WO2015046196A1 - 液滴吐出装置 - Google Patents

Abstract

　密閉性を確保しつつ液滴吐出ヘッドへのキャップの装着を容易にできる液滴吐出装置を提供する。キャップ２００は、箱体で構成されるキャップ本体２０２と、枠体で構成される封止部材２２０とで構成される。封止部材２２０は、第１枠体構成要素２２２と第２枠体構成要素２２４とに分割可能に構成される。第１枠体構成要素２２２は、キャップ本体２０２に一体的に設けられ、第２枠体構成要素２２４は、ヘッド７２に設けられる。ヘッド７２をキャップ２００に装着すると、第１枠体構成要素２２２と第２枠体構成要素２２４とが合体し、ヘッド７２の先端部分の外周を囲って、ヘッド７２との隙間を封止する。

Description

液滴吐出装置

　本発明は液滴吐出装置に係り、特に液滴吐出ヘッドに装着するキャップを備えた液滴吐出装置に関する。

　液滴吐出装置に備えられる液滴吐出ヘッドは、不使用の状態が長時間続くと、ノズルからの溶媒乾燥によって不吐出（目詰まり）や吐出方向不良（吐出曲がり）が生じる。このため、一定時間以上継続して不使用にする場合は、ノズル面（ノズルが配置される面）がキャップで覆われる。

　一般にキャップは、開口部を備えた箱体で構成され、液滴吐出ヘッドの先端を開口部に嵌め込むことにより、ノズル面を密封して液滴吐出ヘッドに装着される（たとえば、特許文献１、２等）。あるいは、開口部の先端をノズル面に当接させることにより、ノズル面を密封して液滴吐出ヘッドに装着される（たとえば、特許文献３等）。

特開2010-111046号公報 特開平05-077432号公報 特開2011-056792号公報

　しかしながら、液滴吐出ヘッドの先端を開口部に嵌め込んで液滴吐出ヘッドに装着する方式のキャップは、装着の際の位置決めが難しいという欠点がある。

　一方、キャップの開口部の先端をノズル面に当接させて液滴吐出ヘッドに装着する方式のキャップは、ノズル面の当接部分に汚れが付着すると、その汚れがノズル面に付着してしまうという欠点がある。

　本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、密閉性を確保しつつ液滴吐出ヘッドへのキャップの装着を容易にできる液滴吐出装置を提供することを目的とする。

　上記目的を達成するための手段は、次のとおりである。

　第１の態様は、先端にノズル面を備え、ノズル面に備えられたノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、液滴吐出ヘッドのノズル面を覆うキャップと、液滴吐出ヘッドとキャップとを相対的に移動させて、液滴吐出ヘッドにキャップを装着させる移動手段と、を備える液滴吐出装置であって、キャップは、開口部を備えた箱体で構成され、開口部がノズル面に対向して配置されるキャップ本体と、第１枠体構成要素と第２枠体構成要素とに分割可能な枠体で構成され、キャップ本体の開口部の周縁に沿って配置されて、液滴吐出ヘッドの先端部分の外周を囲う封止部材であって、第１枠体構成要素が、キャップ本体に備えられ、第２枠体構成要素が、液滴吐出ヘッドに備えられ、液滴吐出ヘッドにキャップが装着されると、一体化されて枠体を構成し、液滴吐出ヘッドの先端部分の外周を囲う封止部材と、を備える液滴吐出装置である。

　本態様によれば、キャップは、箱体で構成されるキャップ本体と、枠体で構成される封止部材とを備えて構成される。液滴吐出ヘッドは、キャップが装着されると、ノズル面（液滴を吐出するためのノズルが備えられる面）がキャップ本体の開口部と対向して配置される。また、先端部分の外周が封止部材で囲われる。液滴吐出ヘッドの先端部分の外周を封止部材で囲うことにより、キャップ本体とノズル面との隙間に外気が入り込みにくい構造となり、密閉性を確保することができる。枠体で構成される封止部材は、第１枠体構成要素と第２枠体構成要素とに分割可能に構成され、液滴吐出ヘッドをキャップに装着すると、一体化されて液滴吐出ヘッドの先端部分の外周を囲う構造とされる。これにより、装着に要する位置決めの精度を緩和でき、容易に液滴吐出ヘッドにキャップを装着することができる。

　第２の態様は、第１の態様の液滴吐出装置において、封止部材は、第１枠体構成要素の内周部に弾性部材を備える態様である。

　本態様によれば、キャップ本体側に備えられる第１枠体構成要素の内周部に弾性部材が備えられる。液滴吐出ヘッドにキャップが装着されると、弾性部材が液滴吐出ヘッドの先端部分の外周面に密着する。これにより、密閉性が更に向上する。

　第３の態様は、第１又は２の態様の液滴吐出装置において、キャップは、キャップ本体が一定位置に固定され、移動手段は、液滴吐出ヘッドを移動させて、液滴吐出ヘッドにキャップを装着させる態様である。

　本態様によれば、液滴吐出ヘッドがキャップ本体の設置位置に移動して、液滴吐出ヘッドにキャップが装着される。キャップ本体を固定して設置することにより、キャップ側の構造を簡素化することができる。

　第４の態様は、第１から３のいずれか１の態様の液滴吐出装置において、第１枠体構成要素と第２枠体構成要素との接合部がテーパ形状を有し、一定の隙間をもって接合される態様である。

　本態様によれば、封止部材を構成する第１枠体構成要素と第２枠体構成要素との接合部がテーパ形状を有し、一定の隙間をもって接合される。これにより、密閉性を確保しつつ、更に装着を容易にすることができる。すなわち、隙間をもって接合する構成とすることにより、装着時の衝突による衝撃を防止することができる。また、装着に一定のクリアランスを確保でき、装着に要する位置決め精度を緩和することができる。その一方で接合部に隙間が生じることにより、密閉性が低下するが、接合部をテーパ形状とすることにより、外気が入り込みにくい構造とすることができ、一定の密閉性を確保することができる。

　第５の態様は、第１から３のいずれか１の態様の液滴吐出装置において、第１枠体構成要素と第２枠体構成要素との接合部がラビリンス構造を有し、一定の隙間をもって接合される態様である。

　本態様によれば、封止部材を構成する第１枠体構成要素と第２枠体構成要素との接合部がラビリンス構造を有し、一定の隙間をもって接合される。これにより、密閉性を確保しつつ、更に装着を容易にすることができる。すなわち、隙間をもって接合する構成とすることにより、装着時の衝突による衝撃を防止することができる。また、装着に一定のクリアランスを確保でき、装着に要する位置決め精度を緩和することができる。その一方で接合部に隙間が生じることにより、密閉性が低下するが、接合部をラビリンス構造とすることにより、外気が入り込みにくい構造とすることができ、一定の密閉性を確保することができる。

