薬剤分包機１０等の図示に際しては、簡明化等のため、ベース・フレーム等の静止支持部材や，引出レール等の可動支持部材，ボルト等の締結具，モータドライバ等の電気回路，コントローラ等の電子回路の詳細などは図示を適宜割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
　また、図示に際しすでに説明した構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付して示したので、重複する再度の説明は適宜割愛する。なお各図において矢印Ａ、矢印Ｂの指す方向は一致する。

　図１、図２に示す薬剤手撒き装置２０は、薬剤分包機組込タイプのものすなわち組込型薬剤手撒き装置である。薬剤手撒き装置２０は、上段の予備撒きカセット３０と、コンベヤーである下段の多列コンベア４０と、図３に示す制御装置７０とを具えている。
　薬剤手撒き装置２０は、既述した薬剤手撒き装置１４と異なり最下段の単列コンベアは具備していない。薬剤手撒き装置２０は、多列コンベア４０等の改良により、薬剤手撒き装置１４と同様、薬剤分包機１０の筐体１１の中段部に内装されて、薬剤分包機１０の錠剤フィーダに実装されていない薬剤の予備撒きに使用される。すなわち、薬剤手撒き装置２０は、予備撒き時には筐体１１の前面から予備撒きカセット３０を引き出され、予備撒き終了後には押し戻し操作やスイッチ操作で予備撒きカセット３０が筐体１１の中に収納される。薬剤手撒き装置２０は、予備撒きカセット３０が筐体１１の中に収納された状態で薬剤分包機１０の分包動作に連動して多列コンベア４０からホッパ１３へ薬剤を逐次排出する。

　なお、薬剤手撒き装置２０は、ここでは、予備撒きカセット３０と多列コンベア４０とを共に備え薬剤分包機１０に組み込まれた組込型薬剤手撒き装置である。しかしながら、後述するように、本発明に係る薬剤手撒き装置は、予備撒きカセット３０と多列コンベア４０とのうち予備撒きカセット３０を備える一方で、多列コンベア４０については別体とされ薬剤分包機１０に組み込まれた、据置型薬剤手撒き装置であってもよい場合がある。

　予備撒きカセット３０は、多数の区分収容体であるマス３３，３３…を具備したカセット枠と図示しない引出部材とシャッタ作動部材とモータ等を具えている。カセット枠は引出部材によって支持されて筐体１１の前面パネルの開口から前方すなわち矢印Ｂの反対方向へ引き出し可能になっている。図示しないスイッチ操作に応じてモータが作動することによってカセットが筐体１１から出入りする。予備撒きカセット３０は既述した情報担体１５ａを付設されている。
　多数のマス３３，３３…は、何れも薬剤投入のため上面が解放されており、何れも底面が両開きや片開きのシャッタを装備していて、シャッタ作動部材によって全マス同時に開閉されるようになっている。

　多数のマス３３，３３…は多行多列の行列であるマトリクス状に並んでおり、稠密配置のため、隣り合うマス３３，３３の間隙が行方向でも列方向でもマス３３の幅より狭くなっている。図２に示すように、具体的なマス配置は、既述した左右６行・前後１１列でなく、前後７行・左右８列であり、マス３３，３３…が前後方向である矢印Ｂ方向おいて７行・左右方向である矢印Ａ方向において８列に並んでいる。合計５６個のマス３３，３３…が格子状に並んでカセット枠に即ち予備撒きカセット３０の枠体に取り付けられている。
　このように、薬剤手撒き装置２０では、５６個のマス３３，３３…の並びからなる行列について、行数が７の１倍の７になっており、列数が４の２倍の８になっている。また、予備撒きカセット３０は、全体が又は少なくともマス全域を含む要部が、引出部材などのカセット保持機構に対して自在に着脱可能である。

　多列コンベア４０は、収納状態の予備撒きカセット３０の直下に位置して筐体１１に内蔵されている。多列コンベア４０は、マス３３の個数より多い多数の区画室６０，６０…と、マス３３の列数と同数の８個のコンベア４４，４４…と、コンベア４４と同数の８組の駆動機構である伝動ギヤ４５及び電動モータ４６とを具えている。
　コンベア４４は、何れも、可撓性・弾性に富んだ合成ゴムや軟質プラスチック等からなる無端ベルトを、両端部に配された支軸に掛け回して、前後方向である矢印Ｂ方向に張設したものであり、縦面内で循環運動するようになっている。

　各コンベア４４には、ホッパ１３と干渉しない例えば後端部の近くに配置された、駆動機構を構成する伝動ギヤ４５と電動モータ４６とが、一組ずつ付設されている。マス３３の稠密配置を妨げないよう、小形の電動モータ４６が駆動源に採用されてコンベア４４の下方に置かれるとともに、薄い伝動ギヤ４５が、伝動機構に採用されて、伝動先のコンベア４４の側方に置かれ、隣り合っている無端ベルトの間隙に収まっている。このように、多列コンベア４０は、各列のコンベア４４毎に個別に駆動機構を構成する伝動ギヤ４５と電動モータ４６とが設けられている。よって、電動モータ４６，４６…に対して個々に動作制御しさえすれば、各列毎に独立して縦面内の循環運動が行われ、多列コンベア４０における８個のコンベア４４が順次であれ同時であれ個々のタイミングで循環運動することが可能である。

　各列のコンベア４４の無端ベルトの外周面には全周に亘り複数の区画室６０，６０…が一列に並べて装着されている。多列コンベア４０は各列毎に独立して区画室６０，６０…に係る縦面内のコンベア送りを行えるものとなっている。
　なお、区画室６０に関し、図４に示すように、合体状態の区画室には単に符号「６０」を付し、図５に示すように、前後に割れている区画室には「＊」付きの符号「６０＊」を付している。

　多列コンベア４０が予備撒きカセット３０の直下に来ている複数の区画室６０，６０…それぞれに予備撒きカセット３０の各マス３３から一括して薬剤を受け取れるように、区画室６０の並び数は次のように設定されている。区画室６０の列数すなわち左右方向である矢印Ａ方向における並び数は、マス３３の列数およびコンベア４４の個数と同じ８に設定されている。区画室６０の行数すなわち前後方向である矢印Ｂ方向における並び数は無端ベルトの上側部分だけでもマス３３の列数と同じか多く設定されている。

　図１、図４、図５に示すように、区画室６０は、何れも、一面全体が解放されて開口になっており他の五面に板体が配されている角箱状の区分収容体であり、平面視・開口視でマス３３とほぼ同じ面積を占めている。区画室６０の開口は、マス３３から落下した薬剤の受け入れに用いられるとともに、受け入れて収容した薬剤の排出・放出にも兼用されるので、一面だけで足りる。区画室６０は、薬剤の円滑な出し入れのために、開口面が内底面より少し広くなっている。区画室６０の底部には取付部６４が形成されており、その取付部６４を直に或いは揺動軸ピン等を介在させて無端ベルト４４の外周面に係着させることで、区画室６０がコンベア４４に装着されてコンベア送り可能な状態になっている。

　コンベア４４の無端ベルトが上述したように縦面内すなわち鉛直面内で循環運動するものであり、無端ベルトの外周面に複数の区画室６０，６０…が各区画室の幅とほぼ同じピッチで列設されている。そのため、複数の区画室６０，６０…は、コンベア４４の循環運動によって縦面内のコンベア送りがなされ、コンベア４４の上側の直進部分では、開口を上にして直線状に而も密に並び、コンベア４４の下側の直進部分では、開口を下にして直線状に而も密に並ぶ。その一方で、区画室６０は、コンベア４４の端部における無端ベルト転回部分では、他の区画室６０から離れるとともに、開口を外側にしてＵターンするものとなる。