　第６の態様は、第１から５のいずれか１の態様の液滴吐出装置において、移動手段は、ノズル面に沿った第１方向と、ノズル面と直交する第２方向と、に液滴吐出ヘッドを移動可能に構成され、移動手段を制御する制御部を更に備え、制御部は、液滴吐出ヘッドにキャップを装着する場合、液滴吐出ヘッドを第１方向に移動させて装着位置まで移動させ、その後、液滴吐出ヘッドをキャップ本体に向けて第２方向に移動させて、液滴吐出ヘッドにキャップを装着させ、液滴吐出ヘッドからキャップを外す場合、液滴吐出ヘッドを第２方向に移動させて離脱位置まで移動させ、その後、第１方向に移動させて、液滴吐出ヘッドからキャップを外す態様である。

　本態様によれば、液滴吐出ヘッドが、移動手段によって、ノズル面に沿った第１方向と、ノズル面と直交する第２方向と、に移動可能に設けられる。液滴吐出ヘッドの移動は制御部で制御される。制御部は、液滴吐出ヘッドを第１方向に移動させて装着位置まで移動させ、その後、液滴吐出ヘッドをキャップ本体に向けて第２方向に移動させて、液滴吐出ヘッドにキャップを装着させる。また、液滴吐出ヘッドを第２方向に移動させて離脱位置まで移動させ、その後、第１方向に移動させて、液滴吐出ヘッドからキャップを外す。これにより、２方向の移動で液滴吐出ヘッドにキャップを着脱することができる。

　第７の態様は、第６の態様の液滴吐出装置において、液滴吐出ヘッドは、先端部分の外周が四角形状を有し、封止部材は、四角形状の枠体で構成され、第１方向と平行な２辺を含む枠体の３辺を構成する第１枠体構成要素と、枠体の残り１辺を構成する第２枠体構成要素とに分割可能に構成される態様である。

　本態様によれば、液滴吐出ヘッドの先端部分（封止部材で囲われる部分）の外周が、四角形状に形成される。また、これに対応して、封止部材が四角形状の枠体で構成される。更に、封止部材は、第１方向と平行な２辺を含む枠体の３辺を構成する第１枠体構成要素と、枠体の残り１辺を構成する第２枠体構成要素とに分割可能に構成される。これにより、液滴吐出ヘッド側に備える構成を簡素化することができ、液滴吐出ヘッドの移動時や液滴吐出時に第２枠体構成要素が他の部材に干渉するのを防止できる。

　第８の態様は、第７の態様の液滴吐出装置において、第１枠体構成要素は、液滴吐出ヘッドが離脱位置に位置したときに、液滴吐出ヘッドの先端部分の外周を囲うことができる高さを有する態様である。

　本態様によれば、液滴吐出ヘッドを離脱位置に移動させたときにも、液滴吐出ヘッドの先端部分の外周を囲うことができるように、第１枠体構成要素が構成される。これにより、キャップから液滴吐出ヘッドを引き上げた際に液滴吐出ヘッドから垂れ落ちる液体で周囲が汚れるのを防止することができる。

　第９の態様は、第８の態様の液滴吐出装置において、第１方向に移動する液滴吐出ヘッドの移動経路上に設置され、離脱位置から第１方向に移動する液滴吐出ヘッドのノズル面に接触して、ノズル面を払拭する払拭部材を更に備える態様である。

　本態様によれば、液滴吐出ヘッドのノズル面を払拭する払拭部材が備えられる。払拭部材は、離脱位置から第１方向に移動する液滴吐出ヘッドのノズル面に接触するように配置される。これにより、液滴吐出ヘッドの先端部分の外周を第１枠体構成要素で囲ったまま液滴吐出ヘッドを第１方向に移動させることができ、かつ、ノズル面を払拭することができるので、キャップからの取り外し時に周囲が汚れるのを防止することができる。

　第１０の態様は、第６から９のいずれか１の態様の液滴吐出装置において、液滴吐出ヘッドは、第１方向と平行な軸の周りに回転して、ノズル面が水平面に対して傾斜して設置される態様である。

　本態様によれば、液滴吐出ヘッドのノズル面が水平面に対して傾斜して配置される。ノズル面が水平面に対して傾斜して設置された液滴吐出ヘッドの場合、パージしたときにノズルから排出された液体が、ノズル面を伝って流れ落ちるが、液滴吐出ヘッドの先端部分の外周を封止部材で囲って封止する構造とすることにより、周囲を汚すことなく、ノズル面から流れ落ちる液体を回収することができる。

　第１１の態様は、第１０の態様の液滴吐出装置において、液滴吐出ヘッドは、第１方向に沿ってノズルが配列された長尺のラインヘッドで構成される態様である。

　本態様によれば、液滴吐出ヘッドが第１方向に沿ってノズルが配列された長尺のラインヘッドで構成される。これにより、液滴吐出ヘッドの長手方向の端部に第２枠体構成要素を配置することができる。

　第１２の態様は、第１から１１のいずれか１の態様の液滴吐出装置において、キャップ本体は、保湿液が貯留される液保持部を有する態様である。

　本態様によれば、キャップ本体の内部に液保持部が備えられる。これにより、キャップ本体の内部の湿度を一定に保つことができ、より保湿性を向上させることができる。

　本発明によれば、密閉性を確保しつつ液滴吐出ヘッドへのキャップの装着を容易にでき、また、キャップの使用に伴う汚れを防止できる。

図１は、インクジェット記録装置の全体の概略構成図である。 図２は、ヘッドの先端部分の構成を示す斜視図である。 図３は、ヘッドのノズル面の一部を拡大した拡大図である。 図４は、ヘッドモジュールのノズル面に備えられるノズル配置部の平面図である。 図５は、ヘッド移動機構の概略構成を示す側面図である。 図６は、ヘッド移動機構の概略構成を示す正面図である。 図７は、描画部及びメンテナンス部の構成を模式的に示す平面図である。 図８は、メンテナンス部の構成を示す斜視図である。 図９は、キャップの全体構成を示す側面図である。 図１０は、キャップの全体構成を示す平面図である。 図１１は、キャップの一部を拡大した斜視図である。 図１２は、ヘッドをキャップに装着する際の手順を示す側面図である。 図１３は、ヘッドをキャップに装着する際の手順を示す平面図である。 図１４は、キャップ時の状態を示す断面図である。 図１５は、パージ時の状態を示す断面図である。 図１６は、キャップの変形例を示す要部拡大断面図である。 図１７は、キャップの変形例を示す要部拡大断面図である。

　以下、添付図面に従って本発明を実施するための形態について詳説する。

　ここでは、液滴吐出装置として、インクジェット記録装置を例に説明する。

　《インクジェット記録装置》
　〔全体構成〕
　まず、インクジェット記録装置の全体構成について概説する。

　図１は、インクジェット記録装置の全体の概略構成図である。

　同図に示すインクジェット記録装置１０は、用紙（枚葉紙）Ｐにマゼンタ（Ｍ）、クロ（Ｋ）、シアン（Ｃ）、イエロ（Ｙ）の４色のインクを打滴してカラー画像を描画するカラーインクジェット記録装置である。インクジェット記録装置１０は、主として、給紙部１２、処理液塗布部１４、描画部１６、乾燥部１８、定着部２０、排紙部２２、メンテナンス部（不図示）を備えて構成される。

　〈給紙部〉
　給紙部１２は、給紙処理を行う。

　給紙部１２は、主として、給紙トレイ５０と、給紙装置（不図示）とを備えて構成される。

　給紙トレイ５０は、用紙Ｐの収容手段であり、用紙Ｐを積層した状態（用紙束の状態）で収容（スタック）する。

　給紙装置（不図示）は、給紙トレイ５０にセットされた用紙Ｐを上から順に１枚ずつ処理液塗布部１４に給紙する。

　〈処理液塗布部〉
　処理液塗布部１４は、インク打滴前の前処理として所定の処理液を用紙Ｐの記録面に塗布する。この処理液は、インク中の色材を凝集させる機能を有する処理液である。このような処理液を事前に用紙Ｐに塗布することにより、インク打滴時にインク中の色材と溶媒との分離を促進することができ、ブリーディング等の発生を抑制することができる。

　処理液塗布部１４は、主として、給紙胴５２と、処理液ドラム５４と、処理液塗布装置５６とを備えて構成される。

　給紙胴５２は、用紙Ｐの搬送手段であり、給紙部１２から給紙される用紙Ｐを受け取り、処理液ドラム５４に受け渡す。

　処理液ドラム５４は、用紙Ｐの搬送手段であり、用紙Ｐを周面に巻き付けて回転することにより、用紙Ｐを搬送する。処理液ドラム５４にはグリッパ５５が備えられる。処理液ドラム５４は、このグリッパ５５で用紙Ｐの先端を把持して、回転することにより、用紙Ｐを周面に巻き付けて搬送する。

　処理液塗布装置５６は、処理液の塗布手段であり、処理液ドラム５４によって搬送される用紙Ｐに処理液を塗布する。

　用紙Ｐは、処理液ドラム５４によって搬送される過程で記録面に処理液が塗布される。

　処理液が塗布された用紙Ｐは、処理液ドラム５４から中間搬送部２６を介して描画部１６の描画ドラム７０へと受け渡される。

　〈描画部〉
　描画部１６は、用紙Ｐにインクを打滴して、描画処理を行う。

　描画部１６は、主として、描画ドラム７０と、用紙押えローラ７４と、インクジェットヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙ（以下、単に「ヘッド」と記載する。）とを備えて構成される。

　描画ドラム７０は、用紙Ｐの搬送手段であり、用紙Ｐを周面に巻き付けて回転することにより、用紙Ｐを搬送する。描画ドラム７０にはグリッパ７１が備えられる。描画ドラム７０は、このグリッパ７１で用紙Ｐの先端部を把持して、回転することにより、用紙Ｐを周面に巻き付けて搬送する。また、描画ドラム７０には、吸着機構（不図示）が備えられる。描画ドラム７０は、この吸着機構により、用紙Ｐを周面に吸着保持して搬送する。吸着には、たとえば、空気圧（負圧）や静電気が利用される。

　用紙押えローラ７４は、描画ドラム７０への用紙Ｐの押圧手段であり、描画ドラム７０の周面に巻き付けられる用紙Ｐの表面を押圧して、用紙Ｐを描画ドラム７０の周面に密着させる。

　液滴吐出ヘッドとしてのヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙは、画像を描画するための描画手段であり、それぞれ描画ドラム７０によって搬送される用紙Ｐに向けてマゼンタ、クロ、シアン、イエロのインク滴を吐出して、用紙Ｐにカラー画像を描画する。

　ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙは、用紙幅に相当する長さを備えた長尺のラインヘッドで構成される。各ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙは、描画ドラム７０による用紙Ｐの搬送方向と直交して配置され、かつ、描画ドラム７０の外周に沿って一定の間隔で配置される。このため、各ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙは、先端に備えられるノズル面が水平面に対して傾斜して配置される。

　用紙Ｐは、描画ドラム７０によって搬送される過程でヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙからマゼンタ、クロ、シアン、イエロの各色のインクが打滴されて画像が描画される。

　インクとしては、たとえば、高沸点溶媒及びポリマー微粒子（熱可塑性樹脂粒子）を含んだインクが使用される。

　画像が描画された用紙Ｐは、描画ドラム７０から中間搬送部２８を介して乾燥部１８の乾燥ドラム７６に受け渡される。

　〈乾燥部〉
　乾燥部１８は、描画後の用紙Ｐを乾燥処理する。すなわち、インク打滴後の用紙Ｐからインクの溶媒成分を乾燥除去する。

　乾燥部１８は、主として、乾燥ドラム７６と、溶媒乾燥装置７８とを備えて構成される。

　乾燥ドラム７６は、用紙Ｐの搬送手段であり、用紙Ｐを周面に巻き付けて回転することにより、用紙Ｐを搬送する。乾燥ドラム７６にはグリッパ７７が備えられる。乾燥ドラム７６は、このグリッパ７７で用紙Ｐの先端部を把持して、回転することにより、用紙Ｐを周面に巻き付けて搬送する。

　溶媒乾燥装置７８は、用紙Ｐの乾燥手段であり、乾燥ドラム７６によって搬送される用紙Ｐに温風を吹き当てて、溶媒を乾燥除去する。溶媒乾燥装置７８は、乾燥ドラム７６による用紙Ｐの搬送経路に沿って配置される複数のヒータ８０と、各ヒータ８０の間に配置される複数の温風噴出しノズル８２とで構成される。

　用紙Ｐは、乾燥ドラム７６によって搬送される過程で溶媒乾燥装置７８から温風が吹き当てられて乾燥処理される。

　乾燥部１８で乾燥処理された用紙Ｐは、乾燥ドラム７６から中間搬送部３０を介して定着部２０の定着ドラム８４に受け渡される。

　〈定着部〉
　定着部２０は、用紙Ｐに記録された画像の定着処理及び検査を行う。

　定着部２０は、主として、定着ドラム８４と、ヒータ８６と、定着ローラ８８と、インラインセンサ９０とを備えて構成される。

　定着ドラム８４は、用紙Ｐの搬送手段であり、用紙Ｐを周面に巻き付けて回転することにより、用紙Ｐを搬送する。定着ドラム８４にはグリッパ８５が備えられる。定着ドラム８４は、このグリッパ８５で用紙Ｐの先端部を把持して、回転することにより、用紙Ｐを周面に巻き付けて搬送する。

　ヒータ８６は、用紙Ｐの加熱手段であり、定着ドラム８４によって搬送される用紙Ｐを予備加熱する。

　定着ローラ８８は、画像の定着手段であり、定着ドラム８４によって搬送される用紙Ｐを加熱加圧することにより、インク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させる。

　インラインセンサ９０は、用紙Ｐに描画された画像の読取手段であり、たとえば、ラインセンサで構成される。このインラインセンサ９０で読み取られた画像情報（濃度測定用のテストチャートや不吐出検出用のテストパターンなどを含む）に基づいて、画像の濃度や画像の欠陥などが検出される。