　何れのコンベア４４も、薬剤排出側の端部である前端部すなわち図１では左端部、図２では上端部の部分をホッパ１３の上方に位置させていて、排出した薬剤を他のコンベアの介在無しで直ちにホッパ１３へ送り込む。
　全列共用の薬剤収集機構として機能するホッパ１３は、多列コンベア４０の各列であるコンベア４４における区画室６０からの薬剤排出先に設置されている。
　薬剤手撒き装置２０は、ホッパ１３に排出された薬剤を分包に供する。薬剤の排出に際し、多列コンベア４０による縦面内のコンベア送りを各列のコンベア４４について適切に同期させる制御が制御装置７０によって行われることで、列方向でも行方向でも任意の方向へ、収容薬剤を各列一区画室分ずつコンベア送りして、予備撒き薬剤が各列一マス分ずつ落下排出される。

　図４、図５に示すように、区画室６０は、コンベア４４の進行方向すなわち無端ベルトの上側部分の進行方向において前後に位置する前方分割体６１と後方分割体６２とを具備している。前後の分割体６１，６２は、底部を連結部６３に連結されていて、連結部６３を中心にして揺動することで分割も合体も可能になっている。前後の分割体６１，６２が合わさると図４に示すように区画室６０が箱状になり、分割体６１，６２が前後に分かれると図５に示すように区画室６０が割れて開き開口が広がる。

　図４、図５に示すように、区画室６０は、後方分割体６２に当接部６５が形成されている。当接部６５は、後方分割体６２の側面に植設されたピン様の小さな突起物を例示したが、前方分割体６１よりも側方に出ていれば良い。
　図１、図６に示すように、被当接部材２２は、棒状の部材の先端部分だけが例示されているが、コンベア送りの対象外であって常態では静止している基部や支持枠などに装着されている。被当接部材２２は、コンベア４４の上側の区画室６０が前向き直進を終えて下向きに転回する所である薬剤排出位置を占めている。被当接部材２２は、薬剤排出位置に区画室６０がコンベア送りされて来ると、その区画室６０の前方分割体６１は素通りさせるが、後方分割体６２の当接部６５に当接する。

　図３に示すように、制御装置７０は、駆動機構を構成している電動モータ４６を制御して多列コンベア４０を各列をなすコンベア４４毎に動作させるという制御機能が果たせて実装可能であれば、種々の回路構成のものが使用できる。制御装置７０は、薬剤手撒き装置２０の専用コントローラでも良く、薬剤分包機１０のコントローラ兼用品でも良いが、プログラマブルなマイクロプロセッサを主体とした電子回路が使い易い。プログラムも、必要な処理が実行できれば構成や作成言語等は任意のもので良いので、ここではモジュール構成の一例を図示した。

　制御装置７０は、プログラムメモリやデータメモリを装備したマイクロプロセッサを備えている。制御装置７０は、その他、電動モータ４６のドライバ、および、予備撒き薬剤に係る情報を薬剤分包機１０や上位装置などから入力することや薬剤を予備撒きするマスの指示や案内などを画面表示やＬＥＤ点灯にて行うデバイスのインターフェイスも、具備している。
　データメモリには、調剤指示データ７２の保持領域と領域分割データ７３の保持領域とその他の作業領域などが割り付けられている。プログラムメモリには、一行完了後次行進行手段としての一行完了後次行進行プログラム７６と、一列完了後次列進行手段としての一列完了後次列進行プログラム７５とがインストールされている。プログラムメモリには、両プログラム７６，７５を選択的に実行させる選択プログラム７４と、提示手段およびデータ受取手段として領域分割データ７３を設定する設定プログラム７１とがインストールされている。

　調剤指示データ７２は、予備撒き対象の各薬剤について各日の朝・昼・夕・夜に何錠ずつ分包に含めるのかを指定しているデータであり（例えば特許文献１～６参照）、設定プログラム７１によって薬剤分包機１０やその上位装置などから入力される。
　設定プログラム７１は、予備撒きカセット３０への薬剤撒き分け方を提示する提示手段としての機能を有する。設定プログラム７１は、上記のような調剤指示データ７２と、予備撒きカセット３０におけるマス３３，３３…の配置情報と、コンベア４４による区画室６０，６０…の送り方向の情報とに基づいて、提示手段として機能する。提示手段として機能する設定プログラム７１は、マス３３，３３…のマトリクス配置に係る後述の図１２～図１７に例示する薬剤撒き分け方や領域分割を画面表示や点灯表示などで作業者に予備撒きカセット３０への薬剤撒き分け方を提示する。提示手段として機能する設定プログラム７１は、作業者への問い合わせ出力やそれで必要になった再提示なども行い、更に作業者の選択や確認の入力なども行って、薬剤の撒き分け方と領域分割の仕方を選択し、最終的に何れか一つの遣り方を選出する。

　具体的には、提示手段として機能する設定プログラム７１は、予備撒き範囲の全域を一列完了後次列進行の薬剤撒き分け方および薬剤排出順で処理するのか、一行完了後次行進行の薬剤撒き分け方および薬剤排出順で処理するのか、更には幾つかの部分領域に分割するとともに各部分領域を両処理の何れで処理するのか、を決定する。提示手段として機能する設定プログラム７１は、決定した情報を領域分割データ７３に書き込む。
　設定プログラム７１は、データ受取手段として機能するソフトウェア部分の機能により、既述した付設のデータ読取器にて予備撒きカセット３０の情報担体１５ａにアクセスしてデータを読み取る処理も行う。設定プログラム７１は、読み取ったデータに上述した最終的な薬剤の撒き分け方や領域分割の仕方など薬剤排出制御に十分な情報が含まれていれば、この情報を領域分割データ７３に書き込む。設定プログラム７１は、読み取ったデータに不足がある場合は、このデータを手掛かりにして必要な詳細情報を薬剤分包機１０やホストコンピュータ等から補充することで、薬剤排出制御に十分な情報を領域分割データ７３に書き込む。

　選択プログラム７４と一列完了後次列進行プログラム７５と一行完了後次行進行プログラム７６とは協動して多列コンベア４０の区画室６０，６０…からホッパ１３へ薬剤を排出させる。薬剤の排出の際、選択プログラム７４が領域分割データ７３を参照して一列完了後次列進行プログラム７５と一行完了後次行進行プログラム７６とを選択的に起動する。具体的には、予備撒き範囲のマス３３，３３…に対応してその直下に位置している予備撒き範囲の区画室６０，６０…について領域分割がなされていなければ、予備撒き範囲の全域の区画室６０から薬剤を排出する制御が実行される。この制御の実行は、両プログラム７５，７６のうち決定済み手順に対応する方のプログラムによってなされる。予備撒き範囲の区画室６０，６０…について領域分割がされている場合は、領域分割によって形成された各部分領域から薬剤を排出する制御が、両プログラム７５，７６のうち決定済み手順に対応する方のプログラムによって実行される。

　一列完了後次列進行プログラム７５は、予備撒き範囲の区画室６０，６０…のうち領域分割データ７３で指定された全域あるいは部分領域を薬剤排出対象として、多列コンベア４０から薬剤を排出させる。薬剤の排出は、一列完了後次列進行の薬剤撒き分け方に対応した薬剤排出順すなわち一列完了後次列進行の薬剤排出順で行われる。具体的には、該当する対象になったコンベア４４の電動モータ４６の動作制御を遂行して、一列分のコンベア送りを、該当する一列において薬剤排出対象になっている区画室６０，６０…複数個分のコンベア送りにて行わせる。このコンベア送りにより、何れか一列分のコンベア送りを完了させ、それから同様にして次の一列分のコンベア送りを行わせる、ということを薬剤排出対象の行数だけ繰り返す。