　用紙Ｐは、定着ドラム８４によって搬送される過程でヒータ８６によって予備加熱され、その後、定着ドラム８４によって加熱加圧されて、描画された画像が定着される。また、必要に応じて、定着処理後、インラインセンサ９０によって、画像の読み取りが行われ、読み取られた画像に基づいて、各種検査が行われる。

　〈排紙部〉
　排紙部２２は、描画後の用紙Ｐの回収処理を行う。

　排紙部２２は、主として、排紙トレイ９２と、チェーンコンベア９４とを備えて構成される。

　排紙トレイ９２は、用紙Ｐの収容手段であり、用紙Ｐを積層した状態で収容（スタック）する。

　チェーンコンベア９４は、用紙Ｐの搬送手段であり、定着ドラム８４から用紙Ｐを受け取り、排紙トレイ９２まで搬送して、排紙トレイ内に排紙する。

　〈メンテナンス部〉
　メンテナンス部は、ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙのメンテナンスを行う。

　メンテナンス部には、ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙのノズル面を払拭するノズル面払拭装置と、ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙのノズル面を覆うキャップとが備えられる。

　ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙは、不使用の状態が長時間続くと、ノズルからの溶媒乾燥によって不吐出や吐出方向不良が生じるため、一定時間以上継続して不使用にする場合は、メンテナンス部において、ノズル面がキャップで覆われる。

　また、メンテナンスの一環として、ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙは、パージ（吐出以外の方法でノズルからインクを排出する処理）が行われるが、このパージもメンテナンス部で行われる。すなわち、ノズル面をキャップで覆った状態でインクを排出することにより、パージが行われる。

　また、ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙは、ノズル面に汚れが付着すると、吐出方向不良などの吐出不良が生じることから、定期的にメンテナンス部において、ノズル面がノズル面払拭装置によって払拭される。

　メンテナンス部については、後に詳述する。

　〔インクジェット記録装置による画像記録の概要〕
　給紙部１２から給紙された用紙Ｐは、給紙胴５２を介して、処理液ドラム５４に受け渡される。

　処理液ドラム５４に受け渡された用紙Ｐは、処理液ドラム５４によって搬送される過程で処理液塗布装置５６によって記録面に処理液が塗布される。処理液が塗布された用紙Ｐは、処理液ドラム５４から中間搬送部２６を介して描画部１６の描画ドラム７０へと受け渡される。

　描画ドラム７０に受け渡された用紙Ｐは、描画ドラム７０によって搬送される過程でヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙによってマゼンタ、クロ、シアン、イエロの各色のインクが記録面に打滴されて、記録面に画像が描画される。画像が描画された用紙Ｐは、描画ドラム７０から中間搬送部２８を介して乾燥部１８の乾燥ドラム７６に受け渡される。

　乾燥ドラム７６に受け渡された用紙は、乾燥ドラム７６によって搬送される過程で溶媒乾燥装置７８から温風が吹き当てられ、乾燥処理が施される。乾燥処理された用紙Ｐは、乾燥ドラム７６から中間搬送部３０を介して定着部２０の定着ドラム８４に受け渡される。

　定着ドラム８４に受け渡された用紙Ｐは、定着ドラム８４によって搬送される過程でヒータ８６、定着ローラ８８によって定着処理が施される（その後、必要に応じて、インラインセンサ９０によって、画像の読み取りが行われる。）。

　定着処理された画像は、排紙部２２のチェーンコンベア９４に受け渡され、チェーンコンベア９４で排紙トレイ９２まで搬送されて、排紙トレイ９２に回収される。

　《ヘッド》
　次に、ヘッドについて概説する。

　本実施の形態のインクジェット記録装置１０には、４本のヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙが備えられているが、各ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙの構成は同じなので、ここでは、ヘッド７２として、その説明を行う。

　図２は、ヘッドの先端部分の構成を示す斜視図である。

　上記のように、本実施の形態のヘッド７２は、長尺のラインヘッドで構成される。吐出部であるヘッド７２の先端部分は、ブロック形状（直方体形状）を有し、先端にノズル面７２Ａを有する。インクを吐出するノズルは、このノズル面７２Ａに備えられる。

　また、本例のヘッド７２は、複数のヘッドモジュール７２－ｉ（ｉ＝１、２…ｎ）を１列に繋ぎ合わせて構成される。各ヘッドモジュール７２－ｉは、支持フレーム３１０に取り付けられて一体化され、１列に繋ぎ合わされる。各ヘッドモジュール７２－ｉは、支持フレーム３１０に着脱自在に取り付けられ、交換可能に構成される。

　なお、図２の符号３１２は、各ヘッドモジュール７２－ｉから伸びる電気接続用のケーブルである。

　図３は、ヘッドのノズル面の一部を拡大した拡大図である。

　各ヘッドモジュール７２－ｉのノズル面７２－ｉＡは、平行四辺形状とされる。各ヘッドモジュール７２－ｉが繋ぎ合わされることにより、各ヘッドモジュール７２－ｉのノズル面７２－ｉＡが繋ぎ合わされて、全体として１つのノズル面７２Ａが形成される。

　なお、支持フレーム３１０の両端には、ダミープレート７２－Ｄが取り付けられる。この結果、ヘッド７２のノズル面７２Ａは、ダミープレートの表面（ノズル面に相当）７２－ＤＡと合わせて、全体として長方形状に形成される。

　各ヘッドモジュール７２－ｉのノズル面７２－ｉＡの中央部分には、帯状のノズル配置部７２－ｉａ（実質的なノズル面）が備えられる。ノズル３５０は、このノズル配置部７２－ｉａに備えられる。

　図４は、ヘッドモジュールのノズル面に備えられるノズル配置部の平面図である。同図において、Ｙは用紙Ｐの搬送方向（副走査方向）であり、Ｘはヘッド７２の長手方向（主走査方向）である。

　図４に示すように、ノズル配置部７２－ｉａには、ノズル３５０がマトリクス状に配列される。より詳しくは、Ｘ方向（行方向）に対して所定角度（γ）傾斜する直線Ｖに沿ってノズル３５０が一定のピッチで配列され、かつ、Ｙ方向に対して所定角度（α）傾斜した直線Ｗに沿ってノズル３５０が一定のピッチで配列される。このようにノズル３５０を配列することにより、主走査方向（Ｘ方向）に投影される実質的なノズル３５０の間隔を狭めることができ、ノズル３５０を高密度に配置することができる。なお、この場合におけるノズル３５０の実質的な配列方向はＸ方向（主走査方向）となる。

　《メンテナンス部》
　上記のように、メンテナンス部２４は、ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙのメンテナンスを行う。

　メンテナンス部は、描画部１６に隣接して設置される。ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙのメンテナンスを行う場合は、ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙをメンテナンス部に移動させて行う。このため、インクジェット記録装置１０には、移動手段としてのヘッド移動機構１３０が備えられる。

　〔ヘッド移動機構〕
　図５、図６は、それぞれヘッド移動機構の概略構成を示す側面図、正面図である。

　ヘッド移動機構１３０は、各ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙをノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹに沿って長手方向に移動させるとともに、各ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙをノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹと直交する方向に移動させる。ヘッド移動機構１３０は、ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙを支持するヘッド支持フレーム１４０と、ヘッド支持フレーム１４０を移送するフレーム移送装置１４２とを備えて構成される。

　ヘッド支持フレーム１４０は、ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙの両端部を支持して、各ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙを描画ドラム７０の回転軸と平行に支持する。

　ヘッド支持フレーム１４０には、各ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙの両端部を支持する一対のヘッド支持部１４４が備えられる。ヘッド支持部１４４は、ヘッドごとに備えられ、描画ドラム７０の回転軸を中心とした同心円上に一定の間隔をもって配置される。

　各ヘッド支持部１４４には、支持したヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙを昇降させるヘッド昇降手段（不図示）が備えられる。ヘッド昇降手段は、支持したヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙを描画ドラム７０の径方向に沿って昇降させる（支持したヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙのノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹと直交する方向（第２方向）に昇降移動させる。）。

　フレーム移送装置１４２は、ヘッド支持フレーム１４０をヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙの長手方向に沿って移送する。フレーム移送装置１４２は、一対のガイドレール１４６と、送り装置１４８とを備えて構成される。

　一対のガイドレール１４６は、描画ドラム７０の回転軸に沿って水平に配設される。ヘッド支持フレーム１４０は、このガイドレール１４６にスライダ１４７を介してスライド自在に支持される。

　送り装置１４８は、ネジ棒１４８Ａと、ネジ棒１４８Ａに螺合されるナット部材１４８Ｂと、ネジ棒１４８Ａを回転させるモータ１４８Ｃとを備えて構成される。

　ネジ棒１４８Ａは、描画ドラム７０の回転軸に沿って水平に配設される。ネジ棒１４８Ａは、一対のガイドレール１４６の間に配置される。

　ナット部材１４８Ｂは、ネジ棒１４８Ａに螺合され、かつ、ヘッド支持フレーム１４０に連結される。これにより、ネジ棒１４８Ａを回転させると、ヘッド支持フレーム１４０が、ガイドレール１４６に沿って移動する。

　モータ１４８Ｃは、ネジ棒１４８Ａを正逆回転可能に駆動する。モータ１４８Ｃを正回転させると、ヘッド支持フレーム１４０が、ガイドレール１４６に沿って、描画部１６からメンテナンス部に向かって移動する。また、モータ１４８Ｃを逆回転させると、ヘッド支持フレーム１４０が、ガイドレール１４６に沿って、メンテナンス部から描画部１６に向かって移動する。

　以上のように構成されるヘッド移動機構１３０は、モータ１４８Ｃを駆動することにより、各ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙを長手方向に移動させる（第１方向に移動する。）。また、ヘッド支持フレーム１４０のヘッド支持部１４４に備えられたヘッド昇降手段（不図示）を動作させることにより、各ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙをノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹと直交する方向（第２方向）に移動（昇降）させる。

　なお、このヘッド移動機構１３０によるヘッド７２の移動は、図示しない制御部によって制御される。

　〔メンテナンス部〕
　図７は、描画部及びメンテナンス部の構成を模式的に示す平面図である。また、図８は、メンテナンス部の構成を示す斜視図である。

　メンテナンス部２４には、ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙのノズル面を払拭するノズル面払拭装置１６０Ｍ、１６０Ｋ、１６０Ｃ、１６０Ｙと、ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙのノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹを覆うキャップ２００Ｍ、２００Ｋ、２００Ｃ、２００Ｙとが備えられる。

　〈ノズル面払拭装置〉
　ノズル面払拭装置１６０Ｍ、１６０Ｋ、１６０Ｃ、１６０Ｙは、各ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙのノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹを個別に払拭して、ノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹを清掃する。ノズル面払拭装置１６０Ｍ、１６０Ｋ、１６０Ｃ、１６０Ｙは、ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙごとに設けられる。

　ノズル面払拭装置１６０Ｍ、１６０Ｋ、１６０Ｃ、１６０Ｙは、長手方向に沿って移動するヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙの移動経路上に設置される。ノズル面払拭装置１６０Ｍ、１６０Ｋ、１６０Ｃ、１６０Ｙは、描画部１６とメンテナンス部２４との間を移動するヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙのノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹに払拭部材を当接させて、ノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹを払拭する。

　本実施の形態のノズル面払拭装置１６０Ｍ、１６０Ｋ、１６０Ｃ、１６０Ｙは、払拭ウェブ１９２（払拭部材）を当接させて、ノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹをそれぞれ払拭する。

　払拭ウェブ１９２は、図示しない送り装置によって一定速度で送られながら、押圧ローラ１９４でノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹに押し当てられる（一方のリール（供給リール）から他方のリール（巻取リール）に巻き取られて一定速度で走行する払拭ウェブ１９２を押圧ローラ１９４でノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹに押し当てて、ノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹを払拭する。）。

　ノズル面払拭装置１６０Ｍ、１６０Ｋ、１６０Ｃ、１６０Ｙには、払拭ウェブ１９２を湿潤させる湿潤手段（不図示）が備えられる。ノズル面払拭装置１６０Ｍ、１６０Ｋ、１６０Ｃ、１６０Ｙは、必要に応じて払拭ウェブ１９２を湿潤させて、ノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹを払拭する。

　ノズル面払拭装置１６０Ｍ、１６０Ｋ、１６０Ｃ、１６０Ｙは、この他、ノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹにブレードを当接させて払拭する態様とすることもできる。

　〈キャップ〉
　キャップ２００Ｍ、２００Ｋ、２００Ｃ、２００Ｙは、ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙの先端部分を覆って、ノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹを密封する。

　キャップ２００Ｍ、２００Ｋ、２００Ｃ、２００Ｙは、ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙごとに備えられる。キャップ２００Ｍ、２００Ｋ、２００Ｃ、２００Ｙは、各ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙのノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹに合わせて設置される。すなわち、ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙの長手方向（第１方向）に沿って配置され、各ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙがメンテナンス部２４に移動した際、各ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙのノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹに対向するように配置される。特に、本実施の形態のインクジェット記録装置１０では、ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙのノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹが傾斜して設置されているため、キャップ２００Ｍ、２００Ｋ、２００Ｃ、２００Ｙも傾斜して設置される。

　キャップ２００Ｍ、２００Ｋ、２００Ｃ、２００Ｙの構成については、後に更に詳述する。

　ノズル面払拭装置１６０Ｍ、１６０Ｋ、１６０Ｃ、１６０Ｙ、及び、キャップ２００Ｍ、２００Ｋ、２００Ｃ、２００Ｙの下には、廃液トレイ１５４が備えられる。ノズル面払拭装置１６０Ｍ、１６０Ｋ、１６０Ｃ、１６０Ｙと、キャップ２００Ｍ、２００Ｋ、２００Ｃ、２００Ｙとは、この廃液トレイ１５４の内側に設置される。廃液トレイ１５４には、廃液回収配管１５６を介して廃液タンク１５８が接続される。キャップ２００Ｍ、２００Ｋ、２００Ｃ、２００Ｙに供給された保湿液や、キャップ２００Ｍ、２００Ｋ、２００Ｃ、２００Ｙにパージされたインクは、廃液トレイ１５４に廃液され、廃液タンク１５８に回収される。