　一行完了後次行進行プログラム７６は、予備撒き範囲の区画室６０，６０…のうち領域分割データ７３で指定された全域あるいは部分領域を薬剤排出対象として、多列コンベア４０から薬剤を排出させる。薬剤の排出は、一行完了後次行進行の薬剤撒き分け方に対応した薬剤排出順すなわち一行完了後次行進行の薬剤排出順で行われる。具体的には、該当する対象になったコンベア４４の電動モータ４６の動作制御を遂行して、一行分のコンベア送りを、該当する一行において薬剤排出対象になっている複数列に係る区画室６０一個分のコンベア送りにて行わせる。このコンベア送りにより、何れか一行分のコンベア送りを完了させ、それから同様にして次の一行分のコンベア送りを行わせる、ということを薬剤排出対象の列数だけ繰り返す。

　薬剤手撒き装置２０の使用態様及び動作を、図６～図１７に沿って説明する。
　先ず、図６～図１１を参照しながら薬剤の撒き分け方や排出順に限定されない共通の基本的な排出動作などについて説明する。次に図１２、図１３を参照しながら一列完了後次列進行の薬剤撒き分け方や薬剤排出順などについて２例を説明する。それから図１４、図１５を参照しながら一行完了後次行進行の薬剤撒き分け方や薬剤排出順などについて２例を説明する。最後に、図１６、図１７を参照しながら、領域分割を行うとともに、部分領域に対する薬剤撒き分け方や薬剤排出順を一列完了後次列進行と一行完了後次行進行で使い分ける例を、二つ説明する。

［基本的な排出動作］
　薬剤手撒き装置２０では、図２５に示すように、予備撒きに先立って予備撒きカセット３０が薬剤分包機１０の筐体１１から引き出される。引き出された予備撒きカセット３０のマス３３，３３…に図示しない指示箋や表示に従って薬剤が予備撒きされ、予備撒き後は、予備撒きカセット３０が筐体１１の中に戻される。このとき、図６に示すように、多列コンベア４０は初期状態で停止しており、その各列のコンベア４４，４４…に装着されている区画室６０，６０…は総て空になっている。

　図６に示す状態において予備撒きカセット３０の開操作がなされると、薬剤収納状態の予備撒きカセット３０から薬剤８が一括して多列コンベア４０に移し替えられる。すなわち、多数のマス３３，３３…に区分けして収容されている薬剤８，８…が、各マス３３からその直下に一つずつ対応して位置する各区画室６０へ図７に示すように落下する。そのため、撒き分け時の区分状態を維持したまま、無端ベルト４４の上で即ち薬剤受取位置で開口を上に向けている複数の区画室６０，６０…に、図８に示すように、薬剤８，８…が移し替えられる。

　図８に示す状態から、薬剤分包機１０の自動分包に連動して、多列コンベア４０の区画室６０，６０…のうち薬剤の撒き分け方や排出順に基づいて薬剤排出対象になっている区画室６０を搭載したコンベア４４が一室分だけ循環運動する。
　そうすると、循環運動した列のコンベア４４の区画室６０，６０…のうち薬剤排出位置に来て列の先頭になっていた区画室６０から一室分の薬剤８が排出され、それがホッパ１３を介して包装機１２に投入される。そして、そのような一区分ずつの薬剤排出が、薬剤撒き分け方に対応した薬剤排出順で、分包の度に、繰り返される。

　こうして薬剤８が予備撒き時の薬剤撒き分け方に対応した薬剤排出順で、自動的に薬剤手撒き装置２０から一区分ずつ分包に供されるが、その際に薬剤８が区画室６０から排出される状況について更に詳述する。
　コンベア４４が駆動されて無端ベルトが縦面内で循環運動を始めると、縦面内のコンベア送りによって複数の区画室６０，６０…が循環移動を始める。すると、図９に示すように、コンベア４４の上側に並んでいる区画室６０，６０…のうち先頭の区画室６０ａが前進から下向きに傾動し始めるとともに、その下方で既に横向きか下斜めになっていた区画室６０のうち少なくとも区画室６０ｂの前方分割体６１は、下向きになる。

　すると、コンベア４４の無端ベルトの上側部分と下側部分が張設によって直線状になっているうえ、区画室６０，６０…が直線状に並ぶと密接するように列設されていることから、区画室６０ｃにおける前後の分割体６１，６２がコンベア４４の下側で前後に合わさる。これは、区画室６０ｂの前方分割体６１によって、その前の区画室６０ｃのうち少なくとも後方分割体６２が、後ろから前へ押されるためである。このようにして、区画室６０が薬剤排出位置を過ぎてから薬剤受取位置に来るまでの間に前後の分割体６１，６２が前後に合わさって区画室６０が薬剤受取可能な一面解放箱体に戻る。

　図１０に示すように、コンベア４４による縦面内のコンベア送りが進んで、区画室６０ａが薬剤排出位置まで傾動して横向きかそれに近い傾斜状態になると、区画室６０ａの当接部６５が被当接部材２２に当接して移動を妨げられる。そのため、図１１に示すように、更なる縦面内のコンベア送りによって、区画室６０ａが薬剤排出位置を更に傾動すると、区画室６０ａは、前方分割体６１だけが傾動し後方分割体６２が傾動を止められるので、前後の分割体６１，６２の開口側が離れる。

　こうして、区画室６０ａの分割体６１，６２が前後に割れて、区画室６０の開口が一気に広がるとともに、区画室６０の前方分割体６１が斜め下向きになるので、区画室６０ａに収容されていた薬剤８，８…が円滑かつ確実に放出される。
　そして、コンベア４４による縦面内のコンベア送りが区画室６０，６０…列設ピッチで１ピッチ分だけ完了する前に、区画室６０ａでは、前方分割体６１の転回の進行に伴う連結部６３の進行によって後方分割体６２の当接部６５が被当接部材２２から外れる。したがって、上述した１ピッチ分のコンベア送り完了時には、図８に示すように、後続の区画室６０から薬剤８，８…を排出する態勢が整う。

［一列完了後次列進行の例］
　一列完了後次列進行の薬剤撒き分け方および薬剤排出順について、一日当り朝・昼・夕・夜の４回服用を１週間繰り返す例を図１２に沿って説明し、一日当り朝・昼・夕の３回服用を２週間繰り返す例を図１３に沿って説明する。
　薬剤分包機１０やその上位装置などから薬剤手撒き装置２０に調剤指示データ７２が送られて来ると、薬剤手撒き装置２０の制御装置７０では、設定プログラム７１の処理によって、調剤指示データ７２がデータメモリに記憶保持される。

　調剤指示データ７２に基づく薬剤予備撒き作業の開始が入力パネルの操作等によって制御装置７０に知らされると、制御装置７０では、設定プログラム７１の処理によって、先ず、薬剤の撒き方が決定され、決定内容が領域分割データ７３に書き込まれる。予備撒き範囲の薬剤撒き分け方を決定する方法は、予め設定されたパラメータ値などで指定されており、例えば、次の撒き分け方から選出される。全域を一列完了後次列進行だけで撒く撒き分け方、全域で一行完了後次行進行だけで撒く撒き分け方、一列完了後次列進行を先行させ一行完了後次行進行を後に行う撒き分け方、一行完了後次行進行を先行させ一列完了後次列進行を後に行う撒き分け方などである。予め設定されたパラメータ値などの指定は、入力パネルの操作等で変更可能なので、決定内容の表示を見て気に入らないときや他の薬剤撒き分け方と比較したいとき等には変更する。領域分割の可否も指定できる。以下、分割可能な場合の例を述べる。

［一列完了後次列進行の例１］
　全域について一列完了後次列進行の薬剤撒き分け方で予備撒きすることが決定されたとする。図１２に示すように、調剤指示データ７２の内容が一日当り朝・昼・夕・夜の４回服用を１週間繰り返すものである場合、設定プログラム７１の処理によって、次のように撒き方が割り当てられる。１行１列目のマス３３に１日目の朝の撒き分が割り当てられ、２行１列目のマス３３に１日目の昼の撒き分が割り当てられ、３行１列目のマス３３に１日目の夕の撒き分が割り当てられ、４行１列目のマス３３に１日目の夜の撒き分が割り当てられる。さらに、２行１列目のマス３３に２日目の朝の撒き分が割り当てられ、以下同様に繰り返して、４行７列目のマス３３に７日目の夜の撒き分が割り当てられ、その情報が領域分割データ７３に書き込まれるとともに、対応した薬剤予備撒きの表示や案内が行われる。