　《キャップの詳細》
　上記のように、キャップ２００Ｍ、２００Ｋ、２００Ｃ、２００Ｙは、ヘッド７２Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙの先端部分を覆って、ノズル面７２ＡＭ、７２ＡＫ、７２ＡＣ、７２ＡＹを密封する。

　なお、各キャップ２００Ｍ、２００Ｋ、２００Ｃ、２００Ｙの構造は同じなので、以下においては、キャップ２００として、その説明を行う。

　図９、図１０は、それぞれキャップの全体構成を示す側面図、平面図である。また、図１１は、キャップの一部を拡大した斜視図である。

　キャップ２００は、主として、キャップ本体２０２と、キャップ本体２０２の開口部２０４に沿って配置される封止部材２２０と、を備えて構成される。

　キャップ本体２０２は、開口部２０４を備えた箱体として構成され、ヘッド７２の先端部分を収容可能に構成される。ここでは、長尺のラインヘッドとして構成されるヘッド７２に合わせて長尺の箱体として構成される。

　キャップ本体２０２の内部には、保湿液を貯留するための液保持部２０６が備えられる。液保持部２０６は、溝形状を有し、キャップ本体２０２の長手方向に沿って配置される。

　液保持部２０６の内部には、長手方向に沿って仕切板２０８が配置される。液保持部２０６の内部は、この仕切板２０８によって、傾斜方向上側に位置する第１貯留部２０６Ａと、傾斜方向下側に位置する第２貯留部２０６Ｂとに２分割される（図１１参照）。

　液保持部２０６の底面には、液保持部２０６を挟んで、傾斜方向上側に位置する上段部２１０と、傾斜方向下側に位置する下段部２１２とが備えられる。上段部２１０は、液保持部２０６の上縁部とほぼ同じ高さを有する面で構成され、下段部２１２は、液保持部２０６の底部とほぼ同じ高さを有する面で構成される。

　上段部２１０には、キャップ本体２０２の長手方向に沿って複数の保湿液供給口２１４が備えられる。各保湿液供給口２１４には、それぞれ保湿液供給管２１６が接続される（図１４参照）。保湿液供給管２１６は、図示しない保湿液供給装置に接続される。保湿液供給装置から保湿液を供給すると、保湿液供給口２１４からキャップ本体２０２内に保湿液が供給される。供給された保湿液は、上段部２１０を流れて、液保持部２０６に貯留される。

　下段部２１２には、キャップ本体２０２の長手方向に沿って複数のドレーン口２１８が備えられる。液保持部２０６から溢れ出た保湿液やヘッド７２からパージされたインクは、下段部２１２で回収されて、ドレーン口２１８から廃液される。ドレーン口２１８から廃液されたインク等は、廃液トレイ１５４で回収される。

　封止部材２２０は、全体として四角形状の枠体として構成され、キャップ本体２０２の開口部２０４の周縁に沿って配置される。封止部材２２０は、第１枠体構成要素２２２と、第２枠体構成要素２２４とに分割可能に構成され、合体して枠体を構成する。

　第１枠体構成要素２２２は、キャップ本体２０２の長手方向（第１方向）と平行な２辺を含む枠体の３辺を構成し、平面視で概略Ｕ字形状を有する。第２枠体構成要素２２４は、枠体の残り１辺（片側の短辺）を構成し、平面視で概略Ｉ字形状を有する。

　第１枠体構成要素２２２は、キャップ本体２０２に一体的に設けられ、第２枠体構成要素２２４は、ヘッド７２に設けられる。第１枠体構成要素２２２と第２枠体構成要素２２４とは、ヘッド７２にキャップ２００を装着すると、一体化して、ヘッド７２の先端部分の外周を囲う。

　第１枠体構成要素２２２は、下端部分にフランジ部２２２Ａが備えられる。一方、キャップ本体２０２には、開口部２０４の周縁に沿ってフランジ部２０２Ａが備えられる。第１枠体構成要素２２２は、フランジ部２２２Ａをキャップ本体２０２のフランジ部２０２Ａにボルト２２６で固定することにより、キャップ本体２０２に一体的に取り付けられる。

　キャップ本体２０２に一体的に取り付けられた第１枠体構成要素２２２は、キャップ本体２０２の開口部２０４を囲うようにして垂直に伸びる壁体として、キャップ本体２０２に一体化される。

　第１枠体構成要素２２２の内周部には、シールとしての弾性部材２２８が備えられる。弾性部材２２８は、ヘッド７２の装着時にヘッド７２の先端部分の外周に密着して、ヘッド７２との間に形成される隙間を封止する。弾性部材２２８は、たとえば、ゴムやブラシ、フェルトなどで構成することができる。特に、中空のシリコンゴムをフッ素コーティングしたものが好適に用いられる。

　ヘッド７２に備えられる第２枠体構成要素２２４は、ヘッド７２の長手方向の一端に取り付けられる。第２枠体構成要素２２４は、第１枠体構成要素２２２の短辺に対応した形状を有する。

　《キャップの作用》
　〔キャップへの装着〕
　図１２、図１３は、ヘッドをキャップに装着する際の手順を示す側面図、平面図である。

　ヘッド７２にキャップ２００を装着する場合は、ヘッド７２をメンテナンス部２４に移動させる。このキャップ装着時のヘッド７２の移動は、制御部（不図示）によって制御される。

　描画ドラム７０上に配置されたヘッド７２は、まず、ノズル面７２Ａと直交する方向に移動して、描画ドラム７０の周面から所定高さの退避位置に移動（退避）する。図１２の（Ａ）部、図１３の（Ａ）部は、ヘッド７２が退避位置に位置した状態を示している。

　この後、ヘッド７２は、メンテナンス部２４に向けて水平に移送される（ノズル面７２Ａに沿って長手方向（第１方向）に移送される。）。

　メンテナンス部２４に向けて水平に移送されたヘッド７２は、図１２の（Ｂ）部、図１３の（Ｂ）部に示すように、移動方向の先端部がキャップ２００の封止部材２２０の第１枠体構成要素２２２に嵌まる。

　ヘッド７２は、キャップ２００の真上の位置（装着位置）まで移送されると停止する。図１２の（Ｃ）部、図１３の（Ｃ）部に示すように、ヘッド７２が装着位置に移送されると、ヘッド７２に備えられた第２枠体構成要素２２４が、第１枠体構成要素２２２に接合し、ヘッド７２の先端部分が第１枠体構成要素２２２と第２枠体構成要素２２４とからなる封止部材２２０によって囲われる。また、この位置において、ヘッド７２は、そのノズル面７２Ａが、キャップ本体２０２の開口部２０４と対向して配置される。