　この薬剤予備撒きの表示や案内は、公知のもので良い。たとえば、２度撒きの文字や，使用するマスの個数，縦横のマス数，使用すべきマスの位置，マス群の周囲の囲みなどを示す表示器を予備撒きカセット３０に付設しておいてそれらを表示させても良い（例えば特許文献１参照）。また、薬品名を選択可能に画面表示させるとともに、予備撒きカセットを出し入する枠体の上面や開閉式の蓋の上面に付設されたＬＥＤを点灯制御対象として選択薬剤の予備撒き範囲を点灯させるのでも良い（例えば特許文献２，３参照）。

　そして、その表示等に従って作業者が予備撒きカセット３０のマス３３，３３…に薬剤８，８…を予備撒きする。予備撒きを終えた予備撒きカセット３０が筐体１１の中に収められると、予備撒きカセット３０のマス３３，３３…から多列コンベア４０の区画室６０，６０…へ薬剤８，８…が一括で受け渡される。その後、薬剤分包機１０の分包動作に同期しながら、上述のようにして区画室６０，６０…の薬剤８，８…が予備撒き時の薬剤撒き分け方に対応した一列完了後次列進行の薬剤排出順で自動的に一区分ずつ薬剤手撒き装置２０から排出されてホッパ１３へ送り込まれる。具体的には、選択プログラム７４によって一列完了後次列進行プログラム７５が起動され、そのプログラムの処理によって、１行１列目の区画室６０、２行１列目の区画室６０、…、４行１列目の区画室６０、２行１列目の区画室６０、…、４行７列目の区画室６０の順で薬剤８が排出される。

［一列完了後次列進行の例２］
　全域で一列完了後次列進行の薬剤撒き分け方が指定されたとする。図１３に示すように、一日当り朝・昼・夕の３回服用を２週間繰り返す場合、設定プログラム７１の処理によって、次のように撒き方が割り当てられる。１行１列目のマス３３に１日目の朝の撒き分が割り当てられ、２行１列目のマス３３に１日目の昼の撒き分が割り当てられ、３行１列目のマス３３に１日目の夕の撒き分が割り当てられる。２行１列目のマス３３に２日目の朝の撒き分が割り当てられ、以下同様に繰り返して、３行７列目のマス３３に７日目の夕の撒き分が割り当てられる。さらに、２週目分に行単位での分割を優先する領域分割が採用されて、次のように撒き方が割り当てられる。５行１列目のマス３３に８日目の朝の撒き分が割り当てられ、６行１列目のマス３３に８日目の昼の撒き分が割り当てられ、７行１列目のマス３３に８日目の夕の撒き分が割り当てられる。５行２列目のマス３３に９日目の朝の撒き分が割り当てられ、…、７行７列目のマス３３に１４日目の夕の撒き分が割り当てられる。

　そして、その情報が領域分割データ７３に書き込まれるとともに、対応した薬剤予備撒きの表示や案内が行われる。その表示等に従って作業者が予備撒きカセット３０のマス３３，３３…に薬剤８，８…を予備撒きする。予備撒きを終えた予備撒きカセット３０が筐体１１の中に収められると、予備撒きカセット３０のマス３３，３３…から多列コンベア４０の区画室６０，６０…へ薬剤８，８…が一括で受け渡される。その後、薬剤分包機１０の分包動作に同期しながら、上述のようにして区画室６０，６０…の薬剤８，８…が予備撒き時の撒き分け方に対応した排出順で一区分ずつ自動で薬剤手撒き装置２０から排出されてホッパ１３へ送り込まれる。具体的には、この場合も、選択プログラム７４によって一列完了後次列進行プログラム７５が起動され、そのプログラムの処理によって、マス３３，３３…への薬剤撒き分け方に対応した薬剤排出順で区画室６０，６０…から薬剤８が排出される。

［一行完了後次行進行の例１］
　一行完了後次行進行の薬剤撒き分け方および薬剤排出順について、一日当り朝・昼・夕・夜の４回服用を２週間繰り返す例を図１４に沿って説明し、一日当り朝・昼・夕の３回服用を２週間繰り返す例を図１５に沿って説明する。ここでは、全域で一行完了後次行進行の薬剤撒き分け方が採用されているものとする。また、１週目分や２週目分といった週毎での領域分割を試行する際に、上述した一列完了後次列進行では行単位での分割が優先採用された。しかし、ここで述べる一行完了後次行進行では列単位での分割を優先する領域分割が行われるものとするので、１～４列目と、５～６列目とに２分割される。

　図１４に示すように、設定プログラム７１の処理によって、次のように撒き方が割り当てられる。１行１列目のマス３３に１日目の朝の撒き分が割り当てられ、１行２列目のマス３３に１日目の昼の撒き分が割り当てられ、１行３列目のマス３３に１日目の夕の撒き分が割り当てられ、１行４列目のマス３３に１日目の夜の撒き分が割り当てられる。２行１列目のマス３３に２日目の朝の撒き分が割り当てられ、…、７行４列目のマス３３に７日目の夜の撒き分が割り当てられる。さらに、１行５列目のマス３３に８日目の朝の撒き分が割り当てられ、１行６列目のマス３３に８日目の昼の撒き分が割り当てられ、…、１行８列目のマス３３に８日目の夜の撒き分が割り当てられる。２行５列目のマス３３に９日目の朝の撒き分が割り当てられ、…、７行８列目のマス３３に１４日目の夜の撒き分が割り当てられる。

　そして、その情報が領域分割データ７３に書き込まれるとともに、対応した薬剤予備撒きの表示や案内が行われる。その表示等に従って作業者が予備撒きカセット３０のマス３３，３３…に薬剤８，８…を予備撒きし、予備撒きを終えた予備撒きカセット３０が筐体１１の中に収められると、予備撒きカセット３０のマス３３，３３…から多列コンベア４０の区画室６０，６０…へ薬剤８，８…が一括で受け渡される。その後、薬剤分包機１０の分包動作に同期しながら、上述のようにして区画室６０，６０…の薬剤８，８…が予備撒き時の撒き分け方に対応した排出順で一区分ずつ自動で薬剤手撒き装置２０から排出されてホッパ１３へ送り込まれる。具体的には、この場合、選択プログラム７４によって一行完了後次行進行プログラム７６が起動され、そのプログラムの処理によって、マス３３，３３…への撒き分け方に対応した排出順で区画室６０，６０…から薬剤８が排出される。

［一行完了後次行進行の例２］
　全域で一行完了後次行進行の薬剤撒き分け方が指定されたとする。図１５に示すように、一日当り朝・昼・夕の３回服用を２週間繰り返す場合、制御装置７０の設定プログラム７１の処理によって、１～３列目と５～７列目とへの領域分割がなされるとともに、次のように撒き方が割り当てられる。１行１列目のマス３３に１日目の朝の撒き分が割り当てられ、１行２列目のマス３３に１日目の昼の撒き分が割り当てられ、１行３列目のマス３３に１日目の夕の撒き分が割り当てられる。２行１列目のマス３３に２日目の朝の撒き分が割り当てられ、…、７行３列目のマス３３に７日目の夕の撒き分が割り当てられる。さらに、１行５列目のマス３３に８日目の朝の撒き分が割り当てられ、１行６列目のマス３３に８日目の昼の撒き分が割り当てられ、１行７列目のマス３３に８日目の夕の撒き分が割り当てられる。２行５列目のマス３３に９日目の朝の撒き分が割り当てられ、…、７行７列目のマス３３に１４日目の夕の撒き分が割り当てられる。