　この後、ヘッド７２は、キャップ本体２０２に向けてノズル面７２Ａに直交する方向（第２方向）に所定量移動し、キャップ２００に装着される（図１３の（Ｄ）部）。

　このように、本実施の形態のキャップ２００によれば、封止部材２２０が分割して構成されるため、開口部に直接嵌入させる方式のキャップに比べて、簡単にキャップ２００をヘッド７２に装着することができる。

　また、ヘッド７２の先端部の外周部分を封止部材２２０で囲ってノズル面７２Ａを封止するため、ノズル面７２Ａに他の部材が接触することがなく、ノズル面７２Ａを汚さずに封止することができる。

　〔保湿〕
　図１４は、キャップ時の状態を示す断面図である。

　同図に示すように、ヘッド７２にキャップ２００が装着されると、ヘッド７２の先端部分が、キャップ本体２０２に収容される。この状態において、ヘッド７２は、ノズル面７２のノズル配置部７２－ｉａが、液保持部２０６に近接して配置される。また、ヘッド７２は、先端部分の外周に弾性部材２２８が当接し、隙間が封止される。

　〔パージ〕
　図１５は、パージ時の状態を示す断面図である。

　上記のように、パージはキャップ２００内で行われる。

　パージする場合は、ヘッド７２がパージ位置に移動する。すなわち、ノズル面と直交する方向に所定量移動（上昇）し、ヘッド７２のノズル面７２Ａが液保持部２０６から離される。これにより、パージしたインクが、液保持部２０６に接触するのを防止することができる。パージしたインクは、下段部２１２で回収され、ドレーン口２１８から回収される。

　なお、このパージ位置においてもヘッド７２は、その先端部分の外周が封止部材２２０で囲われた状態にある。これにより、パージしたインクが周囲に溢れ落ちるのを防止することができる。

　〔キャップの取り外し〕
　キャップ２００を取り外す場合は、装着時と逆の動作が行われる。すなわち、ヘッド７２がキャップ２００から離れる方向に上昇し、その後、水平に移動して、描画部１６に移動する。

　より詳しくは、ノズル面７２Ａと直交する方向（第２方向）に所定量移動して、離脱位置に移動し、その後、長手方向（第１方向）に沿って水平に移動し、描画部１６へと移動する。

　ここで、離脱位置は、ヘッド７２を水平移動させて、キャップ２００から外すことができる位置（ノズル面７２Ａがキャップ本体２０２の開口部より上側の位置）に設定され、かつ、ヘッド７２の先端部分が封止部材２２０で覆われる位置に設定される。より好ましくは、ノズル面７２Ａが弾性部材２２８より下側に位置する位置に設定される。

　これにより、ヘッド７２の先端部分を封止部材２２０で封止した状態でヘッド７２を描画部１６に向けて移動させることができる。そして、これにより、移動中にヘッド７２から滴下するインクをキャップ２００で捕捉することが可能になる。

　なお、離脱位置は、装着位置と同じ高さの位置に設定することができる。また、パージ位置と離脱位置も同じ高さの位置に設定することができる。パージ位置と離脱位置とを同じ高さの位置に設定することにより、パージ後、そのままヘッド７２を描画部１６に向けて移送することが可能になる。

　また、離脱位置は、ノズル面払拭装置１６０Ｍ、１６０Ｋ、１６０Ｃ、１６０Ｙによる払拭位置と同じ高さの位置に設定することが好ましい。すなわち、ヘッド７２を離脱位置に位置させた状態で水平移動させると、そのままノズル面払拭装置１６０Ｍ、１６０Ｋ、１６０Ｃ、１６０Ｙでノズル面７２Ａが払拭されるようにすることが好ましい（離脱位置から水平移動するヘッド７２のノズル面７２Ａに払拭部材（払拭ウェブ）が接触するように、払拭部材の高さが調整される。）。これにより、キャップ２００から外した直後にノズル面７２Ａを払拭することができ、ヘッド７２から滴下するインク等によって周囲が汚染されるのを防止することができる。

　《変形例》
　〔接合部の構造〕
　図１６は、キャップの変形例を示す要部拡大断面図である。

　このキャップ２００は、封止部材２２０を構成する第１枠体構成要素２２２と第２枠体構成要素２２４との接合部（突き合わせる部分）をテーパ形状としている。

　このように、第１枠体構成要素２２２と第２枠体構成要素２２４との接合部をテーパ形状とすることにより、接合部から空気が入り込みにくい構造とすることができ、より気密性を高めることができる。

　なお、この場合において、封止部材２２０は、キャップ時に第１枠体構成要素２２２と第２枠体構成要素２２４とが完全に密着しないように構成することが好ましい。すなわち、第１枠体構成要素２２２と第２枠体構成要素２２４とを合体させたときに、一定の隙間をもって互いの接合部が接合するように構成することが好ましい。これにより、キャップ時に第１枠体構成要素２２２と第２枠体構成要素２２４とが接触し、その接触に伴う衝撃でヘッド７２が破損等するのを防止できる。

　封止部材２２０の第１枠体構成要素２２２と第２枠体構成要素２２４との接合部は、この他、図１７に示すように、ラビリンス構造とすることもできる。この場合も接合部を非接触としつつ、気密性を確保することができる。

　〔封止部材の分割の態様〕
　上記実施の形態では、封止部材２２０を枠体の３辺を構成する第１枠体構成要素２２２と、枠体の残り１辺を構成する第２枠体構成要素２２４とに分割する構成としているが、封止部材２２０を分割する態様は、これに限定されるものではない。たとえば、第１枠体構成要素と第２枠体構成要素とを互いにＬ字状に構成することもできる。

　〔移動手段の構成〕
　上記実施の形態では、キャップを固定とし、ヘッド側を移動させて、ヘッドにキャップを装着する構成としているが、キャップ側を移動させる構成とすることもできる。また、双方を移動させる構成とすることもできる。すなわち、ヘッドとキャップは、相対的に移動できる構成であればよい。

　なお、上記実施の形態のように、キャップを一定位置に固定とすることにより、キャップの移動機構が不要になり、構成を簡素化することができる。

　《その他の実施の形態》
　上記実施形態では、本発明をラインヘッドを用いたシングルパス方式のインクジェット記録装置に適用した例で説明したが、本発明の適用範囲は、これに限定されず、シリアル型（シャトルスキャン型）ヘッドなど、短尺の記録ヘッドを移動させながら、複数回のヘッド走査により画像記録を行うインクジェット記録装置についても適用できる。

　また、ヘッドのノズル面が水平に配置された液滴吐出装置にも適用することができる。

　また、上記実施形態では、カラー画像印刷用のインクジェット記録装置への適用を例に説明したが、本発明の適用範囲は、この例に限定されない。たとえば、電子回路の配線パターンを描画する配線描画装置、各種デバイスの製造装置、吐出用の機能性液体として樹脂液を用いるレジスト印刷装置、カラーフィルター製造装置、マテリアルデポジション用の材料を用いて微細構造物を形成する微細構造物形成装置など、液状機能性材料を用いて様々な形状やパターンを得る液滴吐出装置（インクジェット記録装置、インクジェットシステムを含む）に広く適用できる。