　そして、その情報が領域分割データ７３に書き込まれるとともに、対応した薬剤予備撒きの表示や案内が行われる。その表示等に従って作業者が予備撒きカセット３０のマス３３，３３…に薬剤８，８…を予備撒きする。予備撒きを終えた予備撒きカセット３０が筐体１１の中に収められると、予備撒きカセット３０のマス３３，３３…から多列コンベア４０の区画室６０，６０…へ薬剤８，８…が一括で受け渡される。その後、薬剤分包機１０の分包動作に同期しながら、上述のようにして区画室６０，６０…の薬剤８，８…が予備撒き時の撒き分け方に対応した排出順で一区分ずつ自動で薬剤手撒き装置２０から排出されてホッパ１３へ送り込まれる。具体的には、この場合、選択プログラム７４によって一行完了後次行進行プログラム７６が起動され、そのプログラムの処理によって、マス３３，３３…への撒き分け方に対応した排出順で区画室６０，６０…から薬剤８が排出される。

［両進行の併用例１］
　一列完了後次列進行と一行完了後次行進行との切り替えを伴う薬剤撒き分け方および薬剤排出順について、一列完了後次列進行を先行させ一行完了後次行進行を後に行う例を説明する。
　図１６に示すように、一日当り朝・昼・夕の３回服用を１８日間繰り返す処方に対応した薬剤予備撒きを一カセットで済ますために、薬剤撒き分け方の異なる領域分割が行われる。一列完了後次列進行の先行が指定されているので、作業者による入力パネルでの選択指示等にもよるので一概には言えないものの、例えば、次のように撒き方が割り当てられる。１～３行目の部分領域と４～６行目の部分領域と７行目の部分領域とに分割されるとともに、１～３行目の部分領域と４～６行目の部分領域とには一列完了後次列進行の薬剤撒き分け方が割り振られ、７行目の部分領域には一行完了後次行進行の薬剤撒き分け方が割り振られる。

　具体的には、図１６に示すように、設定プログラム７１の処理によって、次のように撒き方が割り当てられる。１～３行目の部分領域について、１行１列目のマス３３に１日目の朝の撒き分が割り当てられ、２行１列目のマス３３に１日目の昼の撒き分が割り当てられ、３行１列目のマス３３に１日目の夕の撒き分が割り当てられる。１行２列目のマス３３に２日目の朝の撒き分が割り当てられ、…、３行８列目のマス３３に８日目の夕の撒き分が割り当てられる。また、４～６行目の部分領域について、４行１列目のマス３３に９日目の朝の撒き分が割り当てられ、５行１列目のマス３３に９日目の昼の撒き分が割り当てられ、６行１列目のマス３３に９日目の夕の撒き分が割り当てられる。４行２列目のマス３３に２日目の朝の撒き分が割り当てられ、…、６行８列目のマス３３に１６日目の夕の撒き分が割り当てられる。さらに、７行目の部分領域について、７行１列目のマス３３に１７日目の朝の撒き分が割り当てられ、７行２列目のマス３３に１７日目の昼の撒き分が割り当てられ、…、７行６列目のマス３３に１８日目の夕の撒き分が割り当てられる。

　そして、その情報が領域分割データ７３に書き込まれるとともに、対応した薬剤予備撒きの表示や案内が行われる。その表示等に従って作業者が予備撒きカセット３０のマス３３，３３…に薬剤８，８…を予備撒きする。予備撒きを終えた予備撒きカセット３０が筐体１１の中に収められると、予備撒きカセット３０のマス３３，３３…から多列コンベア４０の区画室６０，６０…へ薬剤８，８…が一括で受け渡される。その後、薬剤分包機１０の分包動作に同期しながら、区画室６０，６０…の薬剤８，８…が予備撒き時の撒き分け方に対応した排出順で一区分ずつ自動で薬剤手撒き装置２０から排出されてホッパ１３へ送り込まれる。

　具体的には、この場合、一列完了後次列進行プログラム７５の処理により１～３行目の部分領域についてマス３３，３３…への撒き分け方に対応した排出順で区画室６０，６０…から薬剤８が排出される。次にもう一度、一列完了後次列進行プログラム７５の処理により４～６行目の部分領域についてマス３３，３３…への撒き分け方に対応した排出順で区画室６０，６０…から薬剤８が排出される。それから、一行完了後次行進行プログラム７６の処理により７行目の部分領域についてマス３３，３３…への撒き分け方に対応した排出順で区画室６０，６０…から薬剤８が排出される。

［両進行の併用例２］
　一列完了後次列進行と一行完了後次行進行との切り替えを伴う薬剤撒き分け方および薬剤排出順について、一行完了後次行進行を先行させ一列完了後次列進行を後に行う例を説明する。
　図１７に示すように、やはり一日当り朝・昼・夕の３回服用を１８日間繰り返す処方に対応した薬剤予備撒きを一カセットで済ますために、薬剤撒き分け方の異なる領域分割が行われる。一行完了後次行進行の先行が指定されているので、作業者による入力パネルでの選択指示等にもよるので一概には言えないものの、例えば、次のように撒き方が割り当てられる。予備撒き範囲が１～３列目の部分領域と４～６列目の部分領域と７～８列目の部分領域とに分割されるとともに、１～３列目の部分領域と４～６列目の部分領域とには一行完了後次行進行の薬剤撒き分け方が割り振られ、７～８列目の部分領域には一列完了後次列進行の薬剤撒き分け方が割り振られる。

　具体的には、図１７に示すように、制御装置７０の設定プログラム７１の処理によって、、次のように撒き方が割り当てられる。１～３列目の部分領域について、１行１列目のマス３３に１日目の朝の撒き分が割り当てられ、１行２列目のマス３３に１日目の昼の撒き分が割り当てられ、１行３列目のマス３３に１日目の夕の撒き分が割り当てられる。２行１列目のマス３３に２日目の朝の撒き分が割り当てられ、…、７行３列目のマス３３に７日目の夕の撒き分が割り当てられる。また、４～６列目の部分領域について、１行４列目のマス３３に８日目の朝の撒き分が割り当てられ、１行５列目のマス３３に８日目の昼の撒き分が割り当てられ、１行６列目のマス３３に８日目の夕の撒き分が割り当てられる。２行４列目のマス３３に２日目の朝の撒き分が割り当てられ、…、７行６列目のマス３３に１４日目の夕の撒き分が割り当てられる。さらに、７～８列目の部分領域について、１行７列目のマス３３に１５日目の朝の撒き分が割り当てられ、２行７列目のマス３３に１５日目の昼の撒き分が割り当てられ、…、６行８列目のマス３３に１８日目の夕の撒き分が割り当てられる。

　そして、その情報が領域分割データ７３に書き込まれるとともに、対応した薬剤予備撒きの表示や案内が行われる。その表示等に従って作業者が予備撒きカセット３０のマス３３，３３…に薬剤８，８…を予備撒きし、予備撒きを終えた予備撒きカセット３０が筐体１１の中に収められると、予備撒きカセット３０のマス３３，３３…から多列コンベア４０の区画室６０，６０…へ薬剤８，８…が一括で受け渡される。その後、薬剤分包機１０の分包動作に同期しながら、区画室６０，６０…の薬剤８，８…が予備撒き時の撒き分け方に対応した排出順で一区分ずつ自動で薬剤手撒き装置２０から排出されてホッパ１３へ送り込まれる。

　具体的には、この場合、一行完了後次行進行プログラム７６の処理により１～３列目の部分領域についてマス３３，３３…への撒き分け方に対応した排出順で区画室６０，６０…から薬剤８が排出される。次にもう一度、一行完了後次行進行プログラム７６の処理により４～６列目の部分領域についてマス３３，３３…への撒き分け方に対応した排出順で区画室６０，６０…から薬剤８が排出される。それから、一列完了後次列進行プログラム７５の処理により７～８列目の部分領域についてマス３３，３３…への撒き分け方に対応した排出順で区画室６０，６０…から薬剤８が排出される。