　以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものでは無く、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有するものにより、多くの変形が可能である。

　１０…インクジェット記録装置、１２…給紙部、１４…処理液塗布部、１６…描画部、１８…乾燥部、２０…定着部、２２…排紙部、２４…メンテナンス部、２６…中間搬送部、２８…中間搬送部、３０…中間搬送部、５０…給紙トレイ、５２…給紙胴、５４…処理液ドラム、５５…グリッパ、５６…処理液塗布装置、７０…描画ドラム、７１…グリッパ、７２（７Ｍ、７２Ｋ、７２Ｃ、７２Ｙ）…ヘッド（インクジェットヘッド）、７２Ａ…ノズル面、７２－ｉ…ヘッドモジュール、７２－ｉＡ…ヘッドモジュールのノズル面、７２－ｉａ…ノズル配置部、７２－Ｄ…ダミープレート、７４…用紙押えローラ、７６…乾燥ドラム、７７…グリッパ、７８…溶媒乾燥装置、８０…ヒータ、８２…温風噴出しノズル、８４…定着ドラム、８５…グリッパ、８６…ヒータ、８８…定着ローラ、９０…インラインセンサ、９２…排紙トレイ、９４…チェーンコンベア、１３０…ヘッド移動機構、１４０…ヘッド支持フレーム、１４２…フレーム移送装置、１４４…ヘッド支持部、１４６…ガイドレール、１４７…スライダ、１４８…送り装置、１４８Ａ…ネジ棒、１４８Ｂ…ナット部材、１４８Ｃ…モータ、１５４…廃液トレイ、１５６…廃液回収配管、１５８…廃液タンク、１６０（１６０Ｍ、１６０Ｋ、１６０Ｃ、１６０Ｙ）…ノズル面払拭装置、１９２…払拭ウェブ、１９４…押圧ローラ、２００（２００Ｍ、２００Ｋ、２００Ｃ、２００Ｙ）…キャップ、２０２…キャップ本体、２０２Ａ…キャップ本体のフランジ部、２０４…キャップ本体の開口部、２０６…液保持部、２０６Ａ…第１貯留部、２０６Ｂ…第２貯留部、２０８…仕切板、２１０…上段部、２１２…下段部、２１４…保湿液供給口、２１６…保湿液供給管、２１８…ドレーン口、２２０…封止部材、２２２…第１枠体構成要素、２２２Ａ…第１枠体構成要素のフランジ部、２２４…第２枠体構成要素、２２６…ボルト、２２８…弾性部材、３１０…支持フレーム、３１２…ケーブル、３５０…ノズル、Ｐ…用紙

Claims (12)

1. 　先端にノズル面を備え、前記ノズル面に備えられたノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
   　前記液滴吐出ヘッドの前記ノズル面を覆うキャップと、
   　前記液滴吐出ヘッドと前記キャップとを相対的に移動させて、前記液滴吐出ヘッドに前記キャップを装着させる移動手段と、
   　を備える液滴吐出装置であって、
   　前記キャップは、
   　開口部を備えた箱体で構成され、前記開口部が前記ノズル面に対向して配置されるキャップ本体と、
   　第１枠体構成要素と第２枠体構成要素とに分割可能な枠体で構成され、前記キャップ本体の前記開口部の周縁に沿って配置されて、前記液滴吐出ヘッドの先端部分の外周を囲う封止部材であって、前記第１枠体構成要素が、前記キャップ本体に備えられ、前記第２枠体構成要素が、前記液滴吐出ヘッドに備えられ、前記液滴吐出ヘッドに前記キャップが装着されると、一体化されて枠体を構成し、前記液滴吐出ヘッドの先端部分の外周を囲う封止部材と、
   　を備える液滴吐出装置。
2. 　前記封止部材は、前記第１枠体構成要素の内周部に弾性部材を備える請求項１に記載の液滴吐出装置。
3. 　前記キャップは、前記キャップ本体が一定位置に固定され、
   　前記移動手段は、前記液滴吐出ヘッドを移動させて、前記液滴吐出ヘッドに前記キャップを装着させる請求項１又は２に記載の液滴吐出装置。
4. 　前記第１枠体構成要素と前記第２枠体構成要素との接合部がテーパ形状を有し、一定の隙間をもって接合される請求項１から３のいずれか１項に記載の液滴吐出装置。
5. 　前記第１枠体構成要素と前記第２枠体構成要素との接合部がラビリンス構造を有し、一定の隙間をもって接合される請求項１から３のいずれか１項に記載の液滴吐出装置。
6. 　前記移動手段は、前記ノズル面に沿った第１方向と、前記ノズル面と直交する第２方向と、に前記液滴吐出ヘッドを移動可能に構成され、
   　前記移動手段を制御する制御部を更に備え、
   　前記制御部は、
   　前記液滴吐出ヘッドに前記キャップを装着する場合、前記液滴吐出ヘッドを前記第１方向に移動させて装着位置まで移動させ、その後、前記液滴吐出ヘッドを前記キャップ本体に向けて前記第２方向に移動させて、前記液滴吐出ヘッドに前記キャップを装着させ、
   　前記液滴吐出ヘッドから前記キャップを外す場合、前記液滴吐出ヘッドを前記第２方向に移動させて離脱位置まで移動させ、その後、前記第１方向に移動させて、前記液滴吐出ヘッドから前記キャップを外す請求項１から５のいずれか１項に記載の液滴吐出装置。
7. 　前記液滴吐出ヘッドは、先端部分の外周が四角形状を有し、
   　前記封止部材は、四角形状の枠体で構成され、前記第１方向と平行な２辺を含む前記枠体の３辺を構成する前記第１枠体構成要素と、前記枠体の残り１辺を構成する前記第２枠体構成要素とに分割可能に構成される請求項６に記載の液滴吐出装置。
8. 　前記第１枠体構成要素は、前記液滴吐出ヘッドが前記離脱位置に位置したときに、前記液滴吐出ヘッドの先端部分の外周を囲うことができる高さを有する請求項７に記載の液滴吐出装置。
9. 　前記第１方向に移動する前記液滴吐出ヘッドの移動経路上に設置され、前記離脱位置から前記第１方向に移動する前記液滴吐出ヘッドの前記ノズル面に接触して、前記ノズル面を払拭する払拭部材を更に備える請求項８に記載の液滴吐出装置。
10. 　前記液滴吐出ヘッドは、前記第１方向と平行な軸の周りに回転して、前記ノズル面が水平面に対して傾斜して設置される請求項６から９のいずれか１項に記載の液滴吐出装置。
11. 　前記液滴吐出ヘッドは、前記第１方向に沿ってノズルが配列された長尺のラインヘッドで構成される請求項１０に記載の液滴吐出装置。
12. 　前記キャップ本体は、保湿液が貯留される液保持部を有する請求項１から１１のいずれか１項に記載の液滴吐出装置。

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