　以上述べたように、薬剤手撒き装置２０にあっては、幾つか異なる薬剤撒き分け方で薬剤を予備撒きすることができ、それらの薬剤が何れの場合でも適切な順序で分包に供される。薬剤手撒き装置２０では、予備撒きカセット３０におけるマス３３，３３…の配置が７行８列になっているので、一列完了後次列進行の薬剤撒き分け方だけでは図１２に示したように分４（４回／日）×７日（１週）の薬剤なら一カセットに撒けるものの、分４（４回／日）×１４日（２週）の薬剤はカセットを分ける必要がある。これに対し、一行完了後次行進行の薬剤撒き分け方なら、図１４に示したように、この撒き分け方だけでも、分４（４回／日）×１４日（２週）の薬剤を一カセットに撒くことができる。分３（３回／日）なら何れの撒き分け方でも図１３、図１５に示したように、１４日（２週）の薬剤を一カセットに撒くことができる。さらに、領域分割に加えて両方の薬剤撒き分け方を併用すれば、図１６、図１７に示すように、分３（３回／日）×１８日の薬剤まで一カセットに分かり易く撒くことができる。

　図１８、図１９に示す、実施例２に係る薬剤手撒き装置８０は、上述した実施例１に係る薬剤手撒き装置２０と少なくとも次の点で相違する。薬剤分包機組込タイプすなわち組込型薬剤手撒き装置でなく薬剤撒き分け専用タイプすなわち据置型薬剤手撒き装置である点と、実施例１において提示手段として機能する設定プログラム７１に代えて提示手段として機能する設定プログラム９１を有する点である。つまり、薬剤手撒き装置８０は、予備撒きカセット３０と多列コンベア４０とのうち予備撒きカセット３０を備える一方で、多列コンベア４０については別体とされ薬剤分包機１０に組み込まれている。したがって、実施例１では、提示手段として機能する設定プログラム７１が、多列コンベア４０およびこれを備えた薬剤分包機１０に対して自装置装備であったのに対し、実施例２では、提示手段として機能する設定プログラム９１が、多列コンベア４０およびこれを備えた薬剤分包機１０に対して他装置装備となっている。

　薬剤手撒き装置８０は、図２６～図２８に示して既述した据置型薬剤手撒き装置１６を改造したものである。薬剤手撒き装置８０は、図１８に示すように、本体部１６ａを改造した本体部８１と、制御部１６ｂのハードウェアを引き継いだ制御装置９０と、画面表示部および操作部としてそのまま引き継いだタッチパネル１６ｃとを具備している。

　本体部８１は、予備撒きカセット３０のマス３３，３３…が７行８列であることに対応して、薬剤投入用開口１６ａａ，１６ａａ…が７行８列になっているが、その他の点は本体部１６ａと同様のものである。
　本体部８１には情報担体１５ａに対応した情報書込器８２が付設されているが、これは任意の付設部材である。例えば、情報担体１５ａがデータキャリア等であれば対応する情報書込器８２が付設されるが、情報担体１５ａがバーコードラベル等であれば情報書込器８２は付設されない。

　図１９に示すように、制御装置９０は、上述した薬剤手撒き装置２０の制御装置７０からソフトウェアを引き継いで改造したものである。制御装置９０のデータメモリには、調剤指示データ７２の保持領域と領域分割データ７３の保持領域とその他の作業領域などが割り付けられている。制御装置９０のプログラムメモリには、設定プログラム７１を改造した設定プログラム９１と、新たに追加したデータ引渡プログラム９２とが、インストールされている。薬剤排出を担う多列コンベア４０の制御に係るプログラム７４，７５，７６は、多列コンベア４０が実装されていないため、そもそもインストールする必要がないので、インストールされていない。

　設定プログラム９１は、設定プログラム７１からデータ受取手段を省いてその代わりにデータ引渡手段としてのデータ引渡プログラム９２を起動する機能を付加したものであり、提示手段としての機能は維持している。すなわち、薬剤手撒き装置８０は、表示や案内の機能をサポートする具体的なハードウェアがタッチパネル１６ｃや本体部８１付設ＬＥＤ等になっていることを反映してタッチパネル１６ｃや本体部８１付設ＬＥＤ等を用いて表示や案内を行う。案内の際、設定プログラム９１は、設定プログラム７１と同様にして、調剤指示データ７２を入力し、上述した一列完了後次列進行の薬剤撒き分け方を提示するか否かを選択し、やはり上述した一行完了後次行進行の薬剤撒き分け方を提示するか否かを選択する。最終的に、設定プログラム９１は、一つの薬剤撒き分け方を選出し、選出した薬剤撒き分け方を領域分割データ７３に書き込む。

　データ引渡プログラム９２は、設定プログラム９１によって起動されると、領域分割データ７３に保持されている情報のうち少なくとも薬剤撒き分け方の分かる情報を出力する。具体的には、例えば、本体部８１に情報書込器８２が実装されているとともに情報担体１５ａが十分な記憶容量を持つ場合、データ引渡プログラム９２は、情報書込器８２により、全情報を情報担体１５ａに書き込む。情報担体１５ａが実装されていても、情報担体１５ａの記憶容量が不足する場合、データ引渡プログラム９２は、情報書込器８２により、紐付け情報や基本情報だけを情報担体１５ａに書き込むとともに、補充情報を同一ネットワーク内の上位装置へ送信する。情報書込器８２が実装されていない場合は、データ引渡プログラム９２は、全情報を同一ネットワーク内の上位装置へ送信する。なお、設定プログラム９１において省かれたデータ受取手段は、データ受取器として薬剤分包機１０に設けられ、情報担体１５ａに記憶された情報を受け取る。

　図１８に示すように、予備撒きに先立ち、作業者は次のような作業が可能である。作業者は、薬剤手撒き装置８０の本体部８１の蓋を開けて、本体部８１の中に予備撒きカセット３０を収め、本体部８１の蓋を閉めてから、図示しない指示箋を図示しないリーダで読ませたりタッチパネル１６ｃを操作して指示箋の特定番号等を入力したりすることが可能である。
　そうすると、以下、薬剤手撒き装置２０について上述したのと重複する内容は簡潔に述べるが、薬剤手撒き装置８０では、先ず、設定プログラム９１の処理によって調剤指示データ７２が取得される。

　薬剤手撒き装置８０では、設定プログラム９１の処理により、手撒き対象の調剤内容が表示されるとともに、薬剤の撒き方が決定される。薬剤の撒き方の決定はパラメータ値の指定に基づく初期選択や初期選択の表示さらには作業者の操作等による変更指示や認容指示に応じてなされ、上述したように、次のように選出される。薬剤の撒き方は、全域を一列完了後次列進行だけで撒く撒き分け方、全域で一行完了後次行進行だけで撒く撒き分け方、一列完了後次列進行を先行させ一行完了後次行進行を後に行う撒き分け方、一行完了後次行進行を先行させ一列完了後次列進行を後に行う撒き分け方などから選出される。決定内容は、設定プログラム９１の処理によって領域分割データ７３に書き込まれるとともに、領域分割データ７３のうち薬剤撒き分け方の分かる部分を含んだ情報が、データ引渡プログラム９２の処理によって、情報担体１５ａ等にも引き渡される。

　薬剤撒き分け方が決まると、その案内が、設定プログラム９１によって、タッチパネル１６ｃの画面表示や薬剤投入用開口１６ａａ付設のＬＥＤ点灯などで、作業者に提示される。作業者はそのような支援を受けることにより手撒きでも容易かつ的確に予備撒き作業を進めることができる。そして、予備撒きが終了したら、作業者は、予備撒きの済んだ予備撒きカセット３０を、据置型薬剤手撒き装置８０から取り出し、必要なら一時保管等を行って適宜な時期に、薬剤分包機１０の組込型薬剤手撒き装置２０に装着して分包に供する。組込型薬剤手撒き装置２０は、情報担体１５ａに記憶されている情報を読み取るデータ読取器を有しており、データ読取器によって読み取った情報を多列コンベア４０の駆動制御等に用いる。
　こうして、据置型薬剤手撒き装置８０で手撒きした薬剤も、一列完了後次列進行の撒き分け方であれ一行完了後次行進行の撒き分け方であれ、薬剤手撒き装置２０で手撒きした薬剤と同様、適切に分包される。

　図２０、図２１に、これまで述べた構成の一部を変形した変形例を示す。
　２０は、予備撒きカセット３０におけるマス３３，３３…の行列を７行４列ずつに分けた部分行列それぞれに視認用マーク３４が付されている点で、上述した実施例１，２の構成と相違する変形例である。なお、図２０に示されている構成では、マス３３，３３…が形成されている予備撒きカセット３０の上面が「薬剤撒き分け時にマスが直に視認される部位」なので、予備撒きカセット３０の上面に視認用マーク３４，３４…が付されている。

　視認用マーク３４，３４…を付す位置は、「薬剤撒き分け時にマスが間接的に直に視認される部位」であれば良いので、次に述べる蓋や枠体の上面であっても良い。図１８に示した薬剤撒き分け専用タイプの手撒き装置８０のように予備撒き時に予備撒きカセットに蓋をしてその薬剤投入用開口１６ａａを介してマス３３に薬剤を投入する薬剤手撒き装置（他にも例えば特許文献２参照）である場合における蓋である。予備撒き時に予備撒きカセットを差し込んだ枠体の上部の薬剤投入用開口を介してマス３３に薬剤を投入する薬剤手撒き装置（例えば特許文献３参照）の場合における枠体である。これら蓋や枠体上部にマスと一対一で対応する薬剤投入用開口が形成されていて、蓋や枠体の上面が「薬剤撒き分け時にマスが間接的に直に視認される部位」だからである。これら蓋や枠体上部が透明でマスが透けて見えるのであれば、視認用マーク３４，３４…、カセットと蓋等との何れに付しても良く両方に付しても良い。

　図２０に示す構成では、７行８列のマス行列のうち１～４列目に係る部分領域も、７行８列のマス行列のうち５～８列目に係る部分領域も、それぞれ視認用マーク３４が付されている。よって、分４（４回／日）や分３（３回／日）で２週以内の薬剤を予備撒きするときに、一行完了後次行進行の手順を採用すると、分かり易くなる。しかも、単列コンベアが要らなくなった薬剤手撒き装置にあっては、コンベア４４の列設ピッチひいてはマス３３の列方向すなわち矢印Ａの方向におけるピッチを一定にする必要が無い。よって、４列目のコンベア４４と５列目のコンベア４４との間隙を視認用マーク３４の挿入のために少し広げることも可能である。

　図２１に示す変形例は、ホッパ１３が、錠剤フィーダから排出された薬剤を収集するためのホッパ１３ａと、多列コンベア４０から排出された薬剤を収集するためのホッパ１３ｂと、それらを合流させるホッパ１３ｃとを組み合わせたものになっている点で、上述した実施例１と相違している。
　ホッパ１３ａやホッパ１３ｂは何れか一方だけでも良く、ホッパ１３ａ，１３ｂ，１３ｃは更に細分化されていても良い。

　図２２、図２３に、これまで述べた作動部の構成を変形した変形例を示す。上述の各実施例においては、作動部が、多列コンベアを有するものの、単列コンベアを省略した構成となっている。しかし、図４、図５に示した区画室６０の構成に着目すれば、作動部は、図２２に示すように、多列コンベア４９と単列コンベア５０とをカスケード接続・従属接続した構成とし、すでに述べた構成、動作の区画室６０を適用しても良い。なお、実施例４の薬剤手撒き装置は、組込型薬剤手撒き装置２０として説明するが、据置型薬剤手撒き装置８０であっても良い。

　図２２に示す多列コンベア４９は、収納状態の予備撒きカセット３０の直下に位置して筐体１１に内蔵されている。多列コンベア４９は、複数の無端ベルトによって構成されたコンベア２４，２４…と、複数の区画室６０，６０…と、すべてのコンベア２４，２４…に共通の、図示しないモータ及び伝動機構とを具えている（例えば特許文献１～６参照）。コンベア２４は、何れも、可撓性・弾性に富んだ合成ゴムや軟質プラスチック等から作られ、左右に配された支軸に掛け回して張設されて、モータの作動によって縦面内で循環動作する。多列コンベア４９は、予備撒きカセット３０の直下に来ている複数の区画室６０，６０…それぞれに予備撒きカセット３０の各マス３３から一括して薬剤を受け取るために、次のように備えられている。区画室６０の行数すなわち前後方向である矢印Ａ方向における並び数はマス３３の行数と同じであるが、区画室６０の列数すなわち左右方向である矢印Ｂ方向における並び数はコンベア２４の上側部分だけでもマス３３の列数と同じか多くなっている。

　単列コンベア５０は、多列コンベア４９の一端である図２２における左端の直下に位置して筐体１１に内蔵されている。単列コンベア５０は、一本の無端ベルトであるコンベア２４と、複数の区画室６０，６０…と、図示しないモータ及び伝動機構とを具えている（例えば特許文献１～６参照）。コンベア２４は、可撓性・弾性に富んだ合成ゴムや軟質プラスチック等から作られ、前後に配された短い支軸に掛け回して張設されて、電動モータの作動によって縦面内で循環動作する。単列コンベア５０が複数の区画室６０，６０…に多列コンベア４９から左端の一列分ずつ薬剤を受け取るために、次のように備えられている。単列コンベア５０における複数の区画室６０，６０…の並びは一列であるが、その個数は、無端ベルト４１の上側部分だけでも、多列コンベア４９において多行多列に配置された区画室６０，６０…の各列における区画室６０の個数すなわち行数と同じかそれより多い。

　本実施例における薬剤手撒き装置２０は、図２５に沿ってすでに述べたように、手撒きに先立って予備撒きカセット３０が薬剤分包機１０の筐体１１から引き出され、そのマス３３に図示しない指示箋や表示に従って薬剤が手撒きされる。手撒き後は、予備撒きカセット３０が筐体１１の中に戻される。このとき、多列コンベア４９も単列コンベア５０も初期状態で停止しており、図６に示すように、すべての区画室６０は空になっている。次いで、図７に示すように、薬剤収納状態の予備撒きカセット３０から薬剤８が一括して多列コンベア４９に移し替えられる。すなわち、多数のマス３３，３３…に区分けされた薬剤８，８…が、各マス３３からその直下に一つずつ対応して位置する区画室６０へ落下する。よって、手撒き時の区分状態を維持したまま、図８に示すように、薬剤８，８…が、コンベア２４の上で即ち薬剤受取位置で開口を上に向けている複数の区画室６０，６０…に移し替えられる。

　それから、薬剤分包機１０の自動分包に連動して、多列コンベア４９の区画室６０，６０…のうち薬剤排出位置に来た先頭の一列分の薬剤８，８…が単列コンベア５０の区画室６０，６０…に区分状態を維持しながら移し替えられる。さらに単列コンベア５０の複数の区画室６０，６０…のうち薬剤排出位置に来た先頭の一室分の薬剤８がホッパ１３を介して包装機１２に投入される。そして、一室分ずつ小分けした薬剤８の投入が繰り返されて、単列コンベア５０が空になると、多列コンベア４９から先頭一列分の薬剤が単列コンベア５０に移し替えられ、一室分ずつ小分けした薬剤８の投入が再開される。

　多列コンベア４９から単列コンベア５０に向けた薬剤８，８…の移し替え際の多列コンベア４９における区画室６０の動作、単列コンベア５０からホッパ１３に向けた薬剤８の移し替え際の単列コンベア５０における区画室６０の動作は、図８～図１１に沿ってすでに説明したのと同様である。

［その他］
　上記実施例の区画室６０では、前方分割体６１と後方分割体６２とが合体時に分割箇所で当接し合うだけであったが、前方分割体６１の両側部と後方分割体６２の両側部とが内外に重なるようになっていても良く、例えば前方分割体６１の長い両側部の一部が後方分割体６２の短い両側部の内側に入り込むようにしても良い。
　上記実施例の多列コンベア４０では、各列のコンベア４４，４４…の間に設けられているものとして伝動ギヤ４５にしか言及しなかったが、区画室６０の移動を安定化させる仕切板などを各列の間や列外等に設けても良く、飛び跳ねた薬剤８の不所望な紛失や混入を防止する隙間閉塞板などを適宜箇所に設けても良い。
　上記実施例２では、据置型薬剤手撒き装置８０として、予備撒きカセット着脱時に蓋を開閉するタイプ（例えば特許文献２参照）のものを図示したが、予備撒き時に予備撒きカセットを差し込むタイプ（例えば特許文献３参照）のものが排除される訳ではない。
　上記実施例４では、多列コンベア４９と単列コンベア５０とに同じ区画室６０が採用されていたが、区画室６０は、多列コンベア４９と単列コンベア５０とで全く同じである必要はなく、基本構成が共通していて本発明の実施に必要な機能を発揮するものであれば、サイズや各部寸法などは異なっていても良い。
　表示については、２度撒きの文字や，使用するマスの個数，縦横のマス数，使用すべきマスの位置，マス群の周囲の囲みなどを示す表示器を予備撒きカセット３０に付設しても良く（例えば特許文献１参照）、予備撒きカセットを出し入れ可能な枠体の上面に装備した開閉式の蓋体について、薬品名を選択可能に画面表示させるとともに選択薬剤の手撒き範囲を点灯させても良い（例えば特許文献２参照）。

　本発明の薬剤手撒き装置は、既述したような錠剤分包機に組み込める他、散薬分包機や錠剤散薬混合タイプの薬剤分包機にも組み込むことができる。筐体に薬剤手撒き装置と包装機とを装備して、手撒き式の分包機にすることもできる。
　また、筐体に薬剤手撒き装置を装備する具体的な態様は、上記実施例のように予備撒きカセットを筐体から引き出し可能に実装する態様に限られる訳ではない。予備撒きカセットのマスに薬剤を予備撒きできれば良いので、例えば、予備撒きカセットを筐体上面に固定しても良く、予備撒きカセットを筐体の天板に着脱するのでも良い。

８…薬剤、１０…薬剤分包機（錠剤分包機）、１１…筐体、１２…包装機、１３、１３ａ、１３ｂ、１３ｃ…ホッパ（薬剤収集機構）、１４…組込型薬剤手撒き装置、１５…予備撒きカセット、１５ａ…情報担体、１６…据置型薬剤手撒き装置、１６ａ…本体部、１６ａａ…薬剤投入用開口、１６ｂ…制御部、１６ｃ…タッチパネル（画面表示部，操作部）、２０…薬剤手撒き装置、２２…被当接部材、３０…予備撒きカセット、３３…マス（区分収容体）、３４…視認用マーク、４０…多列コンベア（コンベヤー）、４４…コンベア（一列分）、４５…伝動ギヤ（駆動機構）、４６…電動モータ（駆動機構）、４９…多列コンベア（コンベヤー）、６０…区画室（区分収容体）、６１…分割体（前方分割体）、６２…分割体（後方分割体）、６３…連結部、６４…取付部、６５…当接部、７０…制御手段（コントローラ）、７１…提示手段（設定プログラム）、データ受取手段、７２…調剤指示データ、７３…領域分割データ、７４…選択プログラム、７５…一列完了後次列進行プログラム、７６…一行完了後次行進行プログラム、８０…据置型薬剤手撒き装置、８１…本体部、８２…情報書込器、データ引渡手段、９０…制御手段、９１…提示手段（設定プログラム）、９２…データ引渡プログラム、データ引渡手段

Claims

　多行多列に並んだ多数のマスを具備した予備撒きカセットより行数の多い多行多列に並んだ多数の区画室を具備していて前記予備撒きカセットから一括して薬剤を受け取る多列コンベアと、
　前記多列コンベアの各列毎に設けられていて、前記多列コンベアを各列毎に独立して駆動し前記区画室に係る縦面内のコンベア送りを行う駆動機構とを有する薬剤手撒き装置。
　前記多列コンベアの各列における前記区画室からの薬剤排出先に全列共用の薬剤収集機構が設置されている請求項１記載の薬剤手撒き装置。
　前記駆動機構を制御して前記多列コンベアを各列毎に動作させる制御手段が、
　一列分のコンベア送りを該当する一列に係る区画室複数個分のコンベア送りにて行わせることにより何れか一列分のコンベア送りを完了させてから他の一列分のコンベア送りを行わせる一列完了後次列進行と、
　一行分のコンベア送りを該当する複数列に係る区画室一個分のコンベア送りにて行わせることにより何れか一行分のコンベア送りを完了させてから他の一行分のコンベア送りを行わせる一行完了後次行進行と、を実行可能であり、
　前記一列完了後次列進行を実行するか否か及び前記一行完了後次行進行を実行するか否かを選択する請求項１または２記載の薬剤手撒き装置。
　前記予備撒きカセットへの薬剤撒き分け方を提示する提示手段を備え、
　前記提示手段が、前記多列コンベアに対して自装置装備又は他装置装備であり、前記一列完了後次列進行の薬剤排出順に対応した薬剤撒き分け方を提示するか否かを選択するとともに、前記一行完了後次行進行の薬剤排出順に対応した薬剤撒き分け方を提示するか否かを選択する請求項３記載の薬剤手撒き装置。
　前記提示手段が前記多列コンベアに対して自装置装備であり、
　前記制御手段が、前記提示手段の選択した薬剤撒き分け方に対応した薬剤排出順で前記多列コンベアを動作させる請求項４記載の薬剤手撒き装置。
　前記区画室がコンベア進行方向に分割も合体も可能な前後の分割体を具備したものであり、縦面内のコンベア送りによって前記区画室が薬剤排出位置に来ると前記分割体が前後に割れ、縦面内のコンベア送りによって前記区画室が薬剤排出位置を過ぎてから薬剤受取位置に来るまでの間に前記分割体が前後に合わさる請求項５記載の薬剤手撒き装置。
　前記分割体のうち前側のものである前方分割体よりも側方に出ている当接部が、前記分割体のうち後ろ側のものである後方分割体に形成されており、薬剤排出位置に来た前記区画室の後方分割体の当接部が当接する被当接部材が、コンベア送りの対象外の所に装備されている請求項６記載の薬剤手撒き装置。
　縦面内のコンベア送りによって前記区画室が複数個直線状に並ぶと、前側の区画室の後方分割体が後ろ側の区画室によって前方へ押されて、前側の区画室における前後の分割体が合体する請求項６または７記載の薬剤手撒き装置。
　前記提示手段の選択した薬剤撒き分け方が分かるデータを外部に出力するデータ引渡手段が設けられている請求項４ないし請求項８の何れか１つに記載の薬剤手撒き装置。
　薬剤撒き分け方の分かるデータを外部から入力するデータ受取手段が、設けられており、前記制御手段が、前記データ受取手段の入力したデータから分かる薬剤撒き分け方に対応した薬剤排出順で、前記多列コンベアを動作させる請求項３ないし請求項９の何れか１つに記載の薬剤手撒き装置。
　前記マスの並びからなる行列の行数が７の整数倍になっており、前記行列の列数が４の整数倍であって８以上になっており、薬剤撒き分け時に前記マスが直に又は間接的に視認される部位に、前記行列を７行４列ずつに分けた複数の部分行列それぞれに対応付けて、視認用マークが付されている請求項１ないし請求項１０の何れか１つに記載の薬剤手撒き装置